説明

脱気システム

【課題】ある脱気装置で液漏れが発生しても、漏れた液体が他の脱気装置および真空ポンプに流入するのを未然に防止できる脱気システムを提供する。
【解決手段】脱気システム10Aは、複数の脱気装置12と、脱気装置12内を減圧するための真空ポンプ14と、脱気装置12の脱気エレメント32から漏れた液体を一時的に保持できる液体トラップ16と、脱気エレメント32から漏れた液体が液体トラップ16に流入したのを検出するために液体トラップ16に設けられた液漏れセンサ18と、液体トラップ16と真空ポンプ14とを接続している下流真空経路20bと、複数の脱気装置12の各々と液体トラップ16とを個別かつ直接に接続している複数の上流真空経路20aとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体中の溶存ガスは、配管の腐食、圧力損失の増大、熱交換率の低下、液体の塗布ムラ等の原因になる。そのため、液体の使用方法および使用目的に応じて、液体から溶存ガスを除去する必要がある。液体から溶存ガスを除去するために、従来、図4に示す脱気装置が使用されている。
【0003】
脱気装置101は、フッ素樹脂製の気体透過性チューブで構成された脱気エレメント103と、脱気エレメント103を収容した真空チャンバ102とを備えている。真空チャンバ102の真空引き口113に真空ポンプを接続し、真空チャンバ102内を減圧しつつ、脱気エレメント103に液体を流す。これにより、液体から溶存ガスを除去できる。
【0004】
また、下記特許文献1および2には、脱気装置で液漏れが発生した場合を想定して、脱気装置または真空経路に液漏れセンサを設けたり、真空経路に液体トラップを設けたりする技術が記載されている。
【0005】
大量の液体を処理する場合、複数の脱気装置を同時に使用する。図5に示すように、一般的には、液体の経路120および真空経路122に対して、複数の脱気装置101を並列に配置した脱気システム200が知られている。真空経路122上には、真空ポンプ126への液体の流入を阻止する液体トラップ124が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−165708号公報
【特許文献2】特開平9−85011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5に示す脱気システム200によると、ある脱気装置101で液漏れが発生したとき、漏れた液体が真空経路122を通じて他の脱気装置101に流入することがある。この場合、液漏れの発生した脱気装置101のメンテナンスだけでなく、液漏れの発生していない他の脱気装置101のメンテナンスも必要となる。
【0008】
本発明の目的は、ある脱気装置で液漏れが発生しても、漏れた液体が他の脱気装置および真空ポンプに流入するのを未然に防止できる脱気システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明は、
気体透過性チューブで構成された脱気エレメントと、前記脱気エレメントを収容している真空チャンバとを各々が含む複数の脱気装置と、
前記複数の脱気装置に共用されているとともに、前記真空チャンバ内を減圧するための真空ポンプと、
前記複数の脱気装置に共用されているとともに、前記脱気エレメントから漏れた液体を一時的に保持できる液体トラップと、
前記脱気エレメントから漏れた液体が前記液体トラップに流入したことを検出するために前記液体トラップに設けられた液漏れセンサと、
前記液体トラップと前記真空ポンプとを接続している下流真空経路と、
前記複数の脱気装置の各々と前記液体トラップとを個別かつ直接に接続している複数の上流真空経路と、
を備えた、脱気システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、脱気装置から真空ポンプへの真空経路が上流真空経路および下流真空経路によって構成されている。上流真空経路と下流真空経路との間に液体トラップが設けられている。複数の脱気装置の各々と液体トラップとが複数の上流真空経路によって個別かつ直接に接続されている。液体トラップと真空ポンプとが下流真空経路によって接続されている。つまり、一の脱気装置と液体トラップとを接続する真空経路と、他の脱気装置と液体トラップとを接続する真空経路とが、共用部分を有していない。
【0011】
