説明

腹腔鏡ポートアセンブリ

【課題】本発明は、手術用ポートアセンブリを提供すること。
【解決手段】手術用ポートアセンブリは、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体であって、本体は、切開における本体の配置時に、患者の皮膚表面に実質的に横断的に配向される主軸を有する、本体と、軸に実質的に横断的に本体に装着される主要な第1の板であって、第1の開口部および第2の開口部を有する、第1の板と、主軸に実質的に平行である補助軸の周りを回転するために、第1の開口部に回転可能に配置される第2の板と、第2の板に取り付けられ、かつ第2の板から離れるように少なくとも1つの方向に延出する少なくとも1つの第1の管状部材と、第2の開口部において第1の板に取り付けられ、第1の板から離れるように少なくとも1つの方向に延出する第2の管状部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、手術用ポートアセンブリに関する。本発明のポートアセンブリは、全面的に臍部を介する腹腔鏡手術等の低侵襲外科手術において特に有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
腹部の腹腔鏡手術は、従来の(開腹)手術よりも胆嚢の腹腔鏡下摘出の利益が明白になった1980年代後半において普及した。術後の回復期間の短縮、術後疼痛および創傷感染の顕著な減少、ならびに整容性評価の改善は、腹腔鏡手術に関して十分に確立された利益であり、これは、主に、体腔壁のより小さな切開を利用して手術を行なう腹腔鏡外科医の能力から引き出される。
【0003】
腹腔鏡手術は、概して、約15mmHgの圧力までCOガスによる腹腔の注入を伴う。腹壁を穿刺し、次いで、直径が5mm〜10mmの直線的な管状カニューレまたはトロカールスリーブを腹腔に挿入する。手術室用モニタに接続される腹腔鏡テレスコープは、手術野を視覚化するために使用され、トロカールスリーブの(うちの1つ)を介して配置される。腹腔鏡器具(把持器具、解剖器具、はさみ、開創器具等)は、外科医および外科の助手による操作のために、2つ以上の追加のトロカールスリーブを介して配置される。
【0004】
近年、直径が2mm〜3mmの直線状トロカールスリーブおよび腹腔鏡器具を利用するいわゆる「小型腹腔鏡検査」が導入されている。成功すると、小型腹腔鏡検査によって、腹壁外傷のさらなる低減および整容性の改善が可能になる。しかしながら、小型腹腔鏡手術に使用する器具は、概して、より高価であり、かつ壊れ易い。小さい直径に起因するこのような性能限界(吸引/刺激の弱いシステム、耐久性不足、映像画質の低下)により、小型腹腔鏡器具は、概して、好ましい解剖学的構造(薄い中空壁、いくつかの接着、最小限の炎症等)を有する選択された患者にのみ使用可能である。このような患者は、腹腔鏡手術を必要とする患者のうちの低い割合でしかない。加えて、より小さい2mm〜3mmの切開であっても、依然として、不要な整容性評価および創傷合併症(出血、感染、疼痛、ケロイド形成等)を引き起こす可能性がある。
【0005】
より小さくかつより少ない体腔切開に関する利益は証明されているため、臍部における単一切開のみを利用する手術を実行することが注目され得る。臍部は、腹壁の中で、最も薄くかつ最も血管が少なく、十分に隠れた部位である。臍部は、概して、腔鏡手術における腹腔侵入について好適な選択である。臍部切開は、整容性を大幅に妥協せずに、また、創傷合併症の機会を増やさずに、容易に拡大可能である(より大きな標本を取り出すために)。2つ以上の標準的な(直線状)カニューレおよび腹腔鏡器具を臍部において隣接して配置すると、いわゆる「箸」効果がもたらされ、この効果は、外科医の手と器具との間の干渉ならびに器具間の干渉を表現する。この干渉は、上述の手術を実行する外科医の能力を大幅に低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、臍部のみを介して実行すると同時に、「箸効果」を低減または排除する腹腔鏡を可能にする器具およびトロカールシステムの必要性が存在する。本発明のある実施形態に従う腹腔鏡器具およびトロカールシステムを使用して、臍部のみを介して行なわれる腹腔鏡手術によって、必要な診断業務および治療業務が達成可能になるとともに、さらに、腹壁外傷の最小化および整容性の改善が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、具体的には腹腔鏡手術を含む外科手術の実行のためのカニューレまたはポートアセンブリを対象とする。本発明は、概して、腹腔鏡手術中の患者の内蔵器官へのアクセスを改善または容易にする問題に対処する。より具体的には、本発明は、腹腔鏡の外科手術の実行を容易にし、いくつかの腹腔鏡器具は、それぞれのカニューレを介して患者に挿入され、それぞれのカニューレは、全て、患者における同一の開口部、例えば、臍部を貫通する。このような動作の利点は、患者に対する外傷を最小化することと、患者の回復を促進することにある。同時に、本発明は、複数の腹腔鏡器具が臍部を介して配置される場合に、外科医の手のための作業空間を拡大するポートアセンブリを企図する。
【0008】
本発明に従う手術用ポートアセンブリの第1の実施形態は、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体を備える。本体は、切開における本体の配置時に、患者の皮膚表面に実質的に横断的に配向される主軸を有する。さらに、ポートアセンブリは、主要な第1の板、第2の板、少なくとも1つの第1の管状部材、および第2の管状部材を備える。第1の板は、第1の開口部および第2の開口部を有し、軸に実質的に横断的に本体に装着される。第2の板は、好ましくは主軸に実質的に平行である補助軸の周りで回転するために、第1の開口部に回転可能に配置される。第1の管状部材は、第2の板に取り付けられ、第2の板から離れるように少なくとも1つの方向に延出する。第2の管状部材は、第2の開口部において第1の板に取り付けられ、第1の板から離れるように少なくとも1つの方向に延出する。
【0009】
ポートアセンブリの本体は、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側に向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する。ポートアセンブリの一代替設計に関して、第1の管状部材は、本体の外側において、第2の板から離れるように上側または外側のみに延出する。好ましくは、第1の管状部材は、全てが第2の板に取り付けられ、かつ本体の外側において第2の板から離れるように上側または外側のみに延出する複数の第1の管状部材のうちの1つである。本設計の特定の特徴によると、第1の管状部材のうちの少なくとも1つは、少なくとも第2の板への取り付け点において可撓性であり、第1の管状部材のうちの少なくとも1つに挿入される手術用器具の第2の板における枢動(横断軸の周りの)および旋回(長手方向軸の周りの)が可能になる。第1の管状部材の各々には、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断する場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる。
【0010】
ポートアセンブリの別の代替設計に関して、第1の管状部材は、本体の内側において、第2の板から離れるように下側または内側にのみ延出する。好ましくは、本設計において、第1の管状部材は、全てが第2の板に取り付けられ、かつ本体の内側において第2の板から離れるように下側または内側のみに延出する複数の第1の管状部材のうちの1つである。本代替設計の特定の特徴によると、第1の管状部材のうちの少なくとも1つは、少なくとも第2の板への取り付け点において可撓性であり、第1の管状部材のうちの少なくとも1つに挿入される手術用器具の第2の板における枢動および/または旋回(ねじれ)が可能になる。前述のように、第1の管状部材の各々には、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断する場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる。
【0011】
本発明の追加の特徴に関して、第2の板は、ドーム状であり、第2の板は、第1の板に着脱可能に取り付けられる。
【0012】
本発明に従う手術用ポートアセンブリの第2の実施形態は、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体であって、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側を向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する本体を備える。少なくとも1つの管状部材は、管状部材が本体の内側にのみ配置されるように、本体から下側または内側に懸垂する。
【0013】
好ましくは、下方に懸垂する管状部材は、管状部材が本体の内側にのみ配置されるように、本体から下側または内側に全てが懸垂する複数の管状部材のうちの1つである。好ましくは、管状部材のうちの各々には、手術用器具シャフトがこのような管状部材を長手方向に横断する場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具シャフトがこのような管状部材を長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる。
【0014】
下方に懸垂する管状部材は、弾性材料から部分的にまたは全体的に作製され得る。好ましくは、管状部材は、少なくとも上側端部において傾斜可能である。
【0015】
本発明のさらなる特徴によると、下方に懸垂する管状部材の各々には、内面に沿って、管状部材の各々が本体への取り付け点の周りを枢動可能であるように配置される剛性スリーブが設けられる。
