説明

脂肪分解酵素アッセイ

本発明は、脂肪分解酵素と基質(C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る)との間の酵素反応の気相のpHを測定することを含んで成る、脂肪分解酵素の活性の測定方法に関する。さらに、それは、前記方法においてライブラリーを試験することを含んで成る、興味ある脂肪分解酵素についてのポリペプチドのライブラリーをスクリーニングするための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、脂肪分解酵素の活性の測定方法、及びこの方法を用いることを含んで成る、注目の脂肪分解酵素についてのポリペプチドのライブラリーをスクリーニングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
脂肪分解酵素は、エステル結合を加水分解できる酵素であり、そしてそれらは、種々の産業、例えば洗剤産業及びベーキング産業内で広く使用される。
Gupta R など., 2003, Biotechnol. Appl. Biochem, 37, 63-71により再考されている、脂肪分解酵素の活性を測定のための多くの種々のアッセイが、知られている。
特のそのいくつかは産業的適用性に適合される、古い脂肪分解酵素の新規変異体についての連続した必要性があるので、前記酵素の活性を測定できる新規アッセイについての必要性がまた存在する。
【発明の開示】
【0003】
発明の要約:
本発明は、脂肪分解酵素と基質(C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る)との間の酵素反応の気相のpHを測定することを含んで成る、脂肪分解酵素の活性の測定方法に関する。
【0004】
さらに、本発明は、注目の脂肪分解酵素についてのポリペプチドのライブラリーをスクリーニングするための方法に関し、ここで前記方法は、
a)前記ライブラリーのポリペプチドと基質(C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る)との間の酵素反応の気相のpHを測定し;
b)注目の脂肪分解酵素を選択することを含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
発明の特定の記載:
定義:
用語“ポリペプチド”とは、本発明においては、オリゴペプチド、ポリペプチド及びタンパク質自体を包含する。
【0006】
用語“親”とは、本発明においては、タンパク質変異体を創造するために修飾されるタンパク質として理解されるべきである。親タンパク質は、天然に存在する(野生型)ポリペプチドであり得、又はそれはいずれか適切な手段により調製されるその変異体であり得る。例えば、親タンパク質は、1又は複数のアミノ酸残基の置換、化学的修飾、欠失又は切断により、又は天然に存在するポリペプチドのアミノ酸への1又は複数のアミノ酸残基の付加又は挿入により修飾された天然に存在するタンパク質の変異体であり得る。
【0007】
用語“変異体”は、本発明においては、1又は複数のアミノ酸残基での親タンパク質に比較して、修飾されているタンパク質として理解されるべきである。
【0008】
用語“修飾”又は“修飾された”とは、本発明においては、タンパク質の化学的修飾、及びタンパク質をコードするDNAの遺伝子操作を包含するものとして理解されるべきである。修飾は、アミノ酸側鎖の置換、興味あるアミノ酸の置換、欠失、及び/又は挿入であり得る。従って、用語“修飾されたタンパク質”とは、親タンパク質に比較して、修飾を含むタンパク質として理解されるべきである。
【0009】
脂肪分解酵素/注目の脂肪分解酵素:
本発明の脂肪分解酵素/注目の脂肪分解酵素は、エステル結合を加水分解できる酵素である。そのような酵素は、例えばリパーゼ、例えばトリアシル−グリセロールリパーゼ(EC 3.1.1.3)、リポタンパク質リパーゼ(EC 3.1.1.34)、モノグリセリドリパーゼ(EC 3.1.1.23)、リソホスホリパーゼ、フェルラ酸エステラーゼ及びエステラーゼ(EC 3.1.1.1 , EC 3.1.1.2)を包含する。括弧内の数は、酵素の酵素反応性の型に従って、Enzyme Commission of the International Union of Biochemistryにより割り当てられた分類上の数である。
【0010】
脂肪分解酵素/注目の脂肪分解酵素は、原核生物、特に細菌、例えばシュードモナス(Pseudomonas)からの酵素であり得る。例は、P. セパシア(P. cepacia)(アメリカ特許第5,290,694号, pdb file 1OIL)、P. グルマエ(P. glumae)(N Frenken など. (1992), Appl. En-vir. Microbiol. 58 3787-3791, pdb files 1TAH and 1QGE))、P. シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)(EP334462号)、及びシュートモナスsp. 株SD 705 (FERM BP-4772) (WO 95/06720号, EP 721 981号, WO 96/27002号, EP 812 910号)からのシュードモナスリパーゼである。P. グルマエリパーゼ配列は、クロモバクテリウム・ビスコサム(Chromobacterium viscosum)のアミノ酸配列と同一である(DE3908131A1)。他の例は、例えばシュードモナス、例えばP. メンドシナ(P. mendocina)(アメリカ特許第5,389,536号)又はP. プチダ(P. putida)(WO88/09367号)からの細菌クチナーゼである。
【0011】
他方では、脂肪分解酵素/注目の脂肪分解酵素は、真核生物、例えば菌類脂肪分解酵素、例えばヒューミコラ(Humicola)ファミリー及びズイゴミセテス(Zygomycetes)ファミリーからの脂肪分解酵素、及び菌類クチナーゼであり得る。
菌類クチナーゼの例は、フサリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)(S. Longhi など., Journal of Molecular Biology, 268 (4), 779-799 (1997))、及びヒューミコラ・インソレンス(アメリカ特許第5,827,719号)からのクチナーゼである。
