腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ
【課題】 樹脂捩じりブラシを挿入抵抗の大きな部位に挿入する際に、応力集中による樹脂捩じりブラシと柄の取り付け部の腰砕けを防止し、比較的長い樹脂捩じりブラシの場合、部分的に応力変形の程度を調整可能とした樹脂捩じりブラシを提供する。
【解決手段】 横方向樹脂繊維が全体に配された樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化し軸部を構成する樹脂断面積を増大させると共に溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセット、あるいは、軸部を樹脂で被服、又は、ロート系状の部品で圧迫固定し、比較的長い樹脂捩じりブラシブラシ毛の任意の部位の横方向樹脂繊維の密度あるいは機械的強度を変化させた樹脂捩じりブラシ。
【解決手段】 横方向樹脂繊維が全体に配された樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化し軸部を構成する樹脂断面積を増大させると共に溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセット、あるいは、軸部を樹脂で被服、又は、ロート系状の部品で圧迫固定し、比較的長い樹脂捩じりブラシブラシ毛の任意の部位の横方向樹脂繊維の密度あるいは機械的強度を変化させた樹脂捩じりブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
歯牙表面と歯周組織に付着するプラークは、歯牙喪失の原因である虫歯と歯槽膿漏を発症する細菌の温床である。本発明は、特に歯周病の原因となる歯間部のプラークコントロールに最適な口腔清掃用具、あるいはまつ毛の化粧に使用するマスカラブラシなどや、湾曲した複雑な形状の細径のパイプなどの清掃研磨などに最適な小型の捩じりブラシ関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、歯牙喪失の二大疾患は、カリエスと歯周病であるが、特に歯周病に罹患して歯肉退縮を起こしているケースでは、一般的な歯ブラシによる歯間部のプラークコントロールには限界があり、そのため歯間ブラシなどの口腔清掃補助具が広く使用されている。その代表的な清掃補助器具歯間ブラシは金属よじり線に同心円状にナイロンブラシを巻きつけて配列した捩じりブラシであるが、歯間部挿入時に先端部が歯肉に当たると歯肉を傷つけることも多く、歯牙に先端部の金属があたると違和感を発現し、反復使用する場合、金属よじり線は金属疲労によって清掃作業中に破損する危険性が高く、日常のオーラルケアに定着させるためには数々の問題があった。このため前記諸問題を解決するために二本の樹脂材料それぞれと並行に熱融着樹脂繊維を配置し軸材に横方向繊維を挟み込み撚回し、捩じりブラシ形状を作りあげ軸部を構成する二本の樹脂材料相互とナイロンパイル等の横方向繊維を同時に融着すると共に、軸部樹脂材料の捩じり戻し応力をも溶着固定され、横方向繊維を挟み込んだ捩じりブラシ形状を保ちつつもブラシ毛の毛抜けを防止した細径樹脂捩じりブラシが開発されている。
【特許文献１】特許第３６１５７５２号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
前述の如く、歯間部のプラークコントロールのための樹脂歯間ブラシの有用性は高い。しかし、歯間部の口腔清掃のために鼓形歯間空隙に樹脂捩じりブラシを挿入する場合、狭い歯間部や複雑な歯根形状を有する迷路のような歯間部などの挿入抵抗の大きな部位に挿入する際に、先端部付近に加わる応力によって、特に樹脂捩じりブラシと柄の取り付け部に変形が起りやすい。また、比較的長い樹脂捩じりブラシにおいて、軸部は均一の素材構成であるために応力に対する変形度合いは概ね均一であるので、過度な変形を防止するために全体の剛性を確保しようとすればしなやかさが損なわれ、しなやかさを確保しようとすると全体の剛性が損なわれるので腰砕けを起し、挿入時の抵抗が比較的大きい部位への使用には問題があった。かかる事実に鑑み、挿入時の抵抗が比較的大きな部位へ挿入する際に、樹脂捩じりブラシと柄の取り付け部に過度な応力変形がおこることを防止し、可及的に樹脂捩じりブラシ全体が均一に変形して腰砕けすることがなく、比較的長い樹脂捩じりブラシの場合には先端部付近に応力がかかった場合、ブラシ部応力変形の位置と変形量を自在に設定可能とした樹脂捩じりブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
一般的に、樹脂ねじりブラシは弾力性、形状復元性、可撓性などを有する二本から複数本樹脂繊維間に複数の横方向樹脂繊維を撚回成形する撚糸の製法技術を応用したものであるが、製品として柄に装着するブラシの保持部分はブラシ毛を除去する必要があるために間欠的に横方向樹脂繊維を配置し撚回する方法か、あるいは全体に配されたブラシ毛を毛刈りする方法がとられる。しかしながら、間欠的に横方向樹脂繊維を配置し撚回成形した樹脂捩じりブラシでは、ブラシ毛のない部分は縦方向の樹脂繊維のみで構成されているために曲げ応力がブラシ部分に対して基本的に劣ることになり、毛刈りする方法は、軸部な材質自自体に可撓性を有するために保持回転させながら正確にブラシ毛を刈り込むことは困難である。
第一の発明は、このような樹脂ブラシのブラシ毛部と比較して曲げ応力が少ないブラシ毛を除去した部分の軸部の剛性を高めるために、ブラシ毛を毛刈りする方法ではなく、全体に配された樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化し、溶融時の圧接程度を変化させることによって、増大する軸部の樹脂断面積すなわち軸部の太さをコントロールすることによって柄などに取り付けるための保持部となる同部の応力変形量を調節可能とした樹脂捩じりブラシである。
