説明

胚及び/又は細胞操作媒体用補助剤

胚及び/又は細胞操作媒体用補充剤
胚及び細胞操作に使用される媒体に下記の化合物:即ち、合成ヒアルロナン(sHA)、大豆種子から得られるリン脂質又は不飽和脂肪酸(PLFA)の1種又はそれ以上を補充し、それによって、胚操作媒体に通常添加されるかつウイルス、プリオン、エンドトキシン等による重大な損傷及び/又は汚染を生じる他の化合物と置換することにより、胚及び細胞操作媒体の品質と安全性を増大させることを課題とする;このことは、トランスジェニック動物の生産及び動物の生産及び細胞治療又は補助生殖のための、発生させることを希望する胚及び細胞の品質について重要である;操作媒体の流動性を失うことなしに、付着性を減少させ、かつ、粘度を増大させる;このことは、ICSI、核移動、胚生検、予備移植段階又は細胞融合中の細胞の、胚中への微量注射のごとき微少操作に重要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胚及び細胞の操作(manipulation)で使用される媒体(medium)の品質と安全性を増大させる系に関する;上記操作媒体は、下記の化合物:合成ヒアルロナン
(hyaluronan)(sHA)、大豆種子から得られるリン脂質又は不飽和脂肪酸(PLFA)の一つ又はそれ以上によって形成される;この手段によって、トランスジェニック動物の生産、動物の生産(animal production)及び細胞治療(cell therapy)又は補助生殖(assisted reproduction)のための、高品質の胚及び細胞が生成される。
【0002】
従って、本発明の目的は、生物学、生物学的医薬及びバイオテクノロジーにおいて非常に有用な胚及び細胞の微小操作(micro-manipulation)を促進する最適媒体を製造するための補助剤(supplement)を提供することにある;この補助剤によって、胚/細胞操作媒体が改善され、このことによって、高い品質の胚及び/又は細胞が生産され、胚の移植の百分率及び胚又は細胞のその後の生存性が改善される。
【背景技術】
【0003】
多くの胚/細胞操作技術について、高い粘度を有しかつこれと同時に、操作される細胞に付随する流体の移動を制御することを可能にするのに十分な流動性を有する媒体であって、操作された細胞が培養プレートに付着するか、又は、細胞同士で付着するか、又は、媒体中の他の分子に付着することを防止する媒体が要求されている。
【0004】
操作媒体中で通常使用される高分子(macromolecule)は、血清又はセリン(seric)アルブミンのごとき、汚染物(ウイルス、プリオン、エンドトキシン)の潜在的な供給源を伴う血液から得られ得るものであるか、又は、細胞内部から拡散せずかつ細胞リソソーム酵素によって消化されず、その結果、胚/細胞操作の後に細胞の内部に保持されるポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、フィコール等のごとき合成高分子であり得る。
【0005】
これらの合成分子は明らかに無害であるけれども、これらはいずれの動物細胞中にも存在しない成分であり、多くの場合、細胞の生存性(viability)については有害であることが実証されている。例えば、PVPは、正しい受精を行うために精子が達成しなければならない核の解縮合(decondensation)を妨害し得ることが測定されている(Dozortsev 等、1995. Sperm plasma membrane damage prior to intracytoplasmic sperm injection:a necessary condition for sperm nucleus decondensation。Humann reproduction 10、2960-64)。精子を受精の前にPVPと共にインキュベートした場合、高度に負の効果がマウスの胚で観察されている(Mizuno 等、2002.Fertilization and embryo development in mouse ICSI model using hyman and mouse sperm after immobilization in polyvinylpyrrolidone. Human reproduction 17,2350-55)。
【0006】
