育苗箱の隅部床土押圧装置およびその設定方法
【課題】隅部押圧体の高さ調節と深さ調節の混同、および、調節作業の煩雑化。
【解決手段】育苗箱2を横送する移送台1の上方位置に、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した後にできる育苗箱2の前壁5の隅部に溜る余分な隅土を押圧する前壁隅部押圧体15を有する前壁隅部押圧機構7と、前記育苗箱2の後壁4の隅部に溜る余分な隅土を押圧する後壁隅部押圧体35を有する後壁隅部押圧機構30を設けたものにおいて、前記前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30は左右一対の隅部均平機構取付用板11に取付け、隅部均平機構取付用板11は、高さ切替機構Kを介して高さ調節用支持板50に上下動自在に取付け、該高さ調節用支持板50は、前記移送台1のフレーム9に対して高さ調節機構Tにより上下自在に取り付けた育苗箱の隅部床土押圧装置。
【解決手段】育苗箱2を横送する移送台1の上方位置に、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した後にできる育苗箱2の前壁5の隅部に溜る余分な隅土を押圧する前壁隅部押圧体15を有する前壁隅部押圧機構7と、前記育苗箱2の後壁4の隅部に溜る余分な隅土を押圧する後壁隅部押圧体35を有する後壁隅部押圧機構30を設けたものにおいて、前記前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30は左右一対の隅部均平機構取付用板11に取付け、隅部均平機構取付用板11は、高さ切替機構Kを介して高さ調節用支持板50に上下動自在に取付け、該高さ調節用支持板50は、前記移送台1のフレーム9に対して高さ調節機構Tにより上下自在に取り付けた育苗箱の隅部床土押圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗箱の隅部床土押圧装置およびその設定方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前壁隅部押圧体を有する前壁隅部押圧機構と、後壁隅部押圧体を有する後壁隅部押圧機構を取付用板に取付け、取付用板を育苗箱を横送する移送台の上方位置に設けたフレームに取り付けた構成は、公知である。
【特許文献1】特開平10−313698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、前壁隅部押圧体および後壁隅部押圧体を取付用板に対して高さ調節(均平深さ)自在に取付け、しかも、取付用板をフレームに対して高さ調節自在に取り付け、高さ調節ダイヤルで高さを、深さ調節ダイヤルで均平深さ調節をそれぞれ行い、高さも深さも調節自在ではあるが、どの高さの育苗箱に対して、どの調節手段により調節したか不明瞭なため、調節が面倒であるという課題がある。
即ち、育苗箱に対する前壁隅部押圧体および後壁隅部押圧体の高さは、高さ調節ダイヤルと深さ調節ダイヤルの両方で変更できるため、高さと深さの調節を誤認混同して行う誤操作が発生し、調節が面倒となる。
本願は、高さの相違する育苗箱に対応し、掻き取り深さの相違する隅土の均平に対処しながら、高さと深さの調節を誤認を防止して、調節を容易にして、操作性を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、育苗箱2を横送する移送台1の上方位置に、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した後にできる育苗箱2の前壁5の隅部に溜る余分な隅土を押圧する前壁隅部押圧体15を有する前壁隅部押圧機構7と、前記育苗箱2の後壁4の隅部に溜る余分な隅土を押圧する後壁隅部押圧体35を有する後壁隅部押圧機構30を設けたものにおいて、前記前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30は左右一対の隅部均平機構取付用板11に取付け、隅部均平機構取付用板11は、高さ切替機構Kを介して高さ調節用支持板50に上下動自在に取付け、該高さ調節用支持板50は、前記移送台1のフレーム9に対して高さ調節機構Tにより上下自在に取り付けた育苗箱の隅部床土押圧装置としたものである。
本発明は、前記高さ調節機構Tは、左右一対の高さ調節用支持板50を高さ調節軸52によりフレーム9に取付け、前記高さ調節軸52はフレーム9に対して上下するように取り付けて構成した育苗箱の隅部床土押圧装置としたものである。
本発明は、前記高さ切替機構Kは、高さ調節用支持板50に左右方向のカム取付軸53を軸装し、該カム取付軸53は隅部均平機構取付用板11の挿通孔53Aより外側に突出させ、前記カム取付軸53の両側にはカム取付軸53の軸心に対して距離の相違するカム溝55を複数形成したカム体54を固定し、該カム体54のカム溝55には前記隅部均平機構取付用板11の上部所定位置に設けたピン56の下面に当接させ、もって、前記カム体54を回転させると、隅部均平機構取付用板11を、高さ調節用支持板50に対して上下させて高さを切り替え、もって、均平深さを設定するように構成した育苗箱の隅部床土押圧装置としたものである。
本発明は、育苗箱2を横送する移送台1に固定のフレーム9に、高さ調節用支持板50を高さ調節機構Tを介して上下自在に取付け、高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35を有する隅部均平機構取付用板11を上下自在に取付け、高さ切替機構Kのカム体54の育苗箱2の高さの初期設定用カム溝55に、隅部均平機構取付用板11のピン56を係合させることにより、高さ調節用支持板50に対する隅部均平機構取付用板11の高さを初期設定し、次に、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて、使用する育苗箱2の上面高さに前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35の高さを一致させ、次に、高さ切替機構Kの切替ダイヤル57を回転させ、所定均平深さのカム溝55をピン56に係合させて、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が育苗箱2の上面より低くい前記隅部を均平するように設定する育苗箱の隅部床土押圧装置の設定方法としたものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、一旦、高さ調節機構Tにより育苗箱2の高さに合わせると、高さ切替機構Kにより育苗箱2の床土の深さに高さ切替機構Kにより合わせれば良く、操作性を向上させることができる。
