説明

脳血流量定量装置、脳血流量定量プログラム、及び脳血流量定量方法

【課題】低侵襲性で脳血流量を精度良く定量する。
【解決手段】スケーリングファクタと、頭部核医学画像カウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブに基づいて求めたスケーリングファクタと脳血液分配係数との積、との関係を格納したデータベースと、被験者のタイムアクティビティーカーブに下記式:


(B(t):時刻tにおける画像カウント、S(τ):標準入力関数、k:脳血流量、k:k/V)をフィッティングさせ、kおよびkを求める第一パラメータ算出部と、それら結果から、k/kに基づいて、C・Vを求める第二パラメータ算出部と、第二パラメータ算出部にて求めたC・Vと前記相間式からスケーリングファクタを求める第三パラメータ算出部と、を備えるパラメータ算出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部核医学画像に基づいて脳血流量を定量する装置、プログラム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳梗塞に代表される脳血管障害は、死亡原因の上位を占めており、また、発見が遅れた場合や治療のタイミングが遅れた場合には、重篤な後遺症を残す場合がある。従って、脳血管障害の早期発見および重症度の診断は、非常に重要である。
【0003】
脳血管障害の主な診断方法としては、MRI、CTの他に、SPECT等に代表される核医学画像診断法が知られている。核医学画像診断法は、組織レベルでの脳血流の定量化が比較的容易であるため、脳血管障害の早期診断および重症度診断に広く用いられている。
【0004】
核医学画像診断法を利用した脳血管障害の診断法としては、Microsphere法と、IMP−ARG法とが主に用いられている。Microsphere法は、投与後の早期における脳血流製剤をいわゆるMicrosphereと見立て、1コンパートメントモデルに基づいて、核医学画像データから局所的な脳血流量を求める方法である。この方法は、理論が単純で計算が容易であるといったメリットを有する反面、動脈血の持続採血が必要であるために侵襲性が高いといった欠点がある。また、薬剤の組織から血管への洗い出しを考慮していないために薬剤投与後の後期における定量精度が低下し、データ収集時間点が投与後比較的早期に限定されるといった欠点も有する。
【0005】
動脈血の持続採血を行う代わりに、胸部のダイナミックSPECTデータに基づくタイムアクティビティーカーブを用いて入力関数を推定するNIMS法も提案されているが、やはり1コンパートメントモデルに基づく方法であり、薬剤投与後の後期においては十分な定量精度が得られない。
【0006】
一方、IMP−ARG法は、放射性医薬品としてIMP(塩酸N−イソプロピル−4−[123I]ヨードアンフェタミン)を投与し、頭部核医学画像における一定時間経過後のカウント数を2コンパートメントモデルの式に代入し、ルックアップテーブル法によって脳血流量を求める方法である(非特許文献1)。IMP−ARG法は、1点の動脈採血データを得て標準入力関数を補正する方法を用いることができ、持続採血データの必要なMicrosphere法よりも侵襲性が低いといったメリットがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hidehiro Iida et al,″Quantative Mapping of Regional;Cerebral Blood Flow Using Iodine−123−IMP and SPECT″,The Journal of Nuclear Medicine,December 1994,Vol.35,No.12,pp 2019−2030
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、IMP−ARG法は、最も優れた脳血管障害の診断法の一つである。しかし、IMP−ARG法であっても動脈血採血が必要である。一般に、動脈血採血は、静脈血採血と比較して侵襲性が高い。このような背景から、より侵襲性の低い操作にて脳血流量を定量する方法が望まれていたが、これまでそのような方法は知られていなかった。また、動脈血採血の際に静脈血が混入してしまうと、得られたデータの信頼度が低下してしまうといった問題もあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より侵襲性の低い操作によって脳血流量を精度良く定量する方法を提供する事を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者は鋭意検討の結果、頭部核医学画像(脳血流SPECT等)に基づくタイムアクティビティーカーブと2コンパートメントモデルの式とのフィッティングによって求めたパラメータが、採血に基づいて実際に求められるスケーリングファクターの実測値と一定の関係を有することを見出した。そして、この関係を利用する事により、当該タイムアクティビティーカーブに基づいて求められるパラメータを用いて、標準入力関数の補正に用いるスケーリングファクターを決定する事が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
なお本明細書において、以下の各用語は、下記の意味で用いる。
入力関数:放射能の対象臓器への流入量の経時変化を表す関数。
標準入力関数:標準的な脳内への放射性医薬品の流入量の時間変化を表す関数、すなわち、複数の被験者における実測値に基づいて決定された入力関数を利用して標準化した入力関数。例えば、複数の被験者の入力関数を平均する事によって作成される。
スケーリングファクター:標準入力関数を被験者における入力関数に近似するための補正係数。
脳血液分配係数(V):2コンパートメントモデルにおける、脳血流量(k)と脳組織から血中への放射能カウントの洗い出しのフラックス(k)との比(k/k)。
また、本発明において、頭部核医学画像は、SPECT画像の他、PET画像やプラナー像を用いることができ、用いる放射性医薬品の種類や診断の目的に応じて、適宜選択される。
【0011】
本発明に係るパラメータ決定装置は、mCとC・Vとの関係を表す相間式(mC:スケーリングファクター、C:頭部核医学画像のタイムアクティビティーカーブに基づいて求めたスケーリングファクター、V:脳血液分配係数)を格納したデータベースと、被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【0012】
【数21】

