説明

脈動薬物伝達プロトコル及び方法

空気供給装置(ADD)は、a)空気を第1の開口部(入力口)を介して圧力チャンバ内へ送り込む送風機と、b)第1の開口部及び圧力チャンバの第2の開口部(出力口)間に位置しており、圧力チャンバと流体連通して設けられた空気流の閉塞手段(AOM)と、c)第2の開口部(出力口)に流体連通している、患者のマウスピース又はフェイスマスクと、d)動作中は、あらかじめ定められたプロトコルに従って流体圧パルス(FPP)を患者の口腔に印加するべく、所定の周波数及び圧力で空気流を遮断し放出するように構成されたAOMの制御手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、脈動吸入器に関し、さらに、呼吸器疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ぜんそく及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)は、一生涯の治療を要する慢性疾患であり、4400万人の米国人に影響を及ぼしている。頼みの綱の治療は吸入器による治療法である。吸入器を介した薬物の伝達は、有効性を低減し患者の服薬順守性を低下させる可能性があるため問題を有している。従って、吸入器を介する薬物の伝達及び陽圧の肺換気を改善するための持続的な探求がなされている。
【0003】
現在の吸入器の問題点は、これらが薬物を有効な肺ではなく、口腔内に堆積させることにある。また、薬物の伝達を呼気周期に連動させることが困難なことにある。これらの問題点から、正確な用量の薬物を伝達できず、治療が多くの副作用の原因となる。さらに、現在の吸入器技術は、患者の薬を肺に吸い込む能力に基づいた受動的な技術である。患者へのこれら作用は、唯一かつ完全に、薬物に依存しているため、上述した欠点はユーザに深刻な問題を与える。
【0004】
陽圧換気装置は、患者の肺機能に重大な変化を与えずに、患者の呼吸支援を提供することを重視すべきである。さらに、この装置は、治療が完了した後に、患者の健康状態に長期にわたって影響を与えない。Avniの特許文献1は、一連の交番する高低圧領域を有する集束した流体柱を提供する流体発振器と、流体柱を介して、少なくとも1つの薬物を少ない一定量で放出するための薬ディスペンサと、集束した流体柱を患者の気道に向かわせるための少なくとも1つの出力口とを備えた脈動吸入器を開示している。少ない一定量の薬物は、患者の気道が穏やかにかつ連続的に振動している間に、患者の肺に伝達される。認識されるように、一連の空気パルスを口腔を介して患者の気管に印加することは治療的に有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公開2008−0156319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、治療する疾患において又は薬物の取り込みのために有効な最適パラメータを備えたプロトコルを開示していない。
【0007】
肺及び呼吸疾患の治療に有効である、種々の繰返し周波数及びパルス振幅を有する個々の波列を生成し伝達する手段及び方法を提供することは、長年の要求及び満たされていない要求をかなえるであろう。
【0008】
同様に、薬物の取り込みを増加させる、種々の繰返し周波数及びパルス振幅を有する個々の波列を生成し伝達する手段及び方法を提供することは、長年の要求及び満たされていない要求をかなえるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、表1〜表3のプロトコルに従った所定の周波数で、流体圧パルス(FPP)を患者の口腔に印加するための空気供給装置(ADD)が提供される。表1〜表3は、本発明において開示される典型的なプロトコルを要約している。
【0010】
本発明の他の態様によれば、a)空気を第1の開口部(入力口)を介して圧力チャンバ内へ送り込む送風機と、b)第1の開口部及び圧力チャンバの第2の開口部(出力口)間に位置しており、圧力チャンバと流体連通して設けられた空気流の閉塞手段(AOM)と、c)第2の開口部(出力口)に流体連通している、患者のマウスピースと、d)動作中は、あらかじめ定められたプロトコルに従ってFPPを患者の口腔に印加するべく、所定の周波数及び圧力で空気流を遮断し放出するように構成された、AOMの制御手段とを備えているADDが提供される。
【0011】
本発明のさらに他の態様によれば、圧力チャンバが、患者の口腔に振動変調されたFPPを供給するべく、圧力チャンバ内のガス状流体を所定の周波数で振動させるように構成されているガス状流体振動手段(GFVM)をさらに備えている。
【0012】
本発明のまたさらに他の態様によれば、FPPの圧力が、周囲のガス状流体の圧力より大きいADDが提供される。
【0013】
本発明のさらに他の態様によれば、FPPの圧力が、周囲のガス状流体の圧力より小さいADDが提供される。
【0014】
本発明のまたさらに他の態様によれば、肺疾患の治療に有効なADDが提供される。
【0015】
本発明のさらに他の態様によれば、肺疾患が、ぜんそく、COPD及びCFからなる群から選択されるADDが提供される。
【0016】
本発明のまたさらに他の態様によれば、プロトコルが、ぜんそくプロトコル、COPDプロトコル及びCFプロトコルを含む群から選択される。
【0017】
本発明のさらに他の態様によれば、ガス状流体が、空気、酸素、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、希ガス、薬剤増量流体、麻酔薬増量流体、粒子(例えば、食塩結晶)、微粒子、ナノ粒子、増量剤、流動物質、氷晶リポソーム、小胞、粘着付与剤、増粘剤、粘液の粘性減少剤、粘液の粘性増加剤、あらゆる植物又は微生物源からの微粒子、遺伝子組替えDNA、遺伝子組替えDNAを含む生物学的ベクター、抗体、タンパク質、ペプチド、酵素、ホルモン類、因子、共同因子、炭水化物、糖タンパク質、リポタンパク質、及び不水溶性剤からなる薬剤許容物質の群から選択される1つであるか又は2つ若しくはそれ以上の流体の混合物である。
【0018】
本発明のまたさらに他の態様によれば、ADDがガス加熱又は冷却手段を備えている。
【0019】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDがガス加湿又は除湿手段を備えている。
【0020】
本発明のまたさらに他の態様によれば、ADDが薬用溶液を含むガスを加湿する手段を備えている。
【0021】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDがガス流を集束させる手段、特にベンチュリ型集束器及び流体流促進器を備えている。
【0022】