即ち、高さ切替機構Kは一定範囲(3〜5mm)で高さが変動するので、高さ調節には不向きであり、高さ調節機構Tと高さ切替機構Kとの間の操作の誤認を防止する。
請求項2の発明では、高さ調節軸52により高さ調節用支持板50を上下させれば、隅部均平機構取付用板11が連動して上下するので、高さ調節機構Tによる育苗箱2の高さ設定は、頗る容易に行える。
請求項3の発明では、カム体54を回転させるだけで、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対して高さが切り替わるので、前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30の育苗箱2の床土高さに合わせる深さ設定は、頗る容易に行える。
請求項4の発明では、高さおよび深さの設定を頗る簡単にでき、誤操作を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は移送台、2は育苗箱であり、移送台1は育苗箱2をイ方向に移送する。3は育苗箱2を移送する移送ロールである。前記移送台1には、育苗箱2の移送方向前側の前壁5の隅部の床土(理解を容易にするため隅部の床土Aは点により図示し、他の床土は小丸により図示しているがこれにより、構成は限定されない)を押圧する隅部押圧装置6の前壁隅部押圧機構7を設ける。
前記移送台1には、隅部押圧装置6のフレーム9の側板10の下端を固定する。前記側板10、10には、左右一対の隅部均平機構取付用板11、11を上下自在に設ける。
隅部均平機構取付用板11には左右一対の取付アーム12の一端を軸13により取付ける。13Aは軸13の取付孔である。
【0007】
取付アーム12の他端には左右方向の取付兼回動規制軸14を移動自在に軸装する。該取付兼回動規制軸14には育苗箱2の前壁5の隅部を押圧する前壁隅部押圧体15を取付ける。前記前壁隅部押圧体15は、左右方向の平板状に形成し、前側を略水平の押圧部16に形成し、押圧部16に続いて後側に至るに従い高くなるように傾斜させた傾斜案内面17に形成する。
前記取付兼回動規制軸14には左右一対の規制アーム20の先端の長孔21を挿通し、規制アーム20の基部は前記取付板11に軸22により回動自在に取付ける。
即ち、規制アーム20は、前壁隅部押圧体15を床土上面よりも上方に待機させるために、取付兼回動規制軸14を、所定高さに保持させるために設けたものである。
【0008】
取付アーム12と規制アーム20の関係は、取付兼回動規制軸14が規制アーム20の先端の長孔21内の下縁に当接して取付兼回動規制軸14を所定高さに保持し、取付アーム12が軸13中心に上方回動すると、取付兼回動規制軸14が規制アーム20の先端の長孔21内を上動し、取付アーム12が軸13中心に下方回動すると、前壁隅部押圧体15は下降して前壁5の隅部の床土を押圧する。
22Aは軸22の取付孔である。
しかして、前記隅部均平機構取付用板11には後壁4の隅部を押圧する後壁隅部押圧機構30を設ける。後壁隅部押圧機構30は、左右方向の支持軸31に縦の取付軸32の上部を固定し、取付軸32の下部に取付板33を固定し、取付板33に側面視L型形状の育苗箱2の後壁4の隅部を押圧する後壁隅部押圧体35を取付高さ位置上下変更自在に軸36により取付ける。前記支持軸31は隅部均平機構取付用板11の取付孔31Aに取付ける。
【0009】
前記支持軸31の所定位置には錘37を設け、錘37は後壁隅部押圧体35が常時後方回動するように付勢する。38は支持軸31を常時下方に位置するように付勢するバネである。
前記取付軸32の後方にはストッパ40を当接させる。ストッパ40は錘37により常時後方回動する後壁隅部押圧体35を所定位置に待機させるものである。ストッパ40はローラー形状に形成し、左右方向の取付軸41に取付ける。取付軸41にはストッパ40の位置を規制する規制リンク42を取付ける。取付軸41には規制リンク42の一方側アーム43の下部を軸着し、一方側アーム43の上部は軸44により隅部均平機構取付用板11に回動自在に軸着する。前記軸44は隅部均平機構取付用板11の取付孔44Aに取付ける。
【0010】
前記取付軸41には規制リンク42の別の他方側アーム45の上部を軸着し、他方側アーム45の下部には軸46を取付け、軸46は前記隅部均平機構取付用板11の長孔47に上下自在に軸装する。
ストッパ40は後述する切替機構Kにより後壁隅部押圧体35の押圧深さを変更すると、後壁隅部押圧体35の待機位置を変更し、後壁隅部押圧体35の押圧深さを深くさせたとき(図8)、ストッパ40は後壁隅部押圧体35を押圧深さを浅くさせたとき(図9)よりも後方に位置させる。
なお、理解を容易にするため、図8と図9では、後壁隅部押圧体35の前後位置の比較を図示しており、必ずしも、図8と図9の後壁隅部押圧体35の高さに、明確な相違はないが、これにより、本発明の構成が限定されるものではない。
48は前記隅部均平機構取付用板11に形成した透孔であり、透孔48には前記取付軸41の両端を挿通し、規制リンク42の作動に伴う取付軸41の移動を阻害しないように形成している。
【0011】
しかして、隅部均平機構取付用板11は、前記移送台1に設けた隅部押圧装置6のフレーム9に、高さ調節機構Tと高さ切替機構Kを介して取付ける。
即ち、隅部均平機構取付用板11には前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35とを取付け、この隅部均平機構取付用板11を高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して取付け、高さ調節用支持板50を高さ調節機構Tを介してフレーム9に対して上下するように取付ける。
そして、前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35の高さを、高さ調節機構Tにより高さ調節用支持板50を上下させて育苗箱2の高さに合わせて調節設定し、次に、高さ調節用支持板50に対して隅部均平機構取付用板11の高さを切り替えて、均平深さ(押圧深さ)を設定する。
【0012】
前記高さ調節機構Tは、左右一対の高さ調節用支持板50を高さ調節軸52によりフレーム9に取付け、高さ調節軸52は螺子軸により形成して螺合させる等の手段によりフレーム9に対して上下し、フレーム9に対する高さ調節用支持板50の高さを設定するように構成している。51は高さ調節ダイヤルである。