【0012】
ヒューミコラファミリーの脂肪分解酵素は、H. ラヌギノサ株DSM4109からのリパーゼ、及び前記リパーゼと50%以上の相同性を有するリパーゼから成る。H. ラヌギノサ(別名サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus))からのリパーゼは、EP258068号及びEP305216号に記載されており、そしてアメリカ特許第5,869,438号の配列番号2の位置1−296に示されるアミノ酸配列を有する。
【0013】
ヒューミコラファミリーはまた、次の脂肪分解酵素を包含する:ペニシリウム・カメムベルチ(Penicillium camembertii)からのリパーゼ(P25234)、フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)からのリパーゼ/ホスホリパーゼ(EP130064号、WO98/26057号)、F. ヘテロスポラム(F. heterosporum)からのリパーゼ(R87979)、アスペルギラス・フォエチダスからのリソ−ホスホリパーゼ(W33009)、A. オリザエからのホスホリパーゼ(JP-A10-155493号)、A. オリザエからのリパーゼ(D85895)、A. 二ガーゼからのリパーゼ/フェルラ酸エステラーゼ(Y09330)、A. ツビンゲンシス(A. tubingensis)からのリパーゼ/フェルラ酸エステラーゼ(Y09331)、A. ツビンゲンシスからのリパーゼ(WO98/45453号)、A. ニガーからのリソホスホリパーゼ(WO98/31790号)、6.9の等電点及び30kDaの見掛け分子量を有する、F. ソラニ(F. solanii)からのリパーゼ(WO96/18729号)。
【0014】
ヅイゴミセテス(Zygomycees)ファミリーは、リゾムコル・ミエヘイのリパーゼ(P19515)と少なくとも50%の相同性を有するリパーゼを包含する。このファミリーはまた、アブシジア・レフレキサ(Absidia reflexa), A. スホロフォラ(A. sporophora)、A. コリムビフェラ(A. corymbifera)、A. ブラケスレアナ(A. blakesleeana)、A. グリセオラ(A. griseola)(すべては、WO96/13578号及びWO97/27276号に記載される)、及びリゾパス・オリザエ(Rhizopus oryzae)(P21811)からのリパーゼを包含する。括弧内の番号は、出版物又はEMBL, GenBank, GeneSeqp or Swiss-Prot データベースへのアクセスを示す。
【0015】
ポリペプチドのライブラリー:
本発明はまた、注目の脂肪分解酵素についてのポリペプチドのライブラリーのスクリーニング方法にも関する。本発明においては、用語“ポリペプチドのライブラリー”とは、少なくとも2種の異なったポリペプチドの収集として理解されるべきであり;すなわち、1又は複数のアミノ酸位置で異なる少なくとも2種のポリペプチド、例えばポリペプチドにおけるアミノ酸の数が異なるか、又は特定位置でのアミノ酸が異なることができる。
典型的には、ポリペプチドのライブラリーは、ポリペプチドを発現できる宿主細胞中に、ポリペプチドのライブラリーをコードする核酸配列のライブラリーを導入することにより調製され得る。遺伝子縮重のために、前記ライブラリーにおける異なった核酸配列の数は、異なったポリペプチドの数よりも多い。
【0016】
特に、前記核酸配列のライブラリーは、親脂肪分解酵素の変異体をコードし;すなわちポリペプチドが、親脂肪分解酵素に比較して、少なくとも1つのアミノ酸位置で異なる。従って、スクリーニング方法は、親脂肪分解酵素の変異体をスクリーニングするために使用され得る。そのような変異体は、例えば親脂肪分解酵素のランダム突然変異誘発又は特定部位の突然変異誘発、又は当業者に知られている他の方法により生成され得る。従って、特定の態様においては、ポリペプチドのライブラリーは、親脂肪分解酵素の変異体のライブラリーであり得る。適切な親脂肪分解酵素の例は、上記脂肪分解酵素セクションに言及されるそれらを包含するが、但しそれらだけには限定されない。特に、親脂肪分解酵素は、Lipolase(商標)、EP 258 068号及びEP 305 216号に記載されるヒューミコラ・ラヌギノサ由来のリパーゼ、又はシュードモナス又はトチルスからのリパーゼであり得る。
【0017】
もう1つの態様においては、前記核酸配列のライブラリーは、1つの又は多数の異なった生物に由来するポリペプチドをコードすることができる。従って、前記方法は、脂肪分解酵素活性の発現のために1つの又は多数の異なった生物をスクリーンするために使用され得る。
もう1つの態様においては、ポリペプチドのライブラリーは、ポリペプチドを合成することにより調製され得る。
【0018】
核酸配列のライブラリーを宿主細胞中に導入し、前記ポリペプチドのライブラリーによりコードされるポリペプチドを宿主細胞において発現する、核酸配列のライブラリーの調製方法、ポリペプチドの合成方法は、当業者に良く知られており、そして次の文献に見出され得る:"Molecular cloning: A laboratory manual", Sambrook など. (1989), Cold Spring Harbor lab., Cold Spring Harbor, NY; Ausubel, F. M. など. (eds.); "Current protocols in Molecular Biology", John Wiley and Sons, (1995); Harwood, C. R., and Cutting, S. M. (eds.); "Molecular Biological Methods for Bacillus", John Wiley and Sons, (1990); "DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II", D.N. Glover ed. (1985); "Oligonucleotide Synthesis", M.J. Gait ed. (1984); "Nucleic Acid Hybridization", B.D. Hames & S.J. Higgins eds (1985); "Transcription And Translation", B.D. Hames & S.J. Higgins, eds. (1984); "Animal Cell Culture", R.I. Freshney, ed. (1986); "Immobilized Cells And Enzymes", IRL Press, (1986); "A Practical Guide To Molecular Cloning", B. Perbal, (1984)。
