説明

肥料及びその製造方法

【課題】 発酵コーンスターチを使用したグルタミン酸製造における残渣を、肥料とすることで、有効利用を図ると共に、使い易い肥料とする。
【解決手段】 発酵コーンスターチを塩酸処理してグルタミン酸を結晶化させて分離させた残滓を、一旦硫酸処理して塩化イオンを分離した後アンモニアで中和し、熱風炉に噴霧して乾燥させ、乾燥物を造粒機で造粒し、篩選別した所定の規格範囲内の粒体を、造粒機に再投入すると共に所定量の粉炭を投入し、造粒体の表面を粉炭で被覆し、吸水時の付着防止を図ると共に、多種の微量アミノ酸を含有する特異な肥料が提供できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
うま味調味料の工業的生産手段は、サトウキビの糖蜜や、コーンスターチを発酵糖化して製出した糖液を、グルタミン酸生産菌で発酵させ、発酵終了後の発酵液(ブロス)を酸性にしてグルタミン酸を結晶化させ、結晶を分離させている。
【0003】
特に発酵コーンスターチを使用する場合には、ブロスを塩酸処理して結晶化したグルタミン酸を濾過した残滓を排棄しているが、これを塩化物除去のために一旦硫酸処理し、更にアンモニアで中和処理すると、硫安肥料として使用できることが知られている。
【0004】
また造粒肥料が互いに付着しないように顆粒表面に剥離性を有する粉末(鉱物質、海草粉末)をコーティングする手段(特開平2−69384号:特許文献1)、ワックス類で表面処理して乾燥を防止した肥料粒子に、肥料粒子の互いの付着を防止するための無機質粉末(イオウ、炭酸カルシウム、ゼオライト、ケイソウ土等)で表面処理する手段(特開平8−2988号:特許文献2)などが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平2−69384号公報。
【特許文献2】特開平8−2988号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記したとおり発酵コーンスターチによるグルタミン酸生成後の残滓は肥料として使用することができ、その場合には肥料として使用し易いように乾燥させ造粒させる。しかしこの造流肥料は、吸水してべた付き、互いに付着して大きな固まりとなってしまう。
【0007】
そこで本発明は、前記のグルタミン酸製造残渣の最適な肥料化を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る肥料は、発酵コーンスターチを塩酸処理してグルタミン酸を結晶化させて分離させた残滓を、一旦硫酸処理して塩化イオンを分離した後アンモニアで中和し、熱風炉に噴霧して乾燥させ、乾燥物を造粒機で造粒し、所定の規格内の粒体の表面を粉炭で被覆して製出したものである。
【0009】
従って前記の造粒された肥料は、中和に使用したアンモニア成分(窒素肥料分)を含み、更に、多種のアミノ酸を含有しているもので、独自の肥効成分を含み、且つ表面の粉炭によって粒体同士の付着防止がなされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成は上記のとおりであるから、発酵コーンスターチからグルタミン酸(うまみ調味料原料)を分離した残滓を肥料とすることで、多種のアミノ酸を含有した肥料を得ることができると共に、粉炭被覆することで顆粒状態の肥料の付着が防止され、且つ粉炭自体が土壌改良効果を備えており、廃棄物の有効活用を実現するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明に係る肥料について、その製造手順をおって説明する。肥料の原料として、うま味調味料の原料となるグルタミン酸の製造において、特にコーンスターチを糖化発酵させ、更にグルタミン酸生産菌で発酵させた発酵コーンスターチ液(ブロス)に、塩酸を加えてグルタミン酸を結晶化させ、濾過によって結晶を分離させた残滓を使用するものである。
【0012】
前記残滓を更に硫酸処理して、塩化物イオンを分離し、次にアンモニアによって中和させる。
【0013】
前記中和液を、350℃の熱風炉に噴霧して乾燥させ、乾燥物を造粒機に投入して粒体とする。
【0014】
前記粒体を篩選別によって所定の規格に基づいて分類する(例えば径2〜4mm、径2.5〜3.5mm、径1.0〜2.0mm等の規格)。
【0015】
前記の選別した各粒体を造粒機に規格ごとに投入し、粒体100kg当たり450〜600gの粉炭を同時に投入して数分間造粒機を運転し、粒体の表面を粉炭で被覆して、粒状肥料を製出したものである。
【0016】
製出された肥料は、表面を粉炭で覆われているので、多少の吸水がなされたとしても、互いに付着することなく、散布による施肥が容易に行えるものである
【0017】
また前記肥料は、全窒素量が15.5%、内アンモニア性窒素12.0%の確認ができ、窒素肥料として充分な成分を備え、更に図1の表に示すとおり、他種類の微量アミノ酸を含有しており、微量成分による植物育成効果が期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態の含有アミノ酸の分析表。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵コーンスターチを塩酸処理してグルタミン酸を結晶化させて分離させた残滓を、一旦硫酸処理して塩化イオンを分離した後アンモニアで中和し、熱風炉に噴霧して乾燥させ、乾燥物を造粒機で造粒し、篩選別した所定の規格範囲内の粒体を、造粒機に再投入すると共に所定量の粉炭を投入し、造粒体の表面を粉炭で被覆してなることを特徴とする肥料の製造方法。
【請求項2】
発酵コーンスターチを塩酸処理してグルタミン酸を結晶化させて分離させた残滓を、一旦硫酸処理して塩化イオンを分離した後アンモニアで中和し、乾燥させて乾燥物を造粒し、造粒体の表面を粉炭で被覆して製出したことを特徴とする肥料。

【図1】
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【公開番号】特開2006−256920(P2006−256920A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−78326(P2005−78326)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(595051773)セントラルグリーン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】