説明

背折れタイプのリクライニング車椅子

【課題】車椅子の座乗者の体型に合わせて背もたれフレームの角度が調節できるリクライニング車椅子を提供する。
【解決手段】リクライニング車椅子100において、背もたれフレーム25a,25bを上下に分割して、複数個の孔が穿設された支点ユニット29で連結して、背もたれフレーム25a,25bの屈曲角度を調節して、前記支点ユニット29の孔にピンを挿入して背もたれフレーム25a,25bの角度を固定することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車椅子の座乗者の姿勢に応じて背もたれフレームを上下に屈曲させることができるリクライニング車椅子に関する。より詳しくは、車椅子の座乗者の疾患の状態に合わせて車椅子の背もたれフレームの角度を容易に変更することができるリクライニング車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
リクライニング車椅子のリクライニングは背もたれが垂直の状態で後方に傾くのが一般的であるが、車椅子を利用する座乗者は疾患の状態によって、体型は一様ではなく、背もたれが垂直な状態でそのまま後方に倒れると不自然な姿勢になり、かえって寛げない場合がある。このような座乗者のために車椅子をリクライニングにした時の背もたれフレームの角度を変える方法について種々考えられている。
【0003】
特許文献1に記載のリクライニング車椅子は、特開2005−279085号公報の段落[0026]「即ち、各背もたれ96,96aの回転中心が異なっており、図9(b)では単に背もたれ96aが傾倒するのに対し、本発明(図9(a)参照)では、背もたれ96が座フレーム94に対して下方へ引き込まれながら傾倒していく。また反対に、背もたれ96を起立させるときは、背もたれ96が座フレーム94に対して上方へ伸びるようにして起立していく。このような作用により、本発明では、背もたれが使用者の背中に追従してリクライニングするようになり、背中が背もたれからずれることを防止できる。」リクライニング車椅子が開示されている。
【0004】
特許文献2では、段落[0014]「本発明のチルト機構を有するリクライニング式介護用車椅子100は、図1に示すように把持部26を備えた背もたれフレーム11に弾力性を有する背もたれと、座部フレーム12からフットレスト支持フレーム13にかけて弾力性を有する座部を着設することができるリクライニング式介護用車椅子である。本発明のリクライニング式介護用車椅子100はチルト機構を有し、背もたれフレーム11を倒すと背もたれフレーム11に連動してチルト機構フレーム24が座部フレーム12を押し上げると共に、フットレスト支持フレーム13を押し上げて、背もたれフレーム11が倒れるにつれて、フットレスト支持フレーム13が上昇する。座部を押し上げるチルト機構とフットレスト支持フレーム13を押し上げる機構はそれぞれ背もたれフレーム11の操作部27の左右のレバー27a、27bを引くことによって可能となる。フットレスト支持フレーム13はインナーパイプ13aとアウターパイプ13bよりなっており、被介護者の身長や疾患の状態によってフットレスト支持フレーム13の長さを調節して、フットレスト14を適切な位置にすることができる。フットレスト支持フレーム13の長さ調節をした時は、押出補助フレーム43bに設けられた調節孔43aに着設するフットレスト支持フレーム13の固定部13cを適切な位置に変更することによって、リクライニングにした時にフットレスト14をフラットにすることができる。」リクライニング車椅子が開示されている。
【0005】
特許文献3のリクライニング車椅子は、段落[0021]「次に、介護用車椅子10が使用されるときの動作を図3に基づいて説明する。被介護者30は、背骨の湾曲度が増して円背あるいは猫背の状態となった歩行困難者である。まず被介護者30が座部14に深く着座して背もたれに寄りかかる。このとき、上方背もたれ部18と下方背もたれ部16とが一直線の角度で背もたれが形成されていると、被介護者30の背中下方部30aは下方背もたれ部16に支持されるが、円背頂点部30b、背中上方部30c、後頭部30dは上方背もたれ部16との間に隙間が生じるので支持されない。したがって、被介護者30は安定に姿勢保持ができず、座り心地の悪い状態となる。」