説明

耐熱性酵素を使用するポリヌクレオチド合成方法

標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの合成方法であって、耐熱性ポリメラーゼを含む非好熱性細胞を、前記細胞を破壊するのに有効な温度に曝して反応混合物(標的ポリヌクレオチド、および、前記標的ポリヌクレオチドの配列またはポリヌクレオチドの隣に位置する配列にハイブリダイズする1または2以上のプライマーを含む)を形成する工程、および、ポリヌクレオチドが合成される条件下で前記反応混合物をインキュベートする工程を含む方法を開示する。本発明に基づく細胞ライブラリーおよびキットも開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、米国特許法第119条に基づいて米国仮出願第60/505,300号の優先権の利益を主張し、ここで前記仮出願の全体が本明細書に含まれるものとする。
(連邦政府による資金提供を受けた研究または開発の記載)
米国政府は、米国科学財団補助金番号IBN9986602およびDBI-007452に基づき、本出願の権利を有する。
【0002】
(序論)
本発明は概して分子生物学および生物工学の分野に関する。特に、本発明は、細胞内で生産された耐熱性酵素を使用する、標的配列のコピーの合成に有用な方法、細胞およびキットを提供する。
生物工学の分野では、従来、酵素の単離および精製によってクローニング、シークエンス、増幅および他の多くの操作を行っていた。耐熱性酵素の発見によりこれらの操作が著しく改良されたが、それは、これらの酵素は、研究室においてその有用性を大きく向上させる特性である安定性、活性および特異性をより高めるためである。耐熱性酵素を使用する現在の技術は事前の単離および精製を必要とする。従来の使用では、精製耐熱性酵素を、単離された標的ポリヌクレオチドを含む適切な反応混合物に加え、その後、前記反応混合物内で高温で使用される。そのような技術は文献に数多く存在しており、例えばポリヌクレオチドのPCR、シークエンスおよび制限エンドヌクレアーゼ消化が挙げられる。
酵素の添加前に標的ポリヌクレオチドを単離および精製する必要のない技術がいくつか開発されてきた。例として、phi29 DNAポリメラーゼの使用によるローリングサークル増幅法(RCA)、およびコロニー(若しくは“ダーティー”)PCRが挙げられる。これらの技術のための出発材料は、典型的には標的プラスミドを含む細菌細胞である。細胞内容物混成物から標的プラスミドを単離する代わりに、これらの技術では溶解細胞調製物上で直接行われる。
事前に単離および精製を行うことなく標的ポリヌクレオチドを操作し得る技術は存在するものの、現在の技術は精製された耐熱性酵素の使用が一貫として要求される。事前の酵素精製の必要性は、分子技術の利用に必要なコストおよび操作ステップを実質的に増加させる。
【0003】
(発明の要約)
ある態様においては、本発明は、標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの合成方法を提供する。前記方法は、耐熱性ポリメラーゼを含む非好熱性細胞(non-thermophilic cell)を、前記細胞を破壊するのに有効な温度に曝して反応混合物を形成する工程であって、前記反応混合物は標的ポリヌクレオチド、および、標的ポリヌクレオチドの配列または標的ポリヌクレオチドの隣に位置する(flanking)配列にハイブリダイズする1または2以上のプライマーを含む前記工程、および、標的ポリヌクレオチドの少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドが合成される条件下で、前記反応混合物をインキュベートする工程を含む。
別の態様では、本発明は、複数の標的ポリヌクレオチドを含む非好熱性細胞の集団を含むライブラリーを提供し、前記集団内の少なくとも1つの細胞は耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを含む。
本発明はさらに、ポリヌクレオチドを合成するためのキットを提供する。キットは非好熱性細胞の集団を含み、その少なくとも1つは耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0004】
(発明の詳細な説明)
生物工学における酵素の従来の使用は、精製および精製酵素の保管を必要とし、前記酵素はその後様々な分子技術に使用される。すべての精製酵素について言えるように、耐熱性酵素は、典型的には別個の保管条件および使用条件を必要とする。例えば、耐熱性ポリメラーゼは、それらが機能を発揮するバッファー内では比較的不安的である。さらには、保管された精製酵素は時間の経過とともに活性を失いがちである。本発明は、精製酵素の別個の保管および使用を排除することによって、耐熱性酵素を使用する分子技術のコストを削減する。さらには、操作工程を削減することにより、本発明は使用を簡便化し、処理量を増やす。
ある態様では、本発明は、耐熱性ポリメラーゼを使用することによる、標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの合成方法を提供する。耐熱性ポリラーゼの従来の使用とは異なり、本発明の方法は、例えば天然若しくは組換え耐熱性ポリメラーゼを事前に精製することを必要としない。一般に、耐熱性ポリメラーゼを発現する非好熱性細胞は、前記細胞を破壊するのに有効な温度に曝され、それにより、前記耐熱性ポリメラーゼを、標的ポリヌクレオチドの少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドが合成される条件下で、標的ポリヌクレオチドおよび1または2以上のプライマーを含む反応混合物に曝す。
【0005】
