育苗用播種装置
【課題】 型付けロールの回転を育苗箱の移送に正確に同期させて育苗箱のポットに播種凹部を確実に形成できるようにする。
【解決手段】 停止アームが停止姿勢と停止解除姿勢とに移動自在に支持され、停止アームを停止姿勢に付勢する付勢部材が設けられ、停止アームが停止姿勢にあるときに育苗箱の移送により育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるように構成され、
前記育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるときの、型付け突起の停止角度と育苗箱の移送位置との関係が、型付けロールの回転開始により、型付け突起を育苗箱のポットに一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を形成するように設定されている。
【解決手段】 停止アームが停止姿勢と停止解除姿勢とに移動自在に支持され、停止アームを停止姿勢に付勢する付勢部材が設けられ、停止アームが停止姿勢にあるときに育苗箱の移送により育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるように構成され、
前記育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるときの、型付け突起の停止角度と育苗箱の移送位置との関係が、型付けロールの回転開始により、型付け突起を育苗箱のポットに一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を形成するように設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、育苗用播種装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
育苗用播種装置には縦横に多数のポットを有する育苗箱を移送する移送台の上方位置に、繰出ロールが設けられ、育苗箱の移送に同期して繰出ロールを軸心廻りに回転駆動させて、繰出ロールの繰り出し位置から育苗箱のポットに順次播種するようにしたものがある（例えば特許文献１、特許文献２）。
この種の従来の育苗用播種装置では、繰出ロールの移送方向の後側に、前記ポットに対応する型付け突起が形成された型付けロールが設けられ、育苗箱の移送に同期して型付けロールを軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起で育苗箱のポットに順次播種凹部を形成していた（例えば特許文献１、特許文献２）。
【特許文献１】特開２００２−８４８２１号公報
【特許文献２】特開平６−３３５３０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、従来の場合、型付けロールの回転を育苗箱の移送に正確に同期させるように考慮されておらず、型付けロールの型付け突起が育苗箱の縁部に乗り上げることがあった。
本発明は上記問題点に鑑み、型付けロールの回転を育苗箱の移送に正確に同期させて育苗箱のポットに播種凹部を確実に形成できるようにしたものある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、縦横に多数のポットを有する育苗箱を移送する移送機構の上方位置に、周方向及び軸心方向に前記ポットに対応する型付け突起が形成された型付けロールが設けられ、育苗箱の移送に同期して型付けロールを軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起で育苗箱のポットに順次播種凹部を形成するようにした育苗用播種装置において、
型付けロールの軸心廻りの回転を停止させる停止アームが設けられ、停止アームは、型付け突起に接当して型付けロールの回転を停止させると共に育苗箱の移送通路を塞ぐ停止姿勢と、型付け突起から外れて型付けロールの回転を許容すると共に育苗箱の移送通路を開放する停止解除姿勢とに移動自在に支持され、停止アームを停止姿勢に付勢する付勢部材が設けられ、停止アームが停止姿勢にあるときに育苗箱の移送により育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるように構成され、
前記育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢Ｘから停止解除姿勢に移動させるときの、型付け突起の停止角度と育苗箱の移送位置との関係が、型付けロールの回転開始により、型付け突起を育苗箱のポットに一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を形成するように設定されている点にある。
