説明

肉生産用四つ足動物処理における殺微生物制御

食肉用四つ足動物を肉および/または肉製品1種または2種以上として消費する目的で処理する方法を記述する。この方法は、I)前記生きている動物の外側表面を殺微生物剤溶液と前記動物を食肉処理している途中であるが、放血で屠殺する前に少なくとも1回接触させるか、或はII)放血後の前記動物の屠体を殺微生物剤溶液と接触させるか、或はIII)前記屠体に由来する少なくとも1種の生肉製品および/または少なくとも1種の加工肉製品を殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるか、或はIV)I)、II)およびIII)の中のいずれか2つまたは3つ全部を実施することを含んで成る。前記殺微生物溶液を、各場合とも独立して、a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、またはb)(i)臭化アンモニウムおよび/または少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、またはc)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水で構成させるが、a)、b)およびc)の各々における残存臭素は殺微生物活性をもたらすに充分である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
肉および肉製品がいろいろな病原体、例えばリステリア、エシェリキア、サルモネラ、カンピロバクター種などによって汚染されることが長年に渡って存在する問題である。他のいろいろな殺微生物(microbiocidal)材料が効力に関して調査されてきてはいるが、屠殺場で動物を処理する時の実際の実施で典型的に用いられている殺微生物性物質は特定の酸または塩素が基になった特定の殺生物(biocidal)剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムおよび次亜塩素酸カルシウムなどである。
【0002】
非常に多数の四つ足動物がヒトまたはペットのいずれかが消費する肉および肉製品の目的で食肉処理されている。そのような動物には、例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、バイソン、ウサギ、ラクダ、カンガルー、アリゲーター、クロコダイルおよび他のそのような現存もしくは潜在的食肉製品源、例えばバッファロー、ヤギおよびラマなどが含まれる。本明細書では、食料および食品で用いられる前記および他の肉生産用四つ足動物、例えばシカ、アンテロープ、エルク、リス、オポッサム、アライグマおよび雄牛などを時には集合的に食肉用四つ足動物と呼ぶ。また、用語「ウシ」をこれに去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛および雄牛を包含させる目的で一般的意味で用い、「ブタ」をこれに去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚を包含させる目的で一般的意味で用い、そして用語「ヒツジ」をこれに子羊、雄羊および雌羊を包含させる目的で一般的意味で用いる。
【0003】
数多くの食肉用四つ足動物、特に牛肉または豚肉を得る動物は、最新技術が用いられている高生産量の食肉包装工場で処理される。最新の処理手順にも拘らず、新鮮な肉が細菌に汚染されることが、生きている食肉用四つ足動物を食品に変える時に望ましくないが、避けることのできない結果として起こる。現在のGood Manufacturing Procedures(GMP)および/または最近の政府規制によってそのような汚染を軽減することは可能であるが、新鮮な生肉から細菌を完全に除去することは達成されていない。健康な動物の場合には深い所に位置する筋肉組織は無菌であることから、そのような汚染は本質的に全部が屠体表面を源とする。動物の髪、皮および蹄に存在する土、埃および肥料が1つの大きな汚染源に相当する。加うるに、ある場合には、内部の器官を取り出す処理を行っている時にそれが崩壊する結果として屠体が更に汚染されることもある。
【0004】
食肉用四つ足動物を食料の目的で処理する時に用いられる手順および装置の一般的性質は本分野の通常の技術者に良く知られている。実際、この分野に関する文献は広範に存在する。例えば典型的なウシ食肉操作は下記の段階を伴うとして非特許文献1に記述されている:ウシの受け取りおよび保持、気絶、放血、頭およびすねの除去、皮除去、摘出、屠体解体、最終的洗浄そして冷却。去勢雄豚の食肉処理に関して非特許文献1は下記の段階を示している:去勢雄豚の受け取りおよび保持、気絶、放血、熱湯消毒、脱毛、焦がし、こすりおよび磨き、摘出そして洗浄および冷却。他の著者は、同じ一般的ラインに沿ってはいるがある程度異なり得る説明を与えている。例えば、表題が「Overview of Meat Processing」の章に記述されている如きウシの屠殺は、ある程度ではあるが、下記の処理段階を言及しかつ説明している:ウシの予備取り扱い、気絶および放血、ドレッシング(dressing)および皮除去、摘出、そして切断および骨除去。加うるに、その章には、更に、屠体切断および骨除去はしばしば冷却後に行われることも説明しているが、最近の進展によって屠体がまだ温かい間に骨除去を行うことが可能であることも説明されており、それは「熱骨除去(hot boning)」と呼ばれる方法である。同じ章に、ブタの屠殺段階は下記を包含するとして記述および説明されている:ブタの予備取り扱い、気絶および放血、脱毛および仕上げ、そして摘出および解体[この後者の部分に、最終的に屠体を一晩急冷した後、切断および骨除去の処理を行うことが記述されている]。このように食肉用四つ足動物を食料の目的で処理する時に必要な段階および操作をよく知らない人は、その主題に関する広範な文献を参考にすることで多量の情報を得ることができるであろう。
【0005】
食肉用四つ足動物を食料の目的で処理する時に数多くの段階が通常用いられることが、微生物および病原体が混入する機会を構成している。このように、食肉用四つ足動物を食料の目的で処理している間に動物の屠体またはそれの一部がそのように汚染される度合を軽減または汚染されないようにする新規な1種以上の方法の必要性が存在する。別の必要性は、そのような汚染を軽減またはなくす時に過剰な出費を伴わない1種以上の方法を提供することにある。さらなる必要性は、現存する屠殺場および/または食肉包装操作の過度の妨害を伴わない1種以上の方法を提供することにある。
【0006】
この上に示した必要性を満足させること以外に、この上に示した必要性を満足させる目的で用いる方法によって屠体から得られる肉の品質または特性、特に肉の外観および味が顕著に劣化しないことが極めて重要である。
【0007】
本発明を用いるとこの上に示した必要性を満足させることができかつ本発明の使用または方法の結果として屠体から得られる肉の品質も特性も顕著には悪化しないと考えている。
【非特許文献1】2002年5月6日に開催されたPathogen Reduction DialogueでG.R.Acuff(PhD、Professor of Food Microbiology、Texas A & M University)による概略
【発明の開示】
【0008】
発明の簡単な要約
本発明は、(I)食肉として処理される食肉用四つ足動物(本明細書では以降便利さの目的でしばしば単に「動物」と呼ぶ)および/または(II)前記動物の屠体および/または(III)前記動物の屠体に由来する生肉製品および/または加工肉製品が微生物で汚染される度合を低くする方法を提供する。
【0009】
本発明の1つの態様に従い、食肉用四つ足動物を処理する時、屠殺に先立って、生きている食肉用四つ足動物の外側表面を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素(bromine residual)が入っている水、
b)(i)臭化アンモニウムおよび/または少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩(hypohalite)および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成させた残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である殺微生物的に有効な組成物と接触させる。
【0010】
本発明の別の態様では、動物屠体処理中の適切な1つ以上の段階で、屠殺した動物の屠体表面を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、
b)(i)臭化アンモニウムおよび/または少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成させた残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である殺微生物的に有効な水性組成物と接触させる。この上に示した態様で用いる前記殺微生物的に有効な組成物に入っている残存臭素は、前記組成物が屠体の肉の味にも臭いにも外観にも有意な悪影響をもたらさないような量である。処理すべき動物屠体の種類に応じて、そのような接触を前記屠体から皮を剥ぐ前、間および/もしくは後、あるいは前記屠体から毛および/もしくは剛毛を除去する前または後に実施してもよい。
【0011】
本発明の更に別の態様では、生肉製品および/または加工肉製品を調製する前、間および/または後の適切な1つ以上の段階で、前記製品を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、
b)(i)臭化アンモニウムおよび/または少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成させた残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である殺微生物的に有効な水性組成物と接触させる。この上に示した態様で用いる前記殺微生物的に有効な組成物に入っている残存臭素は、前記殺微生物的に有効な組成物がこの組成物と接触させた前記屠体の生肉製品および/または加工肉製品の味にも臭いにも外観にも有意な悪影響をもたらさないような量である。生肉製品のいくつかの例には、ステーキ、チョップ、リブ部分、ミートローストカット、ハム、ロイン、動物器官およびひき肉が含まれる。加工肉製品のいくつかの例には、直ぐ食べられるデリ製品、ソーセージ、ボローニャ、フランクフルターおよび薄切り肉が含まれる。
【0012】
本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を用いることで実質的な利点を達成することができる。本発明の水性殺微生物剤組成物は幅広いスペクトルの殺微生物剤活性で高い効果を示すことに加えて、用いられるいろいろな洗浄システム、シャワーシステム、スプレーシステムおよび/または噴霧システムのノズル、付属品、キャビネット、輸送具および他の部分に対して比較的非腐食性である。その上、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物は、抗微生物剤として有効であることから、水性媒体に低い使用濃度で導入することができ、それでも、高い殺微生物効果を示しかつ食肉として処理すべき生きている食肉用四つ足動物にかけた時にほとんど悪影響をもたらさない組成物を生じ得る。加うるに、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物は、この組成物の凍結点のほんの僅か高い温度の如き低い温度から約70℃の範囲に渡って安定でありかつこの温度範囲全体に渡って本組成物を低い使用濃度で用いた時でさえ微生物および病原体に対して非常に有効である。このように、本発明の殺微生物的に有効な組成物は、食肉用四つ足動物を少なくとも肉として処理する時に遭遇する温度条件の大部分(全部ではないにしても)下で有効に使用可能である。その上、実験の結果は、驚くべきことに、本発明を実施しても本発明の使用または方法の結果として屠体から得られる肉の品質も特性も顕著には劣化しないことが分かった。このように、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物は、抗微生物効果が極めて高いことと肉に対する悪影響がないことの組み合わせを有することから、また、生肉および/もしくは肉製品を調製する前、間および/または後のいずれかの段階でそれらを消毒しようとする時にも有効に使用可能である。
【0013】
以下の説明、添付図および添付請求項から本発明のいろいろな態様および特徴が更に明らかになるであろう。
【0014】
2003年1月9日付けで公開された国際出願WO 03/001931 A1に、とりわけ、ハロゲンが基になった特定の殺微生物剤の水溶液、例えば臭素、塩素または塩化臭素またはこれらの中のいずれか2種または3種全部と水溶性のスルファミン酸塩アニオン源を水に入れることで生じさせた溶液など、またはハロゲン原子の中の一方が塩素原子でありそしてもう一方が塩素または臭素原子でありそしてアルキルが独立して1−4個の炭素原子を有する少なくとも1種の1,3−ジハロ−5,5−ジアルキルヒダントイン、または一方のアルキルがメチルでありそしてもう一方のアルキルが1−4個の炭素原子を有する少なくとも1種の1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルダントインなどを家禽の処理でもたらされる家禽の屠体および/または部分を消毒する目的で用いることが記述されている。その用いる消毒処理によってニワトリの皮膚の色もニワトリの肉の味も悪影響を受けないことが示されている。処理された家禽の処理屠体は肉を覆う水を実質的に透過しないスキンを有する被膜を有している。それとは対照的に皮を剥いだ後の食肉用四つ足動物の屠体にはそのような水を透過しない保護用被膜を有していない。本明細書の以下で明らかになるであろうように、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と生牛肉を直接接触させた時にもたらされる肉色変化は僅かのみであることが分かり、このことは、本殺微生物剤を本発明に従って適切な比率で用いると肉の品質に悪影響を与えないことを示している。従って、食肉用四つ足動物、例えばウシなどを本発明の殺微生物的に有効な水性組成物で処理した場合、特に皮を剥ぐ前の動物そして/または皮を剥いだ後の前記動物の屠体を処理した場合には、また、肉の品質に対する影響があるとしてもほとんどないはずである。