【0019】
基質:
本発明の基質は、C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る。
本発明においては、C1-C10カルボン酸は、一般式R-COOH(ここで、Rは0〜9個の炭素原子(C-原子)を有する炭化水素である)のカルボン酸として理解されるべきである。炭化水素は一般的に、炭素及び水素を有する化合物として理解されるが、しかしながら本発明においては、Rはまた、例えばハロゲンにより置換されたRであり得る。
【0020】
Rは、アルカンとしても知られている飽和炭化水素、すなわち単結合のみを含んで成る炭化水素であり得、又はそれは不飽和炭化水素、すなわち1又は複数の二重又は三重結合を含んで成る炭化水素であり得る。二重結合を含んで成る炭化水素もまた、アルケンとして知られており、そして三重結合を含んで成る炭化水素はアルキンとして知られている。ほとんどの天然に存在する基質においては、炭化水素はアルカン又はアルケンである。
Rは、線状又は枝分れ鎖であり得るか、又はそれは環状又は芳香族であり得る。
【0021】
本発明のC1-C10カルボン酸は、C1, C2, C3, C4, C5, C6, C7, C8, C9 又はC10カルボン酸、特にそれは、2〜8、例えば4〜8個のC-原子を含んで成ることができる。
本発明の特定の態様においては、C1-C10カルボン酸のRは、線状の置換されていない炭化水素である。そのような適切なC1-C10カルボン酸の例は、酪酸(CH3(CH2)2COOH)、吉草酸(CH3(CH2)3COOH)、カプロン酸(CH3(CH2)4COOH)、及びカプリル酸(CH3(CH2)6COOH)、又はカプリン酸(CH3(CH2)8COOH)を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0022】
一般式CH3(CxHy)COOHの長い炭化水素鎖を含んで成るカルボン酸は一般的に脂肪酸として知られている。脂肪酸は多くの異なった脂質に含まれ、ここでそれらは、エステル結合によりアルコールに共有結合される。そのような脂質の例は、トリアシルグリセロール(また、トリグリセリドとしても知られている)、ワックス、ジガラクトシルジグリセリド及びリン脂質を包含するが、但しそれらだけには限定されず、ここでトリアシルグリセロールは3個の脂肪酸及びグリセロールのトリエステルであり、ワックスは長鎖アルコールにエステル化された脂肪酸であり、そしてリン酸質は、脂質の親水性部分にリン基を含んで成る脂質である。
【0023】
それらの構造体のすべては、当業者に良く知られている。多くの天然に存在する脂質は10以上のC原子を有する炭化水素鎖を有するカルボン酸を含んで成るが、10又はそれ以下のC原子を有するカルボン酸を含んで成る天然に存在する脂質についても知られている。本発明の基質は、脂質、例えば上記に言及されるそれらの1つであり得;特に、それはトリアシルグリセロールであり得る。従っての基質のアルコールは、特にグリセロール−3−リン酸、長鎖アルコール又はそれらのアルコールの修飾された型であり得る。基質に存在できるアルコールの他の例は、当業者に良く知られている。
【0024】
本発明の基質は、天然に存在する基質、合成基質又は処理された基質、例えばヒトにより処理された天然に存在する基質であり得る。本発明においては、用語“天然に存在する基質”とは、天然に存在する化合物として理解されるべきである。
【0025】
多くの脂質、すなわち天然に存在する脂質及びヒトにより処理された脂質の両者は、種々のトリグリセリド及び脂肪酸(時々、それらは脂肪酸として存在し、そしてもう1つの化合物、例えばトリグリセリドの一部としては存在しないので、脂肪酸として記載される)の混合物を含んで成ることができる。そのような脂質の組成はしばしば、異なった脂肪酸中のそれらの含有率により記載される。本発明の特定の態様においては、基質は、1又は複数の異なったトリグリセリドの混合物、1又は複数の異なった脂肪酸の混合物、又は1又は複数の異なったトリグリセリド及び1又は複数の異なった脂肪酸の混合物であり得る。特に、本発明の基質は、1又は複数の異なったトリグリセリド及び1又は複数の異なった脂肪酸の混合物を含んで成る脂肪又は油、例えばミルク脂肪又はバター、又は植物脂肪、例えばオリーブ油であり得る。
【0026】
基質が異なったトリグリセリド及び/又は脂肪酸の混合物を含んで成る場合、それは特に、0.1-100w/w%、例えば0.5-100 w/w% 又は 1-95 w/w% 又は 1-85 w/w% 又は 1-75 w/w% 又は 1-50 w/w% 又は 1-25 w/w% 又は 5-95 w/w% 又は 5-75 w/w% 又は 5-50 w/w% 又は 5-25 w/w% 又は 10-95 w/w% 又は 10-75 w/w% 又は 10-50 w/w% 又は 10-25 w/w% 又は 15-95 w/w% 又は 15-75 w/w% 又は 15-25 w/w% 又は 20-95 w/w% 又は 20-75 w/w% 又は 20-50 w/w% 又は 25-95 w/w% 又は 25-75 w/w% 又は 25-50 w/w% 又は 40-100 w/w% 又は 40-80 w/w% 又は 60-80 w/w% 又は 50-100 w/w% 又は 50-75 w/w% 又は 60-100 w/w% 又は 60-80 w/w% 又は 70-100 w/w% 又は 70-95 w/w% 又は 70-80 w/w%のC1-C10カルボン酸、例えば上記に記載されるそれらの1つを含んで成る基質であり得る。
【0027】
pH測定:
気相のpHは、pHを測定するためのいずれかの既知手段により測定され得る。特定の態様においては、pHインジケーターは、pHを測定するために使用され、ここで用語“pHインジケーター”とは、pHを示すことができるいずれかの手段として理解されるべきである。例えば、pHインジケーターは、一定pHで色及び/又は蛍光を変更する化合物であり得る。典型的には、pHインジケーターの選択は、異なったpHインジケーターは典型的には、特定のpH間隔でpHを示すことができるので、測定されるべき特定のpHに依存する。
