説明

腸炎症の処置における使用のためのプロバイオティクス組成物

本組成物は、有効量のLactobacillus plantarum CECT 7484、Lactobacillus plantarum CECT 7485、およびPediococcus acidilactici CECT 7483を含む。この組成物は、消化器疾患または症状、例えば炎症性大腸炎、過敏性腸症候群または腹部膨満および膨張の処置において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年1月28日に提出された米国仮出願番号第61/299,116号および欧州特許出願EP10151998号双方の利益を請求するものであり、出典明示によりこれらは本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬、微生物および栄養の分野、特に新規プロバイオティクス組成物に関する。特に、Lactobacillus plantarum および Pediococcus acidilactici の新規株は、単離され、胃腸疾患、例えば、腸炎症(例えば、炎症性腸疾患)および過敏性腸症候群の処置に有用な処方にて組み合わせられる。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
潰瘍性大腸炎(UC)、回腸嚢炎、およびクローン疾患は、腸管内の慢性炎症を特徴とする過敏性腸疾患(IBD)の例である。臨床的症状には、下痢、腹痛、不定期な直腸出血、体重減少、疲労感および不定期な発熱がある。あらゆる年齢で発症するが、IBDは、10代の青年および若年成人で最も一般的であり、結果として遅延性の進行および発育不全に罹り得る。該疾患の頻度は、欧州および米国におけるI型糖尿病と同程度である。IBDの臨床的経過は大幅に変化する。軽度〜中程度の症状を有する患者は、入院せずに処置され得る。しかし、10-15%の患者は、該疾患の重篤な経過を経験して、多くの症例において手術される。
【0004】
IBDは、炎症を低下させることにより医学的に処置され、これにより胃腸の症状を制御する。しかし、現在のところIBDのための治療法はない。結腸切除は、UCを排除できるが、生活の質を低下させて、合併症のリスクを増加させる。使用できる医学的処置は、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、コルチコステロイドおよび免疫調節剤の使用を含む。軽度〜中程度のIBD症状の長期的処置は、通常5-ASAを用いて実施され、一方コルチコステロイドおよび免疫調節剤は、重篤な症状を処置するために使用される。下痢または腹痛は、5-ASAの副作用として現れ、一方コルチコステロイドの長期的使用は、骨量低下、感染、糖尿病、筋肉消耗および精神障害を含む重篤な副作用を示すことが多い。免疫調節剤は、IBD症状を制御する免疫系を抑制する。しかし、この免疫障害状態により、患者は様々な疾患に対して感受性となる。
【0005】
過敏性腸症候群(IBS)は、排便習慣または排便の変化に関連する腹痛および/または不快症状を特徴とする状態であって、症状は構造的または生化学異常により説明されない。切迫感、膨満感および不完全な腸運動の感覚もまたIBSに共通する。そのために、疾患、例えば、機能性膨満、非心臓性胸痛、非潰瘍性消化不良、および慢性便秘または下痢を含む機能性胃腸障害に分類される(Longstreth G. H. et al., 2006)。特筆すべきことに、関連する兆候が、健康に関する患者の感覚器官および正常に機能する能力の双方に影響するので、IBSは、腹痛および不快症状を超えて罹患率および生活の質に対して実質的な影響を与える(Dean B. B. et al., 2005)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
IBS処置のための薬品開発の分野において驚くべき活動がある。これに関して、様々な抗鬱薬は、治験においてその効力は穏やかであり、その臨床的有用性は有害な副作用により制限されるが、高い評判を得ている。セロトニン作動薬は、広範囲のIBS症状に効力を示す。しかし、近年の安全性に対する懸念により、その使用が厳格に制限されている。それ故に、IBSのための新規治療法の開発は非常に興味深い。
【0007】
プロバイオティクスは、「特定数の摂取により、内在する基本的栄養よりも健康上の利益を発揮する生存微生物」と規定されている(Araya M. et al., 2002; Guarner F. et al.,, 1998)。いくつかの乳酸細菌および Bifidobacterium 属由来の菌種は、プロバイオティクスであって、それらは特定の健康上の効果を促進することを示す。プロバイオティクス細菌(probiotic bacteria)は、無毒性、生存能力、付着および薬効に関するいくつかの要件を満たさなければならない。これらのプロバイオティクスの特徴は、同じ種の細菌の中であっても株に依存する。それ故に、全てのプロバイオティクスに関する要件において良好な能力を有する株を見出すことが重要である。プロバイオティクスを、単独でまたは抗生物質と組合せて使用するヒトの治験が、IBDまたはIBS患者の処置または既に処置されたIBD患者を寛解状態に保つための株および/または製剤を同定するために行われている。
【0008】
WO 96/29083 および EP 554418 は、Lactobacillus plantarum 299v (DSM 6595) および Lactobacillus casei ssp. rhamnosus 271 (DSM 6594)を含む2つの腸内細菌叢の Lactobacillus 株を開示している。EP 415941 は、lactobacilli と混合する前に、オート麦の薄い粥を酵素で処理することを含む栄養組成物調製方法を開示している。米国特許第7195906号は、炎症性疾患、特に胃腸の炎症活動、例えばIBDおよびIBSの処置のための、摘出し、洗浄したヒト胃腸管から単離したBifidobacterium株を開示している。
【0009】
有望な可能性にも拘わらず、炎症腸疾患(例えば、IBD) ならびに他の胃腸疾患(例えば、IBS)の処置において使用するためには、プロバイオティクス効果の十分な改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の要約
本願発明者は、Lactobacillus および Pediococcus 株を含む組成物が腸炎症の処置に有効であることを見出した。特に、Lactobacillus plantarum 属 および Pediococcus acidilactici 属に属する新規プロバイオティクス株を単離し、該株は、単一製剤の形態に組み合わせた場合に、腸炎症を有効に処置できる。
【0011】
即ち、本発明の第一態様は、有効量のLactobacillus plantarum CECT 7484、Lactobacillus plantarum CECT 7485、および Pediococcus acidilactici CECT 7483、その突然変異体または改変体を含む組成物を提供する。
【0012】
Lactobacillus plantarum 株CECT 7485 および CECT 7484、およびPediococcus acidilactici 株 CECT 7483を、2009年2月4日にスペイン微生物株保護機関(Valencia, Spain)に寄託した。全ての3つの寄託株は生存能力を有しており、その寄託株に関連したその全ての特徴を保持している。
【0013】
本明細書で使用した用語「有効量」は、所望の効果を実現させるためには十分高いが、医療的判断の範疇において重篤な副作用を回避するためには十分に低い、有効物質の量を意味する。
【0014】
出発物質として受託株を使用することにより、当業者は、一般的に、従来の突然変異生成または再単離技術により、本発明の組成物を形成する株の本明細書に記載した対応する特徴および利点を保持または強めるさらなるその突然変異体または誘導体を得ることができることは明白である。当業者は、株の抗炎症性、免疫調節性または抗IBSまたは抗腹部膨満活性を測定するために用いるべき十分な方法により決定するであろう。この活性を測定するための可能な方法の例示は、以下の実施例に示されている。
【0015】
ある実施態様において、突然変異体とは、遺伝子操作された突然変異体である。
【0016】
本発明の第一の別の実施態様において、改変体とは、天然の改変体である。
【0017】
本発明の第一態様の組成物の一部を形成する株は、生存細胞の形態にて存在してもよい。あるいは、該株は、非生存細胞の形態にて存在してもよい。
【0018】
P. acidilactici CECT 7483株、ならびに L. plantarum CECT 7484株およびCECT 7485株の一般的使用は、生存細胞の形態で存在してもよい。しかし、それは、非生存細胞、例えばP. acidilactici CECT 7483、ならびにL. plantarum CECT 7484およびCECT 7485により産生された有益なファクターを含有する死菌培養物あるいは組成物にまで拡張できる。これは、熱により死滅した微生物、またはpH変化、超音波、放射線照射または加圧により死滅した微生物を含む。非生存細胞の生成物の製造は、より簡単であり、細胞を医薬製品に容易に組み込むことができ、そして貯蔵要件は生存細胞よりもより制限が少ない。
【0019】
本発明の組成物の形態にて使用した場合、株は、好ましくは1:1:1の濃度比である。
【0020】
CECT 7483株、CECT 7484株 および CECT 7485株は、いくつかの病原性および潜在的病原性の微生物株に対して有意な阻害活性を提示し、一方でヒトの胃腸細菌叢の一般的な共生株に対して最小の拮抗作用を提示する。さらに、これらの3つの株は、3株間で有意な阻害活性を示ないため、単一製剤においてそれらを組み合わせて使用することが可能である。これは、発明の第一態様において規定したような組成物が、3つの株内の各々一つの「インタクト」な効果による腸管内で有益な効果を発揮するということを意味するために意義がある。単一製剤中へのこれらの株の組合せ物(即ち、本発明の組成物)は、腸炎症の様々な動物モデルにおいて臨床的症状(例えば、体重減少および下痢)を改善するための能力を提示する。これらの結果に一致して、本発明の組成物は、急性(IL-6)および慢性(IFNγ)サイトカインを有意に減少させる独特な能力を示す。
【0021】
広範囲の多様な乳酸菌種は、長い歴史から安全に使用できることが明らかである。欧州食品安全機関は、長い歴史から証明された明白な使用安全性による分類上の一群に対する“安全性推定適格”(QPS)の地位の格付けを開発した。CECT 7483株、CECT 7484株およびCECT 7485株は、QPSの地位を有する細菌種に属する(Andreoletti O. et al., 2008)。
【0022】
本発明の株は、それらがプロバイオティクスとして特に有用であるという利点を有する。上記のとおり、プロバイオティクス細菌は、無毒性、生存能力、付着性および薬効に関するいくつかの要件を満たすべきである。これらのプロバイオティクスの特徴は、同種類の細菌のなかであっても株に依存する。それ故に、全てのプロバイオティクス要件において良好な性能を有するそれらの株を見出すことが重要である。以下の例は、プロバイオティクスの各々の特徴を決定するために、(例として)プロトコールを提供するものであり、該株が卓越したプロバイオティクスの特徴を有することも示している。
【0023】
細菌における抗菌剤への耐性に関する発生および広がりは、ヒトおよび動物の健康に脅威をもたらし、主な財政上および社会的なコストを引き起こす。抗菌剤に対する耐性が細菌種に対して固有である場合、一般的に「内因性耐性」(時には、いわゆる「天然耐性」)と言われる。内因性耐性は、水平伝播(horizontal spread)に対して最小の可能性を示すと推測されるが、別の遺伝子により媒介された獲得耐性は、水平展開(lateral spread)について高い可能性を有すると考えられる。本願発明者は、本発明の組成物を形成する株は、欧州食品安全機関の指針に従って(Anadon A. et al., 2005; Bories G. et al., 2008)、ヒトおよび/または獣医学的に重要な抗生物質(アンピシリン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシンおよびクロラムフェニコール)に対していずれの有意な耐性も示さないので、病原種に対する抗生物質の耐性が将来的に伝搬するリスクを防ぐ。
【0024】
