説明

脊柱インプラント

【課題】弾性接続要素を有する安定化領域と、剛性接続要素を有する剛性領域とを、最も簡単な方法で互いに分離可能に接続するように、脊柱の椎体の安定化および固定のための脊柱インプラントを設計することにある。
【解決手段】脊柱インプラント1は、椎体に螺合可能な第1骨ネジ6と、同様に椎体に螺合可能な第2骨ネジ2とを備える。第1接続要素8は剛性であり、第1骨ネジ6の第1受け取り手段7に固定可能である。第2接続要素5は弾性であり、第2骨ネジ2の第2受け取り手段4に固定可能である。第1接続要素8は結合手段9を介して第2接続要素5と接続される。そのために、第1部10を有する結合手段9は、第2接続要素5の端部11を保持する第2骨ネジ2に取り外し可能に取り付けられる。さらに第1部10と向かい合う第2部12を有する結合手段9は、第1接続要素8の端部13と接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脊柱の椎体の安定化および固定のための脊柱インプラントに関し、脊柱に螺合可能なねじ込み部分と、第1受け取り手段とからなる複数の第1骨ネジと、椎体に螺合可能なねじ込み部と、第2受け取り手段とからなる複数の第2骨ネジと、剛性であり(grid)、第1骨ネジの第1受け取り手段に挿入可能であり、そこに固定可能である複数の第1接続要素と、弾性であって、第2骨ネジの第2受け取り手段に挿入可能であり、そこに固定可能である複数の第2接続要素と、いずれもが(in each case)第1接続要素と第2接続要素とを互いに結合する複数の結合要素とを備える。
【背景技術】
【0002】
このような脊柱インプラントは種々の設計で知られている。これらの脊柱インプラントによって達成されるのは、脊柱において椎体の一部を剛性的に(grid)安定化することができる一方で、他の一部において椎体を固めることなくシステムの弾性構造によって支持して安定化することである。椎体を剛性的に安定化した領域において望ましいことは、椎体の補強なしに弾性的な安定化を生じさせつつ、影響を受けて安定化された椎体の骨の成長が達成されることである。
【0003】
このような脊柱の椎体の安定化および固定のための脊柱インプラントは、例えば特許文献1により既知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1961392号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
所定時間後に、もし、脊柱インプラントによって補強または強固にされた椎体の、互いについての成長及び骨化が進むことで、本来的な安定が存在すれば、脊柱インプラントの固定領域はもはや必要ではない。むしろ、これらは余分であって邪魔になり得る。各成長プロセス後に、脊柱インプラントのこれらの固定領域が弾性安定化領域から完全に分離すれば、或いは必要なら更にこれらの固定領域が取り除かれれば、意味があるだろう。一方で、椎体を安定化させる脊柱インプラントの領域は、この支持安定化効果をさらに発揮できるように、維持されるべきである。脊柱インプラントの固定領域及び安定化支持領域を簡単な方法で互いに分離させることが求められる。これは公知の方法では成し遂げられない。
【0006】
本発明の目的は、弾性接続要素を有する安定化領域と、剛性接続要素を有する剛性領域とを、最も簡単な方法で互いに分離可能に接続するように、脊柱の椎体の安定化および固定のための脊柱インプラントを設計することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、第1部を有する結合手段が取り外し可能に第2骨ネジに取り付けることができること、第2接続要素の端部が第2骨ネジにおいて保持されること、及び、第1部と向かい合う第2部を有する結合手段が第1接続要素の端部と接続されること、によって達成される。
【0008】
この解決法によって、簡単な方法で、脊柱インプラントの剛性領域を安定化弾性領域から分離することができる。第2骨ネジと弾性の第2接続要素の端部とは外科的介入の間に接続されたままである。よって、脊柱インプラントのこの弾性領域の安定化能力については変化しない。
【0009】
望ましくは、結合手段の第1部は、第2受け取り手段に配置可能な応力手段を介して、第2受け取り手段に誘導されて挿入可能な応力要素を備え、第2受け取り手段に挿入される第2接続要素に応力をかけることができる。
【0010】
