腫瘍イメージングの増強用のPAAナノ粒子
後負荷されたテトラピロール系光感受性物質と、イメージング剤とを含むPAAナノ粒子を含んでなる組成物並びにその製造方法及び使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府により資金提供を受けた研究開発に関する記載)
この発明は、国立衛生研究所が与えた助成金番号CA19358及びCA114053に従って米国政府の支援を受けて行なわれた。米国政府は本発明の一定の権利を有する。
(関連出願の相互参照)
この出願は、2009年10月21日に出願された米国仮出願第61/279,522号の米国特許法第119条(e)項(35 U.S.C §119(e))に従う優先権の利益を主張するものであり、該出願の開示全体を参照によって本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ナノ科学は、診断及び治療においてさらに高い精度を求めて最新医療科学と共に発展している。生物医学的用途のための治療薬又はイメージング剤を送達するナノプラットフォーム及びナノベクターは、癌の診断及び療法に有望である。療法例として、ナノ粒子含有PDT剤、葉酸受容体標的化、中性子捕獲用のホウ素含有デンドリマー及びナノ粒子指向温熱療法が挙げられる。
ナノ粒子は、光線力学的療法(PDT)で使用することを検討する場合には欠点があった。特に、一定のナノ粒子には、癌イメージング、PDT、化学センシング、安定性及び生分解に関する知識ベースがあまりない。(2)in-vivoで毒性がある。(3)表面修飾しなければ血漿循環時間が短く、かつ生分解及び生物学的排出速度が不安定又は制御不能である。(4)スケールアップに伴う問題があり、かつ長期間にわたる貯蔵安定性がない。また、(5)疎水性化合物の組み入れの相当な困難性、それらを「係留(anchored)」しなければ小さい親水性成分が漏出すること、及びヒドロゲル膨潤のためバルク腫瘍透過性についての未知の制限を含めたさらなる制限がある。
【0003】
癌治療の主な課題は、正常組織を残して悪性細胞を優先的に破壊することである。悪性疾患をうまく根絶するためには、悪性病変の早期検出及び選択的切除が重要である。光線力学的療法(PDT)は、臨床的に有効かつ未だ進化している、癌の局所選択的療法である。PDTの有用性は、多発型疾患用の種々の光感受性物質と共に実証されている。PDTは、早期及び後期段階の肺癌、閉塞性食道癌、バレット食道を伴う高度異形成、年齢関連筋肉変性及び日光角化症のためFDA認可されている。PDTは、腫瘍の破壊に関与すると考えられている光の吸収によって反応性一重項酸素を生じさせる腫瘍局在性光感受性物質を利用する。その後の酸化還元反応もスーパーオキシドアニオン、過酸化水素及びヒドロキシルラジカルを生成し、これらが腫瘍切除4に寄与する。非常に感受性な標的である特定の細胞内構造、例えばミトコンドリア等にかなり特異的に局在する光感受性物質が設計されている。腫瘍組織レベルでは、直接の光線力学的腫瘍細胞死滅、腫瘍支持脈管構造の破壊及びおそらく先天性及び順応性抗腫瘍免疫系が相互作用して悪性組織6を破壊する。隣接する正常組織ではなく、標的細胞(例えば腫瘍)を優先的に死滅させることがPDTにとっては必須であり、臨床適用で達成された優先的な標的障害が、該モダリティーの使用を支える主要な原動力である。PDTの成功は優先的に悪性細胞内に保持されるが、正常組織からは除去される腫瘍親和性(tumor-avid)分子の開発に頼っている。
【0004】
必要とされる光物理的特徴のある有効な光感受性物質を開発する努力においては、テトラピロールコア環を有する化合物が使用された。通常、合成の中間体としてクロロフィルa及びバクテリオクロロフィルaが用いられた。ピロフェオホルビド(pyropheophorbide)a(660nm)の一連のアルキルエーテル誘導体に関する広範なQSAR研究がHPPH(ヘキシルエーテル誘導体)の選択につながり、今や有望な第二相臨床試験段階にある。今や光感受性物質の開発は、高い一重項酸素生成能力のあるプルプリニミド(purpurinimide)(700nm)及びバクテリオプルプリニミド(780〜800nm)系列に伸展している。より長い波長の光は透過を高め、かつ腫瘍内における光送達に必要な光ファイバー数を最小限にするので、大きい深在性腫瘍を治療するためには長波長吸収が重要である。
薬剤が正常細胞を残しながら腫瘍細胞を破壊できるように、様々な努力をして腫瘍細胞を標的にしてきた。このようなシステムは特異的な受容体に頼っており、それ自体が受容体の位置に到達しなければならない。このことは、たとえその薬剤が標的細胞に到達できても、その特定の受容体が到達して結合しない限り、該薬剤は有効となり得ないので不便である。
腫瘍検出用の複数の相補的技術、例えば磁気共鳴、シンチグラフィー及び光学イメージングなどが活発な開発中である。各アプローチは特定の強み及び利点を有する。光学イメージングは、内在性分子(例えばヘモグロビン)又は投与された色素の吸収の測定、前臨床モデルにおける生物発光の検出、及び内在性フルオロフォアからの蛍光又は外因性標的分子からの蛍光の検出を包含する。長い波長で吸収された光の使命である蛍光は非常に感受性であり得る:0.6ナノ秒の寿命の典型的シアニン色素は1032個の光子/秒/モルまで発光できる。高感度の光検出器は、<103個の光子/秒をイメージングできる。従って低い励起力でさえ、低レベルの蛍光分子ビーコンを検出することができる。課題は、選択的に、かつ小さい腫瘍を検出するのに十分な高い濃度で色素を送達することである。腫瘍周囲の血管過多又は「漏出性」血管新生脈管をイメージングするためにICGのみを使用するのは、その制限された内因性の腫瘍選択性のため、期待はずれであった。腫瘍内で活性化される消光型でICGを投与するか、或いはICGを抗体又は小分子、例えば受容体リガンド等に連結するといった複数のアプローチを利用して光学プローブ局在化を改善した。最近の研究は、小さい生理活性分子の色素抱合体の開発に焦点を合わせて、標的組織への迅速な拡散を改善し、また組み合わせかつ高処理戦略を用いてこの新しいプローブを同定し、最適化し、そのin vivo安定性を向上させた。ICG誘導体のいくつかのペプチド類似体は適度な腫瘍特異性を有し、前臨床研究に入っている。しかし、これらの化合物は腫瘍の検出と治療の両方のために設計されていない。標的にできる部位の発現が不定かつ変動するin vivoで腫瘍の異質性に対処するターゲティング戦略を開発することが重要である。
【0005】
光感受性物質は一般的に蛍光を発し、それらのin vivo蛍光特性が肺、膀胱及び他の部位における早期段階の癌の検出に活用されている。早期疾患の治療又は深在性腫瘍のために蛍光を用いて活性化光を導くことができる。しかしながら、光感受性物質は以下のいくつかの理由のため腫瘍の検出に最適なフルオロフォアではない:(i)光感受性物質は低い蛍光量子収率を有する(特にバクテリオクロリンに関係がある長波長の光感受性物質)。有効な光感受性物質は、フルオロフォアとして設計された化合物、例えばシアニン色素などより蛍光効率(量子収率)が低い傾向がある。なぜなら蛍光として放たれた励起一重項状態エネルギーは、それよりむしろ三重項状態、ひいては分子酸素に転移されるからである。(ii)光感受性物質はストークシフト(Stokes shift)が小さい。ポルフィリンベースの光感受性物質は、長波長吸収帯と蛍光波長との間の差(ストークシフト)が相対的に小さく、このことが励起波長から蛍光を分離するのを技術的に困難にする。(iii)ほとんどの光感受性物質は相対的に短い蛍光波長(<800nm)を有するので、組織深部の検出に最適ではない。
腫瘍親和性光感受性物質を用いて、NIRフルオロフォアを腫瘍への標的にする二機能性抱合体を開発する試みが行なわれた。フルオロフォアの機能は、腫瘍位置と治療部位を可視化することである。光感受性物質の存在が、その後の腫瘍切除を可能にする。光学イメージングは、臨床医がPDTを行なって患者データをリアルタイムで連続的に取得かつ表示できるようにする。この「見て治療する(see and treat)」アプローチは、表在性癌をどこで治療するか、また光活性化光を送達する光ファイバーを用いて乳腺、肺及び脳などの部位内の深在性腫瘍にどうやって到達するかを決定し得る。HPPHがGd(III)DTPAに抱合された有望なPDT/MRI抱合体を開発するためにも同様のアプローチが用いられた。イメージング及び治療用量間の有意な差異のため、両モダリティーを含める単一分子の使用は問題がある。
【0006】
陽電子放出断層撮影(PET)は、放射標識分子イメージングプローブを非侵襲的に用いて、生きている対象20内の細胞機能レベルで生化学プロセスをイメージング及びアッセイできるようにする技術である。PETは、悪性腫瘍を特異的に標的とするのではなく、主に代謝マーカーとして使用されてきた。最近、悪性腫瘍を標的とするための放射標識ペプチドリガンドの使用が増えてきた。現在、PETは臨床ケアで重要であり、かつ腫瘍の低酸素、アポトーシス及び血管新生21の研究を含め、広範な用途を支える生物医学的研究で非常に重要な要素である。ターゲティングのためには、腫瘍内への薬剤の送達を増やすことができるので、長い循環時間が望ましいだろう。HPPH及びヨードベンジルフェオホルビドaは、血漿中の半減期が約25時間である。124Iの長い放射線半減期がフェオホルビドによく調和している:それは経時的に逐次イメージングをして正常組織からのクリアランスを可能にする。放射性ヨウ素を用いた標識技術は良い収率及び放射化学純度22であると詳細に明らかにされている。(18Fの100%陽電子放出に比べて)25%だけの存在量の陽電子をもたらす124Iの複雑な減衰スキームにかかわらず、124I標識抗体によるin vivo定量イメージングは、PET/CTスキャナーを用いて現実的な条件下でうまく行なわれている。種々の生物分子が124Iで標識されている。我々は、迅速かつ効率的に124Iを腫瘍親和性光感受性物質23-25に連結するカップリング反応を発明し、この抱合体を用いてマウス乳腺腫瘍及びその肺への転移を標的にしてイメージングした。臨床PETイメージの獲得は遅いことがあるが、組合せPET-CTスキャナーは、治療介入のリアルタイム誘導を可能にする。また、追跡における新たな進展は、PETデータセットによってリアルタイム介入を誘導できるようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の簡単な要約)
本発明は、光感受性物質とイメージング増強剤とを含むポリアクリル酸(PAA)ナノ粒子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって、光感受性物質に包まれ(encaphotosensitizerulated)、後負荷され(post-loaded)、かつ共有結合された光感受性物質-ナノ粒子の治療及びイメージングの可能性を評価した。PAAナノ粒子では、後負荷効率がin vivo/in vitro治療及びイメージング可能性の向上を明らかにした。PAA粒子は、分子又は小さいナノ粒子の負荷量(payload)を容易に取り込めるコアマトリックスを有し、サイズ分布を良く制御しながら、10〜150nmのサイズでPAAナノ粒子を調製することができる。ナノ粒子の表面を容易に機能化して、ターゲティングリガンドの付着を許容することができ、両方とも光線力学的療法(PDT)中に生成される一重項酸素(1O2)に対して安定である。PAAナノ粒子、すなわちポリ(アクリル酸)ナノ粒子は、以下の利点を有する:(1)癌イメージング、PDT、化学センシング、安定性及び生分解に関する相対的に多くの知識ベース。(2)既知のin vivo毒性がない。(3)表面修飾せずに血漿循環時間が長いが、選択的架橋(重合中に逆ミセルの内側に導入される)のタイプ及び量によって生分解及び生物学的排出速度を制御できる。(4)400gの材料へのスケールアップのみならず、長期間にわたる貯蔵安定性も実証されている。疎水性化合物を組み入れることが相対的に困難であること、「係留」しなければ、小さい親水性成分が漏出するという制限があり、かつヒドロゲル膨潤のためバルク腫瘍透過性についての未知の制限がある。