第二の発明は、特に樹脂捩じりブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止するために第一の発明のように樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化する際に、溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセットした樹脂捩じりブラシである。
第３の発明は、ブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止するために第２の発明と同様にブラシ毛を樹脂捩じりブラシの端部と反対方向に傾斜するように軸部を樹脂で被服した樹脂捩じりブラシである。
第４の発明は、ブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止するために、第２、第３の発明と同様に樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を端部と反対方向に傾斜するようにロート系状の部品でブラシ毛を圧迫固定した樹脂捩じりブラシである。
第５の発明は、樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維の任意の部位の密度を変化させることによって、軸部および樹脂ブラシの剛性を部分的にコントロールすることを可能とした樹脂捩じりブラシである。
第６の発明は、樹脂捩じりブラシの任意の部位の横方向樹脂繊維に機械的強度の異なる樹脂繊維を用いることによって軸部および樹脂ブラシの剛性を部分的にコントロールした樹脂捩じりブラシである。
【発明の効果】
【０００５】
本発明の請求項１〜６に記載の樹脂捩じりブラシによれば、従来の樹脂捩じりブラシのように柄に装着するブラシの保持部分のブラシ毛を除去するために間欠的に横方向樹脂繊維を配置し撚回するか、あるいは全体に配されたブラシ毛を毛刈りする方法では、樹脂捩じりブラシ全体を均一に変形させることはできるが柄との接合部で応力集中を起こし腰砕けすることになり、比較的ブラシ部分の長い樹脂捩じりブラシの場合に望まれる部分的に軸部を含めたブラシの剛性の程度を調整する事は不可能であった。しかし、第一の発明のように、全体に配された樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化し軸部を構成する樹脂断面積を増大させることによって、樹脂ブラシのブラシ毛部と比較して柄などに接合するブラシ毛がない軸部の剛性を高めることが可能となると同時に毛刈りの工程を同時に行うことができる。また、軸部を溶融圧接する場合の圧接量をコントロールすることによって軸部の太さを自在に調節可能となるので断面積に比例した軸部の剛性も自在にコントロールできるので柄などに接合する軸部での腰砕けを防止することが可能となる。さらに軸部の腰砕けを防止する方法としては、
第二の発明のように第一の発明に於いてブラシ毛のない軸部の剛性を強化するために樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化工程で、溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセットすることによって、同部のブラシ毛を構成する横方向樹脂繊維が近接するブラシ毛を圧迫し樹脂捩じりブラシに側方応力がかかった場合、他の部位と比較して圧迫力がかった部分は他の部分と比較して側方応力に対して抵抗を示すためブラシ毛の溶融圧接により剛性を増した軸部とブラシ毛移行部の曲げ剛性を高めることになるので同部での腰砕けを防止することが可能となる。
第３の発明では、樹脂捩じりブラシのブラシ毛を樹脂捩じりブラシの端部と反対方向に傾斜するように柄などに接合する軸部をパイプ状の樹脂で被服することによって、第二の発明と同様にブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止することが可能となる。同様に、腰砕けを防止する方法としては第４の発明の様にロート系状の部品を軸部とブラシ毛移行部に装着し樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を端部と反対方向に圧迫固定し傾斜させれば、同部横方向樹脂繊維の反発力によって軸部とブラシ毛移行部の曲げ剛性を高めることができる。軸部とブラシ毛移行部の以外の部分の曲げ剛性をコントロールする方法としては第５の発明のように樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維の任意の部位の密度を変化させることによって、横方向樹脂繊維の密度の高い部位は、密度の低い部位に比較して、側方応力がかかった場合近接するブラシ毛繊維どうしが互いに反発しより高い曲げ剛性を発揮することになる。同様の効果を生み出す方法としては、第６の発明のように樹脂捩じりブラシの任意の部位の横方向樹脂繊維に機械的強度の異なる樹脂繊維を用いることによって、側方応力がかかった場合、機械的強度の高い横方向樹脂繊維で構成されるブラシ毛部分は、機械的強度の低い横方向樹脂繊維で構成される部分に比べてより高い曲げ剛性を発揮することになるので、機械的強度の異なる横方向樹脂繊維を任意の位置に配列すれば樹脂ブラシの剛性を自在にコントロールすることが可能となる。また、ここで言う横方向樹脂繊維は、樹脂材料に限らず金属材料を使用しても良いし、さらに樹脂材料の中に研磨塗粒などを内包あるいはバインドすることによって、軸部は形状復元性あるいは可撓性を有しながら、研磨及び清掃作業対象物の性状に従って高い研磨能力を備えた捩じりブラシを作り上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して説明する。