本発明の他の有利な態様は、ノーズタイプの突出部がネジ孔を備えることにある。ネジ孔には追加応力ネジが螺合可能である。ノーズタイプの突出部は追加応力手段の第2応力ネジと第1接続要素との間で突出する。接続要素に対するノーズタイプの突出部の位置は調整され、これによって例えば異なる径を有する第1接続要素を用いることができる。
【0011】
本発明のさらなる有利な態様は、第2接続要素が長手方向の軸に実質的に横切るように延びるリッジ及び溝を有することにある。第2接続要素に向かう第2受け取り手段と応力手段の表面とは、第2接続要素のリッジと溝とに対応した溝とリッジとを備える。これによって、最適な方法で、第2接続要素と第2骨ネジの第2受け取り手段との間のぴったりとした接続を達成できる。
【0012】
以下に本発明の態様を、添付図面を参照しつつ例を挙げてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】3次元表示において、本発明にかかる脊柱インプラントの一部の第1の態様を示す図である。
【図2】3次元表示において、本発明にかかる脊柱インプラントの応力手段を有する第2骨ネジを示す図である。
【図3】図2にかかる応力手段を通る断面図である。
【図4】3次元表示において、結合手段の個々の要素を示して図1にかかる脊柱インプラントを示す図である。
【図5】図1にかかる脊柱インプラントの追加応力手段を通る断面図である。
【図6】3次元表現において、図1にかかる脊柱インプラントの応力要素を上から見た図である。
【図7】3次元表現において、図6にかかる応力要素を下から見た図である。
【図8】3次元表現において、結合手段を個々の構成要素で示して、本発明にかかる脊柱インプラントの一部の第2の態様を示す図である。
【図9】図8にかかる脊柱インプラントの応力手段を通る断面図である。
【図10】3次元表現において、図8にかかる脊柱インプラントの応力要素を上から見た図である。
【図11】3次元表現において、図10にかかる応力要素を下から見た図である。
【図12】3次元表現において、結合手段を個々の構成要素で示して、本発明にかかる脊柱インプラントの一部の第3の態様を示す図である。
【図13】図12にかかる脊柱インプラントの応力手段を通る断面図である。
【図14】3次元表現において、図12にかかる脊柱インプラントの応力要素を上から見た図である。
【図15】3次元表現において、図14にかかる応力要素を下から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の実施の形態.
図1から見て分かるように、本発明にかかる脊柱の椎体の安定化及び固定のための脊柱インプラント1の一部分は、第2骨ネジ2からなる。第2骨ネジ2の各々は、ねじ山を有するねじ込み部3と、第2受け取り手段4とを備えている。ねじ込み部3を有するこの種の第2骨ネジ2は、既に知られているように、脊柱の椎体に螺合可能である。第2受け取り手段4には第2接続要素5が挿入され、第2接続要素5が強固に固定される。この第2接続要素5はロッド状の形状を有し、弾性材料、例えば生物適合性のあるポリウレタンベースの合成物質で作られている。
【0015】
本発明にかかる脊柱インプラント1は第1骨ネジ6を更に備える。第1骨ネジ6は同様にして既に知られているように、ねじ込み部を有しているが、これを図示していない。このねじ込み部は、第2骨ネジ2のねじ込み部3に対応し、脊柱の対象となる椎体に螺合可能である。これらの第1骨ネジ6は第1受け取り手段7を備えている。第1受け取り手段7には、ロッド状の形状に設計された第1接続要素8が挿入され、第1接続要素8が固定される。この第1接続要素8は剛性であり、金属材料、例えばチタン合金で作られている。
【0016】
各第1接続要素8のいずれもが(in each case)、結合手段9を介して、自身と隣り合う第2接続要素5と接続される。これらの結合手段9は第1部10によって取り外し可能な方法で第2骨ネジ2に保持されている。第2接続要素5の端部11は骨ネジにおいて同様に保持されている。結合手段9の、第1部10と向かい合う第2部12は、第1接続要素8の端部13を接続する。以下に詳細に説明する。
【0017】
このような脊柱インプラント1は、実際的に任意の望ましい手法で脊柱に適用可能であり、脊柱を安定化する。この脊柱インプラントは剛性の第1接続要素8と弾性の第2接続要素5とによって構成されており、これらはそれぞれ第1骨ネジ6または第2骨ネジ2と協働する。各接続要素8,5は所望の長さに切断され得る。そして、これらが連結し、対応する骨ネジのいずれもがそれぞれ(in each case)対象となる椎体に螺合することよって、所望の領域において弾性的に脊柱を安定化でき、他の所望の領域において脊柱を補強し又は固めることができる。