【0015】
また、特に現代の高度に自動化されたプラントで行われる家禽処理で少なくとも冷却用タンクの中で当該殺微生物剤がこれの殺微生物活性を及ぼし得るには長時間、例えば1時間などを要することも注目に値する。それとは対照的に、ウシまたはブタの処理が行われる高処理量の食肉包装工場および屠殺場では、典型的に、相対的に時間が短い噴霧が用いられる。従って、そのような工場または屠殺場である殺微生物剤がそれの殺微生物活性を及ぼすために利用できる時間は、一般に、家禽を食肉製品として処理する工場の場合よりもかなり短い。
発明の更に詳細な説明
本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、
b)(i)臭化アンモニウムおよび/または少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成させるが、その残存臭素は殺微生物活性をもたらすに充分である。
【0016】
本発明の実施では水性殺微生物剤組成物を1つ以上の指定操作で用いることを特記する。本水性殺微生物剤組成物は、1種以上の指定成分から生じさせた水溶液である。本発明の態様の各々において、本発明に従って用いる1種以上の水性殺微生物剤組成物を用いて生きている食肉用四つ足動物、前記食肉用四つ足動物の屠体および/または前記屠体に由来する生肉製品1種または2種以上または加工肉製品1種または2種以上に消毒を受けさせる。そのような組成物を典型的にはこの上に示したa)、b)またはc)の高濃度水溶液を希釈することで生じさせる。実際、a)およびb)の殺微生物剤組成物を典型的には水中で生じさせる。
【0017】
本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物に入っている残存臭素を、いろいろな要因、例えば処理すべき動物種、動物を処理すべき時期(time of the year)、処理すべき動物を汚染している微生物の量、動物、屠体および/またはこれの一部が屠殺場または食肉包装工場で実施されるいろいろな操作中に接触する汚染の種類および度合、および処理または調製すべき目的物1種または2種以上(生きている動物、動物の屠体、生肉製品および/または加工肉製品であるかに拘わらず)の種類などに応じて変えることができる。しかしながら、一般的には、そのような操作で用いる本発明の殺微生物的に有効な水性組成物に遊離臭素として残存する臭素が約400ppm(重量/重量)以下、好適には遊離臭素として約200ppm(重量/重量)以下になるようにする。より好適には、遊離臭素として残存する臭素が約100ppm(重量/重量)以下、更により好適には遊離臭素として約50ppm(重量/重量)以下であるようにする。特に、生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる目的で用いる組成物の場合には、典型的に、遊離臭素として残存する臭素を少なくとも約0.5ppm(重量/重量)の最低量で用いる。特に、生きている食肉用四つ足動物および/または前記動物の屠体に消毒または汚染物除去を受けさせる目的で用いる組成物の場合には、殺微生物的に有効な水性組成物に遊離臭素として残存する臭素を好適には少なくとも約10ppm(重量/重量)、より好適には遊離臭素として少なくとも約20ppm(重量/重量)、更により好適には遊離臭素として少なくとも約50ppm(重量/重量)の最低量にする。特に、生きている食肉用四つ足動物および/または前記動物の屠体に消毒または汚染物除去を受けさせる場合には、遊離臭素として残存する臭素が約20ppmから約100ppm(重量/重量)の範囲内の本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が特に好適である。生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる目的で用いる好適な組成物は、遊離臭素として残存する臭素が約0.5から約400ppm(重量/重量)の範囲内の組成物である。生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる目的で用いるにより好適な組成物は、遊離臭素として残存する臭素が約50から約200ppm(重量/重量)の範囲内の組成物である。生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる目的で用いるに更により好適な組成物は、遊離臭素として残存する臭素が約50から約100ppm(重量/重量)の範囲内の組成物である。各場合とも、前記殺微生物的に有効な組成物に入っている残存臭素は、前記成分a)、b)またはc)に由来する臭素である。本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を典型的には約5から約39℃の温度で用いるが、必要ならば、より高い温度、例えば約70℃に及ぶ温度でも使用可能である。
【0018】
本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物に入っている殺微生物的に有効な臭素の濃度を示す別の様式は、当該組成物に入っている活性臭素のppm(parts per million、重量/重量)に換算した様式である。このように、本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物に入っている活性臭素の量を典型的には水100万重量部当たり約400重量部以下にする。好適な組成物に入っている活性臭素は使用する水100万重量部当たり約200重量部以下、より好適には約100重量部以下、更により好適には約50重量部以下である。特に、生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる目的で用いる組成物の場合には、典型的に、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物に存在する活性臭素の量が最低限で水100万重量部当たり少なくとも約0.5重量部であるようにする。特に、生きている食肉用四つ足動物および/または前記動物の屠体に消毒または汚染物除去を受けさせる目的で用いる組成物の場合には、好適には、本発明の実施で用いる殺微生物的に有効な水性組成物に存在する活性臭素の量が水100万重量部当たり少なくとも約10重量部、より好適には少なくとも約20重量部、更により好適には少なくとも約50重量部であるようにする。本発明に従って使用可能な活性臭素の濃度範囲には下記が含まれることが前記から分かるであろう:約0.5から約400ppm、約0.5から約200ppm、約0.5から約100ppm、約0.5から約50ppm、約10から約400ppm、約10から約200ppm、約10から約100ppm、約10から約50ppm、約20から約400ppm、約20から約200ppm、約20から約100ppm、約20から約50ppm、約50から約400ppm、約50から約200ppmおよび約50から約100ppm。特に生きている食肉用四つ足動物および/または前記動物の屠体に消毒または汚染物除去を受けさせようとする場合には、活性臭素含有量が水100万重量部当たり約20から約100重量部の範囲内の本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が特に好適である。生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる時に用いるに好適な組成物は、活性臭素含有量が水100万重量部当たり約0.5から約400重量部の範囲内の組成物である。生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる時に用いるにより好適な組成物は、活性臭素含有量が水100万重量部当たり約50から約200重量部の範囲内の組成物である。生肉製品および/または加工肉製品に消毒または汚染物除去を受けさせる時に用いるに更により好適な組成物は、活性臭素含有量が水100万重量部当たり約50から約100重量部の範囲内の組成物である。
【0019】
本発明を適用することができる食肉用四つ足動物処理は一般に下記の2種類である。それらは、
I)本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物を屠殺処理すべき生きている食肉用四つ足動物の外側表面にかける処理、および
II)本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物を肉および/または肉製品として処理すべき新しく食肉処理した食肉用四つ足動物の屠体にかける処理、
である。
【0020】
この上で述べたように、本発明を適用することができる別の分類の処理は下記である:
III)本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物を食肉処理した動物に由来する生肉製品および/もしくは加工肉製品に前記生製品および/もしくは加工肉製品を調製および/もしくは処理する時に用いられる操作のいずれかを実施する前、間および/または後の適切ないずれかの段階1段階または2段階以上でかける処理。
【0021】
種類Iの処理
前記から分かるであろうように、本発明に従う種類Iの処理は、動物がまだ屠殺されていない処理の初期段階の中の1つ以上の段階の実施中に動物の外側表面を接触させて、動物を処理することで生産すべき肉および/または肉製品が微生物で汚染される度合を軽減することに関する。そのような段階には、動物を屠殺する前(即ち動物がまだ生きている間)に前記動物に対して実施する予備取り扱い段階のいずれも含まれ、例えば動物を受け取りそして保持する段階、動物を気絶領域に移動させる段階、動物を気絶させる段階、そして気絶させた後であるが放血前の動物を取り扱うか或は移動させる段階などが含まれる。従って、本発明の1つの態様に従い、前記動物がまだ生きている間に実施する少なくとも1つの前記段階またはステップ中に動物の外側表面を本発明の殺微生物的に有効な1種以上の水性組成物と接触させる。
【0022】
好適には、本発明の殺微生物的に有効な1種以上の組成物を生きている動物にかける前に、少なくとも水または洗剤水溶液をホースでかけるか或はそれらの噴霧を用いることで、動物の後四半身、脚および蹄そして糞便物が動物に存在する他の領域から糞便物を最初に除去しておく。
【0023】
そのような好適な洗浄を実施するか否かに拘わらず、本発明に従い、その生きている動物に噴霧(spraying)、シャワー、霧吹き(showering)、部分浴、または本発明の殺微生物的に有効な少なくとも1種の水性組成物を動物の外側表面に前記動物がまだ生きている間にかけるに適した他のいずれかの方法を受けさせる。好適には、動物が放血(即ち、出血、従って屠殺)を実施すべき領域の中に入る前に、本発明の前記殺微生物的に有効な少なくとも1種の水性組成物を実質的に動物全体にかける。これは、例えば動物を保持領域から屠殺場または食肉包装工場に移動させる場所にシャワーゾーンおよび/またはスプレーゾーンを少なくとも1ゾーン設けることなどで達成可能である。その動物が前記ゾーン1ゾーンもしくは2ゾーン以上の中を通る時に、それらに本発明の殺微生物的に有効な1種以上の水性組成物を浴びせそして/または噴霧することで、前記動物の外側を前記組成物でぬらす。そのようなスプレーは固定式または連結式スプレーであってもよい。また、動物の皮を徹底的にぬらしそして動物から屑が洗い流されることが確保されるように、そのシャワーおよび/またはスプレーの強度を変えてもよい。次に、好適には、前記動物を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が入っている浴の中を歩かせることで、前記動物の少なくとも下方脚領域および蹄を前記組成物で洗浄する。洗浄効率を向上させる目的で前記浴に下表面用強制スプレージェットを含めてもよい。そのような浴を屠殺場または食肉包装工場の外側に位置させそして/または少なくとも前記屠殺場または食肉包装工場の周囲領域に位置させるのが好適である、と言うのは、そのように位置させることは、本発明の実施によって屠殺場または食肉包装工場の中に持ち込まれる殺微生物剤混入量が有効に最低限になることを確保するに役立つであろうからである。それによって、今度は、その後に屠殺場または食肉包装工場内で実施する処理操作中に交差汚染が起こる可能性が大きく低下する。
【0024】
本発明に従う種類Iの別の操作は、動物を屠殺場または食肉包装工場に移動させている時にスプレーの代わりにか或はスプレーに加えて本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の霧を動物にかける操作である。また、ゾーンの中を通す順も多様であり得、例えば動物1匹または2匹以上を殺微生物的に有効な水性組成物が入っている浴の中を通して歩かせることを1種以上のシャワーおよび/またはスプレーを前記動物にかける前または同時に実施してもよい。別の任意選択は、本発明の殺微生物的に有効な少なくとも1種の水性組成物を動物にかける噴霧ゾーンを本発明の殺微生物的に有効な少なくとも1種の水性組成物を前記動物に浴びせ、噴霧しそして/または前記動物をそれの浴に入れる(望まれる順が如何なる順であろうとも)ことを実施する1つ以上のゾーンの後に設ける選択である。簡単に述べると、本発明の殺微生物的に有効な少なくとも1種の水性組成物を生きている動物にかける時に用いる順は如何なる順であってもよい。そして、好適には、前記動物を屠殺場または食肉包装工場に向けて移動させている時そして/または前記動物が屠殺場または食肉包装工場の周囲領域に居る時にそのようにかけることを実施する。
【0025】