【０００５】
また、本発明の他の技術的手段は、型付けロールの移送方向後側の下方で、停止アームの下端部が支軸廻りに起伏回動すべく揺動自在に支持され、停止アームが前上がりに傾斜した起立状態のときに前記停止姿勢になり、停止姿勢から支軸廻りに倒伏回動したときに前記停止解除姿勢になり、前記付勢部材は、停止アームを支軸廻りに停止姿勢側に付勢するバネにより構成され、
育苗箱の移送方向の移動により育苗箱が停止姿勢の停止アームを通過する際に、停止アームが育苗箱に押されて停止姿勢から停止解除姿勢に揺動するように構成されている点にある。
【発明の効果】
【０００６】
本発明によれば、停止アームが停止姿勢にあるときに育苗箱の移送により育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるように構成され、前記育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるときの、型付け突起の停止角度と育苗箱の移送位置との関係が、型付けロールの回転開始により、型付け突起を育苗箱のポットに一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を形成するように設定されているので、従来のように型付けロールの型付け突起が育苗箱の縁部に乗り上げることがなくなり、型付け突起を育苗箱のポットに正確に一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を確実に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１及び図２において、１は育苗用播種装置の全体を示しており、育苗用播種装置１は、機フレーム２に移送機構３が組み込まれ、機フレーム２の移送機構３の移送始端側に育苗箱供給機構５が配置され、移送機構３を跨るように、床土供給機構６、床土均し機構７、床土灌水機構９、型付け機構１０、播種機構１１、覆土供給機構１２、覆土均し機構１３、覆土灌水機構１４等が機フレーム２に搭載されている。
機フレーム２は、左右一対の側フレーム１７と側フレーム１７を支持する複数の脚体１８とを備える。
【０００８】
移送機構３は育苗箱２０をＡ方向に移送するもので、移送方向後部側にチェーン移送機構２３を備え、移送方向前部側にローラ移送機構２４を備えている。チェーン移送機構２３は、育苗箱供給機構５、床土供給機構６、床土均し機構７及び床土灌水機構９に亘っており、左右一対のレール２６と左右一対のレール２６間に配置された移送チェーン２７とを備える。
図２〜図４に示すように、ローラ移送機構２４は、複数の回転軸３８と回転軸３８の左右方向中央部と左右両端部に外嵌固定されたローラ体３９とを備え、複数の回転軸３８は左右一対の側フレーム１７間に軸心廻り回転自在に支持され、各回転軸３８は図示省略の駆動機構により矢印ｂ方向に回転駆動するように構成されており、育苗箱２０をローラ体３９上に載せた状態で移送方向Ａに移送する。
【０００９】
図２に示すように、育苗箱２０はアンダートレイ（外箱）３７にセルトレイ４０を挿入して構成され、セルトレイ４０の内部は区画されて多数のポット４７が縦横に形成されている。
育苗箱供給機構５は、複数段に積み重ねた育苗箱２０を収納保持すると共に、最下位の育苗箱２０を順次１つずつ移送機構３で移送方向Ａに送り出すように構成されている。
床土供給機構６は育苗箱供給機構５の移送方向前側に配置されており、育苗箱供給機構５から１つずつ送出された育苗箱２０に、床土コンベヤ等から所要量の床土を供給する。
【００１０】
床土均し機構７は鎮圧ローラ等で育苗箱２０の床土を鎮圧し又はスクレーパによって余剰土を排除し、床土ブラシによって床土量を適性化する。床土灌水機構９は育苗箱２０の床土に灌水する。
型付け機構１０は、周方向及び軸心方向に育苗箱２０のポット４７に対応する型付け突起４５が形成された型付けロール４６を備え、型付けロール４６は移送機構３の上方位置に、左右方向の支持軸４８廻りに回転自在に支持され、図示省略のモータにより矢印ｄ方向に駆動され、型付けロール４６は、育苗箱２０の移送に同期して型付けロール４６を軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に順次播種凹部を形成するように構成されている。
【００１１】
