説明

胴体セグメント及び接合手段を含む胴体要素

胴体要素は、スキン(3a)を有する胴体セグメント(1a)と、セグメント(1a)のスキンを隣接するセグメント(1b)に連結することができる接合手段(6)とを含む。セグメント(1a)は胴体の長手方向の軸線(X)に沿って延在しており、スキン(3a)はセグメント(1a)の少なくとも一方の端部に少なくとも1つの第1の区分(10)を含む。胴体のセグメント(1a)は胴体の長手方向の少なくとも1つのスチフナ要素(5a)を含む。接合手段(6)は、スキン(3a)の前記第1の区分(10)の外面(30)と接触した状態で置かれており、スチフナ要素(5a)は、長手方向の軸線(X)に沿って、接合手段(6)において部分的に延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は胴体要素に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、胴体セグメントと、この胴体セグメントを隣接するセグメントに連結できる接合手段とを含む胴体要素に関する。
【背景技術】
【0003】
航空機の胴体は特にスキンとこのスキンのスチフナとを含む。スチフナは長手方向(ストリンガーとして公知)または胴体の軸線に対して横断方向の平面内(フレームとして公知)に配置されている。
【0004】
胴体は、一般的に、互いに組立てられた複数の胴体セグメントを含む。これら胴体セグメントは、接合部を用いて組立てられる。接合部の目的は、特に、隣接するセグメント間の機械的荷重を移動させることにある。
【0005】
一般的に、胴体及び接合部は、円筒形状を呈するが、他の形状も考えられうる。
【0006】
ストリンガーの連続性を確保するような形で設計された接合部が存在する。仏国特許第2910874号明細書は、このように設計された接合部について記載している。
【0007】
これら接合部は、フェルール及びストリンガー継目板などの機械的接合要素を含む。フェルールは2つの隣接するセグメントのスキンの連結を可能にし、ストリンガー継目板は、ストリンガー、すなわち長手方向のスチフナの連結を可能にする。
【0008】
このような設計の一例が図1に表示されている。この図は、隣接する2つの胴体セグメント1a、1bの一部を表示している。胴体は、円筒形状を呈し、スキン3と、胴体に対して横断方向の平面内に位置付けられたフレーム4と、長手方向の平面内に位置付けられたストリンガー5とを有する。円筒形の接合部6が、フレーム4において、これら2つの円筒形の胴体セグメント1aと1bとの間に配置される。この接合部6は、胴体のスキン3の内面上に位置付けられ、且つ、2つのセグメント1a、1bのスキン3を連結するフェルール7と、ストリンガー5の上にそれぞれ位置付けられ且つ2つのセグメント1a、1bのストリンガー5を連結するストリンガー継目板8とを含んでいる。
【0009】
他のタイプの接合部はストリンガーの連続性を目的としていない。すなわち、胴体セグメントのストリンガーは、接合部において停止し、隣接するセグメントのストリンガーに連結されていない。
【0010】
接合部においてストリンガーの連続性が欠如していることは、フレームとストリンガー端部との間の遷移ゾーン内でストリンガーの連続性が中断され二次モーメントが生成されるために、局所的安定性の問題をひき起こす可能性がある。このため、例えば、引張りまたは圧縮が加えられた場合、スキンは応力を受け、二次モーメントに起因してフレームも同様に応力を受ける。
【0011】
このような状況下で、フレームは、ストリンガーの停止点により近いところに位置付けられている場合、より効率の良い支点を構成する。このため、機械的荷重は、隣接する2つの胴体セグメントの間で最も効率良く伝達される。
【0012】
したがって、1つの解決法(図2に表わされているもの)は、ストリンガー5の端部5eとフレーム4のベースプレート4a(胴体のスキン3上に接しているフレーム4の部分)との間に跨る小さなストリンガー継目板9をそれぞれに付加することを含む。
【0013】
図1の解決法においては、ストリンガー継目板8を用いて連結すべきストリンガー5の相互整列が不完全である場合、組立てが困難になる可能性がある。
【0014】
図2に関して、このような解決法では、胴体の組立ての際に設置すべき部品の数が増大することになる。この場合、部品数は、ストリンガーが連続性を有する接合部の場合においてストリンガーを使用する場合に必要な数の2倍であるという点に留意されたい。
【0015】
