説明

育苗容器用土均平装置

【課題】回転ブラシの高さ調節が面倒であり、周囲に土が飛散する。
【解決手段】育苗容器Aの移送台1に前後一対の回転ブラシ7、8を取付け、移送台1には左右一対のフレーム側板21を並設し、フレーム側板21には前後側回転ブラシ7、8の前側ブラシ回転軸12と後側ブラシ回転軸15の夫々を上下させる高さ調節装置20を設ける。前側ブラシ回転軸12の両端に一対の牽引支持部材24を夫々取付け、各牽引支持部材24はダイヤル28を有する調節螺子軸25に上下自在に取付け、左右の調節螺子軸25は連結軸27により連結する。フレーム側板21の上部に連結軸27を上方から係合させて支持する高さの相違する切替用係合段部32を前後方向に複数設ける。後側ブラシ回転軸15は連動杆35により前側ブラシ回転軸12と連結して連動して調節させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗容器供給した土を均平装置に係るものであり、特に、回転ブラシの高さ調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブラシ回転軸の両端に左右一対の回動アームを夫々取付け、各回動アームは移送台に回動自在に取付け、ブラシ回転軸の両端には牽引支持部材を設け、牽引支持部材はダイヤルを有する調節螺子軸に上下自在に取付け、左右の調節螺子軸は連結軸により連結し、連結軸は移送台に設けた側板の上部の高さの相違する切替用係合段部に選択係合させて支持する構成は、公知である(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2003−116362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、前後に並設したブラシ回転軸に夫々調節機構を設けているから、2回調節しなければならない点に課題がある。
また、後側の回転ブラシの後方には床土供給装置を設けているから、前側回転ブラシと床土供給装置に挟まれた後側回転ブラシの高さ調節は案外面倒であるという課題もある。
本願は、前側回転ブラシの高さを調節すると、自動的に後側回転ブラシの高さ調節を行えるようにすると共に、単独で後側回転ブラシの高さ調節も可能となるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、育苗容器Aを移送する移送台1の上方に前後一対の回転ブラシ7、8をアーム13、16により回動自在に取付け、前側アーム13および後側アーム16の内側の移送台1には左右一対のフレーム側板21を所定間隔をおいて並設し、前記各フレーム側板21には前後側回転ブラシ7、8の前側ブラシ回転軸12と後側ブラシ回転軸15の夫々を上下させる高さ調節装置20を設け、該高さ調節装置20は、前記前側回転ブラシ7の前側ブラシ回転軸12の両端に一対の牽引支持部材24を夫々取付け、各牽引支持部材24はダイヤル28を有する調節螺子軸25に上下自在に取付け、左右の調節螺子軸25は連結軸27により連結し、前記フレーム側板21の上部に前記連結軸27を上方から係合させて支持する高さの相違する切替用係合段部32を前後方向に複数設け、前記後側ブラシ回転軸15は連動杆35により前側ブラシ回転軸12と連結して連動して調節するように構成した育苗容器用土均平装置としたものである。
本発明は、前記各フレーム側板21には前後側回転ブラシ7、8の上方を包囲するカバー22を設けた育苗容器用土均平装置としたものである。
本発明は、前記連動杆35は前後に分割形成し、取付軸36により長さ調節自在に連結するように構成した育苗容器用土均平装置としたものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、後側回転ブラシ8の高さ調節を前側回転ブラシ7に連動させて行うので、調節が一度で済み、操作性を向上させることができる。
請求項2の発明では、後側回転ブラシ8の高さ調節を前側回転ブラシ7に連動してできるので、前側回転ブラシ7と後側回転ブラシ8の上方をカバー22により一体的に包囲でき、土の飛散を防止できる。