【0018】
第2骨ネジ2の構造を図2,3に示す。ねじ込み部3に接続される第2受け取り手段4は、U字状凹部14を備えている。U字状凹部14は2つのアーム17,18の内側表面15,16によって形成される。これらの2つのアーム17,18の2つの内側表面15,16は、ベアリング表面19によって互いに接続される。内側表面15,16とベアリング表面19とは第2接続要素5の形状に適合しており、このU字状凹部14に第2接続要素5が挿入される。U字状凹部14には凹部リッジ溝41,42が設けられており、第2接続要素5が挿入された状態で、これらが第2接続要素5(図1)に設けられる溝43とリッジ44とに結合する。これによって、ぴったり合った接続が形成される。
【0019】
アーム17,18の各自の2つの側面部はそれぞれガイド表面21,21を備えている。2つのアーム17,18のいずれにおいても(in each case)、その外側かつ上側の部分には、これらのアームに対して横切る溝22が設けられている。溝の底と溝22を限定する表面とは、円形に設計される。
【0020】
第2骨ネジ2の第2受け取り手段4のU字状凹部14は応力手段23によって閉じられる(closed off)。これらの応力手段23は応力要素24と係止要素25と第1応力ネジ26とからなる。応力要素24は2つのアーム17,18の間に挿入可能である。そのために、この応力要素24は互いに反対の二対のガイドリブ27,28を備えている。ガイドリブ27,28は2つのアーム17,18のガイド表面20,21とともにガイドを形成する。ベアリング表面19に向かう応力要素24の表面29は、同様に、第2接続要素(図1)の形状に適合した形状を有する。
【0021】
係止要素25は弓形の形状を有し、互いに反対の2つの端部を備えており、当該2つの端部のいずれもが(in each case)、カラー(collar)30を有する。これらのカラー30の各々には突起部31が設けられる。突起部31は互いに向かい合っている。加えて係止要素25は、ネジ山33を有する孔32を備えている。第1応力ネジ26はこの孔32のネジ山33と螺合することができ、応力ネジは六角形の凹部34を備えている。第2骨ネジ2の第2受け取り手段4において、これらの応力手段23を用いてU字状凹部14を閉じることができる。これによって、U字状凹部に配置される第2接続要素が所定の位置で係止される。
【0022】
図3から見て分かるように、応力手段23をユニットとして組み立てることができる。第1応力ネジ26は、ボルト片36が付加されるネジ山部35を備えている。ネジ山部35とボルト片36との間には支持表面37が形成される。ボルト片36は、応力要素24に設けられる中央孔38内に向かって突出する。ネジ山部35から離れたボルト片36の端部は厚み部39を備えている。厚み部39は、例えばこのボルト片36の端部をカシメる(crimping)ことにより実現可能である。このカシメ手順は、第1応力ネジ26を応力要素24に挿入した後に実行される。第1応力ネジ26と応力要素24とはこのようにしてボルト片36について回転可能に互いに接続される。応力要素24が接続された第1応力ネジ26は、係止要素25に螺合可能である。これにより、応力手段23がユニットとして形成される。応力手段23を第2骨ネジ2に配置するために、係止要素25を応力要素24に対して横方向に位置合わせする(aligned)。そして、応力手段23を第2骨ネジ2のU字状凹部14内に動かすことができる。応力要素24のガイドリブ27,28は2つのアーム17,18のガイド表面20によって誘導される。図1から見て分かるように、係止要素25が係止位置に至る(located)まで、第1応力ネジ26を軸として、各ガイドリブ28を超えて係止要素25を回転させることができる。第1応力ネジ26を締め付けることができ、第2接続要素5が第2骨ネジ2において所定の位置で係止される。
【0023】
図1から見て分かるように、第1骨ネジ6の第1受け取り手段7のいずれもが(in each case)2つのアーム45,46によって構成される。2つのアーム45,46は、第1接続要素8が配置されるU字形状を形成する。アーム45,46の内側にはネジ山47が設けられている。このネジ山47は同様に応力ネジ48が螺合する。この応力ネジ48によって、第1接続要素8は第1骨ネジ6において所定の位置で係止可能である。もちろん、同様に第1受け取り手段7において所定の位置で第1接続要素8を係止することができるように、第1骨ネジ6の第1受け取り手段7を既知の手法で異なるように設計することもまた考えられるだろう。
