説明

耐食性に優れたアルミニウム合金材およびプレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器

【課題】塗装下地処理を設けずに、アルミニウム合金材表面に対して、フッ素樹脂防食塗膜を直接設けた場合にでも、耐食性が優れたアルミニウム合金材および腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部に前記アルミニウム合金材を用いたプレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器を提供する。
【解決手段】腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部を用いたプレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器などに用いるアルミニウム合金材表面に、塗装下地皮膜を設けず、フッ素樹脂塗料皮膜を直接設けるに際し、この合金材を0.2%耐力が150MPa以上であるJIS3000系、5000系、6000系のいずれかから選択されるアルミニウム合金組成とするとともに、この合材表面へのMg濃化量を極力少なくして、塗膜密着の耐久性を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐食性に優れたアルミニウム合金材および、このアルミニウム合金材を腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部に用いた、プレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器などの一過式の熱交換器に関する。以下、アルミニウムをAlとも言う。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム合金は比強度が高く、かつ、熱伝導性が高いために、小型で軽量な熱交換器の材料として汎用されている。アルミニウム合金材を用いた熱交換器としては、家庭用のエアコンや自動車のラジエータなどに用いられるフィンアンドチューブ式の熱交換器が代表的である。これに対して、チタンが使用されている、海水を冷却水とする工業的な一過式の熱交換器に、より経済的なアルミニウム合金を用いることが検討されている。
【0003】
このような海水を冷却水とする伝熱部を有する一過式の熱交換器にはプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器があり、海水環境での使用に際して厳しい腐食環境に曝される。このため、現在は耐食性に優れたチタンが使用されている。したがって、素材としてのアルミニウム合金材の耐食性は高いものの、このような一過式の熱交換器に、チタンの代替として、アルミニウム合金を用いる場合には、更に十分な防食対策が必要になる。
【0004】
通常、この種プレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器のアルミニウム合金材の防食手段としては、陽極酸化皮膜の形成によるものの他に、電気防食、塗料による塗膜形成などの手段が用いられており、また熱交換器に適用する場合には、冷却水中にインヒビターを添加するなどの手段も利用されている。
【0005】
しかし、プレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器は一過式(一過性)であり、冷却水が装置内を通過した後に系外に排出され、冷却水の循環使用が行われないので、インヒビターを利用する防食対策は不適切であり、経済的には、塗膜形成による防食対策が適している。
【0006】
一方で、熱交換器用のアルミニウム合金材に対する塗膜として、無機系、有機系、有機- 無機ハイブリッド系など種々のタイプのものが提案され、実際に利用されている。そのような熱交換器の塗膜形成手段として、例えば、特許文献1、2などが存在する。
【0007】
特許文献1では、本発明が対象とする、海水などを冷媒として使用するプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器ではなく、家庭用のエアコンや自動車のラジエータなどに用いられるフィンアンドチューブ式の熱交換器のアルミニウム合金材に対してではあるが、ポリアニリン塗膜を形成することが開示されている。
【0008】
特許文献2では、特許文献1と同じく、家庭用のエアコンや自動車のラジエータなどに用いられるフィンアンドチューブ式の熱交換器のアルミニウム合金材に対して、ベーマイト処理皮膜や珪酸塩処理皮膜を複合下地として、塗膜を形成し、密着性を向上させることが開示されている。
【0009】
また、非特許文献1には、一過式の熱交換器に対する防食塗膜として三フッ化樹脂が自己修復性を有することが開示されている。
【0010】