ポートアセンブリの本体は、漏斗形状を有し得る。この場合、管状部材は、その先端部において漏斗形状に取り付けられる。漏斗形状は、円形、楕円形、卵形、または他の断面を有し得る円錐台であり得る。
【0016】
本発明のこの第2の実施形態では、ポートアセンブリの本体の外側には、上側または外側に延出する管状カニューレ部材が存在せず、縁部分と、縁部分によって囲まれる板とを備え、管状部材は、板に連結され、板の内側にのみ延出する。縁部分は、患者の皮膚表面上に着座し、接着剤を介してそこに取り付けられ得る。代替として、縁部分は、皮膚表面における切開に少なくとも部分的に挿入される。いずれの場合においても、縁部分は、円形または環状構成を有し得る。
【0017】
1つ以上の下方に懸垂する管状部材は、ポートアセンブリの本体に取り外し可能に取り付けられ得る。この場合、1つまたは複数の管状部材は、本体における開口部において本体に取り外し可能に取り付けられる結合部材に固定される。ポートアセンブリは、開口部から結合部材を取り除く際に、開口部を一時的にシールするためのプラグをさらに備え得る。
【0018】
本発明の別の特徴に関して、単一の下方に懸垂する管状部材または多数の下方に懸垂する管状部材のうちの1つは、自由端においてカメラを担持する。カメラを担持する管状部材には、それぞれの管状部材の自由端およびカメラの配向を変更するために、ポートアセンブリの外側または上側から作動可能である指向性ケーブルが設けられ得る。
【0019】
手術用ポートアセンブリの第3の実施形態は、本発明によると、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体であって、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側を向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する本体を備える。漏斗状延長部が、本体の外側に提供される。漏斗状延長部を含む本体は、ある弾力性および可撓性を含む剛性金属材料またはポリマー材料または強靱弾性材から作製され得る。
【0020】
皮膚表面を介する手術用ポートアセンブリ(上述の第2の実施形態等)の配置のための閉塞具は、本体部材と、ポートアセンブリ上の恊働ロック形成部と解放可能に係合可能である本体部分上のロック形成部と、本体部材上の少なくとも2つの指接触表面であって、本体部材へのトルクの手動適用を可能にするために、実質的に反対方向を向く指接触表面と、皮膚表面を貫通するために、指接触表面とは反対の、その側面における本体部材から離れるように延出する少なくとも1つの細長い剛性部材とを備える。
【0021】
剛性部材は、皮膚表面を貫通するために、指接触表面とは反対の、その側面における本体部材から離れるように延出する複数の平行の細長い剛性部材のうちの1つであり得る。閉塞具の多数の剛性部材は、上述の第2のポートアセンブリ実施形態のそれぞれの下方に懸垂する管状部材に挿入される。従って、閉塞具の剛性部材は、低侵襲外科手術、例えば、腹腔鏡手術または胸腔鏡手術の開始時にポートアセンブリが配置される際に、管状部材を補強および保持する役割を果たす。
【0022】
したがって、閉塞具が、手術用ポートアセンブリをさらに備える手術用アクセスアセンブリまたはキットの構成要素であることが企図され、手術用ポートアセンブリは、(a)切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能であるポートアセンブリ本体であって、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側を向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する本体と、(b)管状部材が本体の内側にのみ配置されるように、ポートアセンブリ本体から下側または内側に全てが懸垂する複数の弾性管状部材であって、細長い剛性部材のうちのそれぞれの1つを収容する管状部材とを含む。
【0023】
ロック形成部は、本体部材または閉塞具上に突起部を含み得るか、またはポートアセンブリ上に陥凹部を含み得る。本体部材は、円板の形態を取り、円板には、注入管の通過を可能にするための少なくとも1つの切欠部が設けられる。
【0024】
本発明の一実施形態に従う手術用ポートアセンブリは、本体部材およびスカート部材を備える。本体部材は、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能であり、本体は、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側を向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する。スカート部材は、少なくとも部分的に可撓性であり、その内側において本体に取り付けられる。
【0025】
本発明に従う手術用ポートアセンブリの本実施形態は、本体に挿入可能であり、かつ配置手順中に本体を横断するトロカール部材をさらに備え得る。スカート部材は、折り曲げまたは折り畳み挿入構成を有し、スカート部材は、配置手順中に、トロカール部材に解放可能に取り付けられる。スカート部材の一部分は、折り畳み構成にスカート部材を保持するために、トロカール部材におけるスロットに着脱可能に挿入され得る。
【0026】
スカート部材は、テーパ状の拡張構成を有してもよく、本体部材とは反対のスカート部材の自由端は、本体部材に取り付けられるスカートの端部よりも大きい横方向寸法を有し得る。
【0027】
スカート部材は、折り畳み挿入構成から拡張使用構成に拡張するために、可撓性の網部材と、網部材に連結される弾力性支持ワイヤとを含み得る。
【0028】
スカート部材は、より剛性の領域が挿入配置または交互配置される可撓性ストリップ領域を含み得る。
【0029】
本発明の追加の特定特徴に関して、本体部材は、円筒状部分と、円筒状部分の上側または近位側におけるドームと、円周方向または環状の円板状フランジとを含んでもよく、ドームは、腹腔鏡または胸腔鏡器具シャフトならびに腹腔鏡または内視鏡の通路のための複数の開口部を含んで形成される。スカート部材は、本体の円筒状部分を係合する円筒状区分を含み、テーパ状または円錐状部分をさらに含む。
【0030】
本発明に従う関連する手術用ポート要素は、可撓性材料から少なくとも部分的に作製されるスカートと、皮膚表面における開口部において患者に着脱可能に取り付け可能であるカニューレまたは器具ホルダにスカートを取り付けるための手段とを備え、スカートは、折り畳み挿入構成および拡張使用構成を有する。
【0031】
手術用ポート構成要素は、複数の円筒状区分またはフラップによって形成される円筒状部分を含む本体を備える。本体は、リング状基部部材をさらに含み、円筒状区分またはフラップは、基部部材に揺動可能に結合される。円筒状区分またはフラップは、少なくとも実質的に剛性材料から作製され、基部部材には、可撓性カニューレポート部材の円筒状本体の遠位端または下側端の中に収容可能である少なくとも1つの上側または近位に延出する弓状フランジ区分が設けられる。少なくとも部分的に可撓性スカートは、例えば、円筒状区分またはフラップの上に適合されるスカートの円筒状近位スリーブ区分によって、ポート構成要素の本体に結合され得る。
【0032】
本発明に従う別の手術用ポートアセンブリは、本体部材および可撓性内視鏡アームを備える。本体部材は、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能であり、本体部材は、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側を向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する。可撓性の内視鏡アームは、本体部材に連結され、かつ本体部材の下側から延出する。内視鏡アームは、遠位端においてデジタルカメラを組み込み、カメラは、内視鏡アームにおけるケーブルを介して操作可能であり、内視鏡アームは、近位端において、カメラの動作を可能にする内視鏡機能モジュールに動作可能に連結可能である。
【0033】
本発明に従う胸腔鏡手術用ポートアセンブリは、(a)下側にテーパ状である実質的に可撓性の上側部分または近位部分と、(b)上側部分または近位部分に連結される上側にテーパ状である実質的に可撓性の下側部分または遠位部分とを備える。下側部分または遠位部分は、患者の肋骨の間で胸膜腔に延出可能である。実質的に剛性リング様構造は、上側部分または近位部分と下側部分または遠位部分との間の接合部分に近接して配置される。リング構造は、ポートアセンブリの使用中に、患者の肋骨の上に配置可能である。可撓性膜は、リング構造に近位に提供され、膜は、器具の通路用に複数の開口部を有する。
【0034】
手術用ポートアセンブリは、本発明の別の実施形態によると、剛性装着リング、本体部材、およびカニューレユニットを備える。リングは、患者の皮膚表面に配置可能であり、かつ患者の皮膚表面に解放可能に取り付け可能である。本体部材は、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開を介してそこから下側に懸垂するリングに取り付け可能である。本体部材は、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側を向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する。本体部材は、リングによって画定される面に垂直に配向される軸の周りを回転するためにリングに回転可能に取り付け可能である。カニューレユニットは、本体部材に取り付け可能あり、複数のカニューレを担持する。
【0035】
