耐震ロック装置の取付構造
【課題】常時、耐震ロック装置が正常に作動する耐震ロック装置の取付構造を提供する。
【解決手段】ウォールキャビネット3は、天板31、左右一対の側板、底板33、背板34及び2枚の中仕切板35、35からなる本体部3Aと、この本体部3Aの前面開口部を閉塞する開閉可能な3枚の扉3Bとから構成されており、2枚の中仕切板35、35によって仕切られた3つの収納空間には、それぞれ2枚の棚板36、36が設置されている。耐震ロック装置1を構成している係合部材1Bは、従来と同様に、扉3Bにおける裏面上部に取り付けられているが、装置本体1Aは、従来のように、天板31の下面に取り付けられるのではなく、中仕切板35の上部前面側に、L字状の取付金具51を介して、取り付けられている。
【解決手段】ウォールキャビネット3は、天板31、左右一対の側板、底板33、背板34及び2枚の中仕切板35、35からなる本体部3Aと、この本体部3Aの前面開口部を閉塞する開閉可能な3枚の扉3Bとから構成されており、2枚の中仕切板35、35によって仕切られた3つの収納空間には、それぞれ2枚の棚板36、36が設置されている。耐震ロック装置1を構成している係合部材1Bは、従来と同様に、扉3Bにおける裏面上部に取り付けられているが、装置本体1Aは、従来のように、天板31の下面に取り付けられるのではなく、中仕切板35の上部前面側に、L字状の取付金具51を介して、取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震が発生したときに、キャビネットの扉が開くのを阻止する耐震ロック装置のキャビネットへの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の耐震ロック装置は、図9及び図10に示すように、通常、キャビネット2の本体部2Aに取り付けられる装置本体1Aと、キャビネット2の扉2Bに取り付けられる係合部材1Bとから構成されており、装置本体1Aは、本体部2Aの天板21の下面に固定されるのが一般的である。
【0003】
前記装置本体1Aは、図11(a)、(b)及び図12(a)〜(c)に示すように、ケース本体12の上端開口部が蓋13によって閉塞されるケース11と、ケース本体12の底面に形成された挿通穴12aに出没自在に挿通されるロックピン14と、このロックピン14の上端に連設されたフランジ15と、ケース11内に収容された3個の鋼球16とを備えており、3個の鋼球16は、地震に伴うキャビネット2の揺れによって、フランジ15上に転動することで、ロックピン14の上昇を規制するようになっている。
【0004】
ケース本体12には、フランジ15の周囲に3個の鋼球16をそれぞれ退避させる退避スペースが3箇所設けられており、これらの退避スペース及びフランジ15を取り囲む仕切体12bが一体成形されている。
【0005】
ケース本体12の上端開口部を閉塞する蓋13の下面には、フランジ15に対応する部分に、ケース本体12の各退避スペースに退避している鋼球16をフランジ15上に案内する、突条からなるガイド体13aが一体成形されており、このガイド体13aによって、各鋼球16のフランジ15上への進入スペースが完全に区画されている。
【0006】
フランジ15の上面は、中心から周縁に向かって下がり傾斜になっており、地震に伴うキャビネット2の揺れによってフランジ15上に移動した鋼球16は、地震の揺れがなくなると、ガイド体13aに案内されながら、自然にフランジ15の周縁側に転動し、待機スペースに退避することになる。
【0007】
従って、キャビネット2の本体部2Aに取り付けられた装置本体1Aは、通常、鋼球16がケース本体12の各退避スペースに退避した状態に保持されるように、また、地震の揺れがなくなると、鋼球16がフランジ15の傾斜した上面を周縁側に転動して退避スペースに戻ってくるように、水平性が確保されていなければならない。
【0008】
前記係合部材1Bは、図10に示すように、その先端部に、ケース本体12の挿通穴12aから突出しているロックピン14に当接する当接部17が形成されており、この当接部17は、当接したロックピン14を押し上げることができるように、扉2Bの開閉方向の前後に傾斜した当接面17a、17bを有している。
【0009】
以上のように構成された耐震ロック装置1は、通常、図13(a)〜(c)に示すように、3個の鋼球16がケース本体12の各退避スペースに退避した状態となっているので、ロックピン14の上端に連設されたフランジ15の上方に障害物がなく、ロックピン14が自由に昇降することができる状態になっている。従って、扉2Bを開閉する際は、係合部材1Bの当接部17における傾斜した当接面17a、17bがロックピン14を押し上げながら通過することになるので、ロックピン14が扉2Bの開閉動作の障害になることがなく、扉2Bを自由に開閉することができる。