本発明のまたさらに他の態様によれば、ADDが乱流誘発手段、バッファ手段及び層流誘発手段からなる群から選択される空気流制御手段を備えている。
【0023】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDが喉頭鏡又は鼻カニューレを介してFPPを肺又は気管支へ直接的に供給する手段を備えている。
【0024】
本発明のまたさらに他の態様によれば、ADDが呼吸パラメータの測定手段及び分析手段を備えている。
【0025】
本発明のまたさらに他の態様によれば、呼吸パラメータが、強制肺活量、1秒間の強制呼気量、最大呼気流量、強制呼気流量の25〜75%又は25〜50%、強制吸気流量の25〜75%又は25〜50%、強制呼気時間、ゆっくり排気測定した肺活量、1回換気量、及び最大換気量からなる群から選択される。
【0026】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDが呼吸パラメータの変化を分析し、適用された治療プロトコルを最適化するように構成されている。
【0027】
本発明のまたさらに他の態様によれば、測定手段が、患者の気道内の検出空気流に対応する電気信号を生成するように構成されている少なくとも1つのセンサを備えている。
【0028】
本発明のさらに他の態様によれば、センサが、音響波を検出し、対応する電気信号を分析手段に送信するように構成されている少なくとも1つのトランスデューサである。
【0029】
本発明のまたさらに他の態様によれば、分析手段が、検出した呼吸パラメータに従って治療プロトコルを変化させるように構成されている。
【0030】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDがFPPの特性を測定する手段と、あらかじめ定めたプロトコルに従ってその特性を調整する手段とをさらに備えている。
【0031】
本発明のまたさらに他の態様によれば、特性がFPPの周波数及び圧力振幅からなる群から選択される。
【0032】
本発明のさらに他の態様によれば、調整手段が自動で制御される。
【0033】
本発明のまたさらに他の態様によれば、調整手段が手動で制御される。
【0034】
本発明のさらに他の態様によれば、圧力チャンバには、外部の圧縮空気源から圧縮空気が供給される。
【0035】
本発明のまたさらに他の態様によれば、ADDが持続的気道陽圧法(CPAP)治療に適合している。
【0036】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDがCPAP装置と統合されている。
【0037】
本発明のまたさらに他の態様によれば、ADDがCPAP装置に組み込まれている。
【0038】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDが呼吸パイプに組み込まれている。
【0039】
本発明のまたさらに他の態様によれば、ADDがマウスピースに組み込まれている。
【0040】
本発明のさらに他の態様によれば、ADDが吸気及び呼気の間、FPPを供給するように構成されている。
【0041】
本発明によれば、(a)表1〜表3に定義したプロトコルに従った所定の周波数でFPPを印加するように構成されたADDを得るステップと、(b)FPPを患者の口腔に印加するステップとを備えた、患者を治療する方法が提供される。
【0042】
本発明の他の態様によれば、(a)空気を第1の開口部(入力口)を介して圧力チャンバ内へ送り込む送風機と、第1の開口部及び圧力チャンバの第2の開口部(出力口)間に位置しており、圧力チャンバと流体連通して設けられた空気流の閉塞手段(AOM)と、第2の開口部(出力口)に流体連通している、患者のマウスピースと、動作中は、あらかじめ定められたプロトコルに従って前記FPPを患者の口腔に印加するべく、所定の周波数及び圧力で前記空気流を遮断し放出するように構成された、AOMの制御手段とを備えているADDを得るステップと、(b)マウスピースを患者の空気腔に係合させるステップと、(c)制御手段を含むあらかじめ定められたプロトコルを選択するステップと、(d)FPPがあらかじめ定められたプロトコルに従って患者の口腔に投与されるように、プロトコルを動作させるステップとを備えている方法が提供される。
【0043】
本発明のさらに他の態様によれば、この方法は、(a)圧力チャンバ内の空気を所定の周波数で振動させるために該圧力チャンバに空気振動手段(AVM)を提供するステップと、(b)患者の口腔に振動するFPPを供給すべく記AVMを動作させるステップとを備えている。
【0044】
本発明のまたさらに他の態様によれば、この方法は、周囲空気圧より高い圧力のFPPを供給するステップをさらに備えている。
【0045】
本発明のさらに他の態様によれば、この方法は、周囲空気圧より低い圧力のFPPを供給するステップをさらに備えている。
【0046】
本発明のまたさらに他の態様によれば、この方法は、ぜんそく、COPD及びCFからなる群から選択される健康状態を治療するに有用なADDを提供するステップをさらに備えている。
【0047】
本発明のさらに他の態様によれば、この方法は、(a)あらかじめ定められたプロトコルに従って所定の周波数でFPPを生成するステップと、(b)このFPPを患者の口腔に投与するステップとをさらに備えている。
【0048】
本発明の主たる特徴は、(a)ぜんそくプロトコル、COPDプロトコル及びCFプロトコルを含む群からプロトコルを選択するステップと、(b)このプロトコルを患者の口腔に投与するステップとをさらに含む方法を提供することにある。
【0049】
本発明の主たる態様は、FPPの周波数特性を正確に測定する手段及び方法を提供することにある。本発明さらなる態様は、装置の動作を患者又は医師が調整でき、校正でき、又は減衰できるように、上述したデータを装置のマイクロプロセッサに伝え、データを処理する手段及び方法を提供することにある。同様に、FPPの圧力振幅を正確に測定する手段及び方法を提供することも、本発明の主たる態様である。
【0050】
装置の動作を患者又は医師が調整でき、校正でき、又は減衰できるように、このデータを装置のマイクロプロセッサに伝え、データを処理する手段及び方法を提供することも本発明のさらなる態様である。FPPによる治療を改善するために、正又は負に圧力変化を制御する手段及び方法を提供することも本発明の主たる態様である。
【0051】
装置の動作を患者又は医師が調整でき、校正でき、又は減衰できるように、このデータを装置のマイクロプロセッサに伝え、データを処理する手段及び方法を提供することも本発明のさらなる態様である。
【0052】
FPPによる治療を改善するために、正又は負に空気流の方向を制御する手段及び方法を提供することも本発明の主たる態様である。装置の動作を患者又は医師が調整でき、校正でき、又は減衰できるように、このデータを装置のマイクロプロセッサに伝え、データを処理する手段及び方法を提供することも本発明のさらなる態様である。