さらに、本発明は、CECT 7483株、CECT 7484株およびCECT 7485株が、IBDの処置のために使用されるその他の医薬(例えば、メサラジン)と共投与できるということを見出した。以下に示すように、該株の成長は、メサラジンの飽和濃度を用いたとしても完全には阻害されない。言い換えると、高濃度のメサラジンを用いても、プロバイオティクス株を含む本発明の組成物の効力は損なわれず、それ故にプロバイオティクスおよび抗炎症機能の双方を発揮できる。
【0025】
本発明の株は、哺乳動物の胃腸環境の条件(酸性環境、胆汁酸塩、および高リゾチーム、ならびに酸素ペルオキシド濃度)に対して高耐性であることが示されており、そのため胃腸管の通過を生き抜くことができる(以後、「GIT」とも呼ばれる)。株はまた、腸上皮に対して良好な付着性を有しており、これにより該株は、腸管内に残留して、そのプロバイオティクス効果を発揮することができる。
【0026】
さらに、本発明の株は、宿主内でいくつかの有益な効果を有する。腸内の抗炎症活性に加えて、それらは、そのアンタゴニスト活性のために、腸の微生物叢バランスに利益がある。用語「アンタゴニスト活性」とは、プロバイオティクス細菌の活性による胃腸の有用でない細菌の成長阻害をいう。不十分な胃腸の微生物バランスを示す症状は、腸内毒素症として知られており、ヒトの健康に対して複数の負の結果を有する。他の市販株と比較して、以下に該株が病原性株の増殖を阻害する高い能力を有することを示す。さらに、上記のとおり、本願発明者らは、本発明の新規株が、該株間では有意な阻害活性を提示しないことを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
さらに、本発明の第一態様の組成物を形成する株が、大量の短鎖脂肪酸(SCFA)を提供することを見出した。消化不可能な繊維由来のSCFA産生は、興味深いプロバイオティクス特性である。この性質は、産生されたSCFAが宿主においていくつかの有価な特性を示すことを理由として、プロバイオティクスに望まれるものである。その様々な特性の中では、SCFA(特に酪酸)は、腸粘膜内により容易に吸収され、大腸におけるナトリウムおよび水吸収を刺激し、腸粘膜内に対する栄養性である(D'Argenio G. et al., 1999; Tedelind S. et al., 2007)。さらに、酪酸は、大腸細胞により栄養として使われる。製剤中の各株は、腸管内に存在する3種の主なSCFAである酢酸、プロピオン酸または酪酸いずれかの様々なSCFAの強力な産生株である。炎症過程に対してどのような短鎖脂肪酸が作用するかについての十分な理解は、現行の腸炎症処置の効力を改善する助けとなり得る。これに関して、Gタンパク質共役レセプターを介するSCFAおよび炎症症状の調整との間の関係が報告されている(Maslowski K. M. et al., 2009)。
【0028】
さらに、CECT 7483株、CECT 7484株およびCECT 7485株は、腸粘膜内から改善されたサイトカインパターンを誘導するので、CECT 7483株、CECT 7484株およびCECT 7485株 は、宿主中の免疫調節効果を促進する。これらの免疫調節効果は、それらが改善された疾患耐性を達成し、またアレルギーのリスクを低減させるので、宿主に対して有益である。GITにおいてグラム陰性細菌はその表面において分子リポ多糖類(LPS)を提示し、腸粘膜内細胞による炎症促進シグナル産生を誘導することが知られている。プロバイオティクスの追加は、この状況を、良好な環境適用性またはいくつかのグラム陰性細菌に対するアンタゴニスト特性を有する、GITにおけるグラム陽性細菌(乳酸菌群に分類される)が多く存在する好ましい状況に変えることができる。それにも拘わらず、いくつかのプロバイオティクス微生物は、体内の炎症および免疫応答を調節するメッセンジャー分子であるサイトカインの産生を本質的に制御する能力を示す。特に、いくつかのプロバイオティクス細菌は、腸粘膜内で炎症促進性/抗炎症性シグナル伝達の間の良好なバランスパターンを誘導する(グラム陰性細菌に対する効果に関わらず)。以下に説明するとおり、本発明の組み合わせの株は、炎症性サイトカイン(IFN-γおよびIL-6)レベルの低下を促進すること、即ち改善されたサイトカインパターンを腸粘膜内から誘導することがわかった。この免疫調節効果は、GITにおいて病原性グラム陰性細菌の存在を低下する際に、アンタゴニスト特性によりおぎなわれる。
【0029】
死菌ならびに細菌成分が、それ自体免疫調節効果を有し得ることは知られている。例えば、Lactobacilli 種の細胞成分は、抗炎症性サイトカインを誘導すること(Pathmakanthan S. et al., 2004)、または炎症促進性サイトカインを減少させること(Zhang L. et al., 2005)が報告されている。これらの成分の単離により、医薬グレードの取扱いが期待される。
【0030】
以下に示した結果を考慮すると、本発明の第一態様の組成物を形成するCECT 7483株、CECT 7484株およびCECT 7485株は、次のような特定の性質を特徴とすることが明らかである:胃腸の通過に対する生存、腸粘膜内への付着、酸化ストレスに対する耐性、抗炎症活性を有する代謝産物の産生(短鎖脂肪酸または該活性を有する他の生成物)およびそれらの間の拮抗作用の非存在。本発明の組成物および単離株は、従来技術から自明には得られない。というのも、それらは、複雑な研究の結果および腸炎症活性に関して得られてきた結果が驚くべきものであったことが理由である。各々の性質を決定するためのプロトコールは以下に挙げられる。本願の内容から、当業者は、Lactobacillus および Pediococcus genusに属する他の株、より具体的にはLactobacillus plantarum および Pediococcus acidilactici 種を見いだし、これらを別々に、および単一組成物中に組み合わせて投与した場合に、本願に記述される効果と同等のプロバイオティクスおよび治療効果を示すことを見出すことができた。
【0031】
第二態様において、本発明は、医薬として使用するための、有効量の本発明の株、またはその突然変異体を含む組成物を提供する。
【0032】
特に、CECT 7483株、CECT 7484株およびCECT 7485株を含む組成物はIBDモデルにおいて腸の抗炎症活性を有することを見出した。上記に説明したとおり、腸炎症は、IBDの主な特徴のひとつである。従って、発明の第一態様の組成物は、該疾患の予防または治療に有用である。
【0033】
それ故に、第三態様において、本発明は、ヒトを含む動物において腸炎症の予防または治療において使用するための、発明の第一態様に記載したような組成物を提供する。あるいは、この態様を、腸炎症の予防および/または処置のための医薬製造のための、本発明の第一態様において規定したような組成物の使用として製剤することができる。あるいは、これを、腸炎症の予防および/または処置が必要な該動物に、本発明の第一態様に記載のような有効量の該組成物を投与することを含む、ヒトを含む動物において腸炎症の予防および/または処置のための方法として処方することができる。
【0034】
本発明の第三態様における一実施態様において、該組成物は、炎症性腸疾患の処置または予防のために使用される。
【0035】
実施例(以下を参照されたい)で報告したIBDモデルを使用して得られたデータから、腸炎症および下痢を特徴とする症状の処置において効果的である本発明の株の投与は、腸粘膜または粘膜下層の炎症を特徴とする他の症状および放射線治療または化学療法を原因とする腸炎などの下痢が一般的である他の症状を処置するためにも有用であることが得られる。腸炎とは、患者の60-70%を占める腹部および骨盤の放射線治療の一般的な副作用である。腸炎は、副作用を低下させるために、この放射線治療療法における予定変更を強いて、該処置を準最適な抗腫瘍効力へと導く可能性がある。現在、放射線治療により生じた腸炎についての防御方法は存在しない。しかし、いくつかのプロバイオティクスは、無作為に選ばれた治験(RCT)において見込みがあることを示した。SCFA産生の健康促進効果、炎症を起こした粘膜中に見られる活性酸素および窒素種に対する耐性能、および日和見感染に対する抗菌活性を兼ね備える、プロバイオティクス組成物、例えば本発明の組成物は、放射線治療および化学療法誘発性腸炎を処置するために有用であり得る。
【0036】
一方で、本出願人は、本発明の株がIBSの処置において有効であるということを見出した。以下に示すように、発明の第一態様の組成物は、無作為に選ばれた二重盲検プラセボ制御介入試験により評価したとおり、IBSを処置する際に有用である。
【0037】
それ故に、本発明の第四態様において、IBSの予防および/または治療において使用するために、発明の第一態様の組成物を提供する。あるいは、この態様は、IBSの予防および/または処置のための医薬の製造のために発明の第一態様において規定したような組成物の使用として製剤されうる。あるいは、IBSの予防および/または処置を必要とする該動物に投与することを含む、ヒトを含む動物のIBSの予防および/または処置のための、本発明の第一態様において規定されたような有効量の組成物を投与することを含む方法として説明され得る。
【0038】
さらに、本発明者は、該株の特徴のために、発明の第一態様の組成物が、腹部の膨満および膨張の処置において有用であることを見出した。以下に示すように、本発明の組成物を腹部の膨満および膨張に苦しんでいる人々に投与する場合に、驚くべき改善が見られる。
【0039】
従って、本発明の第五態様において、腹部の膨満および膨張の処置において使用するための発明の第一態様の組成物を提供する。あるいは、この態様は、腹部の膨満および膨張の処置のための医薬の製造のために、発明の第一態様に記載のような組成物の使用として製剤されうる。あるいは、これを、ヒトを含む動物において腹部の膨満および膨張の処置のための方法として製剤してもよく、本発明の第一態様において規定されたような有効量の組成物を、それを必要とする該動物に投与することを含む。
【0040】
IBSおよび/または腹部の膨満および膨張に苦しんでいる患者において見られる驚くべき有益な効果は、本発明のCECT 7483株、CECT 7484株 および CECT 7485株が、表6に挙げたSCFAおよび表3に示したアンタゴニスト活性を生み出す能力を有するという事実によるものであろう。
【0041】
SCFAは消化管運動性を制御するということは当分野において十分知られている。特に、SCFAは、消化管運動性および知覚の双方の制御において重要な役割を担うセロトニン(5-HT)放出をラット結腸において刺激することが知られている(Fukumoto S. et al., 2003; Tazoe H. et al., 2008)。同様に、酪酸は、ヒト登録者の腸管の内臓感受性を低下させると記述されている(Vanhoutvin S. A. et al., 2009)。この理由から、本発明の組成物を形成する株が、IBSまたは腹痛だけでなく、胃腸の運動性および/または胃腸の痛み、例えば、機能性便秘または機能性下痢に関連する他の症状を処置するためにも有用であるということを結論づける。
【0042】
本発明の組成物および単離株は従来技術から自明には得られない。というのも、IBSおよび腹部の膨満および膨張の処置における効力に関して得られてきた複雑な研究の結果および結果は予測できないためである。
【0043】
驚くべきことに、本出願人は、IBDおよびIBSを処置するための能力を有する Pediococcus acidilactici 株として初めて見出した。この能力は、理論に縛られずに、明細書を通して指摘されている、単離した Pediococcus 株の特別な特性が理由であると考えられる。本明細書において提供された技術およびプロトコールから、当業者は、本出願のある対象と同等のプロバイオティクスおよび治療特徴を有するさらなるP. acidilactici 株を見出すことができる。
【0044】
有効量の本発明の株またはその突然変異体を含む本発明の組成物を、食品、医薬または動物用医薬品として製剤できる、この株は、唯一の活性成分であるか、または1以上の他の有効成分と混合される、および/または医薬上または獣医学上許容し得る賦形剤(医薬または動物用医薬品の場合には)または十分な添加物(食品の場合には)と混合される。本発明の特定の実施態様において、該生成物は、1以上の別の有効成分をさらに含有する。好ましくは、追加の有効成分または剤は、本発明の組成物を形成する株に対して拮抗作用がない他のプロバイオティクス細菌である。該製剤に依存して、株は、精製細菌として、細菌培養物として、細菌培養物の一部として、処理された後の細菌培養として、単独または好適な担体または成分と一緒に添加されてもよい。前生物もまた添加できる。
【0045】
