説明

耳かけ型補聴器

【課題】 ケースと電池ホルダで形成される隙間から水や汗などの液体が浸入したとしても、その液体が電池収納室内に浸入し難い耳かけ型補聴器を提供する。
【解決手段】 開閉自在な電池ホルダ7を備えた耳かけ型補聴器1において、ケース2の左右内面2a,2bに夫々対向する電池ホルダ7の縁部7a,7bに溝9,10を設け、電池ホルダ7が閉状態の時に、溝9,10とケース2の左右内面2a,2bにより空洞12,13が形成される。また、空洞12,13を外部に通じさせる連通孔16,17を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉自在な電池ホルダを備えた耳かけ型補聴器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の耳かけ型補聴器としては、特許文献1に記載のように、ケースと電池ホルダで形成される隙間から浸入した水や汗などの液体は、電池ホルダの内壁面に形成した溝を伝わらせて、電池ホルダの内壁面に設けた開口孔を通して外部に排出させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−021509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の耳かけ型補聴器においては、ケースと電池ホルダで形成される隙間から浸入した水や汗などの液体は電池収納室内に浸入してしまうため、電極を腐食して通電不良の原因となったり、空気孔を塞いで空気電池への空気の供給を阻害したりするという問題を起こしていた。
また、パッキンで防水構造を施すと、補聴器が大きくなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、従来の技術が有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ケースと電池ホルダで形成される隙間から水や汗などの液体が浸入したとしても、その液体が電池収納室内に浸入し難い耳かけ型補聴器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく請求項1に係る発明は、開閉自在な電池ホルダを備えた耳かけ型補聴器において、ケースに対向する電池ホルダの縁部に溝を設け、この溝とケースにより電池ホルダが閉状態の時に空洞が形成されるものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、開閉自在な電池ホルダを備えた耳かけ型補聴器において、電池ホルダの縁部に対向するケースに溝を設け、この溝と電池ホルダの縁部により電池ホルダが閉状態の時に空洞が形成されるものである。
【0008】
また、請求項1又は2に記載の耳かけ型補聴器において、前記空洞を外部に通じさせる連通孔を設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、毛細管現象によって、ケースの表面に付着した水や汗などの液体がケースと電池ホルダで形成される隙間に浸入したとしても、装用時に電池ホルダの縁部に設けた溝とケースにより空洞が形成されるので、表面張力によって、この空洞に液体が入り難く、液体が電池収納室内まで浸入し難くなる。
また、補聴器が大きくならずにすむ。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、毛細管現象によって、ケースの表面に付着した水や汗などの液体がケースと電池ホルダで形成される隙間に浸入したとしても、装用時にケースに設けた溝と電池ホルダの縁部により空洞が形成されるので、表面張力によって、この空洞に液体が入り難く、液体が電池収納室内まで浸入し難くなる。
【0011】
また、空洞を外部に通じさせる連通孔を設ければ、空洞まで溜まってしまった水や汗などの液体を外部に排出し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る耳かけ型補聴器の斜視図で、(a)は電池ホルダが閉状態の斜視図、(b)は電池ホルダが開状態の斜視図
【図2】両縁部に溝を設けた電池ホルダの斜視図で、(a)は一方の縁部に設けた溝を示す斜視図、(b)は他方の縁部に設けた溝を示す斜視図
【図3】電池ホルダが閉状態における要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係る耳かけ型補聴器1は、図1に示すように、ケース2、フック3、チューブ4、ジョイント5、耳せん6などからなる。ケース2の内部には、マイクロホン、補聴処理部としてのDSP(Digital Signal Processor)やイヤホンなどの部品が収納されている。7は電池ホルダである。
【0014】
電池ホルダ7は、空気電池を保持して電池収納室8に収めるためにケース2に開閉自在に装着されている。電池ホルダ7には、図2にも示すように、電池ホルダ7が閉状態の時にケース2の左右内面2a,2bが夫々対向する縁部7a,7bに溝9,10が設けられている。