【0024】
この第1の実施の形態の例で用いられる結合手段9の構造を図4〜図7に示す。図4は第1骨ネジ6と第1受け取り手段7とを有する図1にかかる脊柱インプラント1を再び示している。第2骨ネジ2の第2受け取り手段4において保持される第2接続要素5と同様に、第1接続要素8は第1受け取り手段7において保持される。
【0025】
結合手段9の第1部10は、図2,3に示したように、応力要素24によって構成される。この応力要素24は、第2骨ネジ2を閉じることができる応力手段23の一部である。ここでは応力要素24はノーズタイプ(nose-type)の突出部49を備えている。突出部49は第2接続要素5の端部11を超えて長手方向に延在し、第1接続要素8の端部13に平行に延びる。ノーズタイプの突出部49を有するこの応力要素24は図6,7において詳細に見ることができる。図2に示すように、この応力要素24に対して回転可能な係止要素25を形成するために、応力要素24は、ノーズタイプの突出部49の領域において、周方向に延びる細長い形状の凹部50を有している。
【0026】
図4から更に見て分かるように、結合手段9の第2部12は追加応力手段51として設計される。追加応力手段51は第1接続要素8のためのU字状受け取り部52を有する。U字状受け取り部52は、貫通孔54を有する蓋53によって閉じられる。この貫通孔54を介して追加応力手段51にクランプ要素55が挿入される。クランプ要素55は追加応力手段51において回転可能であり、スロット (slot)56を備えている。追加応力手段51は第1接続要素8に向かって押され、クランプ要素55は貫通孔54を介して追加応力手段51に挿入される。また挿入されたクランプ要素55を有するこの追加応力手段51を、応力要素24のノーズタイプの突出部49へと向かって押すときに、クランプ要素55を回転させて、このノーズタイプの突出部49をスロット56に入れる。そして、第2応力ネジ57を追加応力手段51に螺合する。そのために、貫通孔54の領域の内面には、第2応力ネジ57に対応してネジ山58が設けられている。
【0027】
図5は、第1接続要素8とノーズタイプの突出部49とがこの追加応力手段51に固定された状態での、追加応力手段51を示している。ここで、クランプ要素55の下面が第1接続要素8上で押され、第1接続要素8はU字状受け取り部52の底で支持されることが分かる。ノーズタイプの突出部49はクランプ要素55のスロット56(図4)内に突出する。ノーズタイプの突出部はクランプ要素55の2つの横木59,60の間で締め付けられるように固定される。横木はお互いに向かって弾性的に変形することができる。追加応力手段51にて第1接続要素8とノーズタイプの突出部49とを固定するために必要な保持力が、追加応力手段51の内部のネジ山58に螺合して固定される第2応力ネジ57を介して、印加される。
【0028】
ここで示される脊柱インプラントの大きな利点は、剛性の第1接続要素8によって固定される椎体の成長後に、この剛性の補強を、柔軟性のある第2接続要素5によって椎体を安定化する領域から完璧に分離できることにある。また一方で、この柔軟性のある安定化された領域は安定化機能を満たし続ける筈である。脊柱インプラントの剛性部分を弾性部分から分離するために、追加応力手段51の第2応力ネジ57をゆるめることができ、追加応力手段51を、第1接続要素8に沿って第2骨ネジ2から離れるように、クランプ要素55と共に押すことができ、クランプ要素55を追加応力手段51から取り除くことができる。その後、端部11を受け取る第2骨ネジ2の応力手段23を取り外すことができる。ひいては、応力要素24をこの第2骨ネジ2から軸方向に持ち上げることができる。そして、ノーズタイプの突出部49を有さない「普通」に設計された応力要素24が属する応力手段23を、第2骨ネジ2に配置することができ、第2接続要素5と第2骨ネジ2とのぴったり合った接続を介して、この接続は安定を維持する。このようにして、脊柱インプラント1の剛性の領域は、自身の機能を果たした後に、弾性領域から完全に分離することができる。第1接続要素8と第2接続要素5との間には間隙が生じ、一方の接続要素から他方の接続要素への如何なる力も生じない。剛性の第1接続要素8によって固定された椎体の成長後に、剛性の第1接続要素8と、必要であれば第1骨ネジとを、患者の体から取り除くこともまた考えられる。これは、脊柱インプラントの弾性領域の安定化について悪影響を与えることなく結合手段9の解除によって適宜に行うことができる。脊柱インプラントの弾性領域は体内で変化しないままである。
【0029】
第2の実施の形態.