【0009】
本発明によれば、光感受性物質は、PAAナノ粒子によって送達可能な治療薬としていくつかの非常に望ましい特性を有する。特に、(1)投与された標的化非光線力学的薬物のごくわずかだけが腫瘍部位に到達し、残りは全身毒性をもたらし得る。しかしながら、PDTは、光感受性物質は光の非存在下では不活性であり、光活性化がなければ無害であるという点で二重の選択性を与える。従って、ナノ粒子に含まれる光感受性物質を疾患部位で局所的に活性化することができる。(2)PDT効果は一重項酸素の生成に起因するが、本発明の化合物及び方法によれば、一重項酸素はナノ粒子のポアから容易に拡散し得る。従って、化学療法薬とは対照的に、光感受性物質に包まれた薬物のナノ粒子からの放出は必要ない。代わりに、血漿滞留時間が長い安定したナノ粒子を使用することができ、腫瘍に送達される薬物を増やす。(3)PDTは、光感受性物質の細胞内の位置に関係なく有効である。ミトコンドリアは一重項酸素の主な標的であり、リソソームに取り込まれた光感受性物質も活性であるが、光線力学的プロセスは、細胞質内におけるタンパク質分解酵素の放出及び光感受性物質の再分布によるリソソームの破裂をもたらす。ナノ粒子のプラットフォームは、PDTにとって以下の有意な利点をも提供する:(1)ナノ粒子内で高レベルのイメージング剤が光感受性物質と化合し得るので、大きいか又は表面下の腫瘍、或いは臨床的に明白でない初期の疾患に光活性化光線を方向づけるための光ファイバーの蛍光イメージ誘導配置によって、「見て治療する」アプローチを可能にする。(2)光感受性物質の選択的送達を増やすように、cRGD又はF3ペプチド等のターゲティング成分をナノ粒子に添加することができる。(3)ナノ粒子は、多数の光感受性物質を運ぶことができ、かつそれらの表面を修飾して、最適な血漿中薬物動態に望ましい親水性を与えることができる。このようにして、それらは高レベルの光感受性物質を腫瘍に送達することができ、腫瘍治癒に必要な光量を減らす。
【0010】
光感受性物質は、好ましくは下記構造式
【0011】
【化1】
【0012】
を有するテトラピロール系光感受性物質、
又はその医薬的に許容できる誘導体である。
式中、
R1及びR2はそれぞれ独立に置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、-C(O)Ra又は-COORa又はCH(CH3)(ORa)又は-CH(CH3)(O(CH2)nXRa)であり;
ここで、Raは水素、置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、置換若しくは無置換アルキニル、又は置換若しくは無置換シクロアルキルであり;R2は-CH=CH2、-CH(OR20)CH3、-C(O)Me、-C(=NR21)CH3又は-CH(NHR21)CH3であってよく;
Xはアリール又はヘテロアリール基であり;
nは0〜6の整数であり;
R20はメチル、ブチル、ヘプチル、ドデシル又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジルであり;かつ
R21は3,5,-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルであり;
R1a及びR2aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R3及びR4はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R3a及びR4aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R5は水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R6及びR6aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R7は共有結合、アルキレン、アザアルキル、又はアザアラアルキル又は=NR20であり、ここで、R20は3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル又は-CH2X-R1又は-YR1であり、ここでYはアリール又はヘテロアリール基であり;
R8及びR8aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R9及びR10はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、かつR9は-CH2CH2COOR2であってよく、ここで、R2は、任意に1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基であり;
各R1〜R10は、置換されている場合、Q(ここで、Qはアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロ(photosensitizereudohalo)である)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基であり;
各Qは独立に無置換であり、或いはQ1(ここで、Q1はアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基である。
【0013】
光感受性物質をナノ粒子中への組入れ前、ナノ粒子中への組入れ後にイメージ増強剤で抱合させてよく、或いは光感受性物質及び/又はイメージ増強剤をナノ粒子に化学結合させ、及び/又は光感受性物質及びイメージ増強剤の1つ以上を物理的にナノ粒子に結合させてよい。
イメージング増強剤は、基本的にいずれのイメージングプロセスのためであってもよく、例えば、該イメージング増強剤の例は、前述した本発明の背景及び背景技術として参照によって本明細書に援用した参考文献のリストで考察されている。
腫瘍ターゲティング成分及び腫瘍阻害成分又は腫瘍毒性成分などの他の薬剤をナノ粒子に組み入れてよいものと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A):RIF腫瘍を有するC3Hマウス(10匹のマウス/群)におけるHPPH-CD抱合体1の種々の薬物用量でのin vivo光感作効率。注射後24時間に腫瘍を光にさらした((135J/cm2/75mW/cm2)。(B):注射後24時間の生きたマウス内における抱合体1の局在化(薬物用量0.3μモル/kg)。光処理パラメーターは最適化されていない(進行中)[PAA粒子なし]。
【図2】PAAナノ粒子製剤(HPPHとシアニン色素(CD)を2対1比で後負荷した)による、Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスの全身イメージ。CD濃度を一定に保ち(0.3μモル/kg)、可変時点でイメージを得た。A=注射後24時間、B=注射後48時間及びC=注射後72時間(λex:785nm;λEm:830nm)。L=低、H=高。
【図3】PAA及びORMOSILナノ粒子に2:1及び4:1の比で後負荷したHPPH及びCDのin vivoPDT効率。注:HPPH用量:PAAナノ粒子中0.47μモル/kg、ORMOSILナノ粒子中0.78μモル/kg。
【図4】1%HSAによる数回の洗浄後のPAAナノ粒子からのHPPH及びCD(2:1比で後負荷した)の徐放。
【図5】HPPH-CD抱合体1と、PAAナノ粒子で抱合し/HPPHを後負荷したCDを用いた、Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスの可変時点でのin vivoイメージングの比較。ナノ粒子は腫瘍特異性がより高かった(マウス1)。
【図6】パネル1(4T1腫瘍):解剖した原発腫瘍(PT)及び転移腫瘍(MT)。パネル2(4T1腫瘍):解剖した原発腫瘍及び転移腫瘍のPETイメージング。パネル3(4T1腫瘍を有するBALB/Cマウス):全身PETイメージング。肺内の腫瘍の転移が明白に観察された。パネル4:肺転移のないマウスにおいて57Co源を用いた透過スキャンによって肺の位置が示されている。パネル5:(Colo-26(非転移性腫瘍)を有するBALB/Cマウス):PETによる全身イメージング。肺内には有意に蓄積することなく、腫瘍内での124I-光感受性物質の高い蓄積が明白に観察される(注射用量:100μCi)。T=腫瘍、PT=原発腫瘍;MT=転移腫瘍。
【図7】Colon26腫瘍を有するBALB/cマウス(3匹のマウス/群)における110分での18F-FDG(100μCi、半減期2時間)のin vivo体内分布及び48時間での124I-光感受性物質2(100μCi、半減期4.2日)のin vivo体内分布。腫瘍取込みは両薬剤で同様だった。しかし、正常組織内では124I-光感受性物質2より高いFDGの取込みが明白である。
【図8】Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおいてPAAナノ粒子がある場合とない場合のin vivoPETイメージング(注射後72時間)及び124I-光感受性物質2の体内分布(注射後24時間、48時間及び72時間)の比較(本分参照)。[PETイメージング剤2の体内分布:PAAなし、PAAあり]。
【図9】ヌクレオリンリッチなMDA-MB-435細胞系におけるF3標的(A系列)、F3-Cys標的(B系列)によって標的にされた細胞及び非標的ナノ粒子(F系列)の蛍光強度。
【図10】MDA-MB-435細胞と15分間インキュベートしたHPPH抱合PAAナノ粒子+又は-F3-Cysペプチドの蛍光(左)及び生/死細胞アッセイ(右)。
【図11】9L神経膠腫腫瘍細胞内におけるF3-Cysペプチドの標的特異性を示す共焦点イメージ。左:F3-Cys PEGローダミン-PAAナノ粒子(9L細胞)。右:PEGローダミン-PAAナノ粒子(9L細胞)。
【図12】Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおける14C標識HPPH、及びPAAナノ粒子に後負荷された14C標識HPPHのin vivo体内分布。14C標識光感受性物質(3.8μCi/0.2mL)を12匹のマウス/群に投与した。注射後24、48、72時間に3匹のマウス/時点を屠殺した。問題の臓器を除去して放射活性を測定した。生データをカウント/組織のグラム数に変換した。
【図13】可変サイズのPAAナノ粒子を用いたヨウ素化光感受性物質の、注射後24、48及び72時間におけるin vivo体内分布。左:30nmのPAAナノ粒子に後負荷された531-ME。右:150nmのPAAナノ粒子による前処理後の531-MEの体内分布。
【図14】HPPHの構造式を示す。
【図15】多機能性PAAナノ粒子の略図である。
【図16】本発明のPAAナノ粒子の製造方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