本発明に従うさらに別の手術用ポートアセンブリは、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体であって、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側を向くかまたは患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する本体を備える。また、ポートアセンブリは、弾性のドーム状基部と、複数の上側に延出する管状部材またはカニューレとを含むカニューレユニットも備える。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面における該切開において該患者に取り付け可能である本体であって、該本体は、該切開における該本体の配置時に、該患者の皮膚表面に実質的に横断的に配向される主軸を有する、本体と、
該軸に実質的に横断的に該本体に装着される主要な第1の板であって、第1の開口部および第2の開口部を有する、第1の板と、
該主軸に実質的に平行である補助軸の周りを回転するために、該第1の開口部に回転可能に配置される第2の板と、
該第2の板に取り付けられ、かつ該第2の板から離れるように少なくとも1つの方向に延出する少なくとも1つの第1の管状部材と、
該第2の開口部において該第1の板に取り付けられ、該第1の板から離れるように少なくとも1つの方向に延出する第2の管状部材と
を備える、手術用ポートアセンブリ。
(項目2)
前記本体は、外科手術中に、患者から離れる方向を向く外側と、患者の皮膚表面の内側に向くか、または患者の皮膚表面の方を向く内側とを有し、前記第1の管状部材は、該本体の外側において、前記第2の板から離れるように上側または外側にのみ延出する、項目1に記載のポートアセンブリ。
(項目3)
前記第1の管状部材は、全てが前記第2の板に取り付けられ、かつ前記本体の外側において該第2の板から離れるように上側または外側にのみに延出する複数の第1の管状部材のうちの1つである、項目2に記載のポートアセンブリ。
(項目4)
前記第1の管状部材のうちの少なくとも1つは、少なくとも前記第2の板への取り付け点において可撓性であり、該第1の管状部材のうちの該少なくとも1つに挿入される手術用器具の該第2の板における枢動および旋回が可能になる、項目3に記載のポートアセンブリ。
(項目5)
前記第1の管状部材は、各々、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断する場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる、項目3に記載のポートアセンブリ。
(項目6)
前記本体は、外部手術中に、患者の皮膚表面の内部において、該患者の外部に配置可能な外側と、該患者の内部に配置可能な内側とを有し、前記第1の管状部材は、該本体の内側において、前記第2の板から離れるように下側または内側にのみ延出する、項目1に記載のポートアセンブリ。
(項目7)
前記第1の管状部材は、全てが前記第2の板に取り付けられ、かつ前記本体の内側において該第2の板から離れるように下側または内側にのみに延出する複数の第1の管状部材のうちの1つである、項目6に記載のポートアセンブリ。
(項目8)
前記第1の管状部材のうちの少なくとも1つは、少なくとも前記第2の板への取り付け点において可撓性であり、該第1の管状部材のうちの該少なくとも1つに挿入される手術用器具の該第2の板における枢動および旋回が可能になる、項目7に記載のポートアセンブリ。
(項目9)
前記第1の管状部材は、各々、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断する場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具シャフトがこのような第1の管状部材を長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる、項目7に記載のポートアセンブリ。
(項目10)
前記第1の管状部材には、手術用器具シャフトが該第1の管状部材を長手方向に横断する場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具シャフトが該第1の管状部材を長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる、項目1に記載のポートアセンブリ。
(項目11)
前記第2の板はドーム状である、項目1に記載のポートアセンブリ。
(項目12)
前記第2の板は、前記第1の板に着脱可能に取り付けられる、項目1に記載のポートアセンブリ。
(項目13)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面での該切開において該患者に取り付け可能である本体であって、該本体は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内部を向くか、または該患者の皮膚表面の方に向く内側とを有する、本体と、
該本体から下側または内側に懸垂する少なくとも1つの管状部材であって、該本体の該内側にのみ配置されるようにされている、管状部材と
を備える、手術用ポートアセンブリ。
(項目14)
前記管状部材は、該管状部材が前記本体の前記内側にのみ配置されるように、該本体から下側または内側に全てが懸垂する複数の管状部材のうちの1つである、項目13に記載のポートアセンブリ。
(項目15)
前記管状部材は、各々、手術用器具シャフトがこのような管状部材を長手方向に横断する場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具シャフトがこのような管状部材を長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる、項目14に記載のポートアセンブリ。
(項目16)
前記管状部材は、各々、内面に沿って剛性スリーブが設けられる、項目15に記載のポートアセンブリ。
(項目17)
前記管状部材は、各々、前記本体への取り付け点の周りを枢動可能である、項目16に記載のポートアセンブリ。
(項目18)
前記本体は、漏斗形状を有し、前記管状部材は、それの先端部において該漏斗形状に取り付けられる、項目16に記載のポートアセンブリ。
(項目19)
前記本体の前記外側には、上側または外側に延出する管状カニューレ部材が存在しない、項目14に記載のポートアセンブリ。
(項目20)
前記本体は、縁部分と、該縁部分によって囲まれる板とを備え、前記管状部材は、該板に連結され、かつ、該板の内側にのみ延出する、項目14に記載のポートアセンブリ。
(項目21)
前記管状部材は、前記本体に取り外し可能に取り付けられる、項目13に記載のポートアセンブリ。
(項目22)
前記管状部材は、前記本体における開口部において該本体に取り外し可能に取り付けられる結合部材に固定され、該開口部から該結合部材を取り除く際に、該開口部を一時的にシールするためのプラグをさらに備える、項目21に記載のポートアセンブリ。
(項目23)
前記管状部材は、自由端においてカメラを担持し、該自由端および該カメラの配向を変更するための方向制御手段をさらに備える、項目13に記載のポートアセンブリ。
(項目24)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面における切開において該患者に取り付け可能である本体であって、該本体は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する、本体と、
該本体の該外側における漏斗状延長部と
を備える手術用ポートアセンブリ。
(項目25)
皮膚表面を通る手術用アセンブリの設置のための閉塞具であって、
本体部材と、
ポートアセンブリ上の恊働ロック形成部と解放可能に係合可能である、該本体部材上のロック形成部と、
該本体部材上の少なくとも2つの指接触表面であって、該本体部材へのトルクの手動適用を可能にするために実質的に対向する方向に向く、指接触表面と、
皮膚表面を貫通するために、該指接触表面とは反対の、該本体部材の側面において該本体部材から離れるように延出する少なくとも1つの細長い剛性部材と
を備える、閉塞具。
(項目26)
前記剛性部材は、皮膚表面を貫通するために、前記指接触表面とは反対の、前記本体部材の側面において該本体部材から離れるように延出する複数の平行の細長い剛性部材のうちの1つである、項目25に記載の閉塞具。
(項目27)
項目26に記載の閉塞具を備え、手術用ポートアセンブリをさらに備える手術用アクセスアセンブリであって、該ポートアセンブリは、切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面における切開において該患者に取り付け可能であるポートアセンブリ本体であって、該本体は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側および該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側を有する、ポートアセンブリ本体と、前記管状部材が該本体の該内側にのみ配置されるように、該ポートアセンブリ本体から下側または内側に全てが懸垂する複数の弾性管状部材であって、前記細長い剛性部材のうちのそれぞれの1つを収容する、弾性管状部材とを含む、手術用アクセスアセンブリ。
(項目28)
前記ロック形成部は、前記本体部材上に突起部を含み、かつ、前記ポートアセンブリ上に陥凹部を含む、項目25に記載の閉塞具。
(項目29)
前記本体部材は、円板を備え、該円板は、注入管の通過を可能にするための少なくとも1つの切欠部が設けられる、項目25に記載の閉塞具。
(項目30)
第1の開口部と手術用器具が通過し得る別個の第2の開口部とを有する本体部材と、
該第1の開口部の中に配置されるカニューレ担持部であって、該カニューレ担持部は、少なくとも1つの器具シールが各々に設けられる複数の第1の管状部材に取り付けられる、カニューレ担持部と、
該第2の開口部において該本体部材に取り付けられる少なくとも1つの第2の管状部材であって、シールが設けられる、第2の管状部材と
を備え、該カニューレ担持部および該第1の管状部材は、該本体部材の主軸に実質的に平行である軸の周りを回転するために、該本体部材に回転可能に取り付けられる手術用ポートアセンブリ。
(項目31)