本発明の更に別の態様は、1種以上のシャワーおよび/またはスプレーを生きている動物にかける新規な方法である。これを移動可能(portable)シャワーおよび/またはスプレーストール(stall)を用いて達成するが、前記ストールにまた霧化および/または部分浴ゾーンを含めることも可能である。動物または動物の行列を前記ストールの中に入れて通すことで、前記動物1匹または2匹以上の外側1つまたは2つ以上を本発明の殺微生物的に有効な少なくとも1種の水性組成物と接触させ(例えば浴びせる、噴霧するなど)た後、屠殺場または食肉包装工場に進行させるか或は更に進行させる。そのような移動可能なシャワーまたはスプレーストールを、18個の車輪が付いたトラックトレーラーまたは列車の貨車である場所から別の場所に移動させるに適した大きさにしかつそれに適合させてもよいか、或はそれ自身をトラックトラクターまたは農場用トラクターである場所からある場所に移動させるに適した適切な車が備わっている一体式トレーラーとして構成させることも可能である。そのようなトレーラーにそれ自身の本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の供給源を装備してもよいか、或は使用現場に位置させた前記組成物の供給源からトレーラーを引き出すことも可能である。同様に、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物をシャワー1個または2個以上、スプレーおよび/または霧化装置に供給するポンプを駆動させる電力を搭載型電力供給もしくは発生装置で生じさせてもよいか、或は使用現場で電力を供給することも可能である。好適には、そのような移動可能シャワーおよび/またはスプレーストールの使用で生じた廃水をそのストール自身で集める。その回収した廃水から固体を除去した後に必要ならば本発明の殺微生物的に有効な追加的組成物を前記固体を除去しておいた廃水と混合し、その結果として得た廃水を前記移動可能シャワーおよび/またはスプレーストールで再び用いてもよい。このような態様は特に小型の畜殺場の場合に有用であり、その場合には、動物を定期的に食肉処理する回数は1回のみであるか或は比較的少ない数である、と言うのは、動物の食肉処理操作を小型の畜殺場で実施すべき時に移動可能シャワーおよび/またはスプレーストールをいろいろな小型の畜殺場で用いる目的である場所からある場所に送ることができるからである。
【0026】
本発明に従って生きている動物を浴に入れるゾーン、シャワーゾーン、スプレーゾーンおよび/または霧化ゾーンを2ゾーン以上用いる場合、そのようなゾーンで用いる本発明の殺微生物的に有効な個々の水性組成物の殺微生物的に有効な濃度は同じであってもよいか或は少なくとも2つの前記組成物の濃度を異ならせてもよい。実際の濃度範囲は典型的にこの上に記述した範囲であるが、その場合の必要性、例えば通常ではない環境、例えば動物の餌または飲料水の供給源が予想外に殺微生物剤で汚染されている(microbiocidal contamination)場合、群れの中のいくつかの動物が病気の場合、輸送が遅れている場合などが理由で例外的な量の排泄物に動物がさらされるケースなどに適合させる目的でそれの量を多くすることも可能である。
【0027】
本発明に従う前記種類Iの処理中に用いる本発明の殺微生物的に有効な水性組成物1種または2種以上の温度1つまたは2つ以上を適切な範囲に渡って異ならせてもよい。従って、用いる本組成物1種または2種以上は、動物が保持領域から屠殺場または食肉包装工場に進行する移動が向上するように動物が屠殺場または食肉包装工場に近づく時または動物が気絶領域に近づく時に静かになることに役立つに適した温い温度に加熱した後か、或は逆に冷却温度にまで冷却した後にかけてもよい。また、本組成物1種または2種以上の温度を適切に調整することによって、密に詰められていることでストレスのかかった動物が熱に関連した病気(例えば熱射病)にならないようにするか或は少なくともその度合を軽減することができる。
【0028】
この上に示した種類Iの処理の追加的利点の中には、この上に記述した如き水性殺微生物剤組成物a)、b)および/またはc)が示す殺微生物効果が前記化合物1種または2種以上を低い使用濃度で用いた時でも例外的に高い点にある。それによって、今度は、例えばスプレーが目にかかるか或は他の様式で動物の敏感な体部分と接触した場合に動物が不利な挙動反応を示す可能性が回避されるか或は少なくとも最小限になる。そのような動物の不利な挙動反応が回避されるか或は最小限になることは、動物を屠殺場または食肉包装工場および/または気絶領域に進行させる動きが乱されない点で有益である。
【0029】
動物の食肉処理を定期的に1回のみまたは相対的に少ない動物に対して行う小型の畜殺場の操作では、この上に記述した操作をいろいろな方法で実施することができる。例えば、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の適切な供給源に各々をホースで取り付けておいた1個以上の手持ち加圧噴霧装置を用いてスプレーを動物1匹または2匹以上にかけることができる。別法として、例えばモップ、手持ちぼろ切れ、スポンジまたはこすり用はけを用いそして/または簡単に本発明の組成物を手桶またはバケツから生きている動物に散布することで本組成物をかけることも可能である。そのような操作の場合、そのかけた本発明の殺微生物的に有効な水性組成物によって動物の外側表面の有効な被覆が達成されることが確保される注意を払うべきである。また、作業者一人または二人以上の部分が化学品溶液に何度もさらされる可能性がある操作の場合には、如何なる操作でも、その作業者一人または二人以上は少なくとも水を透過しない手袋およびゴーグルを着用するのが望ましく、好適には、水を透過しない外衣も同様に着用するのが望ましい。この上で述べたように、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を動物にかける前に動物を水で洗浄しておくのが好ましい。
【0030】
まだ生きている動物にとって望ましい結果がもたらされるように本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を用いる他の場所(屠殺場または食肉包装工場の中の)は、動物を気絶させる領域および/または気絶させた動物を気絶後ではあるが放血を開始する前に取り扱う領域である。そのような取り扱いには、例えばその気絶させた動物を輸送しそして/または前記動物をコンベアシステムに取り付けることが含まれ得る。屠殺場または食肉包装工場の中のそのような場所で、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を気絶させた動物の外側表面にシャワーシステム、スプレーシステム、霧化システムまたは浴などで付着させるのが有利であり得る。そのような操作は、この上に記述したように動物を保持領域から屠殺場または食肉包装工場に向けて移動させている時そして/または屠殺場または食肉包装工場の周囲領域に存在する時に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を動物の外側表面に付着させることに加えてか或はそれの代わりに使用可能である。種類Iの処理を行う場合には全てのケースで、生きている動物を屠殺するに先立って前記動物に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を付着させる前に水または洗剤水溶液で少なくとも1回徹底的に洗浄することを確保するのが好適である。
【0031】
また、本発明に従い、生きている動物を水または洗剤水溶液で洗浄した後、前記動物がまだ生きている間に、1種以上の界面活性剤または洗剤を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物に入れることで生じさせた水性混合物を前記動物に付着させることも可能である。
【0032】
種類IIの処理
請求項を包含する本明細書のいずれかの場所で用いる如き用語「屠体」は、死んだ動物を肉に変える時に用いられる処理操作のいずれかの段階の食肉処理された食肉用四つ足動物の体を表す。従って、用語「屠体」には、(i)食肉処理された動物の体全体、(ii)動物の胴体から頭および/または足を除去した後に残る胴体、(iii)切り取られた頭および切り取られた足自身、および(iv)2つに分割した後の胴体部分が含まれる。
【0033】
請求項を包含する本明細書のいずれかの場所で用いる如き用語「中または間(during)」は、(i)所定操作を実施している時間全体または(ii)そのような所定操作を実施している時間の全部ではないが所定操作を実施している時間のある部分1部分または2部分以上のいずれかの時間を表す。例えば、語句「皮を剥いでいる間」は、示す特定のある事項を(i)少なくとも皮を剥ぐ操作を所定の屠体に対して実施している時間全体、または別法として、(ii)皮を剥ぐ操作を所定の屠体に対して実施している時間全体ではなく1つ以上の時間の間実施することを意味する。また、そのような皮を剥ぐ操作(または他の特定操作)は例えば皮を所定屠体に対して実施する操作の開始時から終了時まで連続的に動物から剥ぐ必要がある意味で連続的である必要はないことも注目されたい。そのような剥ぐことは操作(例えば皮を剥ぐ操作)全体を行っている間連続的であるか或は休みを伴わせて断続的であってもよく、従って、その特定の事項は、(i)少なくとも所定の操作(例えば皮を剥ぐ操作)を所定の屠体に対して実施している時間全体で(そのような操作を実施している時に取る休みのいずれも包含)、または別法として、(ii)所定の操作(皮を剥ぐ操作)を所定の屠体に対して実施している時間全体ではなく1つ以上の時間の間(そのような操作を実施している時に取る休みのいずれも包含)、実施される。
【0034】
請求項を包含する本明細書のいずれかの場所で用いる如き用語「直前に(directly precedes)」は、特定の事項(例えば屠体を水性殺微生物剤組成物と接触させること)を次の操作(例えば皮または皮膚を除去する操作)を始める前に実施すること、つまりその特定の事項を実施する場所から次の操作を実施する場所に屠体を移送する以外は介在する操作を全く実施することがないことを意味する。
【0035】
本発明の1つの態様に従い、少なくとも1種の食肉用四つ足動物の非摘出屠体の外側表面を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物とすく1回接触させる。この接触は、前記屠体を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の中に浸漬するか、前記屠体に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を浴びせる(showering)か、噴霧する(spraying)か或は霧をかける(misting)か、或は皮を剥ぐ前、間および/もしくは後、または毛および/もしくは剛毛を除去した後であるが各場合とも摘出を行う前に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が屠体と直接接触するようにそれをかける他のいずれかの方法を用いて実施してもよい。このように、皮を剥いだ後に中間的水洗浄を伴わせるか或は伴わせないで摘出を実施する動物処理の場合、本発明のこの態様における接触を摘出操作を始める前であるが、皮を剥ぐ段階の前、間および/または後に行うべきである。摘出を行う前に皮を剥がない動物処理の場合(例えば屠体に焦がすことまたはせん断を受けさせて毛および/もしくは剛毛を除去した後に中間的水洗浄を伴わせるか或は伴わせないで摘出を実施する場合)、通常は、本発明のこの態様における接触を摘出操作を始める前であるが、焦がしまたはせん断を行った後に実施すべきである。また、前記除去を焦がす方法以外の方法で実施する時には、前記接触を毛および/または剛毛を除去している間に実施することも可能である。そのようないずれの場合にも(即ち摘出前に皮を剥ぐか或は皮を剥がない場合)、間隔を開けて吊るした屠体を移動させるラインの中で前記接触を各屠体の露出表面が本発明に従って用いる殺微生物剤水溶液でぬらされ、かつ少なくとも5秒間、好適には少なくとも30秒間ぬれたままであるように実施すべきである。また、いずれの場合にも、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を前以て加熱しておくことで、その溶液を摘出前の屠体にかける時のスプレーまたは霧の温度を室温以上であるが約70℃以下の温度、好適には約39℃以下の温度にする。そのような加熱によって本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が示す殺生物活性が実質的に低下することはないことから、本組成物は、そのように加熱することができることから、自動化屠殺場で実施されている通常の処理ライン速度が過度に遅くなることはないことが確保される。
【0036】
本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を皮剥ぎ中の動物の屠体にかける場合、そのかける方法として噴霧または霧化のいずれかを用いるのが便利である。このようにして、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を皮剥ぎ中に屠体にかける操作が悪化することがないようにする目的で通常の皮剥ぎ操作を実質的に変える必要はない。
【0037】
本発明の1つの好適な態様では、間隔を置いて吊るした一連の非摘出動物屠体をスプレーゾーン、例えば屠体がスプレーゾーンの中を通る時に少なくとも1体の屠体の表面の上に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の少なくとも1種のスプレーまたはシャワーを、好適には複数のスプレーを向けさせるノズルおよび/またはスプレーヘッドが備わっている1つ以上のキャビネットまたはシャワーストール領域の中に通す。そのスプレーで覆うことで、その吊るされている屠体の表面の全部が本発明の殺微生物的に有効な水性組成物にさらされかつ接触することが確保されるべきである。この態様において、そのスプレーゾーンの中に入れる非摘出屠体は剥き出し(即ち皮が剥がれた)状態であるか或は皮も皮膚もそのままであるが毛および/もしくは剛毛が屠体から典型的には焦がし、せん断または毛および/もしくは剛毛を除去する他の適切な技術で除去された状態のいずれかであり、皮を剥ぐことと毛および/もしくは剛毛を除去することの間の選択は処理すべき動物の種類に依存する。例えば、ウシの場合には、典型的に、屠体をスプレーゾーンの中に入らせて本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を用いた本発明の抗微生物処理を行う前に皮を剥いでおく一方、ブタの場合には、屠体をスプレーゾーンの中に入らせてそのような処理を行う前に典型的には屠体を焦がすことで表面の毛および/または剛毛を焼失させておく。屠体がスプレーゾーンを出た後、典型的には、その屠体に濯ぎ水による洗浄を適切な任意技術、例えば浸漬、噴霧、水中に沈めることなどで受けさせた後、摘出を受けさせるか、或は中間的な水洗浄を行わないで処理中の次の段階として摘出を受けさせる。