【0010】
一方、地震の発生に伴ってキャビネット2に揺れが発生すると、図14(a)に示すように、各退避スペースに退避している3個の鋼球16のうち、少なくとも1個の鋼球16がフランジ15上に転動し、ロックピン14の上昇を阻止するので、同図(b)に示すように、扉2Bが開こうとしても、扉2Bに取り付けられている係合部材1Bの当接部17がロックピン14に係止され、扉2Bはほとんど開くことがない。ここで、地震に伴うキャビネット2の揺れが停止すると、同図(c)に示すように、フランジ15上に位置している鋼球16が、フランジ15の傾斜した上面を周縁側に転動し、退避スペースに戻ることになるので、図13(a)〜(c)に示すように、扉2Bを自由に開閉することができる状態となる。
【0011】
【特許文献1】特許第3048357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述したようなキャビネット2には、その天板21の上に物品を載せる場合があるが、そのように天板21の上に物品を載せると、その物品の重量によっては、天板21が撓んでしまうので、上述したように、機能上、水平設置しなければならない耐震ロック装置1の装置本体1Aを天板21の下面に固定していたのでは、装置本体1Aが常に傾いた状態となり、地震が発生していないにも拘わらず、ロック機能が作動し、扉2Bを自由に開閉することができなくなるという問題がある。
【0013】
そこで、この発明の課題は、常時、耐震ロック装置が正常に作動する耐震ロック装置の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、キャビネットの本体部に取り付けられる装置本体と、前記キャビネットの扉に取り付けられる、前記装置本体が係止可能な係合部材とを備え、地震が発生すると、前記装置本体が前記係合部材を係止し、地震が収まると、前記装置本体による前記係合部材の係止を解除するという正常動作を実行させるためには、前記装置本体の水平性を確保しなければならない耐震ロック装置の取付構造であって、前記装置本体を、前記キャビネットの前記本体部を構成している側板及び/または中仕切板に、直接または取付部材を介して水平に取り付けるようにしたことを特徴とする耐震ロック装置の取付構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1にかかる発明の耐震ロック装置の取付構造では、耐震ロック装置の装置本体が、キャビネットの本体部を構成している側板及び/または中仕切板に水平に取り付けられているので、本体部の天板上に重量物が載置されることによって天板が撓んだとしても、側板や中仕切板は傾きにくく、耐震ロック装置の装置本体が水平状態に保持されるので、耐震ロック装置が正常に作動することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3は、耐震ロック装置を取り付けたウォールキャビネット3を示している。なお、このウォールキャビネット3では、背景技術の欄で説明したものと同一の耐震ロック装置1を使用しているので、耐震ロック装置については同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
このウォールキャビネット3は、同図に示すように、天板31、左右一対の側板32、32、底板33、背板34及び2枚の中仕切板35、35からなる本体部3Aと、この本体部3Aの前面開口部を閉塞する開閉可能な3枚の扉3Bとから構成されており、2枚の中仕切板35、35によって仕切られた3つの収納空間には、それぞれ2枚の棚板36、36が設置されている。
【0018】
耐震ロック装置1を構成している係合部材1Bは、従来と同様に、扉3Bにおける裏面上部に取り付けられているが、装置本体1Aは、従来のように、天板31の下面に取り付けられるのではなく、図1〜図4に示すように、中仕切板35の上部前面側に、L字状の取付金具51を介して、取り付けられている。
【0019】
以上のように、このウォールキャビネット3では、耐震ロック装置1の装置本体1Aが、取付金具51を介して、中仕切板35に取り付けられているので、本体部3Aの天板31上に重量物が載置されることによって天板31が撓んだとしても、側板32や中仕切板35はほとんど傾くことがなく、耐震ロック装置1の装置本体1Aが水平状態に保持されるので、耐震ロック装置1が正常に作動することになる。
【0020】
