説明

脱臭機能を備えたシューズボックス

【課題】限られた厚さ寸法内において棚板にしっかりとした強度をもたせることができ、しかも、シューズボックス内のニオイを効果的に除去することができる、脱臭機能を備えたシューズボックスを提供する。
【解決手段】内部に備えられた棚板4,5…が、粉炭を含んでボード状に成形された炭ボード6からなり、該炭ボード6は、下面がシューズボックス1内に開放されてシューズボックス1内の脱臭を行うようになされていると共に、上面がアクリル板などからなる表皮材10でカバーされている。また、炭ボード6の前縁部と後縁部とにそれぞれ、棚板撓み防止用の補強フレーム7,7が設けられ、補強フレーム7に、棚板固定用の係合用舌9が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭機能を備えたシューズボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の玄関等に設置されるシューズボックスは、内部に靴等の履物のニオイを閉じ込めてしまいやすいという問題があり、そのため従来より、シューズボックス内の棚板として中空板を用い、該中空板の中空部内にボード状に成形された脱臭材を設置し、該中空板の下面部には通気孔を分散状態に設け、該通気孔を通じて、中空板内の脱臭材にシューズボックス内の脱臭を行わせるようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開2001−327341号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のシューズボックスでは、中空板に棚板としての強度をもたせる構造のものであり、棚板の限られた厚さ寸法内において中空板に棚板としてのしっかりとした強度をもたせる必要があるため、中空板の下面側を大きく解放することができず、そのため、上記のように通気孔を分散状態に設けた構造にせざるを得ず、中空板内のボード状の脱臭材にシューズボックス内の脱臭を効果的に行わせるのが難しいという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、限られた厚さ寸法内において棚板にしっかりとした強度をもたせることができ、しかも、シューズボックス内のニオイを効果的に除去することができる、脱臭機能を備えたシューズボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、内部に備えられた棚板が、粉炭を含んでボード状に成形された炭ボードからなり、該炭ボードは、下面がシューズボックス内に開放されてシューズボックス内の脱臭、調湿を行うようになされていると共に、上面が表皮材でカバーされていることを特徴とするシューズボックスによって解決される(第1発明)。
【0006】
このシューズボックスでは、棚板が、粉炭を含んでボード状に成形された炭ボードからなっていて、炭ボードそのものに棚板としての強度の全部又は一部を担わせる構造となっているので、限られた厚さ寸法内において棚板にしっかりとした強度をもたせることができる。即ち、棚板が炭ボードからなるというのが、その意味である。
【0007】
しかも、このように炭ボードそのものに棚板としての強度の全部又は一部を担わせる構造としていることで、炭ボードの下面側をシューズボックス内に大きく開放することができて、該炭ボードにシューズボックス内のニオイを効果的に除去させることができる。また、炭の作用で、湿気のこもりやすいシューズボックス内を炭の作用で調湿することができて、カビ等の発生も防ぐことができる。
【0008】
また、炭ボードの上面は表皮材でカバーされているので、炭ボードと履物とが直接的に接触することがなく、履物が炭で汚されることもない。
【0009】
第1発明において、炭ボードに、棚板撓み防止用の補強フレームが設けられている場合(第2発明)は、棚板を撓みにくいしっかりとした棚板にすることができ、また、炭ボードそのものが棚板としての強度の一部を担っていることでフレームによる補強も簡素なものにすることができる。
【0010】
第2発明において、補強フレームに、棚板固定用の係合部が設けられている場合(第3発明)は、炭ボードそのものには形成しにくい棚板固定用の係合部を補強フレームを利用して容易に形成することができる。
【0011】
第1発明において、棚板の上面表皮材はその上面が凹凸面に形成され、履物が凹凸面の凸部で支承されるようになされている場合(第4発明)は、上段の下面側開放炭ボードから落ちてくることのある炭粉が、下段の棚板の上面表皮材の凹凸面の凹部内に入り込み、履物が該炭粉と接触して炭で汚されてしまうのを防ぐことができる。
【0012】
第1〜第4発明において、棚板の上面表皮材と炭ボードとの間に通気部が形成されている場合(第5発明)は、シューズボックス内の空気と炭ボードとの接触面積が広く確保され、しかも、上面表皮材の上に置かれた履物によって炭ボードの脱臭作用が減殺されてしまうということもなく、脱臭効果を高いものにすることができる。
【0013】
第1〜第4発明において、前記棚板の上面表皮材が通気性の膜材からなる場合は、該膜材を通じて炭ボードの上面側も脱臭作用を行うことができ、脱臭効果を高いものにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のとおりのものであるから、限られた厚さ寸法内において棚板にしっかりとした強度をもたせることができ、しかも、シューズボックス内のニオイを効果的に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1〜図4に示す第1実施形態のシューズボックス1において、2はシューズボックス本体、3は正面の扉、4,5…は内部の棚板である。