更に、特許文献3には、この三フッ化樹脂防食塗膜の改良として、亜鉛、チタン、マンガン、アルミニウム及びニオブから選ばれた1種又は2種上を0.1〜10vol%含有する三フッ化樹脂からなる自己修復性アルミニウム合金防食塗膜が提案されている。これは、海水を冷却媒体として利用する熱交換器にあっては、熱交換器表面が傷つきやすく、一旦傷が入ると海水による激しい腐食作用により傷が急激に拡大する傾向があることへの対策である。即ち、上記金属の粉末を含有する三フッ化樹脂防食塗膜は、塗膜に傷がついても、これを修復する自己修復性を有するとしているものである。
【0011】
【特許文献1】特開2003−88748号公報
【特許文献2】特開2004−42482号公報
【特許文献3】特開2006−169561号公報
【非特許文献1】矢吹彰広、山上広義、大脇武史、足立清美、野一色公二、「アルミニウム合金用防食塗膜の自己修復性能材料と環境研究発表会講演集」3−4(2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記した特許文献1の塗膜では、家庭用のエアコンや自動車のラジエータなどに用いられるフィンアンドチューブ式の熱交換器としての耐食性向上には十分かもしれない。しかし、本発明が対象とする海水使用のプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器では、海水耐食性(海水などの塩水環境下での耐食性、塗膜密着性)が不十分である。
【0013】
これに対して、前記した特許文献3や非特許文献1の三フッ化樹脂防食塗膜は、塗膜自体としては、特許文献1の塗膜や、陽極酸化皮膜や他の塗膜などの防食手段に比して、優れた海水耐食性を有する。しかし、本発明が対象とする海水使用のプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器に用いられた場合に、長期の使用に際してのアルミニウム合金材に対する密着性(密着性の耐久性)が劣化して、信頼性に欠ける、という問題がある。
【0014】
このような、本発明が対象とする海水使用のプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器の、長期の使用に際してのアルミニウム合金材に対する密着性(密着性の耐久性)が劣化する問題は、前記特許文献2のような、家庭用のエアコンや自動車のラジエータなどに用いられる熱交換器を対象にした塗装下地処理でも、同様に生じる。ただ、これらエアコンや自動車のラジエータなどに用いられるフィンアンドチューブ式の熱交換器などは、長くても熱交換器の寿命自体がせいぜい十数年程度であり、要求される耐食性寿命もその程度の比較的短期間である。これに対して、海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器は、工業的に工場内で用いられて、設備自体が大規模で高額になる。このため、熱交換器の寿命や耐食性寿命も数十年以上の半永久的な寿命が求められる。
【0015】
このような長寿命が求められる、海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器の耐食性は、塗膜自体の耐食性以上に、塗膜のアルミニウム合金材に対する密着性が支配的となる。仮に、使用中に塗膜が剥がれた場合には、幾ら塗膜自体の耐食性が良くても、無意味となるからである。言い換えると、長寿命が求められる、海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器の耐海水性などの耐食性とは、塗膜のアルミニウム合金材に対する密着性であると言っても過言ではない。
【0016】
この点、前記特許文献3や非特許文献1のように、塗装下地処理を設けずに、アルミニウム合金材表面に対して、三フッ化樹脂防食塗膜を直接設けた場合にでも、耐海水性が優れていれば、製造工程の短縮化や製造コスト的に有利となる。しかし、このような防食方法では、やはりアルミニウム合金材に対する密着性が劣り、海水使用下での耐食性を実質的には向上できず、実用的ではなかった。
【0017】
上記事情に鑑み、本発明の目的は、塗装下地処理を設けずに、アルミニウム合金材表面に対して、フッ素樹脂防食塗膜を直接設けた場合にでも、フッ素樹脂防食塗膜のアルミニウム合金材に対する密着性(耐食性)が優れた、アルミニウム合金材および海水などの腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部に前記アルミニウム合金材を用いたプレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的を達成するために、本発明の上記耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材の要旨は、塗装下地皮膜を設けずに、乾燥後の膜厚で1〜100μmの平均厚みのフッ素樹脂塗料皮膜を、表面に直接設けたアルミニウム合金材であって、この合金材を、JIS3000系、5000系、6000系のいずれかから選択されるアルミニウム合金組成とするとともに、X線光電子分光分析法により測定される、この合金材表面の深さ方向における最大Mg含有量と、この最大Mg含有量が測定される深さ位置におけるAl含有量との比Mg/Alを0.1以下としたことである。
