説明

耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン

【課題】耐熱作業環境下においてもローラの内周面とブシュの外周面との間の偏磨耗によるチェーン摩耗伸びを大幅に抑制して長期にチェーン寿命を維持でき、ローラの内周面とブシュの外周面との間の摺接騒音を低減して静粛なチェーン稼動環境を確保できる耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンを提供すること。
【解決手段】内プレート110に圧入嵌合されたブシュ120に回転自在に外嵌する耐熱性ローラ130と、ブシュ120内に回転自在に挿通された連結ピン140を圧入嵌合して内プレート110をチェーン長手方向に連結する外プレート150とを備え、耐熱性ローラ130のローラ端面から左右一対の内プレート110に向けて突出して耐熱性ローラ130のローラ端面と内プレート110の内側面との摺接を回避する耐磨耗耐熱性のスリーブ状スペーサ160が、耐熱性ローラ130とブシュ120との間に同芯状に設けられている耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置に使用される耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンに関し、さらに詳しくは、パン焼成用オーブンなどの耐熱作業環境下で使用される耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐熱などの苛酷な使用環境下で使用されるコンベヤチェーンとして、リンクピンを介して多数のリンクプレートを連鎖するとともに、前記リンクピンには、ブシュを介してローラを装着するコンベヤチェーンにおいて、前記ブシュはステンレススチールとし、前記ローラは、少なくとも内径部分をPEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)とするコンベヤチェーンが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平6−227632号公報(第1欄、図3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、前述したようなコンベヤチェーンでは、ローラのローラ端面と内リンクプレートの内側面との間の摺動接触に起因して生じる金属磨耗粉がローラの内周面とブシュの外周面との間に侵入し、このような金属磨耗粉が研磨材となってローラとブシュとの間で異常な偏磨耗を惹起させる結果、チェーン摩耗伸びを増大させてチェーン寿命を著しく損なうばかりでなく、チェーン稼動時の摺接音を著しく増大させるというチェーン取り扱い上の厄介な問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、耐熱作業環境下においてもローラの内周面とブシュの外周面との間の偏磨耗によるチェーン摩耗伸びを大幅に抑制して長期にわたってチェーン寿命を維持することできるとともに、ローラの内周面とブシュの外周面との間の摺接騒音を低減して静粛なチェーン稼動環境を確保することができる耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
まず、請求項1に係る本発明は、左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ孔に圧入嵌合されたブシュと該ブシュに回転自在に外嵌された耐熱性ローラと前記ブシュ内に回転自在に挿通された連結ピンと該連結ピンの両端をピン孔に圧入嵌合して前記内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対で離間配置された外プレートとを備えた耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンにおいて、前記耐熱性ローラのローラ端面から左右一対の内プレートに向けて突出して前記耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との摺接を回避する耐磨耗耐熱性のスリーブ状スペーサが、前記耐熱性ローラとブシュとの間に同芯状に設けられていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0006】
また、請求項2に係る本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンは、請求項1に記載された発明の構成に加えて、前記スリーブ状スペーサが、前記耐熱性ローラの内周面側に一体に固着されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0007】
