説明

能動型網膜インプラント

本発明は、網膜の細胞へ刺激信号を送出する刺激素子(17)のアレイ(16)を有し、この刺激素子(17)が放射線送出素子として設計されていることを特徴とする、眼球内へ埋め込むための能動型網膜インプラント(10)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網膜の細胞へ刺激信号を送出する刺激素子のアレイを有する、眼球内へ埋め込むための能動型網膜インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
このような網膜インプラントは、例えば国際公開第2005/000395(A1)号パンフレットにより開示されている。
【0003】
該公知の網膜インプラントは、網膜変性による失明に対処するために使用される。基本的概念としては、超小型の電子刺激チップを患者の眼内へ埋め込み、失われた視力の代わりに神経細胞の電気的興奮を利用するものである。
【0004】
この種の人工網膜を設計する上で、2つの異なるアプローチが考えられる。
【0005】
冒頭で述べた国際公開第2005/000395(A1)号パンフレット、および例えば欧州特許出願公開第0460320(A2)号明細書に記載されている網膜下のアプローチでは、外網膜と網膜の色素上皮との間に存在する網膜下スペースに刺激チップが埋め込まれ、この刺激チップに組み込まれたフォトダイオードアレイに周囲光が入射すると、神経細胞に対する電気刺激信号に変換される。この刺激信号によって刺激電極アレイが作動し、それによって網膜の神経細胞は、フォトダイオードアレイが「見た」画像情報に相当する空間的に分解された電気刺激信号を刺激として受け取る。
【0006】
このようにして、該網膜インプラントは、変性した網膜に残った正常な神経細胞、すなわち水平細胞、双極細胞、アマクリン細胞、さらに場合によっては神経節細胞をも刺激する。フォトダイオードまたはより複雑なエレメントのアレイに入った視認画像は、そのプロセスにおいて、刺激チップ上で電気刺激パターンに変換される。この刺激パターンは、次いで神経細胞の電気刺激となり、これによって内網膜の神経節細胞へ伝達され、そこから視神経によって視覚野へと導かれる。言いかえれば、網膜下のアプローチは、視認画像に相当する神経インパルスを正常な方法で視覚野に供給するために、以前は存在したものの現在では変性または欠損している光受容体の、神経節細胞を備えた天然の回路を利用するものである。したがって、既知のインプラントは、失われた光受容体の代替物であり、光受容体と同様、画像情報を電気刺激パターンに変換する。
【0007】
これに対し、網膜上のアプローチでは、適切な方法で相互に通信し合う眼外装置と眼内装置から成る装置を利用する。眼外装置は、入射光すなわち画像情報を読み取るためのカメラと、それを刺激パターンとして眼内装置へ送信するための超小型電子回路とを含む。眼内装置は、内網膜の神経細胞に接する刺激電極アレイを含み、これによってそこに位置する神経節細胞を電気的に直接刺激する。
【0008】
多くの刊行物により、このようなインプラントで必要とされる、刺激電極から接触している細胞への電気刺激信号の送信には、特別な注意が必要であることが開示されている。これは、刺激電極と接触している組織との間の結合が容量性を有するためであり、よって電気刺激に使用できるのは過渡信号のみである。この容量性結合は、眼内の電極と電解質との界面において、電極分極の結果として静電容量(ヘルムホルツの二重層)が形成されるという事実に基づくものである。こうした背景から、刺激信号はパルスとして送信される。
【0009】
したがって、冒頭で述べた国際公開第2005/000395号パンフレットによる網膜下インプラントでは、入射光は、約500μsのパルス長と好ましくは50msのパルス間隔とを有する電圧パルスに変換され、結果として繰り返し周波数は20Hzとなるが、これは、ちらつきのない視覚を得るのに十分であることが判明している。また、該パルス間隔は、電極の分極を完全に元に戻すためにも十分である。
【0010】
国際公開第2007/128404(A1)号パンフレットでは、電気刺激信号のパルス長および繰り返し周波数を適切に選択することで、いかにして知覚をさらに改善できるかという問題が取り上げられている。そこでは、網膜下インプラントを埋め込んで実施した実験の結果を出発点として、多数の刺激電極を少なくとも2つの刺激電極グループにさらに分割することによって、各グループを時間とともに順次作動させ、刺激信号を送出させることが提案されている。
【0011】
したがって、見えた画像がそのまま高い繰り返し周波数で刺激電極上に映し出されるわけではなく、少なくとも2つのいわゆる部分画像に分割され、低い繰り返し周波数で交互に刺激電極に伝送される。
【0012】
例えば、それぞれの繰り返し周波数が5Hzである4つの部分画像が、4分割した刺激電極それぞれから刺激信号として出力される場合、刺激信号すなわちパルスとしての新しい(部分)画像が、それぞれ20Hzの部分画像周波数で刺激電極から網膜の細胞へと出力される。
【0013】
これによって空間分解能がわずかに低下するおそれはあるが、ちらつきのない視覚を得るため生理的に必要とされる20Hzの画像繰り返し周波数は達成される。
【0014】
刺激電極の数および局所的「密度」にもよるが、結果として所望の空間分解能が達成されるのであれば、このプロセスにおいてより多くの部分画像を使用することも可能である。より多くの部分画像を使用することにより、個々の部分画像の繰り返し周波数をさらに低くすることができる。この場合も、刺激パルスパターンとしての新しい部分画像はやはり50ms毎に、すなわち画像繰り返し周波数が20Hzで出力される。
【0015】
既知の網膜インプラントのさらなる問題点は、刺激チップにおけるエネルギー供給である。
【0016】
すなわち、網膜下インプラントにおいても、電気刺激信号を生成するためのエネルギーを有効入射光自体から得ることはできず、補足的な外部エネルギーが必要とされる。この外部エネルギーは、補助的な不可視光を眼内に照射するか、たとえばコイル等を用いて外部から伝送によって供給するか、またはワイヤーを用いて眼内に供給する。
【0017】
国際公開第2005/000395(A1)号パンフレットにより公知であるインプラントでは、赤外光の照射または誘導伝送される赤外エネルギーによって電気エネルギーをワイヤレスで供給しており、インプラントを制御するための情報を、この外部から供給される外部エネルギーに含ませてもよい。
【0018】
しかしながら、ヒトに応用するための十分な質を備えたワイヤレス網膜インプラントは、現時点ではまだ利用可能となっていない。そのため、現在のところ、必要な外部エネルギーがワイヤーを介して供給されるものとして、網膜上インプラントに加えて網膜下インプラントも使用されている。
【0019】
国際公開第2007/121901(A1)号パンフレットには、例えば、外部エネルギーおよび制御信号が眼球内に埋め込まれた刺激チップまでワイヤーによって導かれる網膜下網膜インプラントが記載されている。ここでワイヤーは、インプラントに力が加わることを避けるため、眼球の鞏膜に固定されている。
【0020】
インプラントでは一般にDC電圧駆動型の集積回路が利用可能である一方、インプラント自体に利用可能なスペースがほとんどないため、公知のインプラントのほとんどにおいて、DC電圧は直接供給されている。すなわち、AC電圧を供給する場合、インプラント上に必要となる整流器が、特に必要となる平滑コンデンサのためにあまりにも多くのスペースを要するため、技術的に都合のよい方法でこれを集積回路に実装することができなかった。
【0021】