前記高さ切替機構Kは、高さ調節用支持板50に左右方向のカム取付軸53を軸装し、カム取付軸53の両端は隅部均平機構取付用板11の挿通孔53Aより外側に突出させ、カム取付軸53の両側にはカム体54を固定する。カム体54の外周にはカム取付軸53の軸心に対する距離が相違するようにカム溝55を複数形成し、カム溝55は隅部均平機構取付用板11の上部所定位置に設けたピン56に当接する。57は切替ダイヤルである。
【0013】
高さ切替機構Kは、切替ダイヤル57を回転させ、一旦、設定用カム溝55をピン56に係合させると、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対して最も高い位置になり、この状態で、前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35のそれぞれの高さを育苗箱2の縁の上面高さに合わせるため、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて高さ位置を調節設定し、次に、切替ダイヤル57を回転させ、所定のカム溝55をピン56に係合させると、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対して下降し、待機状態となる。
【0014】
図中、13B、31B、44B、47B,48B、53Bは、高さ調節用支持板50に形成した透孔である。
60はガイド軸であり、透孔61Aおよび透孔61Bに挿通する。ガイド軸60は他方側アーム45の下部の軸46と共に、隅部均平機構取付用板11の高さ調節用支持板50に対する上下を案内する。
【0015】
(実施例の作用)
次に作用を述べる。
本発明は以上の構成であるから、移送台1に育苗箱2を供給すると、育苗箱2はイ方向に移送され、移送中に上方の床土供給装置により床土が供給される。
この床土の供給は、多い目に供給して余分のものを取り去るという方法のため、回転均平ブラシにより床土の上面を均平し、育苗箱2の後壁4および前壁5の隅部に溜る余分な隅土を、隅部押圧装置6の前壁隅部押圧機構7により押圧する。なお、前記育苗箱2の移送速度は、一時間あたり約200箱〜1600箱と任意である。
【0016】
前壁隅部押圧機構7の取付アーム12は、前壁隅部押圧体15の自重あるいはバネ弾力により軸13中心に下方回動するように付勢され、前壁隅部押圧体15の取付兼回動規制軸14は規制アーム20の長孔21の下面により支持されて待機している。
この状態で、移送台1に育苗箱2を供給して床土を供給し、回転均平ブラシにより床土の上面を均平し、または、床土を供給し、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した育苗箱2を移送台1に供給すると、育苗箱2の前壁5が前壁隅部押圧体15の傾斜案内面19に当接する。育苗箱2は傾斜案内面19を前方に押すから、取付アーム取付アーム12は軸13中心に上方回動し、取付兼回動規制軸14も軸13中心に上方回動し、前壁隅部押圧体15は育苗箱2により更に前方に押されて、前壁隅部押圧体15の押圧部押圧部16の下方を育苗箱2の前壁5が通過すると、前壁隅部押圧体15は自重に下降して育苗箱2の前壁5の隅土を押圧して均平する。
【0017】
しかして、後壁隅部押圧機構30の後壁隅部押圧体35の取付軸32は、規制リンク42の取付軸41により上方回動が規制され、後壁隅部押圧体35を育苗箱2内の床土上面には接触しないが育苗箱2の後壁4と衝突する高さにて待機させる。
この状態で、育苗箱2の前壁5が後壁隅部押圧体35の後面に当接し、育苗箱2の前壁5の前進移動により後壁隅部押圧体35を前進させる。後壁隅部押圧体35の前進には規制リンク42は作用しないので、後壁隅部押圧体35は移動する育苗箱2により更に前進して回動し、後壁隅部押圧体35の下端が前壁5の上端まで回動すると、前壁5が後壁隅部押圧体35の下方を通過する。
【0018】
すると、後壁隅部押圧体35は錘37の重量により支持軸31中心に回動して、後壁隅部押圧体35は元の高さにて待機する。
次に、前壁5を乗り越えて床土上面の設定された高さに待機中の後壁隅部押圧体35は後壁4の前面(内面)に当接し、これにより前記したように取付軸32を下方回動させ、取付軸32の下方回動により後壁隅部押圧体35は後壁4の前面に摺接しながら床土に対して下降することになって、後壁隅部押圧体35が支持軸31の下方まで回動すると、後壁隅部押圧体35は後壁4の隅土を最大に押圧して平坦にし、次に前壁5を乗越えるのと同一の作用によって後壁4を乗り越える。
【0019】
なお、実際は、前記育苗箱2の前壁5が後壁隅部押圧機構30の後壁隅部押圧体35の下方を通過して更に育苗箱2が前進すると、このときに、前記前壁隅部押圧機構7の前壁隅部押圧体15が前壁5の隅土を押圧するが、先に、前壁隅部押圧機構7を説明している。また、前記作用の説明は、理解を容易にするため、1箱の育苗箱2の移動で説明しているが、実際の作業では、連続して隙間なく育苗箱2は移送されるので、先行の育苗箱2の後壁4に後続の育苗箱2の前壁5は接触して移動し、それゆえ、後壁隅部押圧機構30および前壁隅部押圧機構7は後壁4と前壁5とを同時に乗越え、特に前壁隅部押圧機構7の前壁隅部押圧体15は、後壁4の内面に当接して上動し、後壁4および前壁5を乗越え、前壁5が通過したときに作用する。
【0020】
しかして、支持板50を高さ調節機構Tを介して上下自在に取付け、高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35を有する隅部均平機構取付用板11を上下自在に取付けているから、高さ切替機構Kは、切替ダイヤル57を回転させ、一旦、設定用カム溝55をピン56に係合させて、隅部均平機構取付用板11を高さ調節用支持板50に対して最も高い位置の初期設定位置にする。
【0021】
次に、この状態で、前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35のそれぞれの高さを育苗箱2の縁の上面高さに合わせるため、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて高さ位置を調節設定して、隅部均平機構取付用板11の高さの初期設定が完了する。
次に、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて、使用する育苗箱2の上面高さに前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35の高さを一致させる。