上記構成によると、ある脱気装置で液漏れが発生した場合において、その脱気装置から他の脱気装置に漏れた液体が進むためには、液体トラップを経由しなければならない。つまり、ある脱気装置から他の脱気装置へと漏れた液体が直接に進める経路が存在しない。同様に、液漏れが発生した脱気装置から真空ポンプに漏れた液体が進むためには、液体トラップを経由しなければならない。漏れた液体を液体トラップで確実に捕らえることができるので、漏れた液体が真空ポンプおよび他の脱気装置に流入するのを確実に防止できる。また、液漏れセンサにより、液漏れの発生を迅速に検出できる。液漏れが発生した脱気装置のメンテナンスを行うだけで、迅速にシステムの回復を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態にかかる脱気システムの構成図
【図1B】脱気システムの変形例の構成図
【図2】図1に示す脱気システムに用いられた脱気装置の概略断面図
【図3A】液体トラップの概略断面図
【図3B】液体トラップの変形例の概略断面図
【図3C】液体トラップの他の変形例の概略断面図
【図4】従来の脱気装置の概略断面図
【図5】従来の脱気システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1Aに示すように、本実施形態にかかる脱気システム10Aは、複数の脱気装置12、真空ポンプ14、液体トラップ16、液漏れセンサ18、複数の上流真空経路20a、および下流真空経路20bを備えている。真空ポンプ14および液体トラップ16は、複数の脱気装置12に共用されている。各脱気装置12には、脱気すべき液体をタンク21から各脱気装置12に供給し、かつ各脱気装置12で脱気された液体をユースポイントへと送るための処理液経路26が接続されている。処理液経路26には、送液ポンプ24が設けられている。
【0015】
複数の上流真空経路20aは、複数の脱気装置12の各々と液体トラップ16とを個別かつ直接に接続している。下流真空経路20bは、液体トラップ16と真空ポンプ14とを接続している。すなわち、上流真空経路20aと下流真空経路20bとの間に液体トラップ16が設けられており、これら上流真空経路20a、液体トラップ16および下流真空経路20bとによって、脱気装置12から真空ポンプ14への真空経路が形成されている。
【0016】
図2に示すように、脱気装置12は、真空チャンバ30および脱気エレメント32を有する。脱気すべき液体を脱気エレメント32に流せるように、脱気エレメント32が真空チャンバ30に収容されている。真空チャンバ30には、液入口44a、液出口44bおよび真空引き口46が設けられている。
【0017】
真空チャンバ30は、金属、プラスチックおよびガラス等、耐久性および耐薬品性に優れた材料でできていることが好ましい。具体的には、金属であればステンレス鋼、プラスチックであればフッ素樹脂、ポリプロピレンまたはポリエチレンを好適に使用できる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が挙げられる。
【0018】
脱気エレメント32は、1本または2本以上(典型的には数十本〜数百本)の気体透過性チューブと、気体透過性チューブの端部に取り付けられた接合片34とで構成されている。複数の気体透過性チューブの端部が接着剤によって1つに束ねられており、気体透過性チューブからなる束の端部に接合片34が嵌められている。真空チャンバ30内において、脱気エレメント32は、コイル状に巻かれていてもよい。
【0019】
気体透過性チュ−ブは、例えば、PTFE、PFA、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)およびポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等のフッ素樹脂でできている。気体透過性チューブの端部を1つに束ねるための接着剤として、熱溶着性を有するフッ素樹脂粉末、具体的には、PFA粉末、PTFE粉末、FEP粉末およびETFE粉末を使用できる。
【0020】
真空チャンバ30には、O−リング40を介して、固定具38が取り付けられている。固定具38は、真空チャンバ30の内外を貫通している。固定具38には、処理液経路26と脱気エレメント32との連絡経路としての役割を果たす貫通孔が軸方向に延びるように形成されている。真空チャンバ30の内部において、脱気エレメント32の接合片34が固定具38に接続されるとともに、ナット36によって両者が固定されている。真空チャンバ30の外部において、固定具38に継ぎ手42が取り付けられている。2つの継ぎ手42の開口部は、各々、液入口44aおよび液出口44bとして機能する。継ぎ手42には、処理液経路26を構成する配管が接続される。
【0021】