しかしながら、ワイヤーによるDC電圧供給は、長期的にはワイヤーを取り巻く組織における電解腐食という経過をたどるため、インプラントに外部エネルギーを供給するこの方法もまた、満足できるものではない。
【0022】
したがって、国際公開第2008/037362(A2)号パンフレットでは、時間平均を取れば組織重量に対してDC電圧成分が少なくともほとんど存在しないような、実質的に方形のAC電圧を少なくとも1つインプラントに供給することが提案されている。このプロセスにおいて、電位レベルは、時間平均を取れば供給電圧にDC電圧成分が少なくともほとんど存在しないように選択することができる。これにより、少なくとも大部分において、厄介な電解腐食を避けることができる。
【0023】
網膜上の、および特に網膜下の網膜インプラントにおける実質的な技術的課題を解決することを目的とした上記のような有望なアプローチがあるにもかかわらず、現段階で利用可能な網膜インプラントは、いまだ患者を包括的かつ満足に治療するために必要な要件すべてを満たすものとはなっていない。
【0024】
さらに、網膜上のアプローチおよび/または網膜下のアプローチが、網膜色素変性や加齢黄斑変性などに見られる天然の光受容体を喪失した結果として起こった視覚障害に苦しむ患者すべてにふさわしいかどうかについては、今後の調査を待たなければならない。
【0025】
米国特許出願公開第5836996(A)号明細書には、入射した周囲光を電気信号に変換する第1層のフォトダイオードを使用した、異なる網膜インプラントのアプローチが開示されている。この電気信号は、第2層のフォトダイオードで受信される光学信号を送出する発光素子を制御する。この第2のフォトダイオードは、光学信号を網膜の細胞を刺激するために使用される電気刺激信号に変換する。
【0026】
これによって、電気刺激信号のレベルを網膜に損傷を与えない程度に抑えることを保証する光減衰器が提供される。また、電気刺激信号を網膜細胞に対して直接送出する1層のフォトダイオードのみを使用することも開示されている。
【0027】
これまでに説明した型の網膜インプラントに代わるものとして、天然の光受容体の喪失に苦しむ患者の遺伝子治療が最近拡大している。このアプローチでは、遺伝子工学的方法を使用して、盲目のあるいは視覚障害のある人々に残された神経細胞へ光受容性細胞質チャネルが導入され、光の照射により神経細胞の電気的活動が調節されて、光覚を導くようになる。
【0028】
このアプローチは複数の科学グループからの報告に基づくものであり、それらの報告では、細菌中に通常見られる種々のロドプシン誘導体を使用し、光の照射によって神経細胞の細胞膜中にあるイオンチャネルの開確率を制御している。このように修飾を加えた膜貫通性イオンチャネルは、たとえば神経節細胞や双極細胞等、網膜の種々の細胞型に導入することができ、該細胞内で、電気的活動を調節することによって視覚中枢における光覚を導く。
【0029】
このとき、分光感度の異なるロドプシン誘導体もまたチャネル作製のために使用され、遺伝子組み換え技術によってオン双極細胞またはオフ双極細胞へ導入された該誘導体は、異なるスペクトル光による刺激の結果、明るさをコードするオン双極細胞と暗さをコードするオフ双極細胞を別々に作動させることができる。
【0030】
しかしながら、このようなロドプシンで制御されるチャネルを備えた神経細胞の電気的活動を調節する目的で光を利用する際に必要とされる光の強度は、天然の光受容体(すなわち杆状体および錐状体)の活性化に必要な光の強度と比べて桁違いに大きい。(Lagaliらによる“Light−activated channels targeted to ON bipolar cells restore visual function in retinal degeneration”,Nature Neuroscience, volume 11, number 6, June 2008, 667−675、および該文献に記載のさらなる参考文献を参照のこと。)
【0031】
Lagaliらの報告によれば、このように遺伝的にコードされた神経調節物質を使用した場合、オン双極細胞に少なくとも1015光子cm−2−1の強度の光が当たれば、光受容体が存在せずとも網膜上のオン経路において光覚が認められた。ここで、500nmにおける2.5×1015光子cm−2−1がおよそ1mWcm−2に相当することに注目されたい。
【0032】
神経節細胞についても同等の値が得られた。これに対し、杆状体および錐状体で必要とされる最小強度は、それぞれわずか10光子cm−2−1および1010光子cm−2−1である。
【0033】
ロドプシンで制御されるチャネルの光感受性を3桁増やすことは可能と思われるが、杆状体や錐状体ほどの感受性や、それに近い感受性は、いかなる状況においても達成することはできない。なぜなら、ロドプシンによって光感受性を付与された網膜の他の細胞は、杆状体や錐状体の有する特別な増幅機構を欠いているからである。
【0034】
こうした背景の下、本願発明者らは、通常の昼光では、光感受性を付与された神経細胞を空間的に分解された光パターンで刺激することによって相応する光覚を視覚中枢にもたらすには不十分であることを認識した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
上記に鑑み、本発明の基をなす目的は、これらの観察結果を考慮し、従来技術の短所を回避あるいは縮小する網膜インプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明によれば、この目的は、冒頭で述べた能動型網膜インプラントの場合、網膜の細胞を光学的に直接刺激するための光学的刺激信号を送出する放射線送出素子として刺激素子が設計されることにより達成される。
【0037】
このインプラントは、Lagaliらによって報告(上記引用箇所)されているように、たとえばチャネルロドプシン−2の発現のための(ウイルス)ベクターの導入等によって、網膜の神経細胞に光受容性チャネルをあらかじめ付与されている患者に対して提供されるものである。
【0038】
このような患者において、該新規なインプラントは網膜上または網膜下に挿入され、該インプラントの直接近傍に存在する光感受性を付与された細胞に対し、いわば現場で、空間的に分解された画像情報を以て、基本的に「光学的な方法」で、光学的刺激を与える。
【0039】
Lagaliらの刊行物を出発点とすれば、光感受性を付与された神経細胞での光放射の吸収が通常の視覚過程と比較して少ないことから、まずは眼球外で使用する暗視装置に似た装置が提供されるだろう。該暗視装置とは、入射光パターンを増幅して十分な明るさの光パターンを形成し、次いでそれを、水晶体を介した結像という自然の手段によって眼底の細胞集団上に描画するものである。この外部装置の増幅力は、ほぼ任意に引き上げられるよう設計できる可能性がある。
【0040】
しかしながら本発明者らは、先の認識に基づき、外付け「光増幅器」の使用によって本発明の新規な解決法では生じることのない根本的な短所が生じることから、その使用を的確に回避した。
【0041】
光感受性を付与された神経細胞を外部から刺激する際に要する光エネルギーは非常に高いため、外付けの光増幅器の使用は、光毒性反応による直接的な、または熱の発生による間接的な眼球損傷が起こる恐れがあるという短所を本質的に伴う。
【0042】
本発明者らは、眼球上の光学条件、特に立体角の制限による損失により、外付けの放射線送出素子アレイ、たとえばLEDフィールドから送出される放射線では、その0.02%すら網膜に到達しないことを確認した。
【0043】
網膜の可視スペクトル許容放射線照度が最大200mW/cmであり、被照射面が3mm×3mmであるとすれば、放射電力としては18mWに相当し、LEDアレイは120Wという放射電力を出さなければならない。技術的な観点からは可能に思われるが、この方法は、眼球、特に場合によっては残っている最後の光受容体に対し、予測できない損傷を与える危険性を伴う。さらに、このような装置は、サイズおよびエネルギー消費の点から、使用が制限される。