前記第2の管状部材は、前記本体部材に対して固定される、項目30に記載の手術用ポートアセンブリ。
(項目32)
前記カニューレ担持部および前記第1の管状部材は、前記本体部材に着脱可能に取り付けられる、項目30に記載の手術用ポートアセンブリ。
(項目33)
前記第1の管状部材は、前記カニューレ担持部から離れるように上側または近位方向に延出する、項目30に記載の手術用ポートアセンブリ。
(項目34)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面での該切開において該患者に取り付け可能である本体であって、該本体は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する、本体と、
該本体の内側において該本体に取り付けられる少なくとも部分的に可撓性のスカート部材とを備える手術用ポートアセンブリ。
(項目35)
前記本体に挿入可能であり、かつ配置手順中に該本体を横断するトロカール部材をさらに備え、前記スカート部材は、折り曲げまたは折り畳み挿入構成を有し、該スカート部材は、該配置手順中に、該トロカール部材に解放可能に取り付けられる、項目34に記載のポートアセンブリ。
(項目36)
前記スカート部材は、テーパ状の拡張構成を有し、前記本体部材とは反対の該スカート部材の自由端は、該本体部材に取り付けられる該スカートの端部よりも大きい横方向寸法を有する、項目34に記載のポートアセンブリ。
(項目37)
前記スカート部材は、可撓性の網部材と、弾力性支持ワイヤとを含み、該弾力性支持ワイヤは、折り畳み挿入構成から拡張使用構成に該網部材を拡張するために該網部材に連結される、項目34に記載のポートアセンブリ。
(項目38)
前記スカート部材は、より剛性の領域が挿入された配置または交互にされた配置になる可撓性のストリップ領域を含む、項目34に記載のポートアセンブリ。
(項目39)
前記本体は、円筒状部分と、該円筒状部分の上側または近位側のドームと、円周方向または環状の円板状フランジとを含み、該ドームは、腹腔鏡または胸腔鏡器具シャフトおよび腹腔鏡または内視鏡の通路のための複数の開口部を含んで形成され、前記スカート部材は、該本体の該円筒状部分と係合する円筒状区分を含み、かつ、テーパ状または円錐状部分をさらに含む、項目34に記載のポートアセンブリ。
(項目40)
可撓性材料から少なくとも部分的に作製されるスカートと、皮膚表面での開口部において患者に着脱可能に取り付け可能であるカニューレまたは器具ホルダに順に該スカートを取り付けるための手段とを備え、該スカートは折り畳み挿入構成および拡張使用構成を有する、手術用ポート要素。
(項目41)
複数の円筒状区分またはフラップによって形成される円筒状部分を含む本体であって、該本体は、リング状基部部材さらに含み、該円筒状区分またはフラップは該基部部材に揺動可能に結合され、該円筒状区分またはフラップは、少なくとも実質的に剛性の材料から作製され、該基部部材は、可撓性カニューレポート部材の円筒状本体の遠位端または下側端の中に収容可能である少なくとも1つの上側または近位に延出する弓状フランジ区分が設けられる、本体を備える、手術用ポート構成要素。
(項目42)
前記円筒状区分またはフラップの上に適合し、それによって前記スカートを前記本体に結合する円筒状近位スリーブを含む少なくとも部分的に可撓性のスカートをさらに備える、項目41に記載の手術用ポート構成要素。
(項目43)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体部材であって、該本体部材は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する、本体部材と、
該本体部材に連結され、かつ該本体部材の下側から延出する可撓性の内視鏡アームであって、該内視鏡アームは、遠位端においてデジタルカメラを組み込み、該カメラは、該内視鏡アームにおけるケーブルを介して操作可能であり、該内視鏡アームは、近位端において、該カメラの動作を可能にする内視鏡機能モジュールに動作可能に連結可能である、内視鏡アームと
を備える、手術用ポートアセンブリ。
(項目44)
下側にテーパ状である実質的に可撓性の上側部分または近位部分と、
該上側部分または近位部分に連結される、上側にテーパ状である実質的に可撓性の下側部分または遠位部分であって、患者の肋骨の間で胸膜腔に延出可能である、下側部分または遠位部分と、
該上側部分または近位部分と該下側部分または遠位部分との間の接合部分に近接して配置される実質的に剛性のリング様構造であって、ポートアセンブリの使用中に、患者の肋骨の上に配置可能である、リング様構造と、
該構造に近位の可撓性の膜であって、器具の通路用に複数の開口部を有する、膜と
を備える、手術用ポートアセンブリ
(項目45)
患者の皮膚表面に配置可能であり、かつ患者の皮膚表面に解放可能に取り付け可能である剛性の装着リングと、
切開を介する該患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面における切開を介してそこから下側に懸垂する該リングに取り付け可能である本体部材であって、該本体部材は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側とを有し、該リングによって画定される面に垂直に配向される軸の周りを回転するために該リングに回転可能に取り付け可能である、本体部材と、
該本体部材に取り付け可能あり、かつ複数のカニューレを担持するカニューレユニットと
を備える、手術用ポートアセンブリ。
(項目46)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体であって、該本体は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する、本体と、
弾性のドーム状基部および複数の上側に延出する管状部材またはカニューレを含むカニューレユニットと
を備える、手術用ポートアセンブリ。
(項目47)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である本体であって、該本体は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側とを有し、該患者と接触して配置可能である外面を有する、本体と、
該外面上に少なくとも1つの外側に延出するリブまたはねじ山と
を備える、手術用ポートアセンブリ。
(項目48)
切開を介する患者における器具の設置を容易にするために、該患者の皮膚表面における切開において該患者に取り付け可能である本体であって、該本体は、外科手術中に、該患者から離れる方向を向く外側と、該患者の皮膚表面の内側を向くか、または該患者の皮膚表面の方を向く内側とを有する、本体と、
医療器具用のそれぞれ別個のアクセス通路を画定するために、該本体に取り付けられる複数のカニューレ部材と
を備える、手術用ポートアセンブリ。
(項目49)
前記カニューレ部材のうちの少なくとも1つは、前記本体に着脱可能に取り付けられる、項目48に記載のポートアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明に従うトロカールまたは手術用ポートアセンブリの部分概略側面図および部分概略長手方向断面図であり、配置のための閉塞具に折り畳まれるスカートを示す。
【図2】図2は、図1のトロカールまたはポートアセンブリの概略断面図であり、構成に応じて解放されたスカートを示す。
【図3】図3は、図1または図2のトロカールまたはポートアセンブリの概略断面図であり、ポートアセンブリにおける本体部材に取り付けられる指部またはシール部材を有するドームを示す。
【図4】図4は、本発明に従う別のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの概略長手方向断面図であり、その中に開口部を有する板を含むトロカール本体を示す。
【図5】図5は、図4の板の上面平面図であり、対の開口部を示す。
【図6】図6は、本発明に従う修正型のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの概略長手方向断面図であり、その中に有孔板を含むトロカール本体を示す。
【図7】図7は、図6のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの上面平面図であり、3つの器具用ポートを示す。
【図8】図8は、図6および図7の修正型のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの拡大した部分概略断面図である。
【図9】図9は、図6の線IX−IXに沿った部分断面図である。
【図10】図10は、本発明に従う別の修正型のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの概略長手方向断面図であり、大部分は、図6〜図8のポートアセンブリに類似している。
【図11】図11は、図10のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの上面平面図であり、3つの器具用ポートを示す。
【図12】図12は、図10および図11の修正型のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの拡大した部分概略断面図である。
【図13】図13は、本発明に従う別のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの概略長手方向断面図である。
【図14】図14は、図13の線XIV−XIVに沿った断面図である。
【図15】図15は、本発明に従うさらなるトロカールまたは手術用ポートアセンブリの概略長手方向の断面図である。
【図16】図16は、図15のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの上面平面図であり、3つの器具用ポートおよび注入ポートを示す。図15の断面図は、図16の線XV−XVに沿う。