【0038】
本発明の更に別の好適な態様は、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を摘出中の動物の屠体にかけることを伴う。正常または通常の摘出手順により妨害される可能性を最小限にする目的で、屠体に摘出を受けさせる時間の大部分(全部ではないにしても)の間、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を屠体に霧または低圧の微細スプレーとしてかけるのが好適である。そのような霧化または微細スプレーを用いることで、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物で屠体および内臓の両方を徹底的にぬらすと同時にそのような操作の有効性が悪化しないことを確保する。そのような好適な態様の特別な利点は、本発明の非常に有効な水性殺微生物剤組成物を存在させかつ連続的にかけると内臓が崩壊した場合に起こる微生物または細菌の混入が迅速に防除される点にある。その結果として、そのような微生物または細菌の混入によって次に起こる屠体の汚染をラインの休止無しに回避することができる。この好適な態様の付属として、取り出した後の内臓を洗浄ゾーンに移送または運んでもよく、そのゾーンの中で前記内臓を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が入っている浴の中に有効な微生物および細菌防除が確保されるに充分な時間浸漬する。
【0039】
本発明のさらなる態様は、摘出を受けさせた屠体の内側および外側の屠体洗浄を屠体解体操作を行う前および/または間および/または後に実施する態様である。本発明に従ってそのように屠体の内側と外側の洗浄を実施する時、スプレー送達システム、例えばプローブまたはバイオネットなどを用いるのが好適であり、それを本発明に従って用いることで、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の加圧スプレーを屠体の内部空洞部の中にかけ、かつ別のスプレー送達システム、例えば一連のノズルなどを用い、そのようなシステムを用いることで、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を屠体の外部にかける。本発明の特に好適な態様では、そのようなスプレー送達システムを用いて屠体の内部空洞部にかける本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の残存臭素の方をスプレー送達システムを用いて屠体の外側にかける本発明の殺微生物的に有効な水性組成物のそれよりも高くする。屠体の内部空洞部を洗浄する目的で用いる水の活性臭素含有量および屠体の外側を洗浄する目的で用いる水の活性臭素含有量は同じ成分、例えば前記a)、b)またはc)の成分に由来するものであってもよく、通常は同じである。しかしながら、そのような内側と外側を洗浄する目的で用いる殺微生物的に有効な水性組成物中の活性臭素はa)、b)またはc)の異なる成分から生じさせたものであってもよい。
【0040】
本発明の別の好適な態様では、摘出を受けさせた多数の吊るした動物屠体を冷却ゾーンの中に運ぶか或は他の様式で移送している時そして/またはそれらが冷却ゾーンの中に入った後、それらにそれらがまだ温かい間(即ち動物が生きている間の元々の体熱の全部が屠体から失われていない間)に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物の少なくとも1種のスプレー、シャワーまたは霧吹きを受けさせることで、前記組成物が前記屠体の内部および外側の両方と接触するようにする。その吊るした屠体を冷却ゾーンに向けて移送している時、その移動している屠体への噴霧、浴びせまたは霧かけを適切な1個以上のスプレーまたは霧化キャビネット内でか或は1個以上のシャワーストールまたはシャワーゾーン内で実施してもよい。場合により、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物をかけた後に濯ぎ水をかけてもよい。屠体が冷却ゾーンの中に入っている時、典型的には、固定された静止状態または回転し得る状態で、前記噴霧、浴びせまたは霧かけを適切な単一の時間の間(single period of time)連続的に実施してもよいが、好適には、そのようなスプレー、シャワーまたは霧を屠体に定期的にかけてもよい。このような好適な態様は、特に、屠体に熟成を典型的には冷却ゾーン内で約6から約16時間の範囲の時間受けさせた場合のウシを処理する時に用いるに有利である。そのようなスプレー、シャワーまたは霧をかけると、特にそれを熟成期間中に定期的に実施するならば、微生物の発生および増殖が有効に防止されるばかりでなく肉が柔らかさを失わないままである。それとは全く対照的に、肉が乾燥することも堅くなることもないように冷却ゾーンの中で熟成を実施している間にただの水のスプレー、シャワーまたは霧をかけると結果として細菌集団が爆発的に増殖する傾向がある。
【0041】
本発明の別の特徴は、その摘出を受けさせて吊るした動物屠体を冷却ゾーンの中に移動させるか或は他の様式で移送している時そして/またはそれらが冷却ゾーンに入った後、それらに本発明の殺微生物的に有効な水性組成物による噴霧、浴びせまたは霧かけをそれ自身の温度が約15℃以下、好適には約10℃以下、より好適には約7℃以下の低温であるようにして受けさせるが、全てのケースで、その温度を本殺微生物剤溶液の凍結温度より高い温度にする。従って、そのような操作で冷スプレー、シャワーまたは霧を用いることはいくつかの機能を果たすことが分かるであろう。まず最初に、冷スプレー、シャワーまたは霧を屠体にかけるとそれをそのような低温で用いたとしても優れた微生物および/または細菌防除がもたらされる。2番目として、冷スプレー、シャワーまたは霧を屠体にこれが冷却ゾーンの中に移動しているか或は他の様式で移送されている時そして/またはそれらが冷却ゾーンの中で入った直後にかけると、それは屠体の冷却(chilling)に役立つ。3番目として、冷スプレー、シャワーまたは霧を所望の低温になるように既に充分に冷却されている(chilled)屠体にかけると、その冷えている屠体の温度が実質的に高くなることはない。全てのケースで、そのスプレー、シャワーまたは霧の被覆によって、その吊るされている屠体の表面が本発明の殺微生物的に有効な水性組成物に接触することが確保されるべきである。
【0042】
本発明の別の好適な態様に従い、3つの重要な動物処理段階またはステーションの中の少なくとも2つで本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を用いることで食肉用四つ足動物、特にウシまたはブタの処理における有効な殺微生物制御をもたらし、それによって、生産性に実質的な影響を与えることなく、過塩素酸塩または塩素を用いて生じさせた他の殺微生物剤を用いた時よりも有効な殺微生物制御を達成する。
【0043】
より詳細には、そのような本発明の好適な態様に従い、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を食肉用四つ足動物の屠体と下記の3操作の中の少なくとも2操作を行っている間に接触させる:(1)皮を剥ぐ前、間および/もしくは後または毛および剛毛を除去する前および/もしくは後そしてある場合には焦がす以外の方法で毛および/もしくは剛毛を除去している間、(2)摘出中、および(3)冷却(chilling)直前および/または冷却(chilling)中。そのような3つの操作の各々を実施する方法を本明細書の上に記述した。
【0044】
特に好適な態様では、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物をウシを最新技術の屠殺場で処理する時の下記の操作の中の少なくとも2つ、好適には少なくとも3つ、より好適には少なくとも4つ、最も好適には少なくとも5つで用いる:(1)皮剥ぎ、(2)皮剥ぎと摘出前の間の消毒、(3)摘出、(4)屠体解体、(5)最終洗浄および(6)冷却(chill)。(2)以外の操作を典型的には最新技術の屠殺場(勿論、如何なる操作にも本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が用いられていない)でウシを処理する時に実施する。操作(2)は本発明のユニークな操作であると考えている操作である。本発明に従って操作(1)、(2)、(3)、(4)および(6)を実施する方法を本明細書の上に記述した。操作(5)、即ち最終洗浄操作では、そのような操作を実施するに便利な如何なる方法も本発明に従って使用可能であり、それを単に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を洗浄水のいくらかまたは全部に含有させることで実施する。
【0045】
別の特に好適な態様では、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を最新技術の屠殺場でブタを処理する時に用いられる下記の操作の中の少なくとも2つ、好適には少なくとも3つ、最も好適には4つ全部で用いる:(1)皮剥ぎと摘出前の間の消毒、(2)摘出、(3)解体および(4)冷却(chill)。(1)以外の操作を典型的には最新技術の屠殺場(勿論、如何なる操作にも本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が用いられていない)でブタを処理する時に実施する。操作(1)は本発明のユニークな操作であると考えている操作である。本発明に従って操作(1)、(2)、(3)および(4)を実施する方法を本明細書の上に記述した。
【0046】
本発明に従う噴霧操作を動物屠体処理ラインの中のいろいろな段階または場所の1つ以上で実施する時、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を動物屠体にかける目的で用いるノズルは固定式または連結式ノズルであってもよい。加うるに、本発明の実施で用いる噴霧、浴びせまたは霧化段階を実施している間、回転式ブラシまたは本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と屠体の間の接触を向上させる他の方法、例えば超音波エネルギーの使用などを利用することができる。その後、その屠体を奇麗な水で濯ぐ必要があるか或は望ましい場合には濯ぎを実施してもよい。そのような濯ぎ用水は新鮮な水または再循環させた水または両方の組み合わせであってもよい。再循環させた水を用いる場合、先行する使用で残存する不純物を有効に除去しておくべきである。
【0047】
本発明のさらなる態様に従い、本発明のいろいろな態様を実施する時に生じる廃水の量を最小限にすることができる。例えば、吊るした多数の個々の屠体をいろいろな処理ステーションが備わっている処理ラインに通して移送するシステムでは、少なくとも1つの所定ステーションに、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を前記ラインのそのステーションに向ける流れを開始または停止させる装置と有効に連結している少なくとも1個の適切に位置させた移動感知器または検出器を装備する。その感知器で屠体がこの屠体にスプレー、シャワーまたは霧をかけるべきステーションの中の特定ゾーンの中に入ったことを検出した時点で、その感知器は、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を流すスイッチを入れるスタート−ストップ装置にシグナルを送る。その流れを維持した後、そのシステムを用いていろいろな方法で停止させる。1つの方法は、前以て決めておいた量のスプレー、シャワーまたは霧を屠体にかける充分な時間が経過した後にそのスプレー、シャワーまたは霧の流れが自動的に停止するように前記流れを前記ラインの中の前記ステーションの所を屠体が移動する速度と連携させて特定の時間持続させる方法である。
【0048】
別の方法は、前以て決めておいた体積の液体流れがスプレー、シャワーまたは霧化装置に送られた後に流れを自動的に停止させる方法である。更に別の方法は、屠体が前記ステーションの中の2番目の位置に進行した時点で別の移動感知器または検出器で流れを停止させるシグナルをスタート−ストップ装置に送る方法である。そのような移動感知器または検出器をこれが屠体自身の存在を感知するように位置させてもよい。別法として、屠体を運ぶシステムの適切な部分、例えば屠体を吊るす機械用の移動担体、または屠体を吊るす機械またはそれの一部、例えば吊るされている屠体を保持するワイヤー、ケーブル、鎖、シャックルまたはフックなどの存在を感知するようにそれらを位置させることも可能である。
【0049】
この上に示した廃水を最低限にする本発明の態様で用いるに適するように本技術分野で公知の適切な移動感知もしくは検出装置を適合させてもよい。エレベーターに入る人の存在を感知してエレベーターのドアを開いたままにするか或はドアを引っ込めるいわゆるエレクトリックアイは、通常に遭遇する感知装置として働く。他のいろいろな装置も公知である。例えば米国特許第6,623,348号を参照。
【0050】
本発明で種類IIの操作を実施する時、検査の目的ばかりでなく摘出の目的で屠体の切断を行う前および/または間に本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を屠殺にかけてもよい。
【0051】
種類IIIの処理
本発明に従うこの種類の処理は、屠殺した動物1種または2種以上に由来する生肉製品および/または加工肉製品を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と接触させることを含んで成る。この接触は、前記生肉および/もしくは肉製品の生成または調製前、中および/もしくは後の適切な1段階以上で実施すべきである。本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を生肉および/または肉製品にかける方法はこの上に記述した方法とほぼ同じである。このように、噴霧、浸漬、入浴(bathing)または浴びせ(showering)などの操作を用いることができる。また、小型の屠殺場または食肉包装工場では、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物をかける目的で、手に持つスポンジまたは洗浄用布を用いることも可能である。その生肉製品および/もしくは加工肉製品またはこれらの前駆体を自動運搬装置、例えばコンベアベルト(これの上に前記製品または前駆体を担持させて運ぶ)、または移動するトラック、ベルトまたはケーブル(これを用いて前記製品または前駆体を吊るし、担持しそして運ぶ)を用いて移動させてもよい。
