脱臭フィルター
【課題】空気清浄機などに使用される脱臭フィルターの圧力損失を増やすことなく、脱臭効率を向上する。
【解決手段】方形の升目を備えたネット1を構成する線材2の周囲のみに接着剤6により活性炭3を添着して構成する脱臭フィルター5において、ネット1の升目の中央に開口部4を設け、この開口部4の位置を複数枚のネット1で同一の位置になるように重ねて脱臭フィルター5を構成する。これにより、脱臭フィルター5の製造が容易で安価に供給することができ、また圧力損失が少なく、脱臭機能を安定して発揮することができる。
【解決手段】方形の升目を備えたネット1を構成する線材2の周囲のみに接着剤6により活性炭3を添着して構成する脱臭フィルター5において、ネット1の升目の中央に開口部4を設け、この開口部4の位置を複数枚のネット1で同一の位置になるように重ねて脱臭フィルター5を構成する。これにより、脱臭フィルター5の製造が容易で安価に供給することができ、また圧力損失が少なく、脱臭機能を安定して発揮することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間内の空気環境を清浄に保つ空気清浄機にて使用する脱臭フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脱臭フィルターは、格子状の枠体に、接着剤で吸着剤を添着したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その脱臭フィルターについて図11を用いて説明する。
【0004】
図に示すように脱臭フィルター102は、格子枠101と、この格子枠101の壁面に添着する活性炭103からなっている。
【0005】
この脱臭フィルター102は活性炭103の充填密度を高めて充填量を多くすることで脱臭性能を高めることができるが、それに付随して空気の圧力損失が高くなるものであった。
【特許文献1】特公平7−83814号公報(図1、図5、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の脱臭フィルターでは、活性炭量を増やして脱臭性能を高めようとすると、圧力損失が高くなるという課題があり、圧力損失を上げずに脱臭性能を向上させることが要求されている。
【0007】
また、格子枠に活性炭を収納しているので、脱臭フィルターの設置場所が限定され、取扱いが不便で製造コストが高くなるという課題があり、フレキシブルで機器に簡単に設置できる安価な脱臭フィルターが要求されている。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、圧力損失を上げることなく脱臭性能を向上、させるとともに、脱臭フィルターに可撓性を持たせ、破損し難く、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる脱臭フイルターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の脱臭フィルターは、上記目的を達成するために、方形の升目を備えたネットを構成する線材の周囲に活性炭を添着し、ネットの全面に渡って活性炭が覆うことなく、ネットの升目の中心部には開口部を生じ、この開口部を上下に合わせ、開口部が連通するように活性炭添着後のネットを複数枚重ねてなることとしたものである。
【0010】
この手段により、活性炭を添着したネットを複数枚重ねることにより、必要な活性炭量を確保でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、脱臭フィルターに可撓性を持たせることのできる脱臭フィルターが得られる。
【0011】
また、他の手段は、ネットの1升目の開口サイズを5〜12mmのネットを使用し、ネットの線径を5〜2.0mmとしたものである。
【0012】
これにより、ネットの線材の周囲に、4〜20メッシュサイズの比較的大粒子径の活性炭が添着しても、ネットの升目の中心部に通風用の開口部を残すことができ、必要な活性炭量を確保でき、また、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0013】
また、他の手段は、少なくとも1枚のネットには、700〜1100g/m2の活性炭を添着し、このネットを少なくとも2枚重ねることにより、1400g/m2以上の活性炭で脱臭フィルターを構成することとしたものである。
【0014】
これにより、所定量の活性炭を確保でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0015】
また、他の手段は、活性炭の添着にホットメルトを使用し、ホットメルトの量を150〜250g/m2とすることにより、所定の活性炭を添着可能とし、添着量を700〜1100g/m2とすることとしたものである。
【0016】
これにより、活性炭の表面積を損なうことなく所定量の活性炭を確保でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0017】
また、他の手段は、活性炭添着後のネットを複数枚重ねる際、ホットメルトによって接着して重ね、一旦揃えた上下のネット間で連通した開口部がずれないよう固定することとしたものである。