【0022】
次に、高さ切替機構Kの切替ダイヤル57を回転させ、所定均平深さのカム溝55をピン56に係合させると、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対してカム溝55の分下降し、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が育苗箱2の上面より低くい均平待機高さに設定される(図10)。
なお、理解を容易にするため、図10の右側の後壁隅部押圧体35は、最大均平位置まで回動させた状態で図示している。
【0023】
しかして、同じ高さの育苗箱2であっても、床土供給深さが相違するときは、切替ダイヤル57によりカム体54を回転させ、例えば、床土が浅いときは、カム取付軸53に近いカム溝55にピン56を係合させると、隅部均平機構取付用板11全体が高さ調節用支持板50に対して下降し、反対に、床土が深く育苗箱2の上面に近いときは、カム取付軸53に遠いカム溝55にピン56を係合させると、隅部均平機構取付用板11全体が高さ調節用支持板50に対して上昇し、均平位置(深さ)を調節する。
【0024】
実施例では、育苗箱2の上面と同じ高さの0mmのカム溝55と、育苗箱2の上面から7mm下がるカム溝55と、同10mmのカム溝55と、同12mmのカム溝55と、同15mmのカム溝55を形成し、選択係合させて、深さ位置を切り替える。
したがって、通常、育苗箱2は同じ高さのものを使用するから、最初に、高さ調節機構Tにより高さ設定を行えば、あとは高さ切替機構Kのカム溝55で深さを切替変更すれば良く、操作性を向上させる。
【0025】
この場合、育苗箱2の上面と同じ高さの0mmのカム溝55に合わせてから、各切替カム溝55に合わせたとき、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35は設定深さより約1mmほど床土の上面より高く位置させ、均平した床土上面を前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が引き摺らないようにしている。
例えば、7mm下がるカム溝55とき、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35は実際は育苗箱2の上面から6mmだけ下降させ、均平した床土上面と前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35との間に約1mmの隙間を形成して余裕を持たせている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】隅部床土押圧装置全体側面図。
【図2】同概略分解斜視図。
【図3】隅部均平機構取付用板の側面図。
【図4】フレームの側面図
【図5】高さ調節用支持板の側面図。
【図6】高さ調節状態側面図。
【図7】高さ切替状態側面図。
【図8】規制リンクの側面図。
【図9】同隅部均平機構取付用板を上動させたときの作用状態図。
【図10】カム体の作用状態図。
【図11】前壁が通過するときの作用状態図。
【図12】均平状態の作用状態図。
【図13】後壁隅部押圧体移動状態側面図。
【符号の説明】
【0027】
1…移送台、2…育苗箱、3…移送ロール、4…後壁、5…前壁、6…隅部押圧装置、7…前壁隅部押圧機構、9…フレーム、10…側板、11…隅部均平機構取付用板、12…取付アーム、14…取付兼回動規制軸、15…前壁隅部押圧体、16…押圧部、17…傾斜案内面、20…規制アーム、21…長孔、22…軸、30…後壁隅部押圧機構、31…支持軸、32…取付軸、33…取付板、35…後壁隅部押圧体、36…軸、37…錘、40…ストッパ、41…取付軸、42…規制リンク、43…一方側アーム、44…軸、45…他方側アーム、46…軸、47…長孔、48…透孔、50…高さ調節用支持板、52…高さ調節軸、53…カム取付軸、54…カム体、55…カム溝、56…ピン、57…切替ダイヤル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、育苗箱の隅部床土押圧装置およびその設定方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前壁隅部押圧体を有する前壁隅部押圧機構と、後壁隅部押圧体を有する後壁隅部押圧機構を取付用板に取付け、取付用板を育苗箱を横送する移送台の上方位置に設けたフレームに取り付けた構成は、公知である。
【特許文献1】特開平10−313698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、前壁隅部押圧体および後壁隅部押圧体を取付用板に対して高さ調節(均平深さ)自在に取付け、しかも、取付用板をフレームに対して高さ調節自在に取り付け、高さ調節ダイヤルで高さを、深さ調節ダイヤルで均平深さ調節をそれぞれ行い、高さも深さも調節自在ではあるが、どの高さの育苗箱に対して、どの調節手段により調節したか不明瞭なため、調節が面倒であるという課題がある。
即ち、育苗箱に対する前壁隅部押圧体および後壁隅部押圧体の高さは、高さ調節ダイヤルと深さ調節ダイヤルの両方で変更できるため、高さと深さの調節を誤認混同して行う誤操作が発生し、調節が面倒となる。
本願は、高さの相違する育苗箱に対応し、掻き取り深さの相違する隅土の均平に対処しながら、高さと深さの調節を誤認を防止して、調節を容易にして、操作性を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、育苗箱2を横送する移送台1の上方位置に、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した後にできる育苗箱2の前壁5の隅部に溜る余分な隅土を押圧する前壁隅部押圧体15を有する前壁隅部押圧機構7と、前記育苗箱2の後壁4の隅部に溜る余分な隅土を押圧する後壁隅部押圧体35を有する後壁隅部押圧機構30を設けたものにおいて、前記前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30は左右一対の隅部均平機構取付用板11に取付け、隅部均平機構取付用板11は、高さ切替機構Kを介して高さ調節用支持板50に上下動自在に取付け、該高さ調節用支持板50は、前記移送台1のフレーム9に対して高さ調節機構Tにより上下自在に取り付けた育苗箱の隅部床土押圧装置としたものである。