空気流の方向は、全てが特定のプロトコルに従って、患者の呼気若しくは吸気と反対方向であるか同一方向であり得る。
【0053】
本発明によれば、さらに、ADDによってFPPを印加するプロトコルが提供される。このプロトコルは、(a)ADDを得ること、(b)表1〜表3に従った所定の周波数、圧力及び間隔で、FPPを患者の口腔に印加することを含む。
【0054】
本発明によれば、さらにまた、ADDを得ることを含み、このADDによってFPPを印加するプロトコルが提供される。このADDは(a)空気を第1の開口部(入力口)を介して圧力チャンバ内へ送り込む送風機と、(b)第1の開口部及び圧力チャンバの第2の開口部(出力口)間に位置しており、圧力チャンバと流体連通して設けられた空気流の閉塞手段(AOM)と、(c)第2の開口部(出力口)に流体連通している、患者のマウスピース又はフェイスマスクと、(d)AOMを制御し、動作させ、表1〜表3に従った周波数、圧力及び間隔でFPPを患者の口腔に印加する手段とを備え手いる。
【0055】
本発明のさらに他の態様によれば、前述の方法は、あらかじめ定められたプロトコルに従って特性を調整するFPPの特性を測定するステップをさらに備えている。
【0056】
本発明のまたさらに他の態様によれば、特性を測定するステップが、周波数測定及び圧力測定からなる群の少なくとも1つの要素を備えている。
【0057】
本発明のまたさらに他の態様によれば、特性を調整するステップが、自動で実行される。
【0058】
本発明のさらに他の態様によれば、特性を調整するステップが、手動で実行される。
【0059】
本発明を理解し、本発明がどのように実施されるかを知るために、複数の実施形態が非限定的な実施形態として、以下に述べる添付の図面を参照して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】空気伝達装置の概略図である。
【図2a】回転チョークモジュレータを備えた空気伝達装置の概略図である。
【図2b】回転チョークモジュレータを備えた空気伝達装置の概略図である。
【図2c】回転チョークモジュレータを備えた空気伝達装置の概略図である。
【図3a】ポケット式空気伝達装置の外観図である。
【図3b】ポケット式空気伝達装置の外観図である。
【図4a】呼吸器ホースを備えた空気伝達装置の外観図である。
【図4b】呼吸器マスクに接続されたホースを備えた空気伝達装置の外観図である。
【図4c】空気伝達装置の制御ユニットの外観図である。
【図5】空気伝達装置によって提供される圧力データのグラフである。
【図6】ポケット式空気伝達装置の概略断面図である。
【図7a】縦回転ディスク弁を備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図7b】縦回転ディスク弁を備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図8a】回転ディスク弁における相対的なディスク位置の概略図である。
【図8b】回転ディスク弁における相対的なディスク位置の概略図である。
【図9a】回転ディスク弁の概略断面図である。
【図9b】回転ディスク弁の概略断面図である。
【図10a】吸入器型モジュレータを備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図10b】吸入器型モジュレータを備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図11a】偏心空気モジュレータを備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図11b】偏心空気モジュレータを備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図11c】偏心空気モジュレータを備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図11d】偏心空気モジュレータを備えた空気伝達装置の概略断面図である。
【図12a】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12b】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12c】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12d】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12e】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12f】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12g】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12h】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図12i】圧縮空気ラインからの空気を供給する空気伝達装置の概略断面図である。
【図13a】CPAP装置と組合わされる空気伝達装置の概略図である。
【図13b】CPAP装置と組合わされる空気伝達装置の概略図である。
【図13c】CPAP装置と組合わされる空気伝達装置の概略図である。
【符号の説明】
【0061】
100、100a、100b、100c、100d、100e、100f、100g、100h 空気供給装置
105 ハウジング
110 マウスピース
110a 呼吸マスク
120 吸入/吐出弁
130 バッテリ
132、134 バッテリ電極
150、330 薬剤容器
160 送風機
170 モータ
180 チョーク
190 圧力逃し弁
220 呼吸ホース
230 キーパッド
240 ディスプレイ
250 本体部
260 スイッチ
270 薬剤1回分
280、280a チャンバ
290 回転ディスク
295、305 開口部
300 固定ディスク
310 空気パルスの列
340 一方向弁
350 制御装置
360a 開放容器
370 排出ノズル
400 偏心アクチュエータ
410 膜
430 パーソナルコンピュータ
440 通信線
450 圧縮空気ライン
460 CPAP装置
465 制御ボタン
470a 雄部
470b 雌部
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下の記載は、本発明の全ての章と共に、いかなる当業者も本発明を利用できるようにすると共に、本発明を実行する発明者により考察された最良の形態を提供するものである。しかしながら、本発明の一般的な原理を空気伝達装置及びこの空気伝達装置を使用する方法を提供するために特に規定しているため、種々の変更態様が適用できることは当業者にとって明らかである。