そして、請求項3に係る本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンは、請求項1に記載された発明の構成に加えて、前記スリーブ状スペーサが、前記内プレートに向けてフランジを突出させるとともに前記耐熱性ローラとブシュとの間に遊嵌する左右一対のフランジ付リング部材から構成されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ孔に圧入嵌合されたブシュと該ブシュに回転自在に外嵌された耐熱性ローラと前記ブシュ内に回転自在に挿通された連結ピンと該連結ピンの両端をピン孔に圧入嵌合して前記内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対で離間配置された外プレートとを備えた耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンにおいて、以下のような構成を備えていることによって、本発明に特有の効果を奏するものである。
【0009】
すなわち、請求項1に係る本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンによれば、耐磨耗耐熱性のスリーブ状スペーサを耐熱性ローラとブシュとの間に同芯状に設けたことにより、スリーブ状スペーサが耐熱性ローラのローラ端面から左右一対の内プレートに向けて突出して耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との摺動接触を完全に回避できるため、耐熱作業環境下においても耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との間に生じがちな金属磨耗粉を阻止して耐熱性ローラの内周面とブシュの外周面との間で偏磨耗を生じることなく円滑な摺動接触を維持できるとともに、チェーン摩耗伸びを大幅に抑制して長期にわたってチェーン寿命を維持でき、しかも、耐熱性ローラの内周面とブシュの外周面との間の摺接騒音を低減して静粛なチェーン稼動環境を確保することができる。
【0010】
そして、請求項2に係る本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンによれば、請求項1記載の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンが奏する効果に加えて、スリーブ状スペーサが耐熱性ローラの内周面側に一体に固着されていることにより、チェーン稼働時に耐熱性ローラがスリーブ状スペーサの外周面上でチェーン幅方向にスキュー、揺動、若しくは、偏在することを完全に阻止できるので、チェーン幅方向のチェーン蛇行を抑制して安定したチェーン走行を実現させることができる。
【0011】
また、請求項3に係る本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンによれば、請求項1記載の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンが奏する効果に加えて、スリーブ状スペーサが内プレートに向けてフランジを突出させるとともに耐熱性ローラとブシュとの間に遊嵌する左右一対のフランジ付リング部材から構成されていることにより、フランジ付リング部材のフランジが、チェーン稼働時に耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との摺動接触を完全に回避するとともに耐熱性ローラをフランジ付リング部材上で確実に位置決めしてチェーン幅方向にスキュー、揺動、若しくは、偏在することを完全に阻止し、さらに、内プレートの内側面に対するスリーブ状スペーサの接触面圧を低減してフランジ付リング部材自体の摩損を抑制して耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との長期的な隔離機能を発揮させることができる。
【0012】
さらに、請求項3に係る本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンによれば、左右一対のフランジ付リング部材が耐熱性ローラとブシュとの間に遊嵌していることにより、チェーン組み立て作業やチェーン切り継ぎなどの分解組み付け作業を簡便に達成でき、また、耐熱作業環境下において耐熱性ローラやブシュとの熱膨張率差を吸収して円滑な摺動接触を維持でき、しかも、左右一対のフランジ付リング部材が耐熱性ローラとの間で生じるスリップに起因して耐熱性ローラよりも遅い回転速度でブシュの周りを回転するので、内プレートの内側面との摺動磨耗をより一段と低減して優れた耐久性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ孔に圧入嵌合されたブシュと該ブシュに回転自在に外嵌された耐熱性ローラと前記ブシュ内に回転自在に挿通された連結ピンと該連結ピンの両端をピン孔に圧入嵌合して前記内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対で離間配置された外プレートとを備えた耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンにおいて、耐熱性ローラのローラ端面から左右一対の内プレートに向けて突出して耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との摺接を回避する耐磨耗耐熱性のスリーブ状スペーサが耐熱性ローラとブシュとの間に同芯状に設けられて、耐熱作業環境下においてもローラの内周面とブシュの外周面との間の偏磨耗によるチェーン摩耗伸びを大幅に抑制して長期にわたってチェーン寿命を維持するとともに、ローラの内周面とブシュの外周面との間の摺接騒音を低減して静粛なチェーン稼動環境を確保するものであれば、その具体的な実施の態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0014】