【0019】
ここで、本発明の用途は、海水を媒体とする熱交換器に限定されるものではなく、腐食性を有する流体(媒体、媒質)、例えばカルシウムイオン、マグネシウムイオンを多量に含む工業用水や、炭酸水素イオン、塩素イオン、硫黄イオン、鉄イオン、ナトリウムイオン、メタケイ酸、硫化水素等を含む地下水等を使用する熱交換器を含む。また、塗膜の耐食性をより向上させるために、前記フッ素樹脂塗料皮膜を構成するフッ素樹脂が三フッ化樹脂であることが好ましい。更に、前記三フッ化樹脂がクロロトリフルオロエチレン/ビニルエーテル共重合体であり、前記フッ素樹脂塗料が、このクロロトリフルオロエチレン/ビニルエーテル共重合体をイソシアネートにて架橋したものであることが好ましい。また、塗膜の密着性を向上させるために、前記フッ素樹脂塗料皮膜が金属粉を含まないことが好ましい。前記アルミニウム合金材は、その用途として、海水など腐食性を有する流体を媒体とするプレートフィン式熱交換器用およびプレート式熱交換器に用いられることが好ましい。また、上記の目的を達成するために、本発明耐食性に優れたプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器の要旨は、上記いずれかの要旨のアルミニウム合金材を、海水など腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部に用いたことである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、塗装下地皮膜を設けない場合の、海水(塩水)などの腐食性を有する上記流体(媒体、媒質)環境下でのフッ素樹脂塗料皮膜(塗膜)のアルミニウム合金材との密着性(耐食性)を向上させるために、特にアルミニウム合金材側表面のMg含有量(組成)を規定することを特徴とする。フッ素樹脂塗料表面との密着性を支配するのは、フッ素樹脂塗料皮膜と接するアルミニウム合金材表面、即ち、アルミニウム合金材表面に形成されているアルミニウム酸化皮膜などである。このアルミニウム合金材表面のMg含有量(濃化量)が海水(塩水)環境下でのフッ素樹脂塗料皮膜(塗膜)のアルミニウム合金材との密着性を支配する。
【0021】
このアルミニウム合金材表面のMg濃化量を、本発明では、アルミニウム合金材表面のMg含有量とAl含有量との比、具体的には、X線光電子分光分析法により測定される際の、この合金材表面の深さ方向における最大Mg含有量と、この最大Mg含有量が測定される深さ位置におけるAl含有量との比と規定して制御する。
【0022】
このX線光電子分光分析法(ESCAあるいはXPS)は、この測定方法の特徴(特性)として、Arなどの不活性ガスによる測定面のスパッタリングを行いながら、深さ(厚み)方向に、各深さ(厚み)位置における元素量(濃度分布)を順次分析していく方法である。X線光電子分光分析法は、その深さ(厚み)方向の空間分解能から、測定領域は、通常、測定対象の表面から始まって、数nmの特定深さ領域にまで及ぶ。これに対して、アルミニウム合金材の酸化皮膜の厚さは、通常は約3〜5nmである。このため、アルミニウム合金材のX線光電子分光分析法の深さ方向の測定領域は、酸化皮膜表面から酸化皮膜の厚み方向全域に亙るとともに、場合によっては、その直下の母材領域にまで及ぶ。したがって、本発明で言うアルミニウム合金材表面とは、このX線光電子分光分析法で分析される深さ領域までを言う。
【0023】
そして、一方では、アルミニウム合金材表面において、Mg、Al、Oなどの深さ(厚み)方向の各含有量は、深さ方向に徐々に減るあるいは増加するように変化し、各深さ(各厚み)位置で異なる濃度分布を必然的に有する。このため、この濃度分布によっては、上記合金材表面の深さ方向において、Mg含有量が最大になる深さ位置は、酸化皮膜中になるとは限らず、その直下の母材領域になる可能性もある。但し、合金材表面に濃化したMgは、濃度分布を有するものの、必然的にX線光電子分光分析法の深さ(厚み)方向の空間分解能の範囲内、言い換えると、必然的に測定対象合金材表面から数nmの特定深さ領域範囲内で、その含有量が最大になる。
【0024】
したがって、このような、合金材表面から深さ(厚み)方向に測定していく、X線光電子分光分析法の特徴と上記測定条件との組み合わせで、本発明で規定するアルミニウム合金材表面のMg濃化量である、Mg含有量とAl含有量との比を再現性よく測定できる。
【0025】
ところで、一般的に、アルミニウム合金材に塗装を施す場合、塗膜の密着性を高めるために塗装下地処理が行われる。これら従来の塗装下地処理としては、クロメート処理、無機リン酸処理、ベーマイト処理などの化学皮膜処理や多孔質陽極酸化処理等が行われている。また、前記した通り、特許文献2では、家庭用のエアコンや自動車のラジエータなどに用いられるフィンアンドチューブ式の熱交換器のアルミニウム合金材に対して、ベーマイト処理皮膜や珪酸塩処理皮膜を複合下地とすることが開示されている。
