説明

耐震性クリップ

クリップが格子ティーと自動位置合わせする能力を向上させつつ、高強度、剛性、汎用性および容易な組み立てを提供する吊り天井格子ティー用の耐震性クリップ。クリップは、クリップ本体と、それが組み立てられるティーとの位置合わせを確立して維持するのに役立つ突き出たタブを含み、これによって、クリップがティーに対して上方に傾倒する傾向が排除されるかまたは大幅に低減される。位置合わせタブは、それが組み立てられるときに、クリップをティーにスナップ係合することによってまたはティーをクリップ内に縦方向にスライドさせることによってクリップとティーとを最初に位置合わせするのに役立つ。クリップがティーにスナップ係合されるときにまたはティーとクリップとが共に縦方向に滑るときに、タブは組立力のレベルを過度に増大しないように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り天井格子構造用の付属品、特に、格子部材を安定化するための耐震性クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,046,294号明細書、米国特許第7,293,393号明細書、および米国特許第7,552,567号明細書は、吊り天井格子の周囲の格子ティー部材の端部の移動を制限するために使用される耐震性クリップの例である。経済的である一方で、汎用かつ設置が容易であるとともに構造が頑丈である耐震性クリップの改良が依然として必要である。特に、設置者の好みまたは必要性を満たすために、クリップを格子ティーにスナップ係合するとともに格子ティー端部の上に滑らせることができるべきである。典型的な作業では、クリップおよびティーの組み立てを何度も繰り返すことが必要であるので、個々のクリップの設置は、高い組立力または複雑な操作を必要とすべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、クリップが格子ティーと自動位置合わせする能力を向上させつつ、高強度、剛性、汎用性および容易な組み立てを提供する吊り天井格子ティー用の耐震性クリップを提供する。開示されるクリップは、クリップ本体と、それが組み立てられるティーとの位置合わせを確立して維持するのに役立つ突き出たタブを含む。より具体的には、クリップがティーに対して上方に傾倒する傾向が排除されるかまたは大幅に低減される。関連の追加の利益として、位置合わせタブは、それが組み立てられるときに、クリップをティーにスナップ係合することによってまたはティーをクリップ内に縦方向にスライドさせることによってクリップとティーとを最初に位置合わせするのに役立つ。クリップがティーにスナップ係合されるときにまたはティーとクリップとがともに縦方向に滑るときに、タブは組立力のレベルを過度に増大しないように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】格子ティーおよび壁用アングルの端部に設置された本発明の耐震性クリップの斜視図である。
【図2】耐震性クリップ、格子ティーおよび壁用アングルアセンブリの側面立面図である。
【図3】耐震性クリップの正面立面図である。
【図4】耐震性クリップの右側面立面図である。
【図5】耐震性クリップの左側面立面図である。
【図6】耐震性クリップの平面図である。
【図7】従来技術の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
次に、図面を参照すると、耐震性クリップは、格子ティー11を壁用アングル12に結合または固着するために使用される。図示した壁用アングル12は、典型的に10フィートまたは12フィート(またはメートル法換算値)の長さのロール成形されたシートメタルであり、かつ通常7/8インチ(またはメートル法換算値)の幅の垂直脚部13を有する従来の構造である。脚部13の自由縁部は強化ヘム14を形成するために折り返される。従来のように、壁用アングル12の垂直脚部13は、天井高さにおいて、ねじ、釘、ステープル等によって壁16に取り付けられる。
【0006】
図示した格子ティー11はメインティーまたはクロスティーであることができ、これらの用語は当業界で共通に理解される。長方形天井パネルを支持するための吊り格子を製造するために、比較的長いメインティーが、より短いクロスティーと組み立てられる。従来のティー11は、下部フランジ17と、垂直ステムまたはウェブ18と、通常長方形でありかつ名目上1/4インチ(またはメートル法換算値)の幅である上部補強または強化中空バルブ19とを有する。
【0007】
耐震性クリップ10は、0.028インチの溶融亜鉛めっき(H.D.G.)鋼板等の適切な金属から製造された単一の打ち抜き部であることが好ましい。耐震性クリップ10の形状はその設置向きに関連して示されている。
【0008】