【0044】
これに対し、埋め込み型LEDアレイは、部分空間に照射された個々のLED光の全パワーを使用して網膜に光を当てる。したがって、「光学的」な損失はない。
【0045】
しかしながら、電気から光への現場変換において損失があり、これが網膜に対する熱負荷の一因となる。この損失は、利用する技術や送出される放射線の波長によって異なる。この損失は90〜95%になることもあるが、現在利用可能な高効率LEDやOLEDにおいては、わずか50%となることもある。
【0046】
網膜の許容最大熱負荷が200mW/cmであるとすれば、照射面が3mm×3mmであるLEDアレイにおける許容電力はせいぜい1〜2mWである。適切な熱伝導面によって眼球内で熱出力の消散が配分されるのであれば、この値は大幅に増加させることができる。
【0047】
光パワーが1mWである3mm×3mmの照射面は、500nmではおよそ27×1015光子cm−2−1に相当する。Lagaliらの報告によれば、光受容体の非存在下で、修飾された神経細胞によって網膜のオン経路に光覚が記録されるのに少なくとも1015光子cm−2−1という光強度が必要とされているので、この光強度は、そのおよそ27倍に当たる。これにより、大きな安全域が提供される。
【0048】
したがって、この新規なインプラントによれば、網膜や残存する光受容体に(さらなる)損傷を与える危険性も問題もなく、必要な光強度が得られる。
【0049】
したがって、この新規なインプラントは、外付けの光増幅器と比較して顕著な長所を提供しつつ、勝らずとも同程度の刺激を与えることができる。
【0050】
さらに、網膜下インプラントでは、網膜と密に接触する小さな照射面を提供でき、これによって、光感受性を付与された(以下本文中、「修飾された」とも言う)神経細胞における非線形の挙動、たとえば刺激閾値、が考慮される。この場合、国際公開第2007/128404(A1)号パンフレットに開示されている純粋な電気刺激で知られているように、時間オフセットされ重ね合わせられる部分画像を利用することも可能である。該文献については冒頭で述べたが、その開示内容は参照により本発明に含まれる。
【0051】
このような部分画像では、各画像の単位面積当たりの光強度をより高くすることができ、それによって網膜の許容最大熱負荷を超えることなく、修飾された個々の神経細胞は十分な光強度で刺激される。外付けの光増幅器の使用においては、これは不可能であった。
【0052】
この新規なインプラントのさらなる長所は、ヒトに対して実際に使用する際、残存する光受容体、場合によっては損傷を受けずに完全なまま残っている光受容体を損傷しないということである。これに対し、外付け光増幅器を使用する場合、照射光パワーが高いために、これらの残っている光受容体が損傷を受ける危険性があり、医学的観点、および特に倫理的観点から容認できない。
【0053】
また、以下で説明するが、この新規なインプラントが網膜に直接接触することによるさらなる長所が存在する。
【0054】
このようにして、発明の基をなす目的は完全に達成される。
【0055】
一実施形態によれば、好ましくは、入射周囲光を変換して放射線送出素子アレイを制御するための空間的に分解された電気信号とする画像受信機が提供される。
【0056】
したがって、この空間的に分解された電気信号は、該アレイを作動させるのに必要な画像情報を含んでおり、該アレイは画像受信機によって光学画像として「見えた」画像を再送出し、修飾された神経細胞を光学的に刺激する。
【0057】
ここで、画像受信機は、眼球外に配置される外付け画像受信機として設計することができる。
【0058】
ここで、既知の網膜上インプラントの場合と同様に外部で記録され、さらに処理された画像情報は、ワイヤーを介して、またはワイヤレスで、電気信号の形態でインプラントに送信される。該インプラントでは、これらの信号は場合によってはさらなる処理を受け、「内部画像」として放射線送出素子アレイによって再送出され、修飾された神経細胞を照射する。
【0059】
ここで、外付け画像受信機、電子処理装置および眼球への「データ送信」の設計詳細は、(場合によっては適切な改変を伴って)既知の網膜上のインプラントから取り入れることができる。
【0060】
あるいは、画像受信機を埋め込み可能な画像増幅器として設計することもでき、これは同様に眼球内へ埋め込まれる。
【0061】
したがって、この場合、画像受信機と「画像送信」アレイとが眼球内へ埋め込まれる。このような設計は一見したところ型破りに思われるが、照射光による眼球損傷の危険性を伴うことなく、驚くべきことに、外付け光増幅器の場合に見られる照射光による眼球損傷の危険性を伴うことなく、修飾された神経細胞を興奮させるために必要な放射エネルギーを提供することができる。
【0062】
しかしながら、この代替法は、さらなる大きな長所につながる。
【0063】
すなわち、眼球外に配置される光増幅器や画像受信機の場合、物体を捕捉する際に重要な機能を果たす眼球の動きは利用できない。したがって、眼位が異なっても、患者の頭部が動かない限り、患者は常に同じ画像を見ることになる。これは患者を混乱させ、また本発明者らの認識するところでは、インプラントの使用を減らすことにもなっている。眼球運動の検出および利用を意図した、いわゆる眼球追従制御の使用は、外付け画像受信機において既に提案されているが、このアプローチは非常に複雑であることが分かっている。また、十分な精度が得られるか否かに関して、利用可能な経験は未だ存在しない。
【0064】
しかしながら、画像受信機も眼球内へ埋め込むのであれば、患者は画像を見て物体を走査する際、自然の眼球運動および頭部の動きを従来通りに利用することができる。
【0065】
このとき、埋め込むフォトダイオードのアレイ、制御・処理用電子デバイスおよび眼球へのエネルギー伝達の設計詳細は、(場合によっては適切な改変を伴って)冒頭で述べた網膜下インプラントから取り入れることができ、この理由から、上述の知的財産権の開示は、参照により本願に含まれる。
【0066】
この場合、画像受信機および放射線送出素子のアレイは、別個の構成要素であることが好ましい。
【0067】
この場合、該構成要素は、放射線送出素子のアレイから放射される散乱光が画像受信機に直接入射してその場で電気に変換され、それによって正のフィードバックがもたらされる事態が起こらないように眼内に配置されることが有利である。この問題は、光増幅器や画像受信機が外付けである場合には生じない。
【0068】
したがって、画像受信機を埋め込んだ場合の散乱光問題は、たとえば画像受信機と画像送信機とを空間的に離れた別個の構成要素として埋め込むことによって解決できる。これによって、散乱光問題を見越した眼内における幾何学的配置が提供される。
【0069】
このとき、該2つの構成要素いずれもが好ましくは柔軟性を有する支持体上または支持体を介して配置されていることが好ましい。
【0070】
このとき、画像受信機は、たとえば網膜上に配置することができる。ここで、支持体を網膜の端で網膜下に導くことにより、画像送信機を画像受信機の下にまたは隣接するように配置することができる。
【0071】
一方、画像受信機および放射線送出素子のアレイが支持体上または支持体を介して互いに隣接して配置されることが好ましい。
【0072】
この場合、幾何学的な近接の結果として、画像送信機からの散乱光が画像受信機に直接到達し得ないことが有利であり、これによって散乱光問題は軽減される。
【0073】