型付けロール４６の移送方向後側の下方に型付けロール４６の軸心廻りの回転を停止させる停止アーム５０が設けられている。停止アーム５０は支持部材５１に揺動自在に支持されている。
左右一対の側フレーム１７間に支持板５３が連結固定され、支持部材５１が支持板５３に溶接等により固着されて、支持部材５１は左右一対の側フレーム１７間の中途部に固定されている。支持部材５１は底壁５５と左右一対の側壁５６とを有し、一対の側壁５６の移送方向後端部に一対の支持側片５７が設けられ、底壁５５の移送方向前端部に上方に突出した支持壁５８が設けられている。
【００１２】
一対の支持側片５７間に左右方向の支軸５９が設けられ、支軸５９に支持筒体６０が軸心廻りに揺動自在に外嵌保持され、この支持筒体６０に停止アーム５０が突設されており、これにより、型付けロール４６の移送方向後側の下方で、停止アーム５０の下端部が支軸５９廻りに起伏回動すべく揺動自在に支持されている。停止アーム５０の先端部に係合片６２がＴ字を形成するように設けられ、停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘになったときに、係合片６２が左右に隣合う型付け突起４５に接当係合するように構成されている。
【００１３】
而して、停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘと、該停止姿勢Ｘから支軸５９廻りに倒伏回動した停止解除姿勢Ｙとに移動（揺動）自在に支持され、停止アーム５０が停止姿勢Ｘになったとき、停止アーム５０が係合片６２を介して型付けロール４６の型付け突起４５に接当係合して型付けロール４６の回転を停止させると共に育苗箱２０の移送通路を塞ぎ、停止アーム５０が停止解除姿勢Ｙになったとき、停止アーム５０は、型付け突起４５から外れて型付けロール４６の回転を許容するようになっている。
支持壁５８にナット７１が溶接等により固設され、ねじ軸部７２を有する連結軸７３がねじ軸部７２により支持壁５８にナット７１を介して移送方向に移動調整自在に螺合されて、ロックナット７４でロックされ、連結軸７３が支持壁５８に貫通した状態で固設されている。支持筒体６０に連動片６１が下方突設され、連動片６１と連結軸７３との間にコイルバネ（付勢部材）６３が連結され、コイルバネ６３は、停止アーム５０を支軸５９廻りに停止姿勢Ｘ側に付勢している。停止アーム５０が停止姿勢Ｘにあるときに育苗箱２０の移送により育苗箱２０が停止アーム５０に接当して停止アーム５０を停止姿勢Ｘから停止解除姿勢Ｙに移動させるように構成されている。そして、育苗箱２０が停止アーム５０に接当して停止アーム５０を停止姿勢Ｘから停止解除姿勢Ｙに移動させるときの、型付け突起４５の停止角度と育苗箱２０の移送位置との関係が、型付けロール４６の回転開始により、型付け突起４５を育苗箱２０のポット４７に一致させて型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に播種凹部を形成するように設定されている。
【００１４】
図４に示すように、覆土供給機構１２は覆土コンベア６５を備え、覆土コンベア６５は矢印ｅ方向に回動して覆土コンベア６５の移送方向後端側から覆土を送出するように構成され、覆土コンベア６５の移送方向後方に種子案内板６６が設けられて、覆土供給機構１２の移送方向後端側に、覆土を育苗箱２０に供給する覆土供給口６７が形成されている。覆土供給機構１２の移送方向前端側に覆土均し機構１３が設けられ、覆土供給機構１２の移送方向前方側に覆土供給機構１２に接近して育苗箱２０内の覆土に灌水するための覆土灌水機構１４が設けられている。
【００１５】
前記実施形態によれば、育苗箱供給機構５に積み重ねて収納保持された育苗箱２０は下側から順次一つずつ左右一対のレール２６上に落下され、チェーン移送機構２３の回転駆動により、押し部材３３によって移送方向Ａに押圧され、これにより育苗箱２０は移送方向Ａに移送される。
育苗箱供給機構５から１つずつ送出された育苗箱２０に床土供給機構６が床土コンベヤ等から所要量の床土を供給し、床土均し機構７は育苗箱２０の床土を均し、床土灌水機構９が育苗箱２０の床土に灌水する。
【００１６】
次に、型付け機構１０が型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に順次播種凹部を形成する。播種機構１１が育苗箱２０のポット４７に順次播種し、覆土供給機構１２は、播種機構１１により播種された育苗箱２０に覆土を供給し、覆土均し機構１３は、育苗箱２０に供給された覆土を均し、覆土灌水機構１４は育苗箱２０の覆土に灌水する。