別の態様において、本発明は、十分な量の医薬上または獣医学上許容し得る賦形剤と共に有効量の本発明の組成物を含有する医薬および動物用医薬品を提供する。これに関して、該医薬品を、本発明の組成物を形成する株のバイオアベイラビリティーに影響する負の影響を及ぼさない任意の好適な形態において製造されうる。従って、本発明の組成物を、例えば、凍結乾燥粉末、カプセル、液体調製物などの形態で、経口的に投与されるように製剤できる。該組成物の特定の目的のために賦形剤の選択および最も適切な方法は、医薬技術の分野において当業者の通常の技術範囲内である。経口投与が好ましいが、他の形態、例えば、注射可能な形態、直腸形態、または局所形態も可能である。
【0046】
本明細書で使用される用語「医薬上許容し得る」とは、化合物、物質、組成物、および/または用量形態に関し、これは、合理的な価値/リスク比に見合う過剰な毒性、炎症、アレルギー性喘息応答またはその他の問題や合併症のない、対象の組織(例えば、ヒト)との接触において使用するために好適かつ妥当な医療的判断の範囲内である。各担体、賦形剤なども、製剤の他の成分と適合できるという意味において「許容可能」でなければならない。好適な担体、賦形剤などは標準的医薬参考書に見られ得る。同様に、用語「獣医学上許容し得る」とは、非ヒト動物の組織との接触において使用するのに好適であることを意味する。
【0047】
本発明の株は、様々な食品、例えば、乳製品、ヨーグルト、カード、チーズ(例えば、クワルク、クリームチーズ、プロセスチーズ、軟いチーズおよび硬いチーズ)、発酵乳、乳粉末、ミルクを基にした発酵製品、アイスクリーム、発酵穀物を基にした製品、ミルクを基にした粉末、飲料、ドレッシング、およびペット用食品に含ませることができる。本明細書で使用される用語「食品」は、医薬および動物用製品を除いて動物により消化され得るが提示のあらゆる形態におけるあらゆるタイプの生成物を含むその最も広い意味にて使用される。他の食品の例は、肉製品(例えば、肝臓ペースト、フランクフルトソーセージおよびサラミソーセージまたはミートスプレッド)、チョコレートスプレッド、フィリング(例えば、トリュフ、クリーム)および砂糖衣、チョコレート、菓子類(例えば、カラメル、フォンダンまたはタフィー)、焼き菓子(ケーキ、ペーストリー)、ソースおよびスープ、フルーツジュースおよびコーヒー用クリームである。特に、興味深い食品は、栄養補助食品および幼児用食品である。本発明の意味において、栄養補助食品とは、ヒトの健康に対して医薬的効果を有する食品の抽出物であると知られている栄養価のある薬もまた含む。動物用食品としての飼料もまた、本発明の範囲に包含される。本発明の組成物を、他の食品中の成分として使用することもできる。
【0048】
従って、本発明の別の態様において、食品成分の適切な量と共に本発明の組成物を含有する食品が提供される。好ましくは、本発明の組成物は栄養補助食品である。
【0049】
該組成物中の各株について有効量のコロニー形成単位(cfu)は、当業者により決定されるが、最終製剤により依存する。例えば、食品において、株(複数を含む)は、現行の法律に従って、約105 cfu/g〜約1012 cfu/gの量、好ましくは約107 cfu/g〜約 1012 cfu/gの量で存在する。用語「コロニー形成単位」(cfu)は、アガープレート上の微生物計測数により明白であるとおり、細菌細胞の数として規定される。
【0050】
栄養補助食品は、通常、107〜1012cfu/gの範囲の量でプロバイオティクス株を含有する。特定の実施態様において、本発明の組成物は、109〜1011cfu/gを含む栄養補助食品である。
【0051】
本発明の株は、好適な培地中および好適な条件下で細菌を培養することにより生成される。該株は、純粋な培養物を形成させるために、単独または他の微生物と共に混合培養物として、または異なる種の細菌を別々に培養した後にそれらを所望の割合で組み合わせて培養され得る。培養後に、該細胞懸濁液を回収して、そのままで使用するか、または所望の方法で、例えば、医薬または食品の製造にさらに用いるために濃縮または凍結乾燥により処理する。時には、保存期間を改善するために、プロバイオティクスの調製を、固定化またはカプセル化過程に供する。細菌の固定化またはカプセル化のためのいくつかの技術が、当分野で知られている。
【0052】
本発明の組成物を、栄養補助食品として使用する場合、組成物を、そのままで投与し得るか、好適な飲料可能な液体、例えば水、ヨーグルト、ミルクまたはフルーツジュースと共に投与するか、または固体または液体食品と混合してもよい。この文脈において、栄養補助食品は、錠剤、ピル、カプセル、粒子、粉体、懸濁液、分封袋、トローチ、甘味料、棒状、シロップの投与形態および対応する投与形態にあってもよく、通常、単位用量形態である。好ましくは、本発明の組成物を、従来の医薬品製造方法において製造される錠剤、カプセルまたは粉体の形態で投与する。
【0053】
詳細な説明および請求項を通じての、用語「含む」およびその変形は、その他の技術的特長、添加物、成分、またはステップを除外することを意図しない。本発明のさらなる対象、利点および特徴は、詳細な説明の試験により当業者には明白であり、また本発明の実施により理解されるであろう。さらに、本発明は、本明細書において記載した特定の好ましい態様の全ての組み合わせを含む。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、Not-IまたはSfi-I (左)およびSma-I(右) 制限酵素のゲノムDNAのパルスフィールドゲル電気泳動パターンを示す:1、Pediococcus acidilactici CECT 7483; 2、Lactobacillus plantarum CECT 7484; 3、Lactobacillus plantarum CECT 7485.コントロールとして:4、市販株 P. acidilactici Rossell1001 (Institut Rossell, Canada); 5、L. plantarum 299v (Probi AB, Sweden); および 6、市販品 VSL#3 (VSL Pharmaceuticals, USA)から単離したL plantarum 株。この図は「株のゲノムタイプ」を示す。
【図2】図2は、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群における疾患活性インデックス(Y軸)をあらわす。X軸は以下の投与を表す:a、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群における本発明のプロバイオティクス製剤;b、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群における市販のプロバイオティクス製剤(VSL#3);c、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群におけるビヒクル;および、d、健康なコントロール群におけるビヒクル。この図は、「化学的に誘導される消化管炎症に対するインビボ効果」を示す。
【図3】図3は、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群におけるIL-6(Y軸)のレベルを表す。X軸は次のものを表す:a、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群に投与した本発明のプロバイオティクス製剤;b、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群に投与した市販のプロバイオティクス製剤(VSL#3);c、DSS誘導性腸炎症罹患マウス群に投与したビヒクル;および、d、健康なコントロール群におけるビヒクル。この図は、「化学的に誘導される消化管炎症に対するインビボ効果」を示す。
【図4】図4は、IL-10ノックアウトマウスモデルにおいて症状がない週数(即ち、0に等しい疾患活性インデックスである第一の症状の発病前の週数)(Y軸)を表す。X軸は、以下の投与を表す:a、IL-10ノックアウトマウス群への本発明のプロバイオティクス製剤;b、IL-10ノックアウトマウス群への市販のプロバイオティクス製剤 VSL#3;c、IL-10ノックアウトマウス群へのPBS;および d、健康なコントロール群へのビヒクル。この図は、「自然発生消化管炎症に対するインビボ効果」を示す。
【図5】図5は、IL-10ノックアウトマウスモデルにおけるIFN-γ(Y軸)のレベルを表す。X軸は次のものを表す:a、IL-10ノックアウトマウス群への本発明のプロバイオティクス製剤;b、IL-10ノックアウトマウス群への市販のプロバイオティクス製剤(VSL#3);c、IL-10ノックアウトマウス群へのビヒクル;およびd、健康なコントロール群へのビヒクル。この図は、「化学的に誘導される消化管炎症に対するインビボ効果」を表す。
【図6】図6は、IL-10ノックアウトマウスモデルにおけるIL-6のレベル(Y軸)を表す。X軸は次をのものを表す:a、IL-10ノックアウトマウス群への本発明のプロバイオティクス製剤;b、IL-10ノックアウトマウス群への市販のプロバイオティクス製剤(VSL#3);c、IL-10ノックアウトマウス群に投与したビヒクル;および d、健康なコントロール群へのビヒクル。この図は、「化学的に誘導された消化管炎症に対するインビボ効果」を示す。
【図7】図7は、組成物(黒色の棒)またはプラセボ(白色の棒)を含むカプセルで処置した登録者のベースライン(Y軸)と比較したIBSQOLスコアの変動を表す。X軸は、スコア21日目および処置42日後の変動を表す。この図は、「IBS対象に対するインビボ効力」における「健康に関連した生活の質の改善」を示す。
【図8】図8は、組成物(黒色の棒)またはプラセボ(白色の棒)を含むカプセルで処置した登録者のベースライン(Y軸)と比較したVSIスコアの変動を表す。X軸は、処置の3週間後または6週間後のスコアの変動を表す。この図は、「IBS対象に対するインビボ効力」における「内臓感受性の改善」を示す。
【実施例】
【0055】
以下の章は、本発明の株の特長、胃腸および免疫系に対するその特異的なプロバイオティクス特徴およびその生理学的効果を記述する。以後に使用するように、株 F1033とは、Pediococcus acidilactici CETC 7483に対応しており、株 F2064とは、Lactobacillus plantarum CECT 7484に対応し、そして株 F2076とは、Lactobacillus plantarum CECT 7485に対応する。
【0056】
1.微生物の単離
A)方法
微生物の単離のために、新しい排泄物(stools)および唾液(Daniel C. et al., 2006)を0-5歳齢の幼児から収集し、PBS緩衝液(pH 7.4)に溶解し、分注し、そして様々な抗生物質の組み合わせ物を添加したMRSに播種した。株を、37℃、微好気性条件下(5%CO2)で培養した。インキュベーション時間は増殖速度に依存するが、通常24h〜3日要する。最初の同定を行うために、グラム染色を実施した。増殖してから、単離した株を、15%スキムミルク粉末を含むPBS0.1x中に凍結により貯蔵した。
【0057】
B)結果
新規株F2064、F2076およびF1033を、10μg/ml バンコマイシンを加えたMRSアガー上で増殖させた。顕微鏡検査から、株 F2064 およびF2076はグラム陽性の桿菌であるが、一方株F1033は球菌形態のグラム陽性であることが判った。
【0058】
2.同定
A)方法
ゲノムDNAを、WizardゲノムDNA精製キット(Promega)を用いて抽出した。各単離株について、16S遺伝子を、ほぼ完全長の16SrRNAフラグメント(1465bp)を作成するユニバーサルプライマー27f、357f、907rおよび1492r (Weisburg W. G. et al., 1991)を用いてPCRにより増幅させた。DNAを、Quiaquick kit(Quiagene, GmbH, Hilden, Germany)を用いて洗浄し、4つの配列決定反応を、BigDye v.3.1 kitを用いて、遺伝子分析器 3130 (Applied Biosystems)にてサンプル毎に行った。選択した配列決定用プライマーDNA配列分析v.5.2 (Applied Biosystems)ソフトウェアを用いて、データを収集し、クロマトグラムを構築し、これをChromas (Technelysium Pty Ltd.)およびBioEdit (Ibis Biosciencies) ソフトウェアにより分析した。属および種の同定を、得られた配列と、BLASTN search (Altschul S. F. et al., 1990)およびthe Ribosomal Database Project (Wang Q. et al., 2007)による双方のRefSeq データベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/RefSeq/)からの既知生物の16S配列とを比較して行った。
【0059】
【表1】

