説明

腐食検出装置

本発明は、構造物において媒体によって誘発される腐食を検出する装置に関する。この装置は、ディスクが媒体によって一旦腐食されると媒体に対して透過性になる材料から作られた閉じ用のディスク(4)によって閉じられたチャンバー(5)と、チャンバー内に存在する媒体の反射率を計測する手段とを有している。好ましい実施態様によれば、光ファイバーが、反射率の変化を計測するのに用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率の計測が、腐食の状態を示す信号を獲得し、送信するのに用いられる腐食検出装置に関する。この発明は、廃液、例えば炭化水素を搬送するパイプの腐食を検出するのに有利に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
本発明によって、簡素さ、正確さ、および容易な順応性の利点が、腐食状態を被る装置の様々な器具に与えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、ディスクが媒体によって一旦腐食されると媒体に対して透過性になる材料から作られた閉じ用のディスクによって閉じられたチャンバーと、チャンバー内に存在する流体の反射率を計測する手段とを有する、媒体によって誘発される腐食を検出する装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
計測する手段は光源と光検出器を有することができる。
【0005】
反射率を計測する手段は少なくとも1つの光ファイバー部分を有することができる。
【0006】
光ファイバーの一端を閉じ用のディスクの近くに存在させることができる。
【0007】
チャンバーは空気を収容していてよい。
【0008】
閉じ用のディスクは、腐食性の媒体の圧力に耐える支持体に連結することができる。
【0009】
支持体は媒体に対して透過性とすることができる。
【0010】
装置は、ディスクの両側の圧力を平衡させる手段を有することができる。
【0011】
反射率を計測する手段は、波(ラジオ波、超音波、電磁波)、光ファイバー、導体のうちの1つの計測値伝達手段を含むことができる。
【0012】
本発明の他の特徴と利点が、制限を加えるものではない実施形態の、添付の図面を参照しての以下の説明を読むことによって明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、腐食性の液体2内に配置された検出器1を示している。検出器1は、ハウジングの内容積部5を外部、すなわち腐食性の媒体から分離するディスク4によって閉じられたハウジング3を有している。光ファイバー6が、ファイバーの端部がディスク4の近くに位置するようにハウジング3内に挿入されている。
【0014】
光ファイバー6は、光源10と光検出器11にそれぞれ接続された2つの光ファイバー8および9を有するカプラー7に接続されている。光源10、例えばレーザーダイオードは、ハウジング3の内部空間内に存在する媒体Aに光ファイバー8および6によって伝達される光線を発する。媒体Aは、それ自体の反射特性に応じてこの光線を反射する。この反射光線は、光ファイバー6によってカプラー7に伝達され、カプラー7は、セル内に存在する媒体Aによって反射された光線の強度を計測するのに適した光検出器、例えばフォトダイオードに接続された光ファイバー9に反射光線を案内する。ディスク4が外部の腐食性の媒体によって腐食され、部分的に破壊され、すなわち穴が開けられない限り、反射光線の強度は一定のままである。このようにして、ディスクの保存状態が検出され、このことから、ディスクに腐食作用が及んでいないことが推定される。ディスクの材料およびその厚さを、腐食作用の下での所定の作動条件における所望のアラームレベルに応じて選択することができる。ディスクの材料は、腐食作用を被る構造物の材料と同じであるのが好ましい。ディスクの厚さは、装置の設計の間に構造物の腐食を考慮して決められた許容値より薄く選択するのが好ましい。
【0015】
図2は、検出器の動作原理を示す模式的な部分図である。ディスク4は媒体Bによって腐食され、それによって、ある量の媒体Bがディスクを通ってセルの内部空間5に達することができるようになっている。媒体B’のこの量が十分になると、反射光線の強度が、媒体AとB(すなわちB’)の反射率が互いに異なる限り、著しく変化する。したがって、反射光線の強度の変化が、ディスク4の厚さに対応する度合の腐食が生じたことを示す。
【0016】
図3は、フォトダイオードによって与えられた信号Irの、時間tの関数としての記録を示している。計測値IrAが、光ファイバーの端部に接触している媒体Aからの結果の入射光線の強度レベルを示している。時間tcの時に、ディスク4は、媒体Bによる腐食の作用によって穴を開けられた。この試験において、媒体BはH2SO4 5M溶液であり、使用した金属ディスクは50μmの厚さである。媒体Bが浸入して光ファイバーに接触した後、反射光線の、IrAよりも著しく弱い強度IrBがフォトダイオードによって検出されている。
【0017】
図4Aおよび4Bは、腐食性の流体が圧力下にある装置に用いるのに適した、本発明による検出器の様々な変形例の原理を模式的に示している。
【0018】
この場合、腐食試験用のディスクは、圧力下にある媒体Bに直接接触している。したがって、ディスクの表面は、媒体Bのこの圧力に耐えなければならない。腐食現象の検知を十分に感度良くする必要がある以上、ディスクの厚さは、概して、それ自体で圧力に耐えるには薄すぎる。以下のような種々の機構が考えられる。