請求項3の発明では、後側回転ブラシ8の単独の高さ調節ができるので、前側回転ブラシ7と後側回転ブラシ8との高さを同じにする初期設定の高さ調節が正確に行うことができ、美麗に均平することができ、また、後側回転ブラシ8の単独の高さ調節することで、土の性状、供給量、掻取り量等の諸条件によって、最適な高さ調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施例を図面により説明すると、1は育苗容器Aを移送する移送台、2は移送台1に設けた育苗容器Aを移送する移送ロール、3は床土供給装置である。床土供給装置3は公知の構成であり、上部に床土供給ホッパー4を設け、床土供給ホッパー4の下方に床土繰出ベルト5を設けて構成する。
床土供給装置3の移送方向下手側の前記移送台1には、床土均平装置6を設ける。床土均平装置6は前後一対の前側回転ブラシ7と後側回転ブラシ8とを設けて構成する。前後側回転ブラシ7、8は前記育苗容器Aに余分に供給した床土9を所定量掻取りながら均平するものである。
【0007】
前記前側(上手側)回転ブラシ7は、その前側ブラシ回転軸12の両端を左右一対の前側アーム13に軸装し、前側アーム13の基部は前側基部回転軸14により移送台1に回動自在に取付ける。同様に、後側(下手側)回転ブラシ8は、その後側ブラシ回転軸15の両端を左右一対の後側アーム16に軸装し、後側アーム16の基部は後側基部回転軸17により移送台1に回動自在に取付ける。
【0008】
しかして、前側回転ブラシ7および後側回転ブラシ8には、高さ調節装置20を設ける。高さ調節装置20は、移送台1に左右のフレーム側板21を設け、フレーム側板21の上方にカバー22を設けて構成している。フレーム側板21には前記前側ブラシ回転軸12および後側ブラシ回転軸15を挿通する挿通孔23を形成し、挿通孔23は高さの相違する育苗容器Aに合わせて前後側回転ブラシ7、8が上下するのを許容する。
フレーム側板21より側方に突出する前側回転ブラシ7の前側ブラシ回転軸12の両端には牽引支持部材24の下部を夫々取付け、各牽引支持部材24の上部には調節螺子軸25の下部を螺合させる。26は牽引支持部材24に溶接固定した螺合用ナットであり、調節螺子軸25を回転させると、牽引支持部材24は調節螺子軸25に対して上下動する。
【0009】
調節螺子軸25の上部は左右方向の連結軸27に回転自在に取付ける。28は調節螺子軸25の上端に設けたダイヤル、29は連結軸27の下方の調節螺子軸25に設けた係合用ナットであり、係合用ナット29によりダイヤル28を持ち上げると、連結軸27が上動する。また、前記螺合用ナット26の下方の調節螺子軸25にはロック用ナット30を螺合させている。
前記牽引支持部材24には前記移送台1等の固定部との間にバネ31を設け、常時牽引支持部材24を下方に牽引するように付勢する。
【0010】
しかして、前記フレーム側板21の上縁には、前記連結軸27を係合させる切替用係合段部32を複数円弧上に配置形成し、複数ある切替用係合段部32のうち何れかに選択係合させる。
この場合、前記切替用係合段部32のうち、前記ブラシ回転軸後側ブラシ回転軸15の鉛直上に連結軸27が位置する中央切替用係合段部32aを基準段部とし、この状態で左右の調節螺子軸25を回転させて前側回転ブラシ7の下端を育苗容器Aの前壁33の上面に接触させ、掻取り量を「零」にし、中央切替用係合段部32aの前後側に、順に低い切替用係合段部32を形成し、この切替用係合段部32に連結軸27を係合させて前側回転ブラシ7の下端を育苗容器Aの前壁33上面より下方に位置させて、床土を所定量掻き取る。
【0011】
即ち、中央切替用係合段部32aに係合状態において、前側回転ブラシ7の下端を育苗容器Aの前壁33の上面に接触させて掻取り量を「零」の初期状態とし、他の切替用係合段部32に選択係合させると、育苗容器Aの前壁33の上面から7〜15mm所望高さ分前側回転ブラシ7の下端を下降させて、床土を所定量掻き取り可能となる。
この場合、前側ブラシ回転軸12は、前側基部回転軸14を中心とする後側アーム16が回動する円弧線上であって、しかも、連結軸27を中心とする牽引支持部材24が回動する円弧線上を移動するから、高さ調節に際してブラシ回転軸後側ブラシ回転軸15の上下量と、各切替用係合段部32の段差量とが一致しない。
【0012】
そのため、前記切替用係合段部32のうち、前記前側ブラシ回転軸12と連結軸27とが鉛直上に位置する中央切替用係合段部32aを基準段部とし、この状態で左右の調節螺子軸25を回転させて前側回転ブラシ7の下端を育苗容器Aの前壁33の上面に接触させ、掻取り量を「零」になるように調節し、この中央切替用係合段部32aの前後側に、中央切替用係合段部32aより順に低い切替用係合段部32を形成して、他の切替用係合段部32に選択係合させる。