接合部の応力移動能力を増大させる目的で採用された別の解決法(図3に表わされているもの)は、ストリンガー5を連結するカウンター継目板10から成る。さらに、フレーム4を安定化させるために、フレームスタビライザー40がこの構造内に組込まれている。一部の実施形態においては、内部フェルール7に加えてスキン3の外面上に第2のフェルール7bを位置付けることが可能である。
【0016】
ただし、先の解決法と同様、部品数は増大し、このことは、組立ての複雑さが増大すること及び胴体の質量が増大することを意味している。
【0017】
その上、スキンの外面上にフェルールが存在する場合、このことは空気力学的擾乱をひき起こし得る。
【0018】
その上、これらさまざまな場合において、内部フェルールの存在によりストリンガーはフレームから遠くなり、これがアセンブリの機械的構造を脆弱化させ、以上に記した通り、この構造の連続性を確保するために継目板を具備することを余儀なくさせる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、上述の欠点を解決し、胴体セグメントと、このセグメントと隣接セグメントとの間の接合要素とを含む胴体要素を提案して、組立ての複雑性を低減し且つ質量の増大を制限しつつ接合要素における空気力学的擾乱を回避できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このため本発明は、第1の態様によると、スキンを有する胴体セグメントと、セグメントのスキンを隣接するセグメントに連結することができる接合手段とを含む胴体要素であって、セグメントが胴体の長手方向の軸線に沿って延在しており、スキンがセグメントの少なくとも一方の端部に少なくとも1つの第1の区分を含み、胴体セグメントが胴体の長手方向少なくとも1つのスチフナ要素を含む、胴体要素において、接合手段が、スキンの第1の区分の外面と接触した状態で置かれ、スチフナ要素が、長手方向の軸線(X)に沿って、接合手段において部分的に延在している(すなわち、スチフナ要素及び接合手段の長手方向の軸線上のそれぞれの突出部分が部分的に重なり合っている)ことを特徴とする、胴体要素を目的としている。
【0021】
こうして、胴体のスキンの外面上に接合手段を配置することによって、2つの隣接するセグメントのスチフナ要素(実際にはストリンガー)を互いに接近させることができ、このため、継目板無しでも優れた機械的構造が得られる。この結果、機械的荷重は2つの隣接する胴体セグメントの間で効率良く伝達され、このため、接合手段における安定性は、長手方向のスチフナが接合要素において停止している技術的現状の接合部に比べて改善される。
【0022】
さらに、スキンが、接合手段と接触していない第2の区分を含み、接合手段の外面がスキンの第2の区分の外面と面一に位置付けられるように、スキンの少なくとも1つの第1の区分の外面がスキンの第2の区分の外面との関係において胴体の長手方向の軸線に対して横断方向にずれていることが想定される。
【0023】
したがって、胴体の外面は平滑であり、このため、空気力学的擾乱が回避される。
【0024】
さらに、胴体セグメントが胴体のスチフナフレームを含むことも想定され、この場合、スチフナ要素の一方の端部がフレームと隣接してもよい。この場合、以上で提案された構造から特定の利点がひき出される。
【0025】
胴体のスチフナフレームは、横断方向の平面内に延在し(以下フレームと称する)、且つ、胴体の長手方向の軸線に対して横断方向の平面内に延在する本体と、胴体の長手方向の軸線に対して長手方向の平面内に延在するベースプレートとを含むことができる。
【0026】
企図できる一つの解決法によると、接合手段はスチフナフレームにおいて取付けられる。
【0027】
このため、接合手段においてこのスチフナフレームが存在することによって、胴体は2つの胴体セグメント間の接合ゾーンにおいて安定している。
【0028】
一実施形態によると、接合手段の内面はスチフナフレームのベースプレート上に固定されている。
【0029】
このため、特に、接合手段(実際にはフェルール)上にフレームを予め組立てることにより、2つの胴体セグメントの組立てを容易にすることが可能になる。
【0030】
別の実施形態によると、スチフナフレームのベースプレートは第1の区分のスキンの内面上に取付けられている。
【0031】
フレームのこの配置により、胴体セグメントを隣接する胴体セグメントに一層近づけることが可能となる。このとき、隣接する2つのセグメントのスキンは接近し、このため、機械的荷重は胴体セグメント間でより効率良く伝達される。
【0032】
その上、胴体要素が、接合手段を用いて第2の胴体要素に組立てられる場合、フレームは胴体要素上に取付けられることから、組立てが単純化される。
【0033】