【図17】図17は、図15の詳細XVIIの拡大部分断面図である。
【図18】図18は、図15−図17のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの概略長手方向の断面図であり、患者の腹部における装着リングを介して回転可能に支持されるポートアセンブリを示す。
【図19】図19は、図16のトロカールまたは手術用ポートアセンブリおよび装着リングの上面平面図である。図18の断面図は、図19の線XVIII−XVIIIに沿う。
【図20】図20は、本発明に従うさらなるトロカールまたは手術用ポートアセンブリの概略長手方向断面図であり、患者の腹壁に配置されるポートアセンブリを示す。
【図21】図21は、図20のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの上面平面図であり、3つの器具用ポートを示す。図20の断面図は、図21の線XX−XXに沿う。
【図22】図22は、本発明に従うさらなるトロカールまたは手術用ポートアセンブリの部分断面における概略側面図であり、縮小型挿入構成のスカートを示す。
【図23】図23は、図22に類似する部分側面図であり、拡張型使用構成のスカートを示す。
【図24】図24は、本発明に従う別の手術用ポートアセンブリの概略斜上面図である。
【図25】図25は、図24の手術用ポートアセンブリの概略斜視底面図である。
【図26】図26は、本発明に従う手術用ポートアセンブリにおいて利用可能である拡張可能スカートの概略上面斜視図である。
【図27】図27は、図26のスカートの側面図である。
【図28】図28は、図26および図27のスカートの上面図である。
【図29】図29は、本発明に従う弾性2ショット型ドーム状トロカールまたはポートアセンブリの概略上面斜視図である。
【図30】図30は、図29のポートアセンブリの側面図である。
【図31】図31は、図29および図30のポートアセンブリの上面平面図である。
【図32】図32は、図31における線XXXII−XXXIIに沿った長手方向断面図である。
【図33】図33は、本発明に従うヒンジ型トロカールまたはポートアセンブリの本体部材の概略上面斜視図である。
【図34】図34は、図33のポートアセンブリ本体部材の長手方向断面図であり、スカートとともに本体部材を示す。
【図35】図35は、図33のポートアセンブリの上面平面図である。図34の長手方向断面図は、図35の線XXXIV−XXXIVに沿う。
【図36】図36は、図34および図35のポートアセンブリの斜視図である。
【図37】図37は、本発明に従うさらに別のトロカールまたはポートアセンブリの概略上面斜視図である。
【図38】図38は、図37のポートアセンブリ本体部材の長手方向断面図である。
【図39】図39は、図37および図38のポートアセンブリの側面図である。
【図40】図40は、図37−図39のポートアセンブリの下側部分の斜視図であり、多数の注入ポート要素を示す。
【図41】図41は、本発明に従う別のトロカールまたはポートアセンブリの概略上面斜視図であり、図37−図39のトロカールまたはポートアセンブリに類似する。
【図42】図42は、図41のポートアセンブリの長手方向断面図である。
【図43】図43は、図41および図42のポートアセンブリの側面図である。
【図44】図44は、図40〜図43のポートアセンブリの下側部分の斜視図であり、多数の注入ポート要素を示す。
【図45】図45は、本発明に従う3指型閉塞具の概略上面斜視図であり、例示的には、低侵襲的腹腔鏡手術または胸腔鏡外科手術の開始時に、図37−図40または図41−図44のトロカールまたはポートアセンブリを患者に配置する際に使用する。
【図46】図46は、図45の閉塞具の側面図である。
【図47】図47は、図45および図46の閉塞具の上面平面図である。
【図48】図48は、本発明に従う別のトロカールまたはポートアセンブリの概略上面斜視図である。
【図49】図49は、図48のポートアセンブリの長手方向断面図である。
【図50】図50は、図48および図49のポートアセンブリの側面図である。
【図51】図51は、図40−図43のポートアセンブリの下側部分の斜視図であり、多数の注入ポート要素を示す。
【図52】図52は、本発明に従うさらに別のトロカールまたはポートアセンブリの部分切断概略斜視図である。
【図53】図53は、本発明に従う手術用ポートアセンブリと使用するための腹腔鏡器具の概略斜視図である。
【図54】図54は、本発明に従う一体型内視鏡シャフトまたはアームを含む手術用ポートアセンブリの概略斜視図である。
【図55】図55は、図54に類似するが拡大された概略斜視図であり、図54の内視鏡シャフトまたはアームの近位端において機能的ハウジング構成要素を示す。
【図56】図56は、本発明に従う胸部手術用ポートの概略断面図であり、ポートの幅広い寸法である図57の線LVI−LVIに沿う。
【図57】図57は、本発明に従う胸部手術用ポートの概略断面図であり、ポートの狭い寸法である図58の線LVII−LVIIに沿う。
【図58】図58は、図56および図57の胸部手術用ポートの概略斜視図である。
【図59】図59は、図56−図58の胸部手術用ポートの拡大された分解概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に示すように、腹腔鏡または胸腔鏡手術に有用であるトロカールまたは手術用ポートアセンブリ10は、円筒状部分14と、円筒状部分の近位端または外側端における円形フランジ16とを有する剛性の環状トロカール本体12を含む。さらに、手術用ポートアセンブリ10は、円筒状部分14の遠位端に取り付けられる繊維性または弾性のスカート18を含む。閉塞具20は、ノブまたはハンドル22と、トロカール本体12の円筒状部分14を通って摺動可能に挿入可能である剛性の挿入部分24とを含む。剛性の挿入部分24には、長手方向スロット26が設けられ、その中に、スカート18の一部28が、低侵襲外科手術の開始時にポートアセンブリの配置を容易にするために折り畳まれ、かつ固定される。アセンブリを切開に挿入した後、図2に示すように、閉塞具20が取り外され、スカートが解放される。その後、気腹維持構成要素30(図3)は、器具のシャフトがポートアセンブリ10を通って患者にまで通過可能になるように、トロカール本体12に取り付けられる。トロカール本体12の円筒状部分14は、内側に、環状リブまたは複数の内側に延出する隆起部29を含んで形成され、これは、閉塞具20および構成要素30が代替として置かれる肩部を画定する。
【0038】
構成要素30は、弾性のドーム状基部32と、複数の上側に延出する管状部材またはカニューレ34〜36とを備え、カニューレの各々には、複数のシール(図示せず)を収容するキャップ38が設けられる。これらのシールは、弁(例えば、三尖弁)を含み、管状部材またはカニューレ34〜36に器具が挿入されていない場合に、空気漏れを防止する。シールは、例示的には、カニューレ34〜36またはそれぞれのキャップ38の内壁に固定される弾力性リングまたはビードの形式の器具シールをさらに含む。器具シャフトをカニューレ34〜36に挿入すると、リングまたはビードは、器具を抱き込み、注入ガスの漏出を防止または最小限に抑える。特に、リングまたはビードシールが、管状ポート部材またはカニューレ34〜36の可撓性部分に沿って提供される場合に、追加のリングまたは他のシールを組み込んでもよい。多数のシールは、その中を貫通する器具が手術中に操作されている際に、カニューレ34〜36を通る気腹の損失を防止する。
【0039】
概して、腹腔鏡手術では、指部またはカニューレ34〜36のうちの1つは、腹腔鏡を収容し、一方、腹腔鏡器具シャフトは、他の2つを横断する。全3つのカニューレ34〜36は、その外側または上側のみにおいてトロカール本体12から離れるように延出し、外科手術中は患者から離れる方向を向いている。トロカール本体12の下側には、カニューレが存在しない。指部またはカニューレ36のうちの1つには、腹腔鏡手術中に患者の腹腔への注入を可能にするために、ルアー継ぎ手40が設けられる。継ぎ手は、多くの胸腔鏡手術では必要とされない。
【0040】
ドーム状基部32には、下側外周に沿って、円筒状部分14上のリブまたは肩部29を係合するシーリングリング42が設けられる。シーリングリング42は、本体部材12の軸46の周りの、構成要素30の回転を容易にするように、円筒状部分14の内面(表示せず)と摺動係合する。外面(指定せず)に沿って、円筒状部分14は、切開における滑りを阻止するために、複数の外側に延出する円周方向リブまたはビード44を含んで形成される。
【0041】
図4および図5に示すように、手術用ポートアセンブリ50は、環状本体52を備え、環状本体52は、切開を介する患者における器具の設置を容易にするように、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である。より具体的には、環状本体52は、円筒状挿入部分54と、円筒状挿入部分の近位端(外科医により近い方)または外側端を囲むフランジ56とを含む。挿入部分54には、外面に沿って、複数の長手方向に離間する円形ビード58が設けられ、内面に沿って、円形肩部60(または、レッジを画定する少なくとも3つの内側に延出する隆起部)が設けられる。肩部60は、器具用開口部64および内視用鏡開口部66を含んで形成される剛性板62を支持する。板62は、環状本体52の円筒状挿入部分54に回転可能にまたは剛性的に固定され得る。ドーム形状の補助的な第2の板68は、開口部64において、回転可能かつ着脱可能に主板62に取り付けられる。補助板68は、内側に形成される対の管状部材またはカニューレ70を担持し、管状部材またはカニューレ70は、可撓性材料から形成され、また、自由端においてそれぞれのシーリングキャップ72が設けられる。第3の管状シーリング部材またはカニューレ74は、内視鏡用開口部66において主板62に取り付けられ、腹腔鏡または他の内視鏡の遠位端部分を、ポートアセンブリ50を介して患者に導入することを可能にする。内視鏡用カニューレ74は、注入目的のためにルアー継ぎ手76を有する。管状指部またはカニューレ70および74は、板62および68から離れるように上側方向に延出し、その上側また外側にのみ配置され、外科手術中に患者から離れる方向を向いている。ポートアセンブリ50の下側または内側に向く面には、カニューレ部分が存在しない。