【0052】
本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と接触させることができる生肉の形態は、動物屠体に典型的に由来する如何なる形態であってもよい。そのような生肉製品の非限定例には、(a)切り分けられた肉、例えばステーキ、チョップ、リブ部分、ミートローストカット、ハム、ロイン、ベーコンおよび他の同様な切り分けられた肉、(b)動物器官、例えば肝臓、腎臓、胃袋、小腸、舌および他の器官および器官部分、および(c)生ひき肉、例えば牛のひき肉、豚のひき肉、生肉ソーセージなどが含まれる。本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と接触させることができる加工肉製品の非限定例には、直ぐ食べられるデリ製品、ソーセージ、フランクフルター、薄切り肉、ジャーキーおよび他の加工肉製品が含まれる。
【0053】
本発明の殺微生物的に有効な水性組成物をかけるに好適な生肉製品には、赤身の肉、赤身の肉部分、白身の肉および白身の肉部分が含まれる。本発明の殺微生物的に有効な水性組成物をウシから得られた生赤肉(ビーフ)またはブタから得られた生白肉(ポーク)にかけるのが最も好適である。
【0054】
種類IIIの処理で用いる本発明の殺微生物的に有効な水性組成物は、残存臭素を遊離臭素として約0.5から約400ppm(重量/重量)の範囲内で有する、即ち活性臭素含有量が約0.5から約400ppm(重量/重量)の範囲内の組成物である。そのような組成物の残存臭素を、処理すべき個々の生肉製品および/または加工肉製品に応じて変える。多くのケース、例えば切り分けられた生肉およびひき肉または薄く切られた肉製品の処理などでは、使用する組成物の残存臭素を前記範囲の下限、例えば約0.5から約100ppm(重量/重量)の範囲内にし、ある場合には、約0.5から約50ppm(重量/重量)の範囲内の如く低くする。言い換えれば、多くの場合、本組成物に残存する臭素を遊離臭素として約0.5から約100ppm(重量/重量)の範囲内にし、ある場合には、遊離臭素として約0.5から約50ppm(重量/重量)の範囲内の如く低くする。
【0055】
図の言及
図1および2のブロック図を用いて、これらに限定するものでないが、それぞれウシおよびブタに適用した時の本発明を例示する。図1に示すウシ処理段階および図2に示すブタ処理段階から分かるであろうように、大型の最新技術の屠殺場または食肉包装工場では典型的に一連の段階が用いられ得る。示す段階のいくつかは他の1つ以上の段階と組み合わせ可能でありかつ段階のいくつかは排除可能であると理解および評価されるべきである。その上、示す段階のいくつかは示した順とは異なる順でも実施可能である。それにも拘らず、図1および2は、本発明を生きている動物および食肉処理後の屠体に関して実施することを可能にする方法の少なくともいくつかを例示するものであると考えている。限られた度合ではあるが、また、本発明に従う生肉製品の処理も本図から理解され得るであろう。
【0056】
ここに、図1を参照して、数字は、本発明に従って生きている動物、屠体またはそれの一部を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と接触させることができる典型的な段階を示している。このように、そのような接触は、10の時点のウシ受け取りおよび保持中、そして/または12の時点の生きている動物を気絶場所に送っている間、そして/または14の時点の気絶させている間、そして/または16の時点の気絶させた生きている動物を方血場所に送っている間に実施可能である。そのような接触をまた下記の段階の中のいずれかの1段階以上で実施することも可能である:18の時点の頭およびすねを除去する前、そして/または20の時点の頭およびすねを除去している間、そして/または22の時点の皮を剥ぐ前、そして/または24の時点の皮を剥いでいる間、そして/または26の時点の摘出前、そして/または28の時点の摘出の間。そのような処理地点で、通常用いられる2つの方策の中の1つを用いることができる。1つの方策では、本発明に従う接触を下記の段階の中の1つ以上の段階で実施してもよい:30Aの時点のトリミングおよび屠体洗浄前、そして/または32の時点のトリミングおよび屠体洗浄中、そして/または34の時点の切断および骨除去前、そして/または36の時点の切断および骨除去中、そして/または38の時点の冷却(chilling)および冷貯蔵前、そして/または42の時点の冷却(chilling)および冷貯蔵中。2番目の方策では、本発明に従う接触を下記の段階の中の1つ以上の段階で実施してもよい:30Bの時点の冷却(chilling)前、そして/または42の時点の冷却(chilling)中、そして/または44の時点の切断および骨除去前、そして/または46の時点の切断および骨除去中、そして/または48の時点の冷貯蔵前、そして/または50の時点の冷貯蔵中。本発明に従い、図1に示した如き接触は方血中を除いて示した段階の中のいずれか1段階以上で実施してもよいことを特記する。これは好適に相当する、と言うのは、方血中に接触を実施すると動物から放出させた血液が希釈される傾向があるからである。しかしながら、本発明に従い、方血中に接触を実施することも可能である。
【0057】
図2に、生きている動物、屠体またはそれの一部を本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と接触させることができるブタ処理中の段階を図1と同様な様式で例示する。従って、そのような接触は、11の時点のブタ受け取りおよび保持中、そして/または13の時点の生きている動物を気絶場所に送っている間、そして/または15の時点の気絶させている間、そして/または17の時点の気絶させた生きている動物を方血場所に送っている間に実施可能である。そのような接触をまた下記の段階の中のいずれかの1段階以上で実施することも可能である:19の時点の熱湯消毒前、そして/または21の時点の熱湯消毒中、そして/または23の時点の脱毛前、そして/または25の時点の脱毛中、そして/または27の時点の焦がし前、そして/または29の時点のこすりおよび磨き前、そして/または31の時点のこすりおよび磨き中、そして/または33の時点の摘出前、そして/または35の時点の摘出中、そして/または37の時点の屠体解体前、そして/または39の時点の屠体解体中、そして/または41の時点の屠体冷却前、そして/または43の時点の屠体冷却中、そして/または45の時点の切断および骨除去前、そして/または47の時点の切断および骨除去中、そして/または49の時点の冷貯蔵前、そして/または51の時点の冷貯蔵中。本発明に従い、図2に示した如き接触は方血中および焦がし中を除いて示した段階の中のいずれか1段階以上で実施してもよいことを特記する。方血中に接触を実施しないことは好適に相当する、と言うのは、方血中に接触を実施すると動物から放出させた血液が希釈される傾向があるからである。しかしながら、本発明に従い、方血中に接触を実施することも可能である。加うるに、焦がし中に接触を実施しないことは別の好適に相当する、と言うのは、焦がし中に水溶液を屠体にかけることは焦がし操作の実施で用いられる通常条件にそぐわないからである。しかしながら、焦がし条件を水溶液の存在によってそのような焦がし操作が過度の妨害を受けないように考案することができれば、本発明に従う接触をそのような環境下で利用することも可能である。
【0058】
他の考慮
前記から明らかなように、本発明の殺微生物的に有効な1種以上の水性組成物を用いて生きている食肉用四つ足動物、食肉用四つ足動物の屠体および/または食肉用四つ足動物の屠体に由来する生肉製品および/または加工肉製品に微生物および細菌が混入しないように動物屠殺場または食肉包装工場の中の1つ以上の特定場所でそれを有効に制御する。
【0059】
a)の殺微生物的に有効な水性組成物を水と臭素源とハロゲン安定化剤とアルカリ金属塩基もしくはアルカリ土類金属塩基から生じさせる。典型的には、そのような材料から濃水溶液、例えば活性臭素含有量が少なくとも100,000ppmの水性濃縮液などを生じさせる。活性臭素が215,000ppm以上の如く高い濃縮液を生じさせることも可能である。次に、そのような濃縮液を水で希釈することでa)の殺微生物的に有効な水性組成物を生じさせて、それを実際に生きている動物、動物の屠体、前記動物屠体の生肉製品および/または加工肉製品と接触させる時に用いる。また、その濃縮液から水を除去することで抗微生物剤を微細固体形態で生じさせた後、そのような固体をまた本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物を生じさせる時に用いることも可能である。そのような組成物およびそれらの調製はいろいろな特許開示に記述されており、そのような特許には米国特許第6,123,870号、6,156,229号、6,287,473号および6,423,267号が含まれる。前記臭素源は好適には塩化臭素または塩化臭素と臭素の混合物である。しかしながら、必要ならば、臭素と塩素の混合物または塩化臭素と臭素と塩素の混合物を用いることも可能である。a)のそのような水性抗菌剤溶液を生じさせる時に用いるハロゲン安定化剤は、前記特許の中の1つ以上に記述されているハロゲン安定化剤のいずれであってもよい。そのようなハロゲン安定化剤の例は、R−NH、R−NH−R、R−SO−NH、R−SO−NHR、R−CO−NH、N−CO−NH−RおよびR−CO−NH−CO−R(ここで、Rはヒドロキシル基またはアルキル基または芳香基であり、そしてRはアルキル基または芳香基である)から成る群の化合物である。前記特許各々の開示は全体が引用することによってあたかも本明細書に詳細に示す如く本明細書に組み入れられ、従って、a)の抗微生物剤水溶液を生じさせる時に使用する材料、それらを使用する様式およびそれらを使用する条件は前記特許の開示に示されている如くである。
【0060】
a)の殺微生物的に有効な水性組成物を希釈で生じさせる時に用いるに好適な殺微生物的に有効な水性濃縮液は、米国特許第6,068,861号、6,299,909号、6,306,441号、6,322,822号、6,348,219号、6,352,725号、6,375,991号、6,496,169号、6,506,148号および6,511,682号の中の1つ以上に示されている濃縮液である。前記特許各々の開示は全体が引用することによってあたかも本明細書に詳細に示す如く本明細書に組み入れられ、従って、a)の抗微生物剤水溶液を生じさせる時に使用する材料、それらを使用する様式、それらを使用する条件およびそれらを使用する様式は前記特許の開示に示されている如くである。そのような抗微生物剤水溶液の場合の活性臭素は、後者の群の特許に開示されているように、スルファミン酸塩と塩基が入っている組成物に入っている状態である。
【0061】
生きている動物、動物の屠体、前記屠体から切り取った生肉製品および/または前記動物屠体に由来する加工肉製品と接触させるa)の殺微生物的に有効な水性組成物を希釈で生じさせる時に用いるに好適な殺微生物的に有効な水性濃縮液は、水を含んで成ってこれに溶液の状態で入っている活性臭素の含有量が少なくとも約100,000ppm(重量/重量)である殺生物剤組成物であり、前記活性臭素含有量は、(i)塩化臭素または塩化臭素と臭素の組み合わせと(ii)スルファミン酸のアルカリ金属塩の水溶液に由来するか、或は(iii)水とスルファミン酸のアルカリ金属塩に由来するか、或は(iv)水とアルカリ金属塩基とスルファミン酸に由来するか、或は(v)(ii)と(iii)と(iv)の任意組み合わせに由来し、そしてそれは、前記殺生物剤組成物に入っている活性臭素に対する窒素の原子比が0.93超でありかつ前記殺生物剤組成物のpHが少なくとも10、より望ましくは少なくとも12、更により望ましくは少なくとも13から14であるような相対的比率である。
【0062】
前記b)の組成物を生じさせる時に用いる殺微生物的に有効な水性濃縮液を、水と(i)臭化アンモニウムおよび/または少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩で構成させた成分から生じさせる。そのような成分が相互作用することで残存臭素量が適切に高い水溶液がもたらされ、それを典型的には追加的水で希釈することでb)の水溶液を生じさせて、それを生きている動物、動物の屠体、生肉製品および/または加工肉製品と接触させる。b)の抗微生物剤水溶液を生じさせる時に臭化アンモニウムおよび/または適切ないろいろなアルカリ金属の臭化物、例えばLiBr、NaBr、KBrなどおよび/または適切なアルカリ土類金属の臭化物、例えばMgBrおよびCaBrなどを用いることができる。この使用ではNaBr、特に痕跡量のアルコール、例えばメタノールなどを除去しておいたNaBrが好適である。同様に、いろいろなアルカリ金属の次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属の次亜塩素酸塩も使用可能である。このように、次亜塩素酸リチウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウムなどの如き材料を用いることができる。そのような次亜ハロゲン酸塩の中で次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カリウムの使用が最も好適である。b)の抗微生物剤溶液を生じさせる時に臭化アンモニウムを臭素源として用いる場合、それと一緒に次亜塩素酸ナトリウムを米国特許第6,478,973号に記述されている様式で用いるのが望ましい。次亜塩素酸塩溶液は商品としていくつか商業的に入手可能である、と言うのは、それらは漂白剤として有用であるばかりでなく他の有用な製品を生じさせる時の中間体としても有用であるからである。Be、SrまたはBa金属の臭化物も次亜塩素酸塩も毒性が懸念されることから用いるべきではない。従って、本明細書で用いる如き用語「アルカリ土類」にはBe、SrおよびBaを含めない。
【0063】
