説明

脳内活性化装置

【課題】自己のマイナスになる要因に対して自己防衛する自己学習機能を取除くことにより脳内を活性化させる。
【解決手段】自己音声を入力するためのマイクロホン2と、マイクロホン2から出力される自己音声電気信号d1を4000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号d2に合成させ脳内活性化電気信号d3として出力する自己音声処理部3と、自己音声処理部3から出力される脳内活性化電気信号d3を可聴音に変換して自己音声をマイクロホン2に入力した対象者の両耳に知覚させる音響変換器4とから成る。これにより、言語障害、色弱、色盲、痴呆性、ストレスに対して治療効果を発揮できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は人体の頭部を音響刺激して脳内を活性化させる脳内活性化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】錯綜した現代社会にあっては、不安、不満、怒り、苛立ち等の心理的、精神的なストレスが増大しており、これらストレスを蓄積せずに、早期に解消、発散させる手段が必要になっている。このようなストレスの解消方法として一般に行われているのは、交感神経を抑制すると共に副交感神経を昂進することができる入浴、睡眠、休養等の静的ストレス解消法である。
【0003】しかしながら、静的ストレス解消法においては、刺激を完全に遮断するよりは、寧ろ、人体に音や振動等による刺激を付与する方が効果的であることが知られている。例えば、人体の頭部を音響刺激する脳波誘導装置が知られている。この脳波誘導装置によれば、心身が弛緩してくると連続的に出現するα波等の脳波を誘導することができるので、リラックスした精神状態に導くことが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、人間には自己のマイナスになる要因に対して自己防衛する脳の自己学習機能があることが、本出願人によって確認されている。即ち、自閉症、登校拒否等の人間の場合はα波等の脳波を誘導できたとしても、脳の自己学習機能が働いているのでリラックスした精神状態に導くことができない。また、この脳の自己学習機能は語学学習においても働くので、語学上達の妨げとなっている。
【0005】本発明は、このような従来の難点を解決するためになされたもので、自己のマイナスになる要因に対して自己防衛する自己学習機能を取除くことにより脳内を活性化させる脳内活性化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【発明を解決するための手段】このような目的を達成する本発明の脳内活性化装置は、自己音声を入力するためのマイクロホンと、マイクロホンから出力される自己音声電気信号を2500〜10000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号に合成させ脳内活性化電気信号として出力する自己音声処理部と、自己音声処理部から出力される脳内活性化電気信号を可聴音に変換して自己音声をマイクロホンに入力した対象者の両耳に知覚させる音響変換器とから成るものである。
【0007】また、本発明の脳内活性化装置において自己音声処理部は、マイクロホンから出力される自己音声電気信号をデジタル自己音声信号に変換する自己音声A/D変換回路と、2500〜10000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号を発生する発振器と、発振器から出力される可聴域高周波電気信号をデジタル可聴域高周波信号に変換する可聴域高周波A/D変換回路と、自己音声A/D変換回路で変換されたデジタル自己音声信号を記録する記録体と、記録体および可聴域高周波A/D変換回路が接続され記録体から出力されるデジタル自己音声信号を可聴域高周波A/D変換回路から出力されるデジタル可聴域高周波信号に合成させてデジタル脳内活性化信号を生成するCPUと、CPUで生成されたデジタル脳内活性化信号を保持するRAMと、RAMに保持されるデジタル脳内活性化信号を脳内活性化電気信号に変換するD/A変換回路とから成るものが好ましい。