(B(t):時刻tにおける頭部核医学画像における放射能カウント、S(τ):標準入力関数、k:脳血流量、k:k/V)をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、求めたkおよびkとから、下記式(2):
【0013】
【数22】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記データベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部と、を備える。
【0014】
この構成とすることにより、頭部核医学画像のタイムアクティビティーカーブに基づいて標準入力関数の補正に用いるスケーリングファクター(mC)を求めることができるので、頭部核医学画像を用いた脳血流量の定量に際して、侵襲的な動脈血採血を省略することができる。これにより、被験者の負担を軽減する事が可能となるばかりでなく、動脈血採血時の人為的ミスに元づく定量値のばらつきも防ぐ事ができる。
【0015】
本発明に係るパラメータ決定装置において、上記式(1)とのフィッティングを行うタイムアクティビティーカーブは、頭頂葉から小脳テントにかけての横断像(スライス)に基づいて作成されたものとすることができ(例えば、当該横断像からカウント値が一定の上限値および下限値の間の値であるボクセルを抽出し、抽出されたボクセルにおける放射能カウントの平均値または総和を用いて作成されたもの)、好ましくは頭頂葉から小脳テントにかけて脳室全体をカバーする部位の横断像(スライス)に基づいて作成されたものとすることができる。このような構成とすることにより、脳血流に基づく放射能カウントを確実に収集してタイムアクティビティーカーブを作成する事ができ、より精度良くmCを求める事が可能となる。
【0016】
また、本発明に係るパラメータ決定装置において、データベースに格納される相間式は、下記式(3)によって表されるものであっても良い。
【0017】
【数23】

(式中、Rは比例定数である。)
【0018】
スケーリングファクター(mC)とC・Vとの間には、実質的に比例関係が成り立つ事が、発明者による検討の結果、明らかとなった。従って、前記相間式として上記式(3)に記載された式を用いることにより、スケーリングファクター(mC)とC・Vとの関係を、単純な直線関係として表す事が可能となり、より簡便にスケーリングファクター(mC)を求めることが可能となる。
【0019】
本発明に係るパラメータ決定プログラムは、放射性薬剤を投与された被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブ並びにデータベースに格納されたmCとC・Vとの関係を表す相間式を利用可能であり、記憶手段とCPUとを具備するコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記CPUで実行されることにより、前記コンピュータを、被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【0020】
【数24】

をフィッティングさせてkおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、求めたkおよびkとから、下記式(2):
【0021】
【数25】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記テータベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部として動作させる。
【0022】
本発明に係るパラメータ決定法は、放射性薬剤を投与された被験者の核医学画像に基づいて、コンピュータが脳血流量を定量するために用いるパラメータを決定する方法であって、コンピュータによって、被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【0023】
【数26】

をフィッティングさせてkおよびkを求める第一のパラメータ算出処理と、求めたkおよびkとから、下記式(2):
【0024】
【数27】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出処理と、求めたC・Vを利用し、データベースに格納されたmCとC・Vとの関係を表す相間式からmCを求める第三のパラメータ算出処理と、を順次実行する。
【0025】
本発明に係るパラメータ決定プログラム及びパラメータ決定法においても、上記式(1)とのフィッティングを行うタイムアクティビティーカーブは、頭頂葉から小脳テントにかけての横断像(スライス)に相当する部分の画像に基づいて作成されたものとすることができ、好ましくは頭頂葉から小脳テントにかけて脳室全体をカバーする部位の横断像(スライス)に基づいて作成されたものとすることができる。
同様に、本発明に係るパラメータ決定プログラム及びパラメータ決定法においても、データベースに格納された相間式を、脳血流量定量装置と同様に、下記式(3)によって表されるものとすることができる。
【0026】
【数28】