【０００７】
図１〜図６は発明を実施する製造過程及び形態の一例であって、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な捩じりブラシの構成は従来の樹脂捩じりブラシと同様である。
【実施例１】
【０００８】
図２に示すように樹脂ねじりブラシをＡ、Ｂ互いに逆方向に回転する熱圧着ローラー小７と熱圧着ローラー大８の間に挿入してやると樹脂にじりブラシは自らが回転しながら加熱された熱融着ローラーによって横方向樹脂繊維は軸部に溶融圧接され、熱溶着ローラーの溶着回転スピードの差により一定方向に排出される。このときの樹脂ねじりブラシの動きは、丁度指先で紙縒りを作る場合の薄紙と同じように一定時間ローラーのなかで回転しながらローラー間の距離に従って圧縮されると同時に加熱され軸部に圧接溶着され図１に示す様に軸部に横方向樹脂繊維が融着された樹脂ねじりブラシを形成する。この樹脂ねじりブラシは、ブラシ毛がある部分の軸部分と比較して圧接溶着された軸部分の樹脂断面積が増すので剛性も高いものとなり、この保持部分を柄などに挿入して用いる場合腰砕け起こすことを防止することが可能となる。このときの樹脂ねじりブラシの保持部分の長さはローラーの幅によって変更可能であるが、ベベルド熱圧着ローラー小９とベベルド熱圧着ローラー大１０のようなローラー面の形状を用いれば図３に示す様な保持部直近の横方向繊維を先端側に向けヒートセットした形状の樹脂捩じりブラシを形成することもできる。軸部分の剛性は軸部の断面積により増大することは前述のとおりであるが、ブラシ毛の部分は変形を受けた際に、保持部直近の横方向繊維を先端側に向けヒートセットすることによって近接するブラシ毛同士の弾力性により反発しあうことで、樹脂ねじりブラシブラシ毛部分の保持部直近側の剛性を高めることが可能となる。このときの横方向繊維のヒートセット角度はベベルド熱圧着ローラーのレベルの度合いによって以下様にも変更可能であり、ローラーの片側にベベル形状を付与し反対側に円形のカッターを装着してやればヒートセット同時に樹脂捩じりブラシを切断することも可能である。この時、ブラシ毛の材質によっては熱融着およびヒートセット部位に相当する部分をある程度毛刈りしておく必要がある場合も考えられる。加えて、何もこの工程は一回で行う必要はなく、ブラシ毛を寝かせる方向をコントロールするために圧着部がＶ字状の断面熱圧着ローラーでブラシ毛の傾斜方向を規定してから徐々に圧着部断面をＶ字状からＵ字状あるいは前記ベベル形状に移行させることによってブラシ毛を同一方向に倒れこませながら圧着することが可能である。これは、一枚の熱圧着ローラーの円周上にＶ字状断面からＵ字状、ベベル形状、あるいは平坦形状まで移行的に圧着面形状を変化させた一枚の熱圧着ローラーと置き換えることも可能である。また、熱圧着ローラーベベル部と平坦部を異なった材質で構成することによって熱容量に変化を与え、熱圧着ローラー直近のブラシ毛の変形を防止することができる。
軸部の熱融着は、熱融着ローラー以外に、ローラーと板状、あるいは前記Ｖ字状断面、Ｕ字状断面、台形形状の２枚の板状の熱融着板の間に樹脂捩じりブラシを挟み込んで、丁度掌で薄紙の紙縒りを作る時のように、二枚の熱融着板に挟んで転がすように成形しても良く、基本的に樹脂捩じりブラシの軸部を何らかの熱源で挟み込んで軸部自体を回転させながら圧接する機構であれば良いし軸部の切断の方法はレーザーやその他の熱原よって切断することも可能である。また、図４に示すように毛刈り又は横方向樹脂繊維を溶融圧着した軸部にパイプ状の被服樹脂５を装着することによって軸部の剛性をより一層増大させることが可能となり、さらに図３に示した樹脂ねじりブラシ−のヒートセット横方向樹脂繊維が逆方向に戻されることを防止することにも役立つ。軸部の樹脂によるパイプ状の被服は、樹脂捩じりブラシの軸部をブラシ毛直近まで柄に挿入した場合と同じ効果であるが、樹脂ブラシの材質と装着部の材質を異なったものとすることが可能となるので柄などにインサート成形をする場合好適であり、樹脂捩じりブラシ部分だけ使い捨て部品として使用する場合に被服材料に着色を施しカラーコード化することもできる。
加えて、より強力に保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫する方法としては、図５に示すように樹脂ねじりブラシブラシ毛部分の保持部直近側に圧迫パーツ６を装着する方法をとる。これにより保持部直近の横方向樹脂繊維は全体的にブラシ先端方向に向かって圧迫された形状となるため圧迫された樹脂繊維４はブラシ部分の変形を抑え先端部がしなやかでありながら腰砕けをすることのない樹脂ねじりブラシを提供することが可能となる。この圧迫パーツ６の横方向樹脂繊維側の任意の位置に櫛状に突起１４を出してやればブラシに回転力が加わった場合、柄と保持部の接合部分にかかる回転応力を半減することができるので接合部分の破損を防止することにつながる。これらの圧迫パーツ６の形状は、図７に示すように柄１３と樹脂ねじりブラシの接合部分の形状として置き換えることによって図１に示す様な樹脂ねじりブラシを前記圧迫パーツ６の形状のような接合部分を持つ柄１３に挿入固定することによって同様の機能を達成できる。これらの方法に加えて図６に示すのは、樹脂ねじりブラシのブラシ毛部分の任意の部位の横方向樹脂繊維の密度を上げることによって部分的に剛性を向上させた樹脂ねじりブラシである。同様にブラシ毛の部分は変形を受けた際に、近接するブラシ毛同士の弾力性により反発しあうことで剛性を増すことは前述のとおりであるが、反発しあう横方向樹脂繊維を樹脂ねじりブラシの先端、中央、後端部などにそれぞれの部分に機械的強度の異なる繊維を用いれば任意の部位の剛性を自在に変更することが可能となる。
【０００９】