好ましくはフィルムである支持体は、画像送信機と画像受信機とが互いに隣接するよう、網膜下腔に配置される。このとき、画像送信機と画像受信機は約10°離して配置される。患者はプリズム収差のような知覚を得ることになるが、これはプリズム眼鏡または簡単な斜視手術によって矯正できる。
【0074】
また、画像受信機と放射線送出素子のアレイが、一方が他方の上になるよう配置されることも好ましい。
【0075】
この場合、大きいほうのチップの上に小さいほうのチップを、たとえばフリップチップボンディング等により配置できる。ここでは、プリズム収差の問題は生じないか、生じたとしても先に述べた他の代替法で見られるほど顕著なものではない。なぜなら、2つの構成要素が上下に配置されているからである。
【0076】
このインプラントは、網膜下または網膜上に挿入できる。
【0077】
網膜上インプラントの場合には、画像受信機/フォトダイオードと電子デバイスとをシリコンチップの上面に配置し、画像送信機を含むたとえばGaAlAs等でできたさらなるチップを下面に配置できる。2つのチップは接触により相互に接続される。
【0078】
網膜を通り抜けた照射光はわずかながらも散乱光の一因となりうるが、この場合のさらなる長所は、その一部が自然の色素層に吸収されることである。
【0079】
これらの代替法において、画像送信器は光を発生させる技術(GaAs、InP、GaP)を、画像受信機は光を電気に変換してさらなる電子的処理を行う技術(Si)を最適に利用して、それぞれ別個のチップとして設計できることは、いずれの場合にも全体として有利である。
【0080】
一方、画像受信機と放射線送出素子のアレイとが1つのチップに組み込まれる形で配置されることも好ましい。
【0081】
たとえば、この組み込みは、高効率かつ安定な光源をシリコンに組み込んだ、いわゆるOLEDによって可能になる。VogelおよびAmelungによる“OLED on CMOS” Electronik 1/2009,54−58を参照のこと。
【0082】
この場合、この新規なチップは、2つのチップすなわち2つの構成要素からなるインプラントよりも容易に埋め込みができる点で有利であり、また画像送信機と画像受信機の関連するピクセル同士が互いに直接接触するよう隣接させてあるいは上下に配置することができるため、プリズム収差の問題も生じない。
【0083】
この実施形態では、該新規なインプラントは、2つの相反する機能自体を特に有利な方法で組み合わせている。カメラチップのように画像を記録し、同時に同じ場所で対応する画像を高輝度かつピクセル単位の高精度で再放出する。
【0084】
一般に、特に画像受信機と放射線送出素子のアレイとが異なる電磁スペクトル領域で作動する場合、放射線送出素子は可視スペクトル内および/または可視スペクトル外の電磁放射を行うことが好ましい。
【0085】
これによって「見えた画像」と「送出された画像」のスペクトルが分離され、上述の散乱光問題がさらに軽減される。
【0086】
このとき、画像受信機が可視スペクトル領域での電磁放射を、また放射線送出素子アレイが可視スペクトル領域外、好ましくは近赤外領域での電磁放射を行うことが特に好ましい。
【0087】
このとき、画像受信機が通常の周囲光の記録および処理を行う一方、画像送信機によって送出された画像が不可視であるため、患者の眼球が外からわかるような「光り方」をしない点で有利である。
【0088】
この場合、放射線送出素子は、発光ダイオード、たとえばGaAlAs系赤外発光LEDまたは有機系LED(OLED)であることが好ましい。
【0089】
一般に、画像受信機が光学フィルターを備え、該フィルターが放射線送出素子アレイから送出された電磁放射のスペクトルを遮断することが、さらに好ましい。
【0090】
この手段によっても散乱光問題は軽減されるが、それは、見えた画像と送出された画像とのスペクトル分離がさらに進むからである。
【0091】
さらにまた、放射線送出素子アレイ内の素子が互いに間隔をあけて配置され、異なる集団に属する神経細胞が別々に反応することが好ましい。
【0092】
ここで、アレイは、寸法がたとえば3mm×3mmであり、マトリックス状に配置された、たとえば40×40または100×100のLEDを支持する。
【0093】
別の実施形態によれば、画像受信機および放射線送出素子のアレイは時間オフセットで作動する。
【0094】
この手段によっても、画像の記録が画像の送出から時間的に分離されるという点で、散乱光問題が軽減される。この分離は、ピクセル、列、または画像単位で実施できる。まず、光学画像の記録および処理が行われ、次いで画像受信機が「受信停止」に切り替えられ、処理された画像が画像送信機により送出される。
【0095】
さらにまた、放射線送出素子のアレイは、異なるスペクトル放射を行う素子を含むことが好ましい。
【0096】
この場合、それぞれ分光感度が異なるロドプシンによって修飾された直接に隣接する細胞集団を別々に作動させることができ、これによって見えた画像の分解能および/またはコントラストを上げられることが有利である。
【0097】
さらに、放射線送出素子アレイの素子が規定された幾何学的配置で提供されることが好ましい。
【0098】
この配置は、最適化された認識を保証する種々のパターンを生成できるように、行と列を有するマトリックスの形態またはビームの形態であってもよい。
【0099】
一般に、素子は互いに、たとえば50nmずつ離れて配置されることが好ましい。
【0100】
上述したように、この新規なインプラントは、Lagaliらによって報告(上記引用箇所)されているように、たとえばチャネルロドプシン−2の発現のための(ウイルス)ベクターの導入等によって、網膜の神経細胞に光受容性チャネルを付与されている患者用に提供されるものである。当然、この新規な網膜インプラントと修飾された神経細胞とは、そのプロセスにおいて、特に分光感度に関して、互いに適合していなければならない。
【0101】
本発明によれば、修飾された神経細胞の特性を試験し改善するために、たとえばチャネルロドプシン−2発現用のベクター、場合によってはウイルスベクターの導入等によって光受容性チャネルを備えた、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体のための試験装置が提供される。該試験装置は、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体をその上で培養するための微小電極アレイ、可視スペクトル内および/または可視スペクトル外の電磁放射線を使用して、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体に対する空間分解型の電磁放射を行うための放射線送出素子アレイ、空間分解型の電磁放射を行うための放射線送出素子アレイを作動させるための駆動デバイス、ならびに放射線送出素子アレイによる照射を受けて、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体から微小電極に向けて送出される信号を検知し評価するための評価ユニットを備える。
【0102】
このような微小電極アレイは自体既知である。MEAと呼ばれ、たとえば独国、Aspenhaustrase 21,72770 ReutlingenのMultichannel Systems MCS GmbHなどから商業的に入手可能である。
【0103】
MEAは、たとえば、Naturwissenschaftliches und Medizinisches Institut Reutlingenの、独国特許出願公開第19529371(A1)号明細書、独国特許出願公開第19712309(A1)号明細書、欧州特許出願公開第1309856(A1)号明細書、および独国特許出願公開第19549731(A1)号明細書に開示されており、それぞれの開示内容は、参照により本願に含まれる。
