説明

脱臭装置

【課題】ガスタービン発電装置を用いた脱臭装置であっても、臭気ガスを確実に熱分解して排気できる脱臭装置を提供すること。
【解決手段】タービン軸3によって結合されたタービン1及びコンプレッサ2と、燃焼器6と、タービン軸3に直結された発電機4と、発電機4の高周波交流電力出力を直流電力に整流した後に所定の周波数の交流電力出力に変換する逆変換装置5と、タービン1の排気ガスと燃焼器6に供給される圧縮空気の熱交換を行なう再生器7と、タービン1の回転数を測定する回転検出器8と、タービン1の排気ガス温度を測定する温度検出器9と、逆変換装置5の出力を測定する電力検出器10と、制御装置11とを具備する。臭気ガスを臭気源13からガスタービン発電装置に導入する吸気ダクト14と、大気をガスタービン発電装置に導入する吸気ダクト15とを切り換えるダンパ16,17を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場や塵芥処理場あるいは化学工場等の換気排気に含まれる臭気や有害物質を燃焼熱により分解除去する燃焼式の脱臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理場や塵芥処理場あるいは化学工場等の臭気成分や有害物質を含む換気排気(以下「臭気ガス」と呼ぶ)を脱臭し無害化する方法として、従来、有害成分を活性炭などに吸着させる方法や、酸・アルカリ等の化学物質で分解する方法や、微生物により生物的に分解する方法の他、燃焼バーナーなどで高温で熱分解する方法がある。
【0003】
熱分解法は、大量の臭気ガスを小規模な設備で処理できる反面、天然ガスや重油などの燃料が必要であり、他の方法に比べて運転経費がかかるという欠点がある。そこで例えば特許文献1に示すように、臭気ガスをガスタービンの吸気に導いて燃焼熱で臭気成分や有害物質を熱分解すると共に、ガスタービンの動力で発電機を駆動して動力を回収しエネルギー効率を改善する方法が提案されている。
【0004】
ガスタービンはディーゼルエンジンなどに比べて大量の空気を連続的に吸排気するが、その吸入空気の全てが燃料の燃焼に用いられるのではなく、大部分は燃焼器やタービンノズル、タービンブレードの冷却に用いられる。燃料の燃焼火炎は千数百度の高温に達するが、高温の燃焼ガスはタービン保護のために冷却空気で希釈されて、タービン入口では千度前後まで下げられる。脱臭装置として使用されるガスタービンは小型の部類になるが、小型ガスタービンの燃焼ガスのタービン入口温度はさらに低く900℃程度になる。燃焼ガスはタービンで膨張して仕事をするため急激に温度が下がりタービン出口では600℃程度になる。このように吸入空気の内、冷却に用いられる大部分の空気は高温の火炎に直接曝されること無く短時間で排気される。
【0005】
通常、ガスタービンは無負荷で起動し定格回転数に到達してから負荷をかける手順をとる。また停止時にはまず負荷を下げ、冷却のため無負荷で一定時間運転してから燃料を遮断して停止させる。無負荷時は燃料の供給量が少なく燃焼ガスの温度も低くなる。特にタービン排気と燃焼器に供給される圧縮空気の熱交換を行なう再生器を持つ再生サイクルガスタービンにおいては、起動時には再生器の温度が低くなっているため燃焼ガスの温度が上がるには一定の時間を要する。
【0006】
以上のガスタービンの特性から、臭気ガスをガスタービンの吸気に導いて熱分解しようとする際に、燃焼ガス温度が高温になっていない状態、即ちガスタービンの起動時、運転停止時及び無負荷運転時には、臭気ガスが十分に熱分解されることなく排気されてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開2004−184003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、ガスタービン発電装置を用いた脱臭装置であっても、臭気ガスを確実に熱分解して排気できる脱臭装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
臭気などの有害成分を熱分解するには臭気ガスをできるだけ長く高温に曝すことが望ましく、この点で再生サイクルガスタービンは吸気を再生器で600℃近くまで加熱するため有利である。しかし再生サイクルガスタービンは再生器が熱容量を持つために前述のように起動時には燃焼ガスの温度が上がるには一定の時間を要し、その間は臭気ガスが熱分解されないまま排気されるという問題があった。
【0009】