本発明においては、宿主細胞として非好熱性細胞が使用される。適切な非好熱性細胞は、典型的には通常の細胞培養条件下で、耐熱性酵素をコードするポリヌクレオチドを維持し得、かつ、機能する耐熱性酵素を発現し得るものである。高温では、非好熱性細胞が破壊される一方で耐熱性ポリメラーゼは活性を維持する。非好熱性細胞の破壊は、構造タンパク質および他の細胞タンパク質の熱変性および/または熱破壊(destruction)を少なくとも含み得ることが理解され、それにより好熱性ポリメラーゼが反応混合物内で利用可能となる。細胞を破壊するのに有効な温度は、当然ながら、非好熱性宿主として選択された細胞の種類に依存する。適切な非好熱性細胞には、原核細胞および真核細胞が含まれる。1つの適切な原核細胞は大腸菌(E. coli)であるが、しかしながら、本発明の方法における使用には、当業者がいかなる細菌細胞を選択してもよい。使用し得る適切な真核細胞としては、哺乳動物細胞および酵母細胞が挙げられる。
【0006】
本発明において、非好熱性細胞により発現される耐熱性ポリメラーゼとしては、例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼおよび逆転写酵素が挙げられる。適切なポリメラーゼは、所望する機能により選択される。宿主細胞のタンパク質を効果的に破壊する温度において安定である限り、いかなるポリメラーゼも本発明における使用に適する。典型的には、高温において活性を維持する、即ちプライマー伸長をし得るのは耐熱性ポリメラーゼである。適切なポリメラーゼとしては、好熱性細菌(例えばサーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、パイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、パイロコッカス・ウォーセイ(Pyrococcus woesei)、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、サーマス・フラバス(Thermus flavus)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)またはサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritem)であるが、これらに限定されない)から元来単離されたものが挙げられる。当業者が理解するように、変異を含む組換えポリメラーゼもまた、非好熱性宿主細胞内で発現させ得る。宿主細胞は、1つより多いポリメラーゼを発現してもよい。
【0007】
耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドは、標準的な方法によってクローニングベクター上にコードし得、そして宿主細胞に導入し得る。前記ベクターは、宿主細胞の細胞質内で維持し得る自己複製ポリヌクレオチド(例えばプラスミド)であってもよいし、宿主細胞のゲノムに組み込まれても良い。使用し得る代表的なクローニングベクターとしては、ウィルス粒子、バキュロウィルス、ファージ、プラスミド、ファージミド、コスミド、フォスミド、バクテリア人工染色体、ウィルスDNA(例えばワクシニア、アデノウィルス、ファウルポックスウィルス(foul pox virus)、仮性狂犬病ウィルスおよびSV40の誘導体)、P1由来人工染色体、酵母プラスミドおよび酵母人工染色体が挙げられる。当業者が理解するように、宿主内で複製可能および存続可能である限り、いかなるクローニングベクターを使用してもよい。さらには、耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを宿主細胞のゲノムに組み込む方法は既知であり、転移性遺伝因子、ウィルスベクター、または組換え酵素を使用する対立遺伝子交換(allelic exchange)の使用を含み得る。
【0008】
非好熱性細胞内に存在する耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞内で機能するプロモーターに機能可能に連結(operably connected)され得る。プロモーターは構成型であっても誘導型であってもよい。当業者が認識するように、バクテリアにおいて有用な適切なプロモーターとしては、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、lambda PR、PLおよびtrpが挙げられる。真核細胞において有用な適切なプロモーターとしては、CMV前初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、レトロウィルスからのLTRプロモーター、およびマウスメタロチオネイン-Iプロモーターが挙げられる。付加的な制御配列(例えばエンハンサー)もまたプロモーターまたはコーディング配列に機能可能に連結し得る。適切なプロモーターおよび/または制御配列の選択は、優に当業者の技術レベルの範囲内にある。
耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドは、選択マーカーをコードする1または2以上の配列をさらに含んでもよく、それにより、トランスフォームされた宿主細胞を選択するための表現型特性が提供される。そのような選択マーカーの例としては、抗生物質耐性(例えば大腸菌におけるテトラサイクリン耐性またはアンピシリン耐性)が挙げられる。
【0009】
