説明

脱インクにおける改質無機粒子の使用

【課題】古紙を脱インクする工程において、インクを捕集するために、より効率的で費用効率が高い方法、優れた明度および低い有効残留インク濃度(「ERIC」)の両方を有する紙パルプを製造する方法、さらに、浮選/洗浄コンビネーションおよび洗浄脱インク工程中に、最終的な紙パルプの品質および紙パルプの収率を改善する方法、また、低アルカリ性および/または中性条件における改善されたインク捕集および除去する方法を提供する。
【解決手段】インク捕集効率を改善するために疎水性に改質された無機粒子(「MIP」)を含む脱インク組成物を使用する方法。疎水性MIP基体、非イオン性界面活性剤、および脂肪酸、またはこれらの混合物を含む脱インク組成物。改善されたインク捕集性は、優れた明度および有効残留インク濃度(「ERIC」)値を有する高品質および/または高収率の脱インクパルプをもたらすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2006年1月9日に出願された米国特許出願第11/328,485号明細書(係属中)の一部継続出願であり、これに対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、印刷古紙を脱インクするための方法に関する。より詳細には、本発明は、脱インク工程中に高品質および高収率の脱インクパルプを製造するためのインクコレクタとしての、疎水性に改質された無機性基質の使用に関する。関連特許の分類番号としては、162(紙の製造と繊維の遊離)、510(固体表面のクリーニング組成物、そのための補助組成物、またはその組成物の調製方法)、106(組成物:コーティングまたはプラスチック)、および/または210(液体の精製または分離)を含む。
【背景技術】
【0003】
製紙産業では、何十年もの間、使用可能な製紙用セルロース系繊維を再生するために古紙のリサイクルが実施されてきた。これらの工程では、インクは、適切な脱インク組成物を用いて古紙パルプから除去される。脱インク工程を制御することによって、リサイクル工場は明度などの紙の特性に影響を与えることができ、製紙用セルロース系繊維の有用性を改善することができる。
【0004】
脱インクは、一連の複雑な化学的および物理的な工程からなる。これらの事象には、インクの分離、インクの分散、インクの捕集、インクの輸送、および古紙パルプスラリーからのインクの除去が含まれるが、これらに限定されない。これらの微細処理工程(microprocess)はそれぞれ、効率的および効果的に古紙を脱インクして上質紙を製造するために、リサイクル操作において異なる表面および界面である必要性を有する。
【0005】
従来、再パルプ化の後に脱インク繊維を製造するために、インクおよびインク関連要素を単離する目的で、2つの異なる方法が用いられている。これらの2つの方法は浮選脱インク法および洗浄脱インク法である。多くの場合、工程は浮選脱インク法および洗浄脱インク法の両方を含み、これはコンビネーション脱インク工程と呼ぶこともできる。脱インクに成功するための基礎となる化学的および物理的な要件は、洗浄、浮選、およびコンビネーション脱インク工程によって異なる。
【0006】
より具体的には、浮選/洗浄コンビネーション脱インク工程とは、脱インク組成物によって解放されたインクが、主に、パルプが洗浄段階を通過する前にリサイクル工程の浮選デバイスまたは浮選セルによってセルロース系繊維から分離される脱インク工程を指す。あるいは、洗浄/浮選コンビネーション脱インク工程とは、脱インク組成物によって解放されたインクが、主に、パルプが浮選段階を通過する前にリサイクル工程の洗浄デバイスによってセルロース系繊維から分離される脱インク工程を指す。一方、洗浄脱インクは、脱インク組成物によって解放されたインクが、洗浄段階でセルロース系繊維から分離される脱インク工程を指す。
【0007】
浮選工程は、根本的に、洗浄工程とは異なる。この違いは、1つには、インクのサイズおよび疎水性が有利な分離のために重要だからである。インク除去の浮選方法は、通常、ほとんどの場合再パルプ化工程によって生じた、分散したセルロース系繊維を含む水溶液系中に気泡を通すことを伴う。得られた再パルプ化セルロース系繊維スラリーは、再パルプ化の前、最中、または後のいずれかで添加された添加剤を含んでいる。気泡が繊維スラリー内で上昇し、それと共にインク粒子が運ばれると、インクが豊富な泡が発生し、これは次いて、浮選セルから取り出される。浮選脱インク系で通常好ましい泡の量は、上澄みをすくい取る、デカントする、または他の手段によって捕集することができ、排除される繊維などの他の固体の量を最小限にしながら高濃度のインクを輸送する量である。
【0008】
浮選脱インク法にとって有益である、結果として得られるインク粒子の表面特性およびサイズは、洗浄脱インク法に望ましいものとは異なるので、浮選脱インク法では、通常、洗浄とは異なる界面活性剤を利用する。浮選脱インク工程において使用され得る従来の非イオン性界面活性剤の例としては、脂肪アルコールのアルキレンオキシド付加化合物、アルキルフェノール、脂肪酸、およびアルカノールアミドを含む。このような非イオン性界面活性剤脱インク剤は、それだけで、または互いに組み合わせて使用することができ、そして非アルコキシル化脂肪酸および脂肪アルコールと配合することもできる。繊維からインクを除去し、パルパー漂白添加剤の効率的な使用を容易にするために、浮選脱インク法は歴史的に高pHのパルプ液に依存している。
【0009】
洗浄脱インク法は、通常、インクの微細な分散を必要とする。インクおよび繊維はスラリー全体に均一に分配され、発泡または気泡の形成は、存在するが特に所望されるものではない。洗浄工程の目的は、インクを繊維から水性媒体中に解放し、次に、水性媒体から繊維を分離することである。従って、洗浄方法は、好ましくは発泡の少ない条件下でインク除去水性媒体中の二次繊維を再パルプ化することを含み、これにより、インク(および存在する場合には他の非セルロース系汚染物質)は、要望どおりに繊維から機械的および/または化学的に除去される。再パルプ化工程の後には、通常、希釈および/またはスクリーニングが行われる。洗浄脱インク法のために界面特性をうまく変更するための特定の界面活性剤は当業者に知られている。しかし、これらの界面活性剤はまた、洗浄方法を有利にする親水性の分散状態にインクを変化させる。
【0010】
洗浄および浮選工程はいずれも、界面活性剤の適切な使用に依存している。インク粒子は、洗浄のために親水性の状態にされるか、あるいは浮選のためにより疎水性の状態にされるので、界面活性剤分子の親水性部分および疎水性部分の相対的な寄与および特徴次第で、界面活性剤とインクとの相互作用は変化し得る。洗浄用界面活性剤および浮選用界面活性剤の対立する性質は、コンビネーション脱インク系では非効率性につながり得る。洗浄の脱インクメカニズムは、浮選のメカニズムとは全く異なり、従って、これらは異なる特性を有する脱インク組成物の使用を必要とする。
【0011】
通常、浮選から誘導される、あるいは洗浄から誘導される脱インク化学は、所与の脱インク系において利用される。いずれの工程でもどこかの時点で、脱インクされた再パルプ化古紙は、多くの場合一連の微細なクリーナーおよび/またはふるいを通過し、小さい微粒子汚染物(例えば、砂および砂粒)が除去される。例えば、任意の汚染物質の粒径を低減するための分散、または特定の汚染物質を除去するように設計された特別なクリーナーを用いる特別なクリーニング段階などの、さらなる加工段階が必要とされ得る。
【0012】
従来の脱インクに関与する化学反応は、多くの場合には9よりも高く、そして時には10よりも高くまでpHを上昇させるために、リパルパー内への苛性ソーダの添加を含むことが非常に多い。しかし、特に古紙が砕木または機械パルプを含む場合、pHの上昇は古紙原料の黄変および黒ずみを引き起こすことが多い。この望ましくない黒ずみ効果を妨げるために、通常、漂白添加剤が添加されて、パルプの白色度および明度を増大させる。次に、脱インクされた古紙は、製紙機械に最終的に供給されるまで貯蔵される。
【0013】
界面活性剤に基づく脱インク助剤、特に非イオン性界面活性剤は優れたインクの分離剤であり得る。いくつかの非イオン性界面活性剤は、インク捕集に役立つ。しかし、適切に選択されなければ、これらの添加剤は、実際には浮選含有工程においてインク捕集を妨害し得る。従来の脂肪酸セッケンがアルカリ系(9を超えるpH)において効率的なインク回収剤であることはよく知られているが、これらのセッケンはインクの分離特性の低下を実証し、後の工程中に付着の懸念をもたらし得る。
【0014】
