説明

脱臭装置およびそれを用いた生ごみ処理機

【課題】フィン触媒の加熱効率を向上させ、触媒ヒーターの発熱量が小さくてもフィン触媒表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率の脱臭装置を提供する。
【解決手段】排気ガスの吸気口23と排気口24を有するケース22と、ケース22内に収容したフィン触媒29と、フィン触媒29の中央部に配置した触媒ヒーター25と、ケース22を密閉するフタ30とを備え、フィン触媒29は、金属帯状板よりなる渦巻き板26と、排気ガス通路26aに排気ガスを蛇行させるように装備した仕切り体27と、排気ガス通路26a内において渦巻き板26と並行して装備した金属板28とを有し、これら構成部材はその表面に触媒を担持したものである。これによって、フィン触媒29の構成から加熱効率が向上し、触媒ヒーター25の発熱量が小さくてもフィン触媒29表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率の脱臭装置となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスからの臭気を脱臭処理する脱臭装置およびそれを用いた生ごみ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の脱臭装置、特に、生ごみ処理機に用いられる脱臭装置としては、触媒ヒーターを挿入した金属パイプに金属薄板を螺旋状に形成した触媒担持のフィンを装備し、これらをフィンの外側に金属薄板と断熱材を巻いた状態でケースに設置するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3334462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、螺旋状のフィンを触媒ヒーターで加熱しているため、フィンの入口側と出口側で温度差が大きくなり、また、フィンの表面積を確保するためにはフィンの螺旋形状を多くしなければならず、さらに、高温に保つためには触媒ヒーターの発熱量を大きくしなければならず、脱臭装置の形状が長くなるものであった。そのため、加熱効率が悪く、脱臭装置の断熱も十分にしなければならないという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、フィン触媒の加熱効率を向上させ、触媒ヒーターの発熱量が小さくてもフィン触媒表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率の脱臭装置およびそれを用いた生ごみ処理機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の脱臭装置は、排気ガスの吸気口と排気口を有する筒状のケースと、このケース内に収容したフィン触媒と、フィン触媒の中央部に配置した触媒ヒーターと、ケースの開口部を密閉するフタとを備え、前記フィン触媒は、金属帯状板を渦巻き状に形成した渦巻き板と、この渦巻き板により形成される渦巻き状の排気ガス通路に排気ガスを蛇行させるように縦方向に装備した仕切り体と、排気ガス通路内において渦巻き板と並行して装備した金属板とを有し、これら構成部材はその表面に触媒を担持したものである。
【0006】
これによって、フィン触媒の構成から加熱効率が向上し、触媒ヒーターの発熱量が小さくてもフィン触媒表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率の脱臭装置となるものである。
【0007】
また、本発明の生ごみ処理機は、前記脱臭装置を装備したものであり、小型で家庭用に最適な生ごみ処理機となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の脱臭装置は、フィン触媒の構成から加熱効率が向上し、触媒ヒーターの発熱量が小さくてもフィン触媒表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率の脱臭装置となるものである。
【0009】
また、本発明の生ごみ処理機は、小型で家庭用に最適な生ごみ処理機となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、排気ガスの吸気口と排気口を有する筒状のケースと、このケース内に収容したフィン触媒と、フィン触媒の中央部に配置した触媒ヒーターと、ケースの開口部を密閉するフタとを備え、前記フィン触媒は、金属帯状板を渦巻き状に形成した渦巻き板と、この渦巻き板により形成される渦巻き状の排気ガス通路に排気ガスを蛇行させるように縦方向に装備した仕切り体と、排気ガス通路内において渦巻き板と並行して装備した金属板とを有し、これら構成部材はその表面に触媒を担持した脱臭装置とすることにより、フィン触媒の構成から加熱効率が向上し、触媒ヒーターの発熱量が小さくてもフィン触媒表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率の脱臭装置となるものである。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明において、渦巻き板と並行して装備した金属板は、並行した複数枚の金属板より構成したことにより、触媒フィンの表面積を広くして、フィン触媒の浄化性能が向上する。