【0008】また、本発明の脳内活性化装置において自己音声処理部に、対象者の聴覚の優位性に応じて音響変換器から当該対象者の両耳に知覚させる可聴音のパルス数差を任意に設定する調節器が設けられたものが好ましい。また、本発明の脳内活性化装置において信号処理部は、再生機器が接続されるアダプタと、アダプタを介して入力される再生機器からの再生音声信号をデジタル再生音声信号に変換してCPUへ出力する再生音声A/D変換回路とを有し、CPUは再生音声A/D変換回路から入力されるデジタル再生音声信号にデジタル脳内活性化信号を合成させる機能を有するものが好ましい。
【0009】この脳内活性化装置は、自己音声電気信号を2500〜10000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号に合成させることにより、自己のマイナスになる要因に対して自己防衛する自己学習機能を取除くことができる。これは、脳内の自己学習機能が働いている遺伝子が自己音声に対してのみ、この自己学習機能を取除こうとするからである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の脳内活性化装置の実施の一形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明の脳内活性化装置は日本人用の語学学習機器とする。本発明の脳内活性化装置は図1に示すように、自己音声を入力するためのマイクロホン2と、マイクロホン2から出力される自己音声電気信号d1を4000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号d2に合成させ脳内活性化電気信号d3として出力する自己音声処理部3と、自己音声処理部3から出力される脳内活性化電気信号d3を可聴音に変換して自己音声をマイクロホン2に入力した対象者の両耳に知覚させる音響変換器4とから成る。なお、音響変換器4としては可聴音を対象者の両耳に知覚させるために、ステレオ・イヤホーン、ステレオ・ヘッドホーン、ステレオ・スピーカ等が使用される。
【0011】自己音声処理部3は、マイクロホン2から出力される自己音声電気信号d1を増幅するアンプ5と、アンプ5で増幅された自己音声電気信号d1をデジタル自己音声信号d4に変換する自己音声A/D変換回路6と、4000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号d2を発生する発振器7と、発振器7から出力される可聴域高周波電気信号d2をデジタル可聴域高周波信号d5に変換する可聴域高周波A/D変換回路8と、自己音声A/D変換回路6で変換されたデジタル自己音声信号d4を記録する記録体であるEEPROM9と、EEPROM9および可聴域高周波A/D変換回路8が接続されEEPROM9から出力されるデジタル自己音声信号d4を可聴域高周波A/D変換回路8から出力されるデジタル可聴域高周波信号d5に合成させてデジタル脳内活性化信号を生成するCPU10と、CPU10で生成されたデジタル脳内活性化信号d6を保持するRAMとしてのSRAM11と、SRAM11に保持されるデジタル脳内活性化信号d6を脳内活性化電気信号d3に変換するD/A変換回路12とから成る。
【0012】なお、記録体はEEPROM9に限らず、コンパクト・ディスク、カセット・テープでもよい。また、RAMはSRAM11に限らず、DRAMでもよい。また、D/A変換回路12は音響変換器4の右耳スピーカ用のD/A変換回路12Aと、左耳スピーカ用のD/A変換回路12Bとを有している。この右耳スピーカ用D/A変換回路12Aおよび左耳スピーカ用D/A変換回路12Bにはそれぞれアンプ13Aおよび13Bが接続されている。このアンプ13Aおよび13Bにアダプタを介して音響変換器4が接続される。
【0013】CPU10は変調器およびミキサを内蔵し、変調器は1000Hzが限度である自己音声を4000Hzまで変調する。これは、日本人が聞取ることができる周波数が2500Hz以下なので、デジタル自己音声信号d4を例えば米国人が聞取ることができる4000Hzのデジタル可聴域高周波信号d5に合成させて自己のマイナスになる要因に対して自己防衛する脳の自己学習機能を取除くことにより、リラックスした状態で英語を聞取ることができる。ミキサはこの変調信号を後述する自己音声入力パルス数に差がつくようにミキシングする(図2(a)、(b))。これにより、対象者の聴覚の優位性に対応できるようになる。