そこで本願発明者は、臭気ガスを臭気源からガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトと、大気をガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトとを切り換えるダンパを設け、ダンパによってガスタービン発電装置起動時は大気を導入し、ガスタービン発電装置が定格運転に達して燃焼ガス温度が十分な高温になった後に臭気ガスを導入するように脱臭装置を構成し、これによって臭気ガスを確実に熱分解できるようにした。燃焼ガス温度が十分な高温になったことは、タービンの排気ガス温度又は燃焼器に供給される圧縮空気の温度を測定して判断する。
【0010】
ガスタービン発電装置の停止時には、大気を導入する吸気ダクトを開いて、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止してガスタービン発電装置に大気を導入するようにした後、逆変換装置の発電出力を停止しガスタービン発電装置への燃料供給を遮断してこれを停止する。
【0011】
以上により、臭気ガスはガスタービンの燃焼ガスが十分な高温の状態の場合のみにガスタービン発電装置に導入され、有害成分(臭気成分)が確実に熱分解されて排気されるようになる。
【0012】
即ち本願請求項1に記載の発明は、タービン軸によって結合されたタービン及びコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された圧縮空気で燃料を燃焼してタービンに導入する燃焼器と、前記タービン軸に連結された発電機とを具備するガスタービン発電装置を用いた脱臭装置であって、臭気ガスを臭気源から前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトと、大気を前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトとを切り換えるダンパを設けたことを特徴とする脱臭装置にある。
【0013】
本願請求項2に記載の発明は、タービン軸によって結合されたタービン及びコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された圧縮空気で燃料を燃焼してタービンに導入する燃焼器と、前記タービン軸に連結された発電機と、発電機の交流電力出力を直流電力に整流した後に所定の周波数の交流電力出力に変換する逆変換装置と、タービンの排気ガスと燃焼器に供給される圧縮空気の熱交換を行なう再生器と、タービンの回転数とタービンの排気ガス温度と逆変換装置の出力を制御する制御装置とを具備するガスタービン発電装置を用いた脱臭装置であって、臭気ガスを臭気源から前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトと、大気を前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトとを切り換えるダンパを設けたことを特徴とする脱臭装置にある。
【0014】
本願請求項3に記載の発明は、前記制御装置は、ガスタービン発電装置の起動時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止するとともに大気を導入する吸気ダクトを開いて大気をガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御してガスタービン発電装置を起動し、タービンが所定の回転数に達して逆変換装置が発電出力を始め且つタービンの排気ガス温度が所定の値に達した時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを開くとともに大気を導入する吸気ダクトを閉止して臭気ガスをガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御することを特徴とする請求項2に記載の脱臭装置にある。
【0015】
本願請求項4に記載の発明は、前記制御装置は、ガスタービン発電装置の起動時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止するとともに大気を導入する吸気ダクトを開いて大気をガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御してガスタービン発電装置を起動し、タービンが所定の回転数に達して逆変換装置が発電出力を始め且つ燃焼器に供給される圧縮空気の温度が所定の値に達した時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを開くとともに大気を導入する吸気ダクトを閉止して臭気ガスをガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御することを特徴とする請求項2に記載の脱臭装置にある。