【0012】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、渦巻き板と並行して装備した金属板には、排気ガスの流れを乱す複数の部材を設けたことにより、複数の部材が排気ガス通路を流れる排ガスの流れを乱して排ガスとフィン触媒との接触を良くするので、フィン触媒の浄化性能が向上する。
【0013】
第4の発明は、特に、第2または第3の発明において、渦巻き板と並行して装備した金属板は、一枚の金属板を折り曲げて並行した複数枚の金属板としたことにより、複数枚の金属板の構成が簡単で扱いやすく、しかも触媒フィンの表面積を広くして、フィン触媒の浄化性能が向上する。
【0014】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、金属帯状板を渦巻き状に形成した渦巻き板は、少なくともその一部を波形状としたことにより、波形状の箇所はフィン触媒の表面積が拡大し、同時に排気ガスの流れを乱して排気ガスとフィン触媒との接触を良くしてフィン触媒の浄化性能が向上する。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明における脱臭装置を備えた生ごみ処理装置とすることにより、小型で家庭用に最適な生ごみ処理機となる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態)
図は、本発明の実施の形態における脱臭装置を示すものである。
【0018】
図1、図2に示すように、本実施の形態における脱臭装置は、排気ガスの吸気口23と排気口24を有する筒状のケース22と、このケース22内に収容したフィン触媒29と、フィン触媒29の中央部に配置した触媒ヒーター25と、ケース22の開口部を密閉するフタ30とを備えている。そして、前記フィン触媒29は、金属帯状板を渦巻き状に形成した渦巻き板26と、この渦巻き板26により形成される渦巻き状の排気ガス通路26aに排気ガスを蛇行させるように縦方向に装備した仕切り体27と、排気ガス通路26a内において渦巻き板26と並行して装備した金属板28とを有し、これら構成部材26〜28はその表面に触媒を担持したものである。
【0019】
前記ケース22は、図に示すように、楕円、矩形などの扁平な筒状をしているが、特に、これに限られるものではない。また、フィン触媒29を構成する渦巻き板26は、ケース22の形状と同様な形で渦巻き状に形成されている。また、仕切り体27は、その詳細は後述するが、渦巻き板26の上下両端部から交互に位置するように複数個設けられている。また、金属板28は並行した複数枚の金属板より構成され、排気ガス通路26a内の複数箇所に装備されている。
【0020】
次に、仕切り体27と金属板28との構成例を図3に基づき説明する。
【0021】
これは、略箱状をした部材33の両側をコ字状に折り曲げて仕切り体27を上下両端部から縦方向に交互に形成し、この仕切り体27内に位置するように金属板28を装備している。また、仕切り体27は、排気ガス通路26aを形成する側の端部に折り返し部27aを形成している。また、金属板28は、一枚の金属板を折り曲げて並行した複数枚の金属板としており、折り曲げ部には複数の接続部28aを、端面には複数の爪部28bをそれぞれ形成している。そして、金属板28を仕切り体27内に挿入すると、爪部28bの弾性により金属板28は仕切り体27と一体に固定され、両者は一体物として扱えるものである。
【0022】
なお、一体物となった仕切り体27と金属板28とは、図2に示すように、排気ガス通路26aの複数箇所に組み込まれるものである。また、図2では、一体物となった仕切り体27と金属板28とは別に、金属板28のみを爪部28bの弾性を利用して排気ガス通路26aの2箇所の曲線部に装備している構成例を示している。
【0023】
ここで、前記した折り返し部27a、接続部28aおよび爪部28bの各部材は、図3の矢印に示すような排気ガスの流れに対して、排気ガスの流れを乱し、排気ガスとフィン触媒29との接触を良くしてフィン触媒の浄化性能を向上させる役割を果たしている。
【0024】
次に、脱臭装置の組立てについて説明する。
【0025】
組立ては、図1に示すように、渦巻き板26、仕切り体27、金属板28を組み込んだフィン触媒29の両端に当て板31を当て、当て板31の外側にシート状の断熱材32を置いてフィン触媒29をケース22に挿入する。このとき、渦巻き板26は仕切り体27部でケース22内側面に押し付けられた状態になる。同時にフィン触媒29を構成する渦巻き板26、仕切り体27、金属板28はケース22内で一体化される。そして、フィン触媒29の中央部に触媒ヒーター25を挿入しフタ30をケース22に固定することにより、ケース22の底面とフタ30の下面でシート状の断熱材32を圧接しフィン触媒29のシール性を確保し、組立てが完了する。なお、ケース22の周囲は、図2に示すように、断熱材35が巻かれているものである。