図6に示した平面図では、クリップ10は略T字形の構成を有する。クリップ10は、ティー11への設置時にティーのウェブ18の平面と一致する中央垂直面を中心に本質的に対称である。クリップ10は、中央対称面に直角でありかつそこから反対方向に延びる一対の同一平面の翼21を含む。図3に示した立面図では、翼21は略長方形である。フックとして役立つタブ22は翼21の中央領域から突き出されるかまたは打ち抜かれる。タブ22は、翼21の上部領域23で翼21に接続されたままであり、略垂直な平面に位置するが、翼の平面の後方に僅かに離間して翼の平面から約5度拡がることが好ましい。クリップ10を壁16に固定するために、翼21の遠位上部コーナーには、ねじまたは釘を受容するための穴24がある。翼の遠位下部コーナーに、同様の穴26があり、任意選択的に、壁16の平面と位置合わせしてクリップを保持しかつヘム14の厚さを考慮して天井を張るのを助ける同心の小さな円形エンボス部またはスタンドオフがある。
【0009】
平面図で見てクリップのT字形のステム部を形成するクリップ10の中央部またはサドル31は、格子ティー11の端部のバルブ19およびウェブ18に嵌合するように調整される。サドル31は二重壁構造であり、32、33で示した壁は平行な垂直面にある。壁32、33は上部ウェブ34によって離間している。ウェブ34は、壁32、33を格子ティーバルブ19の側面に密接に嵌合させるように寸法付けられることが好ましい。
【0010】
格子ティーバルブ19の側面のバルブ係合領域の下方に、サドル壁32、33が格子ティー11のウェブ18から離間するように配置される。細長い水平スロットまたは開口部36は、スロットが互いに反対側になるように各サドル壁32、33に形成される。各壁32、33のスロット36の上方には一対の穴37がある。各壁の前端または前縁38に隣接して、台形状のタブ39が、それぞれの壁の主要本体との取付部のラインまたはベース41から内側に曲がる。各タブ39はその自由な状態において、バルブ19の下に延びかつティーウェブ18から僅かに離間するティーと組み立てられたときに構成される上部の自由または遠位水平縁部42を有する。
【0011】
右側サドル壁32にタブ43が打ち抜かれるかまたは突き出される。タブ43は、壁自体との取付部のラインまたはベース44から内側方向および上方に曲げられる。タブプロファイルは、そのベース44から後方および上方に曲がる前縁46と、上部水平自由縁部47と、タブプロファイルのベースに直角な後縁48とを有する多角形のタブプロファイルである。理想的には、タブ43および先導タブ39が共通の平面に位置し、それらのそれぞれのベース41、44および上縁42、47が共通のラインに沿って位置するように、タブ43は先導タブ39と同様である。
【0012】
設置者の選択により、クリップ10をバルブ19の頂部にスナップ係合することによってまたはティーおよびクリップを互いにティーの長手方向にスライドさせることによって、クリップ10を格子ティー11の端部に組み立てることができる。建築基準が、壁用アングル12の垂直脚部13からこの寸法よりも近くないように格子ティーを設置することを要求している場合、ライン51が左側サドル壁33にエンボス加工され、翼21の平面から3/4インチの距離をマークして、設置者用のゲージとして使用される。フックまたはタブ22が脚部の後方にありまた主要クリップ本体が脚部の前方にある状態で、クリップ10を垂直脚部13の上に下ろすことによって、クリップ10が壁用アングルに組み立てられる。このことは、クリップがティーと組み立てられる前または後に行うことができる。
【0013】
サドル壁32、33の前部または先導タブ39は、ティーがクリップに長手方向に挿入されるティーへのクリップの組み立てを容易にする。タブ39の前縁は、相対長手方向運動を妨げることなく格子ティーウェブ18をクリップの中心に向かって案内する。タブ39の自由縁部42は、ウェブ18の厚さよりも大きな限定距離だけ離間しており、その結果、バルブ19はサドル31に係合する前に略中心にある。
【0014】
突き出たタブ43は、クリップが上方に過度に傾斜することが抑制されるようにティー11とクリップ10とを位置合わせするのに役立つ。このことは、補強バルブ19の下面とタブ43の上縁47とを係合する突き出たタブ43によって達成される。突き出たタブ43は、容易な組み立ておよび様々な寸法付けられた補強バルブとの適合性のために、クリップ10とティー11との間のある程度の傾斜を可能にするように調整することができる。クリップを壁用アングル12に位置決めする前にクリップ10が格子ティー11の端部に位置決めされる箇所では、タブまたはフック22が壁に接触して、壁用アングル12の後方に滑ることを防止する程には傾斜が十分に厳しくないように、このような傾斜が制限される。図7を参照すると、従来技術のクリップが格子ティーで自由に傾斜でき、タブの点56を中心に旋回することが示されている。本図では、クリップ翼の下縁が壁用アングル12の上縁に当たり、このような従来技術の設計のフックが壁用アングル12の垂直脚部13の後方に滑ることを防止できることが理解される。本発明の突き出たタブ43はクリップ10のこの過度の傾斜を防止することができ、これによって、壁用アングルへのクリップの迅速な組み立てを容易にする。さらに、地震条件下で、クロスティーが壁用アングルから外側に滑り、重力により、クロスティーが従来技術のクリップアセンブリに対して下に引っ張られるときに、ある損傷が壁用アングルへのクリップの摩擦嵌合の緩みによって生じる可能性があり、クリップの傾斜が生じることがある。従来技術のクリップが過酷な条件下にあると、過度の傾斜が生じ(図7に示したのと同様)、タイルが落下する原因となり得る。本発明の突き出たタブ43はサドル31の下面とタブ43の上縁47との間にバルブ19を押し込み、このようにして、この過度の傾斜を防止する。