この様に作製した細径樹脂捩じりブラシは、特願２０００−３８０６８６、特願２００１−２３０２０７の様なスライド運動、回転運動、あるいは回転スライド運動を発生する電動歯間清掃器具の運動軸、あるいは手用歯間清掃器具に接続し使用する。
【００１０】
尚、本発明の細径樹脂捩じりブラシは、上記した製造過程及び実施の形態に限定されるものではなく、圧迫パーツや熱圧着ローラー、被服樹脂の形状、及び溶融、融着時の加熱方法、あるいは構成部品に金属の使用など本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【００１１】
樹脂捩じりブラシは、軸部に金属を使用していないので、口腔清掃器具として歯周病の原因となる歯間部のプラークコントロールに歯間ブラシとして使用する場合、唾液と金属によるガルバニック電流による違和感が無く、金属アレルギーの心配もない。しかも構造的には、従来の捩じりブラシと同一でありながら、軸部は十分な可撓性を持たせた上で、屈曲変形した状態で使用した直後に形状復元性によって伸直性（形状復元性）を保ち、反復使用による応力疲労を起こすことが極めて少ないので破折することが少ない耐久性の高い歯間ブラシとなる。またこのような特徴を利用して、特願２０００−３８０６８６、特願２００１−２３０２０７の様なスライド運動、回転運動、あるいは回転スライド運動を発生する電動歯間清掃器具の運動軸の先端部ブラシとしての使用に好適である。
本発明はこの樹脂捩じりブラシの備える形状復元性や伸直性（形状復元性）をより生かすために特に腰砕けを起こしやすい柄との接合部分の強度を増し、さらに樹脂捩じりブラシのブラシ毛部分の剛性を自在にコントロール可能としたものであり、従来の樹脂捩じりブラシでは、困難であった複雑な形状部位に対する清掃、研磨あるいは塗装作業能力を一層高めるだけではなく、これまでの樹脂捩じりブラシに比較して、更に長い到達深度を得ることが可能となるので、口腔清掃器具としてはもちろんのこと、従来不可能であった入り組んだ形状の機械器具などの構成部品の隅々まで清掃研磨作業を行うことが可能となる。
また、従来のブラシ部全体が同一の剛性を持つ樹脂捩じりブラシとは異なり、任意の部位のブラシ軸部の剛性を自在にコントロールすることが可能であるので、釣り竿のように先端部に行くほどしなやかに変形する捩じりブラシを提供することも可能となるために、マスカラブラシなど繊細な作業にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】軸に横方向樹脂繊維を溶融圧接した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図２】熱圧着ローラーで樹脂捩じりブラシの軸に横方向樹脂繊維を溶融圧接する状況を示す図。
【図３】保持部直近の横方向繊維を先端側に向けヒートセットした樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図４】保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫するように軸部を樹脂被服した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図５】保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫パーツで圧縮した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図６】先端側から保持部直近に向けた横方向繊維の密度を増した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図７】樹脂捩じりブラシ保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫するロート形状取り付け口を持つ歯間ブラシを示す断面図。
【符号の説明】
【００１３】
１、横方向樹脂繊維
２、熱融着軸部樹脂繊維
３、溶融圧接された樹脂繊維
４、圧迫された樹脂繊維
５、被服樹脂
６、圧迫パーツ
７、熱圧着ローラー小
８、熱圧着ローラー大
９、ベベルド熱圧着ローラー小
１０、ベベルド熱圧着ローラー大
１１、ローラー回転軸
１２、樹脂捩じりブラシ
１３、柄
１４、突起
【技術分野】
【０００１】
歯牙表面と歯周組織に付着するプラークは、歯牙喪失の原因である虫歯と歯槽膿漏を発症する細菌の温床である。本発明は、特に歯周病の原因となる歯間部のプラークコントロールに最適な口腔清掃用具、あるいはまつ毛の化粧に使用するマスカラブラシなどや、湾曲した複雑な形状の細径のパイプなどの清掃研磨などに最適な小型の捩じりブラシ関するものである。
【背景技術】
【０００２】
一般に、歯牙喪失の二大疾患は、カリエスと歯周病であるが、特に歯周病に罹患して歯肉退縮を起こしているケースでは、一般的な歯ブラシによる歯間部のプラークコントロールには限界があり、そのため歯間ブラシなどの口腔清掃補助具が広く使用されている。その代表的な清掃補助器具歯間ブラシは金属よじり線に同心円状にナイロンブラシを巻きつけて配列した捩じりブラシであるが、歯間部挿入時に先端部が歯肉に当たると歯肉を傷つけることも多く、歯牙に先端部の金属があたると違和感を発現し、反復使用する場合、金属よじり線は金属疲労によって清掃作業中に破損する危険性が高く、日常のオーラルケアに定着させるためには数々の問題があった。このため前記諸問題を解決するために二本の樹脂材料それぞれと並行に熱融着樹脂繊維を配置し軸材に横方向繊維を挟み込み撚回し、捩じりブラシ形状を作りあげ軸部を構成する二本の樹脂材料相互とナイロンパイル等の横方向繊維を同時に融着すると共に、軸部樹脂材料の捩じり戻し応力をも溶着固定され、横方向繊維を挟み込んだ捩じりブラシ形状を保ちつつもブラシ毛の毛抜けを防止した細径樹脂捩じりブラシが開発されている。
