説明

脳炎の診断方法及び脳炎の診断システム

【課題】早期かつ確実な診断を可能とする、脳炎の診断方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る脳炎の診断方法は、患者から生物サンプルを採取する採取工程と、前記生物サンプル中のグルタミン酸受容体の分子のうち、抗原性が高い部位を選択する選択工程と、前記抗原性が高い部位を抗原として、抗体を測定する測定工程と、を有する。前記測定工程では、前記抗原性が高い部位のペプチドを合成し、前記ペプチドを抗原として、抗体を測定する。抗原性が高い部位は、NT2である。グルタミン酸受容体は、GluRε2である。測定はELISAで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳炎の診断方法及び脳炎の診断システムに関し、より具体的には、急性脳炎の診断方法及び診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
単純ヘルペスウイルス(HSV)には1、2型の亜型がある。成人・老人の単純ヘルペス脳炎(ヘルペス脳炎)は、主としてHSV1型による。
【0003】
HSV2型による神経感染は、新生児の急性脳炎を除き、急性の脊髄炎・髄膜炎が知られている。
【0004】
HSV1型による急性脳炎は、側頭葉・大脳辺縁系を好発部位とする。polymerase chain
reaction(PCR)、MRIの導入によって脳幹脳炎型、あるいは再発・慢性型等多様な臨床像が捉られている。
【0005】
早期診断・早期治療の普及により、我国の本症の致命率は約10%程度になり、約30%程度に社会復帰例が散見される。
【0006】
もっとも、生存例の多くで健忘、記銘力障害、人格障害等の後遺症が残り、家庭あるいは社会復帰の困難な例も少なからず存在する。
【0007】
一方、非ヘルペス性辺縁系脳炎は、ヘルペス脳炎、傍腫瘍性辺縁系脳炎とスペクトルムを組む新しい亜型と考えられている。
【0008】
非ヘルペス性辺縁系脳炎は、非ヘルペス性急性辺縁系脳炎等の名称でも報告されている。
【0009】
非ヘルペス性辺縁系脳炎は、臨床症状、臨床経過、両側側頭葉内側(海馬等)のMRI異常が特徴的であり、主たる病態、原因は同定されていないが、種々のウイルス感染、傍腫瘍性、膠原病等を引き金とした免疫学的機序が有力である。
【0010】
非ヘルペス性辺縁系脳炎では、グルタミン酸受容体(GluR)抗体の関与が注目されている。
【0011】
日本の成人の非ヘルペス性辺縁系脳炎罹患率は4.1/100万人年で、急性脳炎罹患率は19.0/100万人年であることから、急性脳炎の24.5%を占めると推定される。
【0012】
非ヘルペス性急性辺縁系脳炎(non-herpetic acute limbic encephalitis、 NHALE)は年間550人の発生があると推定され、重要な疾患である。
【0013】
ところで、脳炎の一種であるラスムッセン脳炎に関して、特許文献1に記載されているスクリーニング方法がある。
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、早期診断が困難である。
【特許文献1】特表平9−501770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、早期かつ確実な診断を可能とする、脳炎の診断方法及び脳炎の診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る脳炎の診断方法は、
患者から生物サンプルを採取する採取工程と、
前記生物サンプル中のグルタミン酸受容体の分子のうち、抗原性が高い部位を選択する選択工程と、
前記抗原性が高い部位を抗原として、抗体を測定する測定工程と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記測定工程では、前記抗原性が高い部位のペプチドを合成し、前記ペプチドを抗原として、抗体を測定する、ことも可能である。
【0018】
また、前記抗原性が高い部位は、N末側のアミノ酸である、ことも可能である。
【0019】
また、前記抗原性が高い部位は、NT2である、ことも可能である。
【0020】
また、前記抗原性が高い部位は、NT1である、ことも可能である。
【0021】
また、前記抗原性が高い部位は、M1、M2、M3、M4、及び、M3−M4の少なくともいずれか一つである、ことも可能である。
【0022】
また、前記抗原性が高い部位は、CT1である、ことも可能である。
【0023】
また、前記グルタミン酸受容体は、イオンチャネル型のグルタミン酸受容体である、ことも可能である。
【0024】