したがって、「零設定」の中央切替用係合段部32aより低い切替用係合段部32に選択係合させることにより、前側回転ブラシ7の下端を育苗容器Aの前壁33上面より下方に位置させて、床土を所定量掻き取る。
【0013】
この場合、実施例の切替用係合段部32は、中央切替用係合段部32aを基準に前後側の交互に低くくなるように形成しているから、前側基部回転軸14と連結軸27の2点を中心とする円弧移動するブラシ回転軸後側ブラシ回転軸15の移動量の変化を最小にして、掻取り量の設定の精度を向上させる。即ち、一例として、7mm、10mm、12mm、15mmの4段階の切替用係合段部32を形成する場合、側面視、後側より15mm(第四切替用係合段部32e)、12mm(第三切替用係合段部32d)、0mm(中央切替用係合段部32a)、7mm(第一切替用係合段部32b)、10mm(第二切替用係合段部32c)の順に形成しているから、各切替用係合段部32の間のずれも小さくなる。
なお、側面視、15mm(第四切替用係合段部32e)、10mm(第二切替用係合段部32d)、0mm(中央切替用係合段部32a)、7mm(第一切替用係合段部32b)、12mm(第三切替用係合段部32c)の順に形成してもよい。
【0014】
しかして、高さ調節装置20は、前記前側回転ブラシ7の高さを調節すると、自動的に後側回転ブラシ8の高さ調節を行えるようにすると共に、単独で後側回転ブラシ8の高さ調節も可能となるように構成する。後側回転ブラシ8に関する高さ調節装置20は、フレーム側板21より側方に突出するブラシ回転軸後側ブラシ回転軸15の両端に連動杆35の後端を回動自在に軸着し、連動杆35の前端は前側ブラシ回転軸12に回動自在に軸着して構成する。
即ち、連動杆35と移送台1と前側アーム13および後側アーム16によりリンク機構を構成して、左右のダイヤル28により連結軸27を上下動させて切替用係合段部32に選択係合させると、前側ブラシ回転軸12が上下して前側回転ブラシ7の高さ調節でき、前側ブラシ回転軸12の上下は連動杆35により連動して後側ブラシ回転軸15を上下させるから、後側回転ブラシ8の掻取り量を切替える。
【0015】
同様に、ダイヤル28により前側回転ブラシ7の高さの微調節すると、連動して後側回転ブラシ8の高さも微調節される。
この場合、前記連動杆35は,前側連動杆35Aと後側連動杆35Bとに前後に分割形成し、取付軸36により長さ調節自在に前側連動杆35Aと後側連動杆35Bとを連結するように構成し、取付軸36により連動杆35の長短を調節すると、後側回転ブラシ8の単独の高さ調節可能となる。
即ち、土の性状、供給量、掻取り量等の諸条件によっては、前側回転ブラシ7と後側回転ブラシ8とを相対的に高低に切替えることで、掻取り精度および均平精度を向上させられることがあり、どのように高さ設定するかは本願の要件ではない。
37は前側連動杆35Aに設けた長孔、38は後側連動杆35Bに設けた螺子孔、39はガイド兼ストッパである。
【0016】
しかして、前側回転ブラシ7および後側回転ブラシ8は、前側ブラシ回転軸12および後側ブラシ回転軸15の左右何れか一端にブラシ歯車40を設け、該ブラシ歯車と移送台1の回転軸(移送ロール2の回転軸)14、17の夫々に設けたブラシ伝達用歯車41との間にチエン(図示省略)を掛け回して駆動回転させる。
しかして、牽引支持部材24はバネ31により常時下方に牽引されているから、調節螺子軸25を回転させて牽引支持部材24を下げると、牽引支持部材24はバネ31の弾力により下降し、反対に、調節螺子軸25を逆回転させると、牽引支持部材24をバネ31の弾力に抗して上動させる。
この場合、牽引支持部材24の上部に調節螺子軸25の下部を螺合させているから、ダイヤル28を回転させると、調節螺子軸25に対して牽引支持部材24は上下する。
【0017】
また、連結軸27の下方の調節螺子軸25には係合用ナット29を設けているから、ダイヤル28を持ち上げると、係合用ナット29により連結軸27を上動させ、連結軸27だけでなく、左右のダイヤル28によっても連結軸27を持ち上げて他の切替用係合段部32に係合させて、前後側回転ブラシ7、8の掻取り量を変更できる。
また、牽引支持部材24に固定の螺合用ナット26の下方の調節螺子軸25にはロック用ナット30を螺合させているから、一旦調節すると、狂いが生じない。