【0017】
各棚板4,5は、粉炭を含んでボード状に成形された炭ボード6からなっており、該炭ボード6は、例えば、2.5mm程度のフィルターメッシュを通過することができるサイズの粉炭と、マニラ麻等の補強用の繊維材と、酢酸ビニル等の粘性材とを混練した後、乾燥、焼成、圧延等の工程を経てボード状に成形されたものなどからなり、該炭ボード6は、その下面部がシューズボックス1内に開放されて、シューズボックス1内の脱臭、調湿を行うようになされている。
【0018】
そして、本実施形態では、炭ボード6の前縁部と後縁部とにそれぞれ、アルミニウム等の金属製、あるいは、樹脂製の溝形材などからなる補強フレーム7,7が、該フレームの溝内に炭ボード6の縁部を嵌め込むようにして、炭ボード6の左右方向のほぼ全長にわたって延びるようにして設けられ、自重や履物等の重量による炭ボード6の撓みが軽減ないしは防止されるようになされている。
【0019】
上記の棚板4,5…は、その両端部を、シューズボックス本体2の左右の側壁の内面部に植設されたピン8…に支承させることによりシューズボックス1内のおいて所定の高さ位置に設置されるが、ピン8…に支承させただけでは、前後方向に動いてしまうおそれがあるので、位置決めのため、後縁側の補強フレーム7の両端部に、棚板固定用係合部としての係合用舌9,9が垂下状態に設けられ、該係合用舌9,9が後縁側の左右のピン8,8にその背後から係合することで前方へのズレ動きが規制されるようになされている。なお、係合用舌9は、補強フレーム7に板曲げ一体成形により形成されたものであってもよいし、補強フレーム7に取り付けられたものであってもよい。
【0020】
そして、各棚板4,5…において、炭ボード6の上面部は表皮材10でカバーされており、最上段の棚板4の上面表皮材10は、アクリル板等の透明プレートからなり、該プレートを通じて炭ボード6を目視することができるようになされている。
【0021】
また、残る棚板5…の上面表皮材10は、その上面を凹凸に成形したアクリル等の樹脂成形板からなっていて、履物11が該凹凸の凸部12…で支承されるようになされており、本実施形態では、前後方向に延びる山条12…と谷条13…とが左右方向に繰り返す凹凸に形成されている。
【0022】
上記のシューズボックス1では、棚板4,5…が、いわゆる炭ボードからなっていて、炭ボード6そのものに棚板としての強度の一部を担わせる構造とされているので、限られた厚さ寸法内において棚板4,5…にしっかりとした強度をもたせることができる。
【0023】
しかも、このように炭ボード6…そのものに棚板としての強度の一部を担わせる構造としたことで、炭ボード6…の下面側をシューズボックス1内に大きく開放することができて、該炭ボード6…にシューズボックス1内のニオイを効果的に除去させることができるし、調湿、ホルムアルデヒド等の有害化学物質の除去作用なども効果的に行われる。
【0024】
特に、本実施形態では、炭ボード6の前縁部と後縁部とにそれぞれ、補強フレーム7,7が設けられて補強されているので、棚板4,5…を撓みにくいしっかりとした棚板にすることができ、また、炭ボード6そのものが棚板としての強度の一部を担っていることでフレーム7,7による補強も簡素なものにすることができる。
【0025】
加えて、棚板4,5…に補強フレーム7を組み込む構造としたことにより、炭ボードそのものには形成しずらい棚板固定用の係合用舌9を、補強フレーム7を利用して棚板4,5に容易に備えさせることができる。
【0026】
また、炭ボード6…の上面が表皮材10でカバーされていることにより、炭ボード6と履物11とが直接的に接触することがなく、履物11が炭で汚されることもない。
【0027】
特に、本実施形態では、最上段の棚板4を除く、下段側の各棚板5…の上面表皮材10の上面が凹凸面に形成され、履物11が凹凸面の凸部12…で支承されるようになされているので、上段の下面側開放炭ボードから落ちてくることのある炭粉が、下段の棚板5…の上面表皮材10の凹凸面の凹部13…内に入り込み、履物11が該炭粉と接触して炭で汚されてしまうのを防ぐことができる。
【0028】
とりわけ、本実施形態では、前後方向に延びる山条12と谷条13とが左右方向に繰り返す形状のものを凹凸としているので、凹部13…内に入り込んだ粉炭や砂などをシューズボックス1の手前側に容易に掃き出すことができて掃除を容易にすることができると共に、棚板5…に対する履物11の出し入れを抵抗の少ないスムーズなものにすることができる。また、上面表皮材10として上記のような無孔のプレートを用いることで、濡れた靴を置いて炭ボード6に悪影響が出ることもない。
【0029】
図5に示す第2実施形態は、棚板4,5…の上面表皮材10として、下面が凹凸に成形されたアクリル等の樹脂成形板が用いられ、該上面表皮材10は、その下面の凸部14…を炭ボード6の上面部に当接させるようにして炭ボード6の上に載置され、上面表皮材10の下面の凹部15…の部分によって上面表皮材10と炭ボード6との間に通気部16…が形成されている。本実施形態では、この凹凸として、前後方向に延びる山条14…と谷条15…とが左右方向に繰り返す形態が採用されていて、通気部16内を空気が前後に往き来するようになされていている。
【0030】
これにより、炭ボード6とシューズボックス1内の空気との接触面積が大きく確保され、高い脱臭効果が奏される。特に、上記のような通気部16…の形成により、上面表皮材10の上に置かれた履物11によって炭ボード6の脱臭作用が減殺されるということもなく、脱臭効果を高いものにすることができる。