【0026】
ここで、図示していないが、ケース22の吸気口23を生ごみ処理装置の処理容器と接続することにより、排気ガスは、図2、図3の矢印に示すように、排気ガス通路26aを流れる。その際、排気ガスは、排気ガス通路26aの仕切り体27、金属板28の作用により蛇行し排気ガスが通過する距離を長くするととともに、排気ガスの流れを乱す各部材27a、28a、28bの作用により、排気ガスとフィン触媒29との接触する機会が増してフィン触媒29の浄化性能を向上させることとなる。なお、フィン触媒29は触媒ヒーター25により温度上昇しているものである。
【0027】
このように、本実施の形態では、フィン触媒29の構成を考慮したことにより、加熱効率が向上し、触媒ヒーター25の発熱量が小さくてもフィン触媒29表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率の脱臭装置となるものである。また、この脱臭装置を装備した生ごみ処理機は、小型で家庭用に最適な生ごみ処理機となる。
【0028】
なお、本実施の形態では、仕切り体27は略箱状をした部材33の両側をコ字状に折り曲げて形成したが、略箱状をした部材33を用いるのではなく、仕切り体27単体であってもよく、その形状も種々のものが考えられ、図に示した形状、構成に限られるものではない。また、渦巻き板26と並行して装備した金属板28は、並行した複数枚の金属板より構成して触媒フィン29の表面積を広くして、フィン触媒29の浄化性能の向上を図っているが、必要に応じてその枚数を決めることができるものであり、1枚であってもよく、また2枚以上であってもよい。
【0029】
さらに、図4に示すように、金属帯状板を渦巻き状に形成した渦巻き板26は、少なくともその一部を波形状26bとしたことにより、この波形状26bの箇所はフィン触媒29の表面積が拡大し、同時に排気ガスの流れを乱して排気ガスとフィン触媒29との接触を良くしてフィン触媒の浄化性能が向上する。図では、波形状26bを渦巻き板26の曲線部の2箇所に形成したが、必要に応じてその形成箇所を決めることができるものであり、1箇所または全体に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかる脱臭装置は、フィン触媒の構成から加熱効率が向上し、触媒ヒーターの発熱量が小さくてもフィン触媒表面の温度を高温に保つことができ、小型で高効率となるので、各種装置における脱臭装置に適用できる。また、本発明にかかる生ごみ処理機は、小型であるので、家庭用に最適なものであるが、業務用生ごみ処理機としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態における脱臭装置の分解斜視図
【図2】同脱臭装置の平断面図
【図3】同脱臭装置の要部の斜視図
【図4】同脱臭装置の別構成を示す平断面図
【符号の説明】
【0032】
22 ケース
23 吸気口
24 排気口
25 触媒ヒーター
26 渦巻き板
26a 排気ガス通路
27 仕切り体
27a 折り返し部
28 金属板
28a 接続部
28b 爪部
29 フィン触媒
30 フタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの吸気口と排気口を有する筒状のケースと、このケース内に収容したフィン触媒と、フィン触媒の中央部に配置した触媒ヒーターと、ケースの開口部を密閉するフタとを備え、前記フィン触媒は、金属帯状板を渦巻き状に形成した渦巻き板と、この渦巻き板により形成される渦巻き状の排気ガス通路に排気ガスを蛇行させるように縦方向に装備した仕切り体と、排気ガス通路内において渦巻き板と並行して装備した金属板とを有し、これら構成部材はその表面に触媒を担持した脱臭装置。
【請求項2】
渦巻き板と並行して装備した金属板は、並行した複数枚の金属板より構成した請求項1に記載の脱臭装置。
【請求項3】
渦巻き板と並行して装備した金属板には、排気ガスの流れを乱す複数の部材を設けた請求項1または2に記載の脱臭装置。
【請求項4】
渦巻き板と並行して装備した金属板は、一枚の金属板を折り曲げて並行した複数枚の金属板とした請求項2または3に記載の脱臭装置。
【請求項5】
金属帯状板を渦巻き状に形成した渦巻き板は、少なくともその一部を波形状とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱臭装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の脱臭装置を備えた生ごみ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−203201(P2007−203201A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25441(P2006−25441)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】