脱インク捕集効率が比較的低く、そして様々な脱インク助剤のコストが高いために、多くの製紙工場は、技術的および/または経済的に、新しい脱インクプログラムを探索する意欲が高まってきている。改善された脱インク性能に対する1つの解決策は、脂肪酸セッケンおよび非イオン性界面活性剤の配合物を用いることによって得られる。これらの配合物は、多くの場合、古紙スラリーの脱インクにおいて優れた性能を実証することが分かっている。これらの配合物は脂肪酸セッケンのより少ない消費をもたらすことが多く、より少ないセッケンを使用する、あるいはセッケンを使用しないことに技術的または経済的に意欲がある工場にとって有用である。
【0015】
Rheox Inc.は、一連の特許において、古紙の脱インクのためにカチオン種を用いる様々な粘土の改質について記載している。例えば、米国特許第5,151,155号明細書、米国特許第5,389,200号明細書、米国特許第5,336,372号明細書、米国特許第5,759,938号明細書、米国特許第5,696,292号明細書、および米国特許第5,634,969号明細書を参照されたい。これらの特許は、主に、多量のケイ素種を含む改質スメクタイトの使用に焦点が当てられている。著者らは、改質粘土を脱インク系に導入する前に、スメクタイト表面に第4級種を吸着させることによって、これらのスメクタイトを改質することを報告している。
【0016】
しかし、捕集効率の改善のための戦略は、脱インク化学以外の因子に依存する。具体的には、捕集効率は、回収した用紙の原材料の種類および印刷方法によって強く影響を受ける。古い新聞紙(「ONP」)を含む系では、脱インク化学は、捕集効率、最終的にはインク除去、そして最終脱インクパルプ品質を決定するために重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
古紙を脱インクする工程において、インクを捕集するために、より効率的で費用効率が高い方法が必要とされている。
【0018】
また、優れた明度および低い有効残留インク濃度(「ERIC」)の両方を有する紙パルプを製造する方法も必要とされている。
【0019】
また、浮選/洗浄コンビネーションおよび洗浄脱インク工程中に、最終的な紙パルプの品質および紙パルプの収率を改善する方法も必要とされている。
【0020】
また、低アルカリ性および/または中性条件における改善されたインク捕集および除去も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、従来のアルカリ性、低アルカリ性、および正確な中性の脱インク条件下でインク捕集効率を改善する、印刷古紙を脱インクするための方法を提供する。本発明の改善されたインク捕集性は、優れた明度およびERIC値を有する高品質および/または高収率の脱インクパルプをもたらすことができる。
【0022】
本発明は、インクおよび紙パルプを含む印刷古紙を脱インクする方法を含み、印刷古紙をパルパー内で水性パルプスラリーに転換する工程と、前記水性パルプスラリーを無機性基質と接触させる工程と、前記水性パルプスラリーを、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはこれらの混合物を含む脱インク組成物と接触させる工程と、水性パルプスラリー中の前記インクを分離する工程と、水性パルプスラリーから脱インクされた紙パルプを回収する工程とを含み、前記脱インク組成物は任意で、前記水性パルプスラリーと接触する前に前記無機性基質と混合される。
【0023】
本発明はさらに、粉末、ケーキ、またはスラリー状の約1〜約40重量部の炭酸カルシウムを提供することと、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはこれらの混合物を含む約1重量部の脱インク組成物を提供することと、前記炭酸カルシウムおよび前記脱インク組成物を混合して、脱インク添加剤を得ることとを含む、脱インク添加剤の調製方法を含む。
【0024】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態および代替実施形態の両方を説明する以下の詳細な説明を考慮すれば、より容易に当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、印刷古紙を脱インクするための方法を提供する。本発明は、さらに、従来のアルカリ性、低アルカリ性、および正確な中性の脱インク条件下で、脱インク工程における捕集効率を改善するために疎水性に改質された無機粒子(「MIP」)を含む脱インク組成物を提供する。疎水性MIP、非イオン性界面活性剤、および脂肪酸、またはこれらの混合物を含む脱インク組成物が提供される。
【0026】
定義
「アルキル」という用語は、本明細書における使用では別途指定されない限り、飽和直鎖状、分枝状、環状、第1級、第2級、または第3級炭化水素、例えばC1〜C20またはC6〜C20を含み、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチルを含む。アルキル基は、トリデシルも含み得る。アルキル基は、任意で、ヒドロキシル、カルボキシ、カルボキシアミド、カルボアルコキシ、アシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、スルファート、ホスホン酸、リン酸、またはホスホナートからなる群から選択される1つまたは複数の部分によって置換されることが可能であり、例えば、参照によって本明細書に援用されるGreeneら、“Protective Groups in Organic Synthesis”、John Wiley and Sons、第2版、1991年において教示され、当業者に知られているように、これらは保護されていないか、あるいは必要に応じて保護される。
【0027】
本文中で、C(アルキル範囲)という用語が使用される場合にはいつも、この用語は、具体的におよび別個に設定されたかのように、その種類のそれぞれのメンバーを独立して含む。非限定的な例として、「C1〜C20」という用語は、その範囲内に入るそれぞれの種を独立して表し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、4−エチルブチル、シクロヘキシル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、6−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、4−エチルペンチル、5−エチルペンチル(ethylpenyl)、1−プロピルブチル、2−プロピルブチル、3−プロピルブチル(propybutyl)、4−プロピルブチル、シクロヘプチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、6−メチルヘプチル、7−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、5−エチルヘキシル、6−エチルヘキシル(ethylhextyl)、1−プロピルペンチル、2−プロピルペンチル、3−プロピルペンチル(propypentyl)、4−プロピルペンチル、5−プロピルペンチル、シクロオクチル、ノニル、シクロノニル、またはシクロデシルを含むがこれらに限定されない。
【0028】
「HLB」という用語は、本明細書における使用では、分子の「親水性−親油性バランス」を指す。HLB数は、通常、1〜40の範囲内であり、最も一般的に使用される材料は、1〜20の間の値を有する。HLB数は、親水性が増大すると共に増大する。HLBシステムは、分子構造がどのようなタイプの界面活性剤特性を提供できるかを予測するための半経験的な方法である。HLBシステムは、いくつかの分子が親水基を有し、他の分子が親油基を有し、そしていくつかは両方を有するという概念に基づいている。界面活性剤のHLBは、Griffin WC:“Classification of Surface−Active Agents by ‘HLB’”、Journal of the Society of Cosmetic Chemists 1(1949年):311と、Griffin WC:“Calculation of HLB Values of Nonionic Surfactants”、Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1954年):259に従って計算することができる。
【0029】
「脂肪酸」という用語は、本明細書における使用では、均一の分子量を有する脂肪酸、または分子量の分布を有する脂肪酸の混合物を含む組成物を意味する。
【0030】
「脂肪アルコール」という用語は、本明細書における使用では、均一の分子量を有する脂肪アルコール、または分子量の分布を有する脂肪アルコールの混合物を含む組成物を意味する。