、及び段落[0022]「そこで、被介護者30の背中の形状に合わせ、介護者が上方背もたれ部18の取付角度を調整する。まず、固定部材20aのネジを緩めて上方背もたれ部18が回転軸20を中心に揺動自在な状態にし、上方背もたれ部18を前方へ屈折させる。そして、上方背もたれ部18が被介護者30の円背頂点部30b、背中上方部30c、頭部30bに接する位置になったところで、固定部材20aのネジを締めて上方背面部18を固定する。これによって、背中下方部30a、円背頂点部30b、背中上方部30cおよび後頭部30dが、全体的に下方背もたれ部16及び上方背もたれ部18に支持されるので、被介護者30は安定に姿勢が保持され、座り心地の良い状態となる。」リクライニング車椅子が開示されている。
【0006】
上記のようにリクライニング式車椅子のリクライニングの方式が座乗者の姿勢に合わせるように様々な工夫がされている。座乗者にとっては、引用文献3のリクライニング方式、すなわち、背中に沿って背もたれの中程で屈曲する形式が望ましいが、中程で屈曲させるためには、背もたれフレームの角度を左右別々に調節しなければならないために、介護者が座乗者の背中に合わせて背フレームの上段を左右別々にリクライニングしなければならないという問題があった。さらに、リクライニング車椅子の背もたれを後方に倒した時に、ブレーキやリクライニングの操作レバーが低い位置になり、操作がし難くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−279085号公報
【特許文献2】特開2005−034189号公報
【特許文献3】特開2009−148371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、上記事実に鑑み、リクライニング車椅子の背もたれフレームの中程から上下に屈曲するための操作方法について、介護者がリクライニング車椅子の後方から背もたれフレームの上段を容易に屈曲操作をすることができるリクライニング車椅子を提供する。さらに、リクライニング車椅子の背もたれを後方に屈曲させた後でも、ブレーキやリクライニングの操作レバーが扱いやすいように、ブレーキやリクライニングの操作レバーの角度と高さが調節できるリクライニング車椅子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
リクライニング車椅子の背もたれフレームの上下の角度を身体の不自由な座乗者の体型に合わせて変更できる支点ユニットを背もたれフレームの屈曲部位に装着すると共に、介護者がリクライニング操作を行った後でも、リクライニング操作、ブレーキ操作がし易いように、操作レバーを握りやすく、操作のし易い位置に変更できる操作レバー装置を装着したリクライニング車椅子を提供するために鋭意検討を重ねた。
【0010】
本願発明の特徴は、前輪に回動自在のキャスターと後輪に大車輪を軸着した車椅子の中央に座部と該座部の後部にリクライニング可能な背もたれ部が装着され、前記背もたれ部のフレームの先端部にブレーキ操作と、リクライニング操作ができるグリップが着設された前記背もたれ部の背もたれフレームが上段と下段が屈曲可能なリクライニング車椅子であって、前記背もたれ部の背もたれフレームを上段と下段に分割し、分割したフレームの上段と下段の間に上段と下段の屈曲角度を決定し、決定した屈曲角度を維持するためにピンを挿入する孔が穿設された支点ユニットが左右の背もたれフレームに着設されていることを特徴とするリクライニング車椅子。
【0011】
本願発明の別の特徴は、左右の背もたれフレームに着設された前記支点ユニットが連結部材の連結ワイヤーで連結されて連動することを特徴とするリクライニング車椅子である。左右の支点ユニットを革の紐、金属製の鎖、折れ曲がり可能な金属棒などで連結することによって、介護者が連結部材を引くだけで左右の支点ユニットを係止していたピンを同時に挿脱して、背もたれフレームの上下の角度を調節することができる。
【0012】
本願発明の別の特徴は、上下に分割された背もたれフレームの下部背もたれフレームの外管に内管を挿入して背もたれフレームを伸縮可能とし、背もたれフレームの長さの調節を可能としたことを特徴とするリクライニング車椅子である。背もたれフレームの下部のフレームを伸縮可能として、座乗者の背丈や疾患の状態に合わせて背もたれフレームの長さを調節することができる。
【0013】