【0018】
これにより、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、ハンドリング性に優れ、製造し易い脱臭フィルターが得られる。
【0019】
また、他の手段は、直交する2端辺を棘部が無いように升目に合わせネットをカットし、複数枚を前記2端辺を基準として重ねることにより、上下の升目の開口部を容易に合わせることが可能としたものである。
【0020】
これにより、生産工程で製造し易い形状となり、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0021】
また、他の手段は、粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭を添着したネットを不織布の目付け量を30〜50g/m2とした不織布で覆い、万一、添着した活性炭がネットから脱離しても、不織布からは脱落することとしたものである。
【0022】
これにより、脱臭性能を維持することができ、脱臭フィルターに可撓性を持たせ、破損し難く、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる脱臭フィルターが得られる。
【0023】
また、他の手段は、活性炭を添着したネットを覆う不織布の端をシールするシール部と、他の脱臭フィルターのシール部とを接合連結し、この連結を繰り返すことにより、高表面積の脱臭フィルターを構成したものである。
【0024】
これにより、表面積の広い機器にもフレキシブルに設置でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる脱臭フィルターが得られる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、省エネルギー化と機器への多様な対応を可能とするとともに、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、脱臭フィルターに可撓性を持たせ、破損し難く、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる効果のある脱臭フイルターを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の請求項1の発明の作用は、方形の升目を備えたネットを構成する線材の周囲に活性炭を添着し、ネットの全面に渡って活性炭が覆うことなく、ネットの升目の中心部には開口部を生じ、この開口部を上下に合わせ、開口部が連通するように活性炭添着後のネットを複数枚重ねたものであり、必要量の活性炭を確保できるため、所定の脱臭性能を確保できるとともに、上下のネット間で開口部が連通しているため、圧力損失を少なくできるという作用を有する。
【0027】
また、少なくとも4〜20メッシュサイズの粒子を含む活性炭と、ネットの1升目の開口サイズを5〜12mmとし、ネットの線径を0.5〜2.0mmとしたものであり、活性炭を添着してもネットの中心部に開口部を残すことができるので、ネットが目詰まりしないという作用を有する。
【0028】
また、活性炭の添着量を700〜1100g/m2とするネットを複数枚重ねたものであり、少なくとも、1400g/m2以上の活性炭量を確保するという作用を有する。
【0029】
また、活性炭の添着にホットメルトを使用し、ホットメルトの量を150〜250g/m2とするものであり、所定の活性炭をネットからの再脱離なくネットに添着でき、かつホットメルトが活性炭の周囲全部を覆うことがないので、活性炭の脱臭性能を低下させることがないという作用を有する。
【0030】
また、活性炭添着後のネットを、ホットメルトによって接着して重ねたものであり、運搬や取替え等のハンドリングによってもネット間の連通した開口がずれることが無いので、ハンドリングによる圧力損失の上昇を抑える作用を有する。
【0031】
また、直交する2端辺を棘部が無いように升目に合わせネットをカットし、複数枚を前記2端辺を基準として重ねたものであり、製造工程で上下の升目の開口部を容易に合わせることができるという作用を有する。
【0032】
また、粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭と、活性炭を添着したネットを覆う不織布の目付け量を30〜50g/m2としたものであり、不織布による圧力損失の上昇を抑え、活性炭が外部に脱離することなく、表面が滑らかでフレキシブルになるという作用を有する。
【0033】
また、活性炭を添着したネットを覆う不織布の端をシールするシール部と、他の脱臭フィルターのシール部とを接合連結したものであり、シール部とを接合連結し、この連結を繰り返すことにより、高表面積の脱臭フィルターを構成し、湾曲した機器に設置しやすく、折りたたみが可能なため運搬梱包も容易になるという作用を有する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1〜図6に示すように、方形の升目を備えたネット1を構成する線材2の周囲のみに接着剤6により活性炭3を添着する。 このときネット1の升目の開口サイズを5〜12mmのネット1を使用し、ネット1の線材2の線径を0.5〜2.0mmとすることにより、ネット1の線材2の周囲に、4〜20メッシュサイズの比較的大粒子径の活性炭3が添着しても、ネット1の升目の中心部は覆われず、開口部4を残すことができる。