【0031】
「#/t」という用語は、本明細書における使用では、水性パルプスラリー中に存在する乾燥固体1トンあたりのポンドを意味する。1トンは、2000ポンドに相当する。
【0032】
「印刷古紙」または「古紙」という用語は、本明細書における使用では、新聞紙、雑誌、電話帳、広告用印刷材料、レーザー印刷材料、コンピュータ用紙、法的文書、蔵書、段ボール箱、またはこれらの混合物を意味する。
【0033】
「有効残留インク濃度(「ERIC」)」という用語は、本明細書における使用では、残留するインクの効果、または残留インクの全体的な黒ずみ効果の尺度である値を意味する。ERIC値が低いほど、繊維上の残留インクの量も低い。従って、より低いERIC値は脱インク性能の増大を示す。ERIC値は、従来、紙シート内でのインク保持力を決定するために、工場、研究施設、および製品開発施設によって使用されている。
【0034】
「混合物」という用語は、本明細書における使用では、化学式によって表すことができない物質の不均一な関連性を意味する。その成分は均一に分散されてもよいし、そうでなくてもよい。
【0035】
「混合する」という用語は、本明細書における使用では、機械的な攪拌によって、混合物の液体、半固体または固体成分の均一な分散を生じさせることを意味する。
【0036】
「配合物」という用語は、本明細書における使用では、各部分が互いに区別できないように混ぜ合わせた混合物を意味する。
【0037】
「オキシエチレン」、「エチレンオキシド」、または「EO」という用語は、本明細書における使用では、酸素部分に結合したエチル部分、すなわち−O−CHCH−を意味する。
【0038】
「オキシプロピレン」、「プロピレンオキシド」または「PO」という用語は、本明細書における使用では、酸素部分に結合したプロピル部分、すなわち−O−CHCH(CH)−を意味する。
【0039】
「重量パーセント」または「重量%」という用語は、本明細書における使用では、未処理のMIPの乾燥重量を溶液の総重量(未処理MIP+水)で割って100を掛けた値を意味する。
【0040】
以下の詳細な説明において、好ましい実施形態は、本発明の実施を可能にするために詳細に説明される。本発明は、これらの特定の好ましい実施形態を参照して説明されるが、本発明がこれらの好ましい実施形態に限定されないことは理解されるであろう。しかし反対に、以下の詳細な説明を考慮することから明らかになるように、本発明は多数の代替物、変更物、および等価物を含む。
【0041】
考察
本発明は、優れた明度およびERIC値を有する、高品質および/または高収率の脱インクパルプを製造する、印刷古紙パルプを脱インクするための方法を提供する。脱インク方法は、広範囲のリサイクル印刷古紙および加工条件にわたって使用することができる。
【0042】
本発明はさらに、疎水性MIP、非イオン性界面活性剤、および脂肪酸、またはこれらの混合物を通常含む脱インク組成物を提供する。本発明によって提供される脱インク組成物は、従来の脱インク組成物を越えて、種々のpH、水の硬度レベル、および温度においてインクの分離を高める。
【0043】
本発明は、インクおよび紙パルプを含む印刷古紙を脱インクする方法を含み、印刷古紙をパルパー内で水性パルプスラリーに転換する工程と、前記水性パルプスラリーを無機性基質と接触させる工程と、前記水性パルプスラリーを、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはこれらの混合物を含む脱インク組成物と接触させる工程と、水性パルプスラリー中の前記インクを分離する工程と、水性パルプスラリーから脱インクされた紙パルプを回収する工程とを含み、任意で、前記水性パルプスラリーと接触する前に前記脱インク組成物は前記無機性基質と混合される。
【0044】
本発明の脱インク方法は、通常、当該技術分野において「パルパー」または「リパルパー」として一般に知られている容器内で、脱インク組成物の存在下、印刷古紙材料をパルプ化することによって実施される。パルプ化は、普通、温度、pH、および水の硬度を含む特定の条件設定の下で実施される。本発明は、パルパー内で印刷古紙を水性パルプスラリーに転換する工程を含む、印刷古紙の脱インク方法を含む。転換工程は、約25℃〜約85℃の範囲の温度で生じる。本発明の1つの好ましい実施形態では、転換工程は、約30℃〜約75℃の範囲の温度で生じる。より好ましくは、転換工程は、約40℃〜約60℃の範囲の温度で生じる。本発明のもう1つの好ましい実施形態では、水性パルプスラリーは、約5重量%〜約35重量%の印刷古紙パルプを含む。より好ましくは、水性パルプスラリーは、約5重量%〜約25重量%の印刷古紙パルプを含む。これは「パルプ化コンシステンシー」と呼ばれることが多く、これは、パルプ繊維の水性スラリーの濃度(w/v)を説明するために製紙産業で使用される用語である。
【0045】
水性スラリーは、さらに、水酸化ナトリウムまたはソーダ灰、非イオン性界面活性剤、キレート剤(chelant)、過酸化物、またはシリケート、脂肪酸、もしくはこれらの混合物を含むことができる。好ましくは、水酸化ナトリウムまたはソーダ灰の濃度は、脱インクされる印刷古紙の約0ポンド/トンから、脱インクされる印刷古紙の約40ポンド/トンまでの範囲である。あるいは、またはさらに、非イオン性界面活性剤および/または脂肪酸の濃度は、脱インクされる印刷古紙の約0.5ポンド/トンから、脱インクされる印刷古紙の約20ポンド/トンまでの範囲である。本発明のもう1つの好ましい実施形態では、キレート剤の濃度は、脱インクされる印刷古紙の約0ポンド/トンから、脱インクされる印刷古紙の約6ポンド/トンの範囲である。本発明のさらにもう1つの好ましい実施形態では、過酸化物の濃度は、脱インクされる印刷古紙の約0ポンド/トンから、脱インクされる印刷古紙の約40ポンド/トンまでの範囲である。本発明のさらにもう1つの好ましい実施形態では、シリケートの濃度は、脱インクされる印刷古紙の約0ポンド/トンから、脱インクされる印刷古紙の約45ポンド/トンまでの範囲である。
【0046】
パルプ化工程の後、パルプ化水性スラリーは、クリーニング、スクリーニング、および洗浄段階にさらされ、インクおよび他の汚染物質がセルロース系繊維の流れから分離される。続いて、補助剤(強度助剤、排水助剤、および/または紙のサイズ剤など)が添加され得る抄紙機に送られる前に、脱インクされたパルプは濃縮され、目的の明度まで漂白されてもよい。通常、特定の仕様(明度、カウント、強度、サイズ(撥水性)、および/または吸水度レベルを含む)を満たす紙が製造される。
【0047】
本発明はさらに、水性パルプスラリーを無機性基質または粒子と接触させることを含む、印刷古紙の脱インク方法を含む。本発明の疎水性MIPは、従来のアルカリ性、低アルカリ性、および正確な中性の脱インク条件下で、脱インク工程における捕集効率を改善する。より好ましくは、疎水性MIPは炭酸カルシウムを含む。本発明のために、可能性のある疎水性MIP基材の非限定的な代表例として無機類の炭酸カルシウムが選択された。
【0048】
使用することができる無機粒子は、事実上、脱インク条件下で実質的に不溶性である任意の無機塩を含む。従って、無機粒子のための適切なカチオン元素としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、リチウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、銅、チタン、マンガン、ストロンチウムおよび鉄を含む。典型的な塩は、金属上に存在する酸性プロトンが無機塩基と反応することができる場合に形成され得る。許容されうる無機塩基には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが含まれる。また典型的な塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸により形成される酸付加塩も含む。従って無機粒子のアニオン成分は、とりわけ、炭酸、酸化物、シュウ酸、過酸化物、水酸化物、水素化物、ホウ酸、硝酸、リン酸、ケイ酸、硫酸、炭酸、過塩素酸、アルミン酸、硫化物、および酢酸イオンから選択することができる。
【0049】
無機粒子の重大な要件は、脱インク浴中で微粒子状態を保つことができることである。そのため、粒子は、脱インクが通常実行される条件下で、溶解性を少ししか、あるいは全く有してはならない。特定の実施形態では、無機粒子は、前述の条件:(i)25℃およびpH7.5、(ii)50℃およびpH7.5、(iii)75℃およびpH7.5、(iv)25℃およびpH8.5、(v)50℃およびpH8.5、(vi)75℃およびpH8.5、(vii)25℃およびpH9.5、(viii)50℃およびpH9.5、ならびに(ix)75℃およびpH9.5のいずれかまたは全ての下で測定した場合に、10重量%未満、5重量%未満、1重量%未満、またはさらに0.1重量%未満の水中の溶解度を有する。