【0027】
上記各発明は、頭部核医学画像に基づいて脳血流量を定量する脳血流量定量装置、脳血流量定量プログラム、及び脳血流量定量法に応用する事も可能である。
【0028】
本発明に係る脳血流量定量装置は、少なくとも下記の(ア)および(イ):
(ア)標準入力関数S(t):標準的な脳内への放射性医薬品の流入量の時間変化を表す関数
(イ)相間式:mCとC・Vとの関係を表す相間式、
(mC:スケーリングファクター、C:頭部核医学画像のタイムアクティビティーカーブに基づいて求めたスケーリングファクター、V:脳血液分配係数)の各データを格納したデータベースと、被験者の頭部核医学画像を取得する核医学画像データ取得部と、前記頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブを作成するタイムアクティビティーカーブ作成部と、前記タイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【0029】
【数29】

(B(t):時刻tにおける放射能カウント、k:脳血流量、k:k/V)をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、求めたkおよびkとから、下記式(2):
【0030】
【数30】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記データベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部と、求めた該mCを用い、下記式(4)または(5):
【0031】
【数31】

【0032】
【数32】

(t:頭部核医学画像の撮像開始時刻、t:頭部核医学画像の撮像終了時刻)に基づいて単位領域あたりの脳血流量を求める脳血流量算出部と、得られた脳血流量を対応する単位領域と関連づけて表示する表示部と、を備える。
【0033】
この構成とすることにより、頭部核医学画像のタイムアクティビティーカーブ基づくパラメータから、標準入力関数の補正に用いるスケーリングファクター(mC)を求めることができるので、被験者の動脈血採血を行う必要が無く、より侵襲性の低い脳血流量の定量を実施する事が可能となる。
【0034】
本発明に係る脳血流量定量装置において、上記式(1)とのフィッティングを行うタイムアクティビティーカーブは、頭頂葉から小脳テントにかけての横断像(スライス)に相当する部分の画像に基づいて作成されたものとすることができ、好ましくは頭頂葉から小脳テントにかけて脳室全体をカバーする部位の横断像(スライス)に基づいて作成されたものとすることができる。このような構成とすることにより、脳血流に基づく放射能カウントを確実に収集してタイムアクティビティーカーブを作成する事ができ、より精度良くmCを求める事が可能となる。
【0035】
また、本発明に係る脳血流量定量装置において、データベースに格納される相間式は、下記式(3)によって表されるものであっても良い。
【0036】
【数33】

【0037】
上述したように、スケーリングファクター(mC)とC・Vとの間には、実質的に比例関係が成り立つ事が、発明者による検討の結果、明らかとなった。従って、前記相間式として上記式(3)に記載された式を用いることにより、スケーリングファクター(mC)とC・Vとの関係を、単純な直線関係として表す事が可能となるので、脳血流量算出部にて利用されるスケーリングファクター(mC)をより簡便に求めることが可能となる。
【0038】
本発明に係る脳血流量定量プログラムは、被験者の核医学画像並びにデータベースに格納された、mCとC・Vとの関係を表す相間式及び標準入力関数を利用可能であり、記憶手段とCPUとを具備するコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記CPUで実行されることにより、前記コンピュータを、被験者の頭部核医学画像を取得する核医学画像データ取得部と、前記頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブを作成するタイムアクティビティーカーブ作成部と、前記タイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【0039】
【数34】

をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、
求めたkおよびkとから、下記式(2):
【0040】
【数35】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記データベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部と、下記式(4)または(5):
【0041】
【数36】

【0042】
【数37】

に基づいて単位領域あたりの脳血流量を求める脳血流量算出部と、得られた脳血流量を対応する単位領域と関連づけて表示する表示部として動作させる。
【0043】
本発明に係る脳血流量定量法は、コンピュータによって、被験者の頭部核医学画像を取得する核医学画像データ取得処理と、前記頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブを作成するタイムアクティビティーカーブ作成処理と、前記タイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【0044】
【数38】

をフィッティングさせてkおよびkを求める第一のパラメータ算出処理と、求めたkおよびkとから、下記式(2):
【0045】
【数39】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出処理と、求めたC・Vを利用し、データベースに格納されたmCとC・Vとの関係を表す相間式からmCを求める第三のパラメータ算出処理と、下記式(4)または(5):
【0046】
【数40】