【0028】
一定のpHで色を変更する化合物であるpHインジケーターの例は、当業者に良く知られており、そして次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:クリスタルバイオレット、クレゾールレッド、チモールブルー、エリトロシンB、2,4−ジニトロフェニル、ブロモフェノールブルー、メチルオレンジ、ブロムクレゾールグリーン、メチルレッド、ブロムクレゾールパープル、アリザリン、ブロムチモールブルー、フェノールレッド、m−ニトロフェノール、o−クレゾールフタレイン、フェノールフタレイン、チモ−ルフタレイン、アリザリンイエローR及びオレンジグリーン(商標)カルボン酸(Molecular Probes)。さらに、色及び/又は蛍光により広範囲のpH値を示すことができる市販のpHインジケーターが入手できる。
【0029】
C1-C10カルボン酸の開放は典型的には、気相のpHよりも低いそれらの酸性質のためであろう。従って、前記酸が浸入する前、気相のpHに依存して、pHインジケーターは特に、0−14の間のpH、例えばpH 2-12 又は pH 3-12 又は pH 3-10 又は pH 3-9 又は pH 4-12 又は pH 4-10 又は pH 5-12 又は pH 5-10 又は pH 5-8 又は pH 6-12 又は pH 6-10 又は pH 6-8を測定するか又は示すことができるべきである。本発明の特定の態様においては、pHインジケーターは、ブロムクレゾールグリーンであり得る。
【0030】
しかしながら、他のpHインジケーターも使用され得、そして蛍光pHインジケーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
pHインジケーターの使用による気相のpHの測定は、例えばpHインジケーターの視覚的又は自動検査により行われ得る。pHインジケーターは、例えば液体媒体又は固体媒体、又はゲル、例えばアガロースに存在することができる。吸光度又は蛍光度を測定するための手段は、当業者に知られている。
【0031】
本発明の方法:
本発明の1つの態様は、脂肪分解酵素と基質(C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る)との間の酵素反応の気相のpHを測定することを含んで成る、脂肪分解酵素の活性の測定方法に関する。
【0032】
本発明の発明者は、C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る基質と脂肪分解酵素のとの間の酵素反応の気相のpHが、脂肪分解酵素の活性についての測定として使用され得ることを見出した。基質のエステル結合を加水分解する脂肪分解酵素の能力の結果として、C1-C10カルボン酸が基質から開放される。脂肪分解酵素の性質のために、それらの活性を試験するためのほとんどのアッセイは、室温又はわずかに高い温度、例えば10〜80℃で行われる。それらの温度で、C1-C10カルボン酸の蒸気圧は、開放されるC1-C10カルボン酸の画分が気相に侵入できる圧力である。
【0033】
本発明の発明者は、解放されるC1-C10カルボン酸、又は気相に侵入されるその画分が気相のpHを測定することにより検出され得、そして前記pHが脂肪分解酵素の活性と相互関係することを発見した。開放されるC1-C10カルボン酸の気相のpHに対する効果は、反応が起こる前、気相のpHに依存するが、しかしながら、C1-C10カルボン酸は酸であるので、それは典型的には、反応が起こる前、気相のpHに比較して、気相のpHを低めることができる。
【0034】
本発明はまた、注目の脂肪分解酵素についてのポリペプチドのライブラリーをスクリーニングするための方法に関し、ここで前記方法は、
a)前記ライブラリーのポリペプチドと基質(C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る)との間の酵素反応の気相のpHを測定し;
b)注目の脂肪分解酵素を選択することを含んで成る。
【0035】
注目の脂肪分解酵素を選択するために使用される基準は一般的に、注目の脂肪分解酵素と基質との間の酵素反応の気相の測定されたpHに基づかれ得る。例えば、選択は、実際のpH、又は測定されたpHと対照の気相のpHとの間の差異に基づかれる。従って、注目の脂肪分解酵素の選択は特に、基質と反応する場合、酵素により生成される気相のpHの変化に基づかれ得る。
【0036】
対照は、酵素反応が起こる前、気相のpHであり得るか、又はそれは、酵素反応の条件がポリペプチドのライブラリーをスクリーニングするために使用される条件と同じである、既知の脂肪分解酵素の酵素反応の気相のpHであり得る。例えば、ライブラリーが親脂肪分解酵素の変異体を表す場合、変異体と基質との間の酵素反応の気相のpHが親脂肪分解酵素により創造されるpHとは異なる、変異体を選択するために対照としての基質と親脂肪分解酵素との間の酵素反応の気相のpHを使用することは適切である。特に、気相のpHが親脂肪分解酵素についてのみのpHよりも高いか又は低い変異体(注目の脂肪分解酵素)を選択することが興味の対象である。
【0037】
他の対照は、注目の脂肪分解酵素を選択するための基準に依存して使用され得る。
対照はまた、前記方法が脂肪分解酵素の活性を測定するために使用される場合、使用され得る。例えば、いわゆる内部標準が使用され得、例えば試験される脂肪分解酵素により生成されるpHが、当業者について良く知られた問題である、アッセイ−アッセイ変動の補正を可能にする既知脂肪分解酵素により生成されるpHと比較され得る。そのような対照はまた、注目の脂肪分解酵素についてのポリペプチドのライブラリーをスクリーニングする場合、使用され得る。
【0038】
次のものは、本発明のすべての方法を包含し、そして“酵素反応”とは、本発明の脂肪分解酵素と本発明の基質との間の酵素反応、及び本発明のポリペプチドのライブラリーのポリペプチドと本発明の基質との間の酵素反応の両者を包含し、そして前記ライブラリーは本発明の基質と反応しないポリペプチドを含むことができる。
【0039】