【0042】
板68は、ポートアセンブ50の主軸79に好ましくは実質的に平行である軸78の周りを回転するように、開口部64内にまたは開口部64に回転可能に配置される。
【0043】
管状指部またはカニューレ70および74は、少なくとも板68および板62それぞれへの取り付け点において可撓性であり、管状指部またはカニューレ70、74に挿入される手術用器具(または内視鏡)の枢動(横軸周囲)および/または旋回(長手方向軸)を可能にする。指部またはカニューレ70、74の各々には、手術用器具シャフトがこのような指部またはカニューレを長手方向に横断する場合に、気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具がこのような指部またはカニューレを長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる。
【0044】
図6〜図8は、図4および図5のトロカールまたは手術用ポートアセンブリの変形版80を示す。手術用ポートアセンブリ80は、切開を介する患者内での器具の配置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である環状本体82を備える。より具体的には、環状本体82は、円筒状挿入部分84と、円筒状挿入部分の近位端または外側端を囲むフランジ86とを含む。挿入部分84には、遠位端または内側端において、スカート90の端を収容する環状スロット88が設けられる。スカート90は、弾性の環状またはスロット型網状部材であり、その中に複数の長手方向支持ワイヤ92が埋め込まれる(図9参照)。ワイヤ92のうちの少なくともいくつかは、トロカール本体82の長手方向軸94に略平行に延出する。ワイヤ92は、手術用ポートアセンブリ80の患者内での配置時に、スカート90を拡張された漏斗形状に形成する役割を果たす。
【0045】
トロカール本体82は、器具用開口部98および内視鏡用開口部100を画定するレッジまたは板96を含む内面に沿って形成される。板96は、環状本体82の円筒状挿入部分84に剛に固定される。補助的な第2の板または円板102は、開口部98において、主板96に回転可能かつ着脱可能に取り付けられる。ロックリング104は、開口部98において、板または円板102を板96に解放可能に保持するように提供され得る(図8)。補助板または円板102は、対の管状部材またはカニューレ106を担持し、管状部材またはカニューレ106は、可撓性材料から形成され、かつ自由端においてそれぞれのシーリングキャップ108が設けられる。指部またはカニューレ106は、板または円板102に着脱可能に取り付けられ得る。このために、板または円板102は、管状指部またはカニューレ106に挿入可能である外側に延出するスリーブ110(図8)の対を含んで形成され得る。第3の管状のシーリング指部またはカニューレ112は、内視鏡用開口部100において主板96に取り付けられ、腹腔鏡または他の内視鏡の遠位端部分を、ポートアセンブリ80を介して患者に導入することを可能にする。内視鏡用カニューレ112は、注入目的のためにルアー継ぎ手(図示せず)を有し得る。管状指部またはカニューレ106および112は、板96および102から離れるように上側方向に延出し、その上側また外側にのみ配置され、外科手術中に患者から離れる方向を向いている。ポートアセンブリ80の下側または内側に向く面には、カニューレ部分が存在しない。
【0046】
板または円板102は、ポートアセンブ80の主軸94に好ましくは実質的に平行である軸114の周りを回転するように、開口部98内にまたは開口部98に回転可能に配置される。
【0047】
管状の指部またはカニューレ106および112は、少なくとも板102および96それぞれへの取り付け点において可撓性であり、管状の指部またはカニューレ106、112により形成されるポートを介して挿入される手術用器具(または内視鏡)の枢動(横断軸周りの)および/または旋回(長手方向軸周りのねじり)を可能にする。指部またはカニューレ106、112の各々には、手術用器具シャフトがこのような指部またはカニューレを長手方向に横断する場合に、気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具がこのような指部またはカニューレを長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが設けられる。
【0048】
図6は、閉塞具シャフト118と、シャフト118に沿ったスロットに畳まれて押し込まれるスカート90とを示す。閉塞具シャフト118の近位端または外側端におけるノブ(図示せず)は、閉塞具シャフト118からスカート90を解放するように押圧される。次いで、閉塞具は、引き出されて廃棄される。解放および廃棄用安全タブは、120で示される。
【0049】
図10〜図12は、図6〜図8のポートアセンブリ80の変形版であるポートアセンブリ80’を示す。図6〜図8に示す同一部分を指定するために、図10〜図12において同一の参照番号を使用する。一体型または単一主板96の代わりに、ポートアセンブリ80’は、取り外し可能な主板122を有し、この板122は、複数のバネ荷重戻り止め124を介して円筒状挿入部分84に解放可能に固定される。主板122は、内側に延出する肩部126(または一連の隆起部)に着座し、複数のバネ荷重戻り止め124によるスナップロック嵌めでそこに保持される。
【0050】
図13および図14に示すように、別のトロカールまたは手術用ポートアセンブリ130は、切開を介する患者内での器具の配置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である環状本体132を備える。環状本体132は、実質的に楕円形の挿入部分134と、円筒状挿入部分の近位端(外科医により近い方)または外側端におけるフランジ136とを含む。挿入部分134には、外面に沿って、複数の長手方向に離間する円形ビード138が設けられ、内面に沿って、実質的に環状または無限溝140が設けられる。スカート(図示せず)は、円筒状挿入部分134の内側端または遠位端142に取り付けられ得る。
【0051】
溝140は、3つのスロット146〜148を備える剛性の支持部または基板144の外側端を収容する。中央スロット147は、腹部手術において腹腔鏡を挿入するように意図され、一方、側方スロット146および148は、器具シャフトを通過させるように意図される。弾性材料から作製され、かつドーム形状を有する補助的な第2の板150は、開口部スロット146〜148上で、支持部または基板144に取り付けられる。基板144および補助板150は、図14に示すように、略細長いまたは楕円形の断面図を有する。補助板150は、3つの一体的に形成される管状部材またはカニューレ152を担持し(1つには、注入のためにルアー継ぎ手154が設けられる)、これらは、可撓性の弾性材料から作製され、かつ自由端においてそれぞれのシーリングキャップ156が設けられる。管状指部またはカニューレ152は、板144および150から離れるように上側方向に延出し、その上側また外側にのみ配置され、外科手術中に患者から離れる方向を向いている。ポートアセンブリ130の下側または内側に向く面には、カニューレ部分が存在しない。
【0052】
管状指部またはカニューレ152は、少なくとも板150への取り付け点において可撓性であり、管状指部またはカニューレに挿入される手術用器具(または内視鏡)の枢動および/または旋回を可能にする。指部またはカニューレ152は、各々、手術用器具シャフトがこのような指部またはカニューレを長手方向に横断する場合に、気腹を維持するための少なくとも1つのシールと、手術用器具がこのような指部またはカニューレを長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシールとが(例えば、キャップ156の中に)設けられる。
【0053】
図15〜図17に示すように、さらなるトロカールまたは手術用ポートアセンブリ160は、切開を介する患者内での器具の配置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である環状本体162を備える。環状本体162は、円筒状挿入部分164と、円筒状挿入部分の近位端または外側端におけるフランジ166とを含む。スカート(図示せず)は、円筒状挿入部分164の内側端または遠位端168に取り付けられ得る。
【0054】
円筒状挿入部分164の幅広部分172に設けられる溝170は、有孔支持部または基板174の外周を恒久的に収容する。板174は、剛性材料(例えば、金属材料)または弾性材料から作製されてもよく、また、3つの器具用開口部176およびそれよりも小さい注入用開口部178を含んで形成される。3つの弾性の管状指部またはカニューレ180は、板174に連結され、それぞれの開口部176と連通する。弾性基板174の場合、カニューレ180は、そこに一体的に形成される。管状指部またはカニューレ180は、少なくとも板174への取り付け点において可撓性であり、管状指部またはカニューレに挿入される手術用器具(または内視鏡)の枢動および/または旋回を可能にする。指部またはカニューレ152の各々には、手術用器具シャフトがこのような指部またはカニューレを長手方向に横断する場合に、気腹を維持するための少なくとも1つの内側リングシール182と、手術用器具がこのような指部またはカニューレを長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシール(例えば、下側端184における三尖弁)とが設けられる。
【0055】