【0063】
以下、用語「ぜんそく」は、しばしば1つ又はそれ以上の誘因によって、気道が時々収縮して炎症を起こし過剰量の粘液で満たされる呼吸器系疾患を含む慢性状態を表す。これらの症状の発現は、例えば、アレルゲン、間接喫煙、冷気若しくは暖気、香水、ペットのふけ、湿り空気、運動若しくは激しい活動、又は情緒的ストレス等の環境刺激への暴露等により誘発されるかもしれない。児童において、最も一般的な誘因は、風邪の原因となるようなウイルス性疾患である。気道が狭くなると、喘鳴、息切れ、胸部緊張、及び咳嗽のごとき症状を引き起こす。気道の収縮は、気管支拡張薬に応答する。誘因の間では、多くの患者は、気分がよいが軽度の症状を有するかもしれず、長時間の運動の後は、非罹患者よりも息切れするかもしれない。軽度のものから命にかかわるものまでの範囲がある、ぜんそくの症状は、薬及び環境変化の組合せにより通常は制御可能である。
【0064】
以下、用語「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」は、気道の狭窄を来す肺の疾患を表す。この疾患は、肺への及び肺からの空気の流れを制限し息切れを引き起こす。ぜんそくに比較して、空気流の制限は、あまり可逆的ではなく、通常、時間の経過と共に徐々に悪化する。COPDは、最も一般的には喫煙からの、有害粒子又はガスによって生じ、肺の異常な炎症反応を誘発する。より太い気道における炎症反応は、慢性気管支炎として知られており、人が一定間隔で痰を喀出するときに臨床的に診断される。肺胞において、炎症反応は、肺気腫として知られている、肺組織の破壊を引き起こす。COPDの自然経過は、そのほとんどが感染症又は大気汚染によって生じ、急性憎悪と呼ばれる症状の偶発的な急激の悪化として特徴づけられる。
【0065】
以下、用語「嚢胞性線維症(CF)」又は「嚢胞性肺線維症」は、多臓器障害のために進行性の身体障害の原因となり、肺、肝臓、膵臓及び腸の外分泌(粘液)腺に作用する遺伝性疾患を表す。適格ではない免疫系の場合と同様に、厚い粘液の生成は、頻繁に肺感染症をもたらす。膵臓酵素の分泌減少は、成長不全、脂肪性下痢、及び脂溶性ビタミンの欠乏の主要な原因である。男性は、精管の先天的な相互欠如疾患により、生殖力がなくなり得る。CFの症状は、多くの場合、幼年期及び小児期に現れる。胎便性イレウスは、CFをもつ新生児に典型的に見られる。嚢胞性線維症であるかは、遺伝子のテストによって出生前に診断可能である。新生児のスクリーニングテストは、ますます一般的となりかつ効果的である(偽陽性が発生するかもしれず、小児は疾患状態であるかキャリア状態であるかを判別するために汗試験を行う必要があるが)。若干の偽陽性の発生する場合があるが、高い塩濃度が汗試験で見つかった場合、CFとの診断を確認することができる。CFに対する治療法はなく、嚢胞性線維症をもつ大部分の患者は若くして死ぬ(肺不全から多くは20代及び30代で)。しかしながら、多くの新たな治療法が連続的に導入されるにつれて、CFをもつ人の平均寿命は、40代又は50代の年齢へと高くなっている。CFが悪化すると、多くの場合、肺移植が必要となる。嚢胞性線維症は、最も一般的な寿命短縮の1つである、小児期発症遺伝性疾患である。米国においては、3,900人の児童のうちの1人がCFをもって出生している。ヨーロッパ人及びアシュケナージ系ユダヤ人に最も多く見られるが、ヨーロッパ人子孫の22人のうちの1人が、これらの人々に最も一般的な遺伝的疾患を招くCFの1つの遺伝子のキャリアである。アイルランドは、世界中でCFキャリアを有する率が最も高い(19人に1人)。CFは、嚢胞性線維性膜貫通調節因子(CFTR)と称される遺伝子の突然変異によって発症する。この遺伝子の生成物(副産物、product)は、汗、消化液及び粘液を生成する際に重要な塩化物イオンチャネルである。CFではない大部分の人々はCFTR遺伝子の2つの正常に機能するコピー(対立遺伝子)を有しているが、1つのみが嚢胞性線維症を予防するために必要である。いずれの対立遺伝子も役に立つCFTRタンパク質を生成できないときに、CFは発現する。従って、CFは、常染色体劣性疾患と考えられる。
【0066】
以下、用語「肺活量測定」(呼吸測定を意味する)は、肺機能の測定、特に吸入及び吐出可能な空気の量(容積)及び/又は速度(流量)の測定である、最も一般的な肺機能検査(PFT)を表す。肺活量測定は、例えば、ぜんそく、肺線維症、CF及びCOPD等の健康状態を評価するべく呼吸気流図を作成するために使用する重要なツールである。肺活量測定試験は、いくつかの異なる形式で提供される肺活量計なる装置を使用して実行される。大部分の肺活量計は、以下のグラフを表示する、
(a)X軸に沿って時間(秒)を、Y軸に沿って容積(リットル)を示す容積−時間曲線、
(b)X軸に吸気又は呼気の全容積を、Y軸に空気流の速度をグラフを使って示す流量−容積曲線。
【0067】
以下、用語「吸引装置」(排出噴射ポンプ、又は濾過ポンプとも称される)は、ベンチュリ効果によって真空を発生させる装置を表す。吸引装置において、流体(液体又は気体)は、狭くなっていく管の中を流れる。管が狭くなっていくと流体の速度は増加し、ベンチュリ効果によってその圧力が減少する。真空はこれによって得られる。
【0068】
以下、用語「陽性気道圧」(PAP)は、睡眠時無呼吸の処置に主として使用され、最初に開発された呼吸器換気方法を表す。PAP換気は、また、呼吸不全で入院している重病の患者及び生まれたばかりの乳児(新生児)における重病の患者に一般的に用いられる。これらの患者に対してPAP換気は、気管内挿管が必要となることを防止できるか、又は早期の抜管を可能にする。時として、神経筋疾患の患者が、この種の換気を同様に使用する。
【0069】
本発明のために、以下、用語「治療プロトコル」は、提供される流体圧パルス(FPP)の周波数及び振幅、治療期間、並びに任意に空気流に挿入される薬剤を無制限に規定した治療手技の解説を表す。
【0070】
本発明の主たる特徴点
表1のプロトコルに従い所定の周波数の流体圧パルス(FPP)を患者の口腔に印加する手段及び方法を提供することが、本発明の主たる目的である。
【0071】
本発明による以下の3つの主たる特徴点は、本発明を従来技術から明確にかつきっぱりと区別する、
(1)第1に、本発明により提供されるFPPは、実際には、空気流を「たたき切り(chop)」かつ遮断するシャッタ動作により生成される独立した圧縮空気パケットである。本明細書及び図面に記載されているように、本発明の実施形態においては、これは空気流閉塞手段(AOM)によってなされる。従来技術においては、通常、ピストン又はインペラにより非常に異なる種類のパルスが生成される。その場合、空気の噴出即ち激発がインペラによって生じ前方へ発射される。このような噴出間の圧力変化は、急激ではなく波状である。