型付け機構１０では、育苗箱２０が型付け機構１０に達する前は、コイルバネ６３が停止アーム５０を支軸５９廻りに停止姿勢Ｘ側に付勢しており、コイルバネ６３の付勢により停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘになっており、停止アーム５０は、型付けロール４６の型付け突起４５に接当係合して型付けロール４６の回転を停止させると共に育苗箱２０の移送通路を塞いでいる。この状態で、育苗箱２０が移送方向Ａに移送されて型付け機構１０の型付けロール４６に近づくと、育苗箱２０の移送により育苗箱２０が停止姿勢Ｘにある停止アーム５０に接当して停止アーム５０をコイルバネ６３の付勢に抗して停止姿勢Ｘから停止解除姿勢Ｙに移動させ、停止アーム５０が型付け突起４５から外れて型付けロール４６の回転を許容すると共に、育苗箱２０の移送通路を開放する。すると、停止していた型付けロール４６が矢印ｄ方向に回転を開始し、育苗箱２０が型付けロール４６の下方を通過する際に、従来のように型付けロール４６の型付け突起４５が育苗箱２０の縁部に乗り上げるのを防止でき、型付け突起４５を育苗箱２０のポット４７に一致させて、型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に順次確実に播種凹部を形成できる。
【００１７】
育苗箱２０が型付けロール４６の下方を通過した後は、コイルバネ６３の付勢により停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘに戻り、停止アーム５０は、型付けロール４６の型付け突起４５に接当係合して型付けロール４６の回転を停止させると共に、育苗箱２０の移送通路を塞ぐ。
なお、前記実施の形態では、停止アーム５０を停止姿勢Ｘに付勢する付勢部材を、コイルバネ６３により構成しているが、これに代え、停止アーム５０を停止姿勢Ｘに付勢する付勢部材を板バネその他のバネにより構成し、又はダンパーその他により構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明の実施形態を示す育苗用播種装置の全体側面図である。
【図２】同育苗用播種装置の全体平面図である。
【図３】同型付け機構部分の側面断面図である。
【図４】同型付け機構部分の斜視図である。
【図５】同播種機構部分の側面図である。
【符号の説明】
【００１９】
２ 育苗箱
４ 型付けロール
４７ ポット
５０ 停止アーム
５９ 支軸
６３ コイルバネ（付勢部材）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、育苗用播種装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
育苗用播種装置には縦横に多数のポットを有する育苗箱を移送する移送台の上方位置に、繰出ロールが設けられ、育苗箱の移送に同期して繰出ロールを軸心廻りに回転駆動させて、繰出ロールの繰り出し位置から育苗箱のポットに順次播種するようにしたものがある（例えば特許文献１、特許文献２）。
この種の従来の育苗用播種装置では、繰出ロールの移送方向の後側に、前記ポットに対応する型付け突起が形成された型付けロールが設けられ、育苗箱の移送に同期して型付けロールを軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起で育苗箱のポットに順次播種凹部を形成していた（例えば特許文献１、特許文献２）。
【特許文献１】特開２００２−８４８２１号公報
【特許文献２】特開平６−３３５３０７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、従来の場合、型付けロールの回転を育苗箱の移送に正確に同期させるように考慮されておらず、型付けロールの型付け突起が育苗箱の縁部に乗り上げることがあった。
本発明は上記問題点に鑑み、型付けロールの回転を育苗箱の移送に正確に同期させて育苗箱のポットに播種凹部を確実に形成できるようにしたものある。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、縦横に多数のポットを有する育苗箱を移送する移送機構の上方位置に、周方向及び軸心方向に前記ポットに対応する型付け突起が形成された型付けロールが設けられ、育苗箱の移送に同期して型付けロールを軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起で育苗箱のポットに順次播種凹部を形成するようにした育苗用播種装置において、