その上、接合手段上のフレームの位置公差が回避され、この結果、胴体セグメントに対する接合手段の横断方向の位置公差の合計が削減される。
【0034】
別の実施形態によると、胴体要素は、スチフナフレームの本体に固定されるように適合され且つ胴体の長手方向の軸線に対して横断方向の平面内で胴体の長手方向軸線に向かって延在するクラウンを含む。
【0035】
この実施形態においては、フレームはベースプレートを含まない。このため、胴体要素を隣接する胴体要素に接近させることができる。このため、2つのセグメントのストリンガー及びスキンはそれぞれ接近し、セグメント間で機械的荷重をより効率良く伝達することが可能となる。
【0036】
さらに、胴体の長手方向の軸線に対して横断方向の平面内に配置されたクラウン上にフレームを位置付けることで、胴体セグメントとの関係における接合手段の横断方向の位置公差に対する影響がひき起こされることはない。
【0037】
一実施形態において、接合手段は接合要素を含む。
【0038】
別の実施形態において、接合手段は、隣接する胴体セグメントの端部に位置付けられたスキンの一区分を含む。
【0039】
本発明は、第2の態様によると、本発明に係る胴体要素と、胴体要素の胴体セグメントのスキンに連結された第2の胴体セグメントとを含む胴体部分を目的としている。
【0040】
企図できる一解決法によると、第2のセグメントは胴体の長手方向の軸線に沿って延在し、スキンは、接合要素と接触した状態にあるセグメントの少なくとも1つの端部の少なくとも1つの第1の区分と、接合要素と接触していない第2の区分とを含んでいる。接合要素はスキンの少なくとも1つの第1の区分の外面と接触した状態にあり、スキンの少なくとも1つの第1の区分の外面はスキンの第2の区分の外面との関係において胴体の長手方向軸線に対して横断方向にずれているので、接合要素の外面がスキンの第2の区分の外面と面一に位置付けられうる。
【0041】
別の企図できる解決法によると、第2のセグメントは胴体の長手方向の軸線に沿って延在し、スキンは第1のセグメントの第1の区分と接触した状態でセグメントの少なくとも一方の端部に少なくとも1つの第1の区分を含んでいる。
【0042】
本発明は、第3の態様によると、本発明に係る少なくとも1つの胴体部分を含む航空機の胴体を目的としている。
【0043】
本発明は、第4の態様によると、本発明に係る胴体を含む航空機を目的としている。
【0044】
これら胴体部分、航空機の胴体、及び航空機は、胴体要素に関連して先に記述されたものと類似の特徴及び利点を呈する。
【0045】
本発明の他の詳細及び利点は、以下の記述においてさらに明らかになる。
【0046】
添付の図面は、非限定的な例として提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来技術に属する第2の胴体要素に連結された胴体要素の一部を示す略図である。
【図2】従来技術に属する胴体要素の細部を表わす。
【図3】従来技術に属する第2の胴体要素に連結された胴体要素の一部を示す略図である。
【図4】航空機の胴体セグメントを示す略図である。
【図5】本発明に係る第1の実施形態を示す略図である。
【図6】本発明に係る第2の実施形態を示す略図である。
【図7】本発明に係る第3の実施形態を示す略図である。
【図8】本発明に係る第4の実施形態を示す略図である。
【図9】本発明に係る第5の実施形態を示す略図である。
【図10】本発明に係る第6の実施形態を示す略図である。
【図11】本発明に係る第7の実施形態を示す略図である。
【図12a】本発明に係る2つの長手方向のスチフナの間の第2の胴体要素に連結された胴体要素の一部の長手方向の断面を示す略図を表わす。
【図12b】本発明に係る2つの長手方向のスチフナの間の第2の胴体要素に連結された胴体要素の一部の長手方向の断面を示す略図を表わす。
【図12c】本発明に係る2つの長手方向のスチフナの間の第2の胴体要素に連結された胴体要素の一部の長手方向の断面を示す略図を表わす。
【図13】図12bを詳細に表わしている。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図4は、胴体の複数のセグメント1a、1bを表わしている。これら胴体セグメントは互いに組立てられて航空機の胴体を形成する。2つの胴体セグメント1a、1bは、以下で記述する通り、接合手段(図4には表示せず)を用いて組立てられる。
【0049】
胴体セグメントは長手方向の軸線Xに沿って延在する。
【0050】
ここでは、胴体セグメントの形状は円筒形であり、この結果、複数の接合手段は同じ形状を呈する。
【0051】
しかしながら、胴体セグメント及び接合手段は、異なる形状を呈することもできる。