−ディスクの両側の圧力を、それらの圧力が釣り合うように同じに保つ原理。
−圧力に耐えるが、ディスクが腐食によって一旦穴を開けられると媒体Bが光ファイバーに向かって流れることができるように十分に透過性の支持体上にディスクを配置する原理。
【0019】
図4Aは、圧力下にある腐食性の媒体Bを収容しているシェルの壁12に取り付けられた検出器の原理を示している。この検出器はフランジ13によって壁の穴14に取り付けられている。腐食検出用の金属から作られたディスク15が、ディスク15が、ある腐食レベル(穴、多孔、…)に達すると直ぐに媒体Bが光ファイバー17の端部まで浸入するように、媒体Bに対して透過性の支持体16上に配置さている。この時、上述のように、ファイバーの端部が位置している媒体の反射率が小さくなり、それによって、所定の度合の腐食が知らされる。支持体16は、焼結金属、穴を開けられたディスクなどとすることができる。この支持体の機能は、ディスク15が腐食によって穴を開けられた結果として媒体Bが光ファイバー17の端部まで浸入できるようにしながら、ディスクを圧力下の流体に接触させて保持することである。もちろん、ディスクが腐食された時の漏れが複数の封止部によって防がれる。
【0020】
図4Bは、薄く、したがって圧力耐性が限られているが、腐食レベルの判定に適しているディスク19の原理を模式的に示している。検出器は、図4Aの実施形態におけるように取り付けることができる。しかしながら、この場合、光ファイバー21の端部が位置しているチャンバー20が、媒体Bにおいて支配的な圧力と同じ圧力下にある。したがって、チャンバー20は、媒体Bの圧縮率に近い圧縮率の流体A’によって満たされ、媒体Bにおける圧力を引くライン22と、流体A’を圧力下におく手段23(例えば、ピストンや薄膜)を有する圧力伝達装置によって圧力下にある。したがって、圧力は、ディスクの両側で同一であり、それによって、厚さを減らすことが許容される。腐食が、ディスクを作っている材料の厚さと性質によって所定のレベルに達すると、媒体Bは、流体A’を収容しているチャンバー20に入り、流体A’と混ざり、反射率の変化を引き起こす。媒体Bによって汚染されると直ぐに反射率が大きく変化する流体A’を選択することも可能である。
【0021】
図5は、本発明による検出器の変形例の原理を示している。腐食検出装置30が、構造物の、媒体Bの、腐食性の流体と接触している壁31に取り付けられている。ディスク32が、検出器のボディ33の端部を閉じている。多孔性かつ浸透性の材料から作られた支持体34が、媒体Bの圧力による応力の下でディスク32を保持している。検出器のボディは、反射率の変化を検出する「カプセル」35を収容している。この図において、カプセル35の図示は、下記する図6に示された表現と同一である。このカプセルは、参照番号36によって示されているように、導体、光ファイバー、または波(ラジオ波、超音波、電磁波、…)による計測値伝達手段を有している。したがって、この検出器は、変形例において、どのようなデータ伝達リンクかに制約されないものとすることができる。構造物に配置され、この構造物の腐食を取り扱う検出器の数を増やす、例えば、所定の複数の場所に様々な厚さのディスクを用い、またはそれらを、局所的な腐食の監視のために同じ場所に配置するのが容易になる。
【0022】
図6Aは、光ファイバー37が樹脂層39によってカプセルの底部38の近くに保たれているカプセル35の原理を示している。光源(例えばダイオード)が、光ファイバーによって底部38に伝達される光線を発する。カプセルの底部38は、多孔質材料など、すなわち支持体34(図5)に接触し、または支持体34の近くにあり、したがって、腐食されたディスク32と多孔質材料、すなわち支持体34の両方を通って流れる媒体Bの流体が、光ファイバー37の端部の所での反射率の変化を生じさせる。この変化が検出器41(例えばフォトダイオード)によって計測される。カプセルは、情報を、例えば、図5に示すように波によって使用者に伝達するために処理する電子手段(不図示)も有している。
【0023】
図6Bは、媒体A’と、多孔質材料、すなわち支持体34に入った媒体B’からなる界面の利用を示している。光源46から到来する入射光線45から生じる反射光線44の特性が検出器43によって計測される。図6Aのカプセルの場合におけるように、カプセル内の電子手段が媒体B’による反射率の変化に関する情報を処理し使用者に伝達する。
【0024】
図6Cは、図1、2、4A、および4Bによって示した原理を取り上げており、ここでは、検出器は、例えばコネクタ51によって連結された、ある長さの他の光ファイバー52が続いている光ファイバー50の端部を含んでいる。計測用のカプセル53は、光源54と、光ファイバー50の端部の所での反射率の変化を計測する手段55を含んでいる。
【0025】
図7および8は、「腐食」の機能部を「腐食計測」の機能部から分離する有利な可能性が利用され、それによって、本発明の様々な実施形態を可能にする腐食検出装置を示している。
【0026】
図7は、2つの部分60と61からなる腐食検出装置30を示している。部分60は、構造物の壁31に取り付けられ、基本的に、腐食ディスク32、ディスクの支持体34または同等のもの、および、ディスクを通って導入された流体を検出できるように、かつ接続手段63aによって光リンクに接続できるように取り付けられた光ファイバー部分62を有している。したがって、この部分60は、受動的な要素のみを有している。