【0015】
クリップ10は、それが翼穴24、26のいくつかまたは全てのねじまたは釘により壁用アングルに適切に配置された後、壁16に固定することができる。適用可能な建築基準に応じて、バルブ19の側面に当接する穴37を通して、セルフドリリングねじを補強バルブ19に押し込んで、相対運動に対抗してクリップ10およびティー11をロックすることができる。クリップ10とティー11との間の運動の制限が所望される他の例では、セルフドリリングねじをスロット36の中心に配置してティーウェブ18に押し込むことができる。
【0016】
本開示は、一例として示したものであり、本開示に含まれる教示の公正な範囲から逸脱することなく、多様な変更が細部を追加、変更または削除することによってなされ得ることは明白である。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲が必然的に限定される程度を除き、本開示の特定の細部に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のシートメタル打ち抜き部を備える壁用アングルに吊り天井格子部材の端部を固着するための耐震性クリップであって、前記クリップが、中央サドル部と、前記サドル部の後部から反対方向に延びる一対の取付翼とを有し、前記サドル部が、離間した一対の平行な壁を有し、前記壁および翼が前記壁の間の中途の仮想面を中心に対称であり、前記翼が、前記仮想面に直角な共通の平面に位置し、前記翼の各々が、前記壁用アングルの垂直脚部を把持するための前記平面の後方のフックを含み、前記サドル壁が中間ウェブによって接合され、前記壁が前記格子部材の上部補強バルブに設置されたときに前記上部補強バルブを跨ぐことを可能にする距離だけ前記中間ウェブが前記壁を離間させ、前記壁が、前記補強バルブの下面に係合するように適合された前記壁の前端に隣接する一対の反対側タブを有し、前記壁が、前記格子部材の補強バルブに押し込まれるねじを受容するための穴と、前記格子部材のウェブに押し込まれるねじ用の細長いスロットと、前記壁の前記反対側タブから前記後部に離間した前記サドル壁の一方の突き出たタブとを含み、地震条件下でクロスティーが前記壁用アングルから外側に滑って、重力により前記クロスティーがクリップアセンブリに対して下に引っ張られる箇所で、前記クリップが前記格子ティーの端部に設置されるときに上方に過度に傾斜することを抑制するために、前記突き出たタブが配置される耐震性クリップ。
【請求項2】
前記突き出たタブが、前記隣接する反対側タブの上縁の高さに等しい高さに上縁を有する請求項1に記載の耐震性クリップ。
【請求項3】
前記突き出たタブが約3/4インチの距離だけ前記翼の平面から離間している請求項1に記載の耐震性クリップ。
【請求項4】
単一のシートメタル打ち抜き部を備える壁用アングルに吊り天井格子部材の端部を固着するための耐震性クリップであって、前記クリップが、中央サドル部と、前記サドル部の後部から反対方向に延びる一対の取付翼とを有し、前記サドル部が、離間した一対の平行な壁を有し、前記壁および翼が前記壁の間の中途の仮想面を中心に対称であり、前記翼が、前記仮想面に直角な共通の平面に位置し、前記翼の各々が、前記壁用アングルの垂直脚部を把持するための前記平面の後方のフックを含み、前記サドル壁が中間ウェブによって接合され、前記壁が前記格子部材の上部補強バルブに設置されたときに前記上部補強バルブを跨ぐことを可能にする距離だけ前記中間ウェブが前記壁を離間させ、前記壁が、前記補強バルブの下面に係合するように適合された前記壁の前端に隣接する一対の反対側タブを有し、前記壁が、前記格子部材の補強バルブに押し込まれるねじを受容するための穴と、前記格子部材のウェブに押し込まれるねじ用の細長いスロットと、前記壁の前記反対側タブから後部に離間した前記サドル壁の一方の突き出たタブとを含み、前記フックが前記翼の隣接領域によって前記壁用アングルの垂直脚部の上縁に係合することが妨げられる程度に、前記クリップが前記格子ティーの端部に設置されたときに上方に傾斜することを抑制するように、前記突き出たタブが配置され、これによって、前記フックが、前記壁用アングルと、前記壁用アングルが取り付けられる建造壁との間に挿入されることを防止する耐震性クリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−515184(P2013−515184A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546107(P2012−546107)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061225
【国際公開番号】WO2011/087745
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512127109)ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー (6)