光感受性物質は一般的に蛍光を発し、それらのin vivo蛍光特性が肺、膀胱及び他の部位における早期段階の癌の検出に活用されている。早期疾患の治療又は深在性腫瘍のために蛍光を用いて活性化光を導くことができる。しかしながら、光感受性物質は以下のいくつかの理由のため腫瘍の検出に最適なフルオロフォアではない:(i)光感受性物質は低い蛍光量子収率を有する(特にバクテリオクロリンに関係がある長波長の光感受性物質)。有効な光感受性物質は、フルオロフォアとして設計された化合物、例えばシアニン色素などより蛍光効率(量子収率)が低い傾向がある。なぜなら蛍光として放たれた励起一重項状態エネルギーは、それよりむしろ三重項状態、ひいては分子酸素に転移されるからである。(ii)光感受性物質はストークシフトが小さい。ポルフィリンベースの光感受性物質は、長波長吸収帯と蛍光波長との間の差(ストークシフト)が相対的に小さく、このことが励起波長から蛍光を分離するのを技術的に困難にする。(iii)ほとんどの光感受性物質は相対的に短い傾向波長(<800nm)を有するので、組織深部の検出に最適ではない。
【0016】
我々は以前に、NIR吸収フルオロフォア(非腫瘍特異性シアニン色素)に抱合された一定の腫瘍親和性光感受性物質(例えば、HPPH)を、蛍光及び光線療法(PDT)による腫瘍イメージング用の二機能性薬剤として使用できることを示した。ここでは、HPPHをビヒクルとして用いてイメージング剤を腫瘍に送達した。このアプローチの制限は、抱合体がこれら2つのモダリティーに対して有意に異なる用量要求を示すことだった。イメージング用量は光線療法用量より約10倍低かった(図1)。この原因は、消光されている光感受性物質をフルオロフォアによって励起すると生成される一重項酸素(腫瘍の破壊に関与する重要な細胞毒)の一部が光感受性物質の光破壊をもたらすためかもしれない。腫瘍を780nm(シアニン色素の励起波長)で露光すると、860nmでin vivo発光を引き起こし、予想通りに、フルオロフォア(CD)又は光感受性物質(HPPH)の有意な光退色は観察されなかった。
【0017】
PAAナノ粒子の有用性を調査するため3つの異なるアプローチを使用した。まずHPPHとシアニン色素(フルオロフォア)を種々の比で後負荷した(HPPH対CD:1:1;2:1;3:1及び4:1モル濃度)。手短に言えば、まずHPPHをPAAナノ粒子に後負荷した。フリーのHPPHをスピンろ過で除去してからシアニン色素を後負荷した。それを再びスピンろ過し、1%仔ウシ血清で数回洗浄し、濃度を測定した。Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおいて2:1製剤が最良の腫瘍イメージング及び長期腫瘍治癒をもたらした。この製剤は単一用量に治療用量のHPPH(0.47μモル/kg)及びイメージング用量のシアニン色素(0.27モル/kg)を含有し、これらは腫瘍のイメージング及び療法に単独で使用される成分と同様だったが、腫瘍選択性がずっと高い(HPPHの皮膚対腫瘍比は、ナノ粒子なしの場合の2:1の代わりに4:1だった)。同様の処理パラメーター下でOrmosilナノ粒子は有意に低い応答を示した(イメージング及びPDT、図示せず)。100kDa以上のカットオフ膜を備えたAmicon遠心フィルターユニットを介して仔ウシ血清水溶液で繰り返し洗浄することによって、PAAナノ粒子中の該薬物の安定性を確立し、ろ液中の薬物を分光光度的に測定した。ORMOSIL及びPAA製剤のin vivoPDT効率、それらの腫瘍イメージング可能性及び安定性(in vitro放出キネティクス)の比較を図2〜4に示す。これらの図は、腫瘍イメージング可能性を減じることなくほぼ8倍治療用量を減少させること及びHPPH-CD抱合体1に必要なTween-80製剤を逃れることでもPAAナノ粒子の利点を明白に実証している。第2アプローチでは、HPPH-CD抱合体1をPAAナノ粒子に後負荷した。これは確実に腫瘍イメージングを増強したが、治療用量がまだ10倍高かった(HPPH-CD抱合体と同様、図5)。第3アプローチでは、シアニン色素をまずPAAナノ粒子周囲に抱合させてからHPPHを後負荷した。この場合もやはり、HPPH-CD抱合体1に比べて、PAA製剤は高い腫瘍特異性(イメージング)を示した(図5)。
【0018】
(腫瘍選択性に及ぼすナノ粒子の効果)
高い選択性及びより長い波長を有する光感受性物質は、脳及び深在性腫瘍(特に乳腺、脳及び肺)にさらに好適な候補であり得る。医療分野で光線力学的療法(PDT)が進歩するためには光源及び送達システムの発展も非常に重要である。2つの異なる技術、すなわち間質内光送達及び腔内光送達が脳腫瘍の治療に使用されている。再発性脳腫瘍の患者に間質内PDTを使用する効能は、大多数の患者が2カ月の治療内で腫瘍が再発することを示した。しかし、後に治療の失敗は有効な光線治療の範囲外で起こったようであることが観察された。Changらは、Pierriaが腔内照射法で指摘した壊死の1.5cm深さと比較して、22名の神経膠腫患者で腫瘍細胞死の有効径が8mmであると報告した。治療していない腫瘍細胞数を最小限にするように腫瘍切除が重要であると考えられる。間質内PDT用のファイバーの定位移植では、脳浮腫を引き起こす腫脹及び相当量の壊死腫瘍を収容するための腔がない。しかしながら、脳浮腫はステロイド療法で容易に制御することができる。PDTで治療した脳腫瘍患者は、化学療法及び放射線療法に比べて確実に長期生存を示したが、アジュバント化学療法又は放射線療法で治療した神経膠腫患者はさらなる利益を示さないようである。我々の予備データに基づいて、αvβ3標的ナノ粒子は腫瘍選択性及びPDT成績を改善し得る。
【0019】
(PETイメージング及びPDT:PAAナノ粒子は124I-光感受性物質(PETイメージング剤)の肝臓取込みを減らし、かつ腫瘍選択性を向上させた)
124I標識光感受性物質2を用いた我々の初期調査は、そのin vivoPDT効率及び腫瘍104〜106(RIF、Colon26、U87、GL261、膵腫瘍異種移植片)及び腫瘍転移(同所性4T1(乳腺)腫瘍を有するBALB/cマウス)を検出する能力を示す(図6)。興味深いことに、18F FDGに比し、光感受性物質2は、18F FDG-PETが制限されたイメージング可能性をもたらす場合の当該腫瘍(例えば、脳、肺及び膵臓腫瘍)を含め、ほとんどの腫瘍において増強したコントラストを示した。体内分布の比較のためには図7を参照されたい。これは、乳腺腫瘍及び腫瘍転移のイメージング用の「二機能性薬剤(BIFUNCTIONAL AGENT)」としてのポルフィリンベース化合物の有用性を示す最初の報告である。ほとんどのナノ粒子と同様、PAAナノ粒子は肝臓及び脾臓内に蓄積する。ほとんどの臓器からのそれらのクリアランス速度は、Ormosilナノ粒子より有意に速く、それらは長期臓器毒性を示さない。腫瘍親和性ポルフィリンベース光感受性物質でさえ肝臓及び脾臓内で高い取込みを示すが、光にさらされるまで無毒である。該光感受性物質は臓器毒性なしに迅速(数日)に系から消え去る。しかし、T1/2が4.2日の124I-標識類似体2(肺、脳、乳腺及び膵臓腫瘍のPETイメージングで18F-FDGより優れる)のような放射性光感受性物質は、正常臓器に放射線障害をもたらす恐れがある。肝臓及び膵臓内におけるPAAナノ粒子の高い取込みの観察に基づき(下記)、我々は、PET剤を注射する前に臓器を無毒のPAAナノ粒子で飽和させると、取込み及び124Iイメージング剤による放射線障害を減少させ得ると仮定した。原理の証明のため、Colon26腫瘍を有するマウスにまずブランクPAAナノ粒子を注射(i.v.)し、24時間後に124I類似体をi.v.注射した(100〜50μCi)。注射後24、48及び72時間にマウスをイメージングし、図8にまとめた各時点で体内分布研究を行なった(72時間のイメージのみを示した)。
PAAナノ粒子の存在が、脳、肺及び膵臓腫瘍による腫瘍コントラストに顕著な差異を生じさせた。体内分布の比較のためには図7を参照されたい。
【0020】
(PAAナノ粒子は、F3-Cysを用いてヌクレオリンを標的にすることができる)
2種類のF3ペプチドを用いてF3標的ナノ粒子を調製した:その配列内で利用可能な8個のリジンの1つによってナノ粒子に抱合されたF3ペプチド及びシステインによってナノ粒子に抱合されたF3-Cysペプチド。システインキャッピングされたナノ粒子は非標的コントロールとして役立った。各タイプのナノ粒子の3つの25mgバッチは、それぞれ2.6、5.1及び7.7mgのF3(A3〜A5);それぞれ2.7、5.3及び8mgのF3-Cys(B3〜B5)、並びにそれぞれ0.29、0.58及び0.87mgのCys(C3〜C5)を含有した。ヌクレオリンポジティブMDA-MB-435細胞とin vitroでインキュベートしたPAAナノ粒子の蛍光強度を図9に示す。F3-Cys抱合ナノ粒子は、非標的ナノ粒子よりかなり高い結合効率を示すが、F3抱合ナノ粒子はそうでもない。システイン結合による抱合は、ヌクレオリンに対するF3ペプチドの特異性を保存する。加えて、ナノ粒子上の過剰のシステインは、光感受性物質が非特異性結合を最小限にするのを助ける。追加実験(図示せず)はB4ナノ粒子のために用いたF3-Cysペプチドの量(5.3mg/25mgのナノ粒子)が最適であることを示唆した。
【0021】
(後負荷PAAナノ粒子の光学特性)
HPPHとシアニン色素の両方を後負荷したPAAナノ粒子の吸収スペクトルは(0.5mg/mlでさえ)、凝集誘発広幅化がなく、光感受性物質と色素の両方に特徴的なシグナチャーを明白に示しながら、蛍光スペクトルは両成分由来の強いシグナルを示す。
(外表面にF3-Cysペプチドを有するHPPH抱合PAAナノ粒子は標的特異性を示す)
F3媒介特異性は、抱合されたHPPHの存在下で保持される。F3標的ナノ粒子は特異的に結合したが、非標的ナノ粒子は結合せず、F3媒介特異性が、抱合されたHPPHの存在下で保持されることを示唆している。F3標的ナノ粒子は核内に蓄積しなかった。660nmの光で細胞を活性化すると、F3標的ナノ粒子だけが細胞死滅をもたらした(図11)。共焦点蛍光顕微鏡によって、F3標的ナノ粒子の細胞内部移行を確認した。
(外表面にF3-Cysペプチドを有するHPPH抱合PAAナノ粒子は標的特異性を示す)
標的ナノ粒子の特異性を蛍光イメージングで試験した(図10)。F3標的HPPH抱合PAAナノ粒子は特異的にMDA-MB-435細胞(ヌクレオリンを発現している)に結合したが、非標的ナノ粒子は結合せず、抱合されたHPPHの存在下でF3媒介特異性が保持されることを示唆している。F3標的ナノ粒子は核内に蓄積しなかった。660nmの光で細胞を活性化すると、F3標的ナノ粒子だけが細胞死滅をもたらした(図11)。共焦点蛍光顕微鏡によって、F3標的ナノ粒子の細胞内部移行を確認した。
【0022】
(F3-Cysは9L神経膠腫細胞において標的特異性を示す)
F3-Cysと同様に、PAAナノ粒子上のペグ化形F3-Cys PEGも、9Lラット神経膠腫細胞(ヌクレオリンをも発現する)において顕著な標的特異性を示した(図11)(注:HPPHがローダミン成分と置き換わっている)。
(体内分布研究:PAAナノ粒子はHPPHの腫瘍取込みを増強する)
14C-HPPH及び14C-HPPH後負荷PAAナノ粒子の体内分布研究をColon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおいて注射後24、48及び72時間に行ない、結果を図12に要約した。図に示すように、PAAナノ粒子の存在が腫瘍の取込みを有意に増やし、他の臓器内における取込みを減少させた。
(PAAナノ粒子のサイズが腫瘍増強に顕著な差異をもたらした)