PVP−被覆珪酸塩粒子を有するパーコール(Percoll)の使用は、エンドトキシンによる汚染の危険性があるために、及び、配偶子(gamete)の膜中で生じる変質(alteration)のために、近年、ヒトの補助生殖(assisted reproduction)においては禁止されている;この理由のため、パーコール−PVPを除去するために配偶子を完全に洗浄する必要があり、このことが配偶子の品質の損失を招来している。しかしながら、PVPは、新規な代替物(alternative)を製造することが必要であるにも拘らず、ICSIのごときある種の微少操作において使用され続けている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明によって提供される胚及び細胞操作用の補助剤(supplement)によれば、該補助剤は胚/細胞微少操作を促進するのに最適な媒体からなり、かつ、ウイルス、プリオン、エンドトキシン等に関して重大な損傷及び/又は汚染を生じさせることがないため、種々の観点で、前記した問題が解決される。
【0008】
特に、本発明によれば、ヒト及び動物の補助生殖において、例えば、細胞質内注入(ICSI)において、治療及び生殖の目的を有する核転移(nuclear transfer)において、非ヒト系動物(non−human animal)の場合、キメラを生産するための幹細胞の予備移植胚(preimplantational embryo)への注入ごとき、非ヒト系トランスジェニック動物の産生において、ICSIによるトランスジェニック動物の産生において、トランスジェネシス(transgenesis)又は細胞治療において使用される細胞操作において、胚生検(embryo biopsy)において、胚及び細胞の微少操作を促進するために最適の媒体を製造するための補助剤が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によって提供される補助剤は、胚及び細胞の微少操作用の媒体として、下記の化合物;即ち、合成ヒアルロナン(sHA)、大豆種子から得られるリン脂質又は不飽和脂肪酸(PLFA)の1種又は数種を使用することからなる。
【0010】
ヒアルロナンはN-アセチルグルコサミンジサッカリドとD−グルクロン酸単位の反復体によって形成される天然重合体であり、有機体に分布している。ヒアルロナンは、通常、ストレプトコッカス エクイ(Streptococcus equi)の連続的バクテリア発酵によって得られる (Cifonelli JA,Dorfman A.Biosynthesis of Hyaluronic acid by group A Streptococcus:the uridine nucleotides of groups a Streptococcus.J.Biological Chemistry 1957;288:547−557)。
【0011】
本発明の媒体の補助剤は、sHAとPLFAを任意の割合で組合わせて含有している。媒体補助剤は任意の胚及び細胞媒体、例えば、炭酸塩、HEPES又はMOPSで緩衝された媒体に添加し得る。本発明はPLFA中に存在するリン脂質と脂肪酸の任意の割合の組合せを包含している。
【0012】
ヒアルロナンと大豆種子から得られる不飽和脂肪酸とを組合わせて存在させた場合、媒体の粘度及び流動性の条件を、付着性の特性と同様、変性することができ、微少操作器(micro−manipulator)の要求に応じて、胚及び/又は細胞が培養プレートに付着し、正しく操作することが不可能になることを防止するという特性を失うことなしに、粘度と流動性を調節し得る。
【0013】
操作媒体にsHA及び/又はPLFAを補充することにより、媒体の流動性を失うことなしに、付着性の減少と粘度の増大が達成される;このことは、ICSIのごとき微少操作、核転移、胚生検、予備内移植(pre−implantation)段階における胚中への細胞の微少注入(micro−injection)又は細胞融合において重要である。この粘度の増大により操作ピペット内を通過する媒体の流れの正確な制御が可能となり、哺乳動物細胞の生存能力に影響を与えるかもしれない任意の他の物質の前記媒体中への包含が防止される。その上、ヒアルロナンは、細胞又は核の損傷から細胞を保護するイオン−キレート化特性を有する;ヒアルロナンは雌生殖器路(tract)に存在し、リソソーム酵素によって細胞より容易に除去される生理学的分子である;ヒアルロナンは細胞内部から容易に拡散し、胚又は細胞が培養プレート又は胚操作に使用されるマイクロ−ツール(micro-tool)に付着することを防止し、胚の発達に負の影響を与えないばかりでなしに、操作から得られる胚の品質及び内移植の水準を改善する。PLFA及び/又はsHAは、哺乳動物の胚/細胞について実施される微少操作を調節するために操作媒体中で使用される高分子に対する有効な生理学的代替物を構成する。
【0014】