【0052】
次に、図5を参照しながら、本発明に係る第1の実施形態について説明する。
【0053】
図5は、胴体部分の長手方向の断面図を表わしている。胴体部分の長手方向の断面図が、胴体の長手方向の軸線Xに対して互いに対称な2つの部分を含んでいるという点に留意されたい。図5は、長手方向の断面図の一部のみを表わしている。
【0054】
参照番号30が胴体の外部(例えば大気)を表わし、参照番号21が、胴体の内部、例えば航空機のコックピットを表わす。
【0055】
第1の胴体セグメント1aは、接合手段6を用いて第2の胴体セグメント1bに連結されている。
【0056】
この実施形態において、接合手段は接合要素6である。ここで接合要素6はフェルール7aを含む。
【0057】
第2のセグメント1bが第1のセグメント1aと類似のものであることから、単純化のために第1の胴体セグメント1aについて説明する。
【0058】
胴体セグメント1aは、スキン3a、長手方向の平面内に延在するスチフナ、すなわちストリンガー5aと、横断方向の平面内に延在するスチフナ、すなわちフレーム4(この図では接合要素6において見られる)とを含む。
【0059】
胴体セグメント1aのスキン3aは、セグメント1aの端部に位置付けられた少なくとも1つの第1の区分10と、第2の区分11とを含む。
【0060】
ここでは、各セグメント1a、1bの一部が表わされている。このため、セグメント1a、1bの一方の端部のみが表わされている。セグメント1a、1bの表示されていない端部は、第1の区分10と同一に設計されていてもいなくてもよい。
【0061】
第1の区分10は、第2の区分11との関係において胴体の内部21に向かって横断方向にずれている。このため、例えば、胴体が円筒形状を呈する場合、第1の区分10の横断方向断面の直径は第2の区分11の横断方向断面の直径よりも小さい。
【0062】
全く限定的でない一例として、第1の区分10の直径は4000mmであり、第2の区分の直径は4008mmである。
【0063】
このため、第1の区分10は、第2の区分11との関係において胴体の内部に向かって陥凹している。1つの実施形態においては、これにより、フェルール7aをくぼみ(renfoncement)の中に収納させ、このためフェルール7aの外面がセグメントの第2の区分11の外面32と胴体の軸線から同じ距離のところに来るようにすることができる。フェルール7aの内面71が第1の区分10のスキン3aの外面30と接触した状態にあるという点に留意されたい。
【0064】
一つの変形形態によると、第1の区分10と第2の区分11との間のずれ、すなわち第1の区分の横断方向断面の直径と第2の区分の横断方向断面の直径との間の差は、フェルールの厚みとほぼ類似している(以下で言及する)。
【0065】
第2の変形形態によると、フェルール7aの厚みは、第1の区分10と第2の区分11との間のずれよりも小さい。この場合、ここでは円筒形である他の要素がフェルールとスキンとの間に配置される。
【0066】
このため、胴体の外面は連続的であり、空気力学的擾乱は回避される。
【0067】
フェルール7aが第1の区分30の外面30と接触状態にあり、この接触は直接的(すなわち互いの間に他の要素が存在しない)であっても、または間接的(すなわち互いの間に他の要素が設置されている)であってもよいという点に留意されたい。
【0068】
以上で記した通り、第1のセグメント1aと第2のセグメント1bとを連結するために、2つの胴体セグメント1aと1bとの間に、接合要素6が配置される。この接合要素6は、セグメント1aのスキン3a及び第2のセグメント1bのスキン3bの外面30と接触した状態で位置付けられたフェルール7aを含んでいる。
【0069】
このため、第1のセグメント1aのスキン3aと第2のセグメント1bのスキン3bとはフェルール7aによって連結されている。フェルール7aは、隣接する2つのセグメント1aと1bとの間の機械的連続性を確保する。
【0070】
この結果、第1のセグメント1aのスキン3aが担持する機械的荷重は、フェルール7aを通して第2のセグメント1bのスキン3bに伝達される。このとき、胴体は所与の荷重レベルについて接合要素6aにおいて安定している。安定性は、接合要素におけるストリンガーの停止を伴い且つ内部フェルールを伴う接合部に比べて著しく改善される。
【0071】
その上、フェルール7aが胴体セグメント1a、1bのスキン3a、3bの外面30と接触する状態に配置されていることから、胴体セグメントの端部を互いに接近させることができる。
【0072】