【0027】
部分61は、計測および検出要素そのものであり、取り付けられた部分60の接続手段63aと協働する接続部材63bを有している。上述したのと同様に、この部分は、光源と、反射率を計測する検知器を有している。情報は、手段36または任意の他の同等の手段によって使用者に送信される。
【0028】
この実施形態は次の利点をもたらす。−作動部分(計測、伝送)の容易な交換。−定置の各腐食コントロール点に必要に応じて接続される単一の計測装置の使用。
【0029】
図8は、図7によって示された構成原理の、他の適用例である。図7におけるのと同一の、固定された部分60が構造物の壁31の、腐食を監視すべき点に取り付けられている。この場合、他の壁64のために部分60および計測部の接続手段63aに直接アクセスすることができない。内部の光ファイバー62に接続された光ファイバー65が、第2の壁64を通って延び、第2の壁64上においてアクセス可能な接続手段63cに接続されている。延長用の光ファイバー65は、内部の光ファイバー62と連続していることができ、あるいは接続手段63bを介して接続手段63aと協働することができる。構造物の腐食状態の、制御された計測を行うには、計測用の部分61を接続手段63cと接続させさえすればよい。
【0030】
図8の実施形態は、2重の壁を有する構造物、隔離タンク、船の二重船体、…を監視する場合に用いるのに有利である。
【0031】
全ての腐食コントロール点に対応する全ての光ファイバー65を一緒にまとめ、それらの端部(接続手段63c)に単一の場所、例えば制御室においてアクセス可能とすることもできる。
【0032】
他の適用例は、計測用の部分61を、防爆安全領域の外側に配置することである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による装置の原理を模式的に示す図である。
【図2】本発明による装置の原理を模式的に示す図である。
【図3】腐食状態を示す信号の記録の例を示す図である。
【図4A】圧力下にある構造物への装置の適用例を示す図である。
【図4B】圧力下にある構造物への装置の適用例を示す図である。
【図5】本発明による検出器の変形実施形態を示す図である。
【図6A】変形例の動作原理を示す図である。
【図6B】変形例の動作原理を示す図である。
【図6C】変形例の動作原理を示す図である。
【図7】本発明に従った変形例を示す図である。
【図8】本発明に従った変形例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体によって誘発される腐食を検出する装置において、
閉じ用のディスク(4)であって、該ディスクが前記媒体によって一旦腐食されると前記媒体に対して透過性になる材料から作られたディスクによって閉じられたチャンバー(5)と、該チャンバー内に存在する流体の反射率を計測する手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記計測する手段は光源(10)と光検出器(11)を有している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反射率を計測する手段は少なくとも1つの光ファイバー部分を有している、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記光ファイバーの一端が前記ディスクの近くにある、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記チャンバーは空気を収容している、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ディスクは、腐食性の前記媒体の圧力に耐える支持体に連結されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記支持体は前記媒体に対して透過性である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ディスクの両側の圧力を平衡させる手段を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記反射率を計測する手段は前記チャンバー内に収容されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
波(ラジオ波、超音波、電磁波)、光ファイバー、導体のうちの少なくとも1つの計測値伝達手段を有する、請求項9に記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−511812(P2006−511812A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−566979(P2004−566979)
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/FR2003/003594
【国際公開番号】WO2004/065942
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(591007826)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (261)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT FRANCAIS DU PETROL
【Fターム(参考)】