図5〜図7は、耐震ロック装置を取り付けたベースキャビネット4を示している。なお、このベースキャビネット4についても、背景技術の欄で説明したものと同一の耐震ロック装置1を使用しているので、耐震ロック装置については同一符号を付してその説明を省略する。
【0021】
このベースキャビネット4は、同図に示すように、上面開口部及び前面開口部を有する本体部4Aと、この本体部4Aの前面開口部の右側領域を開閉する扉4B及び前面開口部の左側領域に差し込まれる上下2段の引き出し4C、4Dとから構成されており、本体部4Aの上面開口部にはシンクを有するカウンター(図示せず)が固定設置されるようになっている。
【0022】
本体部4Aは、左右一対の側板41、41と、側板41、41を背面側で連結する背板42と、側板41、41の上部を前面側で連結する戸当り板43と、引き出し4C、4Dを収容する左側収納部と扉4Bによって開閉される右側収納部とを区画する中仕切板44とを備えており、右側収納部には、蹴込板45と、蹴込板45の上端部に設置された底板46と、収納空間を上下に仕切る棚板47とを備えている。
【0023】
耐震ロック装置1を構成している係合部材1Bは、図7に示すように、扉4Bにおける裏面に取り付けられており、装置本体1Aは、図5〜図8に示すように、略L字状の取付金具52を介して、中仕切板44の上部前面側に取り付けられている。
【0024】
この取付金具52は、図8(a)〜(c)に示すように、耐震ロック装置1の装置本体1Aが固定される装置本体固定片52aと、装置本体固定片52aの一端から垂下した、中仕切板44にビス止めされる取付片52bと、装置本体固定片52aから立ち上がる位置決め片52cとから構成されており、装置本体1Aを装置本体固定片52aに固定した状態では、装置本体1Aの前端側が装置本体固定片52aから一部張り出した状態となっている。
【0025】
従って、耐震ロック装置1の装置本体1Aを装置本体固定片52aに固定し、装置本体固定片52aから張り出した装置本体1Aの前端側の上面を戸当り板43の下端面に押し当てながら、位置決め片52cを戸当り板43の内面側に押し当てると、取付金具52が上下方向及び前後方向に位置決めされるので、このように取付金具52を位置決めした状態で、取付片52bを中仕切板44にビス止めすることによって、耐震ロック装置1の装置本体1Aを中仕切板44の所定位置に効率よく取り付けることができる。
【0026】
以上のように、このベースキャビネット4では、耐震ロック装置1の装置本体1Aを、取付金具52を介して、中仕切板44に取り付けるようにしているので、天板のないベースキャビネット4についても、正常に作動するような状態で耐震ロック装置1を取り付けることができる。
【0027】
なお、上述した実施形態では、耐震ロック装置1の装置本体1Aを中仕切板44に取り付けたウォールキャビネット3やベースキャビネット4について説明したが、これに限定されるものではなく、扉の開き勝手によっては、キャビネットの側板に耐震ロック装置1の装置本体1Aを取り付けることによって、同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、上述した各実施形態では、耐震ロック装置1の装置本体1Aを、L字状の取付金具51または略L字状の取付金具52を介して、中仕切板35、44に取り付けているが、取付部材はこういった取付金具51、52に限定されるものではなく、側板や中仕切板に対して耐震ロック装置1の装置本体1Aを水平に取り付けることができるものであれば、種々の形状や材質のものを採用することができる。ただし、装置本体1Aの重量等によって変形しない強度を有していなければならないことはいうまでもない。
【0029】
また、キャビネットの側板や中仕切板に対する取付部材の取付方法は、上述した実施形態のように、ビス止めに限定されるものではなく、接着剤や両面粘着テープ等を用いて固着することも可能である。
【0030】
また、上述した実施形態では、取付金具51、52といった取付部材を介して、耐震ロック装置1の装置本体1Aをキャビネット3、4の中仕切板35、44に取り付けているが、これに限定されるものではなく、例えば、耐震ロック装置の装置本体をキャビネットの側板や中仕切板に直接取り付けることができるのであれば、あえて取付部材を使用する必要はない。
【0031】
また、本発明は、上述したような耐震ロック装置1に限定されるものではなく、装置本体をキャビネットに対して水平に設置しなければならない種々の耐震ロック装置に対して本発明を適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明にかかる耐震ロック装置の取付構造を採用しているウォールキャビネットの一実施形態を示す正面図である。