型付けロールの軸心廻りの回転を停止させる停止アームが設けられ、停止アームは、型付け突起に接当して型付けロールの回転を停止させると共に育苗箱の移送通路を塞ぐ停止姿勢と、型付け突起から外れて型付けロールの回転を許容すると共に育苗箱の移送通路を開放する停止解除姿勢とに移動自在に支持され、停止アームを停止姿勢に付勢する付勢部材が設けられ、停止アームが停止姿勢にあるときに育苗箱の移送により育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるように構成され、
前記育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢Ｘから停止解除姿勢に移動させるときの、型付け突起の停止角度と育苗箱の移送位置との関係が、型付けロールの回転開始により、型付け突起を育苗箱のポットに一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を形成するように設定されている点にある。
【０００５】
また、本発明の他の技術的手段は、型付けロールの移送方向後側の下方で、停止アームの下端部が支軸廻りに起伏回動すべく揺動自在に支持され、停止アームが前上がりに傾斜した起立状態のときに前記停止姿勢になり、停止姿勢から支軸廻りに倒伏回動したときに前記停止解除姿勢になり、前記付勢部材は、停止アームを支軸廻りに停止姿勢側に付勢するバネにより構成され、
育苗箱の移送方向の移動により育苗箱が停止姿勢の停止アームを通過する際に、停止アームが育苗箱に押されて停止姿勢から停止解除姿勢に揺動するように構成されている点にある。
【発明の効果】
【０００６】
本発明によれば、停止アームが停止姿勢にあるときに育苗箱の移送により育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるように構成され、前記育苗箱が停止アームに接当して停止アームを停止姿勢から停止解除姿勢に移動させるときの、型付け突起の停止角度と育苗箱の移送位置との関係が、型付けロールの回転開始により、型付け突起を育苗箱のポットに一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を形成するように設定されているので、従来のように型付けロールの型付け突起が育苗箱の縁部に乗り上げることがなくなり、型付け突起を育苗箱のポットに正確に一致させて型付け突起で育苗箱のポットに播種凹部を確実に形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図１及び図２において、１は育苗用播種装置の全体を示しており、育苗用播種装置１は、機フレーム２に移送機構３が組み込まれ、機フレーム２の移送機構３の移送始端側に育苗箱供給機構５が配置され、移送機構３を跨るように、床土供給機構６、床土均し機構７、床土灌水機構９、型付け機構１０、播種機構１１、覆土供給機構１２、覆土均し機構１３、覆土灌水機構１４等が機フレーム２に搭載されている。
機フレーム２は、左右一対の側フレーム１７と側フレーム１７を支持する複数の脚体１８とを備える。
【０００８】
移送機構３は育苗箱２０をＡ方向に移送するもので、移送方向後部側にチェーン移送機構２３を備え、移送方向前部側にローラ移送機構２４を備えている。チェーン移送機構２３は、育苗箱供給機構５、床土供給機構６、床土均し機構７及び床土灌水機構９に亘っており、左右一対のレール２６と左右一対のレール２６間に配置された移送チェーン２７とを備える。
図２〜図４に示すように、ローラ移送機構２４は、複数の回転軸３８と回転軸３８の左右方向中央部と左右両端部に外嵌固定されたローラ体３９とを備え、複数の回転軸３８は左右一対の側フレーム１７間に軸心廻り回転自在に支持され、各回転軸３８は図示省略の駆動機構により矢印ｂ方向に回転駆動するように構成されており、育苗箱２０をローラ体３９上に載せた状態で移送方向Ａに移送する。
【０００９】
図２に示すように、育苗箱２０はアンダートレイ（外箱）３７にセルトレイ４０を挿入して構成され、セルトレイ４０の内部は区画されて多数のポット４７が縦横に形成されている。
育苗箱供給機構５は、複数段に積み重ねた育苗箱２０を収納保持すると共に、最下位の育苗箱２０を順次１つずつ移送機構３で移送方向Ａに送り出すように構成されている。
床土供給機構６は育苗箱供給機構５の移送方向前側に配置されており、育苗箱供給機構５から１つずつ送出された育苗箱２０に、床土コンベヤ等から所要量の床土を供給する。
【００１０】