【0036】
次にネット1と同一形状のネット1aを設け、ネット1、1aの開口部4と開口部4aを連通するように、上下にネット1、1aを重ねて脱臭フィルター5を構成する。使用するネットは隣合わせに直交する2端辺7a、7bを棘部8が無いように升目に合わせネット1をカットし、複数枚を前記2端辺7a、7bを基準として重ねることにより、上下の升目の開口部4を容易に合わせることが可能な形状とする。
【0037】
また活性炭3の添着にホットメルト10を使用し、ホットメルト10の量を150〜250g/m2 とすることにより、1枚のネット1への活性炭3の添着量を700〜1100g/m2とすることができる。このネット1を2枚重ねることにより、1400g/m2以上の活性炭を保有した脱臭フィルター5を構成することになる。
【0038】
このとき活性炭3添着後のネット1と同様のネット1aを複数枚重ねる際、ホットメルト10によって接着して重ね、一旦揃えた上下のネット1間で連通した開口部がずれないよう固定するようにしている。
【0039】
これにより、脱臭フィルター5の製造が容易で安価に供給することができ、また圧力損失が少ないにもかかわらず、脱臭機能を安定して発揮することができる。すなわち、図7に示すように圧力損失が従来の脱臭フィルターに比べ約1/2と少なく、かつ、脱臭剤としての活性炭の量も確保できることができることから、図8に示すように脱臭能力を示す尺度のトルエンでの除去率を測定すると、本発明品は、従来品と比べ、同等以上の脱臭性能を持つことが実証できるものである。
【0040】
(実施の形態2)
図9に示すように、粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭3を添着したネット1を目付け量を30〜50g/m2とした不織布8で覆い、周囲のシール部9をヒートシールして接着する。これにより、脱臭フィルター5は少しの変形に耐えてフレキシブルに設置でき、万一添着した活性炭3がネット1から脱離しても、不織布8からは脱落せず、活性炭3が脱落して脱臭能力は大幅に低下することはなく、活性炭3が周囲を汚すことも無いので、取扱いが容易となる。
【0041】
また図10に示すように、シール部とを接合連結し、この連結を繰り返すことにより、高表面積の脱臭フィルターを構成することができ、吸込み面積大なる空調機器や湾曲した吸込口などに設置しやすく、折りたたみが可能なため運搬梱包も容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
圧力損失が少ない脱臭フィルターであるので、送風装置を内装した空調機器の全般に使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例の脱臭フィルターの構成図
【図2】同線材部分の断面図
【図3】同脱臭フィルターの側面図
【図4】同ネットの平面図
【図5】同脱臭フィルターの構成図
【図6】同側面図
【図7】同脱臭性能想定結果図
【図8】同圧力損失測定結果図
【図9】本発明の第2実施例の側面図
【図10】同側面図
【図11】従来の脱臭フィルターの斜視図
【符号の説明】
【0044】
1 ネット
1a ネット
2 線材
2a 線材
3 活性炭
3a 活性炭
4 開口部
4a 開口部
5 脱臭フィルター
5A 脱臭フィルター
6 接着剤
7a 端辺
7b 端辺
8 不織布
9 シール部
10 ホットメルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間内の空気環境を清浄に保つ空気清浄機にて使用する脱臭フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の脱臭フィルターは、格子状の枠体に、接着剤で吸着剤を添着したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その脱臭フィルターについて図11を用いて説明する。
【0004】
図に示すように脱臭フィルター102は、格子枠101と、この格子枠101の壁面に添着する活性炭103からなっている。
【0005】
この脱臭フィルター102は活性炭103の充填密度を高めて充填量を多くすることで脱臭性能を高めることができるが、それに付随して空気の圧力損失が高くなるものであった。
【特許文献1】特公平7−83814号公報(図1、図5、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の脱臭フィルターでは、活性炭量を増やして脱臭性能を高めようとすると、圧力損失が高くなるという課題があり、圧力損失を上げずに脱臭性能を向上させることが要求されている。
【0007】