液体トラップ16は、脱気装置12の脱気エレメント32から漏れた液体を一時的に保持できる。図3Aに示すように、液体トラップ16は、複数の排液口50と1つの吸引口52とを備えた容器58で構成されている。脱気システム10Aにおいて、複数の上流真空経路20aの各端部が複数の排液口50の各々に接続され、下流真空経路20bの端部が吸引口52に接続されている。
【0022】
本実施形態では、容器58の上蓋158に排液口50および吸引口52が設けられている。排液口50には、各々、継ぎ手54が取り付けられている。継ぎ手54を介して、上流真空経路20aを構成する配管が排液口50に接続されている。同様に、吸引口52には継ぎ手56が取り付けられている。継ぎ手56を介して、下流真空経路20bを構成する配管が吸引口52に接続されている。容器58の内部空間は、上流真空経路20aと下流真空経路20bとの連絡経路を構成している。
【0023】
容器58の下蓋258には、容器58内に捕らえられた液体を容器58の外に排出するための排液口60が設けられている。排液口60には、継ぎ手62が取り付けられている。継ぎ手62を介して、排液管64が排液口60に接続されている。排液管64には、液抜きバルブ22が設けられている。液抜きバルブ22は、通常時(脱気システム10Aの運転時)は閉じられており、液体を容器58の外に排出するときに開放される。容器58の内側の底面58pは、排液口60に液体が導かれるようにテーパが付与されている。つまり、底面58pは、すり鉢の形を有している。
【0024】
容器58は、例えば、PTFE、PFA、ポリエチレンおよびポリプロピレン等の樹脂またはステンレス等の金属でできている。
【0025】
液漏れセンサ18は、脱気装置12の脱気エレメント32から漏れた液体が液体トラップ16に流入したことを検出するために液体トラップ16に設けられている。本実施形態では、液体トラップ16を構成する容器58の内部かつ底部付近に液漏れセンサ18が設けられている。液漏れセンサ18は、抵抗の変化、光の強度変化等を検出原理に利用したものが一般的で、好適には、吸液紙タイプのものを使用できる。液漏れセンサ18の素子部分18aは、液体トラップ16の内部において、複数の排液口50の鉛直下方に位置している。脱気エレメント32から漏れた液体は、上流真空経路20aを通じて液体トラップ16に導かれるとともに、排液口50を通じて液漏れセンサ18の素子部分18aに直接滴下する。したがって、迅速な液漏れ検出が可能である。また、どの脱気装置12で液漏れが発生したのかを識別できるように素子部分18aが構成されていてもよい。
【0026】
ある脱気装置12で液漏れが発生した場合、液漏れが発生した脱気装置12から真空ポンプ14に漏れた液体が進むためには、液体トラップ16を経由しなければならない。液体トラップ16は、漏れた液体を溜めることができるので、下流真空経路20bを通じて漏れた液体が真空ポンプ14に流入するのを防止できる。また、脱気装置12の真空引き口46と液体トラップの排液口50とを接続している経路が、脱気装置12毎に分かれている。すなわち、一の脱気装置12で液漏れが発生した場合において、その脱気装置12から他の脱気装置12に漏れた液体が進むためには、液体トラップ16を経由しなければならない。したがって、一の脱気装置12から他の脱気装置12に漏れた液体が流入するのを防止できる。
【0027】
なお、漏れた液体が真空ポンプ14に流入するのを防ぐ効果を高めるために、図3Bおよび図3Cに示す構成を採用しうる。図3Bに示す液体トラップ16Bは、図3Aに示す液体トラップ16に、延長管55および継ぎ手56を追加したものである。継ぎ手56は上蓋158に内側から取り付けられており、継ぎ手56に接続された延長管55が容器58の内部において鉛直下方に向かって延びている。延長管55の開口部によって、排液口50が形成されている。すなわち、鉛直方向(重力方向)に関して、吸引口52が複数の排液口50よりも上に位置している。このような構成によると、排液口50から液体トラップ16Bの中に入った液体が吸引口52に進みにくい。したがって、漏れた液体が真空ポンプ14に流入するのをより確実に防げる。
【0028】