また、前記グルタミン酸受容体は、NMDA型グルタミン酸受容体(N−メチル−D−アスパラテート)、KA型グルタミン酸受容体(カイネート)、AMPA型グルタミン酸受容体(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオネート)、GluRδ1、及び、GluRδ2のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0025】
また、前記NMDA型グルタミン酸受容体は、GluRε2、GluRε1、GluRε3、GluRε4、GluRζ1、GluRχ1、及び、GluRχ2のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0026】
また、前記脳炎は、単純ヘルペス性脳炎、ウイルス直接侵襲脳炎、傍感染性脳炎、傍腫瘍性脳炎、及び、全身性膠原病合併脳炎のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0027】
また、前記生物サンプルは、血清、髄液、穿刺液、培養細胞上静、及び、透析液のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0028】
また、前記抗体の測定は、ELISA法による、ことも可能である。
【0029】
次に、上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る脳炎の診断システムは、
患者から生物サンプルを採取する採取手段と、
前記生物サンプル中のグルタミン酸受容体の分子のうち、抗原性が高い部位を選択する選択手段と、
前記抗原性が高い部位を抗原として、抗体を測定する測定手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0030】
また、前記測定手段では、前記抗原性が高い部位のペプチドを合成し、前記ペプチドを抗原として、抗体を測定する、ことも可能である。
【0031】
また、前記抗原性が高い部位は、N末側のアミノ酸である、ことも可能である。
【0032】
また、前記抗原性が高い部位は、NT2である、ことも可能である。
【0033】
また、前記抗原性が高い部位は、NT1である、ことも可能である。
【0034】
また、前記抗原性が高い部位は、M1、M2、M3、M4、及び、M3−M4の少なくともいずれか一つである、ことも可能である。
【0035】
また、前記抗原性が高い部位は、CT1である、ことも可能である。
【0036】
また、前記グルタミン酸受容体は、イオンチャネル型のグルタミン酸受容体である、ことも可能である。
【0037】
また、前記グルタミン酸受容体は、NMDA型グルタミン酸受容体(N−メチル−D−アスパラテート)、KA型グルタミン酸受容体(カイネート)、AMPA型グルタミン酸受容体(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオネート)、GluRδ1、及び、GluRδ2のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0038】
また、前記NMDA型グルタミン酸受容体は、GluRε2、GluRε1、GluRε3、GluRε4、GluRζ1、GluRχ1、及び、GluRχ2のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0039】
また、前記脳炎は、単純ヘルペス性脳炎、ウイルス直接侵襲脳炎、傍感染性脳炎、傍腫瘍性脳炎、及び、全身性膠原病合併脳炎のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0040】
また、前記生物サンプルは、血清、髄液、穿刺液、培養細胞上静、及び、透析液のうち少なくとも何れか一つである、ことも可能である。
【0041】
また、前記抗体の測定は、ELISA法による、ことも可能である。
【発明の効果】
【0042】
本発明の脳炎の診断方法及び脳炎の診断システムは、早期にかつ確実な診断を行うことができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明に係る脳炎の診断方法では、まず、患者から生物サンプルを採取する。
【0044】
生物サンプルは、患者の体液である。
【0045】
具体的には、生物サンプルは、血清、髄液、穿刺液、培養細胞上静、及び、透析液のうち少なくとも何れか一つである。
【0046】
後述する抗GluRε2抗体は、急性期の急性非ヘルペス性辺縁系脳炎で、血清・髄液中に高い確率で検出される。そのため、生物サンプルとしては、血清若しくは髄液が好ましい。
【0047】