すなわち、本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンに組み込まれるスリーブ状スペーサの具体的材料については、耐磨耗性及び耐熱性を備えたものであれば、グラファイト、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどのいずれであっても良く、特に、グラファイトを採用した場合には、パン焼成用オーブンなどの過酷な使用環境で定期的な塩水洗浄処理などの保守メンテナンス作業を施しても優れた耐食性、耐塩性を発揮するので、より好ましい。
【0015】
そして、本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンで用いるスリーブ状スペーサの具体的な形態については、耐熱性ローラのローラ端面から左右一対の内プレートに向けて突出して耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との摺接を回避する耐熱性ローラの内周面側に一体に固着されているか、あるいは、内プレートに向けてフランジを突出させるとともに耐熱性ローラとブシュとの間に遊嵌する左右一対のフランジ付リング部材から構成されていれば良く、前者の場合には、圧入嵌合、溶着、接着などのいずれかの加工手段で一体に固着しても差し支えなく、特に、圧入嵌合を採用した場合には、焼焦パン材料等による塵埃や高熱のために過酷な使用環境となるパン焼成用オーブン内において使用すると、確実かつ優れた固着強度を発揮できるので、より好ましい。
【0016】
加えて、本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンで用いるスリーブ状スペーサの場合、耐熱性ローラのローラ端部から突出した周面部分に摺接磨耗度合いを判別するための環状溝等を設けると、磨耗しているスリーブ状スペーサの交換時期を計測器等を使用することなく目視判別できるので、チェーン保守メンテナンス上より好ましい。
【0017】
また、本発明の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンに組み込まれる耐熱性ローラの具体的素材については、耐熱性を備えたものであれば、ステンレス、鉄、アルミニウムなどのいずれであっても良く、特に、ステンレスを採用すると、定期的に塩水洗浄処理を施されるなど発錆要因の多いパン焼成用オーブン内において採用した場合には優れた耐食性、防錆性を発揮するのでより好ましい。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の一実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン100を図面に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の第1実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの概要図であり、図2は、図1に示す耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの一部断面図とその要部拡大図であり、図3は、本発明の第2実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの概要図であり、図4は、図3に示す耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの一部断面図とその要部拡大図である。
【0019】
まず、本発明の第1実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン100は、図1及び図2に示すように、左右一対で離間して配置された内プレート110と、この内プレート110のブシュ孔111に圧入嵌合されたブシュ120と、このブシュ120に回転自在に外嵌された耐熱性ローラ130と、前記ブシュ120内に回転自在に挿通された連結ピン140と、この連結ピン140の両端をピン孔151に圧入嵌合して内プレート110をチェーン長手方向に連結する左右一対で離間して配置された外プレート150とを備え、パン焼成用オーブン(図示せず)に組み込まれて使用されている。
【0020】
そして、前述した内プレート110、ブシュ120、耐熱性ローラ130、連結ピン140、外プレート150からなるチェーン部品は、耐熱性を有するステンレス製で全て形成されているため、パン焼成用オーブン内部の温度が使用時に約200℃程度まで上昇しても、寸法変形等の異常を生じることがなく、また、定期的に塩水洗浄処理を施されるなど発錆要因の多いパン焼成用オーブン内であっても優れた耐食性、防錆性を発揮するようになっている。
【0021】