種々のサイズのナノ粒子を用いて、まずナノ粒子を注射してから標識化光感受性物質を投与するか又は標識化光感受性物質をPAAナノ粒に後負荷し、24、48及び72時間後にマウスのin vivo体内分布研究を行なって、124I-光感受性物質の体内分布を調査した。図13に要約した結果は、PAAナノ粒子のサイズが腫瘍増強に有意な影響をもたらすことを明白に示している。これらの製剤のin vivoPDT効率に関連する実験は現在進行中である。
【0023】
この発明は、乳腺腫瘍及び腫瘍転移のイメージング用の「二機能性薬剤」におけるポルフィリンベース化合物の有用性を示す。ほとんどのナノ粒子と同様、PAAナノ粒子は肝臓及び脾臓内に蓄積する。ほとんどの臓器からのそれらのクリアランス速度はOrmosilナノ粒子より有意に速く、それらは長期臓器毒性を示さない。腫瘍親和性ポルフィリンベース光感受性物質でさえ肝臓及び脾臓内で高い取込みを示すが、光にさらされるまで無毒である。該光感受性物質は臓器毒性なしに迅速(数日)に系から消え去る。しかし、T1/2が4.2日の124I標識類似体2(肺、脳、乳腺及び膵臓腫瘍のPETイメージングで18F-FDGより優れる)のような放射性光感受性物質は、正常臓器に放射線障害をもたらす可能性がある。肝臓及び膵臓内におけるPAAナノ粒子の高い取込みの観察に基づき(下記)、我々は、PET剤を注射する前に臓器を無毒のPAAナノ粒子で飽和させると、取込み及び124Iイメージング剤による放射線障害を減少させ得ると仮定した。原理の証明のため、Colon26腫瘍を有するマウスにまずブランクPAAナノ粒子を注射(i.v.)し、24時間後に124I類似体をi.v.注射した(100〜50μCi)。注射後24、48及び72時間にマウスをイメージングし、図8に要約した各時点で体内分布研究を行なった(72時間のイメージのみを示した)。
PAAナノ粒子の存在が腫瘍コントラストに顕著な差異を生じさせ、注射後24、48及び72時間に脾臓及び肝臓内における取込みが有意に減少し、かつ腫瘍の取込み/コントラストが改善した(3匹のマウス/群)。標識化光感受性物質を可変サイズのPAAナノ粒子に後負荷する同様の研究(腫瘍イメージング及びPDT効率)は、現在進行中である。
【技術分野】
【0001】
(連邦政府により資金提供を受けた研究開発に関する記載)
この発明は、国立衛生研究所が与えた助成金番号CA19358及びCA114053に従って米国政府の支援を受けて行なわれた。米国政府は本発明の一定の権利を有する。
(関連出願の相互参照)
この出願は、2009年10月21日に出願された米国仮出願第61/279,522号の米国特許法第119条(e)項(35 U.S.C §119(e))に従う優先権の利益を主張するものであり、該出願の開示全体を参照によって本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ナノ科学は、診断及び治療においてさらに高い精度を求めて最新医療科学と共に発展している。生物医学的用途のための治療薬又はイメージング剤を送達するナノプラットフォーム及びナノベクターは、癌の診断及び療法に有望である。療法例として、ナノ粒子含有PDT剤、葉酸受容体標的化、中性子捕獲用のホウ素含有デンドリマー及びナノ粒子指向温熱療法が挙げられる。
ナノ粒子は、光線力学的療法(PDT)で使用することを検討する場合には欠点があった。特に、一定のナノ粒子には、癌イメージング、PDT、化学センシング、安定性及び生分解に関する知識ベースがあまりない。(2)in-vivoで毒性がある。(3)表面修飾しなければ血漿循環時間が短く、かつ生分解及び生物学的排出速度が不安定又は制御不能である。(4)スケールアップに伴う問題があり、かつ長期間にわたる貯蔵安定性がない。また、(5)疎水性化合物の組み入れの相当な困難性、それらを「係留(anchored)」しなければ小さい親水性成分が漏出すること、及びヒドロゲル膨潤のためバルク腫瘍透過性についての未知の制限を含めたさらなる制限がある。
【0003】
癌治療の主な課題は、正常組織を残して悪性細胞を優先的に破壊することである。悪性疾患をうまく根絶するためには、悪性病変の早期検出及び選択的切除が重要である。光線力学的療法(PDT)は、臨床的に有効かつ未だ進化している、癌の局所選択的療法である。PDTの有用性は、多発型疾患用の種々の光感受性物質と共に実証されている。PDTは、早期及び後期段階の肺癌、閉塞性食道癌、バレット食道を伴う高度異形成、年齢関連筋肉変性及び日光角化症のためFDA認可されている。PDTは、腫瘍の破壊に関与すると考えられている光の吸収によって反応性一重項酸素を生じさせる腫瘍局在性光感受性物質を利用する。その後の酸化還元反応もスーパーオキシドアニオン、過酸化水素及びヒドロキシルラジカルを生成し、これらが腫瘍切除4に寄与する。非常に感受性な標的である特定の細胞内構造、例えばミトコンドリア等にかなり特異的に局在する光感受性物質が設計されている。腫瘍組織レベルでは、直接の光線力学的腫瘍細胞死滅、腫瘍支持脈管構造の破壊及びおそらく先天性及び順応性抗腫瘍免疫系が相互作用して悪性組織6を破壊する。隣接する正常組織ではなく、標的細胞(例えば腫瘍)を優先的に死滅させることがPDTにとっては必須であり、臨床適用で達成された優先的な標的障害が、該モダリティーの使用を支える主要な原動力である。PDTの成功は優先的に悪性細胞内に保持されるが、正常組織からは除去される腫瘍親和性(tumor-avid)分子の開発に頼っている。
【0004】
必要とされる光物理的特徴のある有効な光感受性物質を開発する努力においては、テトラピロールコア環を有する化合物が使用された。通常、合成の中間体としてクロロフィルa及びバクテリオクロロフィルaが用いられた。ピロフェオホルビド(pyropheophorbide)a(660nm)の一連のアルキルエーテル誘導体に関する広範なQSAR研究がHPPH(ヘキシルエーテル誘導体)の選択につながり、今や有望な第二相臨床試験段階にある。今や光感受性物質の開発は、高い一重項酸素生成能力のあるプルプリニミド(purpurinimide)(700nm)及びバクテリオプルプリニミド(780〜800nm)系列に伸展している。より長い波長の光は透過を高め、かつ腫瘍内における光送達に必要な光ファイバー数を最小限にするので、大きい深在性腫瘍を治療するためには長波長吸収が重要である。
薬剤が正常細胞を残しながら腫瘍細胞を破壊できるように、様々な努力をして腫瘍細胞を標的にしてきた。このようなシステムは特異的な受容体に頼っており、それ自体が受容体の位置に到達しなければならない。このことは、たとえその薬剤が標的細胞に到達できても、その特定の受容体が到達して結合しない限り、該薬剤は有効となり得ないので不便である。
腫瘍検出用の複数の相補的技術、例えば磁気共鳴、シンチグラフィー及び光学イメージングなどが活発な開発中である。各アプローチは特定の強み及び利点を有する。光学イメージングは、内在性分子(例えばヘモグロビン)又は投与された色素の吸収の測定、前臨床モデルにおける生物発光の検出、及び内在性フルオロフォアからの蛍光又は外因性標的分子からの蛍光の検出を包含する。長い波長で吸収された光の使命である蛍光は非常に感受性であり得る:0.6ナノ秒の寿命の典型的シアニン色素は1032個の光子/秒/モルまで発光できる。高感度の光検出器は、<103個の光子/秒をイメージングできる。従って低い励起力でさえ、低レベルの蛍光分子ビーコンを検出することができる。課題は、選択的に、かつ小さい腫瘍を検出するのに十分な高い濃度で色素を送達することである。腫瘍周囲の血管過多又は「漏出性」血管新生脈管をイメージングするためにICGのみを使用するのは、その制限された内因性の腫瘍選択性のため、期待はずれであった。腫瘍内で活性化される消光型でICGを投与するか、或いはICGを抗体又は小分子、例えば受容体リガンド等に連結するといった複数のアプローチを利用して光学プローブ局在化を改善した。最近の研究は、小さい生理活性分子の色素抱合体の開発に焦点を合わせて、標的組織への迅速な拡散を改善し、また組み合わせかつ高処理戦略を用いてこの新しいプローブを同定し、最適化し、そのin vivo安定性を向上させた。ICG誘導体のいくつかのペプチド類似体は適度な腫瘍特異性を有し、前臨床研究に入っている。しかし、これらの化合物は腫瘍の検出と治療の両方のために設計されていない。標的にできる部位の発現が不定かつ変動するin vivoで腫瘍の異質性に対処するターゲティング戦略を開発することが重要である。
【0005】
光感受性物質は一般的に蛍光を発し、それらのin vivo蛍光特性が肺、膀胱及び他の部位における早期段階の癌の検出に活用されている。早期疾患の治療又は深在性腫瘍のために蛍光を用いて活性化光を導くことができる。しかしながら、光感受性物質は以下のいくつかの理由のため腫瘍の検出に最適なフルオロフォアではない:(i)光感受性物質は低い蛍光量子収率を有する(特にバクテリオクロリンに関係がある長波長の光感受性物質)。有効な光感受性物質は、フルオロフォアとして設計された化合物、例えばシアニン色素などより蛍光効率(量子収率)が低い傾向がある。なぜなら蛍光として放たれた励起一重項状態エネルギーは、それよりむしろ三重項状態、ひいては分子酸素に転移されるからである。(ii)光感受性物質はストークシフト(Stokes shift)が小さい。ポルフィリンベースの光感受性物質は、長波長吸収帯と蛍光波長との間の差(ストークシフト)が相対的に小さく、このことが励起波長から蛍光を分離するのを技術的に困難にする。(iii)ほとんどの光感受性物質は相対的に短い蛍光波長(<800nm)を有するので、組織深部の検出に最適ではない。
腫瘍親和性光感受性物質を用いて、NIRフルオロフォアを腫瘍への標的にする二機能性抱合体を開発する試みが行なわれた。フルオロフォアの機能は、腫瘍位置と治療部位を可視化することである。光感受性物質の存在が、その後の腫瘍切除を可能にする。光学イメージングは、臨床医がPDTを行なって患者データをリアルタイムで連続的に取得かつ表示できるようにする。この「見て治療する(see and treat)」アプローチは、表在性癌をどこで治療するか、また光活性化光を送達する光ファイバーを用いて乳腺、肺及び脳などの部位内の深在性腫瘍にどうやって到達するかを決定し得る。HPPHがGd(III)DTPAに抱合された有望なPDT/MRI抱合体を開発するためにも同様のアプローチが用いられた。イメージング及び治療用量間の有意な差異のため、両モダリティーを含める単一分子の使用は問題がある。
【0006】
陽電子放出断層撮影(PET)は、放射標識分子イメージングプローブを非侵襲的に用いて、生きている対象20内の細胞機能レベルで生化学プロセスをイメージング及びアッセイできるようにする技術である。PETは、悪性腫瘍を特異的に標的とするのではなく、主に代謝マーカーとして使用されてきた。最近、悪性腫瘍を標的とするための放射標識ペプチドリガンドの使用が増えてきた。現在、PETは臨床ケアで重要であり、かつ腫瘍の低酸素、アポトーシス及び血管新生21の研究を含め、広範な用途を支える生物医学的研究で非常に重要な要素である。ターゲティングのためには、腫瘍内への薬剤の送達を増やすことができるので、長い循環時間が望ましいだろう。HPPH及びヨードベンジルフェオホルビドaは、血漿中の半減期が約25時間である。124Iの長い放射線半減期がフェオホルビドによく調和している:それは経時的に逐次イメージングをして正常組織からのクリアランスを可能にする。放射性ヨウ素を用いた標識技術は良い収率及び放射化学純度22であると詳細に明らかにされている。(18Fの100%陽電子放出に比べて)25%だけの存在量の陽電子をもたらす124Iの複雑な減衰スキームにかかわらず、124I標識抗体によるin vivo定量イメージングは、PET/CTスキャナーを用いて現実的な条件下でうまく行なわれている。種々の生物分子が124Iで標識されている。我々は、迅速かつ効率的に124Iを腫瘍親和性光感受性物質23-25に連結するカップリング反応を発明し、この抱合体を用いてマウス乳腺腫瘍及びその肺への転移を標的にしてイメージングした。臨床PETイメージの獲得は遅いことがあるが、組合せPET-CTスキャナーは、治療介入のリアルタイム誘導を可能にする。また、追跡における新たな進展は、PETデータセットによってリアルタイム介入を誘導できるようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の簡単な要約)
