説明

腹巻

【課題】 コルセットなどに多用されているボーンに着目し、これを腹巻にうまく適合させることによって、腹巻としての保温性や機能性を損なうことなく、装着中の捲れやずれ落ちを確実に防止する。
【解決手段】 腹巻本体11の上下方向の略中央部の横方向ラインLと上端縁11aとの間に、少なくとも2本以上のボーン12が横方向に所定の間隔を存して上下方向に沿って取り付けられている。このボーン12は背中側に設けられており、ボーン12の下端部12aの位置である横方向ラインLは、腹巻本体11を腹部に装着したときのウエストラインにほぼ一致する位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹部に装着して使用する腹巻に係り、より詳細には、装着中の捲れやずれ落ちを防止した腹巻に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、腹巻に関連する発明は種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、姿勢を正して歩行を楽するために、腰に当たる部分に弾力のあるボードを付着させた健康器具としての腹巻が記載されている。また、特許文献2には、ベルト部材の略中央部に有クッション性の枕状弾性腰パッド部材を備えた腹巻が記載されている。さらに、特許文献3には、帯体の中央部分に超音波振動子が固着され、これらの超音波振動子に発振電力を供給する発振電源回路が固着された腹巻が記載されている。この他にも、電気腹巻(特許文献4)や発汗吸湿作用を有する腹巻(特許文献5)など、種々の機能を有する腹巻が提案されている。
【0004】
一方、腹部に装着して使用するのは同じであるが、腹部の保温を目的とする腹巻とは異なり、姿勢の矯正や腰の保護を目的としたコルセットも種々提案されている。このようなコルセットでは、通常、装着時の腰部を安定させるために、コルセット本体の上端縁から下端縁までに至るボーンが、胴周りに多数設けられている。
【特許文献1】特開2000−042015号公報
【特許文献2】特開平09−224966号公報
【特許文献3】特開平07−145501号公報
【特許文献4】特開2002−309413号公報
【特許文献5】特開平08−113803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来提案されている腹巻は、腹巻自体の改良といった観点ではなく、これに新たな機能を付加することが主体となっている。
【0006】
一方、従来の腹巻は、単に腹巻自体の収縮性のみによって腹部に密着させる構造であるため、装着中に腹巻の上端部が捲れたり、ずれ落ちたりするといった問題があったが、この点に関する改良については、従来ほとんど考慮されていないのが現状である。
【0007】
一方、このような捲れやずれ落ち防止策としては、上記したコルセットのように、腹部をより強く締め付けることである程度可能であるが、腹巻の目的はあくまで腹部の保温であり、コルセットのように締め付けが強過ぎるのは腹巻として不適当である。また、腹巻は、保温とともに動き易さといった機能性も重要視されるが、コルセットの目的は腹巻とは全く逆の腰部の安定であり、その目的のためにボーンが入れられている。
【0008】
本発明は上記した腹巻の有する現状の問題点を考慮して創案されたもので、その目的は、コルセットなどに多用されているボーンに着目し、これを腹巻にうまく適合させることによって、腹巻としての保温性や機能性を損なうことなく、装着中の捲れやずれ落ちを確実に防止し得る構造の腹巻を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の腹巻は、腹巻本体の上下方向略中央部の横方向ラインと上端縁との間に、少なくとも2本以上のボーンが横方向に所定の間隔を存して上下方向に沿って取り付けられていることを特徴とする。ここで、前記ボーンは、具体的には背中側に設けられており、前記ボーンの下端部位置である前記横方向ラインは、腹巻本体を腹部に装着したときのウエストラインにほぼ一致する位置となるように設けられている。
【0010】
すなわち、本発明の腹巻の特徴は、ボーンをコルセットのように矯正機能として使用するのではなく、捲れやずれ落ちを防止するものとして使用している点であり、かつ、機能性を損なうことのないようにその配置位置や配置長さを考慮した点である。
【0011】
腹巻は、どのような体形の人にも安定的に装着できるようになっている必要がある。その観点からすると、やせている人と太っている人の胴部分の体形に共通しているのは、腹部側ではなく背中側であり、背中から腰の部分を経由して臀部までに至るラインが、ウエストライン付近でくびれていることである。
【0012】
本発明はこの点に着目してボーンを配置している。すなわち、ボーンは背中側に設けられており、ボーンの下端部位置は、腹巻本体を腹部に装着したときのウエストラインにほぼ一致する位置となるように設けられている。これにより、胴部に装着している腹巻が下方にずれそうになっても、ボーンの下端部がウエストラインのくびれ部分に当接し、臀部側へずれ落ちるのが防止されることになる。また、ボーンは背中側にのみ設けられており、かつ、ウエストラインまでであるため、例えば前屈等を行う場合でも、ボーンが邪魔になることはない。すなわち、腹巻としての機能性は十分に保たれている。また、ボーンは腹巻の上端縁まで配置されているので、腹巻本体の上端部、特に背面側の上端部が捲れるといった不具合も発生しない。