【0026】
本発明者が知見したところによれば、これら化学皮膜処理や多孔質陽極酸化処理による下地皮膜では、いずれも、海水などの塩水環境下でのフッ素樹脂塗料皮膜のアルミニウム合金材に対する、実用的な密着性(耐食性)向上効果はない。これは、塗装下地処理を行わず、アルミニウム合金材表面に対して、フッ素樹脂塗料皮膜を直接設ける場合の密着性よりも、多少の密着性向上効果があった場合でも、という意味を含む。
【0027】
また、本発明者が知見したところによれば、リン酸処理でも、無機リン酸、リン酸亜鉛などのリン酸塩、他の有機リン酸などのリン酸処理の大部分で、上記他の汎用塗装下地処理と同様に、フッ素樹脂塗料皮膜のアルミニウム合金材に対する、実用的な密着性(耐食性)向上効果はない。三フッ化樹脂防食塗膜のアルミニウム合金材に対する、実用的な密着性(耐食性)向上効果があったのは、有機ホスホン酸下地皮膜のみである。
【0028】
しかし、本発明では、この密着性(耐食性)向上効果がある有機ホスホン酸下地皮膜を含めて、塗膜密着性を高めるための上記一般的な塗装下地処理を設けない。即ち、本発明は、これら塗装下地処理を設けずに、フッ素樹脂塗料皮膜をアルミニウム合金材表面に直接設けた場合にでも、塗膜密着性を高めることができる大きな利点がある。但し、本発明は、フッ素樹脂塗料塗装処理前の、通常のエッチングを伴う洗浄などの前処理は当然施し、これらの前処理まで除くものではない。
【0029】
したがって、本発明によれば、塗装下地処理を設けずとも、通常のエッチングを伴う洗浄などの前処理のみにて、フッ素樹脂塗料皮膜(防食塗膜)のアルミニウム合金材に対する密着性(耐食性)が優れた、アルミニウム合金材およびこれを海水を冷却水とする伝熱部に用いたプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に、本発明の具体的な態様を説明する。
【0031】
(フッ素樹脂塗料皮膜)
フッ素樹脂塗料皮膜の平均厚みは1〜100μmの範囲とする。フッ素樹脂塗料皮膜の平均厚みが薄すぎると、塗膜の耐食性(密着性)が低下し、逆に厚すぎると、アルミニウムが持つ高い熱伝導性を低下させ、結果的に熱交換器の熱交換性能が低下する。また、却って塗膜の耐食性(密着性)が低下する。このため、フッ素樹脂塗料皮膜の平均厚みは上記した範囲とする。
【0032】
フッ素樹脂塗料皮膜の平均厚みの求め方は、アルミニウム合金材上に設け、十分に乾燥させた後のフッ素樹脂塗料皮膜を、50倍程度の光学顕微鏡により、適当な試料箇所10カ所について断面観察して厚みを求め、これを平均化する。
【0033】
なお、本発明では、前記特許文献3のような、亜鉛、チタン、マンガン、アルミニウム、ニオブなどの金属(金属粉)は含まない。これら以外の金属でも、金属(金属粉)を実質的にフッ素樹脂塗膜中に含んだ場合には、塗膜中でこれら金属が酸化して酸化物が生成するために、密着性が劣化する可能性が高い。
【0034】
(フッ素樹脂の種類)
フッ素樹脂塗料(皮膜)に用いるフッ素樹脂は、代表的には、三フッ化樹脂や四フッ化樹脂などがある。しかし、母材アルミニウム合金材との密着性が最も高く、耐食性が最も高い、三フッ化樹脂が好ましい。三フッ化樹脂は、臭気が比較的低い低極性溶剤に溶ける作業性などの点からも好ましい。これら三フッ化樹脂や四フッ化樹脂はモノマー、オリゴマーを有するものを用いることができる。
【0035】
三フッ化樹脂のモノマー、オリゴマーは、エチレン基の4個のH(水素)の内3個をF(フッ素)で置換した三フッ化エチレンを、ビニルエーテル、アクリル、ビニルエステルなどの共重合物と共重合体化させたものである。また、四フッ化樹脂のモノマー、オリゴマーは、エチレン基の4個のH(水素)全部をF(フッ素)で置換した四フッ化エチレンを、ビニルエーテル、アクリル、ビニルエステルなどの共重合物と共重合体化させたものである。
【0036】
三フッ化樹脂には、代表的には、3フッ化タイプのクロロトリフルオロエチレン(CTFE)/ビニルエーテル共重合体、3フッ化タイプのクロロフルオロエチレン/アクリル共重合体などが例示される。
【0037】
(フッ素樹脂塗料)
そして、本発明のフッ素樹脂塗料としては、これらの三フッ化樹脂のモノマー、オリゴマーを、イソシアネートやシロキサンなどの硬化剤により、イソシアネート基(−N=C=O)やシロキサン基で架橋したものである。
【0038】
本発明では、これら三フッ化樹脂のうちでも、クロロトリフルオロエチレン/ビニルエーテル共重合体をイソシアネートやシロキサンなどの硬化剤により架橋したフッ素樹脂塗料が、アルミニウム合金材表面に直接塗装された場合の密着性(耐食性)が最も高い。これは、塗料(塗膜)中のイソシアネート基(-N=C=O)やシロキサン基のアルミニウム合金材表面(特に酸化皮膜表面)との反応性がよいためであると推考される。
【0039】