本発明は、前記高さ調節機構Tは、左右一対の高さ調節用支持板50を高さ調節軸52によりフレーム9に取付け、前記高さ調節軸52はフレーム9に対して上下するように取り付けて構成した育苗箱の隅部床土押圧装置としたものである。
本発明は、前記高さ切替機構Kは、高さ調節用支持板50に左右方向のカム取付軸53を軸装し、該カム取付軸53は隅部均平機構取付用板11の挿通孔53Aより外側に突出させ、前記カム取付軸53の両側にはカム取付軸53の軸心に対して距離の相違するカム溝55を複数形成したカム体54を固定し、該カム体54のカム溝55には前記隅部均平機構取付用板11の上部所定位置に設けたピン56の下面に当接させ、もって、前記カム体54を回転させると、隅部均平機構取付用板11を、高さ調節用支持板50に対して上下させて高さを切り替え、もって、均平深さを設定するように構成した育苗箱の隅部床土押圧装置としたものである。
本発明は、育苗箱2を横送する移送台1に固定のフレーム9に、高さ調節用支持板50を高さ調節機構Tを介して上下自在に取付け、高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35を有する隅部均平機構取付用板11を上下自在に取付け、高さ切替機構Kのカム体54の育苗箱2の高さの初期設定用カム溝55に、隅部均平機構取付用板11のピン56を係合させることにより、高さ調節用支持板50に対する隅部均平機構取付用板11の高さを初期設定し、次に、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて、使用する育苗箱2の上面高さに前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35の高さを一致させ、次に、高さ切替機構Kの切替ダイヤル57を回転させ、所定均平深さのカム溝55をピン56に係合させて、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が育苗箱2の上面より低くい前記隅部を均平するように設定する育苗箱の隅部床土押圧装置の設定方法としたものである。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、一旦、高さ調節機構Tにより育苗箱2の高さに合わせると、高さ切替機構Kにより育苗箱2の床土の深さに高さ切替機構Kにより合わせれば良く、操作性を向上させることができる。
即ち、高さ切替機構Kは一定範囲(3〜5mm)で高さが変動するので、高さ調節には不向きであり、高さ調節機構Tと高さ切替機構Kとの間の操作の誤認を防止する。
請求項2の発明では、高さ調節軸52により高さ調節用支持板50を上下させれば、隅部均平機構取付用板11が連動して上下するので、高さ調節機構Tによる育苗箱2の高さ設定は、頗る容易に行える。
請求項3の発明では、カム体54を回転させるだけで、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対して高さが切り替わるので、前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30の育苗箱2の床土高さに合わせる深さ設定は、頗る容易に行える。
請求項4の発明では、高さおよび深さの設定を頗る簡単にでき、誤操作を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施例を図面により説明すると、1は移送台、2は育苗箱であり、移送台1は育苗箱2をイ方向に移送する。3は育苗箱2を移送する移送ロールである。前記移送台1には、育苗箱2の移送方向前側の前壁5の隅部の床土(理解を容易にするため隅部の床土Aは点により図示し、他の床土は小丸により図示しているがこれにより、構成は限定されない)を押圧する隅部押圧装置6の前壁隅部押圧機構7を設ける。
前記移送台1には、隅部押圧装置6のフレーム9の側板10の下端を固定する。前記側板10、10には、左右一対の隅部均平機構取付用板11、11を上下自在に設ける。
隅部均平機構取付用板11には左右一対の取付アーム12の一端を軸13により取付ける。13Aは軸13の取付孔である。
【0007】
取付アーム12の他端には左右方向の取付兼回動規制軸14を移動自在に軸装する。該取付兼回動規制軸14には育苗箱2の前壁5の隅部を押圧する前壁隅部押圧体15を取付ける。前記前壁隅部押圧体15は、左右方向の平板状に形成し、前側を略水平の押圧部16に形成し、押圧部16に続いて後側に至るに従い高くなるように傾斜させた傾斜案内面17に形成する。
前記取付兼回動規制軸14には左右一対の規制アーム20の先端の長孔21を挿通し、規制アーム20の基部は前記取付板11に軸22により回動自在に取付ける。
即ち、規制アーム20は、前壁隅部押圧体15を床土上面よりも上方に待機させるために、取付兼回動規制軸14を、所定高さに保持させるために設けたものである。
【0008】
取付アーム12と規制アーム20の関係は、取付兼回動規制軸14が規制アーム20の先端の長孔21内の下縁に当接して取付兼回動規制軸14を所定高さに保持し、取付アーム12が軸13中心に上方回動すると、取付兼回動規制軸14が規制アーム20の先端の長孔21内を上動し、取付アーム12が軸13中心に下方回動すると、前壁隅部押圧体15は下降して前壁5の隅部の床土を押圧する。
22Aは軸22の取付孔である。
しかして、前記隅部均平機構取付用板11には後壁4の隅部を押圧する後壁隅部押圧機構30を設ける。後壁隅部押圧機構30は、左右方向の支持軸31に縦の取付軸32の上部を固定し、取付軸32の下部に取付板33を固定し、取付板33に側面視L型形状の育苗箱2の後壁4の隅部を押圧する後壁隅部押圧体35を取付高さ位置上下変更自在に軸36により取付ける。前記支持軸31は隅部均平機構取付用板11の取付孔31Aに取付ける。
【0009】
前記支持軸31の所定位置には錘37を設け、錘37は後壁隅部押圧体35が常時後方回動するように付勢する。38は支持軸31を常時下方に位置するように付勢するバネである。
前記取付軸32の後方にはストッパ40を当接させる。ストッパ40は錘37により常時後方回動する後壁隅部押圧体35を所定位置に待機させるものである。ストッパ40はローラー形状に形成し、左右方向の取付軸41に取付ける。取付軸41にはストッパ40の位置を規制する規制リンク42を取付ける。取付軸41には規制リンク42の一方側アーム43の下部を軸着し、一方側アーム43の上部は軸44により隅部均平機構取付用板11に回動自在に軸着する。前記軸44は隅部均平機構取付用板11の取付孔44Aに取付ける。