本発明にかかる脊柱インプラント1の第2の実施の形態は、図8〜図11に示すように、結合手段9が異なるように設計されている点のみ、最初に説明した脊柱インプラントの第1の実施の形態の例と相異する。図8、図10及び図11から分かるように、応力要素24に設けられたノーズタイプの突出部49は、平行に延びる横木59,60からなる。クランプ要素55はベース板61とシリンダ部62とからなる。このクランプ要素55もまた追加応力手段51に挿入可能である。2つの横木59,60は結局のところ追加応力手段51内に入ることになる。第2応力ネジ57によって第1接続要素8を応力要素24に接続することができる。図9に示すように、組み立てられた状態で、第1接続要素8はU字状の受け取り部に配置されてそこで支持される。クランプ要素55のベース板61は第1接続要素8を押す。クランプ要素55の2つの横木59,60は第2応力ネジ57によってこのベース板61に押される。これにより、ここでも応力要素24による第1接続要素8の最適な固定が達成される。既に説明したように、ここでも、脊柱インプラントの剛性領域を脊柱インプラントの弾性領域から簡単な方法で分離することができる。
【0030】
第3の実施の形態.
本発明にかかる脊柱インプラント1の第3の実施の形態は図12〜図15に示される。この実施の形態の例は、またも結合手段9の設計という点で、前述した2つの実施の形態の例と相異している。図12、図14及び図15から見て分かるように、第2骨ネジ2に挿入可能な応力要素24は、またも、ノーズタイプの突出部49を備えている。第1の実施の形態の例にかかるノーズタイプの突出部49と比較して、より広く設計されている。このノーズタイプの突出部49には、内面にネジ山を備える孔63が形成される。このネジ孔63には追加応力ネジ64が螺合可能である。
【0031】
この結合手段9を組み立てた状態では、図13から見て分かるように、第1接続要素8は追加応力手段51のU字状の受け取り部52に配置される。ノーズタイプの突出部49は追加応力手段51のU字状の受け取り部52内に突出する。ノーズタイプの突出部49のネジ孔63に螺合される追加応力ネジは第1接続要素8を押す。一方、第2応力ネジ57はノーズタイプの突出部49を押す。これによって、追加応力手段51において第1接続要素8とノーズタイプの突出部49とを締め付けて固定する。第1接続要素8に対するノーズタイプの突出部49の高さ位置は、追加応力ネジ64のねじ込みによって調整される。これにより、隣の第2骨ネジ2に対する、ひいては第2接続要素に対する、第1接続要素8の位置を、適切な方法で適合させることができる。
【0032】
結合手段9のこの構造によっても、第2応力ネジ57と追加応力ネジ64とを緩めて取り外すことで、前述したように、脊柱インプラントの剛性領域を脊柱インプラントの弾性領域から最も簡単な方法で分離することができる。
【0033】
本発明にかかる本脊柱インプラントによれば、既に述べたように、脊椎インプラントの剛性領域において達成される椎体の骨化後に、この剛性領域を簡単な方法で脊柱インプラントの弾性安定化領域から分離することができる、という利点を得ることができる。もし必要であれば、脊柱インプラントの弾性安定化領域に悪影響を与えることなく脊柱インプラントの剛性領域を体内から簡単に取り除くこともできるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊柱の椎体の安定化および固定のための脊柱インプラントであって、
椎体に螺合可能なねじ込み部(3)と、第1受け取り手段(7)とを有する複数の第1骨ネジ(6)と、
椎体に螺合可能なねじ込み部(3)と、第2受け取り手段(4)とを有する複数の第2骨ネジ(2)と、
剛性であり、前記第1骨ネジ(6)の前記第1受け取り手段(7)に挿入可能であり、そこに固定可能な複数の第1接続要素(8)と、
弾性であり、前記第2骨ネジ(2)の前記第2受け取り手段(4)に挿入可能であり、そこに固定可能な複数の第2接続要素と、