【0050】
本発明の1つの実施形態では、無機粒子は、結晶性炭酸カルシウム沈殿物を含む炭酸カルシウムである。本発明の好ましい実施形態では、炭酸カルシウムは、偏三角面体型(scalenohedral)形態を有する炭酸カルシウム沈殿物(「PCC」)を含む。本発明のもう1つの実施形態では、炭酸カルシウムは粉砕炭酸カルシウムを含む。本発明のさらにもう1つの実施形態では、炭酸カルシウムまたは無機粒子は、粉末、ケーキ、または水性スラリーとして提供される。より好ましくは、炭酸カルシウムまたは無機粒子は、実質的に分散剤が存在しない状態で提供される。
【0051】
1つの実施形態では、無機粒子はケイ素含有材料ではない。無機粒子中にはいくらかのケイ素が存在し得るが、粒子は、ケイ素の重量を基準として、好ましくは、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下または1%以下のケイ素を含む(元素計算に基づく)。
【0052】
本発明の1つの実施形態では、炭酸カルシウムまたは無機粒子は、約0.1ミクロン(μm)〜約50.0ミクロン(μm)の平均粒子直径を有する粒子を含む。本発明の1つの好ましい実施形態では、炭酸カルシウムまたは無機粒子は、約0.2ミクロン(μm)〜約3.0ミクロン(μm)の平均粒子直径を有する粒子を含む。
【0053】
本発明の1つの実施形態では、炭酸カルシウムまたは無機粒子の用量は、脱インクされる印刷古紙1トン当たり約1ポンドから約75ポンドまでである。本発明の1つの好ましい実施形態では、炭酸カルシウムまたは無機粒子の用量は、脱インクされる印刷古紙1トン当たり約5ポンド/トンから、約40ポンド/トンまでである。より好ましくは、炭酸カルシウムまたは無機粒子の用量は、脱インクされる印刷古紙1トン当たり約10ポンド/トンから、約30ポンド/トンまでである。
【0054】
本発明はさらに、印刷古紙パルプを脱インク組成物(以下で論じる)と接触させる工程を含む、古紙の脱インク方法を含む。本発明の1つの好ましい実施形態では、接触工程は、約1分〜約120分の期間中に起こる。より好ましくは、接触工程は、約4分〜約90分の期間中に起こる。本発明の多数の実施形態において、印刷古紙パルプを、pH約6.5〜約11.5、pH約8.8〜約11.5、pH約7.2〜約9.0、またはpH約6.8〜約7.8で脱インク組成物と接触させる。従来のアルカリ性脱インク条件下における本発明の1つの好ましい実施形態では、接触工程のpHは約9.0〜約11.0の範囲である。低アルカリ性脱インク条件下における本発明の1つの好ましい実施形態では、接触工程のpHは、約7.5〜約8.8の範囲である。正確な中性脱インク条件下における本発明の1つの好ましい実施形態では、接触工程のpHは、約6.8〜約7.5の範囲である。本発明のもう1つの好ましい実施形態では、水性パルプスラリーは、接触工程の後に、印刷古紙1トン当たり1ポンド未満の分散剤を含む。より好ましくは、水性パルプスラリーは、接触工程後に分散剤を含まない。得られた印刷古紙パルプは、優れた明度およびERIC値を有する紙を製造するために使用することができる。
【0055】
本発明は、水性パルプスラリーと、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはこれらの混合物を含む脱インク組成物とを接触させることをさらに含む、印刷古紙の脱インク方法を含む。
【0056】
本発明の脱インク組成物に加えて、パルパー内の組成物のpHを制御するために水酸化ナトリウムまたはソーダ灰などのさらなる化学物質がパルパーに添加されてもよい。また、パルパー内の組成物の特性を改質するためにアルカリ金属リン酸塩およびケイ酸塩が添加されてもよい。
【0057】
本発明は、脂肪酸を含む脱インク組成物を含む、古紙を脱インクするための方法を含む。脂肪酸は、0〜300の間のヨウ素価によって示される様々な飽和レベルおよびエチレン性不飽和度を有することができる。好ましいヨウ素価はゼロよりも大きい。好ましいエチレン性不飽和度は約1〜約5である。本発明のもう1つの実施形態では、脂肪酸は飽和脂肪酸である。脂肪酸は、約C6〜約C22の炭素鎖長、好ましくは約C14〜約C18の炭素鎖長を有し、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸、獣脂油脂肪酸、植物油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ココナッツ油脂肪酸、およびこれらの混合物からなる群から選択することができる。脂肪酸は、好ましくは、ヤシ油、トール油、植物油、または獣脂油に由来する。
【0058】
本発明は、非イオン性またはアニオン性界面活性剤を含む脱インク組成物を含む、古紙を脱インクするための方法を含む。本発明の非イオン性およびアニオン性界面活性剤は、(1)セルロース系繊維から印刷インクの解放を高め、(2)水相中の解放されたインクを安定化してこれらが元に戻って繊維に付着するのを防止し、そして(3)安定化したインクが繊維から分離できるようにすることによって、脱インク効率に潜在的に影響を与えることができる。従って、本発明の脱インク組成物において使用される非イオン性界面活性剤は、従来の脱インク界面活性剤を使用する従来の脱インク組成物を越えて、予想外の紙の明度の増大、およびERIC値の低下によって実証されるように、得られた紙製品に対して正の効果を有する。
【0059】
本発明の1つの好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、エトキシ化炭化水素またはアルコキシ化炭化水素のいずれかを含むことができる。本発明の1つの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化炭化水素を含む。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、約1〜約100モルのアルコキシ化を含むアルコキシ化炭化水素を含む。より好ましくは、非イオン性界面活性剤は、約5〜約50モルのアルコキシ化を含むアルコキシ化炭化水素を含む。本発明の1つの好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化脂肪酸、脂肪アルコール、またはヒマシ油を含む。もう1つの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、エトキシ化された第1の界面活性剤と、エトキシ化およびプロポキシ化された第2の界面活性剤とを含み、第2の非イオン性界面活性剤中のプロポキシ化およびエトキシ化はランダムまたはブロック化されている。アルコールがランダムにエトキシ化およびプロポキシ化される場合には、所望の量のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドを一緒にアルコール混合物に添加することができる。あるいは、アルコールがブロックエトキシ化およびブロックプロポキシ化を含む場合には、所望の量のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの一方がまずアルコール混合物に添加されてアルコールと反応させられ、その後、他方のアルキレンオキシドが添加される。
【0060】
プロポキシ化/エトキシ化炭化水素に対するエトキシ化炭化水素の比率は、約100:0〜約0:100の範囲である。好ましくは、プロポキシ化/エトキシ化炭化水素に対するエトキシ化炭化水素の比率は、約3:0〜約0:3の範囲である。これらのアルコキシラートの疎水性部分(hydrophobe)の長さは、脂肪アルコールが分枝状であるか、または直鎖状であるかによって変化し得る。本発明の1つの好ましい実施形態では、非イオン性界面活性剤は、C6〜C18の疎水性部分を含む分枝状エトキシ化脂肪アルコールか、あるいはC10〜C22の疎水性部分を含む直鎖状エトキシ化脂肪アルコールを含む。より好ましくは、非イオン性界面活性剤は、エトキシ化炭化水素およびアルコキシ化炭化水素を含む。アルコキシ化炭化水素に対するエトキシ化炭化水素の比率は、約0:100〜約100:0の範囲である。好ましくは、アルコキシ化炭化水素に対するエトキシ化炭化水素の比率は、約1:3〜約3:1の範囲である。
【0061】