本発明は、光感受性物質とイメージング増強剤とを含むポリアクリル酸(PAA)ナノ粒子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によって、光感受性物質に包まれ(encaphotosensitizerulated)、後負荷され(post-loaded)、かつ共有結合された光感受性物質-ナノ粒子の治療及びイメージングの可能性を評価した。PAAナノ粒子では、後負荷効率がin vivo/in vitro治療及びイメージング可能性の向上を明らかにした。PAA粒子は、分子又は小さいナノ粒子の負荷量(payload)を容易に取り込めるコアマトリックスを有し、サイズ分布を良く制御しながら、10〜150nmのサイズでPAAナノ粒子を調製することができる。ナノ粒子の表面を容易に機能化して、ターゲティングリガンドの付着を許容することができ、両方とも光線力学的療法(PDT)中に生成される一重項酸素(1O2)に対して安定である。PAAナノ粒子、すなわちポリ(アクリル酸)ナノ粒子は、以下の利点を有する:(1)癌イメージング、PDT、化学センシング、安定性及び生分解に関する相対的に多くの知識ベース。(2)既知のin vivo毒性がない。(3)表面修飾せずに血漿循環時間が長いが、選択的架橋(重合中に逆ミセルの内側に導入される)のタイプ及び量によって生分解及び生物学的排出速度を制御できる。(4)400gの材料へのスケールアップのみならず、長期間にわたる貯蔵安定性も実証されている。疎水性化合物を組み入れることが相対的に困難であること、「係留」しなければ、小さい親水性成分が漏出するという制限があり、かつヒドロゲル膨潤のためバルク腫瘍透過性についての未知の制限がある。
【0009】
本発明によれば、光感受性物質は、PAAナノ粒子によって送達可能な治療薬としていくつかの非常に望ましい特性を有する。特に、(1)投与された標的化非光線力学的薬物のごくわずかだけが腫瘍部位に到達し、残りは全身毒性をもたらし得る。しかしながら、PDTは、光感受性物質は光の非存在下では不活性であり、光活性化がなければ無害であるという点で二重の選択性を与える。従って、ナノ粒子に含まれる光感受性物質を疾患部位で局所的に活性化することができる。(2)PDT効果は一重項酸素の生成に起因するが、本発明の化合物及び方法によれば、一重項酸素はナノ粒子のポアから容易に拡散し得る。従って、化学療法薬とは対照的に、光感受性物質に包まれた薬物のナノ粒子からの放出は必要ない。代わりに、血漿滞留時間が長い安定したナノ粒子を使用することができ、腫瘍に送達される薬物を増やす。(3)PDTは、光感受性物質の細胞内の位置に関係なく有効である。ミトコンドリアは一重項酸素の主な標的であり、リソソームに取り込まれた光感受性物質も活性であるが、光線力学的プロセスは、細胞質内におけるタンパク質分解酵素の放出及び光感受性物質の再分布によるリソソームの破裂をもたらす。ナノ粒子のプラットフォームは、PDTにとって以下の有意な利点をも提供する:(1)ナノ粒子内で高レベルのイメージング剤が光感受性物質と化合し得るので、大きいか又は表面下の腫瘍、或いは臨床的に明白でない初期の疾患に光活性化光線を方向づけるための光ファイバーの蛍光イメージ誘導配置によって、「見て治療する」アプローチを可能にする。(2)光感受性物質の選択的送達を増やすように、cRGD又はF3ペプチド等のターゲティング成分をナノ粒子に添加することができる。(3)ナノ粒子は、多数の光感受性物質を運ぶことができ、かつそれらの表面を修飾して、最適な血漿中薬物動態に望ましい親水性を与えることができる。このようにして、それらは高レベルの光感受性物質を腫瘍に送達することができ、腫瘍治癒に必要な光量を減らす。
【0010】
光感受性物質は、好ましくは下記構造式
【0011】
【化1】
【0012】
を有するテトラピロール系光感受性物質、
又はその医薬的に許容できる誘導体である。
式中、
R1及びR2はそれぞれ独立に置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、-C(O)Ra又は-COORa又はCH(CH3)(ORa)又は-CH(CH3)(O(CH2)nXRa)であり;
ここで、Raは水素、置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、置換若しくは無置換アルキニル、又は置換若しくは無置換シクロアルキルであり;R2は-CH=CH2、-CH(OR20)CH3、-C(O)Me、-C(=NR21)CH3又は-CH(NHR21)CH3であってよく;
Xはアリール又はヘテロアリール基であり;
nは0〜6の整数であり;
R20はメチル、ブチル、ヘプチル、ドデシル又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジルであり;かつ
R21は3,5,-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルであり;
R1a及びR2aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R3及びR4はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R3a及びR4aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R5は水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R6及びR6aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R7は共有結合、アルキレン、アザアルキル、又はアザアラアルキル又は=NR20であり、ここで、R20は3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル又は-CH2X-R1又は-YR1であり、ここでYはアリール又はヘテロアリール基であり;
R8及びR8aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R9及びR10はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、かつR9は-CH2CH2COOR2であってよく、ここで、R2は、任意に1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基であり;
各R1〜R10は、置換されている場合、Q(ここで、Qはアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロ(photosensitizereudohalo)である)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基であり;
各Qは独立に無置換であり、或いはQ1(ここで、Q1はアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基である。
【0013】
光感受性物質をナノ粒子中への組入れ前、ナノ粒子中への組入れ後にイメージ増強剤で抱合させてよく、或いは光感受性物質及び/又はイメージ増強剤をナノ粒子に化学結合させ、及び/又は光感受性物質及びイメージ増強剤の1つ以上を物理的にナノ粒子に結合させてよい。
イメージング増強剤は、基本的にいずれのイメージングプロセスのためであってもよく、例えば、該イメージング増強剤の例は、前述した本発明の背景及び背景技術として参照によって本明細書に援用した参考文献のリストで考察されている。
腫瘍ターゲティング成分及び腫瘍阻害成分又は腫瘍毒性成分などの他の薬剤をナノ粒子に組み入れてよいものと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A):RIF腫瘍を有するC3Hマウス(10匹のマウス/群)におけるHPPH-CD抱合体1の種々の薬物用量でのin vivo光感作効率。注射後24時間に腫瘍を光にさらした((135J/cm2/75mW/cm2)。(B):注射後24時間の生きたマウス内における抱合体1の局在化(薬物用量0.3μモル/kg)。光処理パラメーターは最適化されていない(進行中)[PAA粒子なし]。
【図2】PAAナノ粒子製剤(HPPHとシアニン色素(CD)を2対1比で後負荷した)による、Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスの全身イメージ。CD濃度を一定に保ち(0.3μモル/kg)、可変時点でイメージを得た。A=注射後24時間、B=注射後48時間及びC=注射後72時間(λex:785nm;λEm:830nm)。L=低、H=高。
【図3】PAA及びORMOSILナノ粒子に2:1及び4:1の比で後負荷したHPPH及びCDのin vivoPDT効率。注:HPPH用量:PAAナノ粒子中0.47μモル/kg、ORMOSILナノ粒子中0.78μモル/kg。
【図4】1%HSAによる数回の洗浄後のPAAナノ粒子からのHPPH及びCD(2:1比で後負荷した)の徐放。
【図5】HPPH-CD抱合体1と、PAAナノ粒子で抱合し/HPPHを後負荷したCDを用いた、Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスの可変時点でのin vivoイメージングの比較。ナノ粒子は腫瘍特異性がより高かった(マウス1)。
【図6】パネル1(4T1腫瘍):解剖した原発腫瘍(PT)及び転移腫瘍(MT)。パネル2(4T1腫瘍):解剖した原発腫瘍及び転移腫瘍のPETイメージング。パネル3(4T1腫瘍を有するBALB/Cマウス):全身PETイメージング。肺内の腫瘍の転移が明白に観察された。パネル4:肺転移のないマウスにおいて57Co源を用いた透過スキャンによって肺の位置が示されている。パネル5:(Colo-26(非転移性腫瘍)を有するBALB/Cマウス):PETによる全身イメージング。肺内には有意に蓄積することなく、腫瘍内での124I-光感受性物質の高い蓄積が明白に観察される(注射用量:100μCi)。T=腫瘍、PT=原発腫瘍;MT=転移腫瘍。
【図7】Colon26腫瘍を有するBALB/cマウス(3匹のマウス/群)における110分での18F-FDG(100μCi、半減期2時間)のin vivo体内分布及び48時間での124I-光感受性物質2(100μCi、半減期4.2日)のin vivo体内分布。腫瘍取込みは両薬剤で同様だった。しかし、正常組織内では124I-光感受性物質2より高いFDGの取込みが明白である。
【図8】Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおいてPAAナノ粒子がある場合とない場合のin vivoPETイメージング(注射後72時間)及び124I-光感受性物質2の体内分布(注射後24時間、48時間及び72時間)の比較(本分参照)。[PETイメージング剤2の体内分布:PAAなし、PAAあり]。
【図9】ヌクレオリンリッチなMDA-MB-435細胞系におけるF3標的(A系列)、F3-Cys標的(B系列)によって標的にされた細胞及び非標的ナノ粒子(F系列)の蛍光強度。