また、格子枠に活性炭を収納しているので、脱臭フィルターの設置場所が限定され、取扱いが不便で製造コストが高くなるという課題があり、フレキシブルで機器に簡単に設置できる安価な脱臭フィルターが要求されている。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、圧力損失を上げることなく脱臭性能を向上、させるとともに、脱臭フィルターに可撓性を持たせ、破損し難く、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる脱臭フイルターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の脱臭フィルターは、上記目的を達成するために、方形の升目を備えたネットを構成する線材の周囲に活性炭を添着し、ネットの全面に渡って活性炭が覆うことなく、ネットの升目の中心部には開口部を生じ、この開口部を上下に合わせ、開口部が連通するように活性炭添着後のネットを複数枚重ねてなることとしたものである。
【0010】
この手段により、活性炭を添着したネットを複数枚重ねることにより、必要な活性炭量を確保でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、脱臭フィルターに可撓性を持たせることのできる脱臭フィルターが得られる。
【0011】
また、他の手段は、ネットの1升目の開口サイズを5〜12mmのネットを使用し、ネットの線径を5〜2.0mmとしたものである。
【0012】
これにより、ネットの線材の周囲に、4〜20メッシュサイズの比較的大粒子径の活性炭が添着しても、ネットの升目の中心部に通風用の開口部を残すことができ、必要な活性炭量を確保でき、また、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0013】
また、他の手段は、少なくとも1枚のネットには、700〜1100g/m2の活性炭を添着し、このネットを少なくとも2枚重ねることにより、1400g/m2以上の活性炭で脱臭フィルターを構成することとしたものである。
【0014】
これにより、所定量の活性炭を確保でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0015】
また、他の手段は、活性炭の添着にホットメルトを使用し、ホットメルトの量を150〜250g/m2とすることにより、所定の活性炭を添着可能とし、添着量を700〜1100g/m2とすることとしたものである。
【0016】
これにより、活性炭の表面積を損なうことなく所定量の活性炭を確保でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0017】
また、他の手段は、活性炭添着後のネットを複数枚重ねる際、ホットメルトによって接着して重ね、一旦揃えた上下のネット間で連通した開口部がずれないよう固定することとしたものである。
【0018】
これにより、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、ハンドリング性に優れ、製造し易い脱臭フィルターが得られる。
【0019】
また、他の手段は、直交する2端辺を棘部が無いように升目に合わせネットをカットし、複数枚を前記2端辺を基準として重ねることにより、上下の升目の開口部を容易に合わせることが可能としたものである。
【0020】
これにより、生産工程で製造し易い形状となり、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができる脱臭フィルターが得られる。
【0021】
また、他の手段は、粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭を添着したネットを不織布の目付け量を30〜50g/m2とした不織布で覆い、万一、添着した活性炭がネットから脱離しても、不織布からは脱落することとしたものである。
【0022】
これにより、脱臭性能を維持することができ、脱臭フィルターに可撓性を持たせ、破損し難く、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる脱臭フィルターが得られる。
【0023】
また、他の手段は、活性炭を添着したネットを覆う不織布の端をシールするシール部と、他の脱臭フィルターのシール部とを接合連結し、この連結を繰り返すことにより、高表面積の脱臭フィルターを構成したものである。
【0024】
これにより、表面積の広い機器にもフレキシブルに設置でき、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる脱臭フィルターが得られる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、省エネルギー化と機器への多様な対応を可能とするとともに、脱臭性能の向上と圧力損失の低減をともに達成させることができ、脱臭フィルターに可撓性を持たせ、破損し難く、ハンドリング性に優れ、安価に製造できる効果のある脱臭フイルターを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の請求項1の発明の作用は、方形の升目を備えたネットを構成する線材の周囲に活性炭を添着し、ネットの全面に渡って活性炭が覆うことなく、ネットの升目の中心部には開口部を生じ、この開口部を上下に合わせ、開口部が連通するように活性炭添着後のネットを複数枚重ねたものであり、必要量の活性炭を確保できるため、所定の脱臭性能を確保できるとともに、上下のネット間で開口部が連通しているため、圧力損失を少なくできるという作用を有する。