【図2】同上のウォールキャビネットを示す平面図である。
【図3】図1のX−X線に沿った断面図である。
【図4】同上のウォールキャビネットにおける耐震ロック装置の装置本体の取付状態を示す詳細図である。
【図5】この発明にかかる耐震ロック装置の取付構造を採用しているベースキャビネットの一実施形態を示す正面図である。
【図6】同上のベースキャビネットを示す平面図である。
【図7】図5のY−Y線に沿った断面図である。
【図8】(a)〜(c)は同上のベースキャビネットにおける耐震ロック装置の装置本体の取付状態を示す詳細図である。
【図9】(a)は従来の耐震ロック装置の取付構造を採用しているウォールキャビネットを示す平面図、(b)は同上のウォールキャビネットを示す正面図、(c)は同上のウォールキャビネットを示す縦断面図である。
【図10】同上の耐震ロック装置の取付状態を示す側面図である。
【図11】(a)は同上の耐震ロック装置における装置本体を示す底面図、(b)は同上の装置本体を示す正面図である。
【図12】(a)は同上の装置本体におけるケースの蓋を取り外した状態を示す平面図、(b)は同上の装置本体を示す断面図、(c)は同上の蓋の下面を示す平面図である。
【図13】(a)〜(c)は同上の耐震ロック装置の通常時の動作を示す動作説明図である。
【図14】(a)〜(c)は同上の耐震ロック装置の地震発生時の動作を示す動作説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 耐震ロック装置
1A 装置本体
1B 係合部材
3 ウォールキャビネット
3A 本体部
3B 扉
4 ベースキャビネット
4A 本体部
4B 扉
31 天板
32 側板
33 底板
34 背板
35 中仕切板
36 棚板
41 側板
42 背板
43 戸当り板
44 中仕切板
45 蹴込板
46 底板
47 棚板
51、52 取付金具
52a 装置本体固定片
52b 取付片
52c 位置決め片
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震が発生したときに、キャビネットの扉が開くのを阻止する耐震ロック装置のキャビネットへの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の耐震ロック装置は、図9及び図10に示すように、通常、キャビネット2の本体部2Aに取り付けられる装置本体1Aと、キャビネット2の扉2Bに取り付けられる係合部材1Bとから構成されており、装置本体1Aは、本体部2Aの天板21の下面に固定されるのが一般的である。
【0003】
前記装置本体1Aは、図11(a)、(b)及び図12(a)〜(c)に示すように、ケース本体12の上端開口部が蓋13によって閉塞されるケース11と、ケース本体12の底面に形成された挿通穴12aに出没自在に挿通されるロックピン14と、このロックピン14の上端に連設されたフランジ15と、ケース11内に収容された3個の鋼球16とを備えており、3個の鋼球16は、地震に伴うキャビネット2の揺れによって、フランジ15上に転動することで、ロックピン14の上昇を規制するようになっている。
【0004】
ケース本体12には、フランジ15の周囲に3個の鋼球16をそれぞれ退避させる退避スペースが3箇所設けられており、これらの退避スペース及びフランジ15を取り囲む仕切体12bが一体成形されている。
【0005】
ケース本体12の上端開口部を閉塞する蓋13の下面には、フランジ15に対応する部分に、ケース本体12の各退避スペースに退避している鋼球16をフランジ15上に案内する、突条からなるガイド体13aが一体成形されており、このガイド体13aによって、各鋼球16のフランジ15上への進入スペースが完全に区画されている。
【0006】
フランジ15の上面は、中心から周縁に向かって下がり傾斜になっており、地震に伴うキャビネット2の揺れによってフランジ15上に移動した鋼球16は、地震の揺れがなくなると、ガイド体13aに案内されながら、自然にフランジ15の周縁側に転動し、待機スペースに退避することになる。
【0007】
従って、キャビネット2の本体部2Aに取り付けられた装置本体1Aは、通常、鋼球16がケース本体12の各退避スペースに退避した状態に保持されるように、また、地震の揺れがなくなると、鋼球16がフランジ15の傾斜した上面を周縁側に転動して退避スペースに戻ってくるように、水平性が確保されていなければならない。
【0008】