【0016】
本願請求項5に記載の発明は、前記制御装置は、ガスタービン発電装置の停止時には、大気を導入する吸気ダクトを開いて、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止するとともに、逆変換装置の発電出力を停止し、ガスタービン発電装置を停止することを特徴とする請求項2乃至4の内の何れかに記載の脱臭装置にある。
【0017】
本願請求項6に記載の発明は、前記制御装置は、ガスタービン発電装置の緊急停止時には、大気を導入する吸気ダクトを開いて、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止することを特徴とする請求項2乃至5の内の何れかに記載の脱臭装置にある。
【0018】
本願請求項7に記載の発明は、大気をガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトに送風機を設け、前記制御装置は、前記ガスタービン発電装置の緊急停止時に大気を導入する吸気ダクトを開いた際に、前記送風機を一定時間運転してガスタービン発電装置内を掃気することを特徴とする請求項6に記載の脱臭装置にある。
【0019】
本願請求項8に記載の発明は、前記吸気ダクト内に、ガスタービン発電装置に導入される臭気ガス及び大気の温度を一定の温度範囲に制御する熱交換器を設置したことを特徴とする請求項1乃至7の内の何れかに記載の脱臭装置にある。
【0020】
本願請求項9に記載の発明は、前記脱臭装置の排気ガスを、排熱回収装置に導入することを特徴とする請求項1乃至8の内の何れかに記載の脱臭装置にある。
【発明の効果】
【0021】
本願請求項1,2に記載の発明によれば、ダンパによって、ガスタービン発電装置への吸気を、臭気ガスと大気とに切り換えることができるので、ガスタービン発電装置の燃焼ガスが十分に高温となっている状態の時だけ臭気ガスを導入でき、その有害成分(臭気成分)を確実に熱分解して排気できる。
【0022】
本願請求項3,4に記載の発明によれば、ガスタービン発電装置の燃焼ガスが十分に高温で、臭気ガスを導入しても十分その有害成分を熱分解できる状態にあることを検出でき、その有害成分を確実に熱分解して排気できる。
【0023】
本願請求項5に記載の発明によれば、ガスタービン発電装置の停止時に、その燃焼ガスが十分な高温ではなくなる前に、臭気ガスの吸気を確実に停止でき、従ってガスタービン発電装置の停止時に、臭気ガスが十分熱分解されないで排気されることを確実に防止できる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、ガスタービン発電装置が故障など何らかの原因で緊急停止する場合であっても、臭気ガスが十分熱分解されないで排気されることを早急に防止できる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、ガスタービン発電装置の緊急停止時でも、ダクトを含むガスタービン発電装置内(即ち臭気ガスの通過経路内)に残った臭気ガスを強制的に早急に系外に排出することができ、その後ガスタービン発電装置から臭気ガスが確実に排出されなくなる。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、ガスタービン発電装置に導入される臭気ガス及び大気の温度を一定の温度範囲に制御でき、さらに確実に有害成分を熱分解できる。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、排気ガスの余熱を有効利用することによりエネルギー効率をさらに高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる脱臭装置の全体概略構成図である。同図に示すようにこの脱臭装置は、再生サイクルガスタービン発電装置を用いた脱臭装置であり、タービン軸3によって結合されたタービン1及びコンプレッサ2と、コンプレッサ2で圧縮された圧縮空気を燃焼してタービンに導入する燃焼器6と、前記タービン軸3に連結された発電機4と、発電機4の交流電力出力を直流電力に整流した後に所定の周波数の交流電力出力に変換する逆変換装置5と、タービン1の排気ガスと燃焼器6に供給される圧縮空気の熱交換を行なう再生器7と、タービン1の回転数を測定する回転検出器8と、タービン1の排気ガスの温度を測定する温度検出器9と、逆変換装置5の出力を測定する電力検出器10と、制御装置11とを具備し、さらに臭気ガスを臭気源13から導入する吸気ダクト14と、大気を送風機18を通して導入する吸気ダクト15と、これら各吸気ダクト14,15に取り付けられるダンパ(以下「モータダンパ」と呼ぶ)16,17と、吸気ダクト14,15を接続・集合した吸気ダクト23内に設置される熱交換器19と、脱臭装置の排気ガスを導入する排熱回収装置20と、燃焼器6に供給される圧縮空気の温度を測定する温度検出器21とを具備して構成されている。以下各構成部分について説明する。
