説明

育苗装置

【課題】 育苗装置において、各育苗棚内にファンで温風を送り込んでの強制対流熱伝達により、苗の生長具合に偏りが生ずるという問題を解消する。
【解決手段】 本発明の育苗装置は、育苗棚5が上下多段に設けられた棚装置1を備える。各育苗棚5の天井面には、放熱パネル体11と複数の白色蛍光灯12とを設ける。放熱パネル体11は、伝熱管路の内部を流通する温水の熱を放熱板に伝達する温水式のものである。各育苗棚5内の雰囲気温度の調節は放熱パネル体11での放射熱伝達により行う。これにより、各育苗棚5内に強制的な温風の流動を形成することがないから、各育苗棚5の内部では温度むらが小さく、苗に与えるストレスも少ない。従って、苗を効率よく画一的に生長させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物、果菜類及び花卉類等のような農作物の苗を育成するのに好適な栽培環境を提供する育苗装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、穀物、果菜類及び花卉類等のような農作物の栽培に用いられる苗を育成するための育苗装置としては、様々なものが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1〜3には、棚装置における上下多段の育苗棚に、養土及び種子を収容する単位セルが縦横マトリクス状に形成された苗トレイを載置し、各育苗棚内に換気ファンで温風を送り込んでの強制対流熱伝達により、各育苗棚内の雰囲気温度を調節する構成の育苗装置が開示されている。
【特許文献1】特許第3026253号公報
【特許文献2】特開2002−291349号公報
【特許文献3】特開2003−52253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の育苗装置では、各育苗棚内の雰囲気温度の調節のために、育苗棚の外に設けられた空調設備からの温風を換気ファンにて強制的に対流させる方式を採用しているため、各育苗棚の内部という狭い空間であっても、場所によっては温風が苗等に遮られて流動し難く、場所毎の温度差(温度むら)が生じ易い。この温度むらは苗の生育不良や生育むらの原因となるから、各苗の生長具合に偏りが生じ、できるだけ画一化した苗を育成するのが難しいという問題があった。
【0005】
また、各育苗棚内での温風の強制的な流動自体が苗に対してストレスを与えることになるから、この点でも苗の生長を抑制するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、以上の問題を解消した育苗装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するため、請求項1の発明に係る育苗装置は、苗トレイが出し入れされる少なくとも1つの中空状の収容本体を備え、当該収容本体には、これに形成された開口部を開閉可能に塞ぐ密閉扉と、この収容本体内に配置された前記苗トレイの苗に光を照射する照明手段と、放射熱伝達により前記収容本体内の空気との間で熱交換を行う放射温調手段とを備えたというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した育苗装置において、前記放射温調手段は、前記収容本体の天井側に配置された放熱板と、内部を流通する流体と前記放熱板との間で熱交換するように、前記放熱板の裏面側に配置された伝熱管路とを有する放熱パネル体であるというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した育苗装置において、前記収容本体には、この収容本体内に外気を導入するための吸気口と、前記収容本体内の空気を外部に放出するための排気手段と、前記収容本体内の雰囲気温度を検出する温度検出手段と、当該温度検出手段の検出情報に基づいて前記排気手段の駆動を制御する制御手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記温度検出手段の検出情報により前記収容本体内の雰囲気温度が設定温度より高いと判断した場合には、前記収容本体内の空気を外部に放出するように前記排気手段を駆動させる制御を実行するというものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のように構成すると、密閉扉を閉止して密閉状態となった収容本体内の雰囲気温度の調節は、放射温調手段からの放射熱伝達とこれに伴う空気中の自然対流熱伝達とにより行われるので、前記収容本体内に強制的な温風の流れ(強制対流)を形成することがなくなる。これにより、前記収容本体の内部では場所毎の温度差(温度むら)が小さく、苗に与えるストレスも少なくて済む。従って、前記収容本体内の温度環境を苗にとって常に良好な状態に維持することができるから、苗の生育不良や生育むらが抑制され、苗を効率よく画一的に生長させることができるという効果を奏する。