標的ポリヌクレオチドは、標準的な技術(例えばクローニングベクターによる細胞のトランスフォーメーションまたはトランスフェクション)を使用して非好熱性細胞内に導入してもよいし、または、単離DNAとして反応混合物に加えてもよい。あるいは、標的ポリヌクレオチドを含む第二の宿主細胞を、耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドでトランスフォームした細胞と共培養してもよいし、または、反応混合物に加えてもよい。反応混合物内に単離DNAとして存在する場合、標的ポリヌクレオチドはリニアーであってもエピソーマルであってもよい。当業者が理解するように、標的ポリヌクレオチドが非好熱性細胞内に直接導入される本発明の実施態様においては、ポリメライゼーションの前に標的物を単離および精製する必要が無くなる。これらの実施態様においては、標的ポリヌクレオチドは、耐熱性ポリメラーゼをもコードするするベクター上にコードされてもよいし、または、第二のクローニングベクター上に導入されてもよいし、または、非好熱性細胞のゲノム内に組み込まれてもよい。耐熱性ポリメラーゼを含む非好熱性細胞と共培養される第二の細胞内に標的物がコードされる実施態様においても、ポリメライゼーションの前に標的ポリヌクレオチドを単離および精製する必要が無くなる。
【0010】
非好熱性細胞の破壊により反応混合物が形成される。細胞の破壊および細胞タンパク質の変性により、標的ポリヌクレオチドの相補物(complement)のポリメライゼーションが、プライマーハイブリダイゼーションおよび好熱性ポリメラーゼによる伸長を介して提供される。プライマーは、標的ポリヌクレオチドの配列、または標的ポリヌクレオチドの隣に位置する配列(例えばマルチクローニング配列などのクローニングベクターの配列)のいずれにハイブリダイズしてもよい。標的ポリヌクレオチドの相補物にもハイブリダイズするプライマーが必要により反応混合物に含まれてもよく、それによりセカンドストランド合成が提供される。標的ポリヌクレオチド(または標的の隣に位置する配列)およびその相補物にハイブリダイズするプライマーに加えて、反応混合物は、適切にはさらにバッファーを含み得、前記バッファーは、ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを調節するため、および/または、ポリメラーゼの性能を最適化するために、当業者が最適化し得る。ヌクレオチド(例えばデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドなど)もまた、適切には反応混合物に含まれ、それらは、その後の用途に有用なラベル(例えば放射能、蛍光分子またはビオチン)を含むように改変し得る。ラベルされたジデオキシヌクレオチドをシークエンス用途のために含ませてもよい。
非好熱性細胞を、該細胞を破壊する前にプライマー、ヌクレオチドおよびバッファーを含む溶液に加えて反応混合物を調製してもよいし、あるいは、プライマー、ヌクレオチドおよびバッファーを含む溶液を、破壊した細胞に加えて反応混合物を調製してもよいことが理解される。さらには、細胞、標的ポリヌクレオチド、バッファー、プライマーおよびヌクレオチドはいずれの順序で反応混合物に加えても、また、細胞を破壊するのに有効な温度をいずれの段階で加えてもよく、それは本発明から逸脱することがないことが理解される。
【0011】
標的物に相補的なポリヌクレオチドのポリメライゼーションは、サーマルサイクリング、即ちPCRによって適切に実施し得る。サーマルサイクリング条件は、ポリメラーゼの種類、プライマーの長さおよび塩基組成、さらには反応バッファーのイオン強度などの要素を考慮して、当業者が、必要以上の実験を行うことなく、経験に基づいて決定し得る。適切なサイクリングスキームの代表的な例は以下のようなものである:94℃で20秒(DNA変性のため)、次いで70℃で1〜4分(プライマーのアニーリングおよび伸長のため)を32サイクル、そしてこれらのサイクルの後に、最終的な伸長を72℃で15分。定温ポリメライゼーションもまた本発明に包含される。定温ポリメライゼーションでは、例えば熱の代わりに、DNAヘリカーゼを使用して標的ストランドを分離させる。DNAヘリカーゼは、サーモサイクリングと組み合わせて使用することも可能である。
【0012】
本発明は、細胞ライブラリーをさらに提供する。本発明の細胞ライブラリーとしては、cDNAライブラリー、ゲノミックライブラリーまたは発現ライブラリーが挙げられるが、これらに限定されない。前述の通りの適切な条件下における細胞破壊によって、耐熱性ポリメラーゼが、ゲノミックまたはcDNAインサートに相補的なポリヌクレオチドのポリメライゼーションを可能にするライブラリーの少なくとも1つの細胞で発現される。
【0013】
非好熱性細胞の集団を含むキットであって、前記集団の少なくとも1つの細胞が耐熱性ポリメラーゼを発現する前記キットもまた、本発明に含まれる。いくつかの実施態様では、キットはさらに、クローニングベクターを含むポリヌクレオチドを含む。適切には、細胞はコンピテントセルである。任意で含んでもよいさらなるキット構成物としては、クローニングベクターにハイブリダイズするプライマー、少なくとも1つの反応バッファー、ヌクレオチド、少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼ、DNAヘリカーゼおよび本明細書に説明する方法によるキットの使用のための説明書が挙げられる。適切には、クローニングベクターはマルチプルクローニング配列を含む。ヌクレオチドはラベルされていてもよい。
【0014】
上記の説明および後述の実施例から当業者が理解するように、本発明は、非好熱性細胞内で発現させ得るいかなる耐熱性酵素をも使用するように改変することが可能であり、前記酵素としては、ポリメラーゼ、リガーゼ、制限エンドヌクレアーゼ、DNAヘリカーゼおよびメチラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。さらには、本発明は、他の極度条件下で機能する酵素(例えば好塩菌その他から単離されたものなど)を使用するように改変することも可能である。
本発明のさらなる理解を助けるために以下の実施例を提供する。使用される特定の材料および条件は本発明をさらに説明することを意図するものであり、その適当な範囲に限定されるものではない。
【0015】
(実施例)
実施例1:プラスミドにコードされる耐熱性ポリメラーゼ
