説明

脱穀装置

【課題】 脱穀装置に対するメインテナンス作業を容易迅速に行えるものを構造簡単で脱穀装置の横側方においてメインテナンス作業に必要なスペースを抑制することのできる脱穀装置を提供する。
【解決手段】 チェーン2とガイド16とを備えて脱穀用穀稈を挾持し搬送する脱穀フィードチェーン装置Dを、穀稈を搬送する作業姿勢と横側方に退避する退避姿勢とに亘って、チェーン2の移動方向に沿った軸芯Y回りで横側方に揺動開放自在に構成してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンとガイドとを備えて脱穀用穀稈を挾持し搬送する脱穀フィードチェーン装置を装備している脱穀装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀フィードチェーン装置を、横側方に開いて退避姿勢に切り換え、脱穀装置に対するメインテナンス作業を円滑迅速に行う構成のものがある(特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−102555号公報(段落番号〔0113〕、及び、図32、33、45)
【特許文献2】特開2002−27822号公報(段落番号〔0027〕〜〔0037〕、及び、図8〜図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、脱穀装置の排ワラ放出口近くの上下向き軸芯周りで脱穀フィードチェーン装置を横側方に向けて退避姿勢に切り換える構成が示されている。
特許文献2においては、刈取り装置から脱穀装置に向けて上下向き姿勢で刈取り穀稈を搬送する縦搬送装置とともに脱穀フィードチェーン装置を、前記縦搬送装置を支持する傾斜軸芯回りで横開きする構成が示されている。
上記二つの構成においては、脱穀フィードチェーン装置を搬送始端部か又は搬送終端部かのいずれか一方の上下向き軸芯周りで揺動開放するものであるので、脱穀フィードチェーン装置は片持ち状態で支持されることとなる。そうすると、長尺の脱穀フィードチェーン装置の先端部等が垂れ下がることとなるとともに、上下向き支点に大きな荷重が掛かるところから、特許文献2に記載されているように、脱穀フィードチェーン装置単独ではなく、縦搬送装置と一体で揺動開放する手段を採らざるを得ないこととなる。
そうすると、脱穀フィードチェーン装置を揺動開放する構成が益々大掛かりな構造になり、製作上の負担が大きなものとなる。
また、上下向き支点を脱穀フィードチェーン装置の搬送始端部かまたは搬送終端部に設けているので、揺動開放によってメインテナンスに十分なスペースを確保する為には、大きな開き角度を必要とするために、揺動開放するために脱穀装置の横側方に十分なスペースが必要となる。
【0005】
本発明の目的は、脱穀装置に対するメインテナンス作業を容易迅速に行えるものを構造簡単で脱穀装置の横側方においてメインテナンス作業に必要なスペースを抑制することのできる脱穀装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔構成〕
請求項1に係る発明の特徴構成は、チェーンとガイドとを備えて脱穀用穀稈を挾持し搬送する脱穀フィードチェーン装置を、穀稈を搬送する作業姿勢と横側方に退避する退避姿勢とに亘って、前記チェーンの移動方向に沿った軸芯回りで横側方に揺動開放自在に構成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
【0007】
〔作用〕
脱穀フィードチェーン装置を、前記チェーンの移動方向に沿った軸芯回りで横側方に揺動開放自在に構成してあるので、脱穀フィードチェーン装置の搬送始端部と搬送終端部とに揺動支持点を設けることができる。これによって、従来のように、脱穀フィードチェーンの搬送始端部と搬送終端部とのいずれか一方に揺動支点を設けているものに比べて、支持構造が安定し、支点部分に大きな負担が作用しない。