本発明のフッ素樹脂塗料は、アルミニウム合金材表面への塗液として、三フッ化樹脂のモノマー、オリゴマーの主剤に対して、上記硬化剤を加えて調整する。例を挙げれば、重量比で、主剤10〜15部に対して硬化剤0.1〜3部を混合し、これに必要に応じてシンナーを用いて希釈して塗液とする。
【0040】
(前処理)
アルミニウム合金材には、フッ素樹脂塗料皮膜を密着性良く形成させるための前処理が行われる。前処理としては、アルミニウム合金材表面の単なる汚れの除去だけでなく、アルミニウム合金基板上に形成されている酸化物、水酸化物を一旦除去して、アルミニウム金属表面を露出させる、アルミニウム合金材表面のエッチングを伴う洗浄であることが好ましい。代表的には、アルミニウム合金材を、脱脂剤や洗浄剤によって脱脂洗浄後、カセイソーダなどのアルカリ処理液への浸漬、硝酸などの酸水溶液への浸漬、さらにはイオン交換水によるリンスなどを適宜組み合わせて行う。なお、通常の前処理では、この前処理直後に新たなアルミニウムの酸化皮膜が必然的に形成され、この酸化皮膜に対してフッ素樹脂塗料皮膜が塗装によって形成される。
【0041】
(アルミニウム合金材)
本発明で適用できるアルミニウム合金材は、前提として、プレートフィン式熱交換器用およびプレート式熱交換器として要求される、必要強度を有し、プレートやフィン等に加工や成形しやすく、ロウ付け性、母材の海水など腐食性を有する流体に対する耐食性が良いなどの諸特性を有するアルミニウム合金材を使用する。アルミニウム合金材の形状は、プレートフィン式熱交換器部材形状およびプレート式熱交換器部材形状に合わせて、圧延板、圧延条あるいは押出形材などを適宜使用する。
【0042】
この内、上記必要強度としては、0.2%耐力が150MPa以上であることが必要である。アルミニウム合金材の強度がこれより低くては、海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器の組立て時の変形に耐えられない。
【0043】
これらを前提とすると、アルミニウム合金材は、JIS乃至AAで規格化された、あるいはJIS乃至AAで規格化された組成に相当(近似する)3000系、5000系、6000系のいずれかから選択されるアルミニウム合金組成とする。例えば、3003や5052などが好適材料である。これらアルミニウム合金の板材、条材あるいは形材などを、これら形状材の製造(加工)ままで、あるいは製造(加工)後に、更に調質処理(熱処理)して、0.2%耐力が150MPa以上の強度とする。
【0044】
これに対して、1000系であれば、上記必要な耐力が不足し、2000系、4000系、7000系であれば、元々海水などの耐食性が劣るために、使用できない。なお、アルミニウム合金材は、3000系、5000系、6000系のいずれかから選択されるアルミニウム合金組成の単板(単一の板)とせずとも、クラッド材としても良い。
【0045】
(Mg含有量)
以上の前提を基に、更に、本発明で適用できるアルミニウム合金材は、塗装下地皮膜を設けずに、上記した厚みのフッ素樹脂塗料皮膜を表面に直接設けた場合に、塗膜の密着性が優れていることが必要である。この条件として、本発明アルミニウム合金材は、合金材表面=実際にX線光電子分光分析法によって分析されるアルミニウム酸化皮膜を含むアルミニウム合金材の厚み方向の深さ領域、のMg含有量を、同じこの表面のAl含有量との比、Mg/Alで0.1以下とする。
【0046】
上記3000系、5000系、6000系でも、多くは必須合金元素として含まれるMgは、上記必要強度を得るための重要な元素である。但し、Mgは、合金元素の中でも、最もアルミニウム合金材表面(特に酸化皮膜)に濃化しやすい。そして、このアルミニウム合金材表面でのMg含有量が前記Mg/Al比で0.1を超えて濃化した場合、この濃化したMgはフッ素樹脂塗料皮膜とアルミニウム合金材表面との密着性を阻害し、海水などの耐食性を劣化させる。
【0047】
これは、アルミニウム合金材表面(特に酸化皮膜)に濃化したMgが、前記したフッ素樹脂塗料(塗膜)中のイソシアネート基(−N=C=O)やシロキサン基の、アルミニウム合金材表面(特に酸化皮膜)との反応性を阻害するためであると推考される。
【0048】
(Mg含有量測定)
本発明において、アルミニウム合金材表面のMg含有量やAl含有量(いずれも質量%)は、前記した通り、深さ(厚み)方向の空間分解能が、測定対象の表面から数nmの深さ領域である、X線光電子分光分析法により測定される。X線光電子分光分析法は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis とも、あるいはXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)とも称される。この方法は、Arなどの不活性ガスによる測定面のスパッタリングを行いながら、X線ビームを照射して、放出されるPhotoelectron を検出し、深さ(厚み)方向に、各深さ(厚み)位置における元素量(濃度分布)を順次分析していく方法である。なお、X線光電子分光分析法の幅方向の空間分解能は照射X線ビームの幅と略同じとなる。