サーマス・アクアティカス(Taq)DNAポリメラーゼをpUC18にクローニングし、宿主大腸菌細胞内に、1.1Kb J5標的cDNAをコードする別のプラスミドと共トランスフェクトした。0.1、0.5、1、および5mM IPTGで、Taqの発現を誘導した。
1〜4μlのオーバーナイト宿主細胞細菌培養液を、フォワードおよびリバースのpUC由来プラスミド特異的プライマーを10pmolずつ含む溶液に加えた:
5'CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACG3' [配列番号:1]
5'GAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAG3' [配列番号:2]
反応溶液は、さらに、0.2mM dNTPs、並びに、界面活性剤およびDMSOを含む以下の最終濃度の反応バッファーを含んでいた:50mM Tris HCl, pH9.2(25℃)、16mM(NH4)2SO4、2.25mM MgCl2、2%(v/v)DMSO、0.1%(v/v)Tween 20。
細菌と反応溶液の混合物を80℃で20秒間加熱して細菌のタンパク質を変性させ(Taq DNAポリメラーゼは変性しない)、以下のようにサーマルサイクリングにかけた:94℃で20秒(DNA変性)、次いで70℃で1〜4分(プライマーアニーリングおよび伸長;時間は標的物のサイズに依存した)を32サイクル、そして最終的な伸長を72℃で15分。ポリメラーゼ活性のスクリーニングを行うために、最終容量の5〜10%を1%アガロースゲル上で分離した。
結果を図1に示す。レーン2〜5に見られる1.1Kb J5 cDNAの増幅は、耐熱性ポリメラーゼのIPTG誘導に影響される。レーン6は、耐熱性ポリメラーゼを含まない対照である。
【0016】
実施例2:ローコピープラスミドにコードされる耐熱性ポリメラーゼ
AflIIIとXbaIによりpUC18からTaqコード配列を切り出し、T4 DNAポリメラーゼで平滑末端化し、ゲル精製し、そして、p15A複製開始点を有するローコピープラスミドpACYC184の平滑化したHindIIIサイトにライゲーションした。このプラスミドを、pBS SK- (Stratagene)内のJ5 cDNAをも含む細菌(大腸菌JM109およびDH5α)にトランスフェクトした。ポリメラーゼ活性のスクリーニングは、実施例1で説明した通りに実施した。
結果を図2に示す。レーン1〜5は、IPTG濃度を段階的に減少させたものを示す。先の実施例と同様に、標的J5 cDNAの増幅は耐熱性ポリメラーゼのIPTG誘導に影響された。
【0017】
実施例3:耐熱性ポリメラーゼをコードするハイコピー、ローコピーおよびシングルコピー発現ベクター、および前記発現ベクター上での耐性配列の増幅
A. 発現ベクターの作製
Taq耐熱性ポリメラーゼをコードする配列を増幅し、lacZプロモーターの制御下にあるpUC18(アンピシリン耐性)のEcoRIサイトにクローニングした。このプラスミドをPvuIおよびTfiIを使用して消化した。消化の後、T4 DNAポリメラーゼを使用してプラスミド断片を平滑末端化し、低融点アガロースゲル上で精製した。lacZプロモーターの制御下にあるTaqコード断片を、ローコピー(約40コピー/細胞)プラスミドpSMART LCKan(カナマイシン耐性, Lucigen Corp, ウィスコンシン州Middleton)およびシングルコピープラスミドpSMART VC(クロラムフェニコール耐性, Lucigen Corp, ウィスコンシン州Middleton)内に、T4 DNAリガーゼを使用して、ベクターDNA25ngおよびインサートDNA50ngを含む容量10μlでライゲーションした。エレクトロコンピテント大腸菌細胞10G(Lucigen Corp, ウィスコンシン州Middleton)を、ライゲーション混合物でトランスフォームした。トランスフォームした細胞をTB培地で1時間培養した。トランスフォーメーションから現れるカナマイシン耐性(pSMART LCKan)またはクロラムフェニコール耐性(pSMART VC)コロニーを、適切な抗生物質プレート上で選択した。lacZ/Taq DNAポリメラーゼインサートを含むコロニーを、アガロース電気泳動ゲル上でサイズ分析により選択した。
【0018】
B. 発現ベクター上の耐性配列のPCR増幅
組換えpUC19/Taq、pSMART LCKan/TaqおよびpSMART VC/Taqを含む細菌のシングルコロニーを拾い、それぞれを100μlの溶解バッファー(10mM Tris-HCl pH 7.5、1mM EDTA、1mM DTT、50%グリセロール、0.1%Triton X-100、10μg RNase A、1unit バクテリオファージT4ライソザイム)に再懸濁した。溶解抽出物を室温で10分、70℃で10分、氷上で5分インキュベートした。溶解抽出物を13,000RPMで5分間遠心した。
次いで、溶解抽出物からの上清をPCRにかけ、pUC19/Taq、pSMART LCKan/TaqおよびpSMART VC/Taqのそれぞれから耐性配列を増幅した。PCR反応物は、最終容量50μlに、5μlの溶解細胞抽出物を、反応バッファー(10mM Tris-HCl pH9.0、50mM 塩化カリウム、1.5mM 塩化マグネシウム、0.1%Triton X-100、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dGTP, dCTP, dTTP, dATP)各25μM、および以下に示すプライマー対と混合して含んだ。
【0019】

【0020】
サーマルサイクリングは以下のように実施した:94℃で15秒、次いで60℃で15秒、次いで72℃で1分を25サイクル、そして最終的な伸長を72℃で10分。