【0015】
そして、電池ホルダ7が閉状態の時には、これらの溝9,10とケース2の左右内面2a,2bにより、図3に示すように、ケース2と電池ホルダ7で形成される隙間11に沿って空洞12,13が設けられる。空洞12,13は、ケース2の左右内面2a,2bと電池ホルダ7により形成される隙間11が電池収納室8に至る途中に形成されることになる。
【0016】
また、電池ホルダ7の縁部7a,7bには、図2に示すように、溝9,10に通じる開口溝14,15が設けられている。そして、耳かけ型補聴器1を装用した時には、開口溝14,15とケース2の左右内面2a,2bにより、図1(a)に示すように、電池ホルダ7のほぼ最底部となる部位に空洞12,13を外部に通じさせる連通孔16,17が形成される。なお、ケース2の右内面2b側に形成される連通孔17については図示していない。
【0017】
以上のように構成された本発明に係る耳かけ型補聴器1の作用について説明する。耳かけ型補聴器1を装用している時に、ケース2の表面2cに付着した水や汗などの液体がケース2の左右内面2a,2bと電池ホルダ7の縁部7a,7bで形成される隙間11に浸入する場合がある。
【0018】
毛細管現象によって、隙間11から浸入した水や汗などの液体は、隙間11を進んで行くが、表面張力によって、電池ホルダ7の縁部7a,7bに設けた溝9,10とケース2の左右内面2a,2bにより形成される空洞12,13に入り難くなる。
【0019】
従って、隙間11から浸入した水や汗などの液体は、電池収納室8内に直接浸入し難くい。そして、空洞12,13に溜まってしまった水や汗などの液体は、空気電池18を交換する場合など電池ホルダ7を開状態にする際に、布やティシュペーパなどの清掃部材で除去することが容易にできる。
【0020】
また、ケース2と電池ホルダ7で形成される隙間11に、空洞12,13を外部に通じさせる連通孔16,17を設ければ、空洞12,13に溜まってしまった水や汗などの液体を外部に排出し易くなる。
【0021】
なお、本発明の実施の形態では、溝9,10を電池ホルダ7に設けたが、空洞12,13は電池収納室8に至るケース2の左右内面2a,2bと電池ホルダ7の縁部7a,7bにより形成される隙間11の途中に形成されればよいので、溝9,10をケース2の左右内面2a,2bに設けることもできる。
【0022】
また、空洞12,13を外部に通じさせる連通孔16,17も、ケース2の左右内面2a,2bと電池ホルダ7の縁部7a,7bにより形成される隙間11に形成されればよいので、連通孔16,17を形成する開口溝14,15も、ケース2の左右内面2a,2bに設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、毛細管現象によって、ケースの表面に付着した水や汗などの液体がケースと電池ホルダで形成される隙間に浸入したとしても、電池ホルダが閉状態の時に電池ホルダの縁部に設けた溝とケースにより空洞が形成されるので、表面張力によって、この空洞に液体が入り難く、液体が電池収納室内まで浸入し難くい耳かけ型補聴器を提供することができる。
【符号の説明】
【0024】
1…耳かけ型補聴器、2…ケース、2a…左内面、2b…右内面、2c…表面、7…電池ホルダ、7a,7b…縁部、8…電池収納室、9,10…溝、11…隙間、12,13…空洞、14,15…開口溝、16,17…連通孔、18…空気電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在な電池ホルダを備えた耳かけ型補聴器において、ケースに対向する電池ホルダの縁部に溝を設け、この溝とケースにより電池ホルダが閉状態の時に空洞が形成されることを特徴とする耳かけ型補聴器。
【請求項2】
開閉自在な電池ホルダを備えた耳かけ型補聴器において、電池ホルダの縁部に対向するケースに溝を設け、この溝と電池ホルダの縁部により電池ホルダが閉状態の時に空洞が形成されることを特徴とする耳かけ型補聴器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の耳かけ型補聴器において、前記空洞を外部に通じさせる連通孔を設けることを特徴とする耳かけ型補聴器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−85036(P2013−85036A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222174(P2011−222174)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【特許番号】特許第5193351号(P5193351)
【特許公報発行日】平成25年5月8日(2013.5.8)
【出願人】(000115636)リオン株式会社 (128)