【0049】
(Mg/Al規定)
本発明において、合金材表面に濃化したMg含有量をMg/Al(マグネシウムとアルミニウムのモル比)で規定したのは、X線光電子分光分析において検出される、合金材表面に存在している(濃化している)他の酸素や元素の影響を少なくするためである。X線光電子分光分析は、前記したように、深さ(厚み)方向に元素量を順次分析していくゆえに、アルミニウム合金材表面に存在する酸化膜から酸素が検出される。また、合金材最表面に付着した汚れもカーボンとして検出される。更に、マグネシウムの他に、シリコン、マンガン、ニッケル、鉛、等も合金成分として含まれていれば表面に濃化して検出される。このため、本発明では、これら他の元素の影響を少なくするために、表面に濃化したMg含有量は、絶対値ではなく、アルミニウムのモル比によって規定した。
【0050】
ここで、アルミニウム合金材表面にMgが濃化しているか否かは、アルミニウム合金材表面のMg含有量と、バルク(板厚中心部あるいは1/4深さ部)のMg含有量(質量%)とを比較すれば分かる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の実施例を説明する。共通して、1.0mm板厚で200×200mmのアルミニウム合金板試験片表面に、三フッ化樹脂からなるフッ素樹脂塗料皮膜を設けた塗装アルミニウム合金材の塗膜密着性を評価した。発明例の場合には塗装下地皮膜を設けず、比較例の場合は、塗装下地皮膜を設けるか、塗装下地皮膜を設けない場合でも、フッ素樹脂塗料皮膜の膜厚やアルミニウム合金材表面のMg含有量などが規定を外れたものを準備した。これらの結果を表1に示す。
【0052】
本発明では、塗膜寿命である塗膜密着の耐久性を、耐食性として評価する。なお、フッ素樹脂塗料皮膜自体の耐食性を、特許文献3のように、塗膜の腐食抵抗の経時変化を測定して評価する方法もある。しかし、特許文献3のように、5日間程度の短期間でのフッ素樹脂塗料皮膜自体の耐食性が幾ら良くても、塗膜密着性(塗膜密着耐久性)が低く、短期間や長期間の使用において、塗膜が剥離した場合には、意味がない。このため、本発明では、特に長期間の使用における塗膜密着性を耐食性(海水などの耐食性)として評価する。
【0053】
(前処理)
前処理としては、アルミニウム合金試験片表面に形成されている汚れ、酸化物、水酸化物などを一旦除去して、アルミニウム金属表面を一旦露出させる、エッチングを伴う前記した前処理を行った。具体的には、市販の脱脂剤によって常温の脱脂洗浄後、20重量%カセイソーダ処理液(常温)への30秒間浸漬、20重量%硝酸水溶液(常温)への30秒間浸漬、さらにはイオン交換水によるリンスを行った。
【0054】
発明例は、上記前処理後のアルミニウム合金試験片を直ちにフッ素樹脂塗装した。比較例の内、塗装下地処理をしない比較例も、発明例と同様に、上記前処理後のアルミニウム合金試験片を直ちにフッ素樹脂塗装した。また、比較例の下地処理の内、クロメート処理は、上記前処理後のアルミニウム合金試験片を市販の1%クロメート処理液に浸漬(50℃、60秒)後、水洗浄した。ベーマイト処理は、上記前処理後のアルミニウム合金試験片を90℃の温水に10分間浸漬した。リン酸亜鉛処理は、上記前処理後のアルミニウム合金試験片を市販のリン酸亜鉛処理液に浸漬(40℃、120秒)後、水洗浄した。
【0055】
(フッ素樹脂塗装)
フッ素樹脂塗装の塗料は、以下の三フッ化樹脂主剤としたA、B、Cの三種類とした。
A:三フッ化樹脂主剤としてクロロトリフルオロエチレン/ビニルエーテル共重合体を、イソシアネート硬化剤により架橋した塗料。
B:三フッ化樹脂主剤としてクロロトリフルオロエチレン/ビニルエーテル共重合体を、シロキサン硬化剤により架橋した塗料。
C:三フッ化樹脂主剤としてクロロフルオロエチレン/アクリル共重合体を、イソシアネート硬化剤により架橋した塗料。
【0056】
これらフッ素樹脂塗料は、共通して、主剤13部に対して硬化剤1部を混合し、シンナーを用いて、表1の平均膜厚となるように、数倍から十数倍の適切な希釈率で塗液とした。そして、これら塗液を前記した各アルミニウム合金材表面に、直ちに、できるだけ均一に浸漬塗布した。なお、これら形成したフッ素樹脂塗膜は金属粉の類を含んでいない。
【0057】
これら塗装処理後の各アルミニウム合金材を、100℃で2時間強制乾燥して、塗膜密着性評価などの試験片とした。
【0058】
(塗膜厚み)
これら塗装処理後のアルミニウム合金試験片の塗膜厚みを求めるための、50倍の光学顕微鏡により、任意の10箇所の塗膜の断面観察を行った。これらの塗膜平均厚みも表1に示す。
【0059】
この塗膜の断面観察の際に、前記前処理をしていないアルミニウム合金材との比較において、前記前処理によって、それまでのアルミニウムの酸化皮膜が新たなアルミニウムの酸化皮膜が形成されているのを確認した。
【0060】
(Mg含有量)