【発明の効果】
【0013】
本発明の腹巻は、上記のように構成したので、上端部の捲れや、装着している腹巻自体のずれ落ちを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の腹巻1を示しており、(a)は斜視図、(b)は背面図である。
【0016】
本実施形態の腹巻1は、全体が伸縮性を有する素材からなり、筒形状に形成されている。このような腹巻の素材としては、従来のコルセットやガードルと同じ素材のものを使用してもよいし、従来の腹巻のように毛糸を使用してもよい。すなわち、毛糸で編み上げた腹巻にも本発明を適用することが可能である。
【0017】
この腹巻1は、筒形状に形成された腹巻本体11と、腹巻本体11の上下方向略中央部の横方向ラインLと上端縁11aとの間に、少なくとも2本以上(本実施形態では3本)のボーン12が、横方向に所定の間隔を存して、上下方向に沿って取り付けられている。
【0018】
このボーン12は、背中側に設けられている。具体的には、背中の中央部に1本設けられており、この中央部の1本を介して左右対称位置に1本ずつ、計3本設けられている。ただし、ボーン12は、少なくとも2本設けられていればよい。2本設ける場合には、背中の中央部の1本を除去した配置位置となる。また、4本以上設けてもよいが、腹巻としての装着感や動き易さといった機能性を考慮すると、ボーンの数はあまり増やさない方がよい。本実施形態の3本程度が最適な本数である。
【0019】
また、このボーン12の下端部12aの位置、すなわち、横方向ラインLの位置は、図2に示すように、腹巻本体11を腹部に装着したときのウエストラインWLにほぼ一致する位置とする。
【0020】
図3(a),(b)に示すように、やせている人と太っている人の胴部分の体形に共通しているのは、背中31から腰の部分32を経由して臀部33までに至るラインが、ウエストラインWL付近でくびれていることである。従って、ボーン12の下端部12aの位置は、腹巻本体11を腹部に装着したときのウエストラインWLにほぼ一致する位置となるように設けられている。
【0021】
これにより、胴部に装着している腹巻が下方にずれそうになっても、ボーン12の下端部12aがウエストラインWLのくびれ部分に当接し、臀部33側へずれ落ちるのが防止されることになる。また、ボーン12は背中側にのみ設けられており、かつ、ウエストラインWLまでであるため、例えば前屈等を行う場合でも、ボーン12が邪魔になることはない。
【0022】
なお、上記実施形態では、腹巻本体11が最初から筒形状のものを例示しているが、例えば図4に示すように、腹巻本体11は、腹部に巻き付けて装着する全体が横長の帯状に形成されており、この腹巻本体11の左右両側部に係止手段(両面テープ等)52が設けられた構造であってもよい。すなわち、この係止手段52で係止することで、図1に示すような筒形状の腹巻とする構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る腹巻を示しており、(a)は斜視図、(b)は背面図である。
【図2】腹巻を腰部に装着した状態を示す背面図である。
【図3】腹巻を腹部に装着した状態を示す側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る腹巻を示しており、(a)は正面図、(b)は斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 腹巻
11 腹巻本体
11a 上端部
12 ボーン
12a 下端部
L 横方向ライン
WLウエストライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹部に装着して使用する腹巻であって、腹巻本体の上下方向略中央部の横方向ラインと上端縁との間に、少なくとも2本以上のボーンが横方向に所定の間隔を存して上下方向に沿って取り付けられていることを特徴とする腹巻。
【請求項2】
前記ボーンは、背中側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の腹巻。
【請求項3】
前記ボーンの下端部位置である前記横方向ラインは、腹巻本体を腹部に装着したときのウエストラインにほぼ一致する位置である請求項2に記載の腹巻。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−274498(P2006−274498A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97109(P2005−97109)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(594208318)ウイズ株式会社 (13)
【Fターム(参考)】