この結果、2つの隣接セグメント1a、1bのストリンガー5a、5b及びスキン3a、3bは、以下で記述するフレームによってしか分離されておらず、このため従来技術の場合よりも近接している。したがって、隣接するセグメント間の機械的荷重の伝達の効率がさらに良くなる。
【0073】
全く限定的でない一例として、フェルール7aは、その長さの約80%にわたりストリンガー5a、5bを覆っている。そのうちのおよそ40%が第1のストリンガー5aに対応し、40%が第2のストリンガー5bに対応する。
【0074】
この実施例では、接合要素6はフレーム4において配置されている。
【0075】
このため、2つの胴体セグメント3aと3bとの間で伝達すべき機械的荷重は、フェルール7aとフレーム4との間に分布する。したがって、接合部6における胴体の安定性は増大する。
【0076】
ここで、フレーム4は特にベースプレート4a及び本体4bを含む。ベースプレート4aは、フレーム4の長手方向の平面内に延在する部分に対応し、本体4bは、横断方向の平面内に延在する部分に対応する。
【0077】
この実施例では、ベースプレート4aはフェルール7aの内面71上に固定される。
【0078】
しかしながら、フレーム4のベースプレート4aを一方のセグメント1a、1bのスキン3a、3bの内面31a、31b上にも固定できると考えられる。
【0079】
第2の区分11との関係におけるセグメント1a、1bの第1の区分10のくぼみは、特に胴体の製造材料に応じて異なる技術により作製可能である。
【0080】
これについては、図12a、12b、12c及び13を参照しながら以下で詳述する。
【0081】
第2の実施形態が、図6に表わされている。この実施形態の設計は、図5に表示された実施形態のものと同一である。
【0082】
このため、フェルール7’は2つのセグメント1a’、1b’のスキン3a’と3b’とを連結し、フレーム4’のベースプレート4a’はフェルール7’の内面71’に固定されている。
【0083】
この実施形態において、フェルール7’は、胴体の長手方向の軸線Xに対して平行ではない凸状の内面71’を呈する。
【0084】
この実施形態において、フェルール7’は、円錐形状を示し、胴体のスキン上の不規則性を少なくすることができるようになっている。このため、擾乱はより小さくなる。
【0085】
さらに、円錐形状によって、2つの隣接するセグメント1a’、1b’の組立てを容易なものにすることができる。
【0086】
このため、例えば、第1段階では、フェルール7’を胴体セグメントの1つ(例えば第1のセグメント1a’)の端部に組立てる。第2段階では、第2のセグメント1b’を、セグメント1a’、1b’のスキン3a’、3b’の外面が面一になるように(長手方向の軸線Xにしたがって)フェルール7’に沿って位置を調整しながら組立てる。
【0087】
このため、フェルール7’と胴体のスキンとの間に存在する径方向の遊びが補償される。
【0088】
この実施形態は、先の実施形態と同様、2つのセグメント1a’、1b’のストリンガー5a’、5b’を、互いに近接し、ひいてはフレーム4’に近接して位置付けることを可能にしている。このため、機械的荷重は2つのセグメント1a’と1b’との間で効率良く伝達される。
【0089】
第3の実施形態が図7に表示されている。この実施形態の設計は、図5及び6に表示された実施形態のものと同一である。
【0090】
この実施形態において、第1のセグメント1a’’のスキン3a’’は、フレーム4’’がそのベースプレート4a’’によりスキン3a’’に固定されるような形で長手方向に延長されている。
【0091】
このため、このセグメント1a’’と、隣接するセグメント1b’’との距離を短縮することができ、このため、接合部6’’において、胴体はより安定したものとなる。
【0092】
実際、2つのセグメント1a’’、1b’’のストリンガー5a’’、5b’’及びスキン3a’’、3b’’は接近している。
【0093】
さらに、フレーム4’’が第1のセグメント1a’’に予め固定されているので、2つの隣接セグメント1a’’、1b’’の組立ての際に横断方向に固定すべき要素が1つ減る。これにより、接合部におけるフレーム4’’の横断方向の位置公差の導入が回避される。
【0094】
図8は、第4の実施形態を示している。この実施形態の設計は、図5、6及び7に表わされている実施形態の設計と同一である。
【0095】
この実施形態においては、接合要素6’’’は、フェルール7’’’と一体に作製されたクラウン72を含む。クラウン72は、フェルール7’’’に対して横断方向(または胴体の長手方向軸線Xに対して横断方向)の平面内で、胴体の内部21に向かって延在している。
【0096】