各アルミニウム合金材表面に濃化したMg含有量(濃化量)は、前記したX線光電子分光分析法にて、合金材表面から深さ方向に向かって、順次MgとAlとの含有量を分析して、各合金材表面の深さ方向における最大Mg含有量を求めた。そして、この最大Mg含有量が測定された深さ位置におけるAl含有量との比Mg/Alを求めた。また、Mgの表面への濃化を確認するために、バルクのMg含有量も、板厚1/4深さ部分について、X線光電子分光分析法にて測定した。
【0061】
(初期密着性)
JIS5600−5−6の規定にしたがい、1mm角で100マスの碁盤目の傷を入れた試験片について、テープ剥離試験を行い、塗膜の初期密着性を評価した。試験は、室温にて各例とも5試験片について各々行い、いずれも塗膜のテープ剥離が全くないものを◎、1個でも試験片にマス目の10%未満について塗膜のテープ剥離が生じたものを○、1個でも試験片にマス目の10%以上30%未満について塗膜のテープ剥離が生じたものを△、1個でも試験片にマス目の30%以上の塗膜のテープ剥離が生じたものを×として評価した。初期密着性としては、◎か○が合格となる。
【0062】
(塗膜密着の耐久性)
塗膜寿命である、塗膜密着の耐久性(経時変化)を評価するために、実際の海水を使用した熱交換器での使用を模擬して、塩水による腐食促進試験を行った。具体的には、上記JIS5600−5−6の規定にしたがい、1mm角で100マスの碁盤目を設けた試験片を、50℃で3%の塩水に7日間および28日間浸漬した。その後、これらの試験片をイオン交換水にて洗浄して、この水を布により軽く拭き取り後に、50℃で24時間乾燥して、テープ剥離試験を行った。
【0063】
この試験は、室温にて各例とも5試験片について各々行い、いずれも塗膜のテープ剥離が全くないものを◎、1個でも試験片にマス目の10%未満について塗膜のテープ剥離が生じたものを○、1個でも試験片にマス目の10%以上30%未満について塗膜のテープ剥離が生じたものを△、1個でも試験片にマス目の30%以上の塗膜のテープ剥離が生じたものを×として評価した。塗膜密着の耐久性としては、7日間では◎、○を合格とし、28日間では◎、○、△を合格とした。
【0064】
表1から明らかな通り、発明例1〜8は、塗装下地皮膜を設けずに、乾燥後の膜厚で1〜100μmの平均厚みのフッ素樹脂塗料皮膜を、表面に直接設けたアルミニウム合金材である。そして、この合金材を、0.2%耐力が150MPa以上である、JIS3000系、5000系、6000系のいずれかから選択されるアルミニウム合金組成とするとともに、この合金材表面のMg含有量を前記Mg/Al比で0.1以下としている。
【0065】
発明例1〜5は、アルミニウム合金材が元々Mgを実質的に含有していないアルミニウム合金組成であるために、合金材表面にMgが濃化していない。したがって、合金材表面のMg含有量は必然的に前記Mg/Al比で0.1以下の実質的にゼロである。この結果、発明例1〜5は、塩水による腐食促進試験における塗膜密着性(塗膜密着の耐久性)が優れている。
【0066】
一方、発明例6〜8は、アルミニウム合金材が元々Mgを実質的に含有しているアルミニウム合金組成であるために、合金材表面にMgが濃化している。但し、合金材表面のMg含有量(濃化量)は前記Mg/Al比で0.1以下である。この結果、発明例6〜8は、塩水による腐食促進試験における塗膜密着性(塗膜密着の耐久性)が優れている。但し、発明例6〜8は、発明例1〜5に比して、合金材表面のMg含有量が多いため、比較すれば、発明例2〜5に比して塗膜密着性が劣っている。
【0067】
この結果は、そのまま、実際の海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器での半永久的な塗膜寿命を保証できるものではないが、発明例が、後述する比較例に比して、長期間の使用に際しての塗膜密着性が優れていることは明らかである。
【0068】
これに対して、比較例9〜13は、アルミニウム合金材側の方は、発明例2、6と同じであり、合金材表面のMg含有量(濃化量)は前記Mg/Al比で0.1以下である。しかし、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、ベーマイト処理などの塗装下地皮膜を設けている。このために、上記発明例に比して、特に、長期における塗膜密着性(塗膜密着の耐久性)が劣っているので、海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器には使用できない。
【0069】
比較例14〜17は、アルミニウム合金材が元々Mgを多く含有しているアルミニウム合金組成であるために、酸化皮膜直下のマトリックス表面にMgが濃化している。しかも、合金材表面のMg含有量(濃化量)は前記Mg/Al比で0.1を超えている。この結、比較例14〜17は、塗装下地皮膜を設けずに、乾燥後の膜厚で1〜100μmの平均厚みのフッ素樹脂塗料皮膜を、表面に直接設けているにもかかわらず、上記発明例に比して、初期も長期も塗膜密着性(塗膜密着の耐久性)が劣っているので、海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器には使用できない。