【図10】MDA-MB-435細胞と15分間インキュベートしたHPPH抱合PAAナノ粒子+又は-F3-Cysペプチドの蛍光(左)及び生/死細胞アッセイ(右)。
【図11】9L神経膠腫腫瘍細胞内におけるF3-Cysペプチドの標的特異性を示す共焦点イメージ。左:F3-Cys PEGローダミン-PAAナノ粒子(9L細胞)。右:PEGローダミン-PAAナノ粒子(9L細胞)。
【図12】Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおける14C標識HPPH、及びPAAナノ粒子に後負荷された14C標識HPPHのin vivo体内分布。14C標識光感受性物質(3.8μCi/0.2mL)を12匹のマウス/群に投与した。注射後24、48、72時間に3匹のマウス/時点を屠殺した。問題の臓器を除去して放射活性を測定した。生データをカウント/組織のグラム数に変換した。
【図13】可変サイズのPAAナノ粒子を用いたヨウ素化光感受性物質の、注射後24、48及び72時間におけるin vivo体内分布。左:30nmのPAAナノ粒子に後負荷された531-ME。右:150nmのPAAナノ粒子による前処理後の531-MEの体内分布。
【図14】HPPHの構造式を示す。
【図15】多機能性PAAナノ粒子の略図である。
【図16】本発明のPAAナノ粒子の製造方法の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
光感受性物質は一般的に蛍光を発し、それらのin vivo蛍光特性が肺、膀胱及び他の部位における早期段階の癌の検出に活用されている。早期疾患の治療又は深在性腫瘍のために蛍光を用いて活性化光を導くことができる。しかしながら、光感受性物質は以下のいくつかの理由のため腫瘍の検出に最適なフルオロフォアではない:(i)光感受性物質は低い蛍光量子収率を有する(特にバクテリオクロリンに関係がある長波長の光感受性物質)。有効な光感受性物質は、フルオロフォアとして設計された化合物、例えばシアニン色素などより蛍光効率(量子収率)が低い傾向がある。なぜなら蛍光として放たれた励起一重項状態エネルギーは、それよりむしろ三重項状態、ひいては分子酸素に転移されるからである。(ii)光感受性物質はストークシフトが小さい。ポルフィリンベースの光感受性物質は、長波長吸収帯と蛍光波長との間の差(ストークシフト)が相対的に小さく、このことが励起波長から蛍光を分離するのを技術的に困難にする。(iii)ほとんどの光感受性物質は相対的に短い傾向波長(<800nm)を有するので、組織深部の検出に最適ではない。
【0016】
我々は以前に、NIR吸収フルオロフォア(非腫瘍特異性シアニン色素)に抱合された一定の腫瘍親和性光感受性物質(例えば、HPPH)を、蛍光及び光線療法(PDT)による腫瘍イメージング用の二機能性薬剤として使用できることを示した。ここでは、HPPHをビヒクルとして用いてイメージング剤を腫瘍に送達した。このアプローチの制限は、抱合体がこれら2つのモダリティーに対して有意に異なる用量要求を示すことだった。イメージング用量は光線療法用量より約10倍低かった(図1)。この原因は、消光されている光感受性物質をフルオロフォアによって励起すると生成される一重項酸素(腫瘍の破壊に関与する重要な細胞毒)の一部が光感受性物質の光破壊をもたらすためかもしれない。腫瘍を780nm(シアニン色素の励起波長)で露光すると、860nmでin vivo発光を引き起こし、予想通りに、フルオロフォア(CD)又は光感受性物質(HPPH)の有意な光退色は観察されなかった。
【0017】
PAAナノ粒子の有用性を調査するため3つの異なるアプローチを使用した。まずHPPHとシアニン色素(フルオロフォア)を種々の比で後負荷した(HPPH対CD:1:1;2:1;3:1及び4:1モル濃度)。手短に言えば、まずHPPHをPAAナノ粒子に後負荷した。フリーのHPPHをスピンろ過で除去してからシアニン色素を後負荷した。それを再びスピンろ過し、1%仔ウシ血清で数回洗浄し、濃度を測定した。Colon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおいて2:1製剤が最良の腫瘍イメージング及び長期腫瘍治癒をもたらした。この製剤は単一用量に治療用量のHPPH(0.47μモル/kg)及びイメージング用量のシアニン色素(0.27モル/kg)を含有し、これらは腫瘍のイメージング及び療法に単独で使用される成分と同様だったが、腫瘍選択性がずっと高い(HPPHの皮膚対腫瘍比は、ナノ粒子なしの場合の2:1の代わりに4:1だった)。同様の処理パラメーター下でOrmosilナノ粒子は有意に低い応答を示した(イメージング及びPDT、図示せず)。100kDa以上のカットオフ膜を備えたAmicon遠心フィルターユニットを介して仔ウシ血清水溶液で繰り返し洗浄することによって、PAAナノ粒子中の該薬物の安定性を確立し、ろ液中の薬物を分光光度的に測定した。ORMOSIL及びPAA製剤のin vivoPDT効率、それらの腫瘍イメージング可能性及び安定性(in vitro放出キネティクス)の比較を図2〜4に示す。これらの図は、腫瘍イメージング可能性を減じることなくほぼ8倍治療用量を減少させること及びHPPH-CD抱合体1に必要なTween-80製剤を逃れることでもPAAナノ粒子の利点を明白に実証している。第2アプローチでは、HPPH-CD抱合体1をPAAナノ粒子に後負荷した。これは確実に腫瘍イメージングを増強したが、治療用量がまだ10倍高かった(HPPH-CD抱合体と同様、図5)。第3アプローチでは、シアニン色素をまずPAAナノ粒子周囲に抱合させてからHPPHを後負荷した。この場合もやはり、HPPH-CD抱合体1に比べて、PAA製剤は高い腫瘍特異性(イメージング)を示した(図5)。
【0018】
(腫瘍選択性に及ぼすナノ粒子の効果)
高い選択性及びより長い波長を有する光感受性物質は、脳及び深在性腫瘍(特に乳腺、脳及び肺)にさらに好適な候補であり得る。医療分野で光線力学的療法(PDT)が進歩するためには光源及び送達システムの発展も非常に重要である。2つの異なる技術、すなわち間質内光送達及び腔内光送達が脳腫瘍の治療に使用されている。再発性脳腫瘍の患者に間質内PDTを使用する効能は、大多数の患者が2カ月の治療内で腫瘍が再発することを示した。しかし、後に治療の失敗は有効な光線治療の範囲外で起こったようであることが観察された。Changらは、Pierriaが腔内照射法で指摘した壊死の1.5cm深さと比較して、22名の神経膠腫患者で腫瘍細胞死の有効径が8mmであると報告した。治療していない腫瘍細胞数を最小限にするように腫瘍切除が重要であると考えられる。間質内PDT用のファイバーの定位移植では、脳浮腫を引き起こす腫脹及び相当量の壊死腫瘍を収容するための腔がない。しかしながら、脳浮腫はステロイド療法で容易に制御することができる。PDTで治療した脳腫瘍患者は、化学療法及び放射線療法に比べて確実に長期生存を示したが、アジュバント化学療法又は放射線療法で治療した神経膠腫患者はさらなる利益を示さないようである。我々の予備データに基づいて、αvβ3標的ナノ粒子は腫瘍選択性及びPDT成績を改善し得る。
【0019】
(PETイメージング及びPDT:PAAナノ粒子は124I-光感受性物質(PETイメージング剤)の肝臓取込みを減らし、かつ腫瘍選択性を向上させた)
124I標識光感受性物質2を用いた我々の初期調査は、そのin vivoPDT効率及び腫瘍104〜106(RIF、Colon26、U87、GL261、膵腫瘍異種移植片)及び腫瘍転移(同所性4T1(乳腺)腫瘍を有するBALB/cマウス)を検出する能力を示す(図6)。興味深いことに、18F FDGに比し、光感受性物質2は、18F FDG-PETが制限されたイメージング可能性をもたらす場合の当該腫瘍(例えば、脳、肺及び膵臓腫瘍)を含め、ほとんどの腫瘍において増強したコントラストを示した。体内分布の比較のためには図7を参照されたい。これは、乳腺腫瘍及び腫瘍転移のイメージング用の「二機能性薬剤(BIFUNCTIONAL AGENT)」としてのポルフィリンベース化合物の有用性を示す最初の報告である。ほとんどのナノ粒子と同様、PAAナノ粒子は肝臓及び脾臓内に蓄積する。ほとんどの臓器からのそれらのクリアランス速度は、Ormosilナノ粒子より有意に速く、それらは長期臓器毒性を示さない。腫瘍親和性ポルフィリンベース光感受性物質でさえ肝臓及び脾臓内で高い取込みを示すが、光にさらされるまで無毒である。該光感受性物質は臓器毒性なしに迅速(数日)に系から消え去る。しかし、T1/2が4.2日の124I-標識類似体2(肺、脳、乳腺及び膵臓腫瘍のPETイメージングで18F-FDGより優れる)のような放射性光感受性物質は、正常臓器に放射線障害をもたらす恐れがある。肝臓及び膵臓内におけるPAAナノ粒子の高い取込みの観察に基づき(下記)、我々は、PET剤を注射する前に臓器を無毒のPAAナノ粒子で飽和させると、取込み及び124Iイメージング剤による放射線障害を減少させ得ると仮定した。原理の証明のため、Colon26腫瘍を有するマウスにまずブランクPAAナノ粒子を注射(i.v.)し、24時間後に124I類似体をi.v.注射した(100〜50μCi)。注射後24、48及び72時間にマウスをイメージングし、図8にまとめた各時点で体内分布研究を行なった(72時間のイメージのみを示した)。
PAAナノ粒子の存在が、脳、肺及び膵臓腫瘍による腫瘍コントラストに顕著な差異を生じさせた。体内分布の比較のためには図7を参照されたい。
【0020】
(PAAナノ粒子は、F3-Cysを用いてヌクレオリンを標的にすることができる)
2種類のF3ペプチドを用いてF3標的ナノ粒子を調製した:その配列内で利用可能な8個のリジンの1つによってナノ粒子に抱合されたF3ペプチド及びシステインによってナノ粒子に抱合されたF3-Cysペプチド。システインキャッピングされたナノ粒子は非標的コントロールとして役立った。各タイプのナノ粒子の3つの25mgバッチは、それぞれ2.6、5.1及び7.7mgのF3(A3〜A5);それぞれ2.7、5.3及び8mgのF3-Cys(B3〜B5)、並びにそれぞれ0.29、0.58及び0.87mgのCys(C3〜C5)を含有した。ヌクレオリンポジティブMDA-MB-435細胞とin vitroでインキュベートしたPAAナノ粒子の蛍光強度を図9に示す。F3-Cys抱合ナノ粒子は、非標的ナノ粒子よりかなり高い結合効率を示すが、F3抱合ナノ粒子はそうでもない。システイン結合による抱合は、ヌクレオリンに対するF3ペプチドの特異性を保存する。加えて、ナノ粒子上の過剰のシステインは、光感受性物質が非特異性結合を最小限にするのを助ける。追加実験(図示せず)はB4ナノ粒子のために用いたF3-Cysペプチドの量(5.3mg/25mgのナノ粒子)が最適であることを示唆した。
【0021】
(後負荷PAAナノ粒子の光学特性)
HPPHとシアニン色素の両方を後負荷したPAAナノ粒子の吸収スペクトルは(0.5mg/mlでさえ)、凝集誘発広幅化がなく、光感受性物質と色素の両方に特徴的なシグナチャーを明白に示しながら、蛍光スペクトルは両成分由来の強いシグナルを示す。
(外表面にF3-Cysペプチドを有するHPPH抱合PAAナノ粒子は標的特異性を示す)
F3媒介特異性は、抱合されたHPPHの存在下で保持される。F3標的ナノ粒子は特異的に結合したが、非標的ナノ粒子は結合せず、F3媒介特異性が、抱合されたHPPHの存在下で保持されることを示唆している。F3標的ナノ粒子は核内に蓄積しなかった。660nmの光で細胞を活性化すると、F3標的ナノ粒子だけが細胞死滅をもたらした(図11)。共焦点蛍光顕微鏡によって、F3標的ナノ粒子の細胞内部移行を確認した。