【0060】
B)結果
株F2064およびF2076を、Lactobacillus plantarum 群のメンバーとして同定した。株 F1033を、Pediococcus acidilacticiとして同定した。
【0061】
3. GI管に対する生存性
A)方法
酸性環境に対する耐性を評価するために、各細菌株培養物のアリコート(20μl)を、96ウェルプレートに、pH2および3(Panreac)にHClで調整したMRS培地のアリコート(200μl)と共に播種した。プレートを、37℃で1時間保持し、620 nmの光学密度を測定した。最終的に、生存細胞を、プレート計測により決定し、接種材料中の生存細胞数と比較した。
【0062】
胆汁酸塩に対する耐性を評価するために、各細菌株培養のアリコート(20μl)を、0.5% Oxgall (Sigma)を加えたMRS培地(200 μl)と共に96ウェルプレートに播種した。プレートを、37℃、5%CO2で3時間インキュベートし、その後光学密度を測定した。最終的に、生存細胞を、プレート計測により決定し、接種材料中の生存細胞数と比較した。
【0063】
B)結果
全ての3つの株は、pH=2またはpH=3でMRSにおいて1hインキュベーション後の生存細胞数1以下のlog低下を示し、酸性環境において生存するための良好な能力を示した。これらの株は、胆汁酸塩に対して顕著な耐性を有し、0.5%の胆汁酸塩を加えたMRSにおいて3hインキュベーション後の生存細胞の数において50%以下の低下を示す。
【0064】
4. 付着性
A)方法
豚の腸を、0.01%ゼラチンおよびプロテアーゼ阻害剤のカクテル(Complete(登録商標), Sigma)を含有するPBS(pH 7.4)で洗浄する。粘膜を掻きだし、前記阻害剤を含有するHEPES-Hanks 緩衝液(10 mM HEPES, pH 7.4)に溶解した(Collado M. et al., 2007)。次いで、粘膜を、同じ緩衝液を用いて13000rpmで10分間遠心分離した。上清を回収し、タンパク質含量をBradford法により決定した。アッセイ24時間前に、0.5 mg/mlの粘液溶液(1 ml)を、24ウェルELISAプレートのウェル中でインキュベートした。
【0065】
試験される各株を、トリチウム標識チミジン(MRS(3 ml)中の5 μl)を添加したMRS培地中で終夜増殖させた。培養物を遠心分離し、Neubauerチャンバー上で計測することによりPBS中で108 cfu/mlに調整して、各培養のサンプルを採取し、シンチレーションリーダーによりトリチウム標識チミジンの量を決定した。次いで、0.5 mlを、24ウェルプレートの粘液含有ウェルに添加し、37℃で60分間インキュベートした。各ウェルの上清を取り出し、ウェルをMEM α培地 (Gibco)を用いて2回洗浄し、緩い付着性の細菌を除去した。最終的に、ウェルを、掻き取り、付着している細菌と共に粘液を採取した、放射活性を測定した。各培養物の比活性(cpm/CFU)を、108 cfu/mlに調整したPBS懸濁液中に導入した全放射活性から計算した。Lactobacillus rhamnosus GG (Valio Ltd, Finland)を、腸上皮へのその優れた高付着性から、ポジティブコントロールとして使用した(Jacobsen C. N. et al., 1999)。
【0066】
Caco-2 細胞を、ATCC (ECACC No: 86010202)から得た。細胞を、24ウェルプレートに播種し、コンフルエンス(37℃、5%CO2)までDMEM中で増殖させた。caco-2 細胞面積のユニットあたりに付着する細菌数を得るための実験方法は、粘液への付着性について上記に説明した方法とほぼ同一である。
【0067】
B)結果
株F1033、F2064およびF2076の付着能力をトリチウム標識されたチミジンのシンチレーションから測定し、市販の株 L. rhamnosus GGのものと比較した。Caco-2 モデルを用いる上皮細胞への付着は、プロバイオティクス株についての一般的なアッセイである。L. rhamnosus GGに比べて、株F2064およびF2076は、上皮細胞について60%より低い親和性を示す。しかしながら、上皮細胞に対するL. rhamnosus GGの高い親和性を考えると、これらの値は、他のよく知られているプロバイオティクス、例えばL. plantarum 299vに匹敵し、多くの他のプロバイオティクス株(Jacobsen C. N. et al., 1999)よりも優れている。一方で、上皮細胞への株 F1033の付着は、L. rhamnosus GGよりも2.5倍高い。加えて、F2064株およびF2076株は、上皮細胞についての腸粘液に対して、より高い親和性を提示したが、株F1033は反対の挙動を示した。結果を以下の表に示した。
【0068】
表2:プロバイオティクス微生物株の粘液付着[* 108cfuの全細菌濃度から]
【表2】