本願発明の別の特徴は、左右の背もたれフレームの先端部に着設された前記リクライニング操作、ブレーキ操作のための操作レバーの位置を上下に調節することができることを特徴とするリクライニング車椅子である。リクライニング操作、ブレーキ操作のための操作レバーの位置を背もたれフレームの着設した摺動管に沿ってスライドさせて、操作レバーの位置を上下に調節可能とする。
【0014】
本願発明の別の特徴は、左右の背もたれフレームの先端部に着設された前記リクライニング操作、ブレーキ操作のための操作レバーの角度を上下に調節することができる角度調整ユニットを着設したことを特徴とするリクライニング車椅子である。リクライニング操作、ブレーキ操作のための操作レバーの角度を角度調整ユニットのネジを所定値で固定することによって、操作レバーの角度を調節することができる。
【発明の効果】
【0015】
リクライニング車椅子の背もたれ部の背もたれフレームの上段と下段の間に屈曲角度を決定し、決定した屈曲角度を維持するためにピンを挿入する孔が穿設された支点ユニットを左右の背もたれフレームに着設することによって、背もたれの屈曲角度を簡単に調節することができる。リクライニング車椅子の左右の背もたれフレームに着設された左右の前記支点ユニットを連結して連動させることによって、介護者が片手で左右の背もたれフレームの角度を調節して固定することができる。
【0016】
リクライニング車椅子の左右の背もたれフレームの先端部に着設された前記リクライニング操作、ブレーキ操作のためのレバーの位置を上下に調節することができるようにして、背もたれフレームを下げてもそれぞれの操作レバーは介護者が扱いやすくなった。さらに、前記リクライニング操作、ブレーキ操作のためのレバーの角度を上下に調節することができるようにして、介護者は背をかがめることもなく、操作レバーの取り扱が楽になった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の背折れタイプのリクライニング車椅子をリクライニング状態にして背の上部を立てた車椅子の側面図を示す。
【図2】本願発明の背折れタイプのリクライニング車椅子をリクライニング状態でハンドルとブレーキの操作レバーの高さと角度を変更した側面図を示す。
【図3】支点ユニットを分解したそれぞれの部分を斜視図で示す。
【図4】支点ユニットに着設するロックピンユニットを分解したそれぞれの部分を斜視図で示す。
【図5】支点ユニットを組み立て背もたれフレームに着設した部分を側面図で示す。
【図6】支点ユニットを着設した背もたれフレームの下部が伸縮可能にしたフレームの部分を側面図で示す。
【図7】左右の背もたれフレームに着設した支点ユニットを接続部材で連結した例を斜視図で示す。
【図8】ハンドルの操作レバーを分解した斜視図で示す。
【図9】ハンドルの操作レバーを組み立て背もたれフレームの摺動管に着設する状態を斜視図で示す。
【図10】ハンドルの操作レバーを組み立て背もたれフレームの摺動管に着設した状態を斜視図で示す。
【図11】ハンドルの操作レバーを背もたれフレームの摺動管に着設して、ハンドルの操作レバーの高さを上下に調節可能とした側面図を示す。
【図12】ハンドルの操作レバーを背もたれフレームの摺動管に着設したハンドルの操作レバーの角度を変更可能とした側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本願発明のリクライニング車椅子の背もたれフレームを上下に屈曲させる支点ユニットとリクライニングの操作レバーとブレーキの操作レバーについて例示するが、本願発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0019】
図1A、及び図1Bは、本願発明のリクライニング車椅子100をリクライニング状態にしたの側面図を示す。
【0020】
図1Aに示すように、前輪に回動自在のキャスター18と後輪に大車輪22を軸着したリクライニング車椅子のサイドフレーム14上に座部20と座部の後部にリクライニング可能な背もたれ部25が装着され、前記背もたれ部のフレーム25の上端部にブレーキ操作用のブレーキレバー28と、リクライニング操作ができるハンドルレバー27が着設されている。ハンドルレバー27とブレーキレバー28は、背もたれフレームの上部25aに着設された摺動管26に上下に摺動可能に装着されている。
【0021】