sHAのキレート化活性は精子及び胚/細胞の調製を保護し、このことにより、凍結プロセスにより又は内因性プロセスにより生じる膜の損傷により、精子のDNAを劣化させるエンヂヌクレアーゼを生じさせる。sHAを存在させることにより、エンドヌクレアーゼの作動に必要なイオンの捕獲により、これらのエンドヌクレアーゼの抑制が生じることが観察されている。更に、精子の運動性は、恐らく、亜鉛イオンの捕獲により増大し、ヒトの精子について記載されているものと同様の効果を生じ、この場合、キレート化剤の存在により精子の運動性が増大することが証明されている。
【0015】
ヒアルロナン及び大豆種子から得られるリン脂質又は不飽和脂肪酸は酸化防止活性を示し、酸素遊離基によって生じる損傷から胚及び細胞を保護する。高品質の胚/細胞を生成させるためには、これらの遊離基によって生じる酸化損傷を減少させなければならない。上記遊離基によって招来される第1の結果はDNAのフラグメント化であり、これによって、胚の死滅及び、ある場合には、乳児癌が発生する。
【0016】
精子をPVPの代わりにsHAの存在下で操作した場合には、多数の高胚品質の胚盤胞が生成し、更に、これらの胚胞が高い頻度で着床(implant)される。
【0017】
ヒアルロナンは、NCSU−23媒体中で培養されたブタの胚におけるごとく、生体外培養条件を改善するのに使用される。同様の結果はマウス卵母細胞及びウシ胚を使用して得られている。
【0018】
操作媒体にリン脂質を補充することにより、ヒト精子の先体応答(acrosomal response)が促進されることが証明されている。例えば、ウシ血清の代わりに、胎児胚の生体外媒体に添加した場合、高品質胚が生産され、これは完全に凍結及び解凍され、ウシ血清の使用に伴う危険性が除去される。
【0019】
血清のごとき血液誘導補助剤の排除は、胚の国際的輸送に重要である。高分子を種々の量で含有する生物学的蛋白質を使用しそしてその濃度がロット毎に変動する場合には、標準的条件は保障されないので、上記した血液誘導補助剤の排除により、更に、培養条件を標準化することが可能である。
【実施例】
【0020】
以下に記載する実施例は本発明の特定の態様を示すものであり、その保護範囲を限定するものではない。
【0021】
実施例1:マウスにおけるICSIの調製操作媒体中のPVPのヒアルロナンによる置換;
精子の取得及び凍結
精巣上体中の精子を捕集し、M2媒体中に均一に再懸濁させた。捕集した精子細胞を1.5mlポリエチレン製遠心分離管中で1mlの新しい媒体と共に遠心分離することにより洗浄しついで再懸濁させることにより、精子1−2百万個/mlの最終濃度とした。ついで、低音管(NUNC、コペンハーゲン)中に精子懸濁液60−70マイクロリットルを含有するアリコートを製造した;これらの管を正確に密閉し、試料に液体窒素が混入することを防止するために管を完全に浸漬することなしに、−196℃の液体窒素中に、10−15分間、直接放置した。ついで、試料を−80℃で4週間までの間貯蔵し、−196℃から−80℃までの転移(transition)の間に試料が解凍することを防止した。全操作中、無菌状態を保持した。
【0022】
精子試料を、使用前、周囲温度で解凍した。ついで、M2中に10%PVPを含有する溶液中又は80%ヒアルロネート(ヒアルロン酸)を含有する溶液中で希釈した;これらの溶液は同様の粘度を有している。この最終精子溶液は次の2時間の間に、周囲温度で微量注射(microinject)しなければならない。
【0023】
精子核(sperm nucleus)の原形質内微量注射
原形質内精子注射(ICSI)による中期II(methaphase II)における卵母細胞の受精の間に、完全な精子を注射できる。しかしながら、雄配偶子の尾(tail)の注射は、その中心体(centrosome)が受精プロセス(即ち、マウスにおいて)に関与しないときは回避しなければならない。このことは微量注射プロセスを促進し、卵母細胞原形質中に注射される流体の容量を減少させる。微量注射は、慣用の方法 [即ち、ハムスターについての方法は、Yanagida,K.,Yanagimachi,R.,Perrault,S.D.及びR.G. Kleinfield,Biology of Reproduction 44,440−447 (1991);Perry AC,Wakayama T,Kishikawa H,Kasai T,Okabe M,Toyoda Y,Yanagimachi R.,Mammalian transgenesis by intracytoplasmic sperm injection.Science.1999 MAY 14;284(5417):1180−3 に記載されている]、又は、圧電微量注射装置(日本、茨城県、筑波所在、Prime Tech Limited 製、Piezo Impact Drive Unit)を使用して行い得る。この装置はピエゾ電気的効果を使用して注射ピペットを、制御された仕方で、約0.5マイクロメーターの小さい距離で前後に移動させる。この装置は各パルスの時間と強度を制御することを可能にする。