また、フレーム側板21に設けた前後側ブラシ回転軸12、15を挿通する挿通孔23は、前側基部回転軸14、17を中心とする円弧形状に形成すると、ブラシ回転軸12、15の上下を円滑にして好適である。
【0018】
以上のように、フレーム側板21と前後側ブラシ回転軸12、15との間に、高さ調節装置20を設け、高さ調節装置20は連結軸27とダイヤル28とバネ31とフレーム側板21の上縁に設けた複数の切替用係合段部32と連動杆35により構成される。
しかして、前側回転ブラシ7の下手側には、灌水装置45を設ける。灌水装置45は、前後一対の灌水横筒部46に所定間隔を置いてノズル孔47を形成し、灌水横筒部46の一端は栓48により閉塞し、他端は連結パイプ49に着脱および回転自在に取付ける。連結パイプ49は、前後中央位置に立ち上がり筒部50を連結し、立ち上がり筒部50には上側横筒部51の一端を接続する。上側横筒部51には、水量計(圧力計)52と調節バルブ53と自動開閉バルブ54とリリーフ弁55とホース接続部56を設けている。ホース接続部56には水源(図示省略)に接続したホース(図示省略)を接続する。56Aは、薬剤を入れたタンク(図示省略)に接続したホース(図示省略)を接続する薬剤吸引部である。
【0019】
灌水装置45は、一対の灌水横筒部46と連結パイプ49と立ち上がり筒部50と上側横筒部51により灌水パイプ57を構成し、灌水パイプ57は前記移送台1に設けた灌水フレーム58に着脱自在に取付けて構成する。灌水フレーム58は、左右一対の板部材により形成した中央フレーム59の上面前後中間位置に、灌水パイプ57の上側横筒部51を支持する中央支持部60を設ける。中央フレーム59の前後両側にはアーム部61を設け、アーム部61には灌水パイプ57の灌水横筒部46を支持する灌水筒支持部62を設ける。
灌水パイプ57は、灌水パイプ57の各部を灌水フレーム58の中央支持部60と灌水筒支持部62に載置し、この灌水パイプ57の上方にカバー65を載置して、カバー65を灌水フレーム58に止着具66により固定して取付ける。
【0020】
したがって、灌水パイプ57を灌水フレーム58に載せてカバー65により押えるだけであるから、灌水パイプ57は灌水フレーム58とカバー65により上下に挟持されることになり、簡単な支持構成でありながら着脱が容易になる。
それゆえ、カバー65は、灌水パイプ57を上方から押えらことができる形状であればよく、上側横筒部51に当接する上部天板67と上部天板67に連設する灌水横筒部46の上面に当接するノズル当接部68と、前記水量計52等を回避する開口窓部69を有して構成していればよい。開口窓部69は水量計52を避けて上方に抜くように外せる大きさに形成する。70は灌水フレーム58に設けた止着具66が螺合するナットである。
また、灌水装置45は、育苗容器Aの床土に灌水するものであるが、灌水横筒部46を連結パイプ49に対して回転させることによりノズル孔47を斜めにして、潅水用の水を後向きに噴射させることによりの育苗容器Aの後壁71の隅の床土Kを均平する作用を期待する。
したがって、育苗容器Aの後壁71の隅の床土Kは灌水装置45の灌水により均平するように構成し、灌水装置45は隅取り均平装置を兼用する。
72は育苗容器Aの前壁33の隅の床土Kを均平する前壁隅取り均平装置である。
【0021】
しかして、灌水装置45の下手側には、種子供給装置75を設ける。種子供給装置75は、前記移送台1の上方に上下自在に設けた側板77に、種子供給ホッパー78を着脱自在に取付ける。図示は省略するが、種子供給ホッパー78の上方に補助ホッパーを設けることもある。
種子供給ホッパー78の下部は漏斗状に後側誘導板79と前側誘導板80を設ける。後側誘導板79の下端は、前側誘導板80に対して所定間隔を置いて設けてホッパー供給口81を形成する。前記後側誘導板79の下面には前記ホッパー供給口81の開口量を調節する供給量調節板82を移動自在に取付ける。83は供給量調節板82を移動調節させる調節ダイヤルである。
前側誘導板80の先端近傍には、種子を繰出す軸心が左右方向の大径の横軸繰出ロール84を設ける。横軸繰出ロール84の外周面には、母線方向(左右方向)に平行な横条溝形状の繰出凹部85を所望の間隔をおいて全周に形成する。繰出凹部85は円周方向に種子が横向き1列または2列程度に嵌合する幅に形成される。横軸繰出ロール84の外周面には母線方向(左右方向)に一粒の種子の横向きの幅より短かい間隔をおいてスリット86を全周に設ける。スリット86の深さは繰出凹部85と略同じか若干深く形成し、各スリット86には掻出用ナイフ87を嵌合させる。