【0069】
5.アンタゴニズム能力
A)方法
以下の収集株を使用した:P. mirabilis CECT 4557、K. oxytoca CIP 103434、C. perfringens ATCC 13124、C. ramosum ATCC 25582、E. faecalis CETC 795、Y. pseudotuberculosis ATCC29833、B. vulgatus ATCC 8482およびB. thetaiotaomicron ATCC2079が収集株である。C. albicansS. enterica thyphimurium、S. enterica cholerasuis、C. jejuniE. coli および P. aeruginosa は、研究室で単離したものである。指標細菌株を、適切な培地(Oxoid)を入れたプレート内に均一に塗りつけて、適切な温度で、微好気性条件(5%CO2)の下でコンフルエンスまで増殖させた。次いで、コンフルエントなF1033、F2064またはF2076アガープレートの6mm(直径)のシリンダーの切片を、指標細菌株のプレート上に上下逆に置き、終夜37℃でインキュベートした。次の日に、阻害領域を、フラットルール(flat rule)上にアガープレートを置いて測定した。増殖阻害活性(GI)を下記のように計算した:
【数1】


(式中、IZDは阻害領域直径であり、CDはミリメートルで測定したシリンダー直径である)。
【0070】
B)結果
表3:12の病原性または潜在的病原性株および胃腸叢の2つの共通する共生株に対するプロバイオティクス株の増殖阻害活性(GI)に対する潜在的な病原株
【表3】

【0071】
株F2064、F2076およびF1033は、Candida albicansおよびいくつかの潜在的病原性細菌に対して有意な阻害活性を提示した。一方で、共生株に対する最小活性を提示した該株は、Bacteroides genusの胃腸叢内で通常見られる。また、株F2064、F2076およびF1033は、それらの間には有意な阻害性活性を提示しなかった。株F1033は、Campylobacter jejuniに対する高阻害性活性を提示する唯一の株であり、一方で、株F2076は、Escherichia coliを阻害する際に優れており、株 F2064は、Candida albicans および Proteus mirabilisの双方を阻害する際に優れていることが判っている。
【0072】
6.抗酸化能
A)方法
各株(109 cfu/ml およそ)の終夜培養物のアリコート(20μl)を、10 mM パラコート(C12H14Cl2N2、スーパーオキシドアニオン供与体)または10 mM ニトロプルシド・ナトリウム(Na2[Fe(CN)5NO]、酸化窒素の供与体)を添加したMRS(200μl)の96ウェルプレートに播種して、プレートを、37℃、5%CO2下でインキュベートした。620nmでの光学密度を、6時間後に読み取った。結果を、標準的なMRS培地中の増殖と比較した増殖パーセントとして表した。同じプロトコールを、L. rhamnosus GG 株および市販製剤VSL#3(標準的方法を用いて単離を行う)から単離した L. plantarum 株を用いて行った。
【0073】
B)結果
酸素ストレスを、反応性酸素種(ROS)の生成および低下した抗酸化薬防御システムの間のバランスとして規定した。酸素ストレスは、特に炎症反応において進行するが、これは炎症性細胞、好中球、およびマクロファージが大量のROS(Rezaie A. e al., 2007; Roessner A. et al., 2008)を提供するためである。株F1033、F2064およびF2076は、十分に知られたプロバイオティクス株 L. rhamnosus GG、ならびにVSL#3 製剤から単離されたL. plantarum 株に匹敵し得る強力な酸化条件の下で生存する能力を示した。株 F2076が、パラコート(スーパーオキシドアニオン供与体)およびニトロプルシド・ナトリウム(酸化窒素の供与体)の双方に対して最大の耐性を提示したということは注目に値する。酸化ストレスに対する耐性はプロバイオティクス株に対して、炎症粘膜の環境において生存するために期待される所望の性質である。
【0074】
表4:標準的なMRS培地と比較した、10mMのパラコートまたはニトロプルシド・ナトリウムを含有する培地における増殖%
【表4】