【0104】
培養した拍動心筋細胞のQT間隔を測定するための、このようなMEAの使用は、たとえば国際公開第2004/067734号パンフレットに記載されており、その開示内容は、参照により本願に含まれる。
【0105】
MEA上で細胞の培養および操作を行うことが可能であり、評価ユニットによって、細胞から送出される電気信号を検出し評価することができる。本発明において、光受容性チャネルを備えた、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体は、このようなMEA上で培養され、そのプロセスにおいて、放射線送出素子アレイによって空間分解型の電磁放射による照射を受ける。
【0106】
このアレイは駆動デバイスによって電気的に作動させることができ、前記新規な網膜インプラントの放射線送出素子アレイも使用することができる。ここで、該新規な網膜インプラントの画像受信機も、駆動デバイスとして利用することができる。
【0107】
光受容性チャネルおよび/または放射線送出素子アレイの機能および/または効率の測定およびモニタリングは、場合によっては画像受信機との連携により、測定された信号に基づいて実施できる。
【0108】
このように、該新規な試験装置により、生体外でかつ動物実験を行うことなく、細胞の修飾および/または該新規な網膜インプラントまたはその必須構成要素の最適化を行うことができる。
【0109】
ここで、放射線送出素子アレイは、細胞、細胞培養物および/または器官型細胞凝集体の上方に配置することも、また微小電極アレイに組み込むこともできる。
【0110】
上記に鑑み、本発明はさらに、たとえばチャネルロドプシン−2発現用のベクター、場合によってはウイルスベクターの導入等によって光受容性チャネルを備えた、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体がその上で培養される、微小電極アレイ、可視スペクトル内および/または可視スペクトル外の電磁放射線を使用して、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体に対する空間分解型の電磁放射を行う請求項1〜18のいずれかに記載の網膜インプラント、ならびに該網膜インプラントが照射を受けた際、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体から微小電極に向けて送出される信号を検知し評価するための評価ユニット、を備えた網膜インプラント用試験装置に関する。
【0111】
上記に鑑み、本発明のさらなる目的は、治療の必要な患者を治療する方法に関し、該方法は、盲目のあるいは視覚障害のある人々の少なくとも片眼の神経細胞へ光受容性チャネルを導入し、光の照射により神経細胞の電気的活動を調節できるようにする工程、およびそのような処置を施した眼球内に前記新規な網膜インプラントを埋め込む工程を含む。
【0112】
この方法において、分光感度の異なるロドプシンまたはロドプシン誘導体を使用して、光で作動するチャネルを遺伝子組み換え技術によってオン双極細胞およびオフ双極細胞内に作製することが好ましく、たとえばチャネルロドプシン−2の発現のための(ウイルス)ベクターの導入等によって網膜の神経細胞が光受容性チャネルを備えることが好ましい。
【0113】
神経細胞のそのような修飾を達成するために、Lagaliらによって開示(上記引用箇所)された技術を使用することができる。
【0114】
さらなる利点が、本明細書および添付の図面から導かれる。
【0115】
上述した特徴および以下で説明する特徴が、個々に挙げた組合せに限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく他の組合せまたは単独で使用できることは理解されるであろう。
【0116】
本発明の一実施形態を図面によって例示し、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の新規な網膜インプラントの第1の実施形態の略図であるが、図の縮尺は正確ではない。
【図2】本発明の新規な網膜インプラントの第2の実施形態の略図であるが、図の縮尺は正確ではない。
【図3】図2の網膜インプラントが挿入されたヒトの眼球の略図であるが、同様に図の縮尺は正確ではない。
【図4】本発明の新規な網膜インプラントの第3の実施形態の略図であるが、図の縮尺は正確ではない。
【図5】図4の網膜インプラントが挿入されたヒトの眼球の略図であるが、同様に図の縮尺は正確ではない。
【図6】画像受信機および刺激素子のアレイの配置における、さらなる2つの実施形態を示す。
【図7】光受容性チャネルを備えた細胞、細胞培養物および/または器官型細胞凝集体用の試験装置の第1の実施形態を示す。
【図8】光受容性チャネルを備えた細胞、細胞培養物および/または器官型細胞凝集体用の試験装置の第2の実施形態を示す。
【図9】本発明の新規な網膜インプラント用の試験装置の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0118】
図1は、能動型網膜インプラント10の第1の実施形態を概略的に示したものであるが、寸法は縮尺に忠実ではない。
【0119】
ワイヤー11は、網膜インプラント10を供給ユニット12および画像受信機13に接続するために使用され、該画像受信機13上には、たとえばフォトダイオードとして設計される画素セル15のアレイ14が配置されている。放射線送出刺激素子17のアレイ16は網膜インプラント10の上に配置され、光学刺激信号を出力する。たとえば、刺激素子17は発光ダイオード(LED)として設計されている。
【0120】
供給ユニット12は網膜インプラント10に電気エネルギーおよび場合によっては制御信号を供給するが、該信号は網膜インプラントに種々の機能を設定したり影響を与えたりするために使用できる。
【0121】
画像受信機13は、その画素セル14を使用して入射周囲光を空間的に分解された電気信号に変換するが、該信号は網膜インプラント10へと導かれ、そこで放射線送出刺激素子17により光学信号に再変換され、網膜に存在する修飾された細胞を光学的に直接刺激するために使用される。
【0122】
したがって、網膜インプラント10は、Lagaliらによって報告(上記引用箇所)されているように、たとえばチャネルロドプシン−2の発現のための(ウイルス)ベクターの導入等によって、網膜の神経細胞に光受容性チャネルをあらかじめ付与されている患者に対して提供される。
【0123】
このような患者において、該網膜インプラント10は網膜上または網膜下に挿入され、該インプラントの直接近傍に存在する光感受性を付与された細胞に対し、いわば現場で、空間的に分解された画像情報を以て、基本的に「光学的な方法」で刺激を与える。
【0124】
固定クリップ18は、インプラント10を埋め込む対象の人の眼球の鞏膜にワイヤー11を取り付けるために、ワイヤー11上に配置されている。これによって、網膜インプラント10に対して、機械的負荷および/またはその変位につながるような力が加わることを回避できる。
【0125】
図1の網膜インプラント10の場合、画像受信機13は、眼球外に、たとえば患者がかけた眼鏡に配置される。該網膜インプラント10は、たとえば網膜上に埋め込まれるが、様々な刊行物から知られているように、エネルギー、制御信号および画像情報をワイヤレスで送信することもできる。
【0126】
しかしながら、好ましい実施形態では、画像受信機13は埋め込み可能に設計されており、網膜インプラント10自体と同様、眼球内に埋め込まれる。この場合の配置を図2に示す。ここで画像受信機13は網膜インプラント10に隣接して配置され、両者はワイヤー19によって接続されている。