【特許文献１】特許第３６１５７５２号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
前述の如く、歯間部のプラークコントロールのための樹脂歯間ブラシの有用性は高い。しかし、歯間部の口腔清掃のために鼓形歯間空隙に樹脂捩じりブラシを挿入する場合、狭い歯間部や複雑な歯根形状を有する迷路のような歯間部などの挿入抵抗の大きな部位に挿入する際に、先端部付近に加わる応力によって、特に樹脂捩じりブラシと柄の取り付け部に変形が起りやすい。また、比較的長い樹脂捩じりブラシにおいて、軸部は均一の素材構成であるために応力に対する変形度合いは概ね均一であるので、過度な変形を防止するために全体の剛性を確保しようとすればしなやかさが損なわれ、しなやかさを確保しようとすると全体の剛性が損なわれるので腰砕けを起し、挿入時の抵抗が比較的大きい部位への使用には問題があった。かかる事実に鑑み、挿入時の抵抗が比較的大きな部位へ挿入する際に、樹脂捩じりブラシと柄の取り付け部に過度な応力変形がおこることを防止し、可及的に樹脂捩じりブラシ全体が均一に変形して腰砕けすることがなく、比較的長い樹脂捩じりブラシの場合には先端部付近に応力がかかった場合、ブラシ部応力変形の位置と変形量を自在に設定可能とした樹脂捩じりブラシを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
一般的に、樹脂ねじりブラシは弾力性、形状復元性、可撓性などを有する二本から複数本樹脂繊維間に複数の横方向樹脂繊維を撚回成形する撚糸の製法技術を応用したものであるが、製品として柄に装着するブラシの保持部分はブラシ毛を除去する必要があるために間欠的に横方向樹脂繊維を配置し撚回する方法か、あるいは全体に配されたブラシ毛を毛刈りする方法がとられる。しかしながら、間欠的に横方向樹脂繊維を配置し撚回成形した樹脂捩じりブラシでは、ブラシ毛のない部分は縦方向の樹脂繊維のみで構成されているために曲げ応力がブラシ部分に対して基本的に劣ることになり、毛刈りする方法は、軸部な材質自自体に可撓性を有するために保持回転させながら正確にブラシ毛を刈り込むことは困難である。
第一の発明は、このような樹脂ブラシのブラシ毛部と比較して曲げ応力が少ないブラシ毛を除去した部分の軸部の剛性を高めるために、ブラシ毛を毛刈りする方法ではなく、全体に配された樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化し、溶融時の圧接程度を変化させることによって、増大する軸部の樹脂断面積すなわち軸部の太さをコントロールすることによって柄などに取り付けるための保持部となる同部の応力変形量を調節可能とした樹脂捩じりブラシである。
第二の発明は、特に樹脂捩じりブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止するために第一の発明のように樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化する際に、溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセットした樹脂捩じりブラシである。
第３の発明は、ブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止するために第２の発明と同様にブラシ毛を樹脂捩じりブラシの端部と反対方向に傾斜するように軸部を樹脂で被服した樹脂捩じりブラシである。
第４の発明は、ブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止するために、第２、第３の発明と同様に樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を端部と反対方向に傾斜するようにロート系状の部品でブラシ毛を圧迫固定した樹脂捩じりブラシである。
第５の発明は、樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維の任意の部位の密度を変化させることによって、軸部および樹脂ブラシの剛性を部分的にコントロールすることを可能とした樹脂捩じりブラシである。
第６の発明は、樹脂捩じりブラシの任意の部位の横方向樹脂繊維に機械的強度の異なる樹脂繊維を用いることによって軸部および樹脂ブラシの剛性を部分的にコントロールした樹脂捩じりブラシである。
【発明の効果】
【０００５】
本発明の請求項１〜６に記載の樹脂捩じりブラシによれば、従来の樹脂捩じりブラシのように柄に装着するブラシの保持部分のブラシ毛を除去するために間欠的に横方向樹脂繊維を配置し撚回するか、あるいは全体に配されたブラシ毛を毛刈りする方法では、樹脂捩じりブラシ全体を均一に変形させることはできるが柄との接合部で応力集中を起こし腰砕けすることになり、比較的ブラシ部分の長い樹脂捩じりブラシの場合に望まれる部分的に軸部を含めたブラシの剛性の程度を調整する事は不可能であった。しかし、第一の発明のように、全体に配された樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化し軸部を構成する樹脂断面積を増大させることによって、樹脂ブラシのブラシ毛部と比較して柄などに接合するブラシ毛がない軸部の剛性を高めることが可能となると同時に毛刈りの工程を同時に行うことができる。また、軸部を溶融圧接する場合の圧接量をコントロールすることによって軸部の太さを自在に調節可能となるので断面積に比例した軸部の剛性も自在にコントロールできるので柄などに接合する軸部での腰砕けを防止することが可能となる。さらに軸部の腰砕けを防止する方法としては、