次亜塩素酸塩を使用する臭化物塩の量を基準にして過剰量で用いると、その結果としてもたらされる溶液は残存臭素ばかりでなく塩素が基になった種も含有するであろう。そのような塩素が基になった種は、用いる溶液に残存する臭素が必要な量で存在する限り有害ではない。いくらか過剰量で存在する次亜塩素酸塩を好適にはアルカリ金属の次亜塩素酸塩またはアルカリ土類金属の次亜塩素酸塩の水溶液を用いて逆滴定することで、その溶液に残存するハロゲンが本質的に残存臭素で構成されるようにする。
【0064】
c)の殺微生物的に有効な水性濃縮液を通常は前以て生じさせておいたa)とb)の殺微生物的に有効な濃縮液を一緒に混合することで生じさせる。
【0065】
必要ならば、所望の残存臭素を有する組成物を生じさせるに充分な量の水を用いてa)、b)またはc)の成分を混合することで所望の残存臭素[例えば臭素として約400ppm(重量/重量)以下の]を有するa)、b)またはc)の殺微生物的に有効な水性組成物を直接生じさせることも可能である。
【0066】
本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と協力させて(in conjunction with)他の添加剤を用いることも可能であるが、但しそのような他の添加剤1種または2種以上が無毒であり、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と適合しかつ本発明の殺微生物的に有効な水性組成物が示す殺微生物効果を如何なる明らかな様式でも他の様式で損なわせないものであることを条件とする。「と協力させて」は、たいていは他の添加剤成分1種または2種以上を使用する水の中に個別に供給することを意味し、例えばそのような他の添加剤が普通の酸化剤で酸化され易い場合には、それを本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と直接混合することは行わない。必要ならば、一般に、次亜ハロゲン酸塩である漂白剤の水溶液と適合する添加剤、例えば特定のラジカル捕捉剤、キレート化剤、pH緩衝剤、界面活性剤、洗剤および重合体(例えば米国特許第6,506,718号またはこの主題に関して出版された他の文献などに詳細に記述されている)を用いることも可能である。また、1種以上の湿潤剤、ヒドロトロープ、増粘剤、消泡剤および前記判断基準を満たす同様な機能的添加剤を用いることも可能である。選択した適切な添加剤を用いる場合、それを本発明の殺微生物的に有効な水性組成物と協力させて用いる時の各々の量は、その用いるそれがその特性を示すに充分な量であるべきである。そのような他の添加剤の製造業者による推奨がそれに関する指針として有用である。
【0067】
好適には、前記a)、b)またはc)で言及した本発明の殺微生物的に有効な水性組成物がそれで処理した水性媒体中の由来する単独の殺微生物活性源であるようにする。
【0068】
接触または洗浄操作を本発明に従って用いると、それによって病原体、例えばリステリア、エシェリキア、サルモネラ、カンピロバクター種などが有効に防除される(生きている食肉用四つ足動物、前記動物の屠体、前記屠体から切り取った生肉製品および/または前記屠体に由来する加工肉製品から本質的に除去されないにしても)ことが確保される。その上、処理量が高いことが必須である大規模の食肉用四つ足動物処理ラインで本発明の殺微生物的に有効な水性組成物をそのような段階またはステーションで用いると、それは、この殺微生物剤が作用する時間が得られるように前記ラインの速度を遅くする必要がないほど高い効果を示す。このように、処理ラインを通常の速度で操作することができる(速度を速くすることができないにしても)。その上、個々の段階またはステーションで用いる水の各々を所定の本発明の殺微生物剤を適切な殺微生物量で用いて処理することができ、このように、その工場全体で用いる前記殺微生物剤の種類は1種類のみであってもよく、従って、工場稼働の購入、貯蔵および棚卸しの面が簡単になる。実際、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を処理ラインの中の2つ以上の段階または場所で用いる本発明の態様では、殺微生物剤が同じ濃度で入っている水(即ち同じ残存臭素)を複数の段階または場所の各々に向かわせる水に入れて用いることができる。
【0069】
本発明のいろいろな態様を実施する時、本発明の殺微生物的に有効な水性組成物を生きている動物、動物屠体、生肉製品および/または加工肉製品にかける前および特に後に洗浄用水溶液を用いてもよい。そのような洗浄用水溶液には、様々な有用な追加的成分、例えば塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、重硫酸ナトリウム、乳酸、メタケイ酸ナトリウム、酸性化亜塩素酸ナトリウム、ペプチドである抗生物質、例えばナイシンなど、または同様な機能を果たす他の公知成分などのいずれかが入っていてもよい。
【0070】
本発明の殺微生物的に有効な水性組成物そして場合により次の洗浄用溶液と接触させた後の動物屠体、生肉製品および/または加工肉製品に追加的消毒操作を受けさせてもよい。このように、本発明の別の態様に従い、食肉用四つ足動物の屠体および/または前記屠体に由来する生肉製品および/または前記屠体に由来する加工肉製品を処理する方法を提供し、この方法は、(1)前記屠体、前記屠体に由来する生肉製品および/または前記屠体に由来する加工肉製品を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、
b)(i)臭化アンモニウムおよび/または少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成させた残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である殺微生物的に有効な溶液と少なくとも1回接触させること、および(2)前記屠体、前記屠体に由来する生肉製品および/または前記屠体に由来する加工肉製品に電離放射線、紫外線、マイクロ波、パルス光、電場、静水圧、音波処理、赤外線、オゾン処理およびオゾン洗浄から選択した少なくとも1種の汚染除去処理を受けさせることを含んで成る。段階(1)および(2)はいずれかの順および/または同時に実施可能である。
【0071】
「残存臭素」を測定するに適した方法は公知であり、文献に報告されている。例えばAmerican Public Health Association(1015 Fifteenth Street、NW、Washington、DC 20005)のStandard Methods For the Examination of Water and Wastewater(ISBN 0−87553−207−1)、第18版、1992、4−36頁および4−37頁;Hach Company(Loveland Colorado)著、Hach Water Analysis Handbook、第3版、1997の特に1206頁および1207頁;かつHandbook of Industrial Water Conditioning、第7版[Betz Laboratories,Inc.(Trevose、PA 19047)(Library of Congress Catalog Card Number:76−27257)、1976]の24−29頁を参照のこと。前記文献には典型的に「残存塩素」が言及されており、同じ技術を用いるが、臭素の原子重量の方が塩素のそれよりも高いことを考慮に入れることで、「残存臭素」を測定する。
【0072】
用語「残存臭素」は、消毒で使用可能な処理水中に存在する臭素種の量を指す。残存量は、用いる分析試験方法に応じて、「遊離(free)」または「全体(total)」のいずれかとして測定可能である。本ケースでは、残存臭素に関する数値を本明細書では遊離臭素を基にして示した。以下に示す「遊離塩素」用の分析手順を用いることで前記値を監視することができる。しかしながら、必要ならば、以下に示す「全塩素」用の分析手順を用いることで残存臭素を「全臭素」を基に監視することも可能である。いずれの場合にも、得る数値を塩素に換算し、従って、そのような値に2.25をかけることで相当する臭素値を得る。典型的には、所定サンプルに関する「全臭素」を基にした値の方が同じ所定サンプルに関する「遊離臭素」を基にした値よりも高いであろう。理解にとって重要な点は、本発明は値を遊離塩素試験手順を用いてか或は全塩素試験手順を用いて測定したかに拘わらず(しかしながら、遊離塩素試験手順の使用を推奨する)、処理を受けさせた水性媒体中に実際に存在する残存臭素に関する。
【0073】
低濃度の活性ハロゲンを測定する標準的試験はDPD試験として知られており、これはPalinが1974年に考案した古典的な試験手順が基になっている。A.T.Palin、「Analytical Control of Water Disinfection With Special Reference to Diffrential DPD Methods For Chlorine,Chlorine Dioxide,Bromine,Iodine and Ozon」、J.Inst.Water Eng.、1974、28、139を参照のこと。Palin手順のいろいろな最新版が存在するが、推奨する試験版はHach Water Analysis Handbook,第3版、著作権1997に詳細に記述されている。「全塩素」(即ち活性塩素)用の手順は、379頁に見られる方法8167として前記出版物に示されている。簡単に述べると、「全塩素」試験は、活性ハロゲンが入っている希水サンプルにDPD指示薬粉末を含んで成る粉末(即ち、N,N’−ジエンジフェニレンジアミン、KIおよび緩衝剤)を導入することを伴う。存在する活性ハロゲン種がKIと反応するとヨウ素種がもたらされ、それがDPD指示薬を赤色/ピンク色に変える。その色の強度はサンプル中に存在する「全塩素」種(即ち活性塩素)の濃度に依存する。この強度を強度読み値を「全塩素」値(mg/L Clで表す)に変換するように較正を受けさせておいた比色計で測定する。存在する活性ハロゲンが活性臭素の場合、そのmg/L Clで表す結果に2.25を掛けることで、その結果を活性臭素のmg/L Brで表す。
【0074】
より詳細には、DPD試験手順は下記の通りである:
1. 水に存在していて「全塩素」試験に反応する種の量を測定する目的で、水サンプルを採取してから数分以内、好適には採取した後直ちに分析すべきである。
2. 水サンプルに存在していて「全塩素」試験に反応する種の量を試験するためのHach Method 8167は、Hach Model DR 2010比色計の使用を伴う。記憶させておいた塩素測定用のプログラム値をキーボード上の「80」のキーを打つことで呼び出した後、その装置の側面に位置するダイヤルを回転させることで吸収波長を530nmに設定する。2個の同じサンプル用セルに調査下の水を10mLの印の所まで入れる。前記セルの中の一方を任意にブランクとして選択する。2番目のセルにDPD Total Chlorine Powder Pilowの内容物を加える。それを10−20秒間振とうすることで混合するが、ピンク−赤色が現れることは、DPD「全塩素」試験試薬に陽性反応を示す種が水中に存在することを示している。キーパッド上のSHIFT TIMERキーを押して3分間の反応時間を開始させる。3分後に前記装置が反応が完了したことを示すシグナルを発する。ブランクサンプル用のセルをHach Model DR 2010のサンプル室に入れた後、散乱光の影響を防止する目的でシールドを閉じる。次に、ZEROキーを押す。数秒後にディスプレーが0.00mg/L Clを表示する。次に、前記装置をゼロにする目的で用いたブランクサンプル用セルをHach Model DR 2010のセル室から取り出した後、DPD「全塩素」試験試薬を添加しておいた試験サンプルを代わりに入れる。次に、ブランクに関して実施したようにして光シールドを閉じた後、READキーを押す。結果(mg/L Cl)が数秒以内にディスプレー上に表示される。これが調査下の水サンプルに入っている「全塩素」濃度である。塩素測定値が前記装置の測定範囲内になるようにする目的で試験サンプルをハロゲン要求のない水で希釈する必要があり得ることを注目すべきである。この希釈を当該サンプルの実際の塩素濃度を決定する時に考慮に入れる必要がある。
3. 遊離塩素を測定する1つの方法はHach Method 8021である。この方法では、水サンプルに存在していて「遊離塩素」試験に反応する種の量を試験する。この試験はHach Model DR 2010比色計の使用を伴う。記憶させておいた塩素測定用のプログラム値をキーボード上の「80」のキーを打つことで呼び出した後、その装置の側面に位置するダイヤルを回転させることで吸収波長を530nmに設定する。2個の同じサンプル用セルに調査下の水を10mLの印の所まで入れる。前記セルの中の一方を任意にブランクとして選択する。ブランクサンプル用のセルをHach Model DR 2010のサンプル室に入れた後、散乱光の影響を防止する目的でシールドを閉じる。次に、ZEROキーを押す。数秒後にディスプレーが0.00mg/L Clを表示する。次に、前記装置をゼロにする目的で用いたブランクサンプル用セルをHach Model DR 2010のセル室から取り出す。2番目のセルにDPD Free Chlorine Powder Pillowの内容物を加える。それを10−20秒間振とうすることで混合するが、ピンク−赤色が現れることは、DPD「遊離塩素」試験試薬に陽性反応を示す種が水中に存在することを示している。直ち(試薬を添加して1分以内)に、調製しておいたサンプルをセルホルダーの中に入れる。次に、ブランクに関して実施したようにして光シールドを閉じた後、READキーを押す。結果(mg/L Cl)が数秒以内にディスプレー上に表示される。これが調査下の水サンプルに入っている「遊離塩素」濃度である。塩素測定値が前記装置の測定範囲内になるようにする目的で試験サンプルをハロゲン要求のない水で希釈する必要があり得ることを注目すべきである。この希釈を当該サンプルの塩素濃度を決定する時に考慮に入れる必要がある。
【0075】