図3Cに示す液体トラップ16Cは、図3Aに示す液体トラップ16に、一または複数の隔壁66を追加したものである。1つの隔壁66は、複数の排液口50が開口している空間と吸引口52が開口している空間とを仕切るように、容器58内に設けられている。詳細には、複数の排液口50から選ばれる一の排液口50が開口している空間と、複数の排液口50から選ばれる他の排液口50が開口している空間と、吸引口52が開口している空間とを相互に仕切るように、容器58内に複数の隔壁66が設けられている。隔壁66は、容器58の内側の天井面58qから容器58の内側の底面58pに向かって鉛直下方に延びている。隔壁66の上端が天井面58qに接し、かつ隔壁66の下端と底面58pとの間にすき間が形成されている。そして、そのすき間に液漏れセンサ18の素子部分18aが位置している。このような構成によれば、一の排液口50から液体トラップ16Cの中に入った液体が吸引口52に進むのを確実に防止できるとともに、一の排液口50から液体トラップ16Cの中に入った液体が他の排液口50に進むのを確実に防止できる。
【0029】
また、複数の隔壁66によって仕切られた各空間に液漏れセンサ18の素子部分18aが面している。そのため、液漏れセンサ18によって液漏れの発生を迅速に検出できる。例えば、複数の排液口50の各々に個別に面するように複数の素子部分18aが設けられている場合、液漏れが発生した脱気装置12を迅速に特定できる利点がある。すなわち、液漏れの発生していない脱気装置12の真空チャンバ30を開いて液漏れの有無を確認する必要がない。
【0030】
なお、真空ポンプ14として、例えばダイアフラム真空ポンプを使用できる。また、脱気すべき液体を脱気装置12に供給するための送液ポンプ24として、マグネットポンプ、ギアポンプ、チューブポンプおよびプランジャ型定量ポンプ等を使用できる。
【0031】
脱気システム10Aの働きを簡単に説明する。真空ポンプ14を駆動することによって、上流真空経路20a、液体トラップ16の内部、下流真空経路20bおよび脱気装置12の内部が大気圧よりも低い圧力まで減圧される。送液ポンプ24を駆動すると、脱気すべき液体が処理液経路26を通って脱気装置12に送られる。脱気装置12の内部が真空に維持されているので、脱気装置12の脱気エレメント32を通過する際に、液体に溶存している気体が除去される。脱気された液体は、処理液経路26を通ってユースポイントへと送られる。
【0032】
なお、脱気装置12に液体を供給する方法として、加圧された気体を用いた方法を採用できる。図1Bに示す脱気システム10Bは、送液ポンプ24に代えて、ガスボンベ23、圧力供給経路27および弁29を備えている。ガスボンベ23には、窒素ガス等の不活性ガスが充填されている。弁29を開くと、タンク21内が加圧され、タンク21内の液体が脱気装置12へと送られる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0034】
(実施例1)
まず、図2に示す脱気装置12を以下の手順で作製した。気体透過性チューブとして、内径0.5mm、外径0.8mm、長さ280mmのPTFEチューブを150本準備した。PETFチューブの両端部の外周面にPFA粉末を塗布した後、両端部を金型で挟んで370℃で10分間加熱および加圧した。これにより、PTFEチューブを相互に接着してチューブ束を得た。次に、接合片34として、熱収縮性を有する円筒形のPFAパイプを準備した。PFAパイプの内周面にPFA粉末を塗布した後、このPFAパイプをチューブ束の端部に取り付けた。チューブ束の端部およびPFAパイプを加熱して、チューブ束にPFAパイプを一体化させた。このようにして、有効長さ200mmの脱気エレメント32を得た。
【0035】
次に、ステンレス製の真空チャンバ30にO−リング40を介して固定具38を取り付けた。固定具38に脱気エレメント32の接合片34を嵌め合わせた後、真空チャンバ30を閉じることによって、真空チャンバ30内に脱気エレメント32を収容した。真空チャンバ30の外部において、固定具38にフッ素樹脂製の継ぎ手42を取り付けた。真空チャンバ30内を減圧しうるように、真空引き口46を有するステンレス製の継ぎ手を真空チャンバ30に取り付けた。このようにして、図2を参照して説明した脱気装置12を得た。
【0036】
次に、脱気装置12を用いて、図1Aに示す構成の脱気システム10Aを構築した。まず、脱気すべき液体を貯めたタンク21と2台の脱気装置12の液入口44aとをPFA製配管(内径φ4mm×外径6mm)で接続した。脱気された液体を脱気装置12の外に排液できるように、液出口44bにもPFA製配管を接続した。また、2台の脱気装置12の真空引き口46と液体トラップ16の2つの排液口50とを別々のPFA製配管で接続した。液体トラップ16の吸引口52とダイアフラム型真空ポンプ14とをPFA製配管で接続した。なお、2台の脱気装置12の一方で液漏れが起こるように、脱気エレメント32を構成するPTFEチューブにいくつかの孔を予め開けた。
【0037】