前記係合部材1Bは、図10に示すように、その先端部に、ケース本体12の挿通穴12aから突出しているロックピン14に当接する当接部17が形成されており、この当接部17は、当接したロックピン14を押し上げることができるように、扉2Bの開閉方向の前後に傾斜した当接面17a、17bを有している。
【0009】
以上のように構成された耐震ロック装置1は、通常、図13(a)〜(c)に示すように、3個の鋼球16がケース本体12の各退避スペースに退避した状態となっているので、ロックピン14の上端に連設されたフランジ15の上方に障害物がなく、ロックピン14が自由に昇降することができる状態になっている。従って、扉2Bを開閉する際は、係合部材1Bの当接部17における傾斜した当接面17a、17bがロックピン14を押し上げながら通過することになるので、ロックピン14が扉2Bの開閉動作の障害になることがなく、扉2Bを自由に開閉することができる。
【0010】
一方、地震の発生に伴ってキャビネット2に揺れが発生すると、図14(a)に示すように、各退避スペースに退避している3個の鋼球16のうち、少なくとも1個の鋼球16がフランジ15上に転動し、ロックピン14の上昇を阻止するので、同図(b)に示すように、扉2Bが開こうとしても、扉2Bに取り付けられている係合部材1Bの当接部17がロックピン14に係止され、扉2Bはほとんど開くことがない。ここで、地震に伴うキャビネット2の揺れが停止すると、同図(c)に示すように、フランジ15上に位置している鋼球16が、フランジ15の傾斜した上面を周縁側に転動し、退避スペースに戻ることになるので、図13(a)〜(c)に示すように、扉2Bを自由に開閉することができる状態となる。
【0011】
【特許文献1】特許第3048357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上述したようなキャビネット2には、その天板21の上に物品を載せる場合があるが、そのように天板21の上に物品を載せると、その物品の重量によっては、天板21が撓んでしまうので、上述したように、機能上、水平設置しなければならない耐震ロック装置1の装置本体1Aを天板21の下面に固定していたのでは、装置本体1Aが常に傾いた状態となり、地震が発生していないにも拘わらず、ロック機能が作動し、扉2Bを自由に開閉することができなくなるという問題がある。
【0013】
そこで、この発明の課題は、常時、耐震ロック装置が正常に作動する耐震ロック装置の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、請求項1にかかる発明は、キャビネットの本体部に取り付けられる装置本体と、前記キャビネットの扉に取り付けられる、前記装置本体が係止可能な係合部材とを備え、地震が発生すると、前記装置本体が前記係合部材を係止し、地震が収まると、前記装置本体による前記係合部材の係止を解除するという正常動作を実行させるためには、前記装置本体の水平性を確保しなければならない耐震ロック装置の取付構造であって、前記装置本体を、前記キャビネットの前記本体部を構成している側板及び/または中仕切板に、直接または取付部材を介して水平に取り付けるようにしたことを特徴とする耐震ロック装置の取付構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、請求項1にかかる発明の耐震ロック装置の取付構造では、耐震ロック装置の装置本体が、キャビネットの本体部を構成している側板及び/または中仕切板に水平に取り付けられているので、本体部の天板上に重量物が載置されることによって天板が撓んだとしても、側板や中仕切板は傾きにくく、耐震ロック装置の装置本体が水平状態に保持されるので、耐震ロック装置が正常に作動することになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3は、耐震ロック装置を取り付けたウォールキャビネット3を示している。なお、このウォールキャビネット3では、背景技術の欄で説明したものと同一の耐震ロック装置1を使用しているので、耐震ロック装置については同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
このウォールキャビネット3は、同図に示すように、天板31、左右一対の側板32、32、底板33、背板34及び2枚の中仕切板35、35からなる本体部3Aと、この本体部3Aの前面開口部を閉塞する開閉可能な3枚の扉3Bとから構成されており、2枚の中仕切板35、35によって仕切られた3つの収納空間には、それぞれ2枚の棚板36、36が設置されている。
【0018】