【0127】
この配置の結果、外付け光増幅器の場合に見られる照射光による眼球損傷の危険性を伴うことなく、修飾された神経細胞を興奮させるために必要な放射エネルギーを提供することができる。これは、通常の周囲光でも、画像受信機13の画素セルによって空間的に分解された画像信号に十分に変換されることによる。次いで、該画像信号が放射線送出(刺激)素子17によって光学画像信号に再変換されるが、ここで必要とされる電気エネルギーは、制御ユニットからワイヤー11によって、またはたとえば誘導等のワイヤレスな手段によって供給される。
【0128】
この場合さらに、画像受信機も眼球内へ埋め込むため、患者は画像を見て物体を走査する際、自然の眼球運動および頭部の動きを従来通りに利用することができる。
【0129】
埋め込むフォトダイオードのアレイ、制御・処理用電子デバイスおよび眼球へのエネルギー伝達の設計詳細は、(場合によっては適切な改変を伴って)冒頭で述べた網膜下インプラントから取り入れることができる。
【0130】
図2の網膜インプラント10および画像受信機13は、ヒトの眼球20内への埋め込みを目的として設計されたものであるが、図3ではこれを非常に簡略化して示している。単純化のために、水晶体21、ならびにインプラント10および画像受信機13が埋め込まれた網膜22のみを示す。
【0131】
このプロセスにおいて、網膜インプラント10および画像受信機13は、色素上皮と光受容体層との間に形成されたいわゆる網膜下スペースに挿入されることが好ましい。光受容体層が変性または喪失している場合、該網膜下スペースは、色素上皮と、双極細胞および水平細胞の層との間に形成される。ここで、網膜インプラント10は、図2に示した刺激素子17から網膜22の細胞上に光学刺激信号の放出ができるように配置される。
【0132】
矢印23で示され、その光路が24で見られる可視光は、水晶体21を通って画像受信機13に導かれる。ここで可視光23は電気信号に変換され、これが網膜インプラント10へと導かれ、ここで光学的刺激信号に変換される。
【0133】
図2に示すように、このプロセスにおいて、網膜インプラント10と画像受信機13とは互いに隣接して配置することができ、両者を、たとえばそれぞれ異なる技術を利用した別個のユニットとして設計することができる。この場合、2つのインプラント10および13は、同じ1枚のフィルム上に互いに隣接するようあるいは上下に位置するよう配置することができる。
【0134】
散乱光によるフィードバックを避けるために、画像受信機13は、網膜インプラント10によって放射された光が画像受信機13上にフィードバックされないような幾何学的配置にすることができる。またこの目的のために、画像受信機13が可視スペクトル領域の光で作動する一方、放射線送出素子17は可視スペクトル外、好ましくは近赤外領域で放射線送出を行うよう配置できる。
【0135】
あるいは、またはさらに、画像受信機13が図3に示す光学フィルター25を備えていてもよく、該フィルターは網膜インプラント10から送出された光学的放射線を遮断する。これによっても散乱光問題は軽減されるが、それは、見えた画像と送出された画像とのスペクトル分離がさらに進むからである。
【0136】
このプロセスにおいて、画像受信機13および放射線送出素子17のアレイ16は、インプラント10および13が時間オフセットで作動するように、駆動することができる。
【0137】
この手段によっても、画像の記録が画像の送出から時間的に分離されるという点で、散乱光問題は軽減される。この分離は、ピクセル、列、または画像単位で実施できる。まず、光学画像の記録および処理が行われ、次いで画像受信機が「受信停止」に切り替えられ、処理された画像が画像送信機により送出される。
【0138】
この場合、放射線送出素子17のアレイ16は、異なるスペクトル放射を行う素子を含むことができる。したがって、それぞれ分光感度が異なるロドプシンによって修飾された直接に隣接する細胞集団を別々に作動させることができ、これによって見えた画像の分解能および/またはコントラストを上げることができる。
【0139】
ここで素子17は、互いから50nmずつ間隔をおいて、規定された幾何学的配置で提供される。図2ではこの素子間の距離をaで示す。
【0140】
この配置は、最適化された認識を保証する種々のパターンを生成できるように、図1および2に見られるような行と列を有するマトリックスの形態またはビームの形態であってもよい。
【0141】
図3はさらに、ワイヤー11が眼球の側方から外部へ導かれ、固定クリップ18によって鞏膜の外側に固定され、外部の供給ユニット12に接続されている様子を示す。
【0142】
供給ユニット12は、眼球外で、たとえば患者の頭蓋骨に固定される(これ以上の詳細は示さない)。供給ユニット12は、インプラント10および画像受信機13へ電気エネルギーを送るが、同時にインプラントの機能に影響を及ぼし得る制御信号を、たとえば国際公開第2005/000395(A1)号パンフレットに記載の方法で送信する。該文献については冒頭で述べたが、その開示内容は参照により本願に含まれる。
【0143】
この場合、国際公開第2008/037362号パンフレットに記載されているように、該エネルギーは、時間平均を取れば組織重量との関連においてDC電圧成分がほとんど存在しないような実質的に方形のAC電圧を介して供給することができる。該文献については冒頭で述べたが、その開示内容もまた参照により本願の内容となる。
【0144】
図1、図2、および図3において、各寸法、特に網膜インプラント10、画像受信機13、固定クリップ18、および外部供給ユニット12の寸法が原寸に比例したものではなく、互いの比率も正確なものではないことに言及しておくべきであろう。
【0145】
また、画像受信機13および網膜インプラント10は、図4に概略的に示すように、チップ26に組み込むよう設計することもできる。たとえば、この組み込みは、高効率かつ安定な光源をシリコンに組み込んだ、いわゆるOLEDによって可能になる。VogelおよびAmelung(上記引用箇所)を参照のこと。
【0146】
チップ26は、2つのチップすなわち2つの構成要素からなるインプラントよりも容易に埋め込むことができ、また画像送信機と画像受信機の関連するピクセル同士が互いに直接接触するよう隣接させてあるいは上下に配置することができるため、プリズム収差の問題も生じない。
【0147】
この実施形態では、該新規なインプラントは、2つの相反する機能自体を特に有利な方法で組み合わせている。カメラチップのように画像を記録し、同時に同じ場所で対応する画像を高輝度かつピクセル単位の高精度で再放出する。
【0148】
チップ26はフィルム27を有し、該フィルム上にはまず入力段28が見られ、該入力段にはワイヤー11を介して外部からエネルギーが供給される。入力段28はユニット29に接続され、該ユニットはこの場合多数の画素セル17を有し、該画素セルは入射可視光を電気信号に変換するものであり、該電気信号は次いで各画素セル17の隣に示した放射線送出刺激素子15によって、光学的刺激パターンとして網膜の神経細胞へと送出される。
【0149】
出力段31は、画素セル17により生成した有用信号を処理し、それに対応する光学的刺激信号を生成する。該刺激信号は、次いで刺激素子15へと送り返される。
【0150】
これに関連して、図4がチップ26の論理設計を再現する単なる概略図であることに言及しておくべきであろう。個々の構成要素の実際の幾何学的配置に関しては、たとえば、各画素セル17がその直接近傍に出力段を有する場合がある。
【0151】
チップ26は、32で示す外部アースによって、該インプラントが挿入されている組織に接続されている。さらに、内部の電気的アース33も示されているが、これは本実施形態においては外部アース32に接続されていない。