前記背もたれ部25の背もたれフレームが上部25aと下部25bに分割され、この分割された前記背もたれ部の背もたれフレームの上部25aと下部25bの間には支点ユニット29が着設されており、背もたれフレーム25の中程から上部25aと下部25bの間で屈曲可能となっている。上部25aと下部25bの間の屈曲角度を決定した後、角度を維持するためにピンを挿入する孔が穿設された支点ユニット29が左右の背もたれフレームの上部25aと下部25bの間に着設されているリクライニング車椅子である。
【0022】
図1Bは、前記背もたれ部のフレーム25の上端部の摺動管26に摺動可能に装着されたブレーキ操作用のブレーキレバー28と、リクライニング操作ができるハンドルレバー27は角度調整ユニットに着設されており、この角度調整ユニットの角度調整ノブにより、ハンドルレバー27とブレーキレバー28の角度の調整が可能であることを示している。
【0023】
図2Aは、背もたれフレーム25の上部25aと下部25bの部分から屈曲させた状態で、背もたれフレーム25の上端部に着設されたハンドルレバー27とブレーキ操作のブレーキレバー28の着設位置を背もたれフレーム25に着設された摺動管26に沿って上下に調節可能としたものである。リクライニング車椅子100の背もたれフレーム25を倒してハンドルレバー27とブレーキ操作のブレーキレバー28が下がった時、ハンドルレバー27とブレーキレバー28の位置を上下に移動させて高さを調節することができる。
【0024】
図2Bは、背もたれフレーム25は上部25aと下部25bに分割されており、背もたれフレーム25の下部25bのフレームが外管25bに内管25cを挿入して伸縮可能として、背もたれフレーム25の下部25bフレームを伸ばした状態のリクライニング車椅子を示している。背もたれフレームの下部25bフレームの外管25bに内管25cを挿入して伸縮可能とすることによって、座乗者の背丈、疾患の状態に合わせて背もたれフレーム25の長さを調節することができる。また、背もたれフレームの上部25aに着設されたハンドルレバー27とブレーキレバー28の着設角度を上下に調節可能としたものである。リクライニング車椅子の背もたれフレーム25を倒してハンドルレバー27とブレーキレバー28の角度が握りにくくなった時、ハンドルレバー27とブレーキレバー28の角度を握りやすい角度に調節することができる。
【0025】
図3は、分割した背もたれフレームの上部25aと背もたれフレームの下部25bを繋ぐと共に、一定の角度に維持するための支点ユニット29の分解斜視図を示す。図3に示すように、背もたれフレームの上部25aに支点ユニット本体上101を着設して、下部25bフレームに支点ユニット本体下102を着設する。支点ユニット本体上101を支点ユニット本体下102に冠着し、支点締結ボルト103を挿入してワッシャー104、緩止ワッシャー105を着設して締結ナット106で回動可能に軸着した。ロックピンユニット109は支点ユニット本体上101の下部に穿設されたネジ穴110に軸着した。支点ユニット本体下102に穿設された孔113にロックピンユニット109のピンが挿入して角度を固定する。次いで、支点ニット本体にカバー111を着設してカバーボルト112で固定した。
【0026】
図4Aは、図3に示した支点ユニット29にロックピンユニット109を着設する方法について図示している。背もたれフレームの下部25bに支点ユニット本体下102を着設して、背もたれフレームの上部25aに着設した支点ユニット本体上101を冠着し、支点締結ボルト103を挿入してワッシャー104、緩止ワッシャー105を着設して締結ナット106で回動可能に軸着した。ロックピンユニット109は支点ユニット本体上101の下部に穿設されたロックピンユニット固定孔110に螺着した。ロックピンユニット109の構造は、図4Bに示すように接続部材30の連結ワイヤ31を通す孔が穿設された頭部109aに、バネ部材109dを付勢したピン109eを本体109cに挿入して固定ピン109bで固定している。このロックピンユニット109を支点ユニット本体上101の下のロックピンユニット固定孔110に螺着する。このロックピンユニット109のピンが支点ユニット本体下102に穿設されたロックピン挿入孔113に嵌合して背もたれフレーム25の角度を調節する。
【0027】