【0075】
7.株の遺伝子型決定
A)方法
株F1033、F2064 および F2076 を、若干の変更を含む先に記載したプロトコール(Rodas A. M. et al., 2005)に供した。株を、MRSアガープレート上で増殖させて、37℃で5%CO2下で18hインキュベートした。細胞を回収して、PET(10 mM Tris pH 7.6, 1 M NaCl)(8 ml)で3回洗浄し、次いで6000rpmにて10分間遠心分離した。ペレットを、分解緩衝液(6 mM Tris, 1 M NaCl, 0.1 M EDTA, 0.5% SLS, 0.2 % デオキシコール酸; 1 mg/ml リゾチーム; 40 U/ml ムタノリシン; 20 mg/ml RNase)(700 ml)に再懸濁した。等量の1.6%低融点アガロース(FMC BioProducts, Rockland, ME, USA)を、再縣濁した細胞に添加して、4℃で1時間固化させた。挿入体を、分解緩衝液II (0.5 M EDTA pH 9.2, 1% N-ラウリルサルコシンおよび1 mg/ml プロナーゼ)(2 ml)に移して、50℃で48時間インキュベートした。次いで、挿入体を、室温にてTE緩衝液(10 mM Tris, 1 mM EDTA pH 8.0)を用いて洗浄した。全DNA消化を、Sfi-IおよびSma-I 制限酵素(Roche Diagnostics)により別々に行った。
【0076】
パルスフィールド電気泳動を、CHEF DRIII 装置(BioRad Laboratories)を用いて行った。挿入体を、1%アガロースゲル(SeaKem ME アガロース, FMC BioProducts, ME, USA)で泳動させた。DNA MW マーカーは、Lambda ladder PFG マーカーおよび低範囲 PFG マーカー(New England Biolabs)であった。電気泳動後に、ゲルをエチジウムブロミドで染色し、GelDoc 系(BioRad)を用いてUV照射した。
【0077】
B)結果
図1は、得られたパルスフィールド電気泳動プロファイルを示す。株 F1033 は、Sma-Iによる消化後P. acidilactici R1001と同様のゲノム制限プロファイルを示す。しかしながら、酵素 Not-Iを用いる消化後に得られた該ゲノムプロファイルは明らかに異なる。一方で、該株F2064 および F2076のゲノム制限プロファイルは、それらの間で明らかに異なり、VSL#3 製剤に含まれたL. plantarum 299v および L. plantarum 株の双方と比較した。
【0078】
8.短鎖脂肪酸の産生
A)方法
株を、異なる繊維、特定の量の各々(インスリン、ペクチンおよびFOS)を有する、基本培地(表5を参照)中で、微好気性条件下(5%CO2)に37℃で終夜インキュベートした。次に、細胞を、12000rpm、10分間の遠心分離により除去し、上清をろ過して、液体窒素で凍結させて、酢酸、プロピオン酸および酪酸の量に注目したガスクロマトグラフィーによる分析まで-80℃で保存した。
【0079】
表5
【表5】

【0080】
B)結果
短鎖脂肪酸(SCFA)は、大腸中の炭水化物の嫌気性細菌分解物の最終生成物である。SCFAは、主に酢酸塩、プロピオン酸塩、および酪酸塩であり、結腸洗浄アニオン濃度のおよそ80%を占め、ほぼ一定の62:22:15のモル比にて生成される。その様々な特性において、SCFAは、特に酢酸およびプロピオン酸ではなく、酪酸であって、腸粘膜内を介して容易に吸収され、比較的高カロリー量であり、大腸細胞および肝細胞により代謝され、結腸においてナトリウムおよび水吸収を刺激して、腸粘膜に対して栄養性である(D'Argenio G. et al., 1999)。一方で、高含量の酢酸は、腸粘膜内に刺激を起こすことが以前より知られている(Yamada Y. et al., 1992)。株F1033、F2064 および F2076 は、酢酸、プロピオン酸または酪酸いずれかの強力な生産者である。
【0081】
表6:イヌリン、ペクチンおよびFOSに富んだ基本培地で増殖した株による酢酸、プロピオン酸および酪酸の産生
【表6】

【0082】
9.IBD処置との適合性
A)方法
添加したブロスを、MRS液体ブロス中の最大可溶性濃度(0.84 gr/L)および半分のこの濃度(0.42 gr/L)にて、5-アミノサリチル酸(Pentasa(登録商標), Ferring Pharmaceuticals)を溶解させて調製した。本発明の株を、微好気性条件(5%CO2)において4h37℃で標準的MRSブロスまたは5-アミノサリチル酸添加ブロス中で増殖させ、増殖を620nmでの光学密度を測定することにより評価した。結果を、標準的なMRS培地における増殖%として表した。
【0083】
B)結果
軽〜中程度のIBD症候を緩和するための長期的処置は、通常、経口アミノサリチル酸塩(5-ASA誘導体)(Katz J. A., 2007)を用いて行われる。それ故に、本発明のプロバイオティクス株が5-ASA誘導体と共投与されるかどうかを評価することは興味深い。高ストリンジェンシー条件にもかかわらず該株が完全には阻害されないことを考慮すると、我々は、メサラジンの共投与が、表7に示したようなメサラジン(0.84 g/L)の飽和濃度を用いてもプロバイオティクスの効力を損なう傾向はないと結論づけることができる:
表7
【表7】

【0084】
10.化学的に誘導される消化管炎症に対するインビボ効果
A)方法
軽度の消化管炎症に対する本発明の組成物の治療効果を、マウスにおいて硫酸デキストランナトリウム(DSS)の経口投与の5日間の反復投与により調べた(Okayasu I. et al., 1990)。短期間(5日)低用量(2.5-3%)で使用した場合、DSSにより、有意な肉眼的変化(例えば、結腸短縮、腸間膜の密着性)はないが、組織学的レベルで腸の炎症を有する軽度の大腸炎となる。
【0085】
外的症状は、体重減少および下痢を含み、稀に血便を含む。それ故に、このモデルは、軽度の潰瘍性大腸炎の代表的モデルである。
【0086】
株F1033、F2064およびF2076を、抗凍結剤として15%スキムミルクおよび4%シュクロースを含む滅菌水に凍結乾燥して等量(濃度比 1:1:1)で混合した。
【0087】
体重20-25gの8週齢の Balb/c マウス(Charles River, Barcelona, Spain)を、12時間の明/暗サイクルにて一定温度で(22℃)アイソレーター内に特定の病原菌不含(SPF)条件下で保持した(Harlan Iberica, Barcelona, Spain)。2匹のマウスは同腹子であった。マウスを、滅菌食餌(研究室の標準食餌;Harlan Iberica, Barcelona, Spain)および液体の飲用を自由に摂取させた。マウスを、実験開始前に7日間施設(隔離)に保持した。マウスを、4グループに分ける:a)本発明のプロバイオティクス組成物+DSS(n=8);b) VSL#3 (VSL Pharmaceuticals, USA)+DSS(n=8);c)ビヒクル+DSS(n=8);およびd)ビヒクル+健康なコントロール(n=6)。
【0088】
プロバイオティクス(またはビヒクル)を、DSS投与(0日)の開始前(-10日)に経口強制飼養により投与した。各マウスには、毎日、滅菌水(ビヒクル)(0.1 mL)中の2.5 x 108 cfusのプロバイオティクスを、強制飼養により与えた。非プロバイオティクス処置マウスは、同容量のビヒクル(15%スキムミルクおよび4%スクロースを含む蒸留水)を与えた。
【0089】
軽微な変更と共に(Okayasu I, et al. Gastroenterol 1990)先に記載した方法に従って、マウスを、5日間(0〜4日目、その後DSSなしで3日)、その飲料水に3%(w/v)DSS(mol. Wt 40kD, Applichem Lifescience, VWR, Barcelona)を含めて与えた。健康なコントロールにはDSSを全く投与しない。
【0090】
臨床的症状を毎日追跡した。疾患の活性インデックスを、以下の表に従って計算し、表を解釈する:
DAI=スコア体重減少 + スコア血便 + スコア便の粘性