【0047】
【数41】

に基づいて単位領域あたりの脳血流量を求める脳血流量算出処理と、得られた脳血流量を対応する単位領域と関連づけて表示する表示処理と、を順次実行させることにより、被験者の核医学画像に基づいて、コンピュータが脳血流量の値を算出するための方法である。
【0048】
本発明に係る脳血流量定量プログラム及び脳血流量定量法においても、上記式(1)とのフィッティングを行うタイムアクティビティーカーブは、頭頂葉から小脳テントにかけての横断像(スライス)に基づいて作成されたものとすることができ、好ましくは頭頂葉から小脳テントにかけて脳室全体をカバーする部位の横断像(スライス)に基づいて作成されたものとすることができる。
【0049】
同様に、本発明に係る脳血流量定量プログラム及び脳血流量定量法においても、データベースに格納された相間式を、脳血流量定量装置と同様に、下記式(3)によって表されるものとすることができる。
【0050】
【数42】

【発明の効果】
【0051】
本発明に係る脳血流量定量装置、脳血流量定量プログラム、及び脳血流量定量法を用いる事により、動脈血採血を行わずに頭部核医学画像に基づく脳血流量の定量が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る脳血流量定量装置の好ましい態様における処理の概要を示すフローチャートである。
【図2】本発明に係る脳血流量定量装置(脳血流量算出部に係る部分)の好ましい態様における処理の概要を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る脳血流量定量装置の好ましい態様における機能ブロック図である。
【図4】本発明に係る脳血流量処理装置の好ましい態様におけるシステム構成を示す図である。
【図5】本発明に係る脳血流量定量プログラムの好ましい態様における構成を示す図である。
【図6】脳血流量の算出を行った左右MCA領域の位置を示す図。(白抜き部分。1スライスを代表して表示。)
【図7】本発明に係る方法にて求めた脳血流量(縦軸:非採血ARGと表示)と、従来法(横軸:動脈一点採血ARGと表示)との相間を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明について、図面を参照しつつ、さらに詳細に説明する。ただし、下記の説明はあくまでも好ましい形態を例示したものであり、本発明の内容を限定する意図ではないことに留意されたい。
【0054】
(脳血流量定量装置による処理)
図1は本発明に係る脳血流量定量装置10の処理の概要を示す図である。本発明に係る脳血流量定量装置10を動作させる事によって本発明に係る脳血流量定量法を実現することができる。
【0055】
脳血流量定量装置10は、まず、時間的に連続した複数の核医学画像データを取得する(ステップS11)。好ましい態様において、ここで取得した核医学画像データは、後述するタイムアクティビティーカーブの作成に用いる他、脳血流量の定量にも用いられる。本例においては、各時間点における核医学画像データは、空間的に連続した複数の断層画像(好ましくは横断像)により構成されている。核医学画像データとしては、SPECTデータの他、PETデータを好ましく用いる事ができる。
【0056】
次に、脳血流量定量装置10は、取得した核医学画像データを用い、タイムアクティビティーカーブを作成する(ステップS12)。タイムアクティビティーカーブは、カウント値の経時変化を表す曲線であり、カウント値を放射性医薬品の投与後経過時刻に対してプロットする事によって得ることができる。タイムアクティビティーカーブの作成においては、放射性医薬品が取り込まれた部位に対応したピクセルを抽出する必要がある。当該ピクセルの抽出は、種々の方法により行う事ができる。例えば、各時間点における核医学画像データにつき、カウントの最大値と最小値のそれぞれを基準とした閾値を設定し、それぞれ上限及び下限を示す閾値とする。例えば、最大値より30%小さいカウント、最小値より10%大きいカウントを、それぞれ上限及び下限の閾値とする。そして、最大値を基準とした閾値以上のカウントと最小値を基準とした閾値以下のカウントを切り捨て、残ったピクセルを、タイムアクティビティーカーブの作成に用いるピクセルとして抽出する事ができる。
タイムアクティビティーカーブは、各時間点において上記抽出されたピクセルのカウント平均値を算出し、放射性医薬品投与後の経過時間に対してプロットする事により、得ることができる。
【0057】
脳血流量定量装置10は、上記作成したタイムアクティビティーカーブに、下記式(1):
【0058】
【数43】

(B(t):時刻tにおける放射能カウント、S(τ):標準入力関数、k:脳血流量、k:k/V)をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める(ステップS13)。
【0059】
そして脳血流量定量装置10は、上記で算出したkおよびkとから、下記式(2):
【0060】
【数44】

に基づいて、C・Vを求め(ステップS14)、データベース30からmCとC・Vとの関係を表す相間式を読み出し、上記C・Vを当該相間式に適用して、mCを求める(ステップS15)。
【0061】
次いで、脳血流量定量装置10は、データベース30から標準入力関数S(t)を読み出し、上記で求めたmCを用い、下記式(4)または(5):
【0062】
【数45】