上記の手順で構築した脱気システム10Aの運転を行った。まず、真空ポンプ14を駆動し、脱気装置12、上流真空経路20a、液体トラップ16および下流真空経路20b内を排気した。真空度は、4kPaであった。真空ポンプ14を駆動しつつ、送液ポンプ24を駆動して2台の脱気装置12に脱気すべき液体としての水を供給した。供給開始から30秒経過後、一方の脱気装置12の脱気エレメント32から漏れた水が液体トラップ16に流入したことを液漏れセンサ18で検出した。検出後、直ちに運転を停止し、真空ポンプ14および他の脱気装置12の内部を確認したところ、水は流入していなかった。
【0038】
(実施例2)
図3Bに示す液体トラップ16Bを用い、実施例1と同じ手順で脱気システム10Aを構築した。実施例1と同じ手順で脱気運転を行うとともに、液漏れ検出後直ちに運転を停止した。真空ポンプ14および他の脱気装置12の内部を確認したところ、水は流入していなかった。
【0039】
(実施例3)
図3Cに示す液体トラップ16Cを用い、実施例1と同じ手順で脱気システム10Aを構築した。実施例1と同じ手順で脱気運転を行うとともに、液漏れ検出後直ちに運転を停止した。真空ポンプ14および他の脱気装置12の内部を確認したところ、水は流入していなかった。
【0040】
(比較例)
脱気装置12を用い、図5に示す脱気システム200を構築した。ただし、液体トラップ124は省略した。実施例1と同じ手順で脱気運転を行うとともに、液漏れ検出後直ちに運転を停止した。真空ポンプ126および他の脱気装置101の内部を確認したところ、双方に液体が流入していた。
【符号の説明】
【0041】
10A,10B 脱気システム
12 脱気装置
14 真空ポンプ
16,16B,16C 液体トラップ
18 液漏れセンサ
20a 上流真空経路
20b 下流真空経路
50 排液口
52 吸引口
58 容器
66 隔壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体透過性チューブで構成された脱気エレメントと、前記脱気エレメントを収容している真空チャンバとを各々が含む複数の脱気装置と、
前記複数の脱気装置に共用されているとともに、前記真空チャンバ内を減圧するための真空ポンプと、
前記複数の脱気装置に共用されているとともに、前記脱気エレメントから漏れた液体を一時的に保持できる液体トラップと、
前記脱気エレメントから漏れた液体が前記液体トラップに流入したことを検出するために前記液体トラップに設けられた液漏れセンサと、
前記液体トラップと前記真空ポンプとを接続している下流真空経路と、
前記複数の脱気装置の各々と前記液体トラップとを個別かつ直接に接続している複数の上流真空経路と、
を備えた、脱気システム。
【請求項2】
前記液体トラップは、前記複数の上流真空経路の各端部が接続された複数の排液口と、前記下流真空経路の端部が接続された吸引口とを備えた容器で構成されており、
鉛直方向に関して、前記吸引口が前記複数の排液口よりも上に位置している、請求項1に記載の脱気システム。
【請求項3】
前記液体トラップは、前記複数の上流真空経路の各端部が接続された複数の排液口と、前記下流真空経路の端部が接続された吸引口とを備えた容器で構成されており、
前記複数の排液口が開口している空間と前記吸引口が開口している空間とを仕切るように、前記容器内に隔壁が設けられている、請求項1または2に記載の脱気システム。
【請求項4】
前記液体トラップは、前記複数の上流真空経路の各端部が接続された複数の排液口と、前記下流真空経路の端部が接続された吸引口とを備えた容器で構成されており、
前記複数の排液口から選ばれる一の前記排液口が開口している空間と、前記複数の排液口から選ばれる他の前記排液口が開口している空間と、前記吸引口が開口している空間とを相互に仕切るように、前記容器内に複数の隔壁が設けられている、請求項1または2に記載の脱気システム。
【請求項5】
前記隔壁が、前記容器の内側の天井面から前記容器の内側の底面に向かって鉛直下方に延びており、
前記隔壁の上端が前記天井面に接し、かつ前記隔壁の下端と前記底面との間にすき間が形成されている、請求項3または4に記載の脱気システム。




【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−104508(P2011−104508A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261726(P2009−261726)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】