しかも、脱穀フィードチェーン装置の横側方での揺動開放姿勢は搬送始端部から搬送終端部に掛けて一定のものにできるので、脱穀装置の側板から揺動脱穀フィードチェーン装置が位置するまでの間隔を従来構造のものに比べて抑えることができる。これによって、脱穀フィードチェーン装置を揺動開放する為の大きなスペースを必要としない。
【0008】
〔効果〕
したがって、揺動支点構造を簡素化できるとともに、メインテナンススペースが小さくて済むところから、製作上及びメインテナンス作業性の面でも有用な脱穀装置を提供できるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
脱穀選別装置について説明する。図1に示すように、脱穀装置Aにおける扱室1の左横側方に刈取穀稈を挾持して搬送する脱穀フィードチェーン2を配置するとともに、扱室1に扱胴3を軸支し、脱穀フィードチェーン2で搬送される刈取穀稈に扱胴3で扱き処理を施す。扱き処理を施された脱穀処理物は、受網5を通して選別装置Bに漏下する。
【0010】
図1及び図3に示すように、受網5の下方には、脱穀処理物を受け止めるグレンパン6とチャフシーブ7とが配置され、後記するように、脱穀処理物を後方に搬送しながら唐箕10からの風を利用して比重差選別を行うとともに、両者6,7の下方にグレンシーブ9を配置し、穀粒を漏下させて一番物搬送装置11に投入する。
一方、単粒化が十分でない枝付き籾等の二番物は、チャフシーブ7の搬送終端部分、及び、ストローラック8から落下して、二番物還元装置12に受け入れられる。
一番物搬送装置11、及び、二番物還元装置12とで、選別処理物回収装置Cを構成する。
【0011】
選別装置Bにおけるシーブケース13に対する揺動駆動構造について説明する。図1及び図2に示すように、シーブケース13は、前端部を揺動アーム14によって吊下げられ、後端部を揺動駆動装置としてのクランク駆動機構15に取付られて、前後に揺動駆動され、前記したように、グレンパン6とチャフシーブ7上にある処理物に篩い選別を行うようになっている。
【0012】
ここでは、図示はしていないが、脱穀選別処理を行うフレーム構成は、次に記すように、分割可能にブロック化されて構成されている。つまり、唐箕10を備える前下フレーム部と、前下フレーム部より排ワラ放出側に位置する一番物搬送装置11及び二番物還元装置12を備える後下フレーム部と、前下フレーム部と後下フレーム部との上方に位置し脱穀フィードチェーン2を備えた前上フレーム部と、その前フレーム部より排ワラ放出側に位置し排塵ファンを備えた後上フレーム部との、4つのブロックに分割可能になっている。
【0013】
前上フレーム部においては、脱穀フィードチェーン2を支持するフレーム部分が脱穀フィードチェーン2と一体で横外側方側に揺動倒伏して、扱室1の内部が開放可能に構成されている。この点については、後で詳述する。また、後下フレーム部においては、二番物還元装置における横送り搬送装置12とシーブケース13を駆動するクランク駆動機構15とが、横外側方に揺動開放可能に構成されている。
【0014】
次に、脱穀フィードチェーン2の横外側方への揺動開放構造について説明する。まず、脱穀フィードチェーン装置Dについて説明すると、図2及び図3、図5に示すように、脱穀フィードチェーン装置Dは、脱穀フィードチェーン2と、脱穀フィードチェーン2を支持案内するガイド16と、扱室1の上部カバー1Aの横側面に取り付けてある挾持レール17と、脱穀フィードチェーン2を駆動するスプロケット18とで構成してある。ガイド16は、後記する脱穀側板19における脱穀フィードチェーン2の搬送始端側から横側方に向けて延出された前枠19Cと、脱穀フィードチェーン2の搬送終端側から横側方に向けて延出された後枠19Eとに亘って取付けてある上側ガイド16Aと、後記する脱穀側板19の中間リブ19Dの外側に位置し上側ガイド16Aから垂下された棒状ガイド19Gに取り付けられている下側ガイド16Bとで構成してある。図5に示すように、下側ガイド16Bは、板状部材を両端で曲げ形成して、前記したように、上側ガイド16Aから横外側方に張出し形成された棒状のブラケット19Gによって支持されている。上下ガイド16A、16Bに支持されて排ワラ放出方向に移動する脱穀フィードチェーン2と挾持レール17とで脱穀用穀稈を挾持して搬送するように構成してある。