もう1つの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化脂肪酸、脂肪アルコール、またはヒマシ油を含むことができる。様々な脂肪酸の混合物であり得るアルコキシ化脂肪酸は約1重量%〜約99重量%の範囲でよく、好ましい範囲は、約15重量%〜約85重量%である。アルコキシ化脂肪アルコールは約1重量%〜約99重量%の範囲でよく、好ましい範囲は、約15重量%〜約55重量%である。配合物中の他の界面活性剤は脂肪酸、脂肪アルコール、および/または油を含むことができ、そのうちの1つまたは複数はアルコキシ化されてもよく、全量は、約1重量%〜約50重量%の範囲であり得る。水または他の希釈剤を上記の組み合わせに添加して100重量%の製剤を達成することができ、好ましい量は約0重量%〜約25重量%の範囲である。この実施形態において、浮選添加剤は任意であり、使用される場合には、約1重量%〜約99重量%のカチオン性ポリマーを含むことができ、好ましい範囲は約5重量%〜約50重量%である。また、配合物は、約1重量%〜約99重量%の範囲の界面活性剤の混合物を含み、適切な量の水と共に、100重量%を構成することができる。
【0062】
非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、窒素含有型、多価アルコール、アミノアルコール、およびポリエチレングリコールを含む。
【0063】
非イオン性界面活性剤の特定の非限定的な例としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、アルキルポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、およびアルキルポリオキシエチレンアミンおよびアミドなどのポリオキシエチレン付加物と、脂肪酸ソルビタンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステルおよび脂肪酸スクロースエステルなどの多価アルコールおよびアルキルオールアミドと、ポリエーテル変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシポリエーテル変性、アルコール変性、フッ素変性、アミノ変性、メルカプト変性、エポキシ変性、またはアリル変性シリコーン系界面活性剤などのシリコーン系界面活性剤と、ならびにペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加生成物などのフッ素系界面活性剤とを含む。上記に例示された非イオン性界面活性剤は、組み合わせて使用することもできる。
【0064】
さらに、本発明の組成物は、好ましくは「無NPE」である。すなわち、ノニルフェノールエトキシレートを含まない。
【0065】
好ましくは、脱インク組成物は、少なくとも1つの脂肪酸および少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。より好ましくは、脱インク組成物は、少なくとも1つの脂肪酸および少なくとも2つの非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤および脂肪酸は、約1:5〜約5:1、約1:3〜約3:1、または約1:2〜約2:1の好ましい重量比で存在する。
【0066】
脱インク方法は、約5〜約75重量%の非イオン性界面活性剤および約5〜約95重量%の脂肪酸を含む脱インク組成物を使用する。好ましくは、脱インク組成物は、約10〜約65重量%の非イオン性界面活性剤および約10〜約90重量%の脂肪酸を含む。より好ましくは、脱インク組成物は、約15〜約55重量%の非イオン性界面活性剤および約15〜約85重量%の脂肪酸を含む。
【0067】
脂肪酸および/または非イオン性界面活性剤の脱インク組成物配合物は、通常、脱インクされる印刷古紙1トンあたり約2ポンド〜約30ポンドあるいは脱インクされる印刷古紙1トンあたり約5ポンド〜約20ポンドまでで提供される。
【0068】
疎水性MIP、脂肪酸、および非イオン性界面活性剤、またはこれらの混合物は、別々にパルパーに添加することができる。あるいは、混合物をパルパーに添加する前に一緒に混合することもできる。好ましくは、疎水性MIP、脂肪酸、および非イオン性界面活性剤、またはこれらの混合物は、パルパーに添加される前に混合される。
【0069】
脱インク組成物に対する無機粒子の比率は、約1:2〜約40:1の範囲であり得る。好ましくは、脱インク組成物に対する無機粒子の比率は、約1:1〜約15:1の範囲である。より好ましくは、脱インク組成物に対する疎水性MIPの比率は、約1:1〜約10:1の範囲である。
【0070】
脂肪酸および非イオン性界面活性剤は、印刷古紙を脱インクするための添加剤として一般に使用されるが、脱インク組成物が特定の比率の脂肪酸および非イオン性界面活性剤の混合物を含む場合には、疎水性MIPは、浮選および洗浄脱インク工程において相乗的および非付加的な利益を提供することが予想外に発見された。驚くべきことに、疎水性MIP、脂肪酸、および非イオン性界面活性剤、またはこれらの混合物の脱インク組成物は、従来のアルカリ性(pH約9.0〜約11.0)、低アルカリ性(pH約7.5〜約8.8)、または正確な中性(pH約6.8〜約7.5)脱インク条件下で、印刷古紙スラリーからインクを除去できることも発見された。従って、本発明の脱インク組成物は、製紙工程における脱インクの最中およびその後のpH調整に関連するコストおよび労力を実質的に低減することができると共に、従来のアルカリ性の脱インクに関連する有害な影響(アルカリ性の黄変または黒ずみなど)も低減または除去することもできる。さらに、本発明の脱インク組成物は、予想外に、増大した明度および著しく低下したERIC値を有する紙パルプを生じる。
【0071】
本発明は、接触工程よりも前に、脱インク組成物が任意で無機性基質と混合されると規定している。
【0072】
本発明はさらに、接触工程がパルパー内で生じると規定している。
【0073】
本発明はさらに、水性パルプスラリー中で印刷古紙パルプをインクから分離する工程を含む、古紙の脱インク方法を含む。再パルプ化(すなわち、浮選、洗浄/浮選コンビネーション、浮選/洗浄コンビネーションおよび洗浄脱インク)の後に脱インク繊維を製造するために、インクおよびインク関連要素を単離する種々の方法が用いられる。
【0074】
本発明はさらに、脱インクされた紙パルプを水性パルプスラリーから回収する工程を含む、古紙の脱インクのための方法を含む。回収工程は、浮選工程、洗浄工程、またはこれらの組み合わせを含む。本発明の1つの好ましい実施形態は、浮選工程を含む。浮選工程は、粉末、ケーキ、またはスラリー状の約1〜約40重量部の炭酸カルシウムと、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはこれらの混合物を含む約1重量部の脱インク組成物と、炭酸カルシウムおよび脱インク組成物を混合して浮選脱インク添加剤を得ることとを含む脱インク添加剤を含む。
【0075】
印刷古紙は、新聞紙、雑誌、電話帳、広告用印刷材料、レーザー印刷材料、コンピュータ用紙、法的文書、蔵書、段ボール箱、粘着性汚染物質、またはこれらの混合物を含む。印刷古紙は、約20重量%〜約100重量%の新聞紙を含む。本発明の1つの好ましい実施形態では、印刷古紙は、約50重量%〜約100重量%の新聞紙を含む。より好ましくは、印刷古紙は、約80重量%〜約100重量%の新聞紙を含む。もう1つの実施形態では、印刷古紙は、約80重量%までの量の雑誌を含む。好ましくは、印刷古紙は、約50重量%までの量の雑誌を含む。より好ましくは、印刷古紙は、約20重量%までの量の雑誌を含む。
【0076】
これらの材料を製造するために使用される紙の繊維は、クラフトパルプなどの化学的にパルプ化された材料でもよいし、あるいは砕木などの機械的に製造されたパルプでも、これらの混合物でもよい。また、このような古紙は接着剤または粘着性汚染物質を含むこともある。
【0077】
古紙において見られることが多い接着剤または粘着性汚染物質としては、感圧テープ(例えば、アクリルコンタクト接着剤)、ポリエステルホットメルト接着剤テープ、シームバインディング、ラベル、デカール、スタンプ、およびステッカー(例えば、バンパーステッカー)がある。これらの接着剤は、製紙分野では「スティッキー(sticky)」と呼ばれることが多い。スティッキーは、合成高分子有機材料の種々の混合物である。パルプ化工程中に、スティッキーは、機械および熱エネルギーが加えられることにより二次繊維から解放される。スティッキーは水中にうまく分散せず、回収された繊維と共に持ち込まれると、紙シート上の「汚点」になるか、あるいはワイヤー、フェルト、または他の製紙用設備に付着し、溶媒洗浄技法によりスティッキーを除去するために一般にこのような設備の中断を必要とするであろう。スティッキー汚染を除去または低減するための他の化学的および非化学的方法は、当該技術分野においてよく知られている。これらの要素の除去は、本発明の実施形態を用いて容易にすることができる。