完了したPCR反応物をゲル電気泳動にかけた。結果を図5に示す。レーンMは標準的な1Kbラダーを含む。レーン1は、シングル細菌コロニーからのハイコピーベクターからの、アンピシリン耐性配列の増幅を示す。レーン2は、シングル細菌コロニーからのローコピーベクターからの、カナマイシン耐性配列の増幅を示す。レーン3は、シングル細菌コロニーからのTaqインサートを含まないローコピーベクターを含む。レーン4は、シングル細菌コロニーからのシングルコピーベクターからの、クロラムフェニコール耐性配列の増幅を示す。レーン5は、シングル細菌コロニーからのTaqインサートを含まないシングルコピーベクターを含む。これらの結果は、本発明は、DNAテンプレートまたはDNAポリメラーゼを予め精製しなくとも、シングル細菌コロニーからDNA断片を増幅できることを示す。
【0021】
実施例4:耐熱性ポリメラーゼの染色体組込み
プラスミドpAG408をKpnIで消化することにより緑色蛍光タンパク質および3'-アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼのコーディング配列を削除し、そして再ライゲーションしてオリジナルのプラスミドpBSL202を復元した。AflIIIでpUC18からTaqコーディング配列を切り出し、T4 DNAポリメラーゼを使用して平滑化し、その後XbaIで消化した。ゲル精製した、平滑末端およびXbaIオーバーハングを有するTaqコーディング配列を、pBSL202(pAG408由来)の平滑化NotIサイトおよび粘着XbaIサイトにライゲーションすることにより、グラム陰性菌内にTaqを輸送するためのミニ-Tn5トランスポゾン誘導体を形成した。これは、R6Kベースの自殺ミニ-トランスポゾン輸送プラスミドであり、Pirタンパク質を持たない宿主の中では存続できない。このプラスミドを大腸菌S17-1(lambda pir)内で増殖させ、そして、J5 cDNAをコードするプラスミドで先にトランスフェクトしたエレクトロコンピテントJM109細胞を、Taqをコードする精製プラスミドでトランスフェクトし、そしてゲンタマイシン(30μg/ml)で選抜した。実施例1で説明した通りに、ゲンタマイシン耐性コロニーのポリメラーゼ活性をスクリーニングした。
結果を図3に示す。レーン3は、増幅されたJ5 cDNAの1.1Kbバンドを含む。
【0022】
実施例5:cDNAライブラリーからの標的ポリヌクレオチドの増幅
異なる16種類のcDNA生成物の増幅を、実施例1に説明した方法で実施した。耐熱性ポリメラーゼを発現する細菌を、心臓ライブラリー由来のmRNAから逆転写した標的cDNAでトランスフェクトした。ポリメラーゼの発現を0.5mM IPTGで誘導した。
図4は、16種類の標的cDNAの増幅を示す。サイズのばらつきは異なるサイズのcDNA(4,000〜1,200bp)を反映する。
【0023】
実施例6:ハイコピー、ローコピーおよびシングルコピーTaq DNAポリメラーゼ発現ベクターを使用する、大腸菌ゲノミックDNAからの標的配列(RNase I遺伝子)の増幅
標的DNAとして染色体RNAse I遺伝子を含み、かつ、ハイコピー、ローコピーまたはシングルコピーベクター上にクローニングされた組換えTaqを有する大腸菌のシングルコロニーを拾い、100μlの溶解バッファー(10mM Tris-HCl pH7.5、1mM EDTA、1mM DTT、50%グリセロール、0.1%Triton X-100、10μg RNase A、1 unit バクテリオファージT4ライソザイム)に再懸濁した。溶解抽出物を室温で10分、70℃で10分、そして氷上で5分インキュベートし、次いで、13,000RPMで5分間遠心した。
次いで、溶解抽出物からの上清をPCRにかけた。反応物は、50μlの最終容量に、5μlの上清を、反応バッファー(10mM Tris-HCl pH 9.0、50mM 塩化カリウム、1.5mM 塩化マグネシウム、0.1%Triton X-100、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dGTP, dCTP, dTTP, dATP)各25μM、および以下に特定されるRNAse I遺伝子に対するプライマー対と混合して含んだ。
フォワード: 5'- AAAGCATTCTGGCGTAACGCCGCGTTGCT- 3' [配列番号:9]
リバース: 5'- GTGTCGCTTAAGTTAATAACCCGCTTTATCAATCACAAAGG- 3' [配列番号:10]
サーマルサイクリングは以下のように実施した:94℃で15秒、次いで60℃で15秒、次いで72℃で1分を25サイクル、そして最終的な伸長を72℃で10分。
【0024】
完了したPCR反応物をゲル電気泳動にかけた。結果を図6に示す。レーンMは標準的な1Kbラダーを含む。レーン1は、シングル細菌コロニーからのハイコピープラスミドにおけるTaqポリメラーゼによる、RNase Iフォワードおよびリバースプライマーを使用した、大腸菌RNase I遺伝子の増幅を示す。レーン2は、シングル細菌コロニーからのローコピープラスミドにおけるTaqポリメラーゼによる、RNase Iフォワードおよびリバースプライマーを使用した、大腸菌RNase I遺伝子の増幅を示す。レーン3では、インサートの無いローコピーベクターを含むシングル細菌コロニーからは、RNase Iフォワードおよびリバースプライマーを使用して、大腸菌RNase I遺伝子が増幅されていない。レーン4は、シングル細菌コロニーからのシングルコピープラスミドにおけるTaqポリメラーゼによる、RNase Iフォワードおよびリバースプライマーを使用した、大腸菌RNase I遺伝子の増幅を示す。レーン5では、インサートの無いシングルコピーベクターを含むシングル細菌コロニーからは、RNase Iフォワードおよびリバースプライマーを使用して、大腸菌RNase I遺伝子が増幅されていない。
これらの結果は、本発明は、DNAテンプレートまたはDNAポリメラーゼを予め精製しなくとも、シングル細菌コロニーからDNA断片を増幅できることを示す。