耐震ロック装置1を構成している係合部材1Bは、従来と同様に、扉3Bにおける裏面上部に取り付けられているが、装置本体1Aは、従来のように、天板31の下面に取り付けられるのではなく、図1〜図4に示すように、中仕切板35の上部前面側に、L字状の取付金具51を介して、取り付けられている。
【0019】
以上のように、このウォールキャビネット3では、耐震ロック装置1の装置本体1Aが、取付金具51を介して、中仕切板35に取り付けられているので、本体部3Aの天板31上に重量物が載置されることによって天板31が撓んだとしても、側板32や中仕切板35はほとんど傾くことがなく、耐震ロック装置1の装置本体1Aが水平状態に保持されるので、耐震ロック装置1が正常に作動することになる。
【0020】
図5〜図7は、耐震ロック装置を取り付けたベースキャビネット4を示している。なお、このベースキャビネット4についても、背景技術の欄で説明したものと同一の耐震ロック装置1を使用しているので、耐震ロック装置については同一符号を付してその説明を省略する。
【0021】
このベースキャビネット4は、同図に示すように、上面開口部及び前面開口部を有する本体部4Aと、この本体部4Aの前面開口部の右側領域を開閉する扉4B及び前面開口部の左側領域に差し込まれる上下2段の引き出し4C、4Dとから構成されており、本体部4Aの上面開口部にはシンクを有するカウンター(図示せず)が固定設置されるようになっている。
【0022】
本体部4Aは、左右一対の側板41、41と、側板41、41を背面側で連結する背板42と、側板41、41の上部を前面側で連結する戸当り板43と、引き出し4C、4Dを収容する左側収納部と扉4Bによって開閉される右側収納部とを区画する中仕切板44とを備えており、右側収納部には、蹴込板45と、蹴込板45の上端部に設置された底板46と、収納空間を上下に仕切る棚板47とを備えている。
【0023】
耐震ロック装置1を構成している係合部材1Bは、図7に示すように、扉4Bにおける裏面に取り付けられており、装置本体1Aは、図5〜図8に示すように、略L字状の取付金具52を介して、中仕切板44の上部前面側に取り付けられている。
【0024】
この取付金具52は、図8(a)〜(c)に示すように、耐震ロック装置1の装置本体1Aが固定される装置本体固定片52aと、装置本体固定片52aの一端から垂下した、中仕切板44にビス止めされる取付片52bと、装置本体固定片52aから立ち上がる位置決め片52cとから構成されており、装置本体1Aを装置本体固定片52aに固定した状態では、装置本体1Aの前端側が装置本体固定片52aから一部張り出した状態となっている。
【0025】
従って、耐震ロック装置1の装置本体1Aを装置本体固定片52aに固定し、装置本体固定片52aから張り出した装置本体1Aの前端側の上面を戸当り板43の下端面に押し当てながら、位置決め片52cを戸当り板43の内面側に押し当てると、取付金具52が上下方向及び前後方向に位置決めされるので、このように取付金具52を位置決めした状態で、取付片52bを中仕切板44にビス止めすることによって、耐震ロック装置1の装置本体1Aを中仕切板44の所定位置に効率よく取り付けることができる。
【0026】
以上のように、このベースキャビネット4では、耐震ロック装置1の装置本体1Aを、取付金具52を介して、中仕切板44に取り付けるようにしているので、天板のないベースキャビネット4についても、正常に作動するような状態で耐震ロック装置1を取り付けることができる。
【0027】
なお、上述した実施形態では、耐震ロック装置1の装置本体1Aを中仕切板44に取り付けたウォールキャビネット3やベースキャビネット4について説明したが、これに限定されるものではなく、扉の開き勝手によっては、キャビネットの側板に耐震ロック装置1の装置本体1Aを取り付けることによって、同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、上述した各実施形態では、耐震ロック装置1の装置本体1Aを、L字状の取付金具51または略L字状の取付金具52を介して、中仕切板35、44に取り付けているが、取付部材はこういった取付金具51、52に限定されるものではなく、側板や中仕切板に対して耐震ロック装置1の装置本体1Aを水平に取り付けることができるものであれば、種々の形状や材質のものを採用することができる。ただし、装置本体1Aの重量等によって変形しない強度を有していなければならないことはいうまでもない。
【0029】
また、キャビネットの側板や中仕切板に対する取付部材の取付方法は、上述した実施形態のように、ビス止めに限定されるものではなく、接着剤や両面粘着テープ等を用いて固着することも可能である。