これは、右耳に入った音声情報が言語優位である反応の遅い左脳に伝わり、左耳に入った音声情報が非言語優位である反応の速い右脳に伝わるので、この反応の差に補正をかけるためである。具体的には、左耳1に対して、右耳を1.00001〜10.0の割合で自己音声入力パルス数に差をつける。例えば、音楽家や作曲家は、直感的に判断することが得意なので、左耳1に対して、右耳を1.00001にすればよい。また、一般人は左耳1に対して、右耳を1にすればよい。なお、言語障害のある人や痴呆性老人の場合は、一般人に比べて反応が遅いので、左耳1に対して、右耳を10.0にしなければならない。なお、これらの比は個人個人によって差があるのは言うまでもない。
【0014】また、自己音声処理部3には対象者の聴覚の優位性に応じて音響変換器4から当該対象者の両耳に知覚させる可聴音のパルス数差を任意に設定する調節器14が設けられている。即ち、音響変換器4がステレオ・ヘッドホーンの場合、ステレオ・ヘッドホーンの両スピーカから聞えてくる可聴音のパルス数に差をつける。例えば、図2(a)、(b)に示すように、所定時間A内に左耳に1パルス、右耳に2パルスを入力できるようにCPU10を制御する。このような調節器14としてディップスイッチ、可変抵抗器、プログラムスイッチ等が使用される。
【0015】さらに、信号処理部3はアダプタ15と、アダプタ15を介して入力される再生機器16からの再生音声電気信号d7をデジタル再生音声信号d8に変換してCPU10へ出力する再生音声A/D変換回路17とを有し、この場合CPU10は再生音声A/D変換回路17から入力されるデジタル再生音声信号d8にデジタル脳内活性化信号d6を合成させる機能を有している。例えば、英語学習の内容が再生機器16から再生されると、日本人の場合は通常2500Hz以上をうまく聞き取れないが、デジタル脳内活性化信号d6が合成されているので、確実に聞き取ることができるようになる。このような再生機器16として、コンパクト・ディスク機やカセット・テープ機が使用される。
【0016】このように構成された本発明の脳内活性化装置1の脳内活性化動作について説明する。まず、マイクロホン2に自己音声を入力すると自己音声電気信号d1がアンプ5を介して自己音声A/D変換回路6に入力され、デジタル自己音声信号d4に変換されて、EEPROM9に記録される。一方、発振器7から出力される4000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号d2は、可聴域高周波A/D変換回路8でデジタル可聴域高周波信号d5に変換される。そして、CPU10はEEPROM9に記録されたデジタル自己音声信号d4をデジタル可聴域高周波信号d5に合成させてデジタル脳内活性化信号d6を生成する。このデジタル脳内活性化信号d6はSRAM11に保持される。このSRAM11に保持されたデジタル脳内活性化信号d6を、CPU10は調節器14によるパルス数差に応じて右耳スピーカ用D/A変換回路12Aおよび左耳スピーカ用D/A変換回路12Bにそれぞれ出力する。この右耳スピーカ用D/A変換回路12Aおよび左耳スピーカ用D/A変換回路12Bで変換された各脳内活性化電気信号d3は音響変換器4の各スピーカに出力され、対象者の聴覚の優位性に応じた可聴音として音響変換器4の各スピーカから出力される。
【0017】この際、再生機器16から英語学習の内容を出力させると、2500Hz以上を聞き取ることができるようになるので、英語を確実に聞き取ることができる。なお、本実施の一形態によれば、発振器は4000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号を出力させていたが、これに限らず、聞き取り対象である音声に応じて2500〜10000Hzの周波数帯域で変化させてもよい。
【0018】また、発振器に約4〜16Hzの周波数差を持つ二つの低周波電気信号を発生するものを使用すれば、その周波数差をビート音(うなり)として対象者に知覚することができる。これにより、対象者の脳波がそのビート音の周波数に同期して低下することから、例えばα波を誘導することができるので、思考与、集中力、労働意欲の低下、不眠、倦怠感、脅迫観念、恐怖症、不充全感の治療が、どのような人(言語障害、痴呆性老人等)に対しても効果を発揮する。