【0078】
印刷業界において使用されるインク製剤には、通常、水性のインク、油性のインク、パッケージインク、フレキソインク、インクジェットインク、顔料ベースのインクジェットインク、サーマルインクジェットインク、または圧電インクジェットインクが含まれる。しかし、これらのインク製剤はますます複雑になってきており、様々な種類の合成樹脂およびポリマーの使用をさらに必要とする。さらに、毎年増加する量のゼログラフィーコピー用紙が使用されており、増加する量のインパクトおよびノンインパクト古紙(すなわち、インクジェットおよびレーザー印刷されたコンピュータ用紙)がリサイクルされている。このような紙は、新聞紙および雑誌と一緒にリサイクル古紙の主要な原料を構成する。さらに近年、多色印刷および多色広告がますます重要になってきており、これらの広告は様々な種類の新しいインク製剤を使用しており、その多くは、型にはまらない顔料、染料、およびトナーを取り入れている。1つの好ましい実施形態では、印刷古紙は、水性のインク、油性のインク、パッケージインク、フレキソインク、インクジェットインク、顔料ベースのインクジェットインク、サーマルインクジェットインク、または圧電インクジェットインクを含む。代替の実施形態では、印刷古紙は親水性インクを含む。
【0079】
もう1つの実施形態では、本発明は脱インク添加剤の調製方法を提供し、粉末、ケーキ、またはスラリー状の約1〜約40重量部の炭酸カルシウムを提供することと、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはこれらの混合物を含む約1重量部の脱インク組成物を提供することと、前記炭酸カルシウムおよび前記脱インク組成物を混合して前記脱インク添加剤を得ることとを含む。
【0080】
本発明はこれから、本発明の実施形態を実証する以下の非限定的な実施例によってさらに説明されるであろう。当業者は、本発明の開示に照らして、本発明の範囲から逸脱することなく多くの他の実施形態が可能であることを理解すべきである。
【0081】
[実施例]
以下の実施例において、新聞紙および雑誌を、様々な地理的位置および工場から入手した。この広範囲にわたる研究を通して、いくつかの異なる古紙原料を用いた。実験手順および試験の詳細は、それぞれの完成紙料の変化の前の要約表に書かれている。これらの要約表は、古新聞紙/古雑誌の比率(「ONP/OMG」)を含む。
【0082】
パルプ化は、ONP/OMG比の新聞紙および雑誌を全乾燥重量で750グラム導入し、19%のパルプ化コンシステンシーを形成することによって達成した。パルプ化は、規定の温度および硬度で生じた。パルプ化時間は、Hobartにおいて設定#3(約8kWh/トンのエネルギー密度に相当する)で5分であった。このエネルギー密度は、商業的に利用される典型的なドラムパルパーの代表的なものである。パルプ化の開始の前に、標準的なアルカリ性脱インク成分を添加した。これらの成分は、シリケート(50%)、過酸化物(100%)、および水酸化ナトリウム(50%)を含む。低アルカリ性および中性の脱インクのための条件は以下に記載されるとおりである。
【0083】
浮選は、それぞれの完成紙料について実験パラメータ表に記載されるように、D25Voith浮選セルを用いて実施した。明度パッド(4グラム)が供給原料から3通りに調製され、そして浮選を受けた。ERICおよび明度の結果を、排除体積および質量と共に記録した。工場スタッフから入手した手順を用いて、初めに全ての脂肪酸をセッケンとして調製した。過剰洗浄(Hyperwash)も標準的な手順に従って実施した。
【0084】
PCCを水中に20%から10%の固形分へ希釈し、イソプロピルアルコール中50%の脂肪酸溶液を注ぎ込み、Waring Blenderにおいて比較的低いせん断下でスラリーを振とうまたは混合した。その全てがきわめて酸性であるリン酸エステルの場合には、エステルを25%のイソプロピルアルコールと混合し、水酸化ナトリウムを用いてpHを約7に調整した。中和していない脂肪酸のリン酸エステルを用いるそれ以前の試みでは、PCCが酸性溶液中に溶解するときに、著しい発泡および起泡が起こった。
【0085】
【表1】

【実施例1】
【0086】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は48℃で生じた。パルプ化は、パルパー内で30#/tの水酸化ナトリウム、25#/tのシリケート、および3#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび180ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。
【0087】
【表2】

【0088】
MIP技術は、非常に顕著な脱インク捕集性の改善を実証する。評価したMIPの全ては好ましく機能した。明度およびERIC値の両方におけるこれらの目覚しい改善は、多くの場合、同じであるかまたはより低い排除レベルで達成され、これにより、改善された捕集効率が示された。過剰洗浄ERICの結果は、明らかに、MIP技術が繊維から分離されるインクの著しい改善を実証することを示した。MIP未処理、未処理PCCも、界面活性剤配合物の存在下で改善された脱インク性能を実証する。
【実施例2】
【0089】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は113°Fで生じた。パルプ化は、パルパー内で32#/tの水酸化ナトリウム、15#/tのシリケート、および18#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび120ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。これらの試験は、未処理MTP(「MTP−未処理」)の添加がパルプ明度に対してどんな寄与(もしあれば)をするかを調べるために実施した。脱インク助剤が存在しない場合のMlP−未処理の添加は、MIPが界面活性剤配合物と共に導入される場合に、相乗的な非付加的な利益が得られることを実証する。
【0090】
【表3】

【実施例3】
【0091】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は48℃で生じた。パルプ化は、パルパー内で30#/tの水酸化ナトリウム、25#/tのシリケート、および3#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび180ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。様々な界面活性剤配合物の存在下でMIPの有利な影響が観察される。明度、ERIC、および過剰洗浄における顕著な改善も観察される。
【0092】
【表4】

【実施例4】
【0093】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は48℃で生じた。パルプ化は、パルパー内で30#/tの水酸化ナトリウム、25#/tのシリケート、および3#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび180ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。この実施例は、脱インク組成物が特定の比率の脂肪酸および非イオン性界面活性剤の混合物を含む場合に、疎水的性MIPが浮選および洗浄脱インク工程において相乗的および非付加的な利益を提供することを実証する。
【0094】
【表5】

【実施例5】
【0095】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は48℃で生じた。パルプ化は、パルパー内で30#/tの水酸化ナトリウム、25#/tのシリケート、および3#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび180ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。これらの結果は、界面活性剤配合物に対するMIP比の増大が、受容品質および捕集効率に関して脱インク性能を増大できることを示す。
【0096】
【表6】

【実施例6】