本発明の酵素反応は、液体溶液において起こることができる。しかしながら、本発明の特定の態様においては、酵素反応は織物上で起こる。気相とは、本発明においては、酵素反応が起こるその相と接触しての気相として理解されるべきである。従って、例えば酵素反応が液体溶液において起こる場合、本発明の気相は、前記液体溶液と接触する気相であり、そして酵素反応が織物上で起こる場合、それは前記織物と接触する気相である。酵素反応が密封された容器において起こる場合、もちろん気相は容器により定義されるが、しかしながら本発明の酵素反応はまた、開放容器においても起こり得る。
【0040】
酵素反応が開放容器において起こる場合、これは特に、酵素反応から開放されるC1-C10カルボン酸がpHインジケーターと反応するよう行われ得る。上記に記載されるよう、pHインジケーターは、特定の態様においては、液体媒体又は固体媒体、又はゲル、例えばアガロースに存在することができる。この態様においては、脂肪分解酵素と本発明の基質との間の酵素反応により開放されるC1-C10カルボン酸は、前記酵素反応が起こる相上の気相に侵入し、そして次に、pHインジケーターが存在する相、例えばアガロースに侵入する。
【0041】
pHは、酵素反応の工程の間、いずれかの時点で測定され得、又はそれは、酵素反応が平衡下で存在する前、及び/又は開放されるC1-C10カルボン酸が、酵素反応が起こる相、例えば液相と気相との間で平衡下で存在する前、測定され得る。酵素の活性を測定する場合、酵素とその基質との間の酵素反応の反応速度を主に測定する。従って、対照が本発明の方法に使用される場合、pHは、酵素反応が平衡下で存在する前、測定される。もちろん、脂肪分解酵素/注目の脂肪分解酵素と基質との間、及び対照と基質との間の酵素反応が同時に起こることが重量である。
【0042】
実際、pHインジケーターは、酵素反応の開始から気相に存在することができ、そして次に、一定時間の後、対照のpHとさらに比較され得るpHインジケーターを読み取ることができる。
酵素反応が溶液において起こる場合、前記溶液は、脂肪分解酵素/注目の脂肪分解酵素の最適活性を確保できる他の成分、例えば塩、pH安定化剤、界面活性剤、等を含むことができる。
【0043】
脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーと基質との間の酵素反応は、いずれかの適切な容器、例えば24ウェル/プレート、96ウェル/プレート、384ウェル/プレート、1536ウェル/プレート又はそれ以上のウェル/プレート、又はnlウェル−より少ない区画を有するマイクロタイタープレートにおいて実施され得る。
【0044】
本発明の特定の態様においては、脂肪分解酵素と基質との間の酵素反応は、pHインジケーターを含んで成る第2容器と接触して存在する1つの容器において起こる。例えば、酵素反応は、1つのマイクロタイタープレートにおいて起こり、そしてpHインジケーターは、酵素反応を含んで成るマイクロタイタープレート上に逆さまに配置されるもう1つのマイクロタイタープレートにおいて存在することができる。次に、気相のpHが、pHインジケーターを含んで成るマイクロタイタープレートの底(上方にある)の視覚的又は自動調査により検出され得る。
【0045】
本発明の方法は、多くの異なった手段で使用され得、例えば脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーが宿主細胞により発現される場合、それは、脂肪分解酵素/ポリペプチドのライブラリーの源として使用されるそのような細胞の培養ブイヨンであり得る。しかしながら、“純粋”な脂肪分解酵素の脂肪分解活性がまた、本発明により試験され得、ここで用語“純粋”とは、マイナーな割合の他の成分を含んで成る脂肪分解酵素のサンプル、例えば少なくとも40w/w%、 50w/w%、 60w/w%、 70w/w%、 80w/w%、 90w/w%、 95w/w% 又は 95w/w%の脂肪分解酵素を含んで成るサンプルを包含する。
【0046】
特定の態様においては、脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーと本発明の基質との間の酵素反応は、織物上で起こる。従って、本発明の方法は、酵素反応の前、
i)前記脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーと織物とを接触し、そして
ii)任意には、前記織物をすすぐ段階を含んで成る。
1つの態様においては、脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーと本発明の基質との間の酵素反応は、織物をすすぐ場合、工程i)又は工程ii)後、脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーと前記酵素とを接触することにより起こる。他の態様においては、酵素反応は、本発明の基質と織物とを接触し、そして任意には、織物と脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーとを接触する前、織物をすすぐことにより起こる。
【0047】
従って、特定の態様においては、本発明の方法は、酵素反応の前、
i)前記脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーと織物とを接触し(前記織物は、C1−C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る基質により接触され、そして任意には、それと脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーとを接触する前、すすがれ);
ii)任意には、織物をすすぐ段階を含んで成る。
【0048】
本発明の特定の態様においては、本発明は、C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含まない基質、例えば織物上に存在するラードを用いることにより行われ得る。次に、織物は、脂肪分解酵素と接触され、そして任意には、続いてすすがれ得る。次に織物上の残留脂肪分解酵素の量が、織物上に存在する前記脂肪分解酵素と、C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含む基質とを接触し、そして上記のようにして、前記酵素反応の気相のpHを測定することにより測定され得る。次に、pHは織物上に存在する脂肪分解酵素の活性の測定として使用され得る。
【0049】