【0030】
また、上述した実施形態では、取付金具51、52といった取付部材を介して、耐震ロック装置1の装置本体1Aをキャビネット3、4の中仕切板35、44に取り付けているが、これに限定されるものではなく、例えば、耐震ロック装置の装置本体をキャビネットの側板や中仕切板に直接取り付けることができるのであれば、あえて取付部材を使用する必要はない。
【0031】
また、本発明は、上述したような耐震ロック装置1に限定されるものではなく、装置本体をキャビネットに対して水平に設置しなければならない種々の耐震ロック装置に対して本発明を適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明にかかる耐震ロック装置の取付構造を採用しているウォールキャビネットの一実施形態を示す正面図である。
【図2】同上のウォールキャビネットを示す平面図である。
【図3】図1のX−X線に沿った断面図である。
【図4】同上のウォールキャビネットにおける耐震ロック装置の装置本体の取付状態を示す詳細図である。
【図5】この発明にかかる耐震ロック装置の取付構造を採用しているベースキャビネットの一実施形態を示す正面図である。
【図6】同上のベースキャビネットを示す平面図である。
【図7】図5のY−Y線に沿った断面図である。
【図8】(a)〜(c)は同上のベースキャビネットにおける耐震ロック装置の装置本体の取付状態を示す詳細図である。
【図9】(a)は従来の耐震ロック装置の取付構造を採用しているウォールキャビネットを示す平面図、(b)は同上のウォールキャビネットを示す正面図、(c)は同上のウォールキャビネットを示す縦断面図である。
【図10】同上の耐震ロック装置の取付状態を示す側面図である。
【図11】(a)は同上の耐震ロック装置における装置本体を示す底面図、(b)は同上の装置本体を示す正面図である。
【図12】(a)は同上の装置本体におけるケースの蓋を取り外した状態を示す平面図、(b)は同上の装置本体を示す断面図、(c)は同上の蓋の下面を示す平面図である。
【図13】(a)〜(c)は同上の耐震ロック装置の通常時の動作を示す動作説明図である。
【図14】(a)〜(c)は同上の耐震ロック装置の地震発生時の動作を示す動作説明図である。
【符号の説明】
【0033】
1 耐震ロック装置
1A 装置本体
1B 係合部材
3 ウォールキャビネット
3A 本体部
3B 扉
4 ベースキャビネット
4A 本体部
4B 扉
31 天板
32 側板
33 底板
34 背板
35 中仕切板
36 棚板
41 側板
42 背板
43 戸当り板
44 中仕切板
45 蹴込板
46 底板
47 棚板
51、52 取付金具
52a 装置本体固定片
52b 取付片
52c 位置決め片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの本体部に取り付けられる装置本体と、前記キャビネットの扉に取り付けられる、前記装置本体が係止可能な係合部材とを備え、地震が発生すると、前記装置本体が前記係合部材を係止し、地震が収まると、前記装置本体による前記係合部材の係止を解除するという正常動作を実行させるためには、前記装置本体の水平性を確保しなければならない耐震ロック装置の取付構造であって、
前記装置本体を、前記キャビネットの前記本体部を構成している側板及び/または中仕切板に、直接または取付部材を介して水平に取り付けるようにしたことを特徴とする耐震ロック装置の取付構造。
【請求項1】
キャビネットの本体部に取り付けられる装置本体と、前記キャビネットの扉に取り付けられる、前記装置本体が係止可能な係合部材とを備え、地震が発生すると、前記装置本体が前記係合部材を係止し、地震が収まると、前記装置本体による前記係合部材の係止を解除するという正常動作を実行させるためには、前記装置本体の水平性を確保しなければならない耐震ロック装置の取付構造であって、
前記装置本体を、前記キャビネットの前記本体部を構成している側板及び/または中仕切板に、直接または取付部材を介して水平に取り付けるようにしたことを特徴とする耐震ロック装置の取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−2577(P2007−2577A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185688(P2005−185688)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
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