【0011】
また、請求項2のように、放射温調手段として、伝熱管路の内部を流通する流体と放熱板との間で熱交換する流体式の放熱パネル体を採用すると、温水を使用しての運転中は例えばボイラ等の加熱源を常時稼動させなくても、暫くの間であれば温水に蓄えられた熱で前記収容本体内の空気を所定の温度に保つことが可能になる。
【0012】
従って、例えば通電により発熱する抵抗線(加熱源に相当)を内蔵した電気式の放射温調手段に比べて、温度維持に要するエネルギーを節約することができ、ランニングコストの低減に寄与することができるという効果を奏する。
【0013】
さらに、前記収容本体内の雰囲気温度が高い場合は、前記伝熱管路内に供給する流体を例えば冷水に切り替えることにより、前記放熱板を介して前記収容本体内の雰囲気温度を下げることもできるから、前記収容本体内の温度環境の維持が容易であるという効果をも奏する。
【0014】
請求項3のように構成すると、温度検出手段の検出情報により前記収容本体内の雰囲気温度が設定温度より高いと判断した場合には、制御手段からの指令で排気手段を駆動させて、前記収容本体内の空気を強制的に外部に放出することができるので、前記排気手段での強制対流熱伝達により、前記収容本体内の空気を短時間で効率よく低下させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図4)に基づいて説明する。図1は育苗装置を概略的に示す側断面図、図2は放射温調手段の配管系統図、図3は放射温調手段の一例である放熱パネル体の部分拡大側断面図、図4は制御手段の一例であるコントローラの機能ブロック図である。
【0016】
まず、図1等を参照しながら、育苗装置の概要について説明する。
【0017】
本発明に係る育苗装置は、枠状のフレーム(図示せず)で骨組みが構成された棚装置1を備えている。棚装置1の外周面は、断熱性を有する天カバー板2及び四周の側カバー板3により囲われている。棚装置1内には、複数枚の棚板4(実施形態では4枚)が上下多段に設けられている。当該各棚板4により、棚装置1内は複数の育苗棚5(実施形態では4つ)に区画されている。これら各育苗棚5は特許請求の範囲に記載した収容本体に相当するものである。詳細は図示していないが、棚装置1の外側面又は棚装置1と別の箇所には、液晶ディスプレイ等の表示部56(図4参照)、各種操作用のスイッチ類、及びコントローラ51(図4参照)等を有する制御盤が装着されている。
【0018】
棚装置1における一側の側カバー板3には、各育苗棚5に苗トレイSTを出し入れするための開口部6が各育苗棚5に対応して形成されている。この側カバー板3には、各開口部6を開閉可能に塞ぐ密閉扉7が、その下端部に取り付けられた蝶番8を介して上下回動可能に設けられている。なお、以下の説明では、開口部6が形成された側カバー板3のある側面を前面として、これを棚装置2における四周の位置関係の基準とする。
【0019】
各密閉扉7の中央部には吸気口9が開口している。詳細は図示していないが、各吸気口9には、後述する排気ファン13の駆動に連動して開閉駆動するルーバ板が設けられている。当該ルーバ板は、排気ファン13の停止時に、外気が吸気口9を経由して育苗棚5内に流入するのを防ぐためのものである。密閉扉7の表面(前面)上部には把手10が固着されている。また、密閉扉7の裏面(背面)側の内周縁部には軟質ゴム等のパッキン(図示せず)が設けられている。
【0020】
棚装置1の後側カバー板3には、排気手段の一例として、育苗棚5内の空気を外部に放出するための排気ファン13が各育苗棚5に対応して設けられている。
【0021】
以上の構成から明らかなように、各密閉扉7を閉止した状態(図1の実線状態参照)では、各育苗棚5は、上下の棚板4(最上段の育苗棚5では天カバー板2及び棚板4)と四周の側カバー板3と密閉扉7とで囲われて密閉されることになる(外気から遮断され閉じた空間になる)。
【0022】