用語「活性臭素」は、勿論、殺生物活性を示し得るあらゆる臭素含有種を指す。酸化状態が+1の臭素は全部が殺生物活性を示し、従って用語「活性臭素」に含まれることは本技術分野で一般に受け入れられている。本技術分野で良く知られているように、臭素、塩化臭素、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩イオン、三臭化物イオン、および有機N臭素化化合物は酸化状態が+1の臭素を有する。従って、それらばかりでなくそのような他の種もそれらが存在する度合で本発明の組成物の活性臭素含有量を構成する。例えば米国特許第4,382,799号および5,679,239号を参照のこと。溶液に入っている活性臭素の量を測定するに適することが本技術分野で充分に確立されている方法は澱粉−ヨウ素滴定であり、この滴定では、活性臭素を構成している種がどんな種であり得るかに拘わらず、サンプルに入っている活性臭素の全部を測定する。臭素および他のいろいろな酸化剤を定量的に測定するに適した古典的な澱粉−ヨウ素方法の有用性および精度はWillard−Furman、「Elementary Quantitative Analysis」、第3版(D.Van Nostrand Company,Inc.、ニューヨーク、著作権1933、1935、1940)のXIV章が証拠として長年に渡って知られている。
【0076】
活性臭素を測定する典型的な澱粉−ヨウ素滴定を下記の如く実施する。ヨウ素用フラスコに磁気撹拌子および50ミリリットルの氷酢酸を入れる。活性臭素を測定すべきサンプルの重量(通常は約0.2−0.5g)を計量して、前記酢酸を入れておいたフラスコに加える。次に、そのフラスコに水(50ミリリットル)およびヨウ化カリウム水溶液[15%(重量/重量)、25ミリリットル]を加える。そのフラスコに水シールを用いたストッパーを付ける。次に、その溶液を15分間撹拌した後、前記フラスコからストッパーを外し、そしてそのストッパーとシール領域を水で濯いでフラスコの中に入れる。自動ビューレット(Metrohm Limited)に0.1規定のチオ粉砕ナトリウムを充填する。前記ヨウ素用フラスコに入っている溶液を0.1規定のチオ硫酸ナトリウムで滴定し、淡い黄色が観察された時点で、水中1重量%の澱粉溶液を1リットル加えると、前記フラスコに入っている溶液の色が淡い黄色から青色に変化する。チオ硫酸ナトリウムを用いた滴定を青色が消失まで継続する。サンプルの重量と滴定されたチオ硫酸ナトリウム溶液の体積を用いて活性臭素の量を計算する。このように、本発明の組成物に入っている活性臭素の量を実際の化学形態に関係なく定量的に測定することができる。
【0077】
本発明の実施で達成可能な1つの最終的結果は、生きている動物自身によって屠殺場もしくは食肉包装工場の中に持ち込まれる微小細菌混入の度合を最小限にすることによって前記屠殺場または食肉包装工場内の微生物汚染を非常に有効に最小限にすることができると言った結果である。別の最終結果は、動物屠体処理ラインの段階または場所の各々で屠体および肉製品に微生物が混入する度合を非常に有効に最小限にすることができると言った結果である。加うるに、本発明を用いると、本発明に従って実施する殺微生物操作によって製品の味、官能的品質、外観および健全さが実質的な様式で全く悪影響を受けていない肉製品を提供することができる。そして、本発明を適切に実施するならば、動物屠体の処理で用いられている以前から公知の殺微生物剤、例えば次亜塩素酸塩などを匹敵する濃度で水に入れて用いた時に達成される微生物制御よりも有意に高い微生物制御を達成することができる。
【0078】
この上に示したように、動物屠体およびそれの部分に対して起こる微生物および/または細菌の混入を有効に制御する目的で用いる方法が前記屠体に由来する肉の品質も特性も(特に肉の外観も味も)決して顕著に悪化させないことが極めて重要である。以下の実施例において、本発明は食肉用四つ足動物の屠体に由来する肉の品質も特性も(特に肉の外観も味も)決して顕著に悪化させない能力を有することを立証する。
【実施例】
【0079】
個々の生肉サンプルを個別に試験物質と直接接触させて前記物質の各々が肉の品質に対して示す影響を測定する試験を実施した。使用した生肉はウシの内腿肉であった。試験材料は下記であった:(a)家庭用漂白剤(市販の次亜塩素酸塩漂白溶液)、(b)塩素漂白剤としての含有量が50ppmの水希釈家庭用漂白剤、(c)2%の乳酸水溶液、そして本発明に従う(d)Stabrom 909濃殺生物剤水溶液を臭素として92ppm(Albemarle Corporation)[この上にa)として示した本発明の1つの態様の殺微生物的に有効な水性組成物を生じさせる時に用いるに有用な市販の濃溶液]。個々の牛肉サンプル(各々約30グラム)を80mmx40mmの結晶化用皿の中に入れた。前記試験サンプルの各々を個々の試験材料の中の1つ(30.0グラム)に5分間接触させた。個々の試験材料の中に浸漬する牛肉サンプルはサンプル全体ではなかった。実際、使用した量は、各牛肉サンプルの片面がそれの試験材料と接触しないような量であった。5分間の接触後、試験材料と接触していた領域を脱イオン水で濯いだ後、ペーパータオルで軽くたたくことで乾燥させた。その処理した肉の色を数分後に未処理肉片のそれと比較し、かつまた試験材料の中の別の材料で処理した肉のサンプルとも比較した。市販の家庭用漂白溶液で処理した牛肉サンプルは非常に暗色であり、そして水で希釈した市販の家庭用漂白溶液で処理した牛肉サンプルの色の方が未処理の肉よりも若干暗かった。乳酸で処理した肉サンプルの色は未処理の牛肉の色と非常に類似しているように見えた。Stabrom 909濃殺生物剤水溶液を水で希釈することで生じさせた本発明に従って用いる水性殺微生物剤組成物を用いて処理した牛肉サンプルの外観が未処理の牛肉のそれよりも暗い度合は僅かであった。
【0080】
本資料のどこかで化学名または化学式を用いて化合物を言及する場合、この言及が単数であるか或は複数であるかに拘らず、それらが別の物質[化学名または化学タイプで言及する](例えば別の成分、溶媒など)に接触する前にそれらが存在するようにそれらを同定する。結果として生じる混合物または溶液中でどんな化学変化(もしあれば)が起ころうとも問題でない、と言うのは、そのような変化は特定の物質を本開示に従って要求する条件下で一緒にする結果として自然に起こる事であるからである。
【0081】
また、本請求の範囲で物質を現在時制(「含んで成る」、「である」など)で言及することがあり得るかもしれないが、そのような言及は、本開示に従ってそれを他の1種以上の物質に最初に接触、ブレンドまたは混合する直ぐ前の時間にそれが存在していたように当該物質を言及するものである。
【0082】
冠詞「a」または「an」を本明細書で用いる場合、他の様式であると明らかに示すことができない限り、説明または請求項で示す冠詞が指す単一の構成要素に限定することを意図するものでなく、限定するとして解釈されるべきでない。むしろ、冠詞「a」または「an」を本明細書で用いる場合、本文で他の様式であると明らかに示さない限り、それに1種以上のそのような構成要素を包含させることを意図する。
【0083】
本明細書で言及した資料は全部あたかも本資料に詳細に挙げる如く引用することによって全体が本明細書に組み入れられる。
【0084】
本発明は添付請求項の精神および範囲内でかなりの変形を受け易い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、ウシ処理中に本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物を本発明に従ってウシおよび/またはウシ屠体と接触させることができる典型的な段階を示すブロック図である。
【図2】図2は、ブタ処理中に本発明に従って用いる殺微生物的に有効な水性組成物を本発明に従ってブタおよび/またはブタ屠体と接触させることができる典型的な段階を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉および/または肉製品1種または2種以上として消費するための食肉用四つ足動物の処理方法であって、
I)生きている動物の外側表面を、殺微生物剤溶液と、前記動物を屠殺処理している途中であるが、放血により死ぬ前に少なくとも1回接触させるか、或は
II)放血後の前記動物の屠体を殺微生物剤溶液と接触させるか、或は
III)前記屠体に由来する少なくとも1種の生肉製品および/または少なくとも1種の加工肉製品を殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させるか、或は
IV)I)、II)およびIII)の中のいずれか2つまたは3つ全部を実施する、
ことを含んで成っていて、前記殺微生物溶液が、各々独立して、
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、または
b)(i)臭化アンモニウムおよび/もしくは少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/または少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成されていて、a)、b)およびc)の各々における残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である方法。
【請求項2】
少なくともI)を実施する請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくともII)を実施する請求項1記載の方法。
【請求項4】
少なくともIII)を実施する請求項1記載の方法。
【請求項5】
IV)を実施する請求項1記載の方法。
【請求項6】
少なくともI)を実施し、そしてI)における接触を、屠殺場または食肉包装工場の周囲の外側で少なくとも1回実施する請求項1記載の方法。
【請求項7】
少なくともI)を実施し、そしてI)における接触を、動物屠体を処理する屠殺場または食肉包装工場内の領域に影響を及ぼす殺微生物剤混入の度合が最低限になるように、屠殺場または食肉包装工場の外側周囲領域で少なくとも1回実施する請求項1記載の方法。
【請求項8】
少なくともI)を実施し、そしてI)における接触を、放血後に動物屠体を処理する屠殺場または食肉包装工場内の領域に影響を及ぼす殺微生物剤混入の度合が最低限になるように、放血前に生きている動物の処理を実施する屠殺場または食肉包装工場の領域で少なくとも1回実施する請求項1記載の方法。
【請求項9】
I)における接触を動物がまだ生きている間に通るか或は通されるゾーンの中で少なくとも1回実施し、そして、前記ゾーン内で実施するI)における前記接触を、前記動物の外側表面にa)、b)および/またはc)の殺微生物剤溶液を浴びせそして/または噴霧することで実施する、請求項6−8のいずれか記載の方法。
【請求項10】
I)における接触を、動物の少なくとも蹄および下肢領域が前記殺微生物剤溶液に接触するように前記動物をa)、b)および/またはc)の殺微生物剤溶液が入っている少なくとも1つの浴の中に通すか或はその中に通させることでもまた実施する請求項9記載の方法。
【請求項11】
動物を浴びせおよび/または噴霧を実施するゾーンの中に通すか或は通させる前、間および/または後に前記動物を浴の中に通すか或は通させる請求項10記載の方法。
【請求項12】
動物を浴びせおよび/または噴霧を実施するゾーンの中に通すか或は通させる間および/または後に前記動物を前記浴の中に通すか或は通させる請求項10記載の方法。
【請求項13】
動物を浴びせおよび/または噴霧を実施するゾーンの中に通したか或は通させた後に前記動物を浴の中に通すか或は通させる請求項10記載の方法。
【請求項14】
移動可能シャワーまたはスプレーストール内で実施する請求項9記載の方法。
【請求項15】
移動可能シャワーまたはスプレーストール内で実施する請求項10記載の方法。
【請求項16】
食肉用四つ足動物をウシ、ブタおよびヒツジから選択する請求項1−8のいずれか記載の方法。
【請求項17】
食肉用四つ足動物をウシ、ブタおよびヒツジから選択する請求項9記載の方法。
【請求項18】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項1−8のいずれか記載の方法。
【請求項19】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項9記載の方法。
【請求項20】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項10記載の方法。
【請求項21】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項11記載の方法。
【請求項22】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項12記載の方法。
【請求項23】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項13記載の方法。
【請求項24】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項14記載の方法。
【請求項25】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項15記載の方法。
【請求項26】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項16記載の方法。
【請求項27】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項17記載の方法。
【請求項28】
用いる殺微生物剤溶液がa)であり、ここで、(i)の臭素源が塩化臭素または塩化臭素と臭素であり、(ii)の金属塩基が水酸化ナトリウムでありそして(iii)のハロゲン安定化剤がスルファミン酸塩またはスルファミン酸である請求項1−8のいずれか記載の方法。
【請求項29】
食肉用四つ足動物をウシ、ブタおよびヒツジから選択する請求項3記載の方法。
【請求項30】
接触を少なくとも処理中に皮を剥ぐ動物の屠体から皮を剥ぐ前、間および/または後に実施する請求項3記載の方法。
【請求項31】
接触を少なくとも処理中に皮を剥ぐ動物の屠体から皮を剥ぐ前および/または間に実施する請求項3記載の方法。
【請求項32】
接触を少なくとも処理中に皮を剥ぐ動物の屠体から皮を剥ぐ前に実施する請求項3記載の方法。
【請求項33】
接触を少なくとも処理中に毛を取り除く動物の屠体から毛を取り除く前、間および/または後に実施する請求項3記載の方法。
【請求項34】
接触を少なくとも処理中に皮膚を取り除く動物の屠体から皮膚を取り除く前、間および/または後に実施する請求項3記載の方法。
【請求項35】
接触を少なくとも処理中に剛毛を取り除く動物の屠体から剛毛を取り除く前および/または後に実施する請求項3記載の方法。
【請求項36】
接触を少なくとも処理中に剛毛を取り除く動物の屠体から剛毛を焦がす方法以外の方法で取り除いている間に実施する請求項3記載の方法。