次に、生物サンプル中のグルタミン酸受容体の分子のうち、抗原性が高い部位を選択する。
【0048】
グルタミン酸受容体は、中枢神経系における高次脳機能を担う重要な分子である。一部のグルタミン酸受容体に対する自己抗体が、脳炎や傍腫瘍症候群を来たし、様々な中枢神経症状を呈する。
【0049】
グルタミン酸受容体の分子のうち、抗原性が高い部位を選択するから、簡易かつ短時間での診断が可能となる。
【0050】
また、抗原性が高い部位のペプチドを合成し、ペプチドを抗原として、抗体を測定する。ペプチド合成は市販のキットで行うことができる。このため、合成ペプチドさえあれば一般病院の検査室でも可能となり、簡易に診断を行うことができる。
【0051】
図1は、グルタミン酸受容体:GluRε2のアミノ酸配列を示すものである。
【0052】
グルタミン酸受容体は、イオンチャネル型のグルタミン酸受容体(イオノトロピック受容体)、若しくは、G蛋白質共役受容体である代謝型グルタミン酸受容体を使用できる。
【0053】
イオンチャネル型のグルタミン酸受容体としては、NMDA型グルタミン酸受容体(N−メチル−D−アスパラテート)、KA型グルタミン酸受容体(カイネート)、若しくは、AMPA型グルタミン酸受容体(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオネート)、GluRδ1、GluRδ2等を使用できる。例えば、NMDA型グルタミン酸受容体を好適に使用できる。
【0054】
NMDA型グルタミン酸受容体は、図2に示され、NMDA型グルタミン酸受容体は、GluRε2、GluRε1、GluRε3、GluRε4、若しくは、GluRζ1、GluRχ1、及び、GluRχ2を使用できる。
【0055】
抗原性が高い部位は、例えばN末側のアミノ酸である。
【0056】
抗GluRε2抗体測定目的で検体送付を受けた急性脳炎・脳症関連症例から、腫瘍合併例、再発例、慢性例、膠原病合併例、インフルエンザ脳症、単純ヘルペスウィルスPCR陽性例等を除き、辺縁系症状で神経症状が始まった15歳以上のNHALE91例による検討では、(1)血清中抗GluRε2抗体(IgGまたはIgM)は、急性期から慢性期においてNHALEの約55%に見られること、(2)髄液中抗GluRε2抗体は急性期の約50%、回復期の約40%、慢性期の約30%の症例に見られ、陽性率は次第に低下すること、(3)髄液中の抗GluRε2抗体は急性期でもかなり早い時期に出現すること、(4)抗GluRε2抗体のエピトープ解析は髄液中の抗GluRε2抗体陽性の4例で行い、4例ともN末エピトープ(NT1)を含んでいること、が判明している。
【0057】
よって、血液中にできた抗GluRε2抗体は、血液脳関門の破綻等により中枢神経系に至り、何らかの急性期脳炎症状に寄与するが、回復期・慢性期になると血液脳関門の回復により髄液中での濃度が低下する可能性がある。また、N末−GluRε2抗体(エピトープ)の測定がNHALEの診断に重要と考えられる。
【0058】
抗原性が高い部位は、例えば、図1に示されるように、NT2である。NT2は、KE RKWERVGKWK DKである。
【0059】
また、抗原性が高い部位として、例えば、NT1を使用することもできる。このNT1は、早期診断を可能とするため、遺伝子合成ではなく、ペプチド合成を用いることが好ましい。NT1は、RSQK SPPSIGIAVI LVGTSDEVAI KDAHEKDDFHHLSVVPRVEL VAMNである。
【0060】
また、抗原性が高い部位として、例えば、M1、M2、M3及びM4を使用することもできる。M1は、VWV MMFVMLLIVS AVAVFVFである。M2は、FTIGKAIWLLW GLVFNNSVPである。M3は、I MVSVWAFFAV IFLASYTAである。
【0061】
また、抗原性が高い部位として、例えば、CT1を使用することもできる。CT1は、DIYKERSD DFKRDSである。
【0062】
さらに、抗原性が高い部位として、M3−4を使用することも可能である。M3−4は、SDKK FQRPNDFSPPである。
【0063】
抗体の測定は、図3に示されるように、ELISA法による。
【0064】
本実施形態に係る測定により、単純ヘルペス性脳炎、ウイルス直接侵襲脳炎、傍感染性脳炎、傍腫瘍性脳炎、及び、全身性膠原病合併脳炎等を診断できる。
【0065】
また、これらに分類できない脳炎も診断できる。なお、本発明における脳炎は、脳症も含む概念である。
【実施例】
【0066】
患者の髄液中のグルタミン酸受容体のうちNT2のペプチドを合成し、抗原としてELISA法により抗体を測定した。
【0067】
ELISA法による測定は、図4に示されるスキームにより行った。測定時間は約2日であった。