図5は背もたれフレームの上部25aと下部25bの角度を曲げた場合に、背もたれフレームの上部25aと下部25bの間に着設した支点ユニット29の状態とロックピンユニット109のピンの係合位置関係を示している。図5Aは背もたれフレームの上部25aと下部25bの角度を直角に屈曲した場合で、支点ユニット本体上101は横方向に回転して、支点ユニット本体上101に着設されたロックピンユニット109は、支点ユニット本体下102に穿設された上端部の孔113にロックピンユニット109のピン107eが嵌合して背もたれフレーム25の角度が固定される。図5Bは背もたれフレームの上部25aと下部25bの角度を垂直にした場合を示し、支点ユニット本体上101は回転して、元に戻り支点ユニット本体上101に着設されたロックピンユニット109は、支点ユニット本体下102に穿設された下端部の孔113にロックピンユニット109のピン109eが嵌合して背もたれフレームの角度を垂直に固定する。
【0028】
図6は背もたれフレームの上部25aと、下部25bの間に着設した支点ユニット29と背もたれフレームの下部25bの内管25cを外管25bに挿入した伸縮部分が伸長している状態を示している。支点ユニット29は図6Aに示すように、ロックピンユニット109のピンが支点ユニット本体下102の可鍛部の孔113に挿入され、背もたれフレーム25は垂直に維持されている。車椅子の真後ろから背もたれフレーム上部25a、下部25bに着設された支点ユニット29の装着部分を示すと図6Bのようである。背もたれフレーム25の上部25aと下部25bに支点ユニット29は支点締結ボルト103と締結ナット106で回動可能に軸着されている。左右の背もたれフレーム25に軸着された支点ユニット29のロックピンユニット109は接続部材30のワイヤ31で接続されている。背もたれフレームの下部25bの内管25cは外管25bに挿管され上下に伸縮して長さの調節が可能となっている。長さの調節は外管25c穿設された長穴25dに螺着されたネジ25eを緩めて、内管25cを上下に摺動させ、背もたれフレームの下部25bの長さを調節して長穴25dの任意の位置でネジ25eを締め付けて固定する。
【0029】
図7は左右の支点ユニット29のロックピンユニット109を接続部材30の連結ワイヤ31で接続した状態を示す。左右の背もたれフレーム25に着設された支点ユニット29は、図7に示すように接続部材30に着設された連結ワイヤ31で接続されており、接続部材30を引くことによって、左右の支点ユニット29を固定していたロックピンユニット109のピン109eが左右同時に抜け、任意の位置で手を離すと左右の背もたれフレーム25の角度を簡単に調節することができる。従来のように片方ずつ角度の調整をする必要がなく、背もたれフレーム25の角度を左右同時に調節することができる。
【0030】
図8はハンドルレバー27を分解した斜視図を示している。ハンドルレバー27のグリップパイプ124の先端部に支点締結ナット127と丸ナット120を挿入して、丸ナット固定板125を両側に装着して丸ナット固定板取付ボルト126で固定し、角度調整ユニット114に挿入する。グリップパイプ124の先端部は支点ボルト123により両側から角度調整ユニット114に回動自在に軸着する。角度調整ユニット114の後部は下からカラー108を着設して丸ナット移動ボルト121を挿入して、角度調整ユニット114の上からカラー108を装着して角度調整ノブネジ117を冠着して角度調整ノブネジ固定ボルト118で固定する。
【0031】
図9は、図8で組み立てた角度調整ユニット114を、背もたれフレーム25に着設した摺動管26の内側に固定ナット115を嵌挿して、角度調整ユニット114の先端部のネジ穴に緩止ワッシャー105を着設して、固定ボルト116で摺動管26に締結した。角度調整ユニット114の高さを調整する場合は、固定ボルト116を緩めて上下に任意の位置に調節して固定ボルト116を締め付けて摺動管26に角度調整ユニット114を固定する。
【0032】
図10は、図10Aにハンドルレバーに27のグリップパイプ124に着設した角度調整ユニット114を、背もたれフレーム25に着設した摺動管26に摺動可能に着設した状態の斜視図である。図10Bはハンドルレバー27のグリップパイプ124に着設された角度調整ユニット114を背もたれフレーム25の摺動管26を介して着設した状態の上面図を示している。
【0033】