【0029】
タービン1は内部にタービン翼車を具備し、一方コンプレッサ2は内部に圧縮機羽根車を具備し、タービン翼車と圧縮機羽根車は前記タービン軸3によって結合されている。またこのタービン軸3には、前記発電機4が直結されている。発電機4は永久磁石型発電機(PMG)であり、この発電機4から出力された高周波交流電力出力は、逆変換装置5によって直流電力に整流された後に所定の周波数の交流電力出力に変換され、電力負荷22に出力される。制御装置11は、回転検出器8,温度検出器9,電力検出器10,温度検出器21からそれぞれタービン1の回転数,タービン1の排気ガス温度,逆変換装置5の出力,燃焼器6に供給される圧縮空気温度を入力し、タービン回転数やタービン排気ガス温度や逆変換装置5の出力を制御する。モータダンパ16,17は、それぞれ吸気ダクト14,15をモータ駆動によって開閉するものであり、両者の開閉指令は制御装置11から行なわれる。また吸気ダクト23は吸気ダクト14,15をモータダンパ16,17の下流側で集合した1本のダクトであり、コンプレッサ2の吸気口12に接続されている。熱交換器19はコンプレッサ2に導入される前の臭気ガス及び大気の温度を一定の範囲内に制御するものであり、図示しない熱源によって吸気ダクト23内を流れる臭気ガス及び大気の温度を所定の温度にする。排熱回収装置20は例えば温水ボイラー、蒸気ボイラー、吸収式冷温水器、デシカント冷凍機、または空気熱交換器などである。電力負荷22は、電力の系統連系を行う場合には商用電源を意味する。
【0030】
以上のように構成された脱臭装置の動作を説明する。
まず脱臭装置の起動時には、モータダンパ16を閉止し、モータダンパ17を全開にし、大気をコンプレッサ2の吸気口12に導入してガスタービンを起動する。即ち熱交換器19によって所定の温度とされた大気は、コンプレッサ2に導入されて圧縮される。圧縮された大気は、再生器7を通ることで高温の排気ガスから熱を受け取って昇温された後、燃焼器6において供給された燃料を燃焼し、その高温高圧の排気ガスがタービン1内で膨張してタービン翼車を回転し、タービン1から排気される。そしてこの排気ガスは再び再生器7に導入されて吸気側の大気と熱交換された後に排気され、排熱回収装置20に供給される。そしてタービン1が定格回転数に到達してから、逆変換装置5が発電出力を始めるようになる。
【0031】
そして制御装置11は、回転検出器8によってタービン1の回転が所定の回転数に達したことを検出し、且つ電力検出器10によって逆変換装置5が発電出力を始めたことを検出し、且つ温度検出器9によってタービン1の排気ガス温度が所定の値に達したことを検出した場合は、ガスタービン発電装置が定格運転に達して燃焼ガス温度が十分な高温状態になったと判断し、モータダンパ16を全開させ、モータダンパ17を閉止させ、これによってコンプレッサ2の吸気口12から臭気ガスを導入する。ガスタービン発電装置内に導入された臭気ガスは、十分に高温となった燃焼ガスによって、その有害成分(臭気成分)が確実に熱分解されて排気される。
【0032】
次にガスタービン発電装置を停止する際は、制御装置11は、まずモータダンパ17を全開にして大気を導入する吸気ダクト15を開き、一方モータダンパ16を閉止して臭気ガスを導入する吸気ダクト14を閉じた後、逆変換装置5の発電出力を停止して無負荷とし、その後燃焼器6への燃料供給を遮断してガスタービン発電装置を停止する。このように構成すれば、ガスタービン発電装置の停止前、即ち燃焼ガスが十分な高温ではなくなる前に、臭気ガスの吸気を確実に停止できる。従ってガスタービン発電装置の停止時に、臭気ガスが十分熱分解されないで排気されることを確実に防止できる。
【0033】
次にガスタービン発電装置が故障など何らかの原因で緊急停止する際は、制御装置11は、燃焼器6への燃料供給を遮断してガスタービン発電装置を停止すると同時に、モータダンパ17を全開にして大気を導入する吸気ダクト15を開き、同時にモータダンパ16を閉止して臭気ガスを導入する吸気ダクト14を閉じる。これによってガスタービン発電装置の緊急停止時であっても、臭気ガスが十分熱分解されないで排気されることを早急に防止できる。さらに制御装置11は、全開にした吸気ダクト15に設けた送風機18を一定時間運転してガスタービン発電装置内を掃気させる。これによってダクトを含むガスタービン発電装置内(即ち臭気ガスの通過経路内)に残った臭気ガスを強制的に早急に系外に排出することができ、その後ガスタービン発電装置から臭気ガスが確実に排出されなくなる。