【0015】
上記した脱穀フィードチェーン2と上側、下側ガイド16A,16Bを装備する脱穀側板19について説明する。図2〜図5に示すように、脱穀側板19は、扱胴3に面する内面に、脱穀フィードチェーン2に挾持されて搬送される脱穀用穀稈に搬送抵抗を与える抵抗体19aを突設させた下唇板部19Aを備えている。
更に、脱穀側板19は、下唇板部19Aの下方に上下向き姿勢の縦板部19Bを一体形成してあり、下唇板部19Aと縦板部19Bとの外向き面に、上下方向姿勢の前枠19C、3つの中間リブ19D、後枠19Eを設けて、構成されている。
【0016】
図5に示すように、脱穀側板19の下端部において、前枠19C、3つの中間リブ19D、後枠19Eに脱穀フィードチェーン2の移動方向に沿った揺動軸19Fを貫通させて、それら前枠19C、3つの中間リブ19D、後枠19Eを揺動軸19Fに固着し、脱穀側板19と揺動軸19Fとを一体化する。
【0017】
脱穀側板19より突出した揺動軸19Fの両端部分は、脱穀装置Bの鰐口状穀稈導入口が形成されている入口板20と、排ワラ放出口に近い位置に立設される後ブラケット21とに相対揺動自在に貫通支承されている。
【0018】
脱穀側板19は、上下向き姿勢に設定された作業姿勢から揺動軸19Fの軸芯Yを中心に揺動して、横側方に退避する退避姿勢に切り換えられるようになっている。
このように、脱穀側板19に脱穀フィードチェーン装置Dとともに、抵抗体19aを備えた下唇板部19Aを一体的に退避姿勢に開放揺動できるので、扱室1の横側方を大きく開放でき、受網5を手前側に引き出してメインテナンス作業を行う場合に引き出し作業を容易に行うことができる。
【0019】
脱穀側板19の作業姿勢を維持するロック機構Rについて説明する。図5〜図9に示すように、ロック機構Rは、脱穀側板19に形成してある前枠19C、3つの中間リブ19D、後枠19Eを貫通する状態で支持されている管状のロック用ロッド22と、ロック用ロッド22の排ワラ放出口側の後端部にブラケット22Aを介して取り付け固定してあるロック用ピン22Bと、ロック用ロッド22の刈取り装置側端部を貫通させる為に入口板20の上方の扱室前壁1Aに形成してある係合孔20aと、ロック用ピン22Bを貫通係合させる為の後ブラケット21に形成してある係合ピン孔21aとで構成してある。なお、後枠19Eにも、同様のロック用ピン22Bを貫通させるために係合ピン孔が形成してある。
【0020】
図7及び図9に示すように、ロック用ピン22Bとそのロック用ピン22Bを取付けているブラケット22Aは、揺動軸19Fを支承している後ブラケット21の更に排ワラ放出口側に位置し、その後ブラケット21の刈取装置側に脱穀側板19の後枠19Eを位置させる構成を採っている。
このような構成によって、図6(イ)及び図7(イ)に示すように、脱穀側板19を作業姿勢に維持させるには、ロック用ロッド22を脱穀側板19に対してスライド移動させて、ロック用ロッド22の刈取装置側端部を扱室前壁1Aに形成してある係合孔20aに係合させるとともに、ロック用ピン22Bを後ブラケット21に形成してある係合ピン孔21aに係合させる。
【0021】
このように、脱穀側板19側に属するロック用ロッド22を扱室前壁1Aの係合孔20aに係合させるとともに、ロック用ピン22Bを脱穀選別装置側の後ブラケット21に形成してある係合ピン孔21aに係合させることによって、図9(イ)に示すように、脱穀側板19を作業姿勢に維持できる。