結果を表8に示す:
表8
【表8】

【0091】
ここに使用した疾患の活性インデックススコアは、Cooperらによって初めて記述され、いくつかの臨床的兆候を一つの正規化スコアに組み合わせる(Cooper H. S. et al., 1993)。最大スコアは、12点である。このスコアを広範囲に使用して評価する、実験の処置の効力−それらの中のプロバイオティクス−IBDの動物モデル (Fitzpatrick L. R. et al., 2007; Grabig A. et al., 2006; Sasaki M. et al., 2005)。
【0092】
吸入ハロタン(Fluotane(登録商標), Zeneca Ltd, UK)の麻酔薬過剰投与により屠殺した後に、動物の結腸サンプルを収集して、冷PBSで洗浄した。結腸重量/長さの比率を記録した。サイトカイン測定値のためのサンプルを、液体窒素中で凍結させて、阻害剤タンパク質カクテル(Sigma-Aldrich Chem., Spain)を含む冷PBS(1 mL)中でホモジネートし、遠心分離した(15000 x g、10分間)。IL-6、IL-10、IL23p19、IFN-γおよびTNF-α濃度を、サイトカイン6-Plex アッセイ(ProcartaTM サイトカインProfiling Kit, PANOMICS, Spain)を用いて、Luminex(登録商標)Platform (Luminex(登録商標) Co, Austin, USA)のための結腸洗浄上清にて測定した。サイトカイン特異抗体を用いて予めスポットした蛍光の微粒子ビーズを、1:5 希釈した上清(50 μL)と共にインキュベートした。特異的ビオチン化二次抗体およびストレプトアビジン-フィコエリスリン(S-PE)を順次添加した。データを、サイトカイン pg /タンパク質 mg (Quick Start Bradford Protein Assay, BIO-RAD, CA, USA)として表した。全ての測定を2回行った。
【0093】
B)結果
疾患の活性インデックス
図2に示したとおり、本発明のプロバイオティクス製剤を受容する群は、疾患の活性インデックスにより評価したとおり(p<0.05、Tukey-Kramer post-hoc検定による両側ANOVA)、DSS処置コントロールと比較した場合に、臨床症状の有意な改善を示した。健康なコントロールは低い疾患活性インデックスも示した(p<0.05)。
【0094】
サイトカインレベル
腸粘膜内の多様なサイトカイン分析により、本発明のプロバイオティクス製剤は、DSS処置コントロール(p<0.01、Tukey-Kramer post-hoc検定による両側ANOVA)と比較した場合に、有意にIL-6を低下したが、一方で市販のプロバイオティクス製剤 VSL#3 の効果は有意差に達しない(p>0.05)ということが明らかとなった。IL-6は、急性の炎症マーカーである(図3)。予測どおり、健康なコントロールにおけるIL-6のレベルは、DSS処置コントロール(p<0.05)よりも有意に低かった。統計的に有意な相関関係を、腸粘膜内における臨床的症状(DAIスコア)およびIL-6レベルとの間に見出した(p< 0.05、Spearman 順位検定)(データ示さず)。一方、臨床的症状およびIL-10、IL-23、TNF-γまたはIFN-αの間の相関関係は、統計的には有意ではなく、本発明のプロバイオティクス製剤は、これらのサイトカインレベルに有意に影響しなかった。
【0095】
11.自然発生消化管炎症に対するインビボ効果
A)方法
本発明のプロバイオティクス製剤の治療効果は、IL-10ノックアウトマウスモデルにおいて調べた。このモデルは、腸炎症を、8〜12週齢で80-90%の浸透度にて自然発症する(Scheinin T. et al., 2003)。インターロイキン10(IL-10)は、マクロファージ/単球、Tヘルパー1(Th1)細胞、および天然キラー細胞のエフェクター機能を抑制する重要な調節性サイトカインである。さらに、IL-10は、B細胞の増殖および分化を増大させる。IL-10遺伝子欠損ネズミモデルは、炎症性腸疾患および胃腸腫瘍を自然発症させる。無菌動物は疾患を発症しないので、胃腸叢はこれらの疾患状態の病原に関与していると見なされている。IL-10ノックアウトマウスは、IBDに対する治療の新規選択肢を評価するために広く使用されている。
【0096】
6週齢のC57B6J IL-10-欠損または野生型マウス(Charles River, Barcelona, Spain) を、12時間の明/暗サイクルにて一定温度(22℃)で、特定の病原不含(SPF)条件下でアイソレーター内に保持した(Harlan Iberica, Barcelona, Spain)。マウスを、滅菌食餌(マウスの保持についてAIN-93を基にした食事は、12%の水、14.5%のタンパク質、4%の脂肪、4.5%の食物繊維および4.7%の灰分により構成される;Harlan Interfauna Iberica S.A., Barcelona, Spain)および液体の飲用を自由に摂取させた。
【0097】
マウスを、3群に分配した:a)プロバイオティクス製剤 I.3.1 (n=12 IL-10-/-; n=5 野生型);b)VSL#3 (n=12 IL-10-/-; n=5 野生型);およびc)ビヒクル (n=12 IL-10-/-; n=5 野生型)。各群のマウス「a」および「b」に、滅菌飲用水(ビヒクル)中に10 CFU のプロバイオティクスを毎日与えた。非プロバイオティクス処置マウス(プラセボ群)に、ビヒクル単独を与えた。プロバイオティクス(またはビヒクル)を10週間投与した。臨床的症状を、毎日追跡した。疾患の活性インデックス(Cooper H. S. et al., 1993)をDSS誘導性消化管炎症モデル(上記を参照されたい)において計算した。
【0098】
16週齢マウスを、吸入ハロタン(Fluotane(登録商標), Zeneca Ltd, UK)の麻酔薬過剰量投与により屠殺した。動物の結腸サンプルを回収し、冷PBSで洗浄した。血液サンプルもまた、心臓穿刺により採血し、へマトクリット値およびヘモグロビン濃度(Coulter MaxM Analyzer with autoloader, Izasa, Spain)を分析した。結腸重量/長さの比率を記録した。次いで、結腸を、液体窒素内で凍結させて、サイトカインIL-6およびIFNγを、DSS誘導性消化管炎症のモデル(上記を参照されたい)と同じプロトコールを用いて測定した。
【0099】
B)結果
疾患の活性インデックス
図4に示したように、臨床的症状の開始時の有意な遅延を、ビヒクル処置コントロール(p<0.01、Tukey-Kramer post-hoc 検定を用いる両側ANOVA)と比較した場合に、本発明の組成物およびVSL#3 市販製剤により処置される群の双方で観察した。さらに、この相違は有意ではなかったが、処置群はより低い疾患の活性インデックススコアを提示する傾向があった(データ示さず)。
【0100】
サイトカインレベル
様々なサイトカインの分析により、ビヒクル処置ノックアウト(p<0.01、Dunn post-hoc 検定を用いる両側ノンパラメトリックANOVA)および市販製剤 VLS#3 (p<0.05)の双方を比較した場合に、本発明のプロバイオティクス組成物が、ノックアウトマウスにおいてIFN-γレベルを有意に低下したことが明らかとなった。事実、図5に示したとおり、IFNγレベルは、野生型の健康なコントロールのレベルと同じレベルにまで減衰した。さらに、図6から得られるようなこの結果は、ビヒクルノックアウトマウスにおいて、大きな標準偏差のために有意に達しなかったが、プロバイオティクス製剤がIL-6のレベルを減少させるという明らかな傾向があった。
【0101】
屠殺後に測定した結腸粘膜における試験終了時の、臨床的症状の重症度(疾患の活性インデックス)およびIFNγのレベルの間に有意な相関関係を見出した(p<0.05, Spearman 順位検定)(データ示さず)。
【0102】
プロバイオティクス製剤の安全性
本発明のプロバイオティクス製剤、VSL#3 製剤またはビヒクルの投薬を毎日受容した野生型マウスにおける臨床的症状(体重減少、変化した挙動、被毛の態様、下痢および血便)を、10週間毎日追跡した。罹患症状は試験中観察されなかった。屠殺により、動物を、肉眼的剖検時に供した。全ての主な体腔および組織の分析からは、いずれの病理学的変化も見られなかった(データ示さず)。
【0103】
12.IBS対象に対するインビボ効力
A)方法
試験設計
IBS患者に対する本発明の組成物の効果を試験するために多角的無作為二重盲検プラセボ制御臨床試験を行った。
【0104】
ヒドロキシメチルプロピルセルロース カプセルを以下のもので充填した:(1)マルトデキストリン(150 mg)、(2)ステアリン酸マグネシウム(5 mg)、(3)シリコンジオキシド(5 mg)および(4)1:1:1の本発明の3つの株の混合物(200 mg)(5・1010 cfus/カプセル剤の濃度で)。さらに、本発明の組成物を含まないが、該充填物と同じ種類および量を有するプラセボを作成した。試験をとおしてカプセルの量は、5・1010〜1・1010 cfusの範囲であった。
【0105】
過敏性腸症候群について、Rome III 基準(Longstreth G. F. et al., 2006)に合致する両性別に33人の適合成人患者を登録し、6週間の間以下の処置の一つに無作為に振り分けた:a)1日に1回、本発明の組成物を含むカプセル(n=18);およびb)1日に1回、プラセボカプセル(n = 15)。試験を、治験のためのヘルシンキ宣誓書(Helsinki Declaration)に従って行い、適切な倫理委員会により承認された。
【0106】
効力評価
この試験の一次エンドポイントは、健康に関連した生活の質(以後、IBSに対する特定の問診表を用いて評価した「HRQOL」と言われる):IBSQOL問診表の有効なスペイン版(Badia X. et al., 2000)に対する大規模な結果であった。スペインの消化器学会によるガイドラインに従って、スコアを、0-100スケールに標準化した。二次エンドポイントは、評価した内臓の感受性インデックス質問表(以後「VSI」という)(Labus J. S. et al., 2004)を用いる胃腸感覚および症状に関する懸念についての評価であった。登録者(volunteer)に、ベースライン(1日目)、21日目および42日目に質問表の記入を依頼した。データを、分析を処理する意図について評価した。この結果を図7および8に示す。
【0107】
B)結果
ベースラインの特徴
表9に見られるとおり、両群における対象は変数評価に対して同等であったことを示し、ベースラインの特徴に関して群間で有意差は明らかではなかった。また、該群は、ベースライン標準の血液の生化学的パラメーター、身体測定パラメーター、年齢および性別に関して同等であった。
【0108】
表9:2つの処置群についてのベースラインスコア
【表9】