【0068】
一方、スクリーニングに使ってきた全長GluRε2分子を抗原とした抗GluRε2抗体測定、そのN末(NT1)エピトープ測定は、遺伝子組み換えによりNIH3T3細胞や大腸菌において合成した蛋白・ペプチドを用いたイムノブロット法であるため、感度が低く、下記の表1に示されるように、測定に5日必要であった。さらに、抗原の精製には10〜20日を要した。
【0069】
【表1】

【0070】
測定をした対照血清の抗NT2抗体は0.415±0.102(OD)、疾病対照髄液の抗NT2抗体は0.200±0.098(OD)であった。
【0071】
対照の平均+2SD(OD)をカットオフとすると、血清抗NT2抗体は、抗NT1抗体陽性7例中7例で陽性、抗NT1抗体陰性7例中7例でも陽性であった。
【0072】
図5に示されるように、血清抗NT2抗体平均(OD)値は、抗NT1抗体陰性群(0.85)より陽性群(1.19)で高値であった(Mann-Whitney’s U test, p=0.02)。NT1は、イムノブロット法によるNT1を抗原とする抗体陽性群である。NT1は、イムノブロット法によるNT1を抗原とする抗体陰性群である。Dは、Dalmauらの方法によるNMDA型GluR複合体抗体陽性例である。Cは、正常のヒトのものである。縦軸は抗NT2抗体の相対的検出量である。
【0073】
図6に示されるように、髄液抗NT2抗体は、抗NT1抗体陽性4例中2例で陽性、抗NT1抗体陰性4例中2例で陽性であった。
【0074】
また、図7に示されるように、NHALEでは髄液抗NT2抗体値が発病後日数と比例して上昇する傾向を示し、4/5例で陽性であった。横軸は発病日を示す。
【0075】
このように、約2日で測定可能なELISA法による抗NT2抗体は、脳炎の診断マーカーとして有用であることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】グルタミン酸受容体の配列を説明する図である。
【図2】グルタミン酸受容体の概略を説明する図である。
【図3】ELISA法による抗体の測定を説明する図である。
【図4】ELISA法によるスキームを説明する図である。
【図5】血清中の抗NT2抗体の測定結果を説明する図である。
【図6】髄液中の抗NT2抗体の測定結果を説明する図である。
【図7】髄液抗NT2抗体値の発病後日数依存性を説明する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者から生物サンプルを採取する採取工程と、
前記生物サンプル中のグルタミン酸受容体の分子のうち、抗原性が高い部位を選択する選択工程と、
前記抗原性が高い部位を抗原として、抗体を測定する測定工程と、を有する、
ことを特徴とする脳炎の診断方法。
【請求項2】
前記測定工程では、前記抗原性が高い部位のペプチドを合成し、前記ペプチドを抗原として、抗体を測定する、
ことを特徴とする請求項1記載の脳炎の診断方法。
【請求項3】
前記抗原性が高い部位は、N末側のアミノ酸である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の脳炎の診断方法。
【請求項4】
前記抗原性が高い部位は、NT2である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の脳炎の診断方法。
【請求項5】
前記抗原性が高い部位は、NT1である、
ことを特徴とする請求項2記載の脳炎の診断方法。
【請求項6】
前記抗原性が高い部位は、M1、M2、M3、M4、及び、M3−M4の少なくともいずれか一つである、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の脳炎の診断方法。
【請求項7】
前記抗原性が高い部位は、CT1である、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の脳炎の診断方法。
【請求項8】
前記グルタミン酸受容体は、イオンチャネル型のグルタミン酸受容体である、
ことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の脳炎の診断方法。
【請求項9】
前記グルタミン酸受容体は、NMDA型グルタミン酸受容体(N−メチル−D−アスパラテート)、KA型グルタミン酸受容体(カイネート)、AMPA型グルタミン酸受容体(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオネート)、GluRδ1、及び、GluRδ2のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項8記載の脳炎の診断方法。