(外表面にF3-Cysペプチドを有するHPPH抱合PAAナノ粒子は標的特異性を示す)
標的ナノ粒子の特異性を蛍光イメージングで試験した(図10)。F3標的HPPH抱合PAAナノ粒子は特異的にMDA-MB-435細胞(ヌクレオリンを発現している)に結合したが、非標的ナノ粒子は結合せず、抱合されたHPPHの存在下でF3媒介特異性が保持されることを示唆している。F3標的ナノ粒子は核内に蓄積しなかった。660nmの光で細胞を活性化すると、F3標的ナノ粒子だけが細胞死滅をもたらした(図11)。共焦点蛍光顕微鏡によって、F3標的ナノ粒子の細胞内部移行を確認した。
【0022】
(F3-Cysは9L神経膠腫細胞において標的特異性を示す)
F3-Cysと同様に、PAAナノ粒子上のペグ化形F3-Cys PEGも、9Lラット神経膠腫細胞(ヌクレオリンをも発現する)において顕著な標的特異性を示した(図11)(注:HPPHがローダミン成分と置き換わっている)。
(体内分布研究:PAAナノ粒子はHPPHの腫瘍取込みを増強する)
14C-HPPH及び14C-HPPH後負荷PAAナノ粒子の体内分布研究をColon26腫瘍を有するBALB/cマウスにおいて注射後24、48及び72時間に行ない、結果を図12に要約した。図に示すように、PAAナノ粒子の存在が腫瘍の取込みを有意に増やし、他の臓器内における取込みを減少させた。
(PAAナノ粒子のサイズが腫瘍増強に顕著な差異をもたらした)
種々のサイズのナノ粒子を用いて、まずナノ粒子を注射してから標識化光感受性物質を投与するか又は標識化光感受性物質をPAAナノ粒に後負荷し、24、48及び72時間後にマウスのin vivo体内分布研究を行なって、124I-光感受性物質の体内分布を調査した。図13に要約した結果は、PAAナノ粒子のサイズが腫瘍増強に有意な影響をもたらすことを明白に示している。これらの製剤のin vivoPDT効率に関連する実験は現在進行中である。
【0023】
この発明は、乳腺腫瘍及び腫瘍転移のイメージング用の「二機能性薬剤」におけるポルフィリンベース化合物の有用性を示す。ほとんどのナノ粒子と同様、PAAナノ粒子は肝臓及び脾臓内に蓄積する。ほとんどの臓器からのそれらのクリアランス速度はOrmosilナノ粒子より有意に速く、それらは長期臓器毒性を示さない。腫瘍親和性ポルフィリンベース光感受性物質でさえ肝臓及び脾臓内で高い取込みを示すが、光にさらされるまで無毒である。該光感受性物質は臓器毒性なしに迅速(数日)に系から消え去る。しかし、T1/2が4.2日の124I標識類似体2(肺、脳、乳腺及び膵臓腫瘍のPETイメージングで18F-FDGより優れる)のような放射性光感受性物質は、正常臓器に放射線障害をもたらす可能性がある。肝臓及び膵臓内におけるPAAナノ粒子の高い取込みの観察に基づき(下記)、我々は、PET剤を注射する前に臓器を無毒のPAAナノ粒子で飽和させると、取込み及び124Iイメージング剤による放射線障害を減少させ得ると仮定した。原理の証明のため、Colon26腫瘍を有するマウスにまずブランクPAAナノ粒子を注射(i.v.)し、24時間後に124I類似体をi.v.注射した(100〜50μCi)。注射後24、48及び72時間にマウスをイメージングし、図8に要約した各時点で体内分布研究を行なった(72時間のイメージのみを示した)。
PAAナノ粒子の存在が腫瘍コントラストに顕著な差異を生じさせ、注射後24、48及び72時間に脾臓及び肝臓内における取込みが有意に減少し、かつ腫瘍の取込み/コントラストが改善した(3匹のマウス/群)。標識化光感受性物質を可変サイズのPAAナノ粒子に後負荷する同様の研究(腫瘍イメージング及びPDT効率)は、現在進行中である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラピロール系光感受性物質と、イメージング剤とを含むPAAナノ粒子を含んでなる組成物。
【請求項2】
前記テトラピロール系光感受性物質が、下記構造式:
【化1】
(式中、
R1及びR2はそれぞれ独立に置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、-C(O)Ra又は-COORa又はCH(CH3)(ORa)又は-CH(CH3)(O(CH2)nXRa)であり;
ここで、Raは水素、置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、置換若しくは無置換アルキニル、又は置換若しくは無置換シクロアルキルであり;R2は-CH=CH2、-CH(OR20)CH3、-C(O)Me、-C(=NR21)CH3又は-CH(NHR21)CH3であってよく;
Xはアリール又はヘテロアリール基であり;
nは0〜6の整数であり;
R20はメチル、ブチル、ヘプチル、ドデシル又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジルであり;かつ
R21は3,5,-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルであり;
R1a及びR2aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R3及びR4はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R3a及びR4aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R5は水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R6及びR6aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R7は共有結合、アルキレン、アザアルキル、又はアザアラアルキル又は=NR20であり、ここで、R20は3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル又は-CH2X-R1又は-YR1であり、ここでYはアリール又はヘテロアリール基であり;
R8及びR8aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R9及びR10はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、かつR9は-CH2CH2COOR2であってよく、ここで、R2は、任意に1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基であり;
各R1〜R10は、置換されている場合、Q(ここで、Qはアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基であり;
各Qは独立に無置換であり、或いはQ1(ここで、Q1はアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基である)
を有する光感受性物質又はその医薬的に許容できる誘導体である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記光感受性物質が、ナノ粒子形成後にナノ粒子上に後負荷される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イメージング剤がシアニン色素である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記イメージング剤が124I標識化合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記イメージング剤がPET、蛍光又はMRイメージング剤である、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子がターゲティング成分を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ターゲティング成分がペプチド、葉酸又は炭水化物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
以下の工程:
後負荷された光感受性物質を含むPAAナノ粒子を対象に注射する工程、
イメージング剤を注射する工程、及び
注射後24、48及び72時間に前記対象をイメージングする工程
を含むイメージング方法。
【請求項10】
予め調製されたPAAナノ粒子上に光感受性物質及びフルオロフォアを後負荷することによって、光感受性物質とイメージング剤とを含むPAAナノ粒子を製造する方法。
【請求項11】
前記光感受性物質が、下記構造式:
【化2】
(式中、
R1及びR2はそれぞれ独立に置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、-C(O)Ra又は-COORa又はCH(CH3)(ORa)又は-CH(CH3)(O(CH2)nXRa)であり;
ここで、Raは水素、置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、置換若しくは無置換アルキニル、又は置換若しくは無置換シクロアルキルであり;R2は-CH=CH2、-CH(OR20)CH3、-C(O)Me、-C(=NR21)CH3又は-CH(NHR21)CH3であってよく;
Xはアリール又はヘテロアリール基であり;
nは0〜6の整数であり;
R20はメチル、ブチル、ヘプチル、ドデシル又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジルであり;かつ
R21は3,5,-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルであり;
R1a及びR2aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R3及びR4はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R3a及びR4aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R5は水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R6及びR6aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R7は共有結合、アルキレン、アザアルキル、又はアザアラアルキル又は=NR20であり、ここで、R20は3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル又は-CH2X-R1又は-YR1であり、ここでYはアリール又はヘテロアリール基であり;
R8及びR8aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R9及びR10はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、かつR9は-CH2CH2COOR2であってよく、ここで、R2は、任意に1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基であり;
各R1〜R10は、置換されている場合、Q(ここで、Qはアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基であり;
各Qは独立に無置換であり、或いはQ1(ここで、Q1はアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基である)