管状指部またはカニューレ180は、気腹中に腹腔を密封する役割を果たし、さらに、腹壁組織等の患者の内部組織を保護する役割を果たす。指部またはカニューレ180は、トロカール本体162の内側において、支持部または基板174から離れる方向に下側または内側にのみ延出する。
【0056】
図18および図19は、図15〜図17のポートアセンブリ160を配置するスキームを示す。剛性装着リング186は、患者の腹腔AC上の皮膚表面SSに配置され、縫合糸188および190を介して皮膚に取り付けられる。縫合糸188および190は、一方の端部192において患者に縫合され、反対の端部において、装着リング186から上側に傾斜するそれぞれの2重ホック部材194に結ばれる。フランジ166の外周(表示せず)は、装着リング186の内面に設けられる環状溝196に摺動可能に挿入される。ポートアセンブリ本体162の円筒状部分164は、外科手術中は、患者の腹壁AWに下側に懸垂する。指部またはカニューレ180は、患者の腹壁AWおよび腹腔ACの一部分を貫通し、腹腔ACに入る。トロカール本体162は、ポートアセンブリ160の長手方向軸198の周りを回転されられてもよいが、装着リング186は、そのシャフトがそれぞれの指部またはカニューレ180を貫通する腹腔鏡器具(図示せず)の操作を容易にするために、患者に対して固定されたままである。
【0057】
図20および図21は、代替の手術用アクセスポートアセンブリ200を示し、このアセンブリ200は、切開を介する患者内での器具の配置を容易にするために、患者の皮膚表面SSでの切開NCSNにおいて患者に取り付け可能である環状本体202を備える。環状本体202は、接着パッド206に固定される装着リング204を含み、接着パッド206は、切開NCSN周辺の皮膚表面SSに解放可能に接着される。ポートアセンブリ200は、剛性板208をさらに備え、剛性板208は、ロックリング210を介して装着リング204に回転可能または剛に固定される。板208は、剛性材料(例えば、金属材料)または弾性材から作製されてもよく、また、3つの器具用開口部212およびそれよりも小さい注入開口部(図示せず)を含んで形成される。3つの弾性管状指部またはカニューレ214は、板208に連結され、それぞれの開口部212と連通する。弾性基板208の場合、カニューレ214は、そこに一体的に形成される。管状指部またはカニューレ214は、少なくとも板208への取り付け点において可撓性であり、管状指部またはカニューレに挿入される手術用器具(または内視鏡)の枢動および/または旋回を可能にする。指部またはカニューレ214の各々には、手術用器具シャフトがこのような指部またはカニューレを長手方向に横断する場合に、気腹を維持するための少なくとも1つの内側リングシール(図示せず)と、手術用器具がこのような指部またはカニューレを長手方向に横断しない場合に気腹を維持するための少なくとも1つのシール(例えば、下側端216における三尖弁)とが設けられる。
【0058】
管状指部またはカニューレ214は、腹腔鏡手術中の気腹中に腹腔ACを密封する役割を果たし、さらに、腹壁AWの組織等の患者の内部組織を保護する役割を果たす。指部またはカニューレ214は、本体202の内側において、支持部または基板208から離れる方向に下側または内側にのみ延出する。指部またはカニューレ214は、全体的に可撓性である器具シャフトと、C字形およびS字形を含む予め成形された剛性形状の器具シャフトを収容することが可能である。
【0059】
図22および図23に示すように、別のトロカールまたは手術用ポートアセンブリ220は、切開を介する患者内での器具の配置を容易にするために、患者の皮膚表面における切開において患者に取り付け可能である環状本体222を備える。環状本体222は、円筒状挿入部分224と、円筒状挿入部分の近位端または外側端におけるフランジ226とを含む。スカート228は、円筒状挿入部分224の内側端または遠位端230に取り付けられる。スカート228は、可撓性の網232と、網に取り付けられるステントワイヤ234(例えば、図示されない空洞またはポケットに挿入され、網内に形成される)とを含む。ワイヤ234は、ジグザグまたは蛇行の構成を有し、図23に示す円錐状または漏斗状の開放構成に、網232をバネ付勢する役割を果たす。トロカールまたは手術用ポートアセンブリ220は、巾着縫合閉鎖要素236を付加的に備え、この要素236は、ワイヤ234が及ぼす開放力に抵抗して、閉鎖型または尖状の挿入構成(図22)のスカートのためにスカート228の遠位端または自由端の周囲に配置される。巾着縫合閉鎖要素236は、閉塞具シャフト238の配置ノブまたはボタン237に連結される。折り畳まれたまたは尖状のスカート228(図22)および円筒状挿入部分224が患者の腹壁に挿入されると、ユーザは、ノブまたはボタン237を作動させて、巾着縫合閉鎖要素236を解放し、それによって、ワイヤ234が及ぼす付勢力の下で、スカート228を開放型漏斗状の使用構成(図23)に解放することが可能になる。
【0060】
図22および図23のトロカールまたは手術用ポートアセンブリ220は、図10〜図12を参照して上述した付加的な構造を備える。同一構造を指定するために、図10〜図12および図22、23において同一の参照数字が使用される。図22および図23では、指部またはカニューレ106および112は、シーリング構造239を付加的に含んで示される。
【0061】
図24および図25に示すように、別のトロカールポートアセンブリ240は、漏斗形状の上側部分または近位部分242と、円筒状の下側部分および遠位部分244とを含む本体部材(別々に指定せず)を備える。上側部分または近位部分242には、拘束縫合糸(図示せず)を収容するために、円錐状外面(別々に表示せず)に沿って、複数の側方溝を有する円筒状柱246が設けられ、トロカールポートアセンブリ240を切開部位(臍部等)において患者に固定する。円筒状部分244には、切開での円筒状部分の着座を強化するために、外面に沿って複数の環状リブ247が設けられる。内面において、ならびに底部または遠位端において、円筒状部分244には、対の対向する略弓状の歯部またはプロング248が設けられ、これは、円筒状部分244の出口端部において、腹腔鏡または他の内視鏡を適所に保持またはロックする役割を果たす。外科手術中、腹腔鏡器具シャフト(図示せず)は、円筒状部分244の底部または遠位端において開放部分249を貫通する可撓性の指部またはカニューレ(図示せず)を長手方向に横断する。
【0062】
図26〜図28は、トロカールスカート250を示し、トロカールスカート250は、剛性支持リング252と、弾性区分256を介して相互に連結する多数の実質的に剛性のストリップまたはバンド254とを備える。剛性ストリップ254は、環状構成で配置され、半径方向外側に凹状である。弾性区分256は、単一の網または別々のストリップの角度的にまたは円周方向に離間された部分であり得る。剛性ストリップまたはバンド254は、上側端または近位端において、装着リング258に枢動可能に取り付けられ、装着リング258は、リング252を支持するために締結される。ストリップまたはバンド254の装着リング258への枢動可能な取り付けは、いわゆるリビングヒンジの形式をとってもよく、例えば、この場合、装着リング258ならびにストリップまたはバンド254は、枢動運動および/または旋回運動を可能にするように連結部において十分薄い実質的に剛性のポリマー材料から一体的に作製される。
【0063】
トロカールスカート250の弾性区分256は、外科手術中の器具および内視鏡の全可動域範囲を可能にするように十分伸張可能であるととともに、患者の腹部組織を保護する。トロカールスカート250は、器具操作中に代替的に増減し得るくびれ部直径を含むコルセット形状を有する。
【0064】
トロカールスカート250は、図1〜図14を参照して上述したポートアセンブリのように、トロカールアセンブリの下側に取り付けられる。
【0065】
図29〜図32に示すように、トロカールまたは手術用ポートアセンブリ260は、上側または近位本体262およびスカート264を備える。本体262は、可撓性の弾性材料から作製され、円筒状部分266、ドーム268、ならびに円周方向または環状円板形状フランジ270を含む。ドーム268は、腹腔鏡または胸腔鏡器具シャフト(図示せず)ならびに腹腔鏡または内視鏡(図示せず)の通路のための複数の開口部272を含んで形成される。開口部272は、器具シャフトが開口部を通過する場合、および開口部を横断する器具が存在しない場合の両方において、気腹の損失を防止するためのスリット型シールを含んで形成される。ドーム268は、注入管276の遠位端を収容する管状スタブ274を含んでさらに形成される。スカート264は、円筒状部分266上に適合し、かつ円筒状部分266に機能的に連結される円筒状近位スリーブ277を含む。スカート264は、弾力性のフラスト円錐状部分278をさらに含み、これは、折り畳まれ、好ましくは、切開を介する挿入中に閉塞具シャフトに保持される。
【0066】
図33〜図36は、トロカールまたは手術用ポートアセンブリ280を示し、これは、複数の円筒状区分またはフラップ284により形成される円筒状部分(別々に指定せず)を有する本体282を含み、円筒状区分またはフラップ284は、円筒状部分に対するフランジの性質を帯びたリング状基部部材285に揺動可能に連結される。フラップ284は、実質的に剛性の材料から少なくとも作製され、各々は、それぞれの外面に沿って、複数の長手方向に離間する弓状リブ286を含む。フラップ284の各々は、基部部材285においてスロット290に挿入されるヒンジ突起部288を有する。突起部288は、フラップ284の基部部材285からの分離を防止するためにホックで留められる。基部部材285には、複数の上側または近位に延出する弓状フランジ区分292が設けられ、このフランジ区分292は、図3および図13、14のドーム状部材のように可撓性のカニューレポート部材の円筒状本体の遠位端または下側端に収容される。
【0067】