【0022】
図5に示すように、ロック用ロッド22には、棒状部材をU字状に屈曲形成した操作杆22Cを設けてあり、ロック用ピン22Bの係合解除操作を行う場合に、この操作杆22Cを持ってロック用ロッド22をロック方向等にスライド操作することが容易に行えるようになっている。
【0023】
一方、図6(イ)(ロ)に示すように、ロック用ロッド22の刈取装置側端部近傍に、鍔部22Dが設けてあり、この鍔部22Dと脱穀側板19の前枠19Cとの間に、ロック用ロッド22を排ワラ放出口側に付勢するバネ23を設けてある。このバネ23によってロック用ロッド22とロック用ピン22Bとを、係合解除側に付勢している。
【0024】
このようにバネ23でロック用ロッド22をロック解除側に向けて付勢している理由は次ぎのようなものである。つまり、ロック用ロッド22自体が脱穀側板19を作業姿勢に維持するものであるから、強度が要求される為に、パイプ径が大径でかつ長尺物となっている。したがって、重量のある長尺物を操作する際には大きな人為操作力を必要とするところから、人手による操作負担を軽減する必要があるからである。
【0025】
また、作業姿勢においては、脱穀側板19が退避姿勢側に戻ろうとするので、ロック用ロッド22の刈取装置側端部と脱穀前壁1Aの係合孔20aとの係合部位、及び、ロック用ピン22Bと後ブラケット21の係合ピン孔21aとの係合部位において、ロック用ピン22Bの周面部に係合ピン孔21aの縁部が強く押し付けられているので、ロック用ロッド22を係合解除方向に操作することに大きな操作力が必要となることが考えられるからである。
したがって、バネ23をロック解除側に作用させることによって、バネ付勢力が解除操作力の補助となり、ロック用ロッド22のロック解除操作が容易である。
【0026】
ただし、上記したように、バネ23をロック用ロッド22がロック解除する方向に移動する付勢力を加えているのは、ロック用ロッド22自体が重量のあるものであり操作性を向上させる必要があるのと、重量物である脱穀側板19が退避姿勢に戻ろうとすることによってロック用ロッド22に係合孔20a等が強く圧接されることによって、ロック用ロッド22がロック姿勢に保持されることによるものであるが、これらの要件が改善されて、ロック用ロッド22が軽操作力で操作できるものとなれば、バネ23でロック用ロッド22をロック方向に押し込むような方向に作用させる構成を採ってもよい。
【0027】
扱室1の入口板20に、脱穀用穀稈を受け入れる鰐口状の入口20bを設けてあるが、入口20bの内部にワラ溜まりを除去する手段を設ける構成について説明する。図2、図3、図10及び図11に示すように、入口20bの上方で扱室前壁1Aを覆うフロントカバー24を設け、フロントカバー24内に扱胴3に対する駆動構造を内装してある。つまり、図外の原動部より動力伝達を受ける伝動軸25を扱胴軸芯Xに沿った状態でかつフロントカバー24における脱穀フィードチェーン存在側とは反対側の部分に配置する。伝動軸25に出力プーリ25Aを、扱胴軸3Aに大小二段式の伝動プーリ3Bを、夫々取り付け、出力プーリ25Aと大径側の伝動プーリ3Bとに亘って第1伝動ベルト30を架け渡して、扱胴3を駆動する。
【0028】
図2、図3、図10及び図11に示すように、フロントカバー24内で扱胴3より脱穀フィードチェーン2に近い側に、入口20b内部のワラ溜まりを除去するクロスフローファン26を設置する。扱室1の前壁1Aに駆動軸26aを片持ち状態で支承するとともに、駆動軸26aの基端側にクロスフローファン26を一体回転可能に装着し、駆動軸26aの先端側に入力プーリ26Aを装着する。小径側の伝動プーリ3Bとクロスフローファン26の入力プーリ26Aとに渡って第2伝動ベルト31を架け渡して、クロスフローファン26を駆動する。
【0029】