【0019】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の脳内活性化装置は、自己音声電気信号を2500〜10000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号に合成させることにより、自己のマイナスになる要因に対して自己防衛する自己学習機能を取除くことができるので、脳内を活性化させることができる。これにより、言語障害、色弱、色盲、痴呆性、ストレスに対して治療効果を発揮できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脳内活性化装置の実施の一形態を示すブロック図。
【図2】デジタル脳内活性化信号の波形を示すグラフで、(a)は左耳に知覚される信号、(b)は右耳に知覚される信号。
【符号の説明】
1‥‥‥脳内活性化装置
2‥‥‥マイクロホン
3‥‥‥自己音声処理部
4‥‥‥音響変換器
6‥‥‥自己音声A/D変換回路
7‥‥‥発振器
8‥‥‥可聴域高周波A/D変換回路
9‥‥‥EEPROM(記録体)
10‥‥‥CPU
11‥‥‥SRAM(RAM)
12‥‥‥D/A変換回路
14‥‥‥調節器
15‥‥‥アダプタ
17‥‥‥再生音声A/D変換回路
d1‥‥‥自己音声電気信号
d2‥‥‥可聴域高周波電気信号
d3‥‥‥脳内活性化電気信号
d4‥‥‥デジタル自己音声信号
d5‥‥‥デジタル可聴域高周波信号
d6‥‥‥デジタル脳内活性化信号
d7‥‥‥再生音声電気信号
d8‥‥‥デジタル再生音声信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】自己音声を入力するためのマイクロホンと、前記マイクロホンから出力される自己音声電気信号を2500〜10000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号に合成させ脳内活性化電気信号として出力する自己音声処理部と、前記自己音声処理部から出力される前記脳内活性化電気信号を可聴音に変換して前記自己音声を前記マイクロホンに入力した対象者の両耳に知覚させる音響変換器とから成ることを特徴とする脳内活性化装置。
【請求項2】前記自己音声処理部は、前記マイクロホンから出力される前記自己音声電気信号をデジタル自己音声信号に変換する自己音声A/D変換回路と、前記2500〜10000Hzの周波数の可聴域高周波電気信号を発生する発振器と、前記発振器から出力される前記可聴域高周波電気信号をデジタル可聴域高周波信号に変換する可聴域高周波A/D変換回路と、前記自己音声A/D変換回路で変換された前記デジタル自己音声信号を記録する記録体と、前記記録体および前記可聴域高周波A/D変換回路が接続され前記記録体から出力される前記デジタル自己音声信号を前記可聴域高周波A/D変換回路から出力される前記デジタル可聴域高周波信号に合成させてデジタル脳内活性化信号を生成するCPUと、前記CPUで生成された前記デジタル脳内活性化信号を保持するRAMと、前記RAMに保持される前記デジタル脳内活性化信号を脳内活性化電気信号に変換するD/A変換回路とから成ることを特徴とする請求項1記載の脳内活性化装置。
【請求項3】前記自己音声処理部には前記対象者の聴覚の優位性に応じて前記音響変換器から当該対象者の両耳に知覚させる前記可聴音のパルス数差を任意に設定する調節器が設けられたことを特徴とする請求項1記載の脳内活性化装置。
【請求項4】前記信号処理部は再生機器が接続されるアダプタと、前記アダプタを介して入力される前記再生機器からの再生音声信号をデジタル再生音声信号に変換して前記CPUへ出力する再生音声A/D変換回路とを有し、前記CPUは前記再生音声A/D変換回路から入力される前記デジタル再生音声信号に前記デジタル脳内活性化信号を合成させる機能を有することを特徴とする請求項2記載の脳内活性化装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平10−244003
【公開日】平成10年(1998)9月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−50159
【出願日】平成9年(1997)3月5日
【出願人】(000155908)株式会社林原生物化学研究所 (168)
【出願人】(397005578)有限会社ジャスト・ナウ (1)
【出願人】(597029930)株式会社ピー・エム・シー (1)