【0097】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は48℃で生じた。パルプ化は、パルパー内で30#/tの水酸化ナトリウム、25#/tのシリケート、および3#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび180ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。この実施例は、脱インク組成物が特定の比率の脂肪酸および非イオン性界面活性剤の混合物を含む場合に、疎水性MIP(「MLP−TDAリン酸モノエステル9EO」)が、浮選および洗浄脱インク工程において相乗的および非付加的な利益を提供することを実証する。
【0098】
【表7】

【実施例7】
【0099】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は113°Fで生じた。要約表に記載される以外の添加剤を用いずに、19%のコンシステンシーおよび120ppmの硬度でパルプ化を実施した。この実施例は、一連の低下した低アルカリ性の脱インク評価である。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。結果は、調査した2つの異なるMIP技術についてシリケートおよびスルファイトを組み合わせると、インク除去を高度に示す同様のERICが得られることを示す。アルカリ性の脱インク下で存在する過酸化物漂白成分が除外されているため、明度はあまり有利でない。
【0100】
【表8】

【実施例8】
【0101】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は113°Fで生じた。パルプ化は、パルパー内で32#/tの水酸化ナトリウム、15#/tのシリケート、および18#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび120ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。結果は、2つのミクロン処理した粉砕炭酸カルシウム(「GCC−2」)をMIPとして用いるMIP技術が有利に機能することを示す。
【0102】
【表9】

【実施例9】
【0103】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は113°Fで生じた。パルプ化は、パルパー内で32#/tの水酸化ナトリウム、15#/tのシリケート、および18#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび120ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。結果は、界面活性剤配合物およびMIPがパルパーに導入される前に混合される(「PREMIX」)場合に、MIP技術が極めてよく機能することを示す。
【0104】
【表10】

【実施例10】
【0105】
ONP/OMG比は4:1であった。パルプ化および浮選は113°Fで生じた。パルプ化は、パルパー内で32#/tの水酸化ナトリウム、15#/tのシリケート、および18#/tの過酸化物と共に、19%のコンシステンシーおよび120ppmの硬度で実施した。Voithセルにおいて1%の開始コンシステンシーで浮選を6分間実施した。この実施例は、中性の脱インク条件下での本発明の性能を実証する。要約すると、受容ERIC、捕集効率、および過剰洗浄データが有利である。明度の遅れは、アルカリ性コントロールにおけるパルパー過酸化物および関連する明度利得の除外の結果である。
【0106】
【表11】

【0107】
本発明の上記の説明を読めば、当業者がそこからの変化および変更を成し得ることを理解されたい。これらの変化および変更は、以下の非限定的な特許請求の範囲の精神および範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクおよび紙パルプを含む印刷古紙を脱インクする方法であって、
a)前記印刷古紙をパルパー内で水性パルプスラリーに転換する工程と、
b)前記水性パルプスラリーを無機性基質と接触させる工程と、
c)前記水性パルプスラリーを、非イオン性界面活性剤、脂肪酸、またはこれらの混合物を含む脱インク組成物と接触させる工程と、
d)前記水性パルプスラリー中の前記インクを分離する工程と、
e)前記水性パルプスラリーから脱インクされた紙パルプを回収する工程と
を含み、任意で、工程(b)の前に前記脱インク組成物が前記無機性基質と混合される方法。
【請求項2】
前記無機性基質が炭酸カルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脱インク組成物が第1の非イオン性界面活性剤および第1の脂肪酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水性パルプスラリーを、約1〜約40重量部の炭酸カルシウムおよび約1重量部の前記脱インク組成物と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記水性パルプスラリーを、約1〜約40重量部の炭酸カルシウム、ならびに非イオン性界面活性剤および脂肪酸を含む約1重量部の脱インク組成物と接触させ、前記脱インク組成物が、約5〜約75重量%の非イオン性界面活性剤および約5〜約95重量%の脂肪酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炭酸カルシウムが、炭酸カルシウム沈殿物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記炭酸カルシウムが、偏三角面体形態を有する炭酸カルシウム沈殿物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記炭酸カルシウムが粉末炭酸カルシウムを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記炭酸カルシウムが、約0.1ミクロン〜約10ミクロン(μm)の平均粒子直径を有する粒子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記炭酸カルシウムが、約0.5ミクロン〜約3.0ミクロン(μm)の平均粒子直径を有する粒子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記炭酸カルシウムが、粉末、ケーキ、または水性スラリーとして提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記炭酸カルシウムが、実質的に分散剤が存在しない状態で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記脂肪酸が、約6〜約22の炭素鎖長を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記脂肪酸が、約14〜約18の炭素鎖長を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記脂肪酸が飽和脂肪酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
前記脂肪酸が1〜5のエチレン性不飽和結合を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
前記脂肪酸がヤシ油、トール油、植物油、または獣脂油に由来する、請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記非イオン性界面活性剤がアルコキシ化炭化水素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記非イオン性界面活性剤がアルコキシ化脂肪酸、脂肪アルコール、またはヒマシ油を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記非イオン性界面活性剤がプロポキシ化およびエトキシ化された炭化水素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項21】
前記非イオン性界面活性剤がエトキシ化炭化水素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項22】
前記非イオン性界面活性剤が、C6〜C18の疎水性部分を含む分枝状エトキシ化脂肪アルコール、またはC10〜C22の疎水性部分を含む直鎖状エトキシ化脂肪アルコールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
前記非イオン性界面活性剤が、約1〜約100モルのアルコキシ化を含むアルコキシ化炭化水素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項24】