【0063】
【数46】

に基づいて単位領域あたりの脳血流量を求める(ステップS16)。
【0064】
図2は、脳血流量を算出するステップ(ステップS16、以下、「脳血流量算出ステップ」という)における処理の流れを示す図である。脳血流量定量装置10は、mCとデータベース30から読み出した標準入力関数S(t)とを上記式(4)または(5)に代入し、核医学画像のカウント値B(t)(式(4)を用いて定量する場合)または上記式(5)の左辺(式(5)を用いて定量する場合)に対応する脳血流量kを表すテーブルを作成する(ステップS21)。
【0065】
テーブルの作成は、公知の方法を用いて行う事ができる。例えば、定量に用いる頭部核医学画像における全ピクセルの最小カウントから最大カウントまでの全てのカウント値に対応する脳血流量kをフィッティングによって求め、これをテーブルとしてまとめるといった方法を用いる事ができる。このとき、分配係数Vの値を、予め公知の方法にて決定された値とし、上記式(4)または(5)に代入しておいても良い。これにより、フィッティングに用いるパラメータの数を減らす事ができ、kの算出精度を向上させる事ができる。
【0066】
なお、脳血流量の算出に用いる頭部核医学画像は、上記ステップS11にて取得した核医学画像データから時間的に連続した複数の画像を選択して用いることができる。例えば、上記式(4)に基づいて定量を行う場合には、選択された画像におけるピクセルごとに、全ての時間点にわたってカウント値の和をとり、放射能カウントB(t)とする。そして、選択された一連の画像の撮像時刻のうち、最も早い撮像時刻と最も遅い撮像時刻の中間にあたる時刻を、画像データの取得時刻tとする。例えば、1フェーズ2分で15フェーズ撮像を行って得られた一連の画像データのうち、6〜15フェーズのデータを用いて定量を行う場合は、データ取得時刻tを20分として計算に用いる。
【0067】
脳血流量定量装置10は、各ピクセルにおいて求めたカウント値B(t)に対応する脳血流量kの値を、テーブルより読み出す(ステップS22)。そして、脳血流量定量装置10は、脳血流量kの定量処理を、脳血流量kを求めた全てのピクセルについて行ったか否かを判定し(ステップS23)、全ピクセルについて終了していない場合には(ステップS23でNo)、残りのピクセルについて定量処理(ステップS22)を行う。そして、全てのピクセルについて定量処理が完了した場合には(ステップS23でYes)、脳血流量算出処理を完了する。
なお、本例では、作成したテーブルから脳血流量kを読み出す場合について示したが、他の方法を用いる事ももちろん可能である。例えば、上記テーブルの作成を行わず、脳血流量kを求めたい全ピクセルにつき、ピクセルごとにカウント値に対応する脳血流量kを、フィッティングによって求めても良い。
【0068】
脳血流量定量装置10は、求めた脳血流量kを、ディスプレイといった出力機器によって出力する(ステップS17)。出力は、種々の態様により行う事ができる。例えば、各ピクセルにおいて求めた脳血流量kの値を、対応するピクセルに、脳血流量の定量値に応じた輝度や色によって表示する方法や、各ピクセルの位置を座標等の数値で表し、その数値に対応させる形で脳血流量kを数値により表示するといった方法を用いることができる。
【0069】
(脳血流量定量装置の構成)
図3は、本発明に係る脳血流量定量装置10の最も好ましい態様における構成を示す図である。本発明に係る脳血流量定量装置は、後述する脳血流量定量プログラム300を読み込んだコンピュータとして構成することができる。
なお、本実施の形態においては、頭部核医学画像としてSPECT画像を用いているが、本発明における頭部核医学画像は、これに限定する必要は無い。SPECT画像の他、PET画像やプラナー像を用いる事も可能である。
【0070】
好ましい態様において、本発明に係る脳血流量定量装置10は、データベース30、核医学画像データ取得部40、タイムアクティビティーカーブ作成部50、第一のパラメータ算出部60、第二のパラメータ算出部70、第三のパラメータ算出部80、脳血流量算出部90、出力部100とから構成されている。本発明に係る脳血流量定量装置10は、SPECT装置200と電気通信回線を介して結合されており、SPECT装置200は、γカメラ210と画像再構成部220とを備えている。この例では、γカメラ210によって取得された投影データは、画像再構成部220により一連の断層画像に再構成される。
また、本例では、本発明に係るパラメータ決定装置20が、脳血流量定量装置10の一部として組み込まれている。
【0071】