【0022】
前記横軸繰出ロール84の上方位置(正確には横軸繰出ロール84の真上よりも稍後側)には回転均平ブラシ88を設け、回転均平ブラシ88は任意の手段により駆動回転させて繰出凹部85に嵌合しないで横軸繰出ロール84と共回りする過剰種子を、前記供給口ホッパー供給口81側の種子溜り部89へ掃き戻す。
しかして、種子溜り部89は、前側誘導板80の上面と横軸繰出ロール84の外周面との空間に形成され、この種子溜り部89に所定量の種子を滞留させることにより、横軸繰出ロール84の繰出凹部85への種子の嵌合を確実にしている。
この種子溜り部89には、開口部90を形成し、開口部90にはシャッタ91を設ける。シャッタ91は、横軸繰出ロール84に対して遠近調節自在で且つ着脱自在に取付ノブ92により前側誘導板80の下面に取付ける。
【0023】
開口部90の下方には排出誘導体93を設ける。排出誘導体93は、板部材により形成し、種子供給装置75の左右の側板77の間の全幅一杯に取付ける。排出誘導体93は、上部には上方に至るに従い前側となるように前上りの上側傾斜部94を設け、上側傾斜部94の下部には横軸繰出ロール84の外周面に対して所定の間隔おいて位置する縦板部95を形成し、縦板部95と横軸繰出ロール84の外周面の間に誘導路96を形成する。縦板部95の下部は後下がりの下側傾斜部97に形成し、誘導路96から種子供給装置75の下方の移送台1に設けた種子回収容器98(箱)に種子の落下を誘導する。
排出誘導体93は、種子溜り部89に残留した残留種子を排出するときに、種子供給装置75の周囲に飛散するのを防止するために設けたものであり、前記縦板部95の上端は、シャッタ91の着脱を容易にするために開口部90から落下する種子が誘導路96に誘導しうる範囲で可及的に前側誘導板80より離して配置すると、残留種子の飛散を防止すると共に、残留種子排出作業を容易にして、好適である。
【0024】
99は、前記横軸繰出ロール84の後面に設けられ、繰出凹部85に嵌合した種子を上方位置から下方位置まで傷めないように誘導する種子誘導カバー、100は横軸繰出ロール84の高さを移送台1に対して上下させた高さ調節する播種部高さ調節機構、101はモーター、102は種子受け容器である。
この場合、モーター101は横軸繰出ロール84の後側の側板77に取付け、側板77の横軸繰出ロール84部分は、横軸繰出ロール84と略同じ幅に形成し、種子供給ホッパー78はフレーム76の側板77の前側上部に設け、側板77の下縁を前側誘導板80の下面に合わせて傾斜させ、側面視において横軸繰出ロール84の前側は側板77の無い空間部103を形成する。
この空間部103により、育苗容器Aへの播種状態が視認でき、作業を容易にする。
【0025】
しかして、種子供給装置75の下手側には種子落とし回転ブラシ105を設ける。種子落とし回転ブラシ105はフレーム106に軸装し、移送ローラ2の回転を伝達して駆動回転させる。
この回転ブラシ105と種子供給装置75の間の前記空間部103に移送ローラ2を駆動させる搬送モータ110を設ける。搬送モータ110は防水仕様に形成し、移送ローラ2の上面より下方で内側に突き出るように移送台1の内面に取付ける。搬送モータ110の上方にはカバー111を設ける。
即ち、従来は移送台1の上面に搬送モータ110を設けているため、移送台1の全長を長くしていたが、移送ローラ2の上面より下方の移送台1に取付けているから、移送台1の上面のスペースに床土均平装置6等を合理的配置して移送台1全体の長さを短くする。
【0026】
また、回転ブラシ105と種子供給装置75の間の空間部103に搬送モータ110を設けているので、合理的配置となる。即ち、空間部103は、床土均平装置6や灌水装置45の下方と相違して、落下するのは灌水時の余分な水が僅かに水滴となって落下するぐらいであって、最も落下物が少ない場所であり、ここに、搬送モータ110を設けているので、空間部103を広くしつつ搬送モータ110の設置スペースも確保でき、空間を有効利用した合理的構成となる。
しかして、回転ブラシ105の下手側には覆土供給装置115を設ける。覆土供給装置115は公知の構成であり、上部に供給ホッパー116を設け、供給ホッパー116の下方に覆土繰出ベルト117を設けて構成する。覆土供給装置115の下手側には覆土均平ブラシ118を設ける。
【0027】