特定の態様においては、脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーは、織物と、洗剤及び脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーを含んで成る溶液とを接触することにより、織物と接触される。特に、これは、例えばWO02/42740号に記載のようにして、機能的応力の存在下で布を洗浄する条件に類似する条件下で行われ得る。
【0050】
多くのC1-C10カルボン酸は、ほとんどの人々が悪臭として認識するものを有する。従って、本発明の方法はまた、脂肪分解酵素と、C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る基質との間の反応により気相中に開放される悪臭を測定するためにも使用され得る。脂肪分解酵素が洗剤に使用される場合、悪臭が、洗浄の後、布から開放されないことは特に有用である。従って、本発明の方法は、特定の対照酵素よりも、基質の反応に基づいて多いか又は少ないC1-C10カルボン酸を開放する脂肪分解酵素についてスクリーンするために特に使用され得る。
【0051】
織物
本発明においては、用語“織物”とは、布、被服及び糸を包含する。
布は、製織、編成又は不織操作により繊維から構成され得る。製織及び編成は、入力物として糸を必要とするが、ところが不織布は、繊維のランダム結合の結果である(紙は不織からのものであると思われる)。本発明においては、用語“布”とはまた、繊維及び他の型の加工された布を包含する。
【0052】
織布は、織機上で縦方向に延長された巻き付け糸間に横糸を製織することにより構成される。巻き付け糸は典型的には、製織の間、横糸の高速挿入で摩擦からそれらを保護するために、製織の前、サイズ剤を施されるべきである。横糸は、巻き付け糸を通して、“縦糸と横糸が1本毎に交錯する(over one-under the next)”形式(平織)により、又は“縦糸又は横糸の浮きが斜めに綾目うね(over one-under two)”形式(斜文織)により、又はいずれか他の無数の変更を伴って織られ得る。強度、きめ及びパターンは、糸の型/質のみならず、また織の型にも関連する。一般的に、ドレス、シャツ、パンツ、シーツ、タオル、ドラペリー、等は、織布から製造される。
【0053】
編成は、糸のインターロッキングループを一緒に連結することにより、布を形成する。2種の型の糸から構成され、そして多くの“末端”を有する製織に反して、メリヤス生地は、糸の単一の連続したストランドから製造される。製織に関しては、糸を一緒にルービングするための多くの異なった手段が存在し、そして最終の布の性質は、糸及びメリヤスの両者に依存する。下着、セーター、靴下、スポーツシャツ、スウェットシャツ、等は一般的にメリヤス布に由来する。
【0054】
不織布は、繊維及びフィラメントを、機械、熱、化学、又は溶媒介在性加工により結合し、そして/又はインターロッキングすることにより製造される布のシートである。得られる布は、ウェブ様構造、ラミネート又はフィルムの形で存在することができる。典型的な例は、使い捨ての子供用おもつ、タオル、ワイパー、手術用ガウン、“環境的にやさしい”型のための布、フィルター媒体、ベット、屋根材料、二次元布のための裏地及び多くの他のものである。
【0055】
本発明に使用される織物は、いずれかの既知の織物(織られた、編成された又は不織)であり得る。特に、織物は、セルロース含有又はセルロース織物、例えば綿、ビスコース、レーヨン、ラミー、リネン、リオセル(例えば、Courtaulds Fibersにより生成されるテンセル)、又はそれらの混合物であり得るか、又はそれは、合成織物、例えばポリエステル、ポリアミン又はナイロンの1つ、又はそれらの混合物、又はセルロース含有又はセルロース繊維及び合成繊維の混合物であり得る。適切な織物のもう1つの例は、他の天然の繊維、例えば羊毛及び絹又はそれらの混合物、又は上記に言及された繊維のそれらの混合物及びそれらの1つ又は複数の繊維を含んで成る織物である。
【0056】
繊維の混合物の例は、ビスコース/綿ブレンド、リオセル/綿ブレンド、ビスコース/羊毛ブレンド、リオセル/羊毛ブレンド、綿/羊毛ブレンド;亜麻(リネン)、ラミー及びセルロース繊維に基づく他の繊維、例えばセルロース繊維と他の繊維、例えば羊毛、ポリアミド、アクリル及びポリエステル繊維とのすべてのブレンド、例えば綿/ポリエステルブレンド、ビスコース/綿/ポリエステルブレンド、羊毛/綿/ポリエステルブレンド、亜麻/綿ブレンド、等を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0057】
用語“羊毛”とは、いずれかの商業的に有用な動物の毛製品、例えば羊、ラクダ、ウサギ、ヤギ、ラマからの羊毛、及び既知のメリノ羊毛、シェットランド羊毛、カシミール羊毛、アルパカ羊毛、モヘア、等を意味し、そして羊毛繊維及び動物の毛を包含する。織物は、漂白され、染色されるか、又は末染色であり得る。用語“ポリエステル”とは、縮合により合成され、溶融物から繊維に延伸され、安定物に切断され、他の繊維型と混合され、そして糸に紡糸されるポリ(エチレンテレフタレート)を言及する。糸は染色され、そして布に編成され、又はカーペットに製造されるか、又は糸は布に織られ、そして染色される。
【0058】
織物に結合するか又は付着する酵素の能力は、特定の酵素、及び織物の型に依存する。例えば、疎水性材料への脂肪分解酵素の付着又は結合は、親水性材料に対するよりも強いので、すすぎの間、綿から製造される織物よりもポリエステルから製造された織物から脂肪分解酵素を除去することは困難である。
【0059】
すすぎ
本発明においては、用語“すすぐ”とは、水基材の溶液と布との接触及び続く前記溶液の除去として理解されるべきであり、ここで用語“水基材の溶液”とは、水以外の他の成分最大20w/v%、例えば水以外の他の成分10w/v%又は5w/v%又は3w/v%又は2w/v%又は1w/v%又は0.5w/v%を含んで成る水溶液として理解されるべきである。そのような他の成分の例は、下記に与えられる。
【0060】
本発明の方法は、布を洗浄する工程を模倣するために使用され得るので、すすぎは、布の洗浄の間、すすぎの条件を特に模倣することができる。一般的に、布は水によりすすがれるが、しかしながら水の組成は、水源に依存して変化することができ、例えばそれは川の水、湧き水又は地下水であり得る。さらに、水源の地理学的位置は、その組成に影響を及ぼす。
【0061】