【0024】
PVP又はヒアルロン酸と混合された精子核を卵母細胞中に注射するためには、精子が尾部を1個有する場合、最初に、精子の尾部を注射毛管中に吸引する。この毛管は圧電装置を使用した場合には、問題となる種に応じて、約6−8μmの内径を有する、断面が直線状の(straight)先端(point)を有していなければならない。ある種においては、例えばマウスにおいては、精子頭部の注射は正常な胚の発育に十分であり、このことは、微少操作を単純化し、凍結−解凍プロセス中に分離された、恐らくは、凍結−フラグメント化の大部分に遭遇したものでもある頭部を注射することが可能である。
【0025】
原形質内注射中、6〜12時間後、卵母細胞を負の圧力により、かつ、保持ピペットを使用して、浸透点から離れたその中期プレート(metaphase plate)と共に配置した。透明な(pellucid)帯域を、十分な強度と速度を有する圧電パルスの適用により窄孔した(perforate)。注射ピペット(injection pipette)の先端に残留する帯域の小片を微量操作液滴中又は卵母細胞の卵黄周囲腔(periviteline space)中に取出した後、精子の頭部を注射ピペットの開口部に近づけた。注射ピペットを卵母細胞の直径の2/3だけ移動させ、そこで、単一の最小−強度パルスを適用して、その膜を開放させた。卵母細胞の膜の弛緩(relaxation)は、その浸入(penetration)を示している。精子を約6ピコリットル以下の最小量の流体を使用して、卵母細胞の細胞質中に放出させ、かくして、興味のあるトランスジェン(transgene)をその内部に移動させた。ついで、細胞溶解の危険を防止するために、注射ピペットを卵母細胞の細胞質から穏やかに引き抜いた。微量注射は10−15の卵母細胞の群においてなるべく迅速に行うべきであり、これらの卵母細胞は、微量注射液滴中に回収した後、10−15分後に培養状態に置いた(即ち、KSOM媒体+マウスについてのアミノ酸、5%CO、37℃で平衡化)。
【0026】
子孫の生産のための操作胚の発育
細胞数2−8の段階まで生体外で発育させた胚、孵化していない(unhatched)胚盤胞(blastocyst)又は桑実胚(morula)を想像妊娠の女性(pseudopregnant female)の卵管又は子宮に移した。マウスにおいては、受容動物当り、15〜20個の胚を移植した。
【0027】
マウスにおいて行った実験においては、全部で239個の卵母細胞を、10%のPVP(n 115)又は80%のHA(n 124)を補充したM2媒体中に懸濁させた精子と共に注射した。HAを使用してICSIを行った場合、移植された35個の胚盤胞の29個(83%)が着床した(implanted)。この着床(implantation)の割合は、移植された35個の胚盤胞の19個(54%)だけが着床した、PVPを使用したICSIの郡において観察されるものより非常に高かった(P<0.05、カイ自乗)。これらの結果を考慮に入れると、マウスにおいてのICSIにおいてHAを使用することは、PVPの使用より良好な代替方法であり得ると結論し得る。マイクロピペット内の精子の付着性が除去され、また、PVPを用いて達成されるものより高い着床率が保持されるならば、更に、一層、有益であり得る。
【0028】
実施例2: マウスにおいてICSIを達成するための微量操作媒体中にsHAを存在させることにより精子のフラグメント化が防止される。
【0029】
実施例1で引用したマウスにおけるICSIの方法論において観察され得るごとく、恐らくは、ICSIを行うのに必要な操作中に精子のDNA中で生じるフラグメント化により、着床結果は非常に低い。酸素遊離基の増大及び細胞の損傷の結果として遊離される精子エンドヌクレアーゼの存在により精子DNAのフラグメント化がもたらされることが記載されている。損傷されたDNAを有する精子は容易に認識することができず、従って、精子は卵母細胞中に微量注射され、核のフラグメント化の程度に応じて、生存し得ない胚又は胎児の損失を生じる。PVP又はsHAの存在下でM2と共に卵母細胞中に注射されるべき(ICSI)5匹のマウスの精子を処理した。精子を実施例1におけるごとく凍結し、解凍した。ついで、精子を22℃で2時間保持しついで精子核のフラグメント化の程度を測定した;sHAが存在しない場合には、平均で45%のフラグメント化が生じ、sHAが存在する場合には、この割合は25%に低下することが認められた。
【0030】