この実施例において、(ベースプレートを提示していない)フレーム4’’’は、その本体4b’’’を介してクラウン72に固定されている。このため、このクラウン72は、例えばクリップ留め手段のような、(図では見られない)固定手段を有している。
【0097】
フェルール7’’’のクラウン72に対するフレーム4’’’の固定によって、接合要素6’’’のフレーム4’’’の横断方向の位置公差が回避される。
【0098】
さらに、フレーム4’’’にはベースプレートが存在しないことから、2つのセグメント1a’’’、1b’’’のストリンガー5a’’’、5b’’’は互いに非常に接近している。
【0099】
以下、図9を参照しながら、第5の実施形態について記述する。
【0100】
先の実施形態の場合と同様に、第1の胴体セグメント100aのスキン300aは、第1のセグメント100aの端部に位置付けられた第1の区分100と、第2の区分110とを含む。同様に、第1の区分100は、第2の区分110との関係において内部21に向かってずれている。
【0101】
この実施形態では、接合手段6aは、隣接する胴体セグメント100bの1区分を含んでいる。
【0102】
このため、この実施形態では、第2の胴体セグメント100bのスキン300bは、第1のセグメント100aの第1の区分100によって形成されたくぼみの中に収納されることになり、そこでスキン300aと300bとが互いに固定される。
【0103】
この実施形態では、フレーム40は第1の胴体セグメント100aのスキン300aの第1の区分100の内面310aに固定されている。
【0104】
しかしながら、フレーム40は第2の胴体セグメント100bのスキン300bの内面310bに固定されてもよい。
【0105】
この構成は、2つの胴体セグメント100a、100bのスキン300a、300bが接触していることから、これらを最大限に接近させるという利点を呈する。なかでも、ストリンガー50a、50bは、先の実施例の場合と同様、フレーム40に接近する。
【0106】
結果として、接合部6aにおける胴体の安定性が改善される。
【0107】
このことは、以下で記す通り、接合部における胴体の機械的挙動を改善する。すなわち、機械的荷重の伝達効率が優れる。
【0108】
さらに、2つの胴体セグメント100a、100bの組立ての際に組立てるべき部品の数が削減され、この結果、組立て時間は短縮される。
【0109】
接合要素内でフェルールを使用する場合と同様、胴体の外面が連続していることから、空気力学的擾乱は回避される。
【0110】
図10は、図6で表示されている実施形態に近いものの、隣接する胴体セグメントの区分を含む接合要素の場合の第6の実施形態を表わしている。
【0111】
ここでは、第1の胴体セグメント100a’及び第2の胴体セグメント100b’の端部は、相補的な円錐形状を呈している。このため、この実施例では、第1のセグメント100a’の端部は胴体21の内部に向かって湾曲しており(外部円錐形状)、第2の胴体セグメント100b’の端部に位置づけされたスキンの厚みは、端部に近づくにつれて減少する(内部円錐形状)。第2のセグメント100b’の端部は、外部に円錐形状を呈している。
【0112】
この実施形態の利点は、先の実施形態及び図6を参照して記述した実施形態の利点と一致する。
【0113】
図11は、接合要素が、隣接する胴体セグメントの区分を含む第7の実施形態を表わしている。
【0114】
ここでは、フレーム40’’は、「クリップ」と呼ばれる接合部品42’’を用いて第2の胴体セグメント100b’’のスキン300b’’の内面310b’’上に固定される浮動フレームである。
【0115】
一つの変形形態では、フレーム40’’は第1の胴体セグメント100a’’のスキン300a’’の内面310a’’上に固定されてもよい。
【0116】
この実施形態は第4の実施形態(図8)の利点を併せもつ。
【0117】
さらに、第2のセグメント100b’’の長手方向のスチフナ、すなわちストリンガーの端部は、例えば第5の実施形態(図9)に比べて、他方の胴体セグメント100a’’の端部にさらに近い。
【0118】
当然のことながら、接合要素は、隣接する胴体セグメントの区分の代りにフェルールを含んでもよい。この場合、浮動フレーム40’’をフェルール上または一つのセグメントのスキンの内面上に固定できると考えられる。
【0119】
この実施形態において、胴体セグメントの端部は、図10に表わされている実施形態の場合と同様に、相補的な円錐形状を呈することができる。
【0120】
次に、第2の区分との関係における胴体セグメントの第1の区分の陥凹(enfoncement)の機械加工による作製方法について記述する。
【0121】