所定の水源の硬度(合計硬度)は、アルカリ土類金属、すなわちカルシウム、マグネシウム、ストロンチウム及びバリウムの塩のその含有率に依存する。ストロンチウム及びバリウムは一般的に水に微量、存在するので、水の硬度は、カルシウムイオン(Ca2+)及びマグネシウムイオン(Mg2+)の含有率として定義される。従来の方法は、カルシウムに対してのみの水の硬度を言及することであり、換言すれば、カルシウム含有率としてマグネシウムイオンの含有率を表すことである。時折使用される硬度についての実際的な測定単位は、いわゆる次の通りに定義されるGerman度である:
1°dH=10mg/LのCaO。
【0062】
“硬”水は、高濃度の炭酸カルシウム及び他の鉱物を含む水である。
“軟”水は、低濃度の炭酸カルシウム及び他の鉱物を含む水である。
すすぎのために使用される水基材の溶液に存在することができる他の成分の例は、緩衝液、特に4〜10のpHを有する緩衝液、塩、ソフトナー及び少量の洗剤を包含するが、但しそれらだけには限定されない。織物と酵素/ポリペプチドのライブラリーとの接触が、例えば織物の“洗浄”により、洗剤の存在下で行われる場合、特に少量の洗剤が存在できる。適切な緩衝液の例は、下記表1に記載されるそれらを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0063】
【表1】

【0064】
上記のCa2+及びMg2+以外に、水基材の溶液に存在できる塩又はイオンの例は、NaCl、KCl、ストロンチウム及びバリウムを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0065】
ソフトナーは一般的に布の感触及び新鮮性を改良し、そして静電気構築を低めるために、洗浄の間に使用される(例えば、Levinson Ml, 1999, Journal of Surfactants and Detergents, 2, 223-235を参照のこと)。ソフトナーにおける主要成分の1つは、カチオン性テンシド又は界面活性剤、例えばジアミドアミン又は第四時エステル、又はトリエタノールアミン基材の第四エステルであるが、しかしながら、それはまた、他の成分、例えば香料、保存剤、緩衝液、顔料、蛍光増白剤、酵素、顔料安定剤、紫外線吸収剤、塩素スキャベンジャー及び/又は電解質を含むことができる(例えば、Levinson Ml, 1999, Journal of Surfactants and Detergents, 2, 223-235を参照のこと)。
【0066】
容器:
本発明はまた、少なくとも2個のパーツを含んで成る容器にも関し、ここで1つのパーツはpHインジケーターを含み、そして他のパーツは、液体を含むために適切である。前記容器は、いずれかの物理形を有し、そしていずれかの材料から製造され得る。特に、容器は、その容器の外部からpHインジケーターにより示されるpHの読み取りを可能にする物理的形状を有し、例えばpHインジケータを含んで成る容器のパーツは、透明材料から特に製造され得る。
【0067】
前記容器はまた、特定の態様においては、pHインジケーターにより、例えばpHインジケーターの選択に依存して吸光度又は蛍光度を測定できる装置の使用により、pHの自動読取を可能にする物理的形状を有する。特定の態様においては、前記容器は、2種のパーツ(1つのパーツはpHインジケーターを含み、そして他のパーツは液体を含むために適切である)をそれぞれ含んで成る複数の容器を含んで成る。より特定には、前記複数の容器は、お互いの上部に配置される2つのマイクロタイタープレートとしての物理的形状を有し、そして1つのプレートは、逆さに面し、その結果、個々のプレートのウェルはお互い直面する。
【0068】
容器が複数の容器を含む場合、1つの容器からの気体がもう1つの容器に侵入するのを回避するための手段が特に使用され得る。例えば、材料の一片を、容器の2つのパート間に配置し、ここで前記材料は、個々の容器に対応する穴と有する。これは、パラフィンの一片が第1のマイクロタイタープレート上に配置される例に記載される通りであり、ここで前記パラフィンは、マイクロタイタープレートのウェル開口部の個々と関連して配置される穴を包含し、そして次に、第2のマイクロタイタープレートは、第1のマイクロタイタープレート上に逆にして配置され、その結果、第1及び第2のマイクロタイタープレートのウェル開口部はお互い関連して配置されている。
【0069】
従って、第1のマイクロタイタープレートの個々のウェル開口部は、第2のマイクロタイタープレートのウェル開口部と接触して存在し、そして第1のマイクロタイタープレートのウェル開口部間の領域は、パラフィンにより、第2のマイクロタイタープレートの類似する領域とは離れて密封されるであろう。
【0070】
材料及び方法:
脂肪分解酵素:
Lipolase(商標)は、EP258068号及びEP305216号に記載されるヒューミコラ・ラヌギノサ由来のリパーゼである。
Lipex(商標)は、WO0060063号に記載される、Lipolase(商標)の変異体である。
培地:
SC=合成完全培地。
【0071】
方法:
マイクロ−洗濯
ラードはバターにより染色された織物スワッチを、96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中に挿し入れた。150μlの洗剤(100mMのL−アルギンニン)を、個々のウェル中に分散した。試験されるべき酵素を発現する酵素細胞(SC培地を含むマイクロタイタープレートにおいて3〜4日間、増殖された)の上清液10μlを、個々のウェルン添加し、そしてマイクロタイタープレートを、500rpm下で、30℃で20分間インキュベートする。洗浄水をプレート洗浄機により除去し、そして続いて、スワッチを下記のようにしてすすいだ。
【0072】
すすぎ
異なった酵素濃度を伴って、マイクロ−洗濯アッセイ(上記)を行った後、マイクロウェルに存在する織物スワッチを、15°dHの硬度を有する人工水を用いてすすいだ(材料及び方法を参照のこと)。
【0073】
すすぎ工程を、15°dHの硬度を有する水180μlを添加し、すすぎ水の除去の前、300rpmで設定された軌道シェーカー上に5分間、プレートを配置することにより行った。この工程を、合計3度、反復した。すすぎ水の最終除去の後、リパーゼ基質をウェルに添加し、個々の織物−スワッチ上に存在するリパーゼの活性を測定した。
【0074】
pHインジケータープレート(ブロモクレゾールグリーン−アガロース)