各棚板4の下面(最上段の育苗棚5では天カバー板2の下面)、すなわち各育苗棚5の天井面には、放射温調手段の一例としての放熱パネル体11と、苗トレイSTの苗に光を照射する照明手段の一例としての複数の白色蛍光灯12とが設けられている。各育苗棚5の内部(図1では背面側)には、温度検出手段の一例として、育苗棚5内の雰囲気温度を検出するためのIC型等の温度センサ14が配置されている。
【0023】
各育苗棚5の内底面には、上向き開口扁平箱状の受け皿15が載置されている。詳細は図示していないが、受け皿15の内底面には、吸水性や保湿性を有する略矩形状の吸水シートが敷かれている。実施形態では、養土及び種子を収容する単位セルUCを縦横マトリクス状に形成してなる苗トレイSTは、各受け皿15内の吸水シート上に載置される。
【0024】
各育苗棚5内の奥寄りの箇所には、受け皿15内の吸水シートに水を散布するための灌水筒17が配置されている。各育苗棚5に対する灌水筒17は、4枚の棚板4を上下に貫通した縦供給管路18に連通接続されている。各縦供給管路18の下端部は、床面に配置された横長の給水管路19に連通接続されている。この給水管路19の一端は水タンクや水道管等の水供給源(図示せず)に連通している。
【0025】
一方、各受け皿15内の吸水シートには、当該吸水シート中の水分量を検出するインピーダンス変化型等の水分検出センサ20が密着している(図4参照)。実施形態では、水分検出センサ20の検出値に基づいて、縦供給管路18における各育苗棚5毎の箇所に設けられた可変式の開閉弁21(図5参照)を電磁ソレノイド等の開閉弁駆動回路22(図5参照)で開閉することにより、水供給源からの水を給水管路19、縦供給管路18及び灌水筒17を通じて吸水シートに散布するように構成されている。苗トレイSTの各単位セルUCに収容された苗は、単位セルUCの底面に形成された灌水穴(図示せず)を介して、吸水シート中の水分を吸収することになる。
【0026】
次に、図2及び図3等を参照しながら、放熱パネル体の詳細構成と配管系統とについて説明する。
【0027】
放射温調手段の一例としての放熱パネル体11は、各育苗棚5の天井面にグラスウール等の断熱材33を介して設けられた放熱板31と、断熱材33と放熱板31との間に介設された伝熱管路32とを備えている(図3参照)。
【0028】
放熱板31及び伝熱管路32は共に、熱伝導率の大きい金属製のもの(例えばアルミや銅等)である。伝熱管路32は、その内部を流通する温水の熱を放熱板31に伝達するように、放熱板31の裏面(苗トレイSTに対峙する面と反対側の面)に密着している。詳細は図示していないが、伝熱管路32は、その内部を流れる温水の熱を放熱板31全体に効率よく伝達するために、平面視で蛇行状に形成されている。断熱材33は例えば発泡ポリエチレンや軟質発泡ウレタン等を素材としたものである。放熱板31の表面と断熱材33の上面とには、不織布やガラス等からなるクロス34が貼着されている。
【0029】
図2に示すように、全ての伝熱管路32の一端部は、その上流側に位置する送り管路35にまとめて連通接続されている。送り管路35は、供給ポンプP等を介して、流体供給源の一例であるボイラBに連通接続されている。全ての伝熱管路32の他端部は、その下流側に位置する戻り管路36にまとめて連通接続されている。戻り管路36もボイラBに連通接続されている。従って、実施形態では、ボイラB、送り管路35、各伝熱管路32及び戻り管路36が温水を循環させ得る閉回路となっている(閉ループ状に構成されている)。
【0030】
各伝熱管路32のうち放熱板31よりも上流側には、電磁制御弁の一例として、可変式の流量制御弁37が設けられている。送り管路35のうち供給ポンプPとボイラBとの間には、電磁制御弁の一例として、可変式の三方制御弁38が設けられている。三方制御弁38は1つの流入口38aと2つの流出口38b,38cとを備えている。1つの流入口38aと一方の流出口38bとは送り管路35に連通している。他方の流出口38cは戻り管路36の中途部から分岐した分岐管路39に接続されている。
【0031】
実施形態では、各育苗棚5内の温度センサ14(図1及び図4参照)の検出値に基づいて、供給ポンプPを駆動させると共に、送り管路35の三方制御弁38と各伝熱管路32の流量制御弁37との開閉度を電磁ソレノイド等の各制御弁駆動回路40,41で調節することにより、各伝熱管路32に送られる温水の流量を自動的に調節し得るように構成されている。
【0032】