こうして、例えば、胴体が金属製である場合、陥凹は機械加工により作製される。このような技術の結果として得られる胴体は図12aに表わされている。
【0122】
金属製胴体の中に陥凹を作製するためには、厚みの大きいパネルから始める必要があることに留意されたい。胴体セグメントの端部は同様にスキンの局所的変形によっても作製可能である(図12c)。
【0123】
例えば、胴体が複合材料でできている場合、陥凹は、層の捕捉及び放出を用いて(このような技術の結果得られた胴体は図12bに表わされている)またはスキンの局所的変形によるディンプル加工(このような技術の結果として得られた胴体は図12cに表わされている)を用いて作製される。スキンの局所的変形の場合、得られた端部断面形状が金属の胴体または複合材料の胴体と類似しているという点に留意されたい(図12c)。
【0124】
後者の2つの場合において、くぼみの作製の際に生成される遊びA、A’は、胴体のゾーン及び陥凹を作製するための工具の特徴に応じて可変的である。
【0125】
空気力学的擾乱を誘発しうるこれら遊びA、A’は、例えばこれらをマスチックで埋めまたは留め継手12(図12bにおいて見られる)を付加することによって最大限削減される。
【0126】
胴体の第1の区分10と第2の区分11との間に位置付けられた胴体のスキン3の傾斜は胴体の内部21と外部20とで類似の値または異なる値を示し得る。
【0127】
図12cの胴体の場合、不連続性i、iiはモーメントの導入をひき起こす。これらモーメントを最小にすべく、図12bの胴体が用いられる。
【0128】
図13は、図12bの胴体部分を詳細に表わしている。
【0129】
この胴体部分は3つのゾーンを含む。第1のゾーン、すなわち典型ゾーンZ1は第1の胴体セグメント1aのスキン3aの第2の区分11に対応する。
【0130】
第2のゾーン、すなわち接合ゾーンZ2は第1の胴体セグメント1aのスキン3aの第1の区分10に対応する。
【0131】
最後に、第3のゾーン、すなわち遷移ゾーンZ3は先の2つのゾーンZ1とZ2との間に位置付けられる。
【0132】
この技術においては、層状化(drapage)の規則を尊重するように典型ゾーンZ1内に存在する層P2(実線表示)の間に中間層P1(破線表示)が交互に導入される。
【0133】
層は長手方向に延在し、胴体のスキン3を形成する。
【0134】
典型ゾーンZ1の層P2は、胴体セグメント1aの端部まで連続している。
【0135】
全く限定的ではない一例として、26の中間層P1が遷移ゾーンZ3内に導入され且つセグメントの端部まで延在し、別の26の中間層P1が遷移ゾーンZ3内に導入され且つこのゾーン内のみに存在する。これら中間層P1は互いに同心的であり且つほぼ平行である。これらは、スキンを補強するために導入される。
【0136】
例えば、胴体の内部21でのスキンの傾斜(勾配X1)は10%という値を呈し、胴体の外部20のスキンの傾斜(勾配X2)は20%という値を呈する。
【0137】
当然のことながら、層の数及び傾斜の値は、実施形態に応じて変動し得る。実際、これらの技術の発展は非常に急速であり、結果として、その値は経時的に非常に急速に変化する。
【0138】
したがって、本発明によって、高い安定性を呈する接合手段を用いて隣接する2つの胴体セグメントを組立てることが可能である。
【0139】
その上、接合手段は2つのセグメントのストリンガーを連結せず、このため質量の増大が制限される。
【0140】
さらに、組立ての困難さは低減され、このため、組立て時間も同様に短縮される。
【0141】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく前述の実施例に数多くの修正を加えることができる。
【0142】
したがって、例えば、すでに記した通り、胴体の形状は異なるものであってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキン(3a、3a’、3a’’、3a’’’、300a)を有する胴体セグメント(1a、1a’、1a’’、1a’’’、100a、100a’)と、該セグメント(1a、1a’、1a’’、1a’’’、100a、100a’)のスキンを隣接するセグメント(1b、1b’、1b’’、1b’’’)に連結することができる接合手段(6a、6、6’、6’’、6’’’)とを含む胴体要素であって、
前記セグメント(1a、1a’、1a’’、1a’’’)が胴体の長手方向の軸線(X)に沿って延在しており、前記スキン(3a、3a’、3a’’、3a’’’、300a)が前記セグメント(1a、1a’、1a’’、1a’’’、100a、100a’)の少なくとも一方の端部に少なくとも1つの第1の区分(10、100)を含み、前記胴体セグメント(1a、1a’、1a’’、1a’’’、100a、100a’)が胴体の長手方向の少なくとも1つのスチフナ要素(5a、5a’、5a’’、5a’’’、50a’)を含む、胴体要素において、