1gのアガロース(Gibco BRL, Life technologies)を、100mlの0.1mMの四硼酸二ナトリウム・10水和物(#0268 JT Baker, Mallinckrodt Baker, Deventer, Holland)に溶解した。その溶液を、すべてのアガロースが溶融されるまで、電子波オーブンにおいてすばやく加熱した。55℃に冷却した後、ブロモクレゾールを添加し、0.1mMの硼酸ナトリウム中、0.006%の最終濃度にした。
【0075】
ブロモクレゾールグリーン−アガロースを含む2種の異なったプレートを調製した:
a)ポリスチレンマイクロウェルプレート(標準サイズの96−ウェルマイクロタイタープレート)の個々のウェルに80μl;
b)少体積マイクロパッチプレートの個々のウェルに15μl。
プレートを分光計に移し、そして614nmでプレートの個々のウェルの吸光度を測定することにより、pHを読み取った。
614nmでの高い吸光度は、pHが変更されていないことを示し、そして614nmでの低い吸光度は、pHが低められ、すなわちより酸性であることを示す。
【0076】
洗浄された織物は少量のリパーゼを含むので、洗浄及びすすぎの後、それは、織物にまだ存在するバターを脂肪酸に分解することができる。それらの脂肪酸のいくらかは、揮発性であり、そして洗浄プレートのウェルを通して織物から、ブロモクレゾールグリーン−アガロースを含む反対側のプレート(pHインジケータープレート)中に蒸発するのであろう。遊離脂肪酸は緩衝液中に侵入し、そしてその酸性性質のために、pHを低め、そして従ってインジケーターが変化するであろう。
【実施例】
【0077】
例1:異なったリパーゼにより洗浄された織物スワッチからの短鎖脂肪酸の開放の測定
バター及びスーダンレッドにより染色された織物スワッチを、96−ウェルマイクロタイタープレートに配置した。スワッチを、マイクロ洗濯アッセイ(上記に記載される)に従って、0, 0.12, 0.25, 0.5, 1又は2pmの濃度でのLipase(商標), Lipex(商標), Var3又はVar5により洗浄し、そして続いて、上記のようにしてすすいだ。このすすぎ工程を、合計3度、反復した。すすぎ水の最終除去の後、個々のウェルの開口部に対応する穴を有するパラフィン断片を、洗浄され、そしてすすがれた織物スワッチを含んで成る96−ウェルプレートの上部に配置した。
【0078】
80μlのブロモクレゾールグリーン−アガロース/ウェルを含む1つのpHインジケータープレート(a)、及び15μlのブロモクレゾールグリーン−アガロース/ウェルを含む1つのpHインジケータープレート(b)を、洗浄され、そしてすすがれた織物スワッチを含んで成る96−ウェルプレートの上部に、逆さに配置した。96の穴を有するパラフィンが、織物プレートとインジケータープレートとの間の漏れシールとして配置されるよう、プレートを配置した。このプレートサンドイッチを、約2kgの重量により積層し、良好な密封を保持し、その結果、いずれかの蒸発する化合物はインジケータープレート上の垂直なウェルに対して垂直に移動し、そして他のインジケータープレートに対して水平に移行しない。室温での18時間のインキュベーションの後、ブロモクレゾールグリーン−アガロースを含むウェルの614nmでの吸光度を、分光計により測定した。その結果は、下記表2に示される。
【0079】
【表2】

【0080】
前記結果は、Var3及びVar5の両者が、Lipolase(商標)及びLipex(商標)の両者よりも気相のpHを低めることを示す。
類似する設定において、開放されるC1-C10カルボン酸の量を、上記に類似する結果を示したガスクロマトグラフィーにより測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪分解酵素と基質(C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る)との間の酵素反応の気相のpHを測定することを含んで成る、脂肪分解酵素の活性の測定方法。
【請求項2】
注目の脂肪分解酵素についてのポリペプチドのライブラリーをスクリーニングするための方法であって、
a)前記ライブラリーのポリペプチドと基質(C1-C10カルボン酸とアルコールとの間にエステル結合を含んで成る)との間の酵素反応の気相のpHを測定し;
b)注目の脂肪分解酵素を選択する;
ことを含んで成る方法。
【請求項3】
前記C1-C10カルボン酸が、酪酸、吉草酸、カプロン酸及びカプリル酸から成る群から洗濯される請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記アルコールがグリセロールである請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記基質がトリグリセリドである請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記基質が、トリグリセリド及び脂肪酸、例えばミルク脂肪、バター、又はオリーブ油の混合物である請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記脂肪分解酵素又は注目の脂肪分解酵素がリパーゼ(E.C.3.1.1.3)である請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記基質が織物上に存在する請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
酵素反応の前、次の段階:
i)前記脂肪分解酵素又はポリペプチドのライブラリーと織物とを接触し、そして
ii)任意には、前記織物をすすぐ、ことを含んで成る請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つのパーツを含んで成り、1つのパーツはpHインジケーターを含み、そして他のパーツは脂質を含むために適切である容器。

【公表番号】特表2008−501325(P2008−501325A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513688(P2007−513688)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000375
【国際公開番号】WO2005/121334
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】