【0109】
健康に関連する生活の質の改善(図7)
本発明の組成物は、プラセボと比較して、処置の21日および42日後の双方を評価した場合に(p<0.05、T検定)、健康に関連した生活の質を有意に改善した。従って、本発明の組成物は、有意に運動性を低下し、プラセボ効果よりも大きくIBS対象の生活の質を改善する。該組成物の正の効果は、HRQOL質問表における、日々の活動における食品関連の苦痛、心配、支障および睡眠障害領域を包含する。これら尺度の改善とは、腹痛、不快症状および排便習慣の変化の低減を示唆する。我々の知識に対して、これはIBS患者の全般的な健康に関連した生活の質に対して有意な効果を示すプロバイオティクス組成物を提示する初めてのものである。
【0110】
内臓の感受性インデックスにおける改善(図8)
本発明の組成物は、プラセボと比較して、IBS対象の胃腸症状-特異的な内臓感受性を有意に低下した。該効果は、処置21日後に有意に近づき、処置42日後には明らかに有意であり(p< 0.01、T検定)、またIBSを処置する際に本発明の組成物の有用性を確認する。最も目立った改善は、質問表において、腹部の不快症状および膨満に関連した項目に見られる。特に、表10は、該処置の終了時に、膨満および膨張に関する有意な改善(膨満および膨張に関する懸念を測定するVSI質問表の6点の尺度において、ベースラインと比較して少なくとも2点の増加により規定される)を報告する対象者数を示す。この2群間の差異は統計的に有意である(p<0.05、Fisherの正確確率検定)。
【0111】
表10.処置42日後のVSI質問表に従う腹部の膨満および膨張に関する懸念に対する効果
【表10】

【0112】
得られた結果から、本発明の組成物は、腹部膨満および膨満を処置する際に効果的であると結論づける。
【0113】
13. 腹部の膨満および低下された腸運動に対する効果
25歳の女性は、慢性の腹部膨満および小腸運動性の変化に罹っており、1週間あたりにわずかな腸運動を時折報告する。診断から、胃腸管中の他の構造変化の形跡はなく、低張かつ運動不全性の胃が明らかとなった。
【0114】
患者は、一つのカプセル/日(実施例12に記述したとおり)の処置を開始した。処置一週間後、患者は、腹部の膨満および膨張についての有意な低下および排便習慣の正常化を報告した。数日間処置を停止した後に、症状が再び出現した。2日毎に1つのカプセルの形態で処置を再開した後、該患者は、膨満および排便習慣の双方に対して有意かつ長期間継続する正の効果を再び報告した。
この実施例は、過敏性腸症候群を有すると分類されない対象における腹部の膨満および小腸運動性変化を処置するための本発明の組成物の使用をさらに支持するものである。
【0115】
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WO96/29083
EP 554418
EP 415941
US 7195906
【図1−1】

【図1−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の Lactobacillus plantarum CECT 7484、Lactobacillus plantarum CECT 7485、および Pediococcus acidilactici CECT 7483、またはその突然変異体あるいは改変体を含む、組成物。
【請求項2】
有効量の Lactobacillus plantarum CECT 7484、Lactobacillus plantarum CECT 7485、および Pediococcus acidilactici CECT 7483を含む、組成物。
【請求項3】
プロバイオティクスとして使用するための、請求項1-2の何れか一項に記載の組成物。
【請求項4】
医薬として使用するための、請求項1-2の何れか一項に記載の組成物。
【請求項5】
免疫調節剤として使用するための、請求項1-2の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
腸炎症の予防および/または治療において使用するための、請求項1-2の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
腸炎症の予防および/または治療のための医薬の製造のための、請求項1-2の何れか一項に記載の組成物の使用。
【請求項8】
炎症性腸疾患の予防および/または治療における、請求項6に記載の組成物または請求項7に記載の使用。
【請求項9】
過敏性腸症候群の予防および/または治療において使用するための、請求項1-2の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
腹部膨満および膨張の予防および/または治療における使用のための、請求項1-2の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1-2の何れか一項に記載の有効量の組成物を、好適な量の医薬上許容し得る賦形剤と共に含む、医薬品。
【請求項12】
請求項1-2の何れか一項に記載の有効量の組成物を、好適な量の獣医学上許容し得る賦形剤と共に含む、動物用医薬品。
【請求項13】
請求項1-2の何れか一項に記載の有効量の組成物を、好適な量の他の食用成分と共に含む、食品。
【請求項14】
栄養補助食品である、請求項13に記載の食品。
【請求項15】
寄託番号 CECT 7484としてスペイン微生物株保護機関(Spanish Type Culture Collection)に寄託されたLactobacillus plantarumの株、またはその突然変異体あるいは改変体。
【請求項16】
寄託番号 CECT 7485としてスペイン微生物株保護機関に寄託された Lactobacillus plantarumの株、またはその突然変異体あるいは改変体。
【請求項17】
寄託番号 CECT 7483としてスペイン微生物株保護機関に寄託されたPediococcus acidilacticiの株、またはその突然変異体あるいは改変体。
【請求項18】
ヒトにおける胃腸の疾患の予防および/または治療において使用するための Pediococcus acidilactici 株。
【請求項19】
腸炎症の予防および/または治療において使用するための、請求項18に記載のPediococcus acidilactici
【請求項20】
胃腸の疾患が炎症性腸疾患(IBD)である、請求項19に記載のPediococcus acidilactici
【請求項21】
過敏性腸症候群(IBS)の予防または処置における使用のための、請求項18に記載のPediococcus acidilactici
【請求項22】
腹部膨満および膨張の処置における使用のための、請求項18に記載のPediococcus acidilactici
【請求項23】
寄託番号 CECT 7483株としてスペイン微生物株保護機関に寄託されたPediococcus acidilacticiの株である、請求項18-22のいずれか一項記載のPediococcus acidilactici

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−517784(P2013−517784A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550449(P2012−550449)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051170
【国際公開番号】WO2011/092261
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512197744)アベ−バイオティックス・ソシエダッド・アノニマ (1)
【氏名又は名称原語表記】AB−BIOTICS S.A.
【Fターム(参考)】