【0027】
また、少なくとも4〜20メッシュサイズの粒子を含む活性炭と、ネットの1升目の開口サイズを5〜12mmとし、ネットの線径を0.5〜2.0mmとしたものであり、活性炭を添着してもネットの中心部に開口部を残すことができるので、ネットが目詰まりしないという作用を有する。
【0028】
また、活性炭の添着量を700〜1100g/m2とするネットを複数枚重ねたものであり、少なくとも、1400g/m2以上の活性炭量を確保するという作用を有する。
【0029】
また、活性炭の添着にホットメルトを使用し、ホットメルトの量を150〜250g/m2とするものであり、所定の活性炭をネットからの再脱離なくネットに添着でき、かつホットメルトが活性炭の周囲全部を覆うことがないので、活性炭の脱臭性能を低下させることがないという作用を有する。
【0030】
また、活性炭添着後のネットを、ホットメルトによって接着して重ねたものであり、運搬や取替え等のハンドリングによってもネット間の連通した開口がずれることが無いので、ハンドリングによる圧力損失の上昇を抑える作用を有する。
【0031】
また、直交する2端辺を棘部が無いように升目に合わせネットをカットし、複数枚を前記2端辺を基準として重ねたものであり、製造工程で上下の升目の開口部を容易に合わせることができるという作用を有する。
【0032】
また、粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭と、活性炭を添着したネットを覆う不織布の目付け量を30〜50g/m2としたものであり、不織布による圧力損失の上昇を抑え、活性炭が外部に脱離することなく、表面が滑らかでフレキシブルになるという作用を有する。
【0033】
また、活性炭を添着したネットを覆う不織布の端をシールするシール部と、他の脱臭フィルターのシール部とを接合連結したものであり、シール部とを接合連結し、この連結を繰り返すことにより、高表面積の脱臭フィルターを構成し、湾曲した機器に設置しやすく、折りたたみが可能なため運搬梱包も容易になるという作用を有する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1〜図6に示すように、方形の升目を備えたネット1を構成する線材2の周囲のみに接着剤6により活性炭3を添着する。 このときネット1の升目の開口サイズを5〜12mmのネット1を使用し、ネット1の線材2の線径を0.5〜2.0mmとすることにより、ネット1の線材2の周囲に、4〜20メッシュサイズの比較的大粒子径の活性炭3が添着しても、ネット1の升目の中心部は覆われず、開口部4を残すことができる。
【0036】
次にネット1と同一形状のネット1aを設け、ネット1、1aの開口部4と開口部4aを連通するように、上下にネット1、1aを重ねて脱臭フィルター5を構成する。使用するネットは隣合わせに直交する2端辺7a、7bを棘部8が無いように升目に合わせネット1をカットし、複数枚を前記2端辺7a、7bを基準として重ねることにより、上下の升目の開口部4を容易に合わせることが可能な形状とする。
【0037】
また活性炭3の添着にホットメルト10を使用し、ホットメルト10の量を150〜250g/m2 とすることにより、1枚のネット1への活性炭3の添着量を700〜1100g/m2とすることができる。このネット1を2枚重ねることにより、1400g/m2以上の活性炭を保有した脱臭フィルター5を構成することになる。
【0038】
このとき活性炭3添着後のネット1と同様のネット1aを複数枚重ねる際、ホットメルト10によって接着して重ね、一旦揃えた上下のネット1間で連通した開口部がずれないよう固定するようにしている。
【0039】
これにより、脱臭フィルター5の製造が容易で安価に供給することができ、また圧力損失が少ないにもかかわらず、脱臭機能を安定して発揮することができる。すなわち、図7に示すように圧力損失が従来の脱臭フィルターに比べ約1/2と少なく、かつ、脱臭剤としての活性炭の量も確保できることができることから、図8に示すように脱臭能力を示す尺度のトルエンでの除去率を測定すると、本発明品は、従来品と比べ、同等以上の脱臭性能を持つことが実証できるものである。
【0040】
(実施の形態2)
図9に示すように、粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭3を添着したネット1を目付け量を30〜50g/m2とした不織布8で覆い、周囲のシール部9をヒートシールして接着する。これにより、脱臭フィルター5は少しの変形に耐えてフレキシブルに設置でき、万一添着した活性炭3がネット1から脱離しても、不織布8からは脱落せず、活性炭3が脱落して脱臭能力は大幅に低下することはなく、活性炭3が周囲を汚すことも無いので、取扱いが容易となる。
【0041】