(実施例の作用)
前側回転ブラシ7の前側ブラシ回転軸12に取付けた牽引支持部材24に設けた調節螺子軸25を連結する連結軸27を、何れかの切替用係合段部32に連結軸27を係合させた状態で、左右の調節螺子軸25を回転させて前側回転ブラシ7の下端を育苗容器Aの前壁33の上面に接触させ、掻取り量を「零」にし、次ぎに、ダイヤル28または連結軸27を持って、上方に持ち上げて前記切替用係合段部32より低い他の切替用係合段部32に連結軸27を係合させると、最初の切替用係合段部32と次ぎの切替用係合段部32の高さ分だけ、牽引支持部材24は下降し、これによりブラシ回転軸後側ブラシ回転軸15も下降し、前側回転ブラシ7は所定高さに設定される。
この状態で、床土を供給した育苗容器Aを移送台1に供給すると、移送ロール2により移送されて、前側回転ブラシ7の下方を通過するとき、所定量掻き取られる。
【0028】
しかして、掻取り量を変更するときは、連結軸27を複数ある切替用係合段部32のうち他の切替用係合段部32に係合させると、これにより連結軸27は調節螺子軸25を上下させ、調節螺子軸25は牽引支持部材24を上下させ、牽引支持部材24は前側ブラシ回転軸12を上下させて、前側回転ブラシ7の高さを変更し、掻取り量を変更する。
また、高さの相違する育苗容器Aを使用するときは、前記したように、何れかの切替用係合段部32に連結軸27を係合させた状態で、左右の調節螺子軸25を回転させて前側回転ブラシ7の下端を育苗容器Aの前壁33の上面に接触させ、掻取り量を「零」にし、次ぎに、ダイヤル28または連結軸27を持って、上方に持ち上げて前記切替用係合段部32より低い他の切替用係合段部32に連結軸27を係合させて、前側回転ブラシ7を所定高さに設定する。
【0029】
しかして、前後側回転ブラシ7、8を前後に並設しているから、後側回転ブラシ8の先端に付着して共回りした土塊は前側回転ブラシ7により均平するので、美麗な仕上がりになるが、後側回転ブラシ8の場合の高さ調節は、非常に面倒であった。
即ち、前方から後側回転ブラシ8の下端と育苗容器Aの壁面との接触状態を見て行う後側回転ブラシ8の高さ調節を行うには、前側回転ブラシ7が邪魔になり、後側から後側回転ブラシ8の下端を見るには床土供給装置3の床土繰出ベルトの下方から覗いて行うしかなく、非常に面倒であった。
本願では、前側回転ブラシ7の高さを調節すると、自動的に後側回転ブラシ8の高さ調節を行えるようにすると共に、単独で後側回転ブラシ8の高さ調節も可能となるように構成しているから、前側回転ブラシ7の高さを調節するだけで連動して後側回転ブラシ8の高さ調節ができ、操作性が向上する。
【0030】
即ち、フレーム側板21より側方に突出する後側ブラシ回転軸15の両端には連動杆35の後端を回動自在に軸着し、連動杆35の前端は前側ブラシ回転軸12に回動自在に軸着しているから、連動杆35と移送台1と前側アーム13および後側アーム16によりリンク機構を構成することになり、左右のダイヤル28により連結軸27を上下動させて切替用係合段部32に選択係合させると、前側ブラシ回転軸12が上下して前側回転ブラシ7の高さ調節でき、前側ブラシ回転軸12の上下は連動杆35により連動して後側ブラシ回転軸15を上下させるから、前側ブラシ回転軸12に連動して後側回転ブラシ8の掻取り量を切替える。
【0031】
同様に、ダイヤル28により前側回転ブラシ7の高さの微調節すると、連動して後側回転ブラシ8の高さも微調節される。
この場合、前記連動杆35は前後に分割形成し、取付軸取付軸36により長さ調節自在に連結するように構成しているから、連動杆35の長さを取付軸36により変更調節すると、後側回転ブラシ8の単独の高さ調節可能となる。即ち、連動杆35の長さを長くすると、後側回転ブラシ8は高くなり、連動杆35の長さを短くすると、後側回転ブラシ8は低くなる。
しかして、前側回転ブラシ7の下手側には灌水装置45を設け、灌水装置45の灌水パイプ57は前後一対の灌水横筒部46の上方中央に上側横筒部51を設けて構成しているから、灌水装置45の前後長さは灌水横筒部46を設けるのに必要な長さがあればよく、灌水装置45の前後長さを可及的に短く形成でき、移送台1の長さ全体を短くできる。
【0032】
また、灌水装置45は、灌水横筒部46と上側横筒部51により、側面視、上側横筒部51を頂点とした三角形となり、この上側横筒部51に水力計(圧力計)52と調節バルブ53と自動開閉バルブ54とリリーフ弁55とホース接続部56の全てを設けているから、この点でも、灌水装置45の前後長さを可及的に短く形成できる。