第二の発明のように第一の発明に於いてブラシ毛のない軸部の剛性を強化するために樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化工程で、溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセットすることによって、同部のブラシ毛を構成する横方向樹脂繊維が近接するブラシ毛を圧迫し樹脂捩じりブラシに側方応力がかかった場合、他の部位と比較して圧迫力がかった部分は他の部分と比較して側方応力に対して抵抗を示すためブラシ毛の溶融圧接により剛性を増した軸部とブラシ毛移行部の曲げ剛性を高めることになるので同部での腰砕けを防止することが可能となる。
第３の発明では、樹脂捩じりブラシのブラシ毛を樹脂捩じりブラシの端部と反対方向に傾斜するように柄などに接合する軸部をパイプ状の樹脂で被服することによって、第二の発明と同様にブラシと柄の接合部分の腰砕けを防止することが可能となる。同様に、腰砕けを防止する方法としては第４の発明の様にロート系状の部品を軸部とブラシ毛移行部に装着し樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を端部と反対方向に圧迫固定し傾斜させれば、同部横方向樹脂繊維の反発力によって軸部とブラシ毛移行部の曲げ剛性を高めることができる。軸部とブラシ毛移行部の以外の部分の曲げ剛性をコントロールする方法としては第５の発明のように樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維の任意の部位の密度を変化させることによって、横方向樹脂繊維の密度の高い部位は、密度の低い部位に比較して、側方応力がかかった場合近接するブラシ毛繊維どうしが互いに反発しより高い曲げ剛性を発揮することになる。同様の効果を生み出す方法としては、第６の発明のように樹脂捩じりブラシの任意の部位の横方向樹脂繊維に機械的強度の異なる樹脂繊維を用いることによって、側方応力がかかった場合、機械的強度の高い横方向樹脂繊維で構成されるブラシ毛部分は、機械的強度の低い横方向樹脂繊維で構成される部分に比べてより高い曲げ剛性を発揮することになるので、機械的強度の異なる横方向樹脂繊維を任意の位置に配列すれば樹脂ブラシの剛性を自在にコントロールすることが可能となる。また、ここで言う横方向樹脂繊維は、樹脂材料に限らず金属材料を使用しても良いし、さらに樹脂材料の中に研磨塗粒などを内包あるいはバインドすることによって、軸部は形状復元性あるいは可撓性を有しながら、研磨及び清掃作業対象物の性状に従って高い研磨能力を備えた捩じりブラシを作り上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
以下、本発明の実施例を、添付図面を参照して説明する。
【０００７】
図１〜図６は発明を実施する製造過程及び形態の一例であって、図中、図と同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な捩じりブラシの構成は従来の樹脂捩じりブラシと同様である。
【実施例１】
【０００８】
図２に示すように樹脂ねじりブラシをＡ、Ｂ互いに逆方向に回転する熱圧着ローラー小７と熱圧着ローラー大８の間に挿入してやると樹脂にじりブラシは自らが回転しながら加熱された熱融着ローラーによって横方向樹脂繊維は軸部に溶融圧接され、熱溶着ローラーの溶着回転スピードの差により一定方向に排出される。このときの樹脂ねじりブラシの動きは、丁度指先で紙縒りを作る場合の薄紙と同じように一定時間ローラーのなかで回転しながらローラー間の距離に従って圧縮されると同時に加熱され軸部に圧接溶着され図１に示す様に軸部に横方向樹脂繊維が融着された樹脂ねじりブラシを形成する。この樹脂ねじりブラシは、ブラシ毛がある部分の軸部分と比較して圧接溶着された軸部分の樹脂断面積が増すので剛性も高いものとなり、この保持部分を柄などに挿入して用いる場合腰砕け起こすことを防止することが可能となる。このときの樹脂ねじりブラシの保持部分の長さはローラーの幅によって変更可能であるが、ベベルド熱圧着ローラー小９とベベルド熱圧着ローラー大１０のようなローラー面の形状を用いれば図３に示す様な保持部直近の横方向繊維を先端側に向けヒートセットした形状の樹脂捩じりブラシを形成することもできる。軸部分の剛性は軸部の断面積により増大することは前述のとおりであるが、ブラシ毛の部分は変形を受けた際に、保持部直近の横方向繊維を先端側に向けヒートセットすることによって近接するブラシ毛同士の弾力性により反発しあうことで、樹脂ねじりブラシブラシ毛部分の保持部直近側の剛性を高めることが可能となる。このときの横方向繊維のヒートセット角度はベベルド熱圧着ローラーのレベルの度合いによって以下様にも変更可能であり、ローラーの片側にベベル形状を付与し反対側に円形のカッターを装着してやればヒートセット同時に樹脂捩じりブラシを切断することも可能である。この時、ブラシ毛の材質によっては熱融着およびヒートセット部位に相当する部分をある程度毛刈りしておく必要がある場合も考えられる。加えて、何もこの工程は一回で行う必要はなく、ブラシ毛を寝かせる方向をコントロールするために圧着部がＶ字状の断面熱圧着ローラーでブラシ毛の傾斜方向を規定してから徐々に圧着部断面をＶ字状からＵ字状あるいは前記ベベル形状に移行させることによってブラシ毛を同一方向に倒れこませながら圧着することが可能である。これは、一枚の熱圧着ローラーの円周上にＶ字状断面からＵ字状、ベベル形状、あるいは平坦形状まで移行的に圧着面形状を変化させた一枚の熱圧着ローラーと置き換えることも可能である。また、熱圧着ローラーベベル部と平坦部を異なった材質で構成することによって熱容量に変化を与え、熱圧着ローラー直近のブラシ毛の変形を防止することができる。