前記接合手段(6a、6、6’、6’’、6’’’)が、前記スキン(3a、3a’、3a’’、3a’’’、300a、300a’)の第1の区分(10、100)の外面(30)と接触した状態で置かれ、前記スチフナ要素(5a、5a’、5a’’、5a’’’、50a’)が、前記長手方向の軸線(X)に沿って、前記接合手段(6a、6、6’、6’’、6’’’)において部分的に延在していることを特徴とする、胴体要素。
【請求項2】
前記スキンが、前記接合手段と接触していない第2の区分(11、110)を含み、前記接合手段(6a、6、6’、6’’、6’’’)の外面(70)が前記スキン(3a、3a’、3a’’、3a’’’、300a、300a’)の第2の区分の外面(32)と面一に位置付けられるように、前記スキン(3a、3a’、3a’’、3a’’’、300a、300a’)の少なくとも1つの第1の区分(10、100)の外面(30)が前記スキン(3a、3a’、3a’’、3a’’’、300a、300a’)の第2の区分(11、110)の外面(32)との関係において前記胴体の長手方向の軸線(X)に対して横断方向にずれていることを特徴とする、請求項1に記載の胴体要素。
【請求項3】
胴体のスチフナフレーム(4、4’、4’’、4’’’、40、40’’)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の胴体要素。
【請求項4】
前記スチフナ要素(5a、5a’、5a’’、5a’’’、50a’)の一方の端部が前記フレーム(4、4’、4’’、4’’’、40)に隣接することを特徴とする、請求項3に記載の胴体要素。
【請求項5】
前記胴体のスチフナフレーム(4、4’、4’’、4’’’、40、40’’)が、前記胴体の長手方向の軸線(X)に対して横断方向の平面内に延在する本体(4b、4b’、4b’’、4b’’’)と、前記胴体の長手方向の軸線(X)に対して長手方向の平面内に延在するベースプレート(4a、4a’、4a’’)とを含むことを特徴とする、請求項3または4に記載の胴体要素。
【請求項6】
前記接合手段(6a、6、6’、6’’、6’’’)の内面(71、71’)が前記スチフナフレーム(4、4’、40’’)のベースプレート(4a、4a’)上に固定されていることを特徴とする、請求項5に記載の胴体要素。
【請求項7】
前記接合手段(6a、6、6’、6’’、6’’’)が接合要素(7a、7’、7’’、7’’’)を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の胴体要素。
【請求項8】
前記接合手段(6a、6、6’、6’’、6’’’)が、前記隣接する胴体セグメントの端部に位置するスキン(300b、300b’’)の一区分を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の胴体要素。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の胴体要素と、隣接する第2の胴体セグメント(1b、1b’、1b’’、1b’’’)とを含み、該第2の胴体セグメント(1b、1b’、1b’’、1b’’’)のスキン(3b、3b’、3b’’、3b’’’)が前記胴体要素の胴体セグメント(1a、1a’、1a’’、1a’’’)のスキン(3a、3a’、3a’’、3a’’’)に連結されていることを特徴とする、胴体部分。
【請求項10】
請求項9に記載の胴体部分を含むことを特徴とする、航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12a−13】
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【公表番号】特表2012−531341(P2012−531341A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516817(P2012−516817)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000489
【国際公開番号】WO2011/001050
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(509347273)エアバス オペラシオン ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ (33)