次に、図4等を参照しながら、育苗装置の制御システム関連の構成を説明する。
【0033】
制御手段の一例としてのコントローラ51は、制御盤や各育苗棚5内等に設けられたセンサやスイッチ等からの制御情報に基づいて、各育苗棚5内の白色蛍光灯12、排気ファン13、水分検出センサ20及び温度センサ14、並びに各制御弁22,37,38、供給ポンプP及びボイラB等の駆動を制御する機能を有するものである。
【0034】
詳細は図示していないが、コントローラ51は、各種演算処理や制御を実行する中央処理装置(CPU)の他、制御プログラムやデータを記憶させるための読出し専用メモリ(ROM)、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるための随時読み書き可能メモリ(RAM)、タイマ機能としてのクロック、センサやアクチュエータ等との間でデータ(制御情報)のやり取りをするための入出力インターフェイス等を備えている。
【0035】
コントローラ51の入力インターフェイスには、例えば育苗装置全体の電源を入り切り操作するためのメインスイッチ52、ボイラBからの温水の水温(ひいては各育苗棚5内の雰囲気温度)を予め設定するための温度設定器53、各育苗棚5内に配置された水分検出センサ20及び温度センサ14等がそれぞれ接続されている。
【0036】
他方、出力インターフェイスには、例えば供給ポンプP用モータ54のモータ駆動回路55、液晶ディスプレイ等の表示部56、各育苗棚5内の白色蛍光灯12、排気ファン13、電磁ソレノイド等からなる開閉弁駆動回路22、三方制御弁駆動回路40及び各流量制御弁駆動回路41等がそれぞれ接続されている。
【0037】
以上の構成において、各育苗棚5内の雰囲気温度が温度設定器53で予め設定された設定温度T℃よりも低いことを温度センサ14が検出した場合は、コントローラ51が流量制御弁駆動回路40を介して流量制御弁37を開いたり、三方制御弁駆動回路41を介して三方制御弁38の流入口38aと一方の流出口38bとを開くと共に他方の流出口38cを絞ったり(閉じたり)することにより、温度センサ14に対応した伝熱管路32への温水の流入量を増加させる。
【0038】
各伝熱管路32に送り込まれた温水は、この伝熱管路32を流通する過程で放熱板31に熱を伝達して、放熱板31の温度を上昇させる。そして、放熱板31がその放射面(表面)から熱を放出する(放射熱伝達)。その結果、各育苗棚5内の空気は、放熱板31からの放射熱伝達と、これに伴う空気中の自然対流熱伝達とにより、設定温度T℃まで温められる。
【0039】
このように放射熱伝達と自然対流熱伝達とを利用して、密閉された各育苗棚5内の昇温制御を行うと、各育苗棚5内に強制的な温風の流動(強制対流)を形成することなく、各育苗棚5内の雰囲気温度を徐々に上昇させるから、各育苗棚5の内部では場所毎の温度差(温度むら)が小さく、苗に与えるストレスも少なくて済む。従って、各育苗棚5内の温度環境を苗にとって常に良好な状態に維持することができるから、苗の生育不良や生育むらが抑制され、苗を効率よく画一的に生長させることができる。
【0040】
また、実施形態では、放射温調手段として、伝熱管路32の内部を流通する温水の熱を放熱板31に伝達する温水式の放熱パネル体11を採用しているから、運転中は加熱源であるボイラBを常時稼動させなくても、暫くの間であれば温水に蓄えられた熱で各育苗棚5内の空気を所定の温度に保つことが可能である。従って、例えば通電により発熱する抵抗線(加熱源に相当)を内蔵した電気式の放射温調手段に比べて、温度維持に要するエネルギーを節約することができ、ランニングコストの低減に寄与することができる。
【0041】
一方、各育苗棚5内の雰囲気温度が高過ぎると、苗に与えるストレスが大きくて当該苗の生長を抑制することになるので、雰囲気温度を速やかに下げる必要がある。雰囲気温度を下げるには、各伝熱管路32への温水の流入量を減らすことで対処してもよいが、これだけでは、放射熱伝達及び自然対流熱伝達という自然現象の性質上、各育苗棚5内の雰囲気温度を短時間でスムーズに低下させるのは難しい。
【0042】
そこで、実施形態では、各育苗棚5内の雰囲気温度が白色蛍光灯12の照明や苗の呼気熱で設定温度T℃よりも高いことを温度センサ14が検出すると、コントローラ51が温度センサ14に対応した排気ファン13を駆動させて、吸気口9から排気ファン13に向かう空気の流れを形成することにより、育苗棚5内の空気を強制的に外部に放出する(強制対流熱伝達)。その結果、各育苗棚5内の空気は、排気ファン13での強制対流熱伝達により、設定温度T℃まで冷やされる。雰囲気温度が設定温度T℃になったことを温度センサ14が検出すれば、コントローラ51は排気ファン13の駆動を停止させる。これにより、各育苗棚5内の雰囲気温度を短時間で効率よく低下させることができる。