を有する光感受性物質又はその医薬的に許容できる誘導体である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フルオロフォアをPAAナノ粒子に抱合させてからこのPAA粒子に光感受性物質を後負荷することによって、PAAナノ粒子を製造する方法。
【請求項1】
テトラピロール系光感受性物質と、イメージング剤とを含むPAAナノ粒子を含んでなる組成物。
【請求項2】
前記テトラピロール系光感受性物質が、下記構造式:
【化1】
(式中、
R1及びR2はそれぞれ独立に置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、-C(O)Ra又は-COORa又はCH(CH3)(ORa)又は-CH(CH3)(O(CH2)nXRa)であり;
ここで、Raは水素、置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、置換若しくは無置換アルキニル、又は置換若しくは無置換シクロアルキルであり;R2は-CH=CH2、-CH(OR20)CH3、-C(O)Me、-C(=NR21)CH3又は-CH(NHR21)CH3であってよく;
Xはアリール又はヘテロアリール基であり;
nは0〜6の整数であり;
R20はメチル、ブチル、ヘプチル、ドデシル又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジルであり;かつ
R21は3,5,-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルであり;
R1a及びR2aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R3及びR4はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R3a及びR4aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R5は水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R6及びR6aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R7は共有結合、アルキレン、アザアルキル、又はアザアラアルキル又は=NR20であり、ここで、R20は3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル又は-CH2X-R1又は-YR1であり、ここでYはアリール又はヘテロアリール基であり;
R8及びR8aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R9及びR10はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、かつR9は-CH2CH2COOR2であってよく、ここで、R2は、任意に1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基であり;
各R1〜R10は、置換されている場合、Q(ここで、Qはアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基であり;
各Qは独立に無置換であり、或いはQ1(ここで、Q1はアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基である)
を有する光感受性物質又はその医薬的に許容できる誘導体である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記光感受性物質が、ナノ粒子形成後にナノ粒子上に後負荷される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イメージング剤がシアニン色素である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記イメージング剤が124I標識化合物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記イメージング剤がPET、蛍光又はMRイメージング剤である、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記ナノ粒子がターゲティング成分を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ターゲティング成分がペプチド、葉酸又は炭水化物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
以下の工程:
後負荷された光感受性物質を含むPAAナノ粒子を対象に注射する工程、
イメージング剤を注射する工程、及び
注射後24、48及び72時間に前記対象をイメージングする工程
を含むイメージング方法。
【請求項10】
予め調製されたPAAナノ粒子上に光感受性物質及びフルオロフォアを後負荷することによって、光感受性物質とイメージング剤とを含むPAAナノ粒子を製造する方法。
【請求項11】
前記光感受性物質が、下記構造式:
【化2】
(式中、
R1及びR2はそれぞれ独立に置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、-C(O)Ra又は-COORa又はCH(CH3)(ORa)又は-CH(CH3)(O(CH2)nXRa)であり;
ここで、Raは水素、置換若しくは無置換アルキル、置換若しくは無置換アルケニル、置換若しくは無置換アルキニル、又は置換若しくは無置換シクロアルキルであり;R2は-CH=CH2、-CH(OR20)CH3、-C(O)Me、-C(=NR21)CH3又は-CH(NHR21)CH3であってよく;
Xはアリール又はヘテロアリール基であり;
nは0〜6の整数であり;
R20はメチル、ブチル、ヘプチル、ドデシル又は3,5-ビス(トリフルオロメチル)-ベンジルであり;かつ
R21は3,5,-ビス(トリフルオロメチル)ベンジルであり;
R1a及びR2aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R3及びR4はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R3a及びR4aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に共有結合を形成し;
R5は水素又は置換若しくは無置換アルキルであり;
R6及びR6aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R7は共有結合、アルキレン、アザアルキル、又はアザアラアルキル又は=NR20であり、ここで、R20は3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル又は-CH2X-R1又は-YR1であり、ここでYはアリール又はヘテロアリール基であり;
R8及びR8aはそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、或いは一緒に=Oを形成し;
R9及びR10はそれぞれ独立に水素又は置換若しくは無置換アルキルであり、かつR9は-CH2CH2COOR2であってよく、ここで、R2は、任意に1個以上のフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基であり;
各R1〜R10は、置換されている場合、Q(ここで、Qはアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基であり;
各Qは独立に無置換であり、或いはQ1(ここで、Q1はアルキル、ハロアルキル、ハロ、フォトセンシタイゼロイドハロである)、又は-COORb(ここで、Rbは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラアルキルである)、又はORc(ここで、Rcは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はCONRdRe(ここで、Rd及びReはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又はNRfRg(ここで、Rf及びRgはそれぞれ独立に水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)、又は=NRh(ここで、Rhは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又はアリールである)からそれぞれ独立に選択される1つ以上の置換基で置換され、或いはアミノ酸残基である)
を有する光感受性物質又はその医薬的に許容できる誘導体である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フルオロフォアをPAAナノ粒子に抱合させてからこのPAA粒子に光感受性物質を後負荷することによって、PAAナノ粒子を製造する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−508399(P2013−508399A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535372(P2012−535372)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053574
【国際公開番号】WO2011/050177
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(593108772)ヘルス リサーチ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Health Research,Inc.
【出願人】(506102112)ザ リサーチ ファンデーション オブ ステイト ユニヴァーシティ オブ ニューヨーク (3)
【出願人】(594201294)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (3)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THEUNIVERSITY OF MICHIGAN
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/053574
【国際公開番号】WO2011/050177
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(593108772)ヘルス リサーチ インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Health Research,Inc.
【出願人】(506102112)ザ リサーチ ファンデーション オブ ステイト ユニヴァーシティ オブ ニューヨーク (3)
【出願人】(594201294)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (3)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THEUNIVERSITY OF MICHIGAN
【Fターム(参考)】
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