図4は、本発明に係る脳血流量定量装置10の最も好ましい態様におけるシステム構成である。好ましい態様において、脳血流量定量装置10は、CPU230と、メモリ240と、モニタ等の出力機器250と、通信インターフェース260と、キーボード等の入力装置270とが、バス280を介して接続されている。画像処理装置10は、この他にもCD−ROMドライブやUSBインターフェース等を備えていても良い。通信インターフェース260は、SPECT装置200と接続するために用いられる。また、メモリ31には、本発明に係る脳血流量定量プログラム300が記憶されている。
【0072】
データベース30は、少なくとも、mCとC・Vとの関係を表す相間式及び標準入力関数とを格納している。標準入力関数は、公知の方法(例えば、文献(Hidehiro Iida et al,The Journal of Nuclear Medicine,December 1994,Vol.35,No.12,pp 2019−2030)記載の方法)にて求めたものを利用可能である。mCとC・Vとの関係を表す相間式は、複数の被験者においてmCとC・Vとを求め、C・Vに対してmCをプロットしたグラフを直線近似して求める事ができる。なお、mCは、動脈採血データを用いて公知の方法により求めることができ、C・Vは、タイムアクティビティーカーブを2コンパートメントモデル式へフィッティングさせる事により求める事ができる。
【0073】
核医学画像データ取得部40は、上述したステップS11に係る処理を実行する。具体的には、時間的に連続した複数の核医学画像データをSPECT装置から取得する。ここで取得した核医学画像データは、タイムアクティビティーカーブの作成に用いる他、脳血流量の定量にも用いられる。本例においては、各時間点における核医学画像データは、空間的に連続した複数の断層画像(好ましくは横断像)により構成されている。
【0074】
タイムアクティビティーカーブ作成部50は、上述したステップS12に係る処理を実行する。
第一のパラメータ算出部60は、上述したステップS13に係る処理を実行する。
第二のパラメータ算出部70は、上述したステップS14に係る処理を実行する。
第三のパラメータ算出部80は、上述したステップS15に係る処理を実行する。
脳血流量算出部90は、上述したステップS16及びステップS21〜23に係る処理を実行する。
そして、出力部100は、上述したステップS17に係る処理を実行する。
以上、本発明に係る脳血流量定量装置10の最も好ましい態様について述べた。
【0075】
次に、本発明に係る脳血流量定量プログラム300について説明する。上述したように、本発明に係る脳血流量定量装置10は、脳血流量定量プログラム300を読み込んだコンピュータとして構成することができる。
図5は、本発明に係る脳血流量定量プログラムの最も好ましい態様における構成を示す図である。好ましい態様において、脳血流量定量プログラム300は、入力モジュール310と、タイムアクティビティーカーブ作成モジュール320と、第一のパラメータ算出モジュール330と、第二のパラメータ算出モジュール340と、第三のパラメータ算出モジュール350と、脳血流量算出モジュール360と、出力モジュール370とにより構成される。また好ましい態様において、第一のパラメータ算出モジュール330と、第二のパラメータ算出モジュール340と、第三のパラメータ算出モジュール350とは、本発明に係るパラメータ決定プログラム380を構成し、脳血流量定量プログラム300に組み込まれている。
【0076】
入力モジュール310は、ステップS11に係る処理をコンピュータに実行させる。タイムアクティビティーカーブ作成モジュール320は、ステップS12に係る処理をコンピュータに実行させる。第一のパラメータ算出モジュール330は、ステップS13に係る処理をコンピュータに実行させる。第二のパラメータ算出モジュール340は、ステップS14に係る処理をコンピュータに実行させる。第三のパラメータ算出モジュール350は、ステップS15に係る処理をコンピュータに実行させる。脳血流量算出モジュール360は、ステップS16及びステップS21〜ステップS24に係る処理をコンピュータに実行させる。出力モジュール370は、ステップS17に係る処理をコンピュータに実行させる。
【実施例】
【0077】
次に、実施例を記載して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの内容に限定されるものではない。なお、下記の実施例において、Vの値は38を用いた。
(相間式作成)
複数の被験者の脳血流SPECTデータ(塩酸N−イソプロピル−4−ヨードアンフェタミン(123I)注射液(日本メジフィジックス株式会社製)を222MBq投与した被験者に基づくもの)を用い、C・Vに対してmCをプロットし、直線回帰を行って下記の相間式(6)を得た。
【0078】
【数47】