前記非イオン性界面活性剤が、約5〜約50モルのアルコキシ化を含むアルコキシ化炭化水素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシ化された第1の非イオン性界面活性剤と、エトキシ化およびプロポキシ化された第2の非イオン性界面活性剤とを含み、前記第2の非イオン性界面活性剤中の前記プロポキシ化およびエトキシ化がランダム化またはブロック化されている、請求項2に記載の方法。
【請求項26】
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシ化された第1の非イオン性界面活性剤と、プロポキシ化およびエトキシ化された第2の非イオン性界面活性剤とを含み、前記第1および第2の非イオン性界面活性剤が、約100:0〜約0:100の重量比で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記非イオン性界面活性剤が、エトキシ化された第1の非イオン性界面活性剤と、プロポキシ化およびエトキシ化された第2の非イオン性界面活性剤とを含み、前記第1および第2の非イオン性界面活性剤が約3:0〜約0:3の重量比で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項28】
前記非イオン性界面活性剤および前記脂肪酸が、約1:5〜約5:1の重量比で存在する、請求項2に記載の方法。
【請求項29】
前記脱インク組成物が、約5〜約75重量%の非イオン性界面活性剤および約5〜約95重量%の脂肪酸を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項30】
前記脱インク組成物が、約10〜約65重量%の非イオン性界面活性剤および約10〜約90重量%の脂肪酸を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項31】
前記脱インク組成物が、約15〜約55重量%の非イオン性界面活性剤および約15〜約85重量%の脂肪酸を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項32】
前記炭酸カルシウムが、前記印刷古紙の重量を基準として約1ポンド/トン〜約75ポンド/トンの量で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項33】
前記炭酸カルシウムが、前記印刷古紙の重量を基準として約5ポンド/トン〜約40ポンド/トンの量で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項34】
前記脱インク組成物が、前記印刷古紙の重量を基準として約2ポンド/トン〜約25ポンド/トンの量で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項35】
前記炭酸カルシウムおよび前記脱インク組成物が、約1:2〜約40:1の重量比で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項36】
前記炭酸カルシウムおよび前記脱インク組成物が、約1:1〜約15:1の重量比で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項37】
前記炭酸カルシウムおよび前記脱インク組成物が、約1:1〜約10:1の重量比で提供される、請求項2に記載の方法。
【請求項38】
前記回収工程(d)が、浮選工程、洗浄工程、またはこれらの組み合わせを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項39】
前記水性スラリーが、
a)印刷古紙1トンあたり約0〜約40ポンドの水酸化ナトリウムまたはソーダ灰、
b)印刷古紙1トンあたり約0.5〜約20ポンドの非イオン性界面活性剤および/または脂肪酸、
c)約0〜約6ポンドのキレート剤、
d)約0〜約40ポンドの過酸化物、または
e)印刷古紙1トンあたり約0〜約45ポンドのシリケート
のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項40】
前記水性パルプスラリーが、約6.5〜約11.5の範囲のpHを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項41】
前記水性パルプスラリーが、約9.0〜約11.0の範囲のpHを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項42】
前記水性パルプスラリーが、約7.5〜約9.0の範囲のpHを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項43】
前記水性パルプスラリーが、約6.8〜約7.5の範囲のpHを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項44】
前記パルパーコンシステンシーが、約5重量%〜約35重量%のパルプを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項45】
前記パルパースラリーが、約5重量%〜約25重量%のパルプを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項46】
前記水性パルプスラリーが、分散剤を含まない、請求項2に記載の方法。
【請求項47】
前記転換工程(a)を、約25℃〜約85℃の範囲の温度で行う、請求項2に記載の方法。
【請求項48】
前記転換工程(a)を、約30℃〜約75℃の範囲の温度で行う、請求項2に記載の方法。
【請求項49】
前記転換工程(a)を、約40℃〜約60℃の範囲の温度で行う、請求項2に記載の方法。
【請求項50】
a)約1〜約40重量部の炭酸カルシウムと、
b)非イオン性界面活性剤および脂肪酸を含む約1重量部の脱インク組成物と、
を含む脱インク添加剤であって、前記脱インク組成物が、約5〜約75重量%の非イオン性界面活性剤および約5〜約95重量%の脂肪酸を含む、脱インク添加剤。
【請求項51】
前記脱インク組成物が、約10〜約65重量%の非イオン性界面活性剤および約10〜約90重量%の脂肪酸を含む、請求項50に記載の脱インク添加剤。
【請求項52】
前記非イオン性界面活性剤が、約5〜約50モルのアルコキシ化を含むアルコキシ化炭化水素を含む、請求項50に記載の脱インク添加剤。
【請求項53】
前記脂肪酸が、約14〜約18の炭素鎖長を有する、請求項50に記載の脱インク添加剤。
【請求項54】
前記脂肪酸が飽和脂肪酸である、請求項50に記載の脱インク添加剤。
【請求項55】
前記脂肪酸が、1〜5のエチレン性不飽和度を含む、請求項50に記載の脱インク添加剤。
【請求項56】
前記脂肪酸が、ヤシ油、トール油、植物油、または獣脂油に由来する、請求項50に記載の脱インク添加剤。
【請求項57】
a)約1〜約40重量部の炭酸カルシウムと、
b)約14〜約18の炭素鎖長を有する脂肪酸を含む約1重量部の脱インク組成物と、
を含む脱インク添加剤。
【請求項58】
前記脂肪酸が飽和脂肪酸である、請求項57に記載の脱インク添加剤。
【請求項59】
前記脂肪酸が、1〜5のエチレン性不飽和度を含む、請求項57に記載の脱インク添加剤。
【請求項60】
前記脂肪酸が、ヤシ油、トール油、植物油、または獣脂油に由来する、請求項57に記載の脱インク添加剤。
【請求項61】
a)粉末、ケーキ、またはスラリー状の約1〜約40重量部の炭酸カルシウムを提供する工程と、
b)(i)非イオン性界面活性剤および脂肪酸、または
(ii)約14〜約18の炭素鎖長を有する脂肪酸
を含む約1重量部の脱インク組成物を提供する工程と、
c)前記炭酸カルシウムおよび前記脱インク組成物を混合して、脱インク添加剤を得る工程と、
を含む、脱インク添加剤の調製方法。

【公開番号】特開2012−255245(P2012−255245A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−171868(P2012−171868)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2008−549608(P2008−549608)の分割
【原出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【出願人】(506159024)ケミラ ケミカルズ,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】