レーン4の増幅産物をゲル精製し、蛍光色素化学(Applied Biosystems, カリフォルニア州Foster City)を使用してヌクレオチド配列を決定したところ、RNase I遺伝子産物から予測されるものであった。
【0025】
実施例7:ゲノミックライブラリーからの標的ポリヌクレオチドの増幅
細菌の非特定好熱性株から調製したゲノミックDNAの組換えラブラリー(オブシディアン(Obsidian)ライブラリーY4.12MC)を、標準的な方法を使用して、pSMART HCKanで作製した。実施例3で説明した通りに、組換えライブラリーを、Taqを有するシングルコピーベクターpSMART VCで先にトランスフォームしたエレクトロコンピテント大腸菌10G細胞にトランスフォームした。pSMART VC/TaqおよびpSMART HCKan/ランダムDNAインサートを含む細菌のシングルコロニーを拾い、100μlの溶解バッファー(10mM Tris-HCl pH 7.5、1mM EDTA、1mM DTT、50%グリセロール、0.1%Triton X-100、10μg RNase A、1 unit バクテリオファージT4ライソザイム)に再懸濁した。溶解抽出物を、室温で10分、70℃で10分、そして氷上で5分インキュベートし、その後、13,000RPMで5分間遠心した。
次いで、溶解抽出物の上清をPCRにかけた。PCR反応物は、50μlの最終容量に、5μlの上清を、反応バッファー(10mM Tris-HCl pH 9.0、50mM 塩化カリウム、1.5mM 塩化マグネシウム、0.1%Triton X-100、デオキシリボヌクレオチド三リン酸(dGTP, dCTP, dTTP, dATP)各25μM、および以下に特定されるプライマー対と混合して含んだ。
アンピシリンフォワード: 5' CCTATTTGTTTATTTTTCTAAATACATTCAATATGTATCCGCT-3' [配列番号:11]
アンピシリンリバース: 5'-TTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCT-3' [配列番号:12]
Z-フォワード: 5'-CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC- 3' [配列番号:13]
Z-リバース: 5'-AGCGGATAACAATTTCACACAGGA- 3' [配列番号:14]
サーマルサイクリングは以下のように実施した:94℃で15秒、次いで60℃で15秒、次いで72℃で1分を25サイクル、そして最終的な伸長を72℃で10分。
完了したPCR反応物をゲル電気泳動にかけた。結果を図7に示す。レーンMは標準的な1Kbラダーを含む。レーン1は、シングル細菌コロニーからの、Ampプライマーを使用した、シングルコピーにクローニングされたTaqポリメラーゼによる、pUC18配列のPCR増幅を示す。レーン2、3、4および5は、シングル細菌コロニーからの、Z-フォワードおよびZ-リバースプライマーを使用した、シングルコピーにクローニングされたTaqポリメラーゼによる、オブシディアンライブラリー Y4.12MCからのプラスミドDNAのPCR増幅を示す。
【0026】
実施例8:耐熱性制限酵素
耐熱性制限酵素を使用して、プラスミド-増殖標的ポリヌクレオチドを選抜する。PCR産物のクローニングにはハイコピープラスミドが使用され、クローンは、構成プロモーターの制御下にある制限酵素のコーディング配列を染色体に組み込まれて有する大腸菌にトランスフェクトされる。ハイコピープラスミドのマルチクローニングサイトの隣には、耐熱性制限酵素の認識サイトが存在する。インサートされたPCR産物の存否を検査するため、細胞の一部(例えばオーバーナイト培養液の10μl)を、制限酵素の活性に最適化された10μlの2x バッファーの存在下で、80℃で20秒間加熱する。この温度においては、細菌タンパク質は変性するが、耐熱性制限酵素は変性しない。加熱された細菌/バッファー溶液は、その後、耐熱性制限酵素の最適な活性のための適切な温度で、切断が起こるまでインキュベートされる。消化された生成物はゲル電気泳動を使用して分離される。プラスミドのコピー数が多いため、プラスミドからのシグナル(制限酵素消化物)は、同様に耐熱性制限酵素で切断された細菌ゲノミックDNAのバックグラウンドノイズを凌駕する。
【0027】
実施例9:耐熱性逆転写酵素
細菌の染色体DNAに組み込まれた耐熱性逆転写酵素を使用して、哺乳動物細胞で生成されたRNAからcDNAを逆転写する。これらのcDNAは標的遺伝子のリニアーな増幅を表し、その後の用途のためにラベルを含んでいる。プロモーターに機能可能に連結した目的とする遺伝子を有する標的プラスミドは、最初に宿主細菌内で増幅される。細胞はプロモーターの誘導およびDNAからのRNA生成を可能とする条件下で培養される。次いで、細菌を、逆転写酵素の活性に最適化されたバッファーの存在下で、80℃で20秒間加熱する。この温度においては細胞は溶解し、細菌のタンパク質は変性する。ラベルされたヌクレオチド三リン酸および標的特異的プライマーが、その後反応混合物に加えられる。反応混合物を冷却し、標的特異的プライマーが標的に結合することを可能とする。その後、耐熱性逆転写酵素は、鋳型RNAに結合した標的特異的プライマーを使用して特定のcDNAを逆転写することができる。最終結果は、シングルストランドのcDNAのリニアーな増幅であり、それをその後の用途に使用し得る。
【0028】
実施例10:耐熱性メチラーゼ
細菌内で増幅するプラスミドに耐熱性メチラーゼがコードされ、標的ポリヌクレオチドをコードするハイコピープラスミドをメチル化するために使用される。宿主細胞を、メチラーゼ活性に最適化されたバッファーの存在下で、80℃で20秒間加熱することにより細菌タンパク質は変性させるが、耐熱性メチラーゼは変性しない。メチル化されたハイコピープラスミドは反応混合物から直接使用し得る。プラスミドのコピー数が多いため、メチル化されたプラスミドは、細菌ゲノミックDNAからのバックグラウンドノイズを凌駕する。