(2)第2に、本発明は、所定の周波数及び圧力で、かつ患者の自然の呼吸数に依存しない所定の方法で、患者の口腔にFPPを供給する。吸気及び呼気のFPPを受けとる間、患者は通常に呼吸する。吸気の間、供給されるFPPは吸われる空気と同じ方向にあり、呼気の間、FPPは吐かれる空気の抵抗に対応する。両方の状況が治療的効果を有している。
(3)本発明における第3の重要な特徴点は、ここに記載された疾患、特にぜんそく、COPD、CFのための、オーダーメードのプロトコルにある。
【0072】
図1は、所定のプロトコルに従ってFPPを患者の口腔に印加するための空気供給装置100を示している。この装置100は、バッテリ130を収容しているハウジング105、送風機160、薬剤容器150、及び、吸入/吐出弁120を備えている。バッテリ130により付勢される送風機160は、ハウジング105内に空気を送り込む。空気は、弁120を介して、マウスピース110又はあらゆる種類の呼吸マスクから排出される。これにより、装置100は、ヒト口腔に流体接触した状態で、ヒト肺におけるガス交換の増大を活性化する空気圧を供給する。
【0073】
図2a〜図2cは、回転するチョーク180を備えた本発明の実施形態を示している。送風機160は空気流を生成し、この空気流の空気圧が回転するチョーク180によって変調される。過剰な圧力は弁190を介して排出される。図2a〜図2cは、回転するチョークの異なる回転位置を示している。チョークの回転は、ヒト肺のガス交換増大のためにヒト口腔に供給される圧力を変調する。
【0074】
図3a〜図3bは、薬剤容器150を備えている(図3b)及び備えていない(図3a)2つの実施形態の外観を示している。マウスピース110から排出される空気流は、ヒト肺に吸入される薬剤を選択自由に含んでいる。この薬剤は、薬剤容器150から空気流内に投薬される。
【0075】
図4a〜図4cは、呼吸ホース220とマウスピース110又は呼吸マスク110aとを備えた空気供給装置を示している。本体部250は、送風機160、キーパッド230及びディスプレイ240を備えている。患者又は医師は、所定の圧力プロトコルを有する空気流を提供するようにこの空気供給装置をプログラムすることができる。この空気供給装置は、ぜんそく、COPD及びCFのごとき気道疾患の治療に適合した多数の治療的なプロトコルのためにあらかじめプログラムされている。気道の他の疾患についても、同様に、本発明の範囲に含まれる。
【0076】
図5は、患者の口腔に供給される圧力の時間依存特性を表すグラフである。提案した技術的解決法によれば、供給された圧力のプロフィールは、吸入及び吐出にそれぞれ対応した高低振幅の交番する空気パルスのシーケンスを含んでいる。空気パルスの振幅及び繰返し率は、患者又は医師により、治療された疾患に従ってあらかじめプログラムされる。
【0077】
図6は、空気供給装置100の概略断面を示している。ハウジング105は、バッテリ130、薬剤容器150、及びスイッチ260により制御される送風機160を収容している。マウスピース110又はあらゆる種類の呼吸マスクを介して患者の口内に供給される薬剤1回分270は、送風機160によって送り込まれる空気と混合される。
【0078】
図7aは、2枚のディスク、特に固定ディスク300及び回転ディスク290によって構成される回転ディスク弁を備えた空気供給装置100aの概略断面を示している。送風機160は、バッテリ130により付勢され、被制御ユニット350に接続されているスイッチ260により制御される。この送風機160は、空気を、周囲の空間からチャンバ280内へ送り込む。制御装置350は、所定のプロトコルに従って空気パルスを供給するために、あらかじめプログラムされている。空気パルスは、回転ディスク弁によって生成される。回転ディスク290は、モータ170によって動きだす。従って、空気供給装置100aは、マウスピース110を介して患者の口腔(図示せず)内に空気パルスの列310を供給する。圧力逃し弁190は出力圧が所定値を超えるのを防止する。超過分の圧力は、この圧力逃し弁190によって排出される。ディスクは、空気流をたたき切りするシャッタのように作用すると説明できる。
【0079】
図7bは、空気供給装置100bが、その容器330内に収容された薬剤を投与するように適合された一方向弁340を備えた薬剤容器330をさらに有している本発明の実施形態を示している。この薬剤は、送風機160によって送り込まれる空気と混合される。
【0080】
図8a〜図8bは、回転ディスク弁の動作原理を説明している。回転ディスク290及び固定ディスク300は、開口部295及び305をそれぞれ有している。回転ディスク290は、固定ディスク300に対して相対的に回転する。開口部は、周期的に重なり合い、これにより、弁を介して空気が通過できるようにしてシャッタ効果を得ている。図8a及び図8bは、それぞれ、開口部が重なり合う位置及び重なり合わない位置にある、ディスク290及び300の位置を示している。カメラのシャッタのように、図8aは弁が開成した状態に対応しているディスク位置を、図8bは弁が閉成した状態に対応しているディスク位置を示している。このように、ディスク290を回転させて開成状態及び閉成状態を交番させることにより、空気パルスのシーケンスが供給される。この回転頻度(rpm)が、上述した空気パルスの繰返し周波数を規定する。この回転頻度は、Avni効果として公知である。
【0081】
図9a〜図9bは、回転ディスク弁の構成を説明している。上述したように、開口部の重なり合う位置及び重なり合わない位置が、回転ディスク弁の開成状態及び閉成状態にそれぞれ対応している。図9aは、弁の閉成状態である、ディスク290及び300の開口部が重なり合わない状態を示している。図9bは、ディスクの開口部が重なり合っているため、チャンバ280内に収容されている空気がマウスピース110内を通過することができるディスク290及び300の位置を示している。
【0082】
図10a〜図10bは、方向変換可能な排出ノズル370を備えた空気供給装置100cの実施形態を示している。図10aによれば、排出ノズル370は、回転ディスク弁の方向を向いており、送風機160によって供給された空気を分配する。ノズル370から分配された圧縮空気は、開放容器360a内に収容されている回りの空気を引っ張っていく。この空気は、空気パルスのシーケンスを生成する回転ディスク弁を通過する。図10bは、方向変換可能な排出ノズル370が反対方向を向いている空気供給装置を示している。容器360a内に収容されている空気を排出ノズル370から分配される空気によって引っ張ることによって、空気の希薄化又は減圧化がなされる。空気は、回転ディスク弁を介して人間の口腔から取り除かれる。従って、空気供給装置100cは、人間の気道の治療に有効となる、口腔内で交番する空気の加圧化/希薄化(又は減圧化)を提供する。