【0010】
前記取付軸41には規制リンク42の別の他方側アーム45の上部を軸着し、他方側アーム45の下部には軸46を取付け、軸46は前記隅部均平機構取付用板11の長孔47に上下自在に軸装する。
ストッパ40は後述する切替機構Kにより後壁隅部押圧体35の押圧深さを変更すると、後壁隅部押圧体35の待機位置を変更し、後壁隅部押圧体35の押圧深さを深くさせたとき(図8)、ストッパ40は後壁隅部押圧体35を押圧深さを浅くさせたとき(図9)よりも後方に位置させる。
なお、理解を容易にするため、図8と図9では、後壁隅部押圧体35の前後位置の比較を図示しており、必ずしも、図8と図9の後壁隅部押圧体35の高さに、明確な相違はないが、これにより、本発明の構成が限定されるものではない。
48は前記隅部均平機構取付用板11に形成した透孔であり、透孔48には前記取付軸41の両端を挿通し、規制リンク42の作動に伴う取付軸41の移動を阻害しないように形成している。
【0011】
しかして、隅部均平機構取付用板11は、前記移送台1に設けた隅部押圧装置6のフレーム9に、高さ調節機構Tと高さ切替機構Kを介して取付ける。
即ち、隅部均平機構取付用板11には前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35とを取付け、この隅部均平機構取付用板11を高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して取付け、高さ調節用支持板50を高さ調節機構Tを介してフレーム9に対して上下するように取付ける。
そして、前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35の高さを、高さ調節機構Tにより高さ調節用支持板50を上下させて育苗箱2の高さに合わせて調節設定し、次に、高さ調節用支持板50に対して隅部均平機構取付用板11の高さを切り替えて、均平深さ(押圧深さ)を設定する。
【0012】
前記高さ調節機構Tは、左右一対の高さ調節用支持板50を高さ調節軸52によりフレーム9に取付け、高さ調節軸52は螺子軸により形成して螺合させる等の手段によりフレーム9に対して上下し、フレーム9に対する高さ調節用支持板50の高さを設定するように構成している。51は高さ調節ダイヤルである。
前記高さ切替機構Kは、高さ調節用支持板50に左右方向のカム取付軸53を軸装し、カム取付軸53の両端は隅部均平機構取付用板11の挿通孔53Aより外側に突出させ、カム取付軸53の両側にはカム体54を固定する。カム体54の外周にはカム取付軸53の軸心に対する距離が相違するようにカム溝55を複数形成し、カム溝55は隅部均平機構取付用板11の上部所定位置に設けたピン56に当接する。57は切替ダイヤルである。
【0013】
高さ切替機構Kは、切替ダイヤル57を回転させ、一旦、設定用カム溝55をピン56に係合させると、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対して最も高い位置になり、この状態で、前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35のそれぞれの高さを育苗箱2の縁の上面高さに合わせるため、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて高さ位置を調節設定し、次に、切替ダイヤル57を回転させ、所定のカム溝55をピン56に係合させると、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対して下降し、待機状態となる。
【0014】
図中、13B、31B、44B、47B,48B、53Bは、高さ調節用支持板50に形成した透孔である。
60はガイド軸であり、透孔61Aおよび透孔61Bに挿通する。ガイド軸60は他方側アーム45の下部の軸46と共に、隅部均平機構取付用板11の高さ調節用支持板50に対する上下を案内する。
【0015】
(実施例の作用)
次に作用を述べる。
本発明は以上の構成であるから、移送台1に育苗箱2を供給すると、育苗箱2はイ方向に移送され、移送中に上方の床土供給装置により床土が供給される。
この床土の供給は、多い目に供給して余分のものを取り去るという方法のため、回転均平ブラシにより床土の上面を均平し、育苗箱2の後壁4および前壁5の隅部に溜る余分な隅土を、隅部押圧装置6の前壁隅部押圧機構7により押圧する。なお、前記育苗箱2の移送速度は、一時間あたり約200箱〜1600箱と任意である。
【0016】
前壁隅部押圧機構7の取付アーム12は、前壁隅部押圧体15の自重あるいはバネ弾力により軸13中心に下方回動するように付勢され、前壁隅部押圧体15の取付兼回動規制軸14は規制アーム20の長孔21の下面により支持されて待機している。
この状態で、移送台1に育苗箱2を供給して床土を供給し、回転均平ブラシにより床土の上面を均平し、または、床土を供給し、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した育苗箱2を移送台1に供給すると、育苗箱2の前壁5が前壁隅部押圧体15の傾斜案内面19に当接する。育苗箱2は傾斜案内面19を前方に押すから、取付アーム取付アーム12は軸13中心に上方回動し、取付兼回動規制軸14も軸13中心に上方回動し、前壁隅部押圧体15は育苗箱2により更に前方に押されて、前壁隅部押圧体15の押圧部押圧部16の下方を育苗箱2の前壁5が通過すると、前壁隅部押圧体15は自重に下降して育苗箱2の前壁5の隅土を押圧して均平する。
【0017】
しかして、後壁隅部押圧機構30の後壁隅部押圧体35の取付軸32は、規制リンク42の取付軸41により上方回動が規制され、後壁隅部押圧体35を育苗箱2内の床土上面には接触しないが育苗箱2の後壁4と衝突する高さにて待機させる。
この状態で、育苗箱2の前壁5が後壁隅部押圧体35の後面に当接し、育苗箱2の前壁5の前進移動により後壁隅部押圧体35を前進させる。後壁隅部押圧体35の前進には規制リンク42は作用しないので、後壁隅部押圧体35は移動する育苗箱2により更に前進して回動し、後壁隅部押圧体35の下端が前壁5の上端まで回動すると、前壁5が後壁隅部押圧体35の下方を通過する。
【0018】
すると、後壁隅部押圧体35は錘37の重量により支持軸31中心に回動して、後壁隅部押圧体35は元の高さにて待機する。