そのため、灌水フレーム58は、板部材により形成した中央フレーム59の前後両側にアーム部61を設ければよく、灌水フレーム58は側面視略灌水パイプ57の前後長さ内に納めることができ、この点でも、灌水装置45の前後長さを可及的に短く形成できる。
また、灌水パイプ57は、その灌水横筒部46と上側横筒部51とを灌水フレーム58の中央支持部60と灌水筒支持部62に載置し、灌水パイプ57の上方からカバー65を載置して、カバー65を灌水フレーム58に止着具66により固定して取付けるから、灌水パイプ57の着脱は頗る容易にできる。
【0033】
したがって、灌水パイプ57を灌水フレーム58に載せてカバー65により押えるだけであるから、灌水パイプ57は灌水フレーム58とカバー65により上下に挟持されることになり、簡単な支持構成でありながら着脱が容易になる。
この場合、灌水装置45の灌水横筒部46は連結パイプ49に対して回転自在に取付けているから、灌水装置45は育苗容器Aの床土に灌水するものでありながら、潅水用の水を後向きに噴射する角度に調節すると、育苗容器Aの後壁71の隅の床土Kを灌水用の水が均平して後壁71の隅取り均平装置の作用を期待できる。
即ち、単に、鉛直方向に灌水したのでは、隅の床土Kに当たる灌水量が少ないので崩れないが、本願では灌水横筒部46は連結パイプ49に対して回転させてノズル孔47の向きを斜め後側にできるので、斜めの灌水が後壁71に当たって集まって隅の床土Kを押し込んで平にして、隅取りができる。
したがって、灌水装置45は後壁用隅取り均平装置を兼用するので、移送台1に設ける後壁用隅取り均平装置を省略でき、移送台1全体の前後長さを可及的に短く形成できる。
【0034】
種子供給装置75の下方に育苗容器Aが至ると、種子の供給を受ける。
種子供給装置75は、種子供給ホッパー78に種子を投入すると、横軸繰出ロール84の繰出凹部85に種子が嵌合し、回転均平ブラシ88の下方にあった余剰の種子は種子溜り部89に戻され、また、繰出凹部85に嵌合したまま横軸繰出ロール84の回転により上昇して回転均平ブラシ88の下方を通過し、種子誘導カバー種子誘導カバー99により横軸繰出ロール84の下方迄誘導されて落下して、育苗容器Aに播種する。
この場合、種子溜り部89は、後側誘導板79より先端側の前側誘導板80の上面と、横軸繰出ロール84の外周面との空間に形成され、この種子溜り部89に所定量の種子を滞留させることにより、横軸繰出ロール84の繰出凹部85への種子の嵌合を確実にしている。
【0035】
この種子溜り部89には、開口部90を形成し、開口部90にはシャッタシャッタ91を遠近調節自在で且つ着脱自在に取付ているから、シャッタ91を取り外して開口部90を開口させると、種子溜り部89にある残留種子を簡単に排出させることができ、播種作業終了後のメンテナンスや、品種等の種子の切替交換作業を頗る容易にできる。
この場合、種子溜り部89の開口部90は、前側誘導板80の先端を、横軸繰出ロール84の外周面より所定間隔置いて配置して構成し、前側誘導板80の下面にシャッタ91を設け、シャッタ91の先端を横軸繰出ロール84の外周面に接近させて種子溜り部89を形成しているから、シャッタ91を開口部90および種子溜り部89の構成部材の一部構成することができ、合理的な構成となる。
【0036】
しかして、開口部90の下方には、上部には上方に至るに従い前側となる前上りの傾斜の上側傾斜部94と、上側傾斜部94の下部の横軸繰出ロール84の外周面に対して所定の間隔おいて位置する縦板部95とにより形成した排出誘導体93を設けているから、シャッタ91により開口部90を開口させると、種子溜り部89にある残留種子は上側傾斜部94に誘導されて縦板部95と横軸繰出ロール84の間の誘導路96に入り種子供給装置75の下方の移送台1に設けた種子受け体(箱)種子回収容器98に回収される。
この場合、縦板部95の上端は、シャッタ91の着脱を容易にするために開口部90から落下する種子が誘導路96に誘導しうる範囲で可及的に前側誘導板80の下面より離して配置しているから、残留種子の飛散を防止すると共に、残留種子排出作業を容易にして、好適である。