【請求項10】
前記NMDA型グルタミン酸受容体は、GluRε2、GluRε1、GluRε3、GluRε4、GluRζ1、GluRχ1、及び、GluRχ2のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項9記載の脳炎の診断方法。
【請求項11】
前記脳炎は、単純ヘルペス性脳炎、ウイルス直接侵襲脳炎、傍感染性脳炎、傍腫瘍性脳炎、及び、全身性膠原病合併脳炎のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の脳炎の診断方法。
【請求項12】
前記生物サンプルは、血清、髄液、穿刺液、培養細胞上静、及び、透析液のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の脳炎の診断方法。
【請求項13】
前記抗体の測定は、ELISA法による、
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の脳炎の診断方法。
【請求項14】
患者から生物サンプルを採取する採取手段と、
前記生物サンプル中のグルタミン酸受容体の分子のうち、抗原性が高い部位を選択する選択手段と、
前記抗原性が高い部位を抗原として、抗体を測定する測定手段と、を有する、
ことを特徴とする脳炎の診断システム。
【請求項15】
前記測定手段では、前記抗原性が高い部位のペプチドを合成し、前記ペプチドを抗原として、抗体を測定する、
ことを特徴とする請求項14記載の脳炎の診断システム。
【請求項16】
前記抗原性が高い部位は、N末側のアミノ酸である、
ことを特徴とする請求項14又は15記載の脳炎の診断システム。
【請求項17】
前記抗原性が高い部位は、NT2である、
ことを特徴とする請求項14乃至16の何れ1項に記載の脳炎の診断システム。
【請求項18】
前記抗原性が高い部位は、NT1である、
ことを特徴とする請求項15記載の脳炎の診断システム。
【請求項19】
前記抗原性が高い部位は、M1、M2、M3、M4、及び、M3−M4の少なくともいずれか一つである、
ことを特徴とする請求項14乃至16の何れか1項に記載の脳炎の診断システム。
【請求項20】
前記抗原性が高い部位は、CT1である、
ことを特徴とする請求項14乃至16の何れか1項に記載の脳炎の診断システム。
【請求項21】
前記グルタミン酸受容体は、イオンチャネル型のグルタミン酸受容体である、
ことを特徴とする請求項14乃至20の何れか1項に記載の脳炎の診断システム。
【請求項22】
前記グルタミン酸受容体は、NMDA型グルタミン酸受容体(N−メチル−D−アスパラテート)、KA型グルタミン酸受容体(カイネート)、AMPA型グルタミン酸受容体(α−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチル−4−イソキサゾールプロピオネート))、GluRδ1、及び、GluRδ2のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項21記載の脳炎の診断システム。
【請求項23】
前記NMDA型グルタミン酸受容体は、GluRε2、GluRε1、GluRε3、GluRε4、GluRζ1、GluRχ1、及び、GluRχ2のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項22記載の脳炎の診断システム。
【請求項24】
前記脳炎は、単純ヘルペス性脳炎、ウイルス直接侵襲脳炎、傍感染性脳炎、傍腫瘍性脳炎、及び、全身性膠原病合併脳炎のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項14乃至23の何れか1項に記載の脳炎の診断システム。
【請求項25】
前記生物サンプルは、血清、髄液、穿刺液、培養細胞上静、及び、透析液のうち少なくとも何れか一つである、
ことを特徴とする請求項14乃至24の何れか1項に記載の脳炎の診断システム。
【請求項26】
前記抗体の測定は、ELISA法による、
ことを特徴とする請求項14乃至25のいずれか1項に記載の脳炎の診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−244225(P2009−244225A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94032(P2008−94032)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(803000056)財団法人ヒューマンサイエンス振興財団 (341)
【Fターム(参考)】