次に、前壁5を乗り越えて床土上面の設定された高さに待機中の後壁隅部押圧体35は後壁4の前面(内面)に当接し、これにより前記したように取付軸32を下方回動させ、取付軸32の下方回動により後壁隅部押圧体35は後壁4の前面に摺接しながら床土に対して下降することになって、後壁隅部押圧体35が支持軸31の下方まで回動すると、後壁隅部押圧体35は後壁4の隅土を最大に押圧して平坦にし、次に前壁5を乗越えるのと同一の作用によって後壁4を乗り越える。
【0019】
なお、実際は、前記育苗箱2の前壁5が後壁隅部押圧機構30の後壁隅部押圧体35の下方を通過して更に育苗箱2が前進すると、このときに、前記前壁隅部押圧機構7の前壁隅部押圧体15が前壁5の隅土を押圧するが、先に、前壁隅部押圧機構7を説明している。また、前記作用の説明は、理解を容易にするため、1箱の育苗箱2の移動で説明しているが、実際の作業では、連続して隙間なく育苗箱2は移送されるので、先行の育苗箱2の後壁4に後続の育苗箱2の前壁5は接触して移動し、それゆえ、後壁隅部押圧機構30および前壁隅部押圧機構7は後壁4と前壁5とを同時に乗越え、特に前壁隅部押圧機構7の前壁隅部押圧体15は、後壁4の内面に当接して上動し、後壁4および前壁5を乗越え、前壁5が通過したときに作用する。
【0020】
しかして、支持板50を高さ調節機構Tを介して上下自在に取付け、高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35を有する隅部均平機構取付用板11を上下自在に取付けているから、高さ切替機構Kは、切替ダイヤル57を回転させ、一旦、設定用カム溝55をピン56に係合させて、隅部均平機構取付用板11を高さ調節用支持板50に対して最も高い位置の初期設定位置にする。
【0021】
次に、この状態で、前壁隅部押圧体15と後壁隅部押圧体35のそれぞれの高さを育苗箱2の縁の上面高さに合わせるため、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて高さ位置を調節設定して、隅部均平機構取付用板11の高さの初期設定が完了する。
次に、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて、使用する育苗箱2の上面高さに前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35の高さを一致させる。
【0022】
次に、高さ切替機構Kの切替ダイヤル57を回転させ、所定均平深さのカム溝55をピン56に係合させると、隅部均平機構取付用板11は高さ調節用支持板50に対してカム溝55の分下降し、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が育苗箱2の上面より低くい均平待機高さに設定される(図10)。
なお、理解を容易にするため、図10の右側の後壁隅部押圧体35は、最大均平位置まで回動させた状態で図示している。
【0023】
しかして、同じ高さの育苗箱2であっても、床土供給深さが相違するときは、切替ダイヤル57によりカム体54を回転させ、例えば、床土が浅いときは、カム取付軸53に近いカム溝55にピン56を係合させると、隅部均平機構取付用板11全体が高さ調節用支持板50に対して下降し、反対に、床土が深く育苗箱2の上面に近いときは、カム取付軸53に遠いカム溝55にピン56を係合させると、隅部均平機構取付用板11全体が高さ調節用支持板50に対して上昇し、均平位置(深さ)を調節する。
【0024】
実施例では、育苗箱2の上面と同じ高さの0mmのカム溝55と、育苗箱2の上面から7mm下がるカム溝55と、同10mmのカム溝55と、同12mmのカム溝55と、同15mmのカム溝55を形成し、選択係合させて、深さ位置を切り替える。
したがって、通常、育苗箱2は同じ高さのものを使用するから、最初に、高さ調節機構Tにより高さ設定を行えば、あとは高さ切替機構Kのカム溝55で深さを切替変更すれば良く、操作性を向上させる。
【0025】
この場合、育苗箱2の上面と同じ高さの0mmのカム溝55に合わせてから、各切替カム溝55に合わせたとき、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35は設定深さより約1mmほど床土の上面より高く位置させ、均平した床土上面を前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が引き摺らないようにしている。
例えば、7mm下がるカム溝55とき、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35は実際は育苗箱2の上面から6mmだけ下降させ、均平した床土上面と前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35との間に約1mmの隙間を形成して余裕を持たせている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】隅部床土押圧装置全体側面図。
【図2】同概略分解斜視図。
【図3】隅部均平機構取付用板の側面図。
【図4】フレームの側面図
【図5】高さ調節用支持板の側面図。
【図6】高さ調節状態側面図。
【図7】高さ切替状態側面図。
【図8】規制リンクの側面図。
【図9】同隅部均平機構取付用板を上動させたときの作用状態図。
【図10】カム体の作用状態図。
【図11】前壁が通過するときの作用状態図。
【図12】均平状態の作用状態図。
【図13】後壁隅部押圧体移動状態側面図。
【符号の説明】
【0027】
1…移送台、2…育苗箱、3…移送ロール、4…後壁、5…前壁、6…隅部押圧装置、7…前壁隅部押圧機構、9…フレーム、10…側板、11…隅部均平機構取付用板、12…取付アーム、14…取付兼回動規制軸、15…前壁隅部押圧体、16…押圧部、17…傾斜案内面、20…規制アーム、21…長孔、22…軸、30…後壁隅部押圧機構、31…支持軸、32…取付軸、33…取付板、35…後壁隅部押圧体、36…軸、37…錘、40…ストッパ、41…取付軸、42…規制リンク、43…一方側アーム、44…軸、45…他方側アーム、46…軸、47…長孔、48…透孔、50…高さ調節用支持板、52…高さ調節軸、53…カム取付軸、54…カム体、55…カム溝、56…ピン、57…切替ダイヤル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