【請求項37】
動物を去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛および雄牛から選択し、そして前記接触を少なくとも頭および/もしくはすねを取り除く前に1回以上実施し、そして/または少なくとも頭および/もしくはすねを取り除いている間に1回以上実施し、そして/または少なくとも頭および/もしくはすねを取り除いた後に1回以上実施する請求項3記載の方法。
【請求項38】
用いる殺微生物剤溶液がa)であり、ここで、(i)の臭素源が塩化臭素または塩化臭素と臭素であり、(ii)の金属塩基が水酸化ナトリウムでありそして(iii)のハロゲン安定化剤がスルファミン酸塩またはスルファミン酸である請求項29−37のいずれか記載の方法。
【請求項39】
動物を去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛および雄牛から選択する請求項30−32のいずれか記載の方法。
【請求項40】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択する請求項35または請求項36記載の方法。
【請求項41】
動物を去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛および雄牛から選択しそして接触を少なくとも(i)屠体解体中および/または(ii)屠体解体後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項42】
動物を去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛および雄牛から選択しそして接触を少なくとも(i)最終的洗浄中および/または(ii)最終的洗浄後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項43】
動物を去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛および雄牛から選択しそして接触を少なくとも(i)冷却中に1回以上および/または(ii)冷却後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項44】
冷却後に接触を少なくとも(i)屠体切断および骨除去中に1回以上および/または(ii)屠体切断および骨除去後に1回以上実施する請求項43記載の方法。
【請求項45】
動物を去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛および雄牛から選択しそして接触を少なくとも熱骨除去中に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項46】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして前記接触を少なくとも前記屠体を熱湯消毒する前に実施する請求項29記載の方法。
【請求項47】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして接触を少なくとも前記屠体の毛を除去しそして/または前記屠体を焦がす間および/または後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項48】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして接触を少なくとも前記屠体をこすりそして/または磨く間および/または後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項49】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして接触を少なくとも摘出中および/または摘出後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項50】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして接触を少なくとも最終洗浄中および/または最終洗浄後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項51】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして接触を少なくとも冷却中に1回以上および/または冷却後に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項52】
動物を去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして接触を少なくとも屠体解体中および/または屠体解体後の次の段階として実施する請求項29記載の方法。
【請求項53】
動物を去勢牛、若い雌牛、乳牛、子牛、雄牛、去勢雄豚、大人の雌豚、雌豚、去勢豚、雄豚および子豚から選択しそして接触を少なくとも屠体の切断および骨除去中に1回以上実施する請求項29記載の方法。
【請求項54】
用いる殺微生物剤溶液がa)であり、ここで、(i)の臭素源が塩化臭素または塩化臭素と臭素でありそして(iii)のハロゲン安定化剤がスルファミン酸塩またはスルファミン酸である請求項41−53のいずれか記載の方法。
【請求項55】
(ii)の金属塩基が水酸化ナトリウムである請求項54記載の方法。
【請求項56】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約400ppm以下である請求項1−8、29−37または41−53のいずれか記載の方法。
【請求項57】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約400ppm以下である請求項18記載の方法。
【請求項58】
用いる殺微生物剤溶液がb)でありそして接触で用いる殺微生物溶液にBrとして残存する臭素が約400ppm以下である請求項1−8のいずれか記載の方法。
【請求項59】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約100ppm以下である請求項1−8、29−37または41−53のいずれか記載の方法。
【請求項60】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約100ppm以下である請求項18記載の方法。
【請求項61】
用いる殺微生物剤溶液がb)でありそして接触で用いる殺微生物溶液にBrとして残存する臭素が約100ppm以下である請求項1−8のいずれか記載の方法。
【請求項62】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約50ppm以下である請求項1−8、29−37または41−53のいずれか記載の方法。
【請求項63】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約50ppm以下である請求項18記載の方法。
【請求項64】
用いる殺微生物剤溶液がb)でありそして接触で用いる殺微生物溶液にBrとして残存する臭素が約50ppm以下である請求項1−8のいずれか記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1種の食肉用四つ足動物の屠体に由来する少なくとも1種の生肉製品および/もしくは少なくとも1種の食肉用四つ足動物の屠体に由来する少なくとも1種の加工肉製品を処理する方法であって、前記少なくとも1種の生肉製品および/もしくは前記少なくとも1種の加工肉製品を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、または
b)(i)臭化アンモニウムおよび/もしくは少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で独立して構成されていてa)、b)およびc)の各々における残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させることを含んで成る方法。
【請求項66】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項65記載の方法。
【請求項67】
用いる殺微生物剤溶液がb)である請求項65記載の方法。
【請求項68】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約400ppm以下である請求項65−67のいずれか記載の方法。
【請求項69】
Brとして残存する臭素が約0.5から約200ppmの範囲内である請求項68記載の方法。
【請求項70】
Brとして残存する臭素が約0.5から約100ppmの範囲内である請求項68記載の方法。
【請求項71】
Brとして残存する臭素が約0.5から約50ppmの範囲内である請求項68記載の方法。
【請求項72】
少なくとも1種の生肉製品に接触を受けさせる請求項65−67のいずれか記載の方法。
【請求項73】
生肉製品を接触後に水で少なくとも5分以内濯ぐ請求項72記載の方法。
【請求項74】
(i)の臭素源が塩化臭素または塩化臭素と臭素であり、(ii)の金属塩基が水酸化ナトリウムでありそして(iii)のハロゲン安定化剤がスルファミン酸塩またはスルファミン酸である請求項66記載の方法。
【請求項75】
食肉用四つ足動物の屠体が微生物で汚染される度合を軽減する方法であって、少なくとも前記屠体を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、または
b)(i)臭化アンモニウムおよび/もしくは少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物または組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成されていてa)、b)およびc)の各々における残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である水性殺生物剤組成物と、前記屠体から皮、毛、剛毛もしくは皮膚を取り除く前、間および/または後に少なくとも1回接触させることを含んで成る方法。
【請求項76】
接触を屠体から皮、毛、剛毛もしくは皮膚を取り除く直前に実施し、そして前記屠体から皮もしくは皮膚を取り除いている間および/または後に場合により追加的に実施してもよい請求項75記載の方法。
【請求項77】
接触を屠体から皮、毛、剛毛もしくは皮膚を取り除いている間に実施し、そして前記屠体から皮もしくは皮膚を取り除く前および/または後に場合により追加的に実施してもよい請求項75記載の方法。
【請求項78】
接触を屠体から皮、毛、剛毛もしくは皮膚を取り除いた後に実施し、そして前記屠体から皮もしくは皮膚を取り除く前および/または間に場合により追加的に実施してもよい請求項75記載の方法。
【請求項79】
接触を屠体から皮、毛、剛毛または皮膚を取り除いた後のみに1回以上実施する請求項75記載の方法。
【請求項80】
食肉用四つ足動物の屠体および/もしくは前記屠体に由来する生肉製品および/もしくは前記屠体に由来する加工肉製品を処理する方法であって、
1)前記屠体、前記屠体に由来する生肉製品および/もしくは前記屠体に由来する加工肉製品を
a)(i)少なくとも1種の臭素源と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属塩基および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属塩基と(iii)少なくとも1種のハロゲン安定化剤から生じさせた残存臭素が入っている水、または
b)(i)臭化アンモニウムおよび/もしくは少なくとも1種のアルカリ金属の臭化物および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属の臭化物と(ii)少なくとも1種のアルカリ金属の次亜ハロゲン酸塩および/もしくは少なくとも1種のアルカリ土類金属の次亜ハロゲン酸塩から生じさせた残存臭素が入っている水、または
c)a)のいずれか1種以上とb)のいずれか1種以上の混合物もしくは組み合わせから生じさせた残存臭素が入っている水、
で構成されていてa)、b)およびc)の各々における残存臭素が殺微生物活性をもたらすに充分である殺微生物剤溶液と少なくとも1回接触させること、並びに
2)前記屠体、前記屠体に由来する生肉製品および/もしくは前記屠体に由来する加工肉製品に電離放射線、紫外線、マイクロ波、パルス光、電場、静水圧、音波処理、赤外線、オゾン処理およびオゾン洗浄から選択した少なくとも1種の汚染除去処理を受けさせること、
を含んで成っていて1)および2)をいずれかの順および/または同時に実施する方法。
【請求項81】
用いる殺微生物剤溶液がa)である請求項80記載の方法。
【請求項82】
(i)の臭素源が塩化臭素または塩化臭素と臭素であり、(ii)の金属塩基が水酸化ナトリウムでありそして(iii)のハロゲン安定化剤がスルファミン酸塩またはスルファミン酸である請求項81記載の方法。
【請求項83】
用いる殺微生物剤溶液がb)である請求項80記載の方法。
【請求項84】
接触で用いる殺微生物剤溶液にBrとして残存する臭素が約400ppm以下である請求項80−83のいずれか記載の方法。
【請求項85】
Brとして残存する臭素が約0.5から約200ppmの範囲内である請求項84記載の方法。
【請求項86】
Brとして残存する臭素が約0.5から約100ppmの範囲内である請求項84記載の方法。
【請求項87】
Brとして残存する臭素が約0.5から約50ppmの範囲内である請求項84記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−525437(P2008−525437A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548169(P2007−548169)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043381
【国際公開番号】WO2006/071215
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【出願人】(507211680)ソリユーシヨン・バイオサイエンシズ・インコーポレーテツド (2)
【Fターム(参考)】