そこで、本実施例の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン100が最も特徴とするスリーブ状スペーサ160についてさらに詳しく説明する。
まず、図1及び図2に示すように、スリーブ状スペーサ160は、耐磨耗性及び耐熱性を備えたグラファイトから形成されるとともに、耐熱性ローラ130の内周面側に圧入嵌合して一体に固着され、耐熱性ローラ130とブシュ120との間に同芯状に配置されている。
【0022】
そして、スリーブ状スペーサ160の両端部は、耐熱性ローラ130のローラ端面から左右の内プレート110に向けて突出して耐熱性ローラ130のローラ端面と内プレート110の内側面との摺動接触を完全に回避するようになっている。
なお、図示しないが、耐熱性ローラ130の端部から突出したスリーブ状スペーサ160の周面部分には、スリーブ状スペーサ160の磨耗度合いを目視判別するための環状溝が設けられている。
【0023】
このようにして得られた本実施例の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン100は、耐磨耗耐熱性のスリーブ状スペーサ160を耐熱性ローラ130とブシュ120との間に同芯状に設けたことにより、スリーブ状スペーサ160が耐熱性ローラ130のローラ端面から左右一対の内プレート110、110に向けて突出して耐熱性ローラ130のローラ端面と内プレート110の内側面との摺動接触を完全に回避できるため、耐熱作業環境下においても耐熱性ローラ130のローラ端面と内プレート110の内側面との間に生じがちな金属磨耗粉を阻止して耐熱性ローラ130の内周面とブシュ120の外周面との間で偏磨耗を生じることなく円滑な摺動接触を維持できるとともに、チェーン摩耗伸びを大幅に抑制して長期にわたってチェーン寿命を維持でき、しかも、耐熱性ローラ130の内周面とブシュ120の外周面との間の摺接騒音を低減して静粛なチェーン稼動環境を確保することができる。
【0024】
そして、スリーブ状スペーサ160が耐熱性ローラ130の内周面側に一体に固着されていることにより、チェーン稼働時に耐熱性ローラ130がスリーブ状スペーサ160の外周面上でチェーン幅方向にスキュー、揺動、若しくは、偏在することを完全に阻止できるので、チェーン幅方向のチェーン蛇行を抑制して安定したチェーン走行を実現させることができるなど、その効果は甚大である。
【0025】
つぎに、本発明の第2実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン200について、図3及び図4に基づいて説明する。
まず、本発明の第2実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン200は、左右一対で離間して配置された内プレート210と、この内プレート210のブシュ孔211に圧入嵌合されたブシュ220と、このブシュ220に回転自在に外嵌された耐熱性ローラ230と、前記ブシュ220内に回転自在に挿通された連結ピン240と、この連結ピン240の両端をピン孔251に圧入嵌合して内プレート210をチェーン長手方向に連結する左右一対で離間して配置された外プレート250とを備え、パン焼成用オーブン(図示せず)に組み込まれて使用されている。
【0026】
そして、前述した内プレート210、ブシュ220、耐熱性ローラ230、連結ピン240、外プレート250からなるチェーン部品は、耐熱性を有するステンレス製で全て形成されているため、パン焼成用オーブン内部の温度が使用時に約200℃程度まで上昇しても、寸法変形等の異常を生じることがなく、また、定期的に塩水洗浄処理を施されるなど発錆要因の多いパン焼成用オーブン内であっても優れた耐食性、防錆性を発揮するようになっている。
【0027】
そこで、本実施例の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン200が最も特徴とするスリーブ状スペーサ260についてさらに詳しく説明する。
まず、図3及び図4に示すように、スリーブ状スペーサ260は、耐磨耗性及び耐熱性を備えたグラファイトから形成されるとともに、内プレート210に向けてフランジ261aを突出させるとともに耐熱性ローラ230とブシュ220との間に遊嵌する左右一対のフランジ付リング部材261、261から構成され、耐熱性ローラ230とブシュ220との間に同芯状に配置されている。
【0028】
そして、スリーブ状スペーサ260を構成する左右一対のフランジ付リング部材261、261の両端部は、耐熱性ローラ230のローラ端面から左右の内プレート210,210に向けて突出して耐熱性ローラ230のローラ端面と内プレート210の内側面との摺動接触を完全に回避するようになっている。
なお、図示しないが、耐熱性ローラ230の端部から突出したスリーブ状スペーサ260の周面部分には、スリーブ状スペーサ260の磨耗度合いを目視判別するための環状溝が設けられている。
【0029】