図2及び図3に示すように、フロントカバー24内において、クロスフローファン26から送り出される風を誘導するガイド壁24Aを形成するとともに、ガイド壁24Aによって形成された風路の先端を鰐口状の入口20b部位で開口し、入口20bの内側で脱穀フィードチェーン2に挾持されて搬入されてくる脱穀穀稈の穂先側に向けて、風を送り込むように構成してある。
【0030】
このような構成を採用することによって、入口20bの内側で穂先側に溜まるワラ屑を排除し、入口20bからのわらの漏れ出しを阻止する。従来は、扱胴3の穀稈引き込み部分に設けてある整そ歯が起こす風を利用して、扱室1内の前記した穂先側の溜まりを除去する方法を採っていたが、十分でなかった。
これに対して、上記のように、クロスフローファン26を設けることによって、ワラ屑溜まりの防止、及び、籾の飛び出しを抑制することができた。
【0031】
選別装置Bでの唐箕10からチャフシーブ7への選別風の導入経路での構造に対する改造構造を次ぎのように構成する。
改造前の構造は次ぎのようになっている。図12に示すように、唐箕10とチャフシーブ7との間の導入経路に、3角形状の誘導ガイド27A、27B、27Cを、下方側程ガイド長さが長くなる状態で並設するとともに、グレンパン6から下向きに延出した延長壁部6Aをチャフシーブ7のグレンパン側端部を迂回してそのチャフシーブ7の下方に達する状態で片持ち状に設けてある。
延長壁部6Aにチャフシーブ7へ選別風を誘導する開口6aを設けてある。
【0032】
図12に示すように、延長壁部6Aとグレンパン6のチャフシーブ側端部とチャフシーブ7のグレンパン側端部との間に向けて、唐箕10の風を誘導する通路aを形成すべく、一対の誘導壁29A、29Bを形成してある。一対の誘導壁29A、29Bのうち下側の誘導壁29Bは、V字状に形成されており、唐箕10の風を前記誘導壁29A,29Bの間の通路aと、チャフシーブ7とその下方に位置するグレンパン6の延長壁部6Aとの間に形成された通路bとに誘導すべく、誘導風路後半側程下方に位置するように下向き斜め状態に形成していた。
【0033】
上記のように、下側の誘導壁29Bが下斜め向きであったところから、チャフシーブ7の下端近傍まで十分な選別風を送ることができないことも多く、改良する余地があった。また、選別風の進行方向が下側の誘導壁29Bによって下向きに変更されることとなる為に、その誘導壁29Bが抵抗体となり、十分な風速を確保できないこともあった。
【0034】
そこで、次ぎのような構造に改良を施した。つまり、図13に示すように、前記した3角形状の誘導ガイド27Aの代わりに、板状の誘導ガイド27Dを設ける。一方、下側の誘導壁29Bの代わりに、上下一対の二つの三角形状ガイド29C、29Dを設ける。
【0035】
このような構成によって、板状の誘導ガイド27Dの下面に沿って誘導される選別風が延長壁部6Aの開口6aを通してチャフシーブ7側に導入され、一つの選別風は上下一対の三角形状ガイド29C、29Dの間を通ってチャフシーブ7の下方に誘導され、他の選別風は下側三角形状ガイド29Dの下面に沿って誘導される。
【0036】
上側三角形状ガイド29Cにおけるチャフシーブ側端部cを、下側三角形状ガイド29Dにおける上向き頂点dとチャフシーブ側端部eとの間に相当する位置にあるようにし、かつ、下側三角形状ガイド29Dにおけるチャフシーブ側端部eを、延長壁部6Aの開口6aにおける下側開口縁よりチャフシーブ側に位置するように、上下一対の三角形状ガイド29C、29Dの位置設定をおこなっている。
【0037】
上記のような一対の三角形状ガイド29C、29Dを配置することによって、両三角形状ガイド29C、29Dの間を通して下向きにならない状態で選別風をチャフシーブ7の下方に誘導できる。そして、両三角形状ガイド29C、29Dが抵抗になり難い形状を有しているので、風速の低下も少ない。しかも、グレンシーブ9における処理物層が形成された位置で、下から吹き揚げてくる風の進行を妨げることが少なく、処理性能を向上させた。