【0034】
ガスタービン発電装置の燃焼ガス温度は、吸気温度の影響を大きく受ける。そこでこの実施形態においては、吸気ダクト23中に設けた熱交換器19によって、ガスタービン発電装置に導入される臭気ガス及び大気の温度を一定の温度範囲に制御することとし、これによってさらに確実に有害成分(臭気成分)を熱分解するようにしている。
【0035】
ガスタービン発電装置のタービン軸3に直結された発電機4で動力回収してもなおガスタービン発電装置の排気ガスは300℃以上の高温である。そこでガスタービン発電装置の排気ガスを、排熱回収装置20に導入し、排気ガスの余熱を有効利用することによりエネルギー効率をさらに高めている。
【0036】
上記実施形態においては、温度検出器9によって測定したタービンの排気ガス温度を、このガスタービン発電装置が定格運転に達して燃焼ガス温度が十分な高温状態になったことの判断の1つとしたが、この温度検出器9の代りに、燃焼器6の入口温度を測定する温度検出器21を用いて上記判断を行なっても良い。即ちこの場合、制御装置11は、回転検出器8によってタービン1の回転が所定の回転数に達したことを検出し、且つ電力検出器10によって逆変換装置5が発電出力を始めたことを検出し、且つ温度検出器21によって燃焼器6に供給される圧縮空気の温度が所定の値に達したことを検出した場合に、このガスタービン発電装置が定格運転に達して燃焼ガス温度が十分な高温状態になったと判断し、モータダンパ16を全開させ、モータダンパ17を閉止させ、これによってコンプレッサ2の吸気口12から臭気ガスを導入するように制御する。ガスタービン発電装置内に導入された臭気ガスは、十分に高温となった燃焼ガスによって、その有害成分(臭気成分)が確実に熱分解されて排気される。以上のことから、温度検出器9と温度検出器21は何れか一方のみ設置すれば良いことになるが、両者とも設置して両者の出力を制御装置11に入力することとすれば、さらに精度良く有害成分(臭気成分)の確実な熱分解が図れる。
【0037】
上記実施形態においては、臭気ガスを臭気源13からガスタービン発電装置に導入する吸気ダクト14と、大気をガスタービン発電装置に導入する吸気ダクト15の両者に各々モータダンパ16,17を設置したが、その代りに例えば両吸気ダクト14,15の接合部に1つのダンパを設置してこのダンパによって吸気ダクト14,15の何れかを切り換えて吸気ダクト23に接続するように構成しても良い。またダンパはモータダンパに限られず、例えば油圧駆動によるダンパ等、他の各種ダンパを用いても良い。
【0038】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの構造であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、本発明は、再生サイクルガスタービン発電装置に用いて特に有効であるが、再生器7を持たない再生サイクル以外のガスタービン発電装置に用いても有効である。即ち、本発明を適用するガスタービン装置は、タービン軸によって結合されたタービン及びコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された圧縮空気を燃焼してタービンに導入する燃焼器と、タービン軸に連結された発電機とを具備するガスタービン発電装置であれば、どのような構成のガスタービン発電装置であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】脱臭装置の全体概略構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1 タービン
2 コンプレッサ
3 タービン軸
4 発電機
5 逆変換装置
6 燃焼器
7 再生器
8 回転検出器
9 温度検出器
10 電力検出器
11 制御装置
12 吸気口
13 臭気源
14 吸気ダクト
15 吸気ダクト
16 モータダンパ(ダンパ)
17 モータダンパ(ダンパ)
18 送風機
19 熱交換器
20 排熱回収装置
21 温度検出器
22 電力負荷
23 吸気ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン軸によって結合されたタービン及びコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された圧縮空気で燃料を燃焼してタービンに導入する燃焼器と、前記タービン軸に連結された発電機とを具備するガスタービン発電装置を用いた脱臭装置であって、