また図10に示すように、シール部とを接合連結し、この連結を繰り返すことにより、高表面積の脱臭フィルターを構成することができ、吸込み面積大なる空調機器や湾曲した吸込口などに設置しやすく、折りたたみが可能なため運搬梱包も容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
圧力損失が少ない脱臭フィルターであるので、送風装置を内装した空調機器の全般に使用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1実施例の脱臭フィルターの構成図
【図2】同線材部分の断面図
【図3】同脱臭フィルターの側面図
【図4】同ネットの平面図
【図5】同脱臭フィルターの構成図
【図6】同側面図
【図7】同脱臭性能想定結果図
【図8】同圧力損失測定結果図
【図9】本発明の第2実施例の側面図
【図10】同側面図
【図11】従来の脱臭フィルターの斜視図
【符号の説明】
【0044】
1 ネット
1a ネット
2 線材
2a 線材
3 活性炭
3a 活性炭
4 開口部
4a 開口部
5 脱臭フィルター
5A 脱臭フィルター
6 接着剤
7a 端辺
7b 端辺
8 不織布
9 シール部
10 ホットメルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の升目を備えたネットを構成する線材の周囲に活性炭を添着し、ネットの升目の中心部には開口部を生じ、この開口部を上下に合わせ、開口部が連通するように活性炭添着後のネットを複数枚重ねてなる脱臭フィルター。
【請求項2】
少なくとも4〜20メッシュサイズの粒子を含む活性炭と、ネットの1升目の開口サイズを5〜12mmとし、ネットの線径を0.5〜2.0mmとした請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項3】
活性炭の添着量を700〜1100g/m2とするネットを複数枚重ねた請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項4】
活性炭の添着にホットメルトを使用し、ホットメルトの量を150〜250g/m2とする請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項5】
活性炭添着後のネットを、ホットメルトによって接着して重ねた請求項3または4記載の脱臭フィルター。
【請求項6】
直交する2端辺を棘部が無いように升目に合わせネットをカットし、複数枚を前記2端辺を基準として重ねた請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項7】
粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭と、活性炭を添着したネットを覆う不織布の目付け量を30〜50g/m2とした請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項8】
活性炭を添着したネットを覆う不織布の端をシールするシール部と、他の脱臭フィルターのシール部とを接合して連結した請求項1の脱臭フィルター。
【請求項1】
方形の升目を備えたネットを構成する線材の周囲に活性炭を添着し、ネットの升目の中心部には開口部を生じ、この開口部を上下に合わせ、開口部が連通するように活性炭添着後のネットを複数枚重ねてなる脱臭フィルター。
【請求項2】
少なくとも4〜20メッシュサイズの粒子を含む活性炭と、ネットの1升目の開口サイズを5〜12mmとし、ネットの線径を0.5〜2.0mmとした請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項3】
活性炭の添着量を700〜1100g/m2とするネットを複数枚重ねた請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項4】
活性炭の添着にホットメルトを使用し、ホットメルトの量を150〜250g/m2とする請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項5】
活性炭添着後のネットを、ホットメルトによって接着して重ねた請求項3または4記載の脱臭フィルター。
【請求項6】
直交する2端辺を棘部が無いように升目に合わせネットをカットし、複数枚を前記2端辺を基準として重ねた請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項7】
粒子サイズの90%以上が20メッシュ以上の活性炭と、活性炭を添着したネットを覆う不織布の目付け量を30〜50g/m2とした請求項1記載の脱臭フィルター。
【請求項8】
活性炭を添着したネットを覆う不織布の端をシールするシール部と、他の脱臭フィルターのシール部とを接合して連結した請求項1の脱臭フィルター。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−43106(P2006−43106A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227951(P2004−227951)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]