【0038】
尚、下三角形状ガイド29Dより選別風の風下に向けて、バネ線材製の篩い線を片持ち状に延出して、チャフシーブ7から漏下する処理物を篩い線で抵抗を与え、振動による篩い処理を施す方法を採用してもよい。
【0039】
〔別実施形態〕
(1) 脱穀フィードチェーン装置Dを退避姿勢に揺動開放する構成としては、脱穀フィードチェーン2とガイド16とを揺動する構成として、下唇板部19Aの部分は揺動開閉する必要はない。
(2) 脱穀側板19を作業姿勢に維持するロック機構Rとしては、ロック用ロッド22のように脱穀側板19の全長に亘って設ける必要はなく、脱穀側板19における脱穀フィードチェーン始端側端部と脱穀フィードチェーン終端側端部との二箇所、それぞれに、前記した全長に亘るロック用ロッド22より長さの短いロック用ロッドを設けてもよい。
(3) 脱穀側板19を作業姿勢に維持するロック機構Rとしては、ロッド式以外のものでもよく、バックル式等のものであってもよい。
(4) 脱穀側板19を支持する揺動軸19Fを、前記実施形態においては脱穀側板19の全長に亘って設けてあるが、脱穀側板19における脱穀フィードチェーン始端側端部と脱穀フィードチェーン終端側端部との二箇所、それぞれに、前記した全長に亘る揺動軸19Fより長さの短い揺動軸を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】脱穀装置を示す縦断側面図
【図2】脱穀装置を示し、フロントカバーを取り外した内部構造を示す正面図
【図3】フロントカバーを取り外した内部構造を示し、扱胴、及び、クロスフローファンに対する伝動構造、脱穀フィードチェーン装置、脱穀側板等を示す縦断正面図
【図4】図3の状態から、扱胴、及び、脱穀側板、脱穀フィードチェーン装置を揺動開放姿勢に切り換えた状態を示す縦断正面図
【図5】脱穀側板と脱穀フィードチェーン装置を示す側面図
【図6】(イ)はロック用ロッドをロック状態に設定して、脱穀側板を作業姿勢に設定した状態を示す側面図、(ロ)はロック用ロッドをロック解除状態にした状態を示す側面図
【図7】(イ)はロック用ピンをロック状態に設定して、脱穀側板を作業姿勢に設定した状態を示す側面図、(ロ)はロック用ピンをロック解除状態にした状態を示す側面図
【図8】脱穀側板と中間リブ、及び、上下側ガイドを示す正面図
【図9】(イ)はロック用ピンをロック状態に設定して、脱穀側板を作業姿勢に設定した状態を示す背面図、(ロ)はロック用ピンをロック解除状態にして、脱穀側板を退避姿勢に切り換えた状態を示す背面図
【図10】扱胴を覆うフロントカバー内における扱胴に対する伝動構造を示す縦断側面図
【図11】扱胴を覆うフロントカバー内におけるクロスフローファンへの伝動構造を示す縦断側面図
【図12】唐箕からチャフシーブまでの従来の風路を示す縦断側面図
【図13】唐箕からチャフシーブまでの改造風路を示す縦断側面図
【符号の説明】
【0041】
2 チェーン(脱穀フィードチェーン)
16 ガイド
D 脱穀フィードチェーン装置
Y 軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンとガイドとを備えて脱穀用穀稈を挾持し搬送する脱穀フィードチェーン装置を、穀稈を搬送する作業姿勢と横側方に退避する退避姿勢とに亘って、前記チェーンの移動方向に沿った軸芯回りで横側方に揺動開放自在に構成してある脱穀装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−312619(P2007−312619A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143027(P2006−143027)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】