【0031】
しかも、左右方向に繰り返す山条14…の各先端部が炭ボード6の上面に当接して上面表皮材10が炭ボード6に支承されているので、即ち、凹凸の凸部14…が上面表皮材10の下面側に分散状態に備えられているので、炭ボード6と上面表皮材10との間に通気部16…が備えられているものでありながら、上面表皮材10が炭ボード6上に力学的に安定良く支承され、上面表皮材10が、撓んだり、破損したりするのを有効的に防ぐことができる。その他は、第1実施形態と同様である。
【0032】
なお、上下方向のすべての棚板4,5…をこのような通気部16を備えた棚板としてもよいし、一部の棚板をこのような通気部16を備えた棚板としてもよい。また、本実施形態では、上面表皮材10の上面を平滑面としているが、第1実施形態の場合と同様に、上面表皮材10の上面を凹凸面とするようにしてもよい。
【0033】
図6(イ)に示す第3実施形態は、第2実施形態において、上面表皮材10に上下方向に貫通する孔17…が多数分散状態に設けられたものであり、空気が前後方向のみならず上下方向にも往き来し、高い脱臭効果が奏される。
【0034】
図6(ロ)に示す第4実施形態は、上面表皮材として、和紙、不織布等の通気性の膜材10が用いられ、これが、炭ボード6の上面に貼られている。これにより、棚板5の上に置いた履物が炭ボード6で黒く汚されてしまうのが防がれ、また、炭ボード6の上面部が該膜材10を通じてシューズボックス1内の空気と接触することができて高い脱臭効果が奏される。なお、濡れた靴を置いて炭ボード6に悪影響が出ないよう、膜材10が和紙や不織布などである場合には、撥水加工を施しておくとよい。
【0035】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、炭ボード6を補強するためフレーム7,7を用いた場合を示したが、補強フレーム無しの棚板に構成されてもよい。
【0036】
また、上面表皮材の上面を凹凸面にする場合の凹凸の具体的形態や、上面表皮材の下面を凹凸面にする場合の凹凸の具体的形態に制限はなく、各種形態の凹凸に形成されてもよい。また、通気部16は、炭ボード6の上面を凹凸にすることで形成されていてもよいし、炭ボード6の上面を凹凸にすると共に、上面表皮材10の下面を凹凸にすることで形成されていてもよい。また、上面表皮材の上面の凹凸や、通気部のための凹凸は、省略されてもよい。
【0037】
また、炭ボードについても、制限はなく、粉炭を含んでボード状に成形されているものであればよく、炭ボードそのものに棚板としての強度の全部又は一部を担わせる構造となって備えられるものであればよい。
【0038】
また、上面表皮材の材質についても制限はなく、樹脂や和紙、不織布のほか、金属などからなっていてもよい。
【0039】
更に、上記の実施形態では、シューズボックスの棚板に炭ボードを用いた場合を示したが、棚板のほか、シューズボックスの本体2や、扉3を炭ボードで形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態のシューズボックスを示すもので、図(イ)は要部拡大断面側面図、図(ロ)は同要部拡大断面正面図である。
【図2】図(イ)は最上段の棚板の分解斜視図、図(ロ)は残る下段の棚板の分解斜視図である。
【図3】同シューズボックスの全体断面正面図である。
【図4】図3のI−I線断面図である。
【図5】第2実施形態を示すもので、図(イ)は棚板の分解斜視図、図(ロ)は断面正面図、図(ハ)は断面側面図である。
【図6】図(イ)は第3実施形態を示すもので、棚板の断面側面図、図(ロ)は第4実施形態を示すもので、棚板の断面側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1…シューズボックス
4…棚板
5…棚板
6…炭ボード
7…補強フレーム
9…係合用舌(固定用係合部)
10…上面表皮材
12…凸部
13…凹部
14…凸部
15…凹部
16…通気部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に備えられた棚板が、粉炭を含んでボード状に成形された炭ボードからなり、該炭ボードは、下面がシューズボックス内に開放されてシューズボックス内の脱臭を行うようになされていると共に、上面が表皮材でカバーされていることを特徴とするシューズボックス。
【請求項2】
前記炭ボードに、棚板撓み防止用の補強フレームが設けられている請求項1に記載のシューズボックス。
【請求項3】
前記補強フレームに、棚板固定用の係合部が設けられている請求項2に記載のシューズボックス。
【請求項4】
前記棚板の上面表皮材はその上面が凹凸面に形成され、履物が凹凸面の凸部で支承されるようになされている請求項1に記載のシューズボックス。
【請求項5】
前記棚板の上面表皮材と炭ボードとの間に通気部が形成されている請求項1又は4に記載のシューズボックス。
【請求項6】
前記棚板の上面表皮材が通気性の膜材からなる請求項1又は4に記載のシューズボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−7185(P2007−7185A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192697(P2005−192697)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】