【0152】
これまで説明してきたワイヤー接続によるエネルギー供給の代わりに、チップ26へのエネルギー供給は、図5に概略的に示すように、赤外線を利用してもよい。
【0153】
チップ26は患者の眼球20内に埋め込まれるが、その水晶体21および網膜22の概略を図3に示す。可視光23は、水晶体21を通過した後、光学上よく知られた法則に従って眼球内へ入る。可視光23の光路を、参照符号24により概略的に示す。
【0154】
参照符号34は、3つの典型的な赤外レーザーダイオードを示したものである。これらは、眼球20内へ目標を定めて赤外放射線の形態でエネルギーを送るために使用することができる。赤外線は、参照符号35で示している。3つの赤外レーザーダイオード34を用いた図は、異なる光路を示すために、この場合の典型的な例として選択したものである。
【0155】
ここに示した実施形態では、インプラント全体には、可視光23の機能として網膜細胞を光学的に刺激するために使用される実際の刺激チップ26、および刺激チップからオフセットされている放射線受信機37が含まれる。刺激チップ26と放射線受信機37とは、電気的に相互に接続されており、この図では線38がその役目を果たしている。放射線受信機37はエネルギー変換器(光起電力素子)として作動し、赤外レーザーダイオード34を用いて照射される赤外放射線35を吸収し、その機能として刺激チップ26にエネルギーを供給する。
【0156】
刺激チップ26と放射線受信機37との空間的分離、および該放射線受信機へと目標を定めた赤外放射線の照射により、既に刺激チップ26と放射線受信機37との顕著な分離が達成されている。このような分離は、赤外放射の結果として刺激チップ26に存在する画素セル15の過熱を防止する上で望ましい。
【0157】
さらに、赤外放射線35が眼球20内へ照射される際、空間分離がなされていてもなお刺激チップ26に到達する散乱光成分が存在する。赤外放射線35が水晶体21から出る際の屈折の結果生じる散乱光39は、2つの顕著な散乱源がある場合の典型例として示している。さらなる散乱光41は、放射線受信機37の表面における反射を示す。さらに、眼球20の硝子体内で反射が繰り返し生じる場合があり、刺激チップ26は、様々な原因による様々な方向からの赤外散乱放射線にさらされる。したがって、国際公開第2004/067088(A1)号パンフレットに詳細に記載されているように、刺激チップ26は、入射可視光23からの不可視散乱放射線(赤外放射線)35の分離を可能にするような分離手段を備えている。該文献の開示内容も、参照により本願の内容となる。
【0158】
また図6は、画像受信機13と刺激素子のアレイ16を有する網膜インプラント10との配置における、さらなる2つの実施形態を示す。
【0159】
図6の上図では、2つのインプラント10および13は柔軟性フィルム27によって相互に接続されている。この場合、画像受信機は網膜上に、またアレイ16は網膜下に配置される。
【0160】
図6の下図では、画像受信機13が、それよりも大きなインプラント10の上に配置されているが、逆にインプラント10が、それよりも大きな画像受信機13の上に配置されていてもよい。
【0161】
いずれの場合も、インプラント10および13には、供給ユニット12からエネルギーと制御信号とが供給されるが、図5のような独立した放射線受信機37を備えることもできる。
【0162】
図7は、たとえばチャネルロドプシン−2発現用のベクター、場合によってはウイルスベクターの導入等によって光受容性チャネルを備えた、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体51のための試験装置50を示す。
【0163】
該試験装置50は、微小電極53のアレイ52を含み、該アレイ上で、細胞、細胞培養物および/または器官型細胞凝集体51の培養が行われる。
【0164】
放射線送出素子55のアレイ54は、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体51の上方に配置される。該アレイは、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体51に接していてもよく、それらに対し、可視スペクトル内および/または可視スペクトル外電磁放射線の空間分解型照射を行うことができる。
【0165】
さらに、多芯線57を介して、空間分解型電磁放射線を送出するための放射線送出素子55のアレイ54を作動させる駆動デバイス56が提供される。このアレイ54は上述したアレイ16と同様に設計し作動させることができ、この場合、該駆動デバイスを、上述の画像受信機13と同様に設計し作動させることができる。
【0166】
評価ユニット58は、多芯線59を介してアレイ52に接続され、アレイ54による照射を受けた細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体51から微小電極53へ送出される信号の検出および評価を行う。
【0167】
図8において、放射線送出素子55を微小電極53のアレイ52に組み込むことによって、放射依存の励磁と電気信号の送出とを局所的に行うことができる。
【0168】
これによって、光受容性チャネルおよび/またはアレイ54の機能を、生体外で試験し最適化することが可能となる。
【0169】
したがって、上記の図6と同様、図9は本発明の新規な網膜インプラント10用の試験装置を示す。
【0170】
インプラント10による、可視スペクトル内および/または可視スペクトル外電磁放射線の空間分解型照射を受ける細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体51は、図7および図8で開示される微小電極のアレイ52上で培養されるが、ここでアレイ16は画像受信機13によって駆動される。
【0171】
評価ユニット58は、画像受信機13の照射およびそれに対応するアレイ16から微小電極への電磁放射線送出の間、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体51から送出される信号の検出および評価を行うために使用される。
【0172】
このように、網膜インプラント10は、対応して修飾された細胞とともに、生体外で試験し最適化することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
網膜(22)の細胞へ刺激信号を送出する刺激素子(17)のアレイ(16)を有し、この刺激素子(17)が放射線送出素子として設計されていることを特徴とする、眼球(20)内へ埋め込むための能動型網膜インプラント。
【請求項2】
入射周囲光(23)を空間的に分解された電気信号へと変換する画像受信機(13)を有し、該電気信号が放射線送出素子(17)のアレイ(16)を制御することを特徴とする、請求項1に記載の網膜インプラント。
【請求項3】
画像受信機(13)が眼球(20)外に配置される外付け画像受信機(13)として設計されていることを特徴とする、請求項2に記載の網膜インプラント。
【請求項4】
画像受信機(13)が埋め込み可能な画像増幅器(13)として設計されていることを特徴とする、請求項2に記載の網膜インプラント。
【請求項5】
画像受信機(13)と放射線送出素子(17)のアレイ(16)とが互いから分離された構成要素であることを特徴とする、請求項4に記載の網膜インプラント。
【請求項6】
画像受信機(13)と放射線送出素子(17)のアレイ(16)とが好ましくは柔軟性を有する支持体(27)上または該支持体を介して配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の網膜インプラント。