床土均し機構７は鎮圧ローラ等で育苗箱２０の床土を鎮圧し又はスクレーパによって余剰土を排除し、床土ブラシによって床土量を適性化する。床土灌水機構９は育苗箱２０の床土に灌水する。
型付け機構１０は、周方向及び軸心方向に育苗箱２０のポット４７に対応する型付け突起４５が形成された型付けロール４６を備え、型付けロール４６は移送機構３の上方位置に、左右方向の支持軸４８廻りに回転自在に支持され、図示省略のモータにより矢印ｄ方向に駆動され、型付けロール４６は、育苗箱２０の移送に同期して型付けロール４６を軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に順次播種凹部を形成するように構成されている。
【００１１】
型付けロール４６の移送方向後側の下方に型付けロール４６の軸心廻りの回転を停止させる停止アーム５０が設けられている。停止アーム５０は支持部材５１に揺動自在に支持されている。
左右一対の側フレーム１７間に支持板５３が連結固定され、支持部材５１が支持板５３に溶接等により固着されて、支持部材５１は左右一対の側フレーム１７間の中途部に固定されている。支持部材５１は底壁５５と左右一対の側壁５６とを有し、一対の側壁５６の移送方向後端部に一対の支持側片５７が設けられ、底壁５５の移送方向前端部に上方に突出した支持壁５８が設けられている。
【００１２】
一対の支持側片５７間に左右方向の支軸５９が設けられ、支軸５９に支持筒体６０が軸心廻りに揺動自在に外嵌保持され、この支持筒体６０に停止アーム５０が突設されており、これにより、型付けロール４６の移送方向後側の下方で、停止アーム５０の下端部が支軸５９廻りに起伏回動すべく揺動自在に支持されている。停止アーム５０の先端部に係合片６２がＴ字を形成するように設けられ、停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘになったときに、係合片６２が左右に隣合う型付け突起４５に接当係合するように構成されている。
【００１３】
而して、停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘと、該停止姿勢Ｘから支軸５９廻りに倒伏回動した停止解除姿勢Ｙとに移動（揺動）自在に支持され、停止アーム５０が停止姿勢Ｘになったとき、停止アーム５０が係合片６２を介して型付けロール４６の型付け突起４５に接当係合して型付けロール４６の回転を停止させると共に育苗箱２０の移送通路を塞ぎ、停止アーム５０が停止解除姿勢Ｙになったとき、停止アーム５０は、型付け突起４５から外れて型付けロール４６の回転を許容するようになっている。
支持壁５８にナット７１が溶接等により固設され、ねじ軸部７２を有する連結軸７３がねじ軸部７２により支持壁５８にナット７１を介して移送方向に移動調整自在に螺合されて、ロックナット７４でロックされ、連結軸７３が支持壁５８に貫通した状態で固設されている。支持筒体６０に連動片６１が下方突設され、連動片６１と連結軸７３との間にコイルバネ（付勢部材）６３が連結され、コイルバネ６３は、停止アーム５０を支軸５９廻りに停止姿勢Ｘ側に付勢している。停止アーム５０が停止姿勢Ｘにあるときに育苗箱２０の移送により育苗箱２０が停止アーム５０に接当して停止アーム５０を停止姿勢Ｘから停止解除姿勢Ｙに移動させるように構成されている。そして、育苗箱２０が停止アーム５０に接当して停止アーム５０を停止姿勢Ｘから停止解除姿勢Ｙに移動させるときの、型付け突起４５の停止角度と育苗箱２０の移送位置との関係が、型付けロール４６の回転開始により、型付け突起４５を育苗箱２０のポット４７に一致させて型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に播種凹部を形成するように設定されている。
【００１４】
図４に示すように、覆土供給機構１２は覆土コンベア６５を備え、覆土コンベア６５は矢印ｅ方向に回動して覆土コンベア６５の移送方向後端側から覆土を送出するように構成され、覆土コンベア６５の移送方向後方に種子案内板６６が設けられて、覆土供給機構１２の移送方向後端側に、覆土を育苗箱２０に供給する覆土供給口６７が形成されている。覆土供給機構１２の移送方向前端側に覆土均し機構１３が設けられ、覆土供給機構１２の移送方向前方側に覆土供給機構１２に接近して育苗箱２０内の覆土に灌水するための覆土灌水機構１４が設けられている。
【００１５】
前記実施形態によれば、育苗箱供給機構５に積み重ねて収納保持された育苗箱２０は下側から順次一つずつ左右一対のレール２６上に落下され、チェーン移送機構２３の回転駆動により、押し部材３３によって移送方向Ａに押圧され、これにより育苗箱２０は移送方向Ａに移送される。