【0029】
実施例11:シークエンス
ハイコピー、ローコピーまたはシングルコピーベクターにクローニングされた組換えTaqポリメラーゼ、および、別のプラスミド上の標的ポリヌクレオチドを含む細菌のシングルコロニーを拾い、11μlの水に再懸濁した。1μlのプライマー(4pmol)、2μl BigDye (Applied Biosystems)および6μlの2.5X バッファー [5Xは、400mM Tris pH9、10mM MgCl2]を加えた。反応混合物をサーマルサイクリング用機器にセットし、最初に95℃で3分、次いで、96℃で10秒、58℃で4分を50サイクル、最後に72℃で7分とした。反応物をエタノール沈殿またはスピンカラムクロマトグラフィーにより精製し、70℃で15分間乾燥し、20μlホルムアミドに再懸濁し、その後ABI 310自動DNAシークエンサーにロードした。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲に使用されるように、単数形“a”、“an”および“the”は、明確にそうでないと示す場合を除いて複数の対象物をも含む。従って、例えば、“ポリヌクレオチド(a polynucleotide)”を含む組成物への言及は、2または3以上のポリヌクレオチドの混合物を含む。また、“または(or)”という用語は、明確にそうでないと示す場合を除いて、一般に“および/または(and/or)”をも含む意味で使用されることに留意されたい。
本明細書において参照されるすべての文献、特許および特許出願は、本発明の属する技術分野における当業者の技術水準を示すものである。すべての文献、特許および特許出願は、各個別の文献または特許出願を参照により個別具体的に特定した場合と同じ限度で、本明細書の内容に特に含まれるものとする。本明細書の内容と、引用した特許、文献および参照が抵触する場合には本明細書の内容が優先する。
本発明を、様々な特定の実施態様および技術を参照して説明した。しかしながら、本発明の精神および範囲内において、多くの変形および改良をなし得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】サーマス・アクアティカス耐熱性ポリメラーゼをコードする別のプラスミドを維持する大腸菌における、標的1.1Kb cDNAの増幅のアガロースゲル検査を示す。
【図2】サーマス・アクアティカス耐熱性ポリメラーゼをコードする別のローコピープラスミドを維持する大腸菌における、標的1.1Kb cDNAの増幅のアガロースゲル検査を示す。
【図3】染色体に組み込まれたサーマス・アクアティカス耐熱性ポリメラーゼを有する大腸菌における、プラスミドにコードされた標的1.1Kb cDNAの増幅のアガロースゲル検査を示す。
【図4】ライブラリーからの標的cDNAの増幅のアガロースゲル検査を示す。ライブラリーの宿主細胞は、サーマス・アクアティカス耐熱性ポリメラーゼを発現し、かつ、個別のプラスミドにcDNAを維持する大腸菌である。
【図5】ハイコピー、ローコピーおよびシングルコピーベクターからの、標的耐性配列の増幅のアガロースゲル検査を示す。
【図6】大腸菌からの、ゲノミックRNAse Iの増幅のアガロースゲル検査を示す。
【図7】非特定ゲノミックライブラリーからの、標的ポリヌクレオチドの増幅のアガロースゲル検査を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの合成方法であって、
a) 耐熱性ポリメラーゼを含む非好熱性細胞を、前記細胞を破壊するのに有効な温度に曝して反応混合物を形成する工程であって、前記反応混合物は標的ポリヌクレオチド、および、該標的ポリヌクレオチドの配列または標的ポリヌクレオチドの隣に位置する配列にハイブリダイズする1または2以上のプライマーを含む前記工程;および
b) 標的ポリヌクレオチドの少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドが合成される条件下で、前記反応混合物をインキュベートする工程
を含む、前記方法。
【請求項2】
細胞が、耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドであって、前記細胞内で機能するプロモーターに機能可能に連結された前記ポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドが、細胞のゲノム内に組み込まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
細胞が、耐熱性ポリメラーゼをコードする配列を含むクローニングベクターを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
クローニングベクターが、標的ポリヌクレオチドをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
細胞が、標的ポリヌクレオチドを含むクローニングベクターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
細胞が、耐熱性ポリメラーゼをコードする配列を含む第一のクローニングベクターを含み、かつ、前記細胞が、標的ポリヌクレオチドを含む第二のクローニングベクターをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
反応混合物が、工程 b) において合成された相補的ポリヌクレオチドにハイブリダイズする1または2以上のプライマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