【0079】
(SPECT撮像)
56例の被験者(平均64.5歳、11〜82歳、男/女=44/12)に対し、塩酸N−イソプロピル−4−ヨードアンフェタミン(123I)注射液(日本メジフィジックス株式会社製)を222MBq投与し、1フェーズ2分で連続15フェーズのダイナミックSPECT撮像を行い、各フェーズにつき画像再構成を行ってSPECT画像を得た(マトリックスサイズ64×64、画素サイズ3.44mm)。
【0080】
(本発明に係る方法を用いた脳血流量の定量)
撮像された各フェーズのSPECT画像を用い、小脳テントから頭頂葉にかけて脳室全体をカバーする部位のスライス(小脳テントから約15スライス分)を選択し、各ピクセルにおけるカウント値の平均+2.5SDを上限値とし、当該上限値の10%+2.5SDを下限値としてピクセルを抽出した。抽出された全ピクセルにつき、カウント値の平均値を算出した。算出された当該平均カウント値を用い、タイムアクティビティーカーブを作成した。
【0081】
作成したタイムアクティビティーカーブに、下記式(1):
【0082】
【数48】

(B(t):時刻tにおける放射能カウント、S(τ):標準入力関数、k:脳血流量、k:k/V)をフィッティングさせることにより、kおよびkを求め、さらに、下記式(2):
【0083】
【数49】

に基づいて、C・Vを求めた。求めたC・Vを上記式(6)に代入してmCを求めた。
【0084】
求めたmCを用い、下記式(4):
【0085】
【数50】

【0086】
に従って左右MCA領域の脳血流量(mL/分/100g)を求めた。定量を行った左右MCA領域は、標準脳上で予め設定した領域を用いた(図6)。また脳血流量の計算には、6〜15フェーズ(放射性医薬品投与10分後から20分間)のデータを用いた。
【0087】
(従来法(1点採血ARG法)による定量)
一方、上記ダイナミックSPECT撮像に並行し、撮像開始10分後に動脈血を採血し、公知の方法(例えば、文献Hidehiro Iida et al,The Journal of Nuclear Medicine,December 1994,Vol.35,No.12,pp2019−2030記載の方法)に従ってスケーリングファクター(mC)を求め、脳血流量(mL/分/100g)を求めた。
【0088】
(本発明に係る方法と従来法との脳血流量定量値の比較)
本発明に係る方法にて求めた脳血流量と、従来法により求めた脳血流量との相間を、図7に示す。この図に示すように、本発明に係る方法にて求めた脳血流量(図7では「非採血ARG」と表記)と従来法にて求めた脳血流量(図7では「動脈一点採血ARG」と表記)との間には、非常に良好な相間が得られ、また、両者の値は良い一致を示していた。
このように、本発明に係る方法を用いる事により、動脈血の採血データを用いなくとも、良好に脳血流量の定量を行う事ができる事が示された。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像処理プログラム分野において利用する事ができる。
【符号の説明】
【0090】
10 脳血流量定量装置
20 パラメータ決定装置
30 データベース
40 核医学画像データ取得部
50 タイムアクティビティーカーブ作成部
60 第一のパラメータ算出部
70 第二のパラメータ算出部
80 第三のパラメータ算出部
90 脳血流量算出部
100 出力部
200 SPECT装置
210 ガンマカメラ
220 画像再構成部
230 CPU
240 メモリ
250 モニタ
260 通信インターフェース
270 キーボード
280 バス
300 脳血流量定量プログラム
310 入力モジュール
320 タイムアクティビティーカーブ作成モジュール
330 第一のパラメータ算出モジュール
340 第二のパラメータ算出モジュール
350 第三のパラメータ算出モジュール
360 脳血流量算出モジュール
370 出力モジュール
380 パラメータ決定プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
mCとC・Vとの関係を表す相間式(mC:スケーリングファクター、C:頭部核医学画像のタイムアクティビティーカーブに基づいて求めたスケーリングファクター、V:脳血液分配係数)を格納したデータベースと、
被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【数1】

(B(t):時刻tにおける放射能カウント、S(τ):標準入力関数、k:脳血流量、k:k/V)をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、
求めたkおよびkとから、下記式(2):
【数2】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、
第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記データベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部と、
を備えるパラメータ決定装置。
【請求項2】
前記タイムアクティビティーカーブが、頭頂葉から小脳テントにかけての横断像に相当する部分の画像に基づいて作成されたものである、請求項1に記載のパラメータ決定装置。
【請求項3】
前記データベースに格納された前記相間式が、下記式(3):
【数3】

(R:比例定数)で表される、請求項1または請求項2に記載のパラメータ決定装置。
【請求項4】
被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブ並びにデータベースに格納されたmCとC・Vとの関係を表す相間式を利用可能であり、記憶手段とCPUとを具備するコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記CPUで実行されることにより、前記コンピュータを、
被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【数4】

をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、
求めたkおよびkとから、下記式(2):
【数5】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、
第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記データベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部として動作させる、パラメータ決定プログラム。
【請求項5】
被験者の核医学画像に基づいて、コンピュータが脳血流量を定量するために用いるパラメータを決定する方法であって、コンピュータによって、
被験者の頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【数6】

をフィッティングさせてkおよびkを求める第一のパラメータ算出処理と、
求めたkおよびkとから、下記式(2):
【数7】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出処理と、
求めたC・Vを利用し、データベースに格納されたmCとC・Vとの関係を表す相間式からmCを求める第三のパラメータ算出処理と、を順次実行する、パラメータ決定法。
【請求項6】
少なくとも下記の(ア)および(イ):
(ア)標準入力関数S(t):標準的な脳内への放射性医薬品の流入量の時間変化を表す関数
(イ)相間式:mCfとCf・Vdとの関係を表す相間式、
(mCf:スケーリングファクター、Cf:頭部核医学画像のタイムアクティビティーカーブに基づいて求めたスケーリングファクター、Vd:脳血液分配係数)の各データを格納したデータベースと、
被験者の頭部核医学画像を取得する核医学画像データ取得部と、
前記頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブを作成するタイムアクティビティーカーブ作成部と、
前記タイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【数8】

(B(t):時刻tにおける放射能カウント、k:脳血流量、k:k/V)をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、
求めたkおよびkとから、下記式(2):
【数9】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、
第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記データベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部と、
下記式(4)または(5):
【数10】

【数11】

(t:頭部核医学画像の撮像開始時刻、t:頭部核医学画像の撮像終了時刻)に基づいて単位領域あたりの脳血流量を求める脳血流量算出部と、
得られた脳血流量を対応する単位領域と関連づけて表示する表示部と、
を備える脳血流量定量装置。
【請求項7】
前記タイムアクティビティーカーブが、頭頂葉から小脳テントにかけての横断像に相当する部分の画像に基づいて作成されたものである、請求項6に記載の脳血流量定量装置。
【請求項8】
前記データベースに格納された前記相間式が、下記式(3):
【数12】

(R:比例定数)で表される、請求項6または請求項7に記載の脳血流量定量装置。
【請求項9】
放射性薬剤を投与された被験者の核医学画像並びにデータベースに格納された、mCとC・Vとの関係を表す相間式及び標準入力関数を利用可能であり、記憶手段とCPUとを具備するコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記CPUで実行されることにより、前記コンピュータを、
被験者の頭部核医学画像を取得する核医学画像データ取得部と、
前記頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブを作成するタイムアクティビティーカーブ作成部と、
前記タイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【数13】

をフィッティングさせることにより、kおよびkを求める第一のパラメータ算出部と、
求めたkおよびkとから、下記式(2):
【数14】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出部と、
第二のパラメータ算出部にて求めたC・Vと前記データベースに格納された前記相間式からmCを求める第三のパラメータ算出部と、
下記式(4)または(5):
【数15】

【数16】

を前記被験者の頭部核医学画像に適用し、当該頭部核医学画像における単位領域あたりの脳血流量を求める脳血流量算出部と、
得られた脳血流量を対応する単位領域と関連づけて表示する表示部として動作させる、脳血流量定量プログラム。
【請求項10】
被験者の核医学画像に基づいて、コンピュータが脳血流量を定量するための方法であって、コンピュータによって、
被験者の頭部核医学画像を取得する核医学画像データ取得処理と、
前記頭部核医学画像におけるカウント値の経時変化を表すタイムアクティビティーカーブを作成するタイムアクティビティーカーブ作成処理と、
得られた前記タイムアクティビティーカーブに下記式(1):
【数17】

をフィッティングさせてkおよびkを求める第一のパラメータ算出処理と、
求めたkおよびkとから、下記式(2):
【数18】

に基づいて、C・Vを求める第二のパラメータ算出処理と、
求めたC・Vを利用し、データベースに格納されたmCとC・Vとの関係を表す相間式からmCを求める第三のパラメータ算出処理と、
下記式(4)または(5):
【数19】

【数20】

を前記被験者の頭部核医学画像に適用し、当該頭部核医学画像における単位領域あたりの脳血流量を求める脳血流量算出処理と、
得られた脳血流量を対応する単位領域と関連づけて表示する表示処理と、を順次実行する、脳血流量定量法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−13665(P2012−13665A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161053(P2010−161053)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000230250)日本メジフィジックス株式会社 (75)
【出願人】(508285879)
【Fターム(参考)】