説明

脱臭剤及び脱臭具

【課題】脱臭剤は、種々のものが知られ市販もされている。例えば、活性炭のような臭いの成分を吸着するタイプ、酸やアルカリの溶液のように臭いの成分を分解するか中和するタイプ等である。しかし、従来の脱臭剤では脱臭能力が限られており、発明者が種々実験しても満足するような効果を発揮するものはなかった。
【解決手段】ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合した脱臭剤、及びヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合したものを熱水に浸漬し、一定時間後その液体部分を取り出したもの、更にヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合した脱臭剤を通気性ある袋に詰めたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭剤及び脱臭具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脱臭剤は、種々のものが知られ市販もされている。例えば、活性炭のような臭いの成分を吸着するタイプ、酸やアルカリの溶液のように臭いの成分を分解するか中和するタイプ等である。
【0003】
また、このような脱臭剤を種々の容器、一般にはプラスチック容器に充填されて市販されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の脱臭剤では脱臭能力が限られており、発明者が種々実験しても満足するような効果を発揮するものはなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上のような状況に鑑み、本発明者は鋭意研究の結果本発明脱臭剤及び脱臭具を完成させたものであり、その特徴とするところは、脱臭剤にあっては、ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合した点にあり、他の態様では、ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合したものを熱水に浸漬し、一定時間後その液体部分を取り出したものである点にあり、脱臭具にあっては、ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合した脱臭剤を通気性ある袋に詰めた点にある。
【0006】
ヒノキの破砕物とは、ヒノキの間伐材(通常の木材でもよい)を1〜10mm程度に破砕したもの又はより細かく粉砕したものである。容器から散逸するおそれがあるので、粉体より1mm以上のものが好適である。破砕する方法はどのようなものでもよい。鋸屑でも、破砕機で破砕したものでもよい。
【0007】
ヒノキを用いた理由は、ヒノキにはヒノキチオール等の成分が知られており、それが人間の気分を和らげたり、殺菌効果もあるためである。また、吸着効果や臭いの成分を分解する効果もあると考えられる。
【0008】
コーヒー殻の炭化物とは、コーヒー抽出液抽出残渣であり搾り粕を炭化したものである。炭化とは炭状にすることであり、いわゆるコーヒー殻の炭である。炭にする方法は自由であり、乾燥させてその後バーナーで加熱する等である。要するに炭にすればいいのである。
【0009】
このコーヒー殻の炭化物とヒノキとを混合するのであるが、どちらも少なくとも10重量%以上は混合する。一方が極端に少ないと相乗効果が発揮されない。発明者の実験ではヒノキを多くした方がよかった。
【0010】
また、この混合物に茶殻の乾燥したものを加えてもより効果があった。加える量としては、少なくとも10重量%である。
【0011】
更に、上記の本発明脱臭材の使用は特に限定しない。例えば、手に乗る程度のサイズの紙や不織布の袋に充填して、車やトイレに吊るしたり、冷蔵庫内に載置すれば簡単な脱臭具となる。車や部屋の空気清浄機に設けたり、それらのフィルターに設けてもよい。
【0012】
また、本発明脱臭材を目の細かい布袋等に入れて薄い布団上にして、病人の布団下や上に載置することもできる。特に寝たきりの人には好適である。勿論、健康な人にとっても湿気を吸収してさらっとした感じを与えるので快適である。
【0013】
更に、ペットのトイレや小屋のそばに置いておくことも好適である。また、脱臭剤自体を単に猫のトイレに撒いてもよいし、トイレの容器内に収納するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明の別の態様では、ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合したものを熱水に浸漬し、一定時間後その液体部分を取り出したものである。即ち、抽出液である。
この抽出液は水でよい。通常のお茶のようにすればよい。例えば、70〜100℃の水に入れて、自然冷却すればよい。抽出の量は自由であり、少なければ効果が小さいだけである。通常は500mLに10〜40g程度入れるとよい。
【0015】
この抽出液を霧吹き(スプレー)で、消臭したい場所で噴霧すればよい。例えば、トイレ内、自動車内等である。また、ベッドや布団等に噴霧してもよい。
【0016】
更に本発明脱臭具は、請求項1記載の脱臭剤を通気性ある袋に詰めたものである。通気性ある袋とは、紙、不織布、布等による袋である。中の詰め物が漏れない程度の目の粗さでよい。
この袋には、紐やその他の固着具を設けてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明脱臭剤には次のような大きな利点がある。
(1) 大きな脱臭効果を発揮する。
(2) 非常に安価である。
(3) ヒノキの間伐材を使用し、コーヒー殻の炭化物を使用すれば、資源の無駄がなくなる。
(4) 比較的長く効果が持続する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下実施例に沿ってより詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
実施例1
ヒノキの間伐材を2〜8mm程度に破砕したもの70重量%、コーヒー殻の炭化物30重量%を混合した。コーヒー殻の炭化物は細かいため、非常に目の細かい不織布の袋に入れた。全体の重量は約10gであった。
財団法人日本食品分析センターでこの袋詰脱臭剤の効果を測定した。
【0020】
試験方法は下記の通りである。
試薬及び器具
におい袋として、有限会社ミヤコビニル加工所製プラスチック製容器(25×40cm)を用いた。
アンモニア水は、小宗化学薬品株式会社製(28%、特級)を用いた。
トリメチルアミン水溶液は、東京化成工業株式会社製(28%、特級)を用いた。
ガス検知管は株式会社ガステックのものを用いた。
また、参照(対照品)として、上記実施例の脱臭剤のない袋だけを用いた。
操作:
実施例袋詰脱臭剤と対照品それぞれを、におい袋に入れ、ヒートシールした後、空気3Lを封入し、ガス濃度が約500ppmとなるようにアンモニアを添加した。これを室温下で放置し、30分後にガス検知管によりにおい袋内のガス濃度を測定した。
【0021】
結果は、アンモニアは実施例では10ppm以下、対照品では470ppm、空試験では500ppmであった。この結果から、本実施例は十分アンモニア臭の脱臭効果があることが分かった。
【0022】
また、トリメチルアミンについては50ppmとして行なった。更に、実施例も対照品も入れずに同様の操作を行ないこれを空試験とした。
【0023】
トリメチルアミンの結果は、30分後で15ppm、1時間後で8ppm、3時間後で2ppm、6時間後では1ppm以下となった。
また、対照品や空試験では6時間後でも50ppm程度であった。この結果から、本実施例は十分トリメチルアミン臭の脱臭効果があることが分かった。
【0024】
更に、同様の実施例を家庭のトイレの片隅に置いた。約1時間でトイレの臭いがほぼしなくなった。
【0025】
そして、この状態で1ヶ月実験を続けたが、ほとんど効果は変わらなかった。即ち、手のひらに乗る程度で十分使用に耐えるだけの寿命があるということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合したことを特徴とする脱臭剤。
【請求項2】
更に茶殻を混合したものである請求項1記載の脱臭剤。
【請求項3】
ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合したものを熱水に浸漬し、一定時間後その液体部分を取り出したものであることを特徴とする脱臭剤。
【請求項4】
ヒノキの破砕物とコーヒー殻の炭化物とを、どちらも少なくとも10重量%以上混合した脱臭剤を通気性ある袋に詰めたことを特徴とする脱臭具。