【0070】
比較例18は、合金材表面のMg含有量(濃化量)はMg/Al比で0.1以下であるものの、7000系の7003アルミニウム合金材を用いている。これら7000系のアルミニウム合金材は、上記3000系、50000系、6000系のアルミニウム合金材と違って、Znを合金元素として多く含んでいるために、元々母材の耐食性が劣っている。このため、塗装下地皮膜を設けずに、乾燥後の膜厚で1〜100μmの平均厚みのフッ素樹脂塗料皮膜を、表面に直接設けているにもかかわらず、上記発明例に比して、初期も長期も塗膜密着性(塗膜密着の耐久性)が劣っている。したがって、海水を冷却水とするプレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器には使用できない。
【0071】
したがって、これらの結果から、合金材表面のMg含有量(濃化量)を少なくしたアルミニウム合金材表面に、直接フッ素樹脂塗料皮膜を設ける、本発明の耐食性に対する臨界的な意義が分かる。また、本発明による耐食性に優れたフッ素樹脂塗料皮膜は、海水を模擬した耐食性評価で塗膜密着性に優れ、塗膜界面での腐食反応も低減されていることから、同様の耐食性が要求される工業用水や地下水などへも適用でき、用途を海水に限定するものではない。
【0072】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明によれば、塗装下地処理を設けずに、アルミニウム合金材表面に対して、フッ素樹脂防食塗膜を直接設けた場合にでも、フッ素樹脂防食塗膜のアルミニウム合金材に対する密着性(耐食性)が優れた、アルミニウム合金材および腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部にアルミニウム合金材を用いたプレートフィン式熱交換器、プレート式熱交換器を提供できる。本発明のようなアルミニウム合金材を備えるプレートフィン式熱交換器およびプレート式熱交換器は、長期間に亘り、メインテナンスフリーで使用可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗装下地皮膜を設けずに、乾燥後の膜厚で1〜100μmの平均厚みのフッ素樹脂塗料皮膜を、表面に直接設けたアルミニウム合金材であって、この合金材を、JIS 3000系、5000系、6000系のいずれかから選択されるアルミニウム合金組成とするとともに、X線光電子分光分析法により測定される、この合金材表面の深さ方向における最大Mg含有量と、この最大Mg含有量が測定される深さ位置におけるAl含有量との比Mg/Alを0.1以下としたことを特徴とする、耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材。
【請求項2】
前記フッ素樹脂塗料皮膜を構成するフッ素樹脂が三フッ化樹脂である請求項1に記載のアルミニウム合金材。
【請求項3】
前記三フッ化樹脂がクロロトリフルオロエチレン/ビニルエーテル共重合体であり、前記フッ素樹脂塗料が、このクロロトリフルオロエチレン/ビニルエーテル共重合体をイソシアネートにて架橋したものである請求項2に記載のアルミニウム合金材。
【請求項4】
前記フッ素樹脂塗料皮膜が金属粉を含まない請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材。
【請求項5】
前記アルミニウム合金材が腐食性を有する流体を媒体とするプレートフィン式熱交換器用である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材。
【請求項6】
前記アルミニウム合金材が腐食性を有する流体を媒体とするプレート式熱交換器用である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金材。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかのアルミニウム合金材を腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部に用いたことを特徴とする耐食性に優れたプレートフィン式熱交換器。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれかのアルミニウム合金材を腐食性を有する流体を媒体とする伝熱部に用いたことを特徴とする耐食性に優れたプレート式熱交換器。

【公開番号】特開2008−267781(P2008−267781A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276710(P2007−276710)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)