軸部の熱融着は、熱融着ローラー以外に、ローラーと板状、あるいは前記Ｖ字状断面、Ｕ字状断面、台形形状の２枚の板状の熱融着板の間に樹脂捩じりブラシを挟み込んで、丁度掌で薄紙の紙縒りを作る時のように、二枚の熱融着板に挟んで転がすように成形しても良く、基本的に樹脂捩じりブラシの軸部を何らかの熱源で挟み込んで軸部自体を回転させながら圧接する機構であれば良いし軸部の切断の方法はレーザーやその他の熱原よって切断することも可能である。また、図４に示すように毛刈り又は横方向樹脂繊維を溶融圧着した軸部にパイプ状の被服樹脂５を装着することによって軸部の剛性をより一層増大させることが可能となり、さらに図３に示した樹脂ねじりブラシ−のヒートセット横方向樹脂繊維が逆方向に戻されることを防止することにも役立つ。軸部の樹脂によるパイプ状の被服は、樹脂捩じりブラシの軸部をブラシ毛直近まで柄に挿入した場合と同じ効果であるが、樹脂ブラシの材質と装着部の材質を異なったものとすることが可能となるので柄などにインサート成形をする場合好適であり、樹脂捩じりブラシ部分だけ使い捨て部品として使用する場合に被服材料に着色を施しカラーコード化することもできる。
加えて、より強力に保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫する方法としては、図５に示すように樹脂ねじりブラシブラシ毛部分の保持部直近側に圧迫パーツ６を装着する方法をとる。これにより保持部直近の横方向樹脂繊維は全体的にブラシ先端方向に向かって圧迫された形状となるため圧迫された樹脂繊維４はブラシ部分の変形を抑え先端部がしなやかでありながら腰砕けをすることのない樹脂ねじりブラシを提供することが可能となる。この圧迫パーツ６の横方向樹脂繊維側の任意の位置に櫛状に突起１４を出してやればブラシに回転力が加わった場合、柄と保持部の接合部分にかかる回転応力を半減することができるので接合部分の破損を防止することにつながる。これらの圧迫パーツ６の形状は、図７に示すように柄１３と樹脂ねじりブラシの接合部分の形状として置き換えることによって図１に示す様な樹脂ねじりブラシを前記圧迫パーツ６の形状のような接合部分を持つ柄１３に挿入固定することによって同様の機能を達成できる。これらの方法に加えて図６に示すのは、樹脂ねじりブラシのブラシ毛部分の任意の部位の横方向樹脂繊維の密度を上げることによって部分的に剛性を向上させた樹脂ねじりブラシである。同様にブラシ毛の部分は変形を受けた際に、近接するブラシ毛同士の弾力性により反発しあうことで剛性を増すことは前述のとおりであるが、反発しあう横方向樹脂繊維を樹脂ねじりブラシの先端、中央、後端部などにそれぞれの部分に機械的強度の異なる繊維を用いれば任意の部位の剛性を自在に変更することが可能となる。
【０００９】
この様に作製した細径樹脂捩じりブラシは、特願２０００−３８０６８６、特願２００１−２３０２０７の様なスライド運動、回転運動、あるいは回転スライド運動を発生する電動歯間清掃器具の運動軸、あるいは手用歯間清掃器具に接続し使用する。
【００１０】
尚、本発明の細径樹脂捩じりブラシは、上記した製造過程及び実施の形態に限定されるものではなく、圧迫パーツや熱圧着ローラー、被服樹脂の形状、及び溶融、融着時の加熱方法、あるいは構成部品に金属の使用など本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【００１１】
樹脂捩じりブラシは、軸部に金属を使用していないので、口腔清掃器具として歯周病の原因となる歯間部のプラークコントロールに歯間ブラシとして使用する場合、唾液と金属によるガルバニック電流による違和感が無く、金属アレルギーの心配もない。しかも構造的には、従来の捩じりブラシと同一でありながら、軸部は十分な可撓性を持たせた上で、屈曲変形した状態で使用した直後に形状復元性によって伸直性（形状復元性）を保ち、反復使用による応力疲労を起こすことが極めて少ないので破折することが少ない耐久性の高い歯間ブラシとなる。またこのような特徴を利用して、特願２０００−３８０６８６、特願２００１−２３０２０７の様なスライド運動、回転運動、あるいは回転スライド運動を発生する電動歯間清掃器具の運動軸の先端部ブラシとしての使用に好適である。
本発明はこの樹脂捩じりブラシの備える形状復元性や伸直性（形状復元性）をより生かすために特に腰砕けを起こしやすい柄との接合部分の強度を増し、さらに樹脂捩じりブラシのブラシ毛部分の剛性を自在にコントロール可能としたものであり、従来の樹脂捩じりブラシでは、困難であった複雑な形状部位に対する清掃、研磨あるいは塗装作業能力を一層高めるだけではなく、これまでの樹脂捩じりブラシに比較して、更に長い到達深度を得ることが可能となるので、口腔清掃器具としてはもちろんのこと、従来不可能であった入り組んだ形状の機械器具などの構成部品の隅々まで清掃研磨作業を行うことが可能となる。
また、従来のブラシ部全体が同一の剛性を持つ樹脂捩じりブラシとは異なり、任意の部位のブラシ軸部の剛性を自在にコントロールすることが可能であるので、釣り竿のように先端部に行くほどしなやかに変形する捩じりブラシを提供することも可能となるために、マスカラブラシなど繊細な作業にも好適である。
【図面の簡単な説明】
【００１２】
【図１】軸に横方向樹脂繊維を溶融圧接した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図２】熱圧着ローラーで樹脂捩じりブラシの軸に横方向樹脂繊維を溶融圧接する状況を示す図。
【図３】保持部直近の横方向繊維を先端側に向けヒートセットした樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図４】保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫するように軸部を樹脂被服した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図５】保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫パーツで圧縮した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図６】先端側から保持部直近に向けた横方向繊維の密度を増した樹脂捩じりブラシを示す断面図。