そのいずれもが、前記第1接続要素(8)と前記第2接続要素(5)とを互いに接続する複数の結合手段(9)と
を備え、
前記結合手段(9)は第1部(10)を有し、取り外し可能に前記第2骨ネジ(2)に取り付けることができ、前記第2骨ネジにおいて前記第2接続要素(5)の端部(11)が保持され、
前記結合手段(9)は、前記第1部(10)に向かい合う第2部(12)を有し、前記第1接続要素(8)の端部(13)と接続される、脊柱インプラント。
【請求項2】
前記結合手段(9)の前記第1部(10)は、前記第2受け取り手段(4)に配置可能な応力手段(23)を介して前記第2受け取り手段(4)に誘導されて挿入可能である応力要素(24)を備え、前記第2受け取り手段(4)に挿入された前記第2接続要素(8)に対して応力をかけることができる、請求項1に記載の脊柱インプラント。
【請求項3】
前記第2受け取り手段(14)はU字状に設計されて2つのアーム(17,18)を有し、前記第2接続要素(8)に対するベアリング表面が前記2つのアームの間に配置され、第1応力ネジ(26)を含む係止要素(25)を有する前記応力手段(23)は前記2つのアーム(17,18)の上に配置可能であり、前記2つのアームに係止可能である、請求項2に記載の脊柱インプラント。
【請求項4】
前記応力要素(24)は、前記アーム(17,18)に設けられるガイド表面(20,21)とともにガイドを形成するガイドリブ(27,28)を備える、請求項3に記載の脊柱インプラント。
【請求項5】
前記結合手段(9)の前記第2部(12)は、第1接続要素(8)の端部(13)を固定可能である追加応力手段(51)として設計される、請求項1から4の何れか一つに記載の脊柱インプラント。
【請求項6】
前記追加応力手段(51)は、
前記第1接続要素(8)のためのU字状の受け取り部(52)と、
前記U字状の受け取り部(52)と向かい合い、第2応力ネジ(57)を受けるためのネジ山部(58)と
を有する、請求項5に記載の脊柱インプラント。
【請求項7】
前記第2応力ネジ(57)と、前記追加応力手段(51)に挿入される前記第1接続要素(8)との間にはクランプ要素(55)が挿入される、請求項6に記載の脊柱インプラント。
【請求項8】
前記結合手段(9)を形成する前記応力手段(24)及び前記追加応力手段(51)は、解除可能に互いに接続される、請求項1から7の何れか一つに記載の脊柱インプラント。
【請求項9】
前記応力要素(24)は、前記追加応力手段(51)へと突出する少なくとも一つのノーズタイプの突出部(49)を有する、請求項8に記載の脊柱インプラント。
【請求項10】
前記ノーズタイプの突出部(49)は、追加応力ネジ(64)が螺合可能なネジ孔(63)を備え、前記追加応力手段(51)の前記第2応力ネジ(57)と前記第1接続要素(8)との間で突出する、請求項9に記載の脊柱インプラント。
【請求項11】
前記第2接続要素(5)は、実質的に長手方向の軸を横切るリッジ(44)と溝(43)とからなる表面構造を有する、請求項1から10の何れか一つに記載の脊柱インプラント。
【請求項12】
前記第2接続要素(5)に向く前記第2受け取り部(4)と応力手段(23)の表面とは、前記第2接続要素(8)の前記リッジ(44)と溝(43)とに対応する溝(42)とリッジ(41)とを備える、請求項11に記載の脊柱インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−75898(P2012−75898A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216612(P2011−216612)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(503181059)シュピネラープ アクチエンゲゼルシャフト (8)
【Fターム(参考)】