しかして、種子供給装置75は、モーター101を横軸繰出ロール84の後側の側板77に取付け、側板77の横軸繰出ロール84部分は、横軸繰出ロール84と略同じ幅に形成し、種子供給ホッパー78の前側誘導板80の下面より下方は側板77を設けずに空間部103を形成しているから、種子供給装置75の下手側の回転ブラシ105との間の空間部103を広くでき、空間部103から育苗容器Aへの播種状態が視認でき、作業を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】播種装置全体側面図。
【図2】土均平装置の側面図。
【図3】同縦断正面図。
【図4】同斜視図。
【図5】同フレーム側板の一部側面図。
【図6】同高さ調節装置の一部正面図。
【図7】同調節状態断面図。
【図8】隅取り装置および灌水装置の側面図。
【図9】灌水装置の斜視図。
【図10】灌水装置による隅取り作用状態図。
【図11】種子供給装置の側面図。
【図12】同一部概略側面図。
【図13】種子供給装置と覆土供給装置の間の空間部の側面図。
【符号の説明】
【0038】
1…移送台、2…移送ロール、3…床土供給装置、4…床土供給ホッパー、5…床土繰出ベルト、6…土均平装置、8…後側回転ブラシ、7…前側回転ブラシ、9…床土、15…後側ブラシ回転軸、16…後側アーム、17…後側基部回転軸、12…前側ブラシ回転軸、13…前側アーム、14…前側基部回転軸、20…高さ調節装置、21…フレーム側板、22…カバー、24…牽引支持部材、25…調節螺子軸、26…螺合用ナット、27…連結軸、28…ダイヤル、29…係合用ナット、30…ロック用ナット、31…バネ、33…前壁、35…連動杆、36…取付軸、37…長孔、38…螺子孔、39…ガイド、40…ブラシ歯車、41…ブラシ伝達用歯車、66…止着具、67…上部天板、68…ノズル当接部、69…開口窓部、70…ナット、72…前壁隅取り均平装置、75…種子供給装置、77…側板、78…種子供給ホッパー、79…後側誘導板、80…前側誘導板、81…ホッパー供給口、82…供給量調節板、83…調節ダイヤル、84…横軸繰出ロール、85…繰出凹部、86…スリット、87…掻出用ナイフ、89…種子溜り部、90…開口部、91…シャッタ、92…取付ノブ、93…排出誘導体、94…上側傾斜部、95…縦板部、96…誘導路、98…種子回収容器、99…種子誘導カバー、100…播種部高さ調節機構、101…モーター、102…種子受け容器、103…空間部、105…回転ブラシ、106…フレーム、110…搬送モータ、111…カバー、115…覆土供給装置、116…供給ホッパー、117…覆土繰出ベルト、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗容器Aを移送する移送台1の上方に前後一対の回転ブラシ7、8をアーム13、16により回動自在に取付け、前側アーム13および後側アーム16の内側の移送台1には左右一対のフレーム側板21を所定間隔をおいて並設し、前記各フレーム側板21には前後側回転ブラシ7、8の前側ブラシ回転軸12と後側ブラシ回転軸15の夫々を上下させる高さ調節装置20を設け、該高さ調節装置20は、前記前側回転ブラシ7の前側ブラシ回転軸12の両端に一対の牽引支持部材24を夫々取付け、各牽引支持部材24はダイヤル28を有する調節螺子軸25に上下自在に取付け、左右の調節螺子軸25は連結軸27により連結し、前記フレーム側板21の上部に前記連結軸27を上方から係合させて支持する高さの相違する切替用係合段部32を前後方向に複数設け、前記後側ブラシ回転軸15は連動杆35により前側ブラシ回転軸12と連結して連動して調節するように構成した育苗容器用土均平装置。
【請求項2】
請求項1において、前記各フレーム側板21には前後側回転ブラシ7、8の上方を包囲するカバー22を設けた育苗容器用土均平装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記連動杆35は前後に分割形成し、取付軸36により長さ調節自在に連結するように構成した育苗容器用土均平装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−110948(P2007−110948A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304867(P2005−304867)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000132219)株式会社スズテック (25)
【Fターム(参考)】