実施例3:培養媒体中での動物起源の胎児血清のPLFAによる置換及びウシ胚の凍結
ウシ胚を過剰排卵の(superovulated)雌ウシから作成した。受精から7日後、2種の媒体、即ち、5%のFCSを補充したPBS及び0.3%のPLFAを補充したPBSを使用して、20頭のウシの子宮洗浄により、これらの胚を捕集した。観察しているルテア体(corpora lutea)によって捕集された胚の全体に基づいて算定された胚捕集率は、使用した2種の洗浄媒体に類似していた(表1)。
【0031】
予め捕集した胚をHEPESで緩衝したかつ5%のFCS又は0.3%のPLFAを補充したTCM−199媒体中に装入した。22℃で2時間暴露した後、胚を培養液滴に移し、5%のCO、5%のO及び90%のNを含有する39℃のインキュベーター中に置いた。24時間及び48時間後、未分化胚芽細胞(blastocyte)になるまで発育したかつ正確に孵化した胚の百分率を測定した(表2)。5%のFCSを補充したTCM−199を使用して培養した胚の群又は0.38%のPLFAを補充したTCM−199を使用して培養した胚の群の間で差異は認められなかった。
【0032】
第3の実験においては、7日に亘って発育させた胚を凍結させて、その低温許容性を検討した。最初、胚をFCS又はPLFAを含有する媒体中で、22℃の温度で1時間保持した。ついで、0.5%のBSAを補充したPBS中の1.5モルのエチレングリコール及び0.3%のスクロース中で、22℃で5分間平衡化した。最後に、胚を0.25mlのストロー中に挿入し、標準的な平衡手法を使用して凍結させた。解凍は30℃で、バッチ方式で行いついで凍結後の生存率とその後の生体外での発育を定量した(表3)。
【0033】

【0034】

【0035】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスジェニック動物の生産、動物の生産及び細胞治療又は補助生殖のための、胚及び/又は細胞操作媒体用の補助剤であって、例えば、ウイルス、プリオン又はエンドトキシンに関して、重大な損傷及び/又は汚染を防止する下記の化合物;即ち、合成ヒアルロナン(sHA)、大豆種子から得られるリン脂質又は不飽和脂肪酸(PLFA)の1種又は数種からなることを特徴とする胚及び/又は細胞操作媒体用補助剤。
【請求項2】
sHAとPLFAを任意の割合で組合せて存在させた、請求項1に記載の胚及び/又は細胞操作媒体用補助剤。
【請求項3】
PLFA中に存在するリン脂質と脂肪酸を任意の割合で組合せて含有している、前記請求項に記載の胚及び/又は細胞操作媒体用補助剤。
【請求項4】
媒体用補助剤は任意の細胞又は胚媒体、例えば、炭酸塩、HEPES又はMOPSで緩衝された媒体に添加し得る、前記請求項に記載の胚及び/又は細胞操作媒体用補助剤。
【請求項5】
子宮に着床させる前に胚の生体外での操作を可能にする媒体を製造しかつ調製するための、付着性を除去し、粘度と流動性を増大させる前記請求項に記載の合成ヒアルロナン(sHA)、大豆種子から得られるリン脂質又は不飽和脂肪酸(PLFA)の使用。
【請求項6】
体細胞及び胚細胞を製造しかつ調製するための、付着性を除去し、粘度と流動性を増大させる前記請求項に記載の合成ヒアルロナン(sHA)、大豆種子から得られるリン脂質又は不不飽和脂肪酸(PLFA)の使用。
【請求項7】
胚/細胞を酸素フリーラジカルの作用から保護するための及びその生存及びその後の子宮への着床を改善するための、前記請求項に記載の合成ヒアルロナン(sHA)、リン脂質又は不不飽和脂肪酸(PLFA)の使用。
【請求項8】
核DNAを劣化させる細胞エンドヌクレアーゼを不活性化するための、前記請求項に記載の合成ヒアルロナン(sHA)、リン脂質又は不不飽和脂肪酸(PLFA)の使用。
【請求項9】
生物学的機能を有する高分子補助剤により培養条件を標準化させるための、前記請求項に記載の合成ヒアルロナン(sHA)、リン脂質又は不飽和脂肪酸(PLFA)の使用。

【公表番号】特表2008−534000(P2008−534000A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503537(P2008−503537)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【国際出願番号】PCT/ES2005/000255
【国際公開番号】WO2006/103300
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(593105058)インステイテユト・ナシオナル・デ・インベステイガシオン・イ・テクノロヒア・アグラリア・イ・アリメンタリア (1)
【Fターム(参考)】