育苗箱供給機構５から１つずつ送出された育苗箱２０に床土供給機構６が床土コンベヤ等から所要量の床土を供給し、床土均し機構７は育苗箱２０の床土を均し、床土灌水機構９が育苗箱２０の床土に灌水する。
【００１６】
次に、型付け機構１０が型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に順次播種凹部を形成する。播種機構１１が育苗箱２０のポット４７に順次播種し、覆土供給機構１２は、播種機構１１により播種された育苗箱２０に覆土を供給し、覆土均し機構１３は、育苗箱２０に供給された覆土を均し、覆土灌水機構１４は育苗箱２０の覆土に灌水する。
型付け機構１０では、育苗箱２０が型付け機構１０に達する前は、コイルバネ６３が停止アーム５０を支軸５９廻りに停止姿勢Ｘ側に付勢しており、コイルバネ６３の付勢により停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘになっており、停止アーム５０は、型付けロール４６の型付け突起４５に接当係合して型付けロール４６の回転を停止させると共に育苗箱２０の移送通路を塞いでいる。この状態で、育苗箱２０が移送方向Ａに移送されて型付け機構１０の型付けロール４６に近づくと、育苗箱２０の移送により育苗箱２０が停止姿勢Ｘにある停止アーム５０に接当して停止アーム５０をコイルバネ６３の付勢に抗して停止姿勢Ｘから停止解除姿勢Ｙに移動させ、停止アーム５０が型付け突起４５から外れて型付けロール４６の回転を許容すると共に、育苗箱２０の移送通路を開放する。すると、停止していた型付けロール４６が矢印ｄ方向に回転を開始し、育苗箱２０が型付けロール４６の下方を通過する際に、従来のように型付けロール４６の型付け突起４５が育苗箱２０の縁部に乗り上げるのを防止でき、型付け突起４５を育苗箱２０のポット４７に一致させて、型付け突起４５で育苗箱２０のポット４７に順次確実に播種凹部を形成できる。
【００１７】
育苗箱２０が型付けロール４６の下方を通過した後は、コイルバネ６３の付勢により停止アーム５０が前上がりに傾斜した停止姿勢Ｘに戻り、停止アーム５０は、型付けロール４６の型付け突起４５に接当係合して型付けロール４６の回転を停止させると共に、育苗箱２０の移送通路を塞ぐ。
なお、前記実施の形態では、停止アーム５０を停止姿勢Ｘに付勢する付勢部材を、コイルバネ６３により構成しているが、これに代え、停止アーム５０を停止姿勢Ｘに付勢する付勢部材を板バネその他のバネにより構成し、又はダンパーその他により構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００１８】
【図１】本発明の実施形態を示す育苗用播種装置の全体側面図である。
【図２】同育苗用播種装置の全体平面図である。
【図３】同型付け機構部分の側面断面図である。
【図４】同型付け機構部分の斜視図である。
【図５】同播種機構部分の側面図である。
【符号の説明】
【００１９】
２ 育苗箱
４ 型付けロール
４７ ポット
５０ 停止アーム
５９ 支軸
６３ コイルバネ（付勢部材）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
縦横に多数のポット（４７）を有する育苗箱（２０）を移送する移送機構の上方位置に、周方向及び軸心方向に前記ポット（４７）に対応する型付け突起（４５）が形成された型付けロール（４６）が設けられ、育苗箱（２０）の移送に同期して型付けロール（４６）を軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起（４５）で育苗箱（２０）のポット（４７）に順次播種凹部を形成するようにした育苗用播種装置において、
型付けロール（４６）の軸心廻りの回転を停止させる停止アーム（５０）が設けられ、停止アーム（５０）は、型付け突起（４５）に接当して型付けロール（４６）の回転を停止させると共に育苗箱（２０）の移送通路を塞ぐ停止姿勢（Ｘ）と、型付け突起（４５）から外れて型付けロール（４６）の回転を許容すると共に育苗箱（２０）の移送通路を開放する停止解除姿勢（Ｙ）とに移動自在に支持され、停止アーム（５０）を停止姿勢（Ｘ）に付勢する付勢部材が設けられ、停止アーム（５０）が停止姿勢（Ｘ）にあるときに育苗箱（２０）の移送により育苗箱（２０）が停止アーム（５０）に接当して停止アーム（５０）を停止姿勢（Ｘ）から停止解除姿勢（Ｙ）に移動させるように構成され、