【0083】
図11a〜図11dは、偏心アクチュエータ400及び膜410によって構成される偏心空気変調器を備えている空気供給装置100dの実施形態を示している。送風機160からの空気流の圧力は、図11a及び図11bにそれぞれ示す位置A及びB間を移動する膜410によって変調される。これにより、人間の口腔に吸入されるための空気の圧力は、高周波で変調される。
【0084】
図11cは、偏心空気変調器の動作を明確に示している。偏心アクチュエータ400は、空気流の圧力を高周波変調する膜410を周期的に運動させる。枢動する偏心アクチュエータ400は、膜410を往復駆動する。
【0085】
図11dは、患者の口腔に供給される空気の空気圧を変調する2つの手段、具体的には回転ディスク弁及び偏心空気変調器、を備えている空気供給装置100eの実施形態を示している。空気供給装置100eは、供給される空気の圧力を2つの周波数で同時に変調することが可能である。
【0086】
図12a〜図12cは、本発明の具体的な実施形態として、睡眠無呼吸患者のPAP療法を提供するための空気供給装置100fを示している。この解決技術は、圧縮空気ライン450からの空気を供給する空気供給装置を備えるものである。この空気供給装置は、FPPをマウスピース110を介して患者の口腔内に供給する。上述した治療プロトコルは、パーソナルコンピュータ430により、通信線440を介して制御装置350へ送られる。制御装置350は、バッテリ130により付勢される電気モータ170を制御する。ディスク290は、ギア420を介してこのディスク290と機械的に接続されている電気モータ170によって駆動される。回転ディスク290は、あらかじめ定められたプロトコルに従ってFPPを供給する主要ライン450を介して送られる圧縮空気が満たされたチャンバ280aを周期的に開閉する。図13a及び図13bは、閉状態及び開状態の空気供給装置をそれぞれ示している。
【0087】
図12d及び図12eは、上述した実施形態における空気供給装置100fの一部分解図を示している。具体的には、雄部及び雌部470a及び470bを示している。さらに、バッテリ電極132及び134は、バッテリ電圧を取り出すように設計されている。
【0088】
図12fは、本発明の実施形態として、CPAP(持続的気道陽圧法)装置460に接続されており、この装置から圧縮空気が供給される空気供給装置100gを示している。この空気供給装置100gは、家庭において使用できる。
【0089】
図12g〜図12iは、空気パイプ450及びCPAP装置460の接続構成を示している。この装置460は、供給された圧縮空気を湿らせるように構成することもできる。制御ボタンが、参照番号465によって示されている。図12iは、このCPAP装置の異なる態様を示している。
【0090】
提案した装置は、睡眠無呼吸患者の空気治療に適している。この装置は、CPAP治療装置の大量生産のOEM装置として使用可能である。
【0091】
図13a〜図13cは、CPAP装置460と組合せた空気供給装置の他の例示的実施形態を示している。図13aに示すように、装置100hは、CPAP装置(ADDはCPAP装置自体のハウジングの少なくとも一部)と統合される。本発明の他の実施形態によれば、装置100hは、空気パイプ450内に配置される。装置100hのマウスピース110への統合も本発明の範囲内である。当業者にとって、ADDとCPAP装置との他の組合せが実際に可能であり本発明の範囲内であるように充分な記載がなされていることはここに認識される。このADDが相手先商標製品製造(OEM)として、又は販売後に、CPAP装置と組合わせられるかもしれないことも認識される。この種の組合せが可逆的でもよいこともさらに認識される。換言すれば、ADDは、CPAPシステム又はCPASP装置のいかなる部分内にも、クリップするか、スロットに入れるか、又は統合若しくは組み込むことが可能である。
【0092】
FPPの周波数特性を正確に測定する手段及び方法を提供する本発明の主たる態様を以下に説明する。装置の動作を患者又は医師が調整でき、校正でき、又は減衰できるように、上述したデータを装置のマイクロプロセッサに伝え、データを処理する手段及び方法を提供することは本発明のさらなる態様である。同様に、FPPの圧力振幅を正確に測定する手段及び方法を提供することも、本発明の主たる態様である。装置の動作を患者又は医師が調整でき、校正でき、又は減衰できるように、このデータを装置のマイクロプロセッサに伝え、データを処理する手段及び方法を提供することも本発明のさらなる態様である。FPPによる治療を改善するために、正又は負に圧力変化を制御する手段及び方法を提供することも本発明の主たる態様である。装置の動作を患者又は医師が調整でき、校正でき、又は減衰できるように、このデータを装置のマイクロプロセッサに伝え、データを処理する手段及び方法を提供することも本発明のさらなる態様である。
【実施例】
【0093】
医学的検査試験は、イスラエル肺疾患学会長、カプラン医療センター肺疾患研究所長のガーションフィンク博士によって行われた。
【0094】
治療は、表1〜表3に示すあらかじめ定められたプロトコルに従って、空気パケットのシーケンス(異なる反復周波数及びパルス振幅を有する個々の波列)を供給することによって行われた。周波数は、電子的に制御された。これにより、各空気パケットを正確な周波数及び圧力で供給することができた。空気パケットは、あらかじめ指定された時間だけ供給された。
【0095】
学説に制約されることなく、異なる反復周波数及びパルス振幅を有する個々の波列によって、肺組織の種々の要素に特別の治療効果、例えば、気管支平滑筋及び血管の弛緩、気道の粘液クリアランス、肺血管圧の低減等、が得られた。
【0096】
空気供給装置の即時効果は、慢性気管支炎の7人の患者に対して考察された。基本的な肺機能検査(PFT)が試験の開始前に実行された。7人の患者のうちの6人において、PFT結果が異常であった。
【0097】
全ての患者は、基本的な息切れ、呼吸困難、及び粘液クリアランス困難を有していた。
【0098】
各人は、1回18分で装置を使用し、次いで穏やかな運動(歩行)を30分行った。
【0099】
PFT及び口頭の面接が、その後に行われた。さらに24時間後に面接が行われた。
【0100】
即時効果結果
6人の患者のうちの4人には、肺機能(FEVl及びFVC)の改善が見られた。
【0101】
FEVlの改善は、約7%〜約25%の範囲であった。
【0102】
6人のうちの2人には、PFTの変化がなかった。正常なPFTを有する人の機能は変化しなかった。
【0103】