【図７】樹脂捩じりブラシ保持部直近の横方向繊維を先端側に向け圧迫するロート形状取り付け口を持つ歯間ブラシを示す断面図。
【符号の説明】
【００１３】
１、横方向樹脂繊維
２、熱融着軸部樹脂繊維
３、溶融圧接された樹脂繊維
４、圧迫された樹脂繊維
５、被服樹脂
６、圧迫パーツ
７、熱圧着ローラー小
８、熱圧着ローラー大
９、ベベルド熱圧着ローラー小
１０、ベベルド熱圧着ローラー大
１１、ローラー回転軸
１２、樹脂捩じりブラシ
１３、柄
１４、突起
【特許請求の範囲】
【請求項１】
弾力性、形状復元性、可撓性などを有する二本から複数本樹脂繊維間に複数の横方向樹脂繊維を撚回成形した螺旋状ブラシ毛を有する樹脂捩じりブラシであって、
前記樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化した事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項２】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシのブラシ毛を軸部に溶融圧接一体化する際に溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセットしたことを特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項３】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を圧迫して先端方向に傾斜するように軸部を樹脂で被服した事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項４】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を圧迫して先端方向に傾斜するようにロート系状の部品で固定した事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項５】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維の密度を部分的に変化させた事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項６】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維を部分的に機械的強度の異なる樹脂繊維を用いることを特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項１】
弾力性、形状復元性、可撓性などを有する二本から複数本樹脂繊維間に複数の横方向樹脂繊維を撚回成形した螺旋状ブラシ毛を有する樹脂捩じりブラシであって、
前記樹脂ねじりブラシのブラシ毛の一部を軸部に溶融圧接一体化した事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項２】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシのブラシ毛を軸部に溶融圧接一体化する際に溶融圧接部直近のブラシ毛が前記溶融圧接部と反対方向に傾斜するようヒートセットしたことを特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項３】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を圧迫して先端方向に傾斜するように軸部を樹脂で被服した事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項４】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの端部ブラシ毛を圧迫して先端方向に傾斜するようにロート系状の部品で固定した事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項５】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維の密度を部分的に変化させた事を特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【請求項６】
請求項１に記載の樹脂捩じりブラシの横方向樹脂繊維を部分的に機械的強度の異なる樹脂繊維を用いることを特徴とする腰砕けを防止した樹脂捩じりブラシ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００８−１７８６２９（Ｐ２００８−１７８６２９Ａ）
【公開日】平成２０年８月７日（２００８．８．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−１６０４５（Ｐ２００７−１６０４５）
【出願日】平成１９年１月２６日（２００７．１．２６）
【出願人】（５９１２５９９３１）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年８月７日（２００８．８．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１月２６日（２００７．１．２６）
【出願人】（５９１２５９９３１）
【Ｆターム（参考）】
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