反応混合物が、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドの1または2以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
反応混合物が反応バッファーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
反応混合物が、標的ポリヌクレオチドを含むクローニングベクターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
第二の非好熱性細胞がクローニングベクターを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ウィルスがクローニングベクターを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
クローニングベクターがリニアライズされている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
クローニングベクターがエピソーマルである、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
耐熱性ポリメラーゼが、逆転写酵素、RNAポリメラーゼまたはDNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
耐熱性ポリメラーゼが、サーモコッカス・リトラリス、バシラス・ステアロサーモフィラス、パイロコッカス・フリオサス、パイロコッカス・ウォーセイ、サーマス・アクアティカス、サーマス・フィリフォルミス、サーマス・フラバス、サーマス・サーモフィラスまたはサーモトガ・マリチマにおいて天然的に発現されるポリメラーゼまたはその組換え変異体から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
工程 b) の条件がサーマルサイクリングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
反応混合物がDNAヘリカーゼをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
細胞が原核細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
原核細胞が大腸菌である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
細胞が真核細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
細胞が酵母細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
複数の標的ポリヌクレオチドを含む非好熱性細胞の集団を含むライブラリーであって、前記集団内の少なくとも1つの細胞が、耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを含む、前記ライブラリー。
【請求項26】
非好熱性細胞の集団を含む、請求項1に記載の方法に従ってポリヌクレオチドを合成するためのキットであって、前記集団内の少なくとも1つの細胞が、耐熱性ポリメラーゼをコードするポリヌクレオチドを含む、前記キット。
【請求項27】
クローニングベクターを含むポリヌクレオチドをさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
細胞がコンピテントセルである、請求項26に記載のキット。
【請求項29】
クローニングベクターにハイブリダイズする1または2以上のプライマーをさらに含む、請求項27に記載のキット。
【請求項30】
クローニングベクターがマルチクローニング配列を含む、請求項26に記載のキット。
【請求項31】
少なくとも1つの反応バッファーをさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項32】
デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドの1または2以上をさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項33】
デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドまたはジデオキシヌクレオチドの少なくとも1つが、検出可能なラベルを含む、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
少なくとも1つの制限エンドヌクレアーゼをさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項35】
リガーゼをさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項36】
DNAヘリカーゼをさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項37】
キットの使用のための説明書をさらに含む、請求項26に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−506430(P2007−506430A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528170(P2006−528170)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031267
【国際公開番号】WO2005/030995
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506097818)ユニヴァーシティー オブ ミズーリ (1)
【Fターム(参考)】