1回目の面接において、使い易さについては、全参加者により確認された。いずれの参加者からも、即時の副作用についての報告はなかった。何人かが、満足できる健康度の増大、及び即時の粘液分泌を報告した。
【0104】
治療面接後の24時間
大部分の患者は、より良好な一般的な健康問題の意識を有していた。
【0105】
具体的には、
呼吸の容易性の向上、
より少ない息切れ、
痰の出の増加、
を感じた。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表1〜表3のプロトコルに従った所定の周波数で、流体圧パルス(FPP)を患者の口腔に印加するための空気供給装置(ADD)。
【請求項2】
a)空気を第1の開口部(入力口)を介して圧力チャンバ内へ送り込む送風機と、
b)前記第1の開口部及び前記圧力チャンバの第2の開口部(出力口)間に位置しており、前記圧力チャンバと流体連通して設けられた空気流の閉塞手段(AOM)と、
c)前記第2の開口部(出力口)に流体連通している、患者のマウスピース又はあらゆる種類のフェイスマスクと、
d)動作中は、あらかじめ定められたプロトコルに従って前記FPPを患者の口腔に印加するべく、所定の周波数及び圧力で前記空気流を遮断し放出するように構成された、前記AOMの制御手段と、
を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項3】
前記圧力チャンバが、前記患者の前記口腔に振動変調されたFPPを供給するべく、前記圧力チャンバ内のガス状流体を所定の周波数で振動させるように構成されているガス状流体振動手段(GFVM)をさらに備えている請求項2に記載のADD。
【請求項4】
前記FPPの圧力が、周囲のガス状流体の圧力より大きい請求項2に記載のADD。
【請求項5】
前記FPPの圧力が、周囲のガス状流体の圧力より小さい請求項2に記載のADD。
【請求項6】
肺疾患の治療に有効な請求項1に記載のADD。
【請求項7】
前記肺疾患が、ぜんそく、COPD及びCFからなる群から選択される請求項1に記載のADD。
【請求項8】
前記プロトコルが、ぜんそくプロトコル、COPDプロトコル及びCFプロトコルを含む群から選択される請求項1に記載のADD。
【請求項9】
前記ガス状流体が、空気、酸素、窒素、亜酸化窒素、二酸化炭素、希ガス、薬剤増量流体、麻酔薬増量流体、粒子(例えば、食塩結晶)、微粒子、ナノ粒子、増量剤、流動物質、氷晶リポソーム、小胞、粘着付与剤、増粘剤、粘液の粘性減少剤、粘液の粘性増加剤、あらゆる植物又は微生物源からの微粒子、遺伝子組替えDNA、遺伝子組替えDNAを含む生物学的ベクター、抗体、タンパク質、ペプチド、酵素、ホルモン類、因子、共同因子、炭水化物、糖タンパク質、リポタンパク質、及び不水溶性剤からなる薬剤許容物質の群から選択される1つであるか又は2つ若しくはそれ以上の流体の混合物である請求項1に記載のADD。
【請求項10】
ガス加熱又は冷却手段を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項11】
ガス加湿又は除湿手段を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項12】
薬用溶液を含む前記ガスを加湿する手段を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項13】
ガス流を集束させる手段、特にベンチュリ型集束器及び流体流促進器を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項14】
乱流誘発手段、バッファ手段及び層流誘発手段からなる群から選択される空気流制御手段を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項15】
喉頭鏡又は鼻カニューレを介してFPPを肺又は気管支へ直接的に供給する手段を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項16】
呼吸パラメータの測定手段及び分析手段を備えている請求項1に記載のADD。
【請求項17】
前記呼吸パラメータが、強制肺活量、1秒間の強制呼気量、最大呼気流量、強制呼気流量の25〜75%又は25〜50%、強制吸気流量の25〜75%又は25〜50%、強制呼気時間、ゆっくり排気測定した肺活量、1回換気量、及び最大換気量からなる群から選択される請求項1に記載のADD。
【請求項18】
前記呼吸パラメータの変化を分析し、前記適用された治療プロトコルを最適化するように構成されている請求項1に記載のADD。
【請求項19】
前記測定手段が、前記患者の気道内の検出空気流に対応する電気信号を生成するように構成されている少なくとも1つのセンサを備えている請求項1に記載のADD。
【請求項20】
前記センサが、音響波を検出し、対応する電気信号を前記分析手段に送信するように構成されている少なくとも1つのトランスデューサである請求項1に記載のADD。
【請求項21】
前記分析手段が、検出した呼吸パラメータに従って前記治療プロトコルを変化させるように構成されている請求項1に記載のADD。
【請求項22】
前記FPPの特性を測定する手段をさらに備えている請求項1に記載のADD。
【請求項23】
あらかじめ定められたプロトコルに従って前記特性を調整する手段をさらに備えている請求項1に記載のADD。
【請求項24】
前記特性がFPPの周波数及び圧力振幅からなる群から選択される請求項1に記載のADD。
【請求項25】
前記調整手段が、自動で制御される請求項1に記載のADD。
【請求項26】
前記調整手段が、手動で制御される請求項1に記載のADD。
【請求項27】
前記圧力チャンバには、外部の圧縮空気源から圧縮空気が供給される請求項1に記載のADD。
【請求項28】
持続的気道陽圧法(CPAP)治療に適合している請求項27に記載のADD。
【請求項29】
CPAP装置と統合されている請求項28に記載のADD。
【請求項30】
CPAP装置に組み込まれている請求項29に記載のADD。
【請求項31】
呼吸パイプに組み込まれている請求項29に記載のADD。
【請求項32】
マウスピースに組み込まれている請求項29に記載のADD。
【請求項33】
吸気及び呼気の間、前記FPPを供給するように構成されている請求項1に記載のADD。
【請求項34】
(i)表1〜表3に定義したプロトコルに従った所定の周波数で前記流体圧パルス(FPP)を印加するように構成された空気供給装置(ADD)を得るステップと、
(ii)該FPPを患者の口腔に印加するステップと
を備えた、患者を治療する方法。
【請求項35】