【0043】
従って、実施形態の育苗装置によると、適切な温度管理(温度調節)を実行することができ、好適な栽培環境下で画一化した苗を育成することができるのである。
【0044】
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化することができる。
【0045】
例えば放射温調手段は、通電により発熱する抵抗線(加熱源に相当)を内蔵した電気式の放熱パネル体等、放射熱伝達を利用して温度調節するものであればよい。なお、実施形態の放熱パネル体11では、各伝熱管路32に冷水を送り込むことにより各育苗棚5内の雰囲気温度を低下させることも可能である。この場合、各育苗棚5内の雰囲気温度を低下させるには、各伝熱管路32内に供給する流体を温水から冷水に切り替えるだけでよいから、各育苗棚5内の温度環境の維持が簡単である。
【0046】
また、苗トレイが出し入れされる収容本体の数は必要に応じて設定したらよい。照明手段は、発光ダイオード等の様々なものを使用することができる。排気手段は、収容本体内の空気を外部に放出するものに限らず、収容本体内に外気を導入して内部の空気を入れ替えるものであっても差し支えない。温度検出手段は、放射温調手段から放出される赤外線を検出してその表面温度を測定する放射温度センサでもよい。
【0047】
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】育苗装置を概略的に示す側断面図である。
【図2】放射温調手段の配管系統図である。
【図3】放射温調手段の一例としての放熱パネル体の部分拡大側断面図である。
【図4】制御手段の一例としてのコントローラの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
ST 苗トレイ
UN 単位セル
1 棚装置
4 棚板
5 収容本体の一例としての育苗棚
11 放射温調手段の一例としての放熱パネル体
12 照明手段の一例としての白色蛍光灯
13 排気手段の一例としての排気ファン
14 温度検出手段の一例としての温度センサ
31 放熱板
32 伝熱管路
35 送り管路
36 戻り管路
51 制御手段の一例としてのコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗トレイが出し入れされる少なくとも1つの中空状の収容本体を備え、
当該収容本体には、これに形成された開口部を開閉可能に塞ぐ密閉扉と、この収容本体内に配置された前記苗トレイの苗に光を照射する照明手段と、放射熱伝達により前記収容本体内の空気との間で熱交換を行う放射温調手段とを備えたことを特徴とする育苗装置。
【請求項2】
前記放射温調手段は、前記収容本体の天井側に配置された放熱板と、内部を流通する流体と前記放熱板との間で熱交換するように、前記放熱板の裏面側に配置された伝熱管路とを有する放熱パネル体であることを特徴とする請求項1に記載した育苗装置。
【請求項3】
前記収容本体には、この収容本体内に外気を導入するための吸気口と、前記収容本体内の空気を外部に放出するための排気手段と、前記収容本体内の雰囲気温度を検出する温度検出手段と、当該温度検出手段の検出情報に基づいて前記排気手段の駆動を制御する制御手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段の検出情報により前記収容本体内の雰囲気温度が設定温度より高いと判断した場合には、前記収容本体内の空気を外部に放出するように前記排気手段を駆動させる制御を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載した育苗装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−187238(P2006−187238A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−1517(P2005−1517)
【出願日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】