育苗箱2を横送する移送台1の上方位置に、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した後にできる育苗箱2の前壁5の隅部に溜る余分な隅土を押圧する前壁隅部押圧体15を有する前壁隅部押圧機構7と、前記育苗箱2の後壁4の隅部に溜る余分な隅土を押圧する後壁隅部押圧体35を有する後壁隅部押圧機構30を設けたものにおいて、前記前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30は左右一対の隅部均平機構取付用板11に取付け、隅部均平機構取付用板11は、高さ切替機構Kを介して高さ調節用支持板50に上下動自在に取付け、該高さ調節用支持板50は、前記移送台1のフレーム9に対して高さ調節機構Tにより上下自在に取り付けた育苗箱の隅部床土押圧装置。
【請求項2】
請求項1において、前記高さ調節機構Tは、左右一対の高さ調節用支持板50を高さ調節軸52によりフレーム9に取付け、前記高さ調節軸52はフレーム9に対して上下するように取り付けて構成した育苗箱の隅部床土押圧装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記高さ切替機構Kは、高さ調節用支持板50に左右方向のカム取付軸53を軸装し、該カム取付軸53は隅部均平機構取付用板11の挿通孔53Aより外側に突出させ、前記カム取付軸53の両側にはカム取付軸53の軸心に対して距離の相違するカム溝55を複数形成したカム体54を固定し、該カム体54のカム溝55には前記隅部均平機構取付用板11の上部所定位置に設けたピン56の下面に当接させ、もって、前記カム体54を回転させると、隅部均平機構取付用板11を、高さ調節用支持板50に対して上下させて高さを切り替え、もって、均平深さを設定するように構成した育苗箱の隅部床土押圧装置。
【請求項4】
育苗箱2を横送する移送台1に固定のフレーム9に、高さ調節用支持板50を高さ調節機構Tを介して上下自在に取付け、高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35を有する隅部均平機構取付用板11を上下自在に取付け、高さ切替機構Kのカム体54の育苗箱2の高さの初期設定用カム溝55に、隅部均平機構取付用板11のピン56を係合させることにより、高さ調節用支持板50に対する隅部均平機構取付用板11の高さを初期設定し、次に、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて、使用する育苗箱2の上面高さに前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35の高さを一致させ、次に、高さ切替機構Kの切替ダイヤル57を回転させ、所定均平深さのカム溝55をピン56に係合させて、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が育苗箱2の上面より低くい前記隅部を均平するように設定する育苗箱の隅部床土押圧装置の設定方法。
【請求項1】
育苗箱2を横送する移送台1の上方位置に、回転均平ブラシにより床土の上面を均平した後にできる育苗箱2の前壁5の隅部に溜る余分な隅土を押圧する前壁隅部押圧体15を有する前壁隅部押圧機構7と、前記育苗箱2の後壁4の隅部に溜る余分な隅土を押圧する後壁隅部押圧体35を有する後壁隅部押圧機構30を設けたものにおいて、前記前壁隅部押圧機構7および後壁隅部押圧機構30は左右一対の隅部均平機構取付用板11に取付け、隅部均平機構取付用板11は、高さ切替機構Kを介して高さ調節用支持板50に上下動自在に取付け、該高さ調節用支持板50は、前記移送台1のフレーム9に対して高さ調節機構Tにより上下自在に取り付けた育苗箱の隅部床土押圧装置。
【請求項2】
請求項1において、前記高さ調節機構Tは、左右一対の高さ調節用支持板50を高さ調節軸52によりフレーム9に取付け、前記高さ調節軸52はフレーム9に対して上下するように取り付けて構成した育苗箱の隅部床土押圧装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記高さ切替機構Kは、高さ調節用支持板50に左右方向のカム取付軸53を軸装し、該カム取付軸53は隅部均平機構取付用板11の挿通孔53Aより外側に突出させ、前記カム取付軸53の両側にはカム取付軸53の軸心に対して距離の相違するカム溝55を複数形成したカム体54を固定し、該カム体54のカム溝55には前記隅部均平機構取付用板11の上部所定位置に設けたピン56の下面に当接させ、もって、前記カム体54を回転させると、隅部均平機構取付用板11を、高さ調節用支持板50に対して上下させて高さを切り替え、もって、均平深さを設定するように構成した育苗箱の隅部床土押圧装置。
【請求項4】
育苗箱2を横送する移送台1に固定のフレーム9に、高さ調節用支持板50を高さ調節機構Tを介して上下自在に取付け、高さ調節用支持板50に高さ切替機構Kを介して前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35を有する隅部均平機構取付用板11を上下自在に取付け、高さ切替機構Kのカム体54の育苗箱2の高さの初期設定用カム溝55に、隅部均平機構取付用板11のピン56を係合させることにより、高さ調節用支持板50に対する隅部均平機構取付用板11の高さを初期設定し、次に、隅部均平機構取付用板11を高さ調節機構Tにより上下させて、使用する育苗箱2の上面高さに前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35の高さを一致させ、次に、高さ切替機構Kの切替ダイヤル57を回転させ、所定均平深さのカム溝55をピン56に係合させて、前壁隅部押圧体15および後壁隅部押圧体35が育苗箱2の上面より低くい前記隅部を均平するように設定する育苗箱の隅部床土押圧装置の設定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−86208(P2008−86208A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267560(P2006−267560)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000132219)株式会社スズテック (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000132219)株式会社スズテック (25)
【Fターム(参考)】
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