説明

脱液、切粉除去機能を有するねじ立て装置

【課題】ベンドタップを用いたねじ立て装置は、ナット加工部に切削加工液をかけながらねじ立て加工を行なっている為、ねじ立て加工を終えたナットには切削加工液や切粉が付着したまま、ねじ立て装置から排出される。その為、ねじ立て装置から排出されたナットは遠心分離装置で脱液、振動によるフルイ装置で切粉除去が行なわれており、ねじ立て加工工程後に脱液工程、切粉除去工程の2工程が必要だった。
【解決手段】ベンドタップを使用するねじ立て装置において、ベンドタップのシャンク中央部が湾曲したベンドタップを使用し、この湾曲したシャンク中央部に空間を設けることにより、ベンドタップのベンド部の回転による遠心力を利用してねじ立て加工と同時にナットの脱液、切粉除去ができる構造にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンドタップを用いてねじ立て加工を行なう自動ねじ立て装置の脱液、切粉除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のベンドタップを用いたねじ立て装置は、図5の様な装置が一般的に使用されており、ナット加工部に切削加工液をかけながらねじ立て加工を行なっている為、ねじ立て加工を終えたナットには切削加工液や切粉が付着したまま、ねじ立て装置から排出される。その為、ねじ立て装置から排出されたナットは遠心分離装置や振動によるフルイ装置で脱液、切粉除去をする必要があった。つまり、ねじ立て装置とは別個に脱液の設備、切粉除去の設備が必要であった。
【0003】
この為、脱液や切粉除去の為の設備と場所の確保が必要であり、また、その為の作業手間や時間、人員を要し、生産効率上、極めて非効率であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するため、ねじ立て加工と同時にナットに付着した切削加工液の脱液、および切粉の除去のできる自動ねじ立て装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、図1の様にシュートを通過して個々に供給されてくる未加工ナットをプッシャ−によりタップ切刃側に順次連続的に押送し、ベンドタップを使用してねじ切り加工をすることによってベンドタップ上に所定のねじ穴の開けられたナットが並列され、ねじ立て加工を終えたナットはシャンク軸に沿って移動し順次排出される工程において、ベンドタップのシャンク中央部が湾曲したベンドタップ(図2)を使用し、ベンド部をガイドするベンドガイド(図4)を開口して空間を設け、この開口部より加工済みナットに付着した切削加工液と切粉をベンドタップの回転による遠心力を利用してナットから分離して除去できる構造にして、ねじ立て加工と同時に加工済みナットの脱液、切粉除去を可能にした。
【0006】
つまり、シュートを通過して個々に供給されてくる未加工ナットを、プッシャ−により
タップ刃先側に順次連続的に押送し、ベンドタップを使用してねじ立て加工をするねじ立
て装置において、ベンドタップのシャンク中央部が湾曲したベンドタップ(図2)を使用
し、湾曲したシャンク中央部周りに空間を設けることにより回転による遠心力を利用して
ナットの脱液、切粉除去機能を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
ねじ立て加工と同時に脱液、および切粉除去が可能となる為、後工程の脱液設備、切粉除去設備が削減でき、ねじ立て装置の生産効率及びナットの品質が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
従来のねじ立て装置(図5)のナット排出口、およびベンドガイド部を改良し、図1の様にベンドタップのシャンク中央部が湾曲したベンドタップ(図2)を使用し、ベンド部をガイドするベンドガイド(図4)を開口し、湾曲したシャンク中央部周りに空間を設け、開口部よりベンド部の加工済みナットに付着した切削加工液、切粉をベンドタップの回転による遠心力を利用してナットから分離して除去できる構造にして、ねじ立て加工と同時に加工済みナットの脱液、切粉除去を可能にした。
【0009】
従来のねじ立て装置の横断面図を図5に本発明のねじ立て装置の横断面図を図1に示す。また、ねじ立て装置に使用する従来のベンドタップを図3に、本発明のベンドタップを図2に示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のねじ立て装置の横断面図を示す。
【図2】本発明に使用するベンドタップの外観形状を示す図である。
【図3】従来使用していたベンドタップの外観形状を示す図である。
【図4】図1のA−A線による断面図を示す。
【図5】従来のねじ立て装置の横断面図を示す。
【符号の説明】
【0011】
1 ナットガイド
2 脱液、切粉排除空間
3 ベンドガイド
4 スリーブ
5 スリーブケース
6 プーリー
7 ベアリング
8 ベアリングケース
9 ベアリングナット
10 未加工ナット
11 シュート
12 プッシャ−
13 ベンドタップ
14 ガイド、及びチャック
15 加工済みナット
16 ベアリング
17 ベンドタップのベンド部
18 脱液、切粉排出口
19 ナット排出口
20 ベンドタップ切刃
21 ベンドタップシャンク
22 ベンドガイド蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシャ−によりタップ刃先側に順次連続的に押送し同時にベンドタップを使用して未
加工ナットにねじ立加工をするねじ立て装置において、ベンドタップのシャンク中央部が
湾曲したベンドタップを使用し、湾曲したシャンク中央部周りに空間を設けることにより、ベンドタップの回転による遠心力を利用してナットの脱液、切粉除去機能を有することを特徴とするねじ立て装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−82796(P2010−82796A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257982(P2008−257982)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(599033726)株式会社ニチワ (1)
【Fターム(参考)】