このようにして得られた本発明の第2実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン200は、左右一対のフランジ付リング部材261,261から構成されている耐磨耗耐熱性のスリーブ状スペーサ260を耐熱性ローラ230とブシュ220との間に同芯状に設けたことにより、スリーブ状スペーサ260が耐熱性ローラ230のローラ端面から左右一対の内プレート210、210に向けて突出して耐熱性ローラ230のローラ端面と内プレート210の内側面との摺動接触を完全に回避できるため、耐熱作業環境下においても耐熱性ローラ230のローラ端面と内プレート210の内側面との間に生じがちな金属磨耗粉を阻止して耐熱性ローラ230の内周面とブシュ220の外周面との間で偏磨耗を生じることなく円滑な摺動接触を維持できるとともに、チェーン摩耗伸びを大幅に抑制して長期にわたってチェーン寿命を維持でき、しかも、耐熱性ローラ230の内周面とブシュ220の外周面との間の摺接騒音を低減して静粛なチェーン稼動環境を確保することができる。
【0030】
スリーブ状スペーサ260が内プレート210に向けてフランジ261aを突出させるとともに耐熱性ローラ230とブシュ220との間に遊嵌する左右一対のフランジ付リング部材261,261から構成されていることにより、フランジ付リング部材261のフランジ261aが、チェーン稼働時に耐熱性ローラ230のローラ端面と内プレート210の内側面との摺動接触を完全に回避するとともに耐熱性ローラ230をフランジ付リング部材261上で確実に位置決めしてチェーン幅方向にスキュー、揺動、若しくは、偏在することを完全に阻止し、さらに、内プレート210の内側面に対するスリーブ状スペーサ261の接触面圧を低減してフランジ付リング部材261自体の摩損を抑制して耐熱性ローラ230のローラ端面と内プレート210の内側面との長期的な隔離機能を発揮させることができる。
【0031】
さらに、左右一対のフランジ付リング部材261,261が耐熱性ローラ230とブシュ220との間に遊嵌していることにより、チェーン組み立て作業やチェーン切り継ぎなどの分解組み付け作業を簡便に達成でき、また、耐熱作業環境下において耐熱性ローラ230やブシュ220との熱膨張率差を吸収して円滑な摺動接触を維持でき、しかも、左右一対のフランジ付リング部材261,261が耐熱性ローラ230との間で生じるスリップに起因して耐熱性ローラ230よりも遅い回転速度でブシュ220の周りを回転するので、内プレート210の内側面との摺動磨耗をより一段と低減して優れた耐久性を発揮することができるなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの概要図。
【図2】図1に示す耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの一部断面図とその要部拡大図。
【図3】本発明の第2実施例である耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの概要図。
【図4】図2に示す耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンの一部断面図とその要部拡大図。
【符号の説明】
【0033】
100,200 ・・・ 耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン
110,210 ・・・ 内プレート
111,211 ・・・ ブシュ孔
120,220 ・・・ ブシュ
130,230 ・・・ 耐熱性ローラ
140,240 ・・・ 連結ピン
150,250 ・・・ 外プレート
151,251 ・・・ ピン孔
160,260 ・・・ スリーブ状スペーサ
261 ・・・ リング部材
261a ・・・ フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対で離間配置された内プレートと該内プレートのブシュ孔に圧入嵌合されたブシュと該ブシュに回転自在に外嵌された耐熱性ローラと前記ブシュ内に回転自在に挿通された連結ピンと該連結ピンの両端をピン孔に圧入嵌合して前記内プレートをチェーン長手方向に連結する左右一対で離間配置された外プレートとを備えた耐磨耗耐熱性コンベヤチェーンにおいて、
前記耐熱性ローラのローラ端面から左右一対の内プレートに向けて突出して前記耐熱性ローラのローラ端面と内プレートの内側面との摺接を回避する耐磨耗耐熱性のスリーブ状スペーサが、前記耐熱性ローラとブシュとの間に同芯状に設けられていることを特徴とする耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン。
【請求項2】
前記スリーブ状スペーサが、前記耐熱性ローラの内周面側に一体に固着されていることを特徴とする請求項1記載の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン。
【請求項3】
前記スリーブ状スペーサが、前記内プレートに向けてフランジを突出させるとともに前記耐熱性ローラとブシュとの間に遊嵌する左右一対のフランジ付リング部材から構成されていることを特徴とする請求項1記載の耐磨耗耐熱性コンベヤチェーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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