【請求項7】
画像受信機(13)と放射線送出素子(17)のアレイ(16)とが支持体(27)上または該支持体を介して互いに隣接して配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の網膜インプラント。
【請求項8】
画像受信機(13)と放射線送出素子(17)のアレイ(16)とが一方が他方の上になるよう配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の網膜インプラント。
【請求項9】
画像受信機(13)と放射線送出素子(17)のアレイ(16)とが1つのチップ(26)に組み込まれる形で配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の網膜インプラント。
【請求項10】
放射線送出素子(17)が可視スペクトル内および/または可視スペクトル外の電磁放射線を送出することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項11】
画像受信機(13)と放射線送出素子(17)のアレイ(16)とが異なる電磁スペクトル領域で作動することを特徴とする、請求項2〜10のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項12】
画像受信機(13)が可視スペクトル領域での電磁放射を、また放射線送出素子(17)のアレイ(16)が可視スペクトル領域外、好ましくは近赤外領域での電磁放射を行うことを特徴とする、請求項11に記載の網膜インプラント。
【請求項13】
放射線送出素子(17)が発光ダイオード、好ましくは有機発光ダイオード(OLED)であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項14】
画像受信機(13)が光学フィルター(25)を備え、該フィルターによって放射線送出素子(17)のアレイ(16)から送出された電磁放射線スペクトルが遮断されることを特徴とする、請求項2〜13のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項15】
画像受信機(13)と放射線送出素子(17)のアレイ(16)とが時間オフセットで作動することを特徴とする、請求項2〜14のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項16】
放射線送出素子(17)のアレイ(16)が異なるスペクトル放射を行う素子(17)を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項17】
放射線送出素子(17)のアレイ(16)において素子(17)が規定された幾何学的配置で提供されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項18】
放射線送出素子(17)のアレイ(16)において素子(17)が互いに間隔をあけて配置され、異なる集団に属する神経細胞が別々に反応することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の網膜インプラント。
【請求項19】
たとえばチャネルロドプシン−2発現用のベクター、場合によってはウイルスベクターの導入等によって光受容性チャネルを備えた細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)のための試験装置であって、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)をその上で培養するための微小電極(53)のアレイ(52)、可視スペクトル内および/または可視スペクトル外の電磁放射線を使用して、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)に対する空間分解型の電磁放射を行うための放射線送出素子(55)のアレイ(54)、空間分解型の電磁放射線を送出するための放射線送出素子(55)のアレイ(54)を作動させるための駆動デバイス(56)、ならびに放射線送出素子(55)のアレイ(54)による照射を受けて、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)から微小電極(53)に向けて送出される信号を検知し評価するための評価ユニット(58)を含む試験装置。
【請求項20】
放射線送出素子(55)のアレイ(54)が細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項19に記載の試験装置。
【請求項21】
放射線送出素子(55)のアレイが微小電極(53)のアレイ(52)に組み込まれていることを特徴とする、請求項19に記載の試験装置。
【請求項22】
放射線送出素子(55)のアレイ(54)が請求項1〜18のいずれか1項に記載のアレイ(16)であることを特徴とする、請求項19に記載の試験装置。
【請求項23】
駆動デバイス(56)が請求項1〜18のいずれか1項に記載の画像受信機(13)であることを特徴とする、請求項22に記載の試験装置。
【請求項24】
網膜インプラント(10)のための試験装置であって、たとえばチャネルロドプシン−2発現用のベクター、場合によってはウイルスベクターの導入等によって光受容性チャネルを備えた細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)をその上で培養するための微小電極(53)のアレイ(52)、可視スペクトル内および/または可視スペクトル外の電磁放射線を使用して、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)に対する空間分解型の電磁放射を行うための請求項1〜18のいずれか1項に記載の網膜インプラント(10)、ならびに網膜インプラント(10)が照射を受けた際に、細胞、細胞培養物、および/または器官型細胞凝集体(51)から微小電極(53)に向けて送出される信号を検知し評価するための評価ユニット(58)を含むことを特徴とする試験装置。
【請求項25】
治療の必要な患者を治療する方法であって、盲目のあるいは視覚障害のある人々の少なくとも片眼の神経細胞へ光受容性チャネルを導入し、光の照射により神経細胞の電気的活動を調節できるようにする工程、およびそのような処置を施した眼球内に請求項1〜18のいずれか1項に記載の網膜インプラントを埋め込む工程を含む方法。
【請求項26】
分光感度の異なるロドプシンまたはロドプシン誘導体を使用して、光で作動するチャネルを遺伝子組み換え技術によってオン双極細胞およびオフ双極細胞内に作製することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
たとえばチャネルロドプシン−2の発現のための(ウイルス)ベクターの導入等によって、網膜の神経細胞に光受容性チャネルが付与されていることを特徴とする、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−520697(P2012−520697A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500099(P2012−500099)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001126
【国際公開番号】WO2010/105728
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(507130163)レティーナ インプラント アーゲー (4)
【Fターム(参考)】