図11は、固定ナット115、115を緩めてハンドルレバー27を摺動管26の上下に摺動させて、任意の位置で固定ボルト116、116を締め付けることによって、ハンドルレバー27を任意の高さに調節することができる。
【0034】
図12は、角度調整ユニット114の頂部に着設された角度調整ノブネジ117を緩めて、角度調整ユニット114の中心部に着設された支点ボルト123を支点として、ハンドルレバー27の角度を任意の位置に調節することで、ハンドルレバー27の角度を調整することができる。
【符号の説明】
【0035】
100:リクライニング車椅子
11:アームレスト
12:サイドカバー
13:アームレストサポート
14:サイドフレーム
15:前部フレーム
16:フットレストフレーム
17:フットレスト
18:キャスター
19:本体フレーム
20:座部
21:下部フレーム
22:大車輪
23:ヘッドレスト
24:ヘッドレストサポート
25:背もたれフレーム
26:摺動管
27:ハンドルレバー
28:ブレーキレバー
29:支点ユニット
30:接続部材
31:連結ワイヤ
32:転倒防止用小車輪

101:支点ユニット本体上
102:支点ユニット本体下
103:支点締結ボルト
104:ワッシャー
105:緩止ワッシャー
106:締結ナット
107:支点締結ボルト穴
108:カラー
109:ロックピンユニット
110:ロックピンユニット固定孔
111:カバー
112:カバー固定ボルト
113:ロックピン挿入孔
114:角度調整ユニット
115:固定ナット
116:固定ボルト
117:角度調整ノブネジ
118:角度調整ノブネジ固定ボルト
119:カラー移動用長穴
120:丸ナット
121:丸ナット移動ボルト
122:丸ナット移動ボルト用長穴
123:支点ボルト
124:グリップパイプ
125:丸ナット固定板
126:丸ナット固定板取付ボルト
127:支点締結ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪に回動自在のキャスターと後輪に大車輪を軸着した車椅子の中央に座部と該座部の後部にリクライニング可能な背もたれ部が装着され、前記背もたれ部のフレームの先端部にブレーキ操作と、リクライニング操作ができるグリップが着設された前記背もたれ部の背もたれフレームが上段と下段が屈曲可能なリクライニング車椅子であって、前記背もたれ部の背もたれフレームを上段と下段に分割し、分割したフレームの上段と下段の間に上段と下段の屈曲角度を決定し、決定した屈曲角度を維持するためにピンを挿入する孔が穿設された支点ユニットが左右の背もたれフレームに着設されていることを特徴とするリクライニング車椅子。
【請求項2】
左右の背もたれフレームに着設された前記支点ユニットが接続部材の連結ワイヤーで連結されて前記左右の支点ユニットが連動することを特徴とする請求項1記載のリクライニング車椅子。
【請求項3】
上下に分割された背もたれフレームの下部背もたれフレームを外管に内管を挿入して伸縮可能とし、背もたれフレームの長さの調節ができることを特徴とする請求項1又は2に記載のリクライニング車椅子。
【請求項4】
左右の背もたれフレームの先端部に着設された前記リクライニング操作、ブレーキ操作のための操作レバーの位置を上下に調節することがができることを特徴とする請求項1又は請求項3のいずれかに記載のリクライニング車椅子。
【請求項5】
左右の背もたれフレームの先端部に着設された前記リクライニング操作、ブレーキ操作のための操作レバーの角度を上下に調節することができる角度調整ユニットを着設したことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリクライニング車椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−135420(P2012−135420A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289472(P2010−289472)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成22年9月29日〜10月1日 財団法人保健福祉広報協会主催の「第37回国際福祉機器展 H.C.R.2010」に出品
【出願人】(000146113)株式会社松永製作所 (59)