a)空気を第1の開口部(入力口)を介して圧力チャンバ内へ送り込む送風機と、前記第1の開口部及び前記圧力チャンバの第2の開口部(出力口)間に位置しており、前記圧力チャンバと流体連通して設けられた空気流の閉塞手段(AOM)と、前記第2の開口部(出力口)に流体連通している、患者のマウスピースと、動作中は、あらかじめ定められたプロトコルに従って前記FPPを患者の口腔に印加するべく、所定の周波数及び圧力で前記空気流を遮断し放出するように構成された、前記AOMの制御手段とを備えているADDを得るステップと、
b)前記マウスピースを前記患者の空気腔に係合させるステップと、
c)前記制御手段を含むあらかじめ定められたプロトコルを選択するステップと、
d)FPPが前記あらかじめ定められたプロトコルに従って前記患者の口腔に投与されるように、前記プロトコルを動作させるステップと、
を備えている請求項34に記載の方法。
【請求項36】
a)前記圧力チャンバ内の空気を所定の周波数で振動させるために該圧力チャンバに空気振動手段(AVM)を提供するステップと、
b)前記患者の前記口腔に振動するFPPを供給すべく前記AVMを動作させるステップと、
を備えている請求項34に記載の方法。
【請求項37】
周囲空気圧より高い圧力の前記FPPを供給するステップをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項38】
周囲空気圧より低い圧力の前記FPPを供給するステップをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項39】
ぜんそく、COPD及びCF並びに他の肺疾患からなる群から選択される健康状態を治療するに有用なADDを提供するステップをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項40】
a)ぜんそくプロトコル、COPDプロトコル及びCFプロトコル並びに前記他の肺疾患に関連する他のプロトコルを含む群から前記プロトコルを選択するステップをさらに備えており、あらかじめ定められたプロトコルに従って所定の周波数でFPPを生成するステップと、
b)前記FPPを患者の口腔に投与するステップと、
をさらに備えている請求項39に記載の方法。
【請求項41】
a)空気供給装置(ADD)を得ること、
b)表1〜表3に従った所定の周波数、圧力及び間隔で、流体圧パルス(FPP)を患者の口腔に印加すること
を含み、前記ADDによって前記FPPを印加するプロトコル。
【請求項42】
i)空気を第1の開口部(入力口)を介して圧力チャンバ内へ送り込む送風機と、
ii)前記第1の開口部及び前記圧力チャンバの第2の開口部(出力口)間に位置しており、前記圧力チャンバと流体連通して設けられた空気流の閉塞手段(AOM)と、
iii)前記第2の開口部(出力口)に流体連通している、患者のマウスピースと、
iv)前記AOMを制御し、動作させ、表1〜表3に従った周波数、圧力及び間隔で流体圧パルス(FPP)を患者の口腔に印加する手段と
を備えた空気供給装置(ADD)を提供することを含み、該ADDによって前記FPPを印加するプロトコル。
【請求項43】
呼吸パラメータを測定するステップと、該パラメータを分析するステップとをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項44】
呼吸パラメータを測定する前記ステップが、強制肺活量、1秒間の強制呼気量、最大呼気流量、強制呼気流量の25〜75%又は25〜50%、強制吸気流量の25〜75%又は25〜50%、強制呼気時間、ゆっくり排気測定した肺活量、1回換気量、及び最大換気量からなる群から選択される呼吸パラメータを測定することを含む請求項34に記載の方法。
【請求項45】
前記呼吸パラメータの変化を分析し、前記適用された治療プロトコルを最適化するステップをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記呼吸パラメータを測定する前記ステップが、前記患者の気道内の検出空気流に対応する電気信号を生成することをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記FPPの特性を測定するステップをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項48】
あらかじめ定められたプロトコルに従って前記特性を調整するステップをさらに備えている請求項34に記載の方法。
【請求項49】
前記特性を測定するステップが、周波数測定及び圧力測定からなる群の少なくとも1つの要素を備えている請求項34に記載の方法。
【請求項50】
前記特性を調整するステップが、自動で実行される請求項34に記載の方法。
【請求項51】
前記特性を調整するステップが、手動で実行される請求項34に記載の方法。
【請求項52】
圧力チャンバに、外部の圧縮空気源から圧縮空気が供給される請求項34に記載の方法。
【請求項53】
前記ADDがCPAP装置と統合される請求項34に記載の方法。
【請求項54】
前記ADDがCPAP装置に組み込まれる請求項34に記載の方法。
【請求項55】
前記ADDが呼吸パイプに組み込まれる請求項34に記載の方法。
【請求項56】
前記ADDがマウスピースに組み込まれる請求項34に記載の方法。
【請求項57】
吸気及び呼気の間、前記FPPを供給するステップをさらに備えている請求項34に記載の方法。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図12d】
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【図12e】
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【図12f】
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【図12g】
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【図12h】
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【図12i】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【公表番号】特表2013−507147(P2013−507147A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529679(P2011−529679)
【出願日】平成21年10月11日(2009.10.11)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000961
【国際公開番号】WO2010/038233
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511086238)レスピノヴァ リミテッド (2)