臭気ガスを臭気源から前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトと、大気を前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトとを切り換えるダンパを設けたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項2】
タービン軸によって結合されたタービン及びコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された圧縮空気で燃料を燃焼してタービンに導入する燃焼器と、前記タービン軸に連結された発電機と、発電機の交流電力出力を直流電力に整流した後に所定の周波数の交流電力出力に変換する逆変換装置と、タービンの排気ガスと燃焼器に供給される圧縮空気の熱交換を行なう再生器と、タービンの回転数とタービンの排気ガス温度と逆変換装置の出力を制御する制御装置とを具備するガスタービン発電装置を用いた脱臭装置であって、
臭気ガスを臭気源から前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトと、大気を前記ガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトとを切り換えるダンパを設けたことを特徴とする脱臭装置。
【請求項3】
前記制御装置は、ガスタービン発電装置の起動時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止するとともに大気を導入する吸気ダクトを開いて大気をガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御してガスタービン発電装置を起動し、
タービンが所定の回転数に達して逆変換装置が発電出力を始め且つタービンの排気ガス温度が所定の値に達した時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを開くとともに大気を導入する吸気ダクトを閉止して臭気ガスをガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御することを特徴とする請求項2に記載の脱臭装置。
【請求項4】
前記制御装置は、ガスタービン発電装置の起動時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止するとともに大気を導入する吸気ダクトを開いて大気をガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御してガスタービン発電装置を起動し、
タービンが所定の回転数に達して逆変換装置が発電出力を始め且つ燃焼器に供給される圧縮空気の温度が所定の値に達した時には、臭気ガスを導入する吸気ダクトを開くとともに大気を導入する吸気ダクトを閉止して臭気ガスをガスタービン発電装置に導入するようにダンパを制御することを特徴とする請求項2に記載の脱臭装置。
【請求項5】
前記制御装置は、ガスタービン発電装置の停止時には、大気を導入する吸気ダクトを開いて、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止するとともに、逆変換装置の発電出力を停止し、ガスタービン発電装置を停止することを特徴とする請求項2乃至4の内の何れかに記載の脱臭装置。
【請求項6】
前記制御装置は、ガスタービン発電装置の緊急停止時には、大気を導入する吸気ダクトを開いて、臭気ガスを導入する吸気ダクトを閉止することを特徴とする請求項2乃至5の内の何れかに記載の脱臭装置。
【請求項7】
大気をガスタービン発電装置に導入する吸気ダクトに送風機を設け、
前記制御装置は、前記ガスタービン発電装置の緊急停止時に大気を導入する吸気ダクトを開いた際に、前記送風機を一定時間運転してガスタービン発電装置内を掃気することを特徴とする請求項6に記載の脱臭装置。
【請求項8】
前記吸気ダクト内に、ガスタービン発電装置に導入される臭気ガス及び大気の温度を一定の温度範囲に制御する熱交換器を設置したことを特徴とする請求項1乃至7の内の何れかに記載の脱臭装置。
【請求項9】
前記脱臭装置の排気ガスを、排熱回収装置に導入することを特徴とする請求項1乃至8の内の何れかに記載の脱臭装置。

【図1】
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