前記育苗箱（２０）が停止アーム（５０）に接当して停止アーム（５０）を停止姿勢（Ｘ）から停止解除姿勢（Ｙ）に移動させるときの、型付け突起（４５）の停止角度と育苗箱（２０）の移送位置との関係が、型付けロール（４６）の回転開始により、型付け突起（４５）を育苗箱（２０）のポット（４７）に一致させて型付け突起（４５）で育苗箱（２０）のポット（４７）に播種凹部を形成するように設定されていることを特徴とする育苗用播種装置。
【請求項２】
型付けロール（４６）の移送方向後側の下方で、停止アーム（５０）の下端部が支軸（５９）廻りに起伏回動すべく揺動自在に支持され、停止アーム（５０）が前上がりに傾斜した起立状態のときに前記停止姿勢（Ｘ）になり、停止姿勢（Ｘ）から支軸（５９）廻りに倒伏回動したときに前記停止解除姿勢Ｙになり、前記付勢部材は、停止アーム（５０）を支軸（５９）廻りに停止姿勢Ｘ側に付勢するバネ（６３）により構成され、
育苗箱（２０）の移送方向の移動により育苗箱（２０）が停止姿勢（Ｘ）の停止アーム（５０）を通過する際に、停止アーム（５０）が育苗箱（２０）に押されて停止姿勢（Ｘ）から停止解除姿勢Ｙに揺動するように構成されていることを特徴とする請求項１に記載の育苗用播種装置。
【請求項１】
縦横に多数のポット（４７）を有する育苗箱（２０）を移送する移送機構の上方位置に、周方向及び軸心方向に前記ポット（４７）に対応する型付け突起（４５）が形成された型付けロール（４６）が設けられ、育苗箱（２０）の移送に同期して型付けロール（４６）を軸心廻りに回転駆動させて、型付け突起（４５）で育苗箱（２０）のポット（４７）に順次播種凹部を形成するようにした育苗用播種装置において、
型付けロール（４６）の軸心廻りの回転を停止させる停止アーム（５０）が設けられ、停止アーム（５０）は、型付け突起（４５）に接当して型付けロール（４６）の回転を停止させると共に育苗箱（２０）の移送通路を塞ぐ停止姿勢（Ｘ）と、型付け突起（４５）から外れて型付けロール（４６）の回転を許容すると共に育苗箱（２０）の移送通路を開放する停止解除姿勢（Ｙ）とに移動自在に支持され、停止アーム（５０）を停止姿勢（Ｘ）に付勢する付勢部材が設けられ、停止アーム（５０）が停止姿勢（Ｘ）にあるときに育苗箱（２０）の移送により育苗箱（２０）が停止アーム（５０）に接当して停止アーム（５０）を停止姿勢（Ｘ）から停止解除姿勢（Ｙ）に移動させるように構成され、
前記育苗箱（２０）が停止アーム（５０）に接当して停止アーム（５０）を停止姿勢（Ｘ）から停止解除姿勢（Ｙ）に移動させるときの、型付け突起（４５）の停止角度と育苗箱（２０）の移送位置との関係が、型付けロール（４６）の回転開始により、型付け突起（４５）を育苗箱（２０）のポット（４７）に一致させて型付け突起（４５）で育苗箱（２０）のポット（４７）に播種凹部を形成するように設定されていることを特徴とする育苗用播種装置。
【請求項２】
型付けロール（４６）の移送方向後側の下方で、停止アーム（５０）の下端部が支軸（５９）廻りに起伏回動すべく揺動自在に支持され、停止アーム（５０）が前上がりに傾斜した起立状態のときに前記停止姿勢（Ｘ）になり、停止姿勢（Ｘ）から支軸（５９）廻りに倒伏回動したときに前記停止解除姿勢Ｙになり、前記付勢部材は、停止アーム（５０）を支軸（５９）廻りに停止姿勢Ｘ側に付勢するバネ（６３）により構成され、
育苗箱（２０）の移送方向の移動により育苗箱（２０）が停止姿勢（Ｘ）の停止アーム（５０）を通過する際に、停止アーム（５０）が育苗箱（２０）に押されて停止姿勢（Ｘ）から停止解除姿勢Ｙに揺動するように構成されていることを特徴とする請求項１に記載の育苗用播種装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１０−１４８３６３（Ｐ２０１０−１４８３６３Ａ）
【公開日】平成２２年７月８日（２０１０．７．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−３２６９６６（Ｐ２００８−３２６９６６）
【出願日】平成２０年１２月２４日（２００８．１２．２４）
【出願人】（０００００１０５２）株式会社クボタ (4,415)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年７月８日（２０１０．７．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１２月２４日（２００８．１２．２４）
【出願人】（０００００１０５２）株式会社クボタ (4,415)
【Ｆターム（参考）】
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