手術用ポートアセンブリ280は、フラップ284上に適合し、かつそれによって本体282に機能的に連結される円筒状近位スリーブ296を含むスカート294をさらに備える。スカート294は、弾力性フラスト円錐状部分298をさらに含み、これは、折り畳まれ、好ましくは、切開を介する挿入中に閉塞具シャフトに保持される。
【0068】
図37〜図39に示すように、さらに別のトロカールポートアセンブリ300は、漏斗状上側部分または近位部分302と、円筒状下側部分および遠位部分304とを含む本体部材(別々に指定せず)を備える。上側部分または近位部分302には、拘束縫合糸(図示せず)を収容するために、円形縁306に沿って、実質的に平坦で略三角形の上側に傾斜する柱の形式である複数の縫合糸固定部308が設けられ、切開部位(臍部等)においてトロカールポートアセンブリ300を患者に固定するようにする。上側部分または近位部分302には、閉塞具(図45〜47参照)における嵌合突起部を収容するために、円形縁306に沿って、複数の長方形陥凹部310が付加的に設けられる。円筒状部分304には、切開における円筒状部分の密封された着座を強化するために、外面に沿って、螺旋状のねじ山または1つ以上の外側に延出するリブ312が設けられる。
【0069】
ポートアセンブリ300は、円筒状部分304の底部または遠位端(別々に列挙されず)において、弾性「ズボン型」部材314をさらに含み、図40において別々に示される。ズボン型部材314は、カニューレ担持部316と、3つの弾性脚部の形式または内側に延出するリングシール322および三尖弁シール324が各々に設けられる下側に懸垂する指部318、319、320の形式のカニューレ部材とを含む。脚部320は、内視鏡(図示せず)の通路専用であり、一方、残りの2つの脚部318、319は、より幅広くかつ深い入口空間またはアンテチャンバ326を有し、器具の可動域の増加および器具シャフト(図示せず)の交差容易性を可能にする。
【0070】
脚部または指部318〜320には、ポリテトラフルオロエチレン補強管328が内側に設けられ、この補強管により、強度および剛性が提供され、摩擦が減少する。補強管328によって、器具シャフトの脚部または指部318〜320への巻き込みを防止することによって、腹腔鏡器具シャフト(内視鏡を含む)の引き込みが容易になる。したがって、補強管328は、脚部または指部318〜320が裏返しに回転することを防止する。
【0071】
脚部、指部、またはカニューレ318〜320は、ドーム状カニューレ担持部316への取り付け領域において可撓性であり、それによって、脚部/指部/カニューレは、閉塞具(図45〜図47参照)の支援により、切開を通って患者に挿入するために、一時的に平行構成に湾曲され得る。
【0072】
図40に示すように、ズボン型部材314のカニューレ担持部316は、多数の注入ポート330および332を含み、中央(330)または外周(332)における注入穴(図示せず)を連結するオプションを提供する。
【0073】
図41〜図44に示すように、類似のトロカールポートアセンブリ340は、剛性円錐状上側部分または近位部分342と、円筒状下側部分または遠位部分344とを含む本体部材341を備える。上側部分または近位部分342には、拘束縫合糸(図示せず)を収容するために、円形縁346に沿って、実質的に平坦で略三角形の上側に傾斜する柱の形式である複数の縫合糸固定部348が設けられ、切開部位(臍部等)においてトロカールポートアセンブリ340を患者に固定するようにする。上側部分または近位部分342には、閉塞具(図45〜47参照)における嵌合突起部を収容するために、円形縁346に沿って、複数の長方形陥凹部350が付加的に設けられる。円筒状部分344には、切開における円筒状部分の密封された着座を強化するために、外面に沿って、螺旋状のねじ山または1つ以上の外側に延出するリブ352が設けられる。
【0074】
ポートアセンブリ340は、円筒状部分344の底部または遠位端(別々に列挙されず)において、弾性「ズボン型」部材354をさらに含み、図44において別々に示される。ズボン型部材354は、ドーム状カニューレ担持部356と、3つの弾性脚部の形式または(i)環状ビードの形式のリングシール322および(ii)三尖弁注入シール324が各々に設けられる下側に懸垂する指部358、359、360の形式の、カニューレ部材とを含む。脚部358〜360は、同一であり、内視鏡(図示せず)または手術用器具シャフト(図示せず)の通路に交換可能に使用される。脚部358〜360は、円周方向に等間隔であり、相互にフレア状の構成で外側に傾斜する。
【0075】
脚部または指部358〜360には、ポリテトラフルオロエチレン補強管362が内側に敷かれ、この補強管により、脚部の主要部分が強化および剛性化され、器具シャフトおよび脚部間の摩擦が減少する。脚部または指部358〜360からの腹腔鏡器具シャフト(内視鏡を含む)の引き込み中、補強管362は、器具シャフトの脚部または指部への巻き込みを防止する。したがって、補強管362は、脚部または指部358〜360が裏返しに回転することを防止する。
【0076】
脚部、指部、またはカニューレ358〜360は、ドーム状カニューレ担持部356への取り付け領域において可撓性であり、それによって、閉塞具(図45〜図47参照)の支援により、切開を通って患者に挿入するために、一時的に平行構成に変形可能になる。脚部、指部、またはカニューレ358〜360には、上側端または近位端において、円周方向リングシール361が設けられ、下側端または遠位端363において、三尖弁シールが設けられる。
【0077】
図44に示すように、ズボン型部材354のカニューレ担持部356は、ドーム状カニューレ担持部356の外面または遠位表面(別々に指定せず)上の出口(図示せず)を含む中央注入ポート364を含み得る。代替的にまたは付加的に、図41および図43において示すように、ルアーロック368を含む注入管366は、369で示すように、ドーム状担持部356を通って脚部360に沿って延出し得る。
【0078】
図45〜図47は、アセンブリ300または340等の手術用ポートアセンブリを患者の皮膚表面を通って配置するための閉塞具370を示す。閉塞具370は、円板状本体部材372と、本体部材372から半径方向外側に突出し、かつポートアセンブリ300または340上の恊働するロック形成部、つまり、長方形陥凹部310または350と解放可能に係合可能である略長方形のキー形式であるロック形成部374とを備える。少なくとも2つの指接触表面376および378が本体部材372上に設けられ、指接触表面は、本体部材へのトルクの手動付加を可能にするために、実質的に反対方向に向いている。図示する実施形態では、指接触表面376および378は、本体部材372の直径に沿って配置されるそれぞれの直立したタブ(別々に指定せず)上に形成される。閉塞具370は、少なくとも1つの細長い剛性部材380をさらに備え、この剛性部材380は、指接触表面376および378とは反対の、その側面における本体部材から離れる方向に延出し、患者の皮膚表面を貫通する。
【0079】
図示する実施形態では、剛性貫通部材380は、指接触表面376および378とは反対の、その側面における本体部材372から離れる方向に延出し、皮膚表面を貫通する3つの平行の細長い剛性部材380、381、382のうちの1つである。剛性部材380〜382は、ポートアセンブリ300(図37〜図40)または340(図41〜図44)の下側に懸垂する管状脚部または指部部材318〜320または358〜360に挿入する。剛性部材380〜382は、低侵襲外科手術、例えば、腹腔鏡手術または胸腔鏡手術の開始時におけるポートアセンブリ300または340の配置中に、管状脚部または指部部材318〜320または358〜360を補強および保持する役割を果たす。
【0080】
円板または本体部材372は、外周に沿って、注入管出口通路としての役割を果たす1つ以上の切欠部384を含んで形成される。
【0081】
閉塞具370によって、3つの遠位脚部または指部シールを有する任意のトロカールまたはポートアセンブリの容易な挿入が可能になる。トロカールまたは器具用ポートアセンブリが適所に配置されると、閉塞具は、単に、ポートアセンブリから引き出され低侵襲的腹腔鏡手術または胸腔鏡手術が開始可能になる。
【0082】
図48〜図51に示すように、手術用ポートアセンブリ390は、剛性円錐状上側部分または近位部分394と、円筒状下側部分または遠位部分396とを含む本体部材392を備える。円筒状部分396は、外面に沿って、螺旋状のシーリングねじ山または1つ以上の外側に延出するリブ398を含んで形成される。
【0083】
上側部分または近位部分394には、拘束縫合糸(図示せず)を収容するために、円形縁400に沿って、実質的に平坦で上側に傾斜する柱の形式の複数の縫合糸固定部402が設けられ、切開部位において(臍部等)においてトロカールポートアセンブリ390を患者に固定するようにする。上側部分または近位部分394には、閉塞具本体部材372(図45〜47参照)における嵌合突起部またはキー374を収容するために、円形縁400に沿って、複数の長方形陥凹部406が付加的に設けられる。
【0084】
手術用ポートアセンブリ390は、円筒状部分396の遠位端に取り付けられる弾性スカート408をさらに備える。スカート408は、腹腔鏡器具シャフト(ならびにその動作先端)と腹壁組織との間の保護障壁を提供する。上側端または近位端において、スカート408は、横断膜410を含んで形成され、横断膜410には、腹腔鏡器具を収容するための一対の上側に延出するスリーブ412が設けられる。下側に延出する第3のスリーブ414は、内視鏡の通路のために提供される。スリーブ412および414には、上側端において、手術中に器具シャフトと係合可能である円周方向リングシール416が設けられる。加えて、膜410は、スリーブ412の下側端において、三尖弁シール418を含んで形成される。また、スリーブ414は、下側端において三尖弁シールを含む。
【0085】
ルアーロック419’を含む注入管419は、円錐状上側部分394内部において延出し、膜410に取り付けられ、それを通る流体連通通路を提供する。
【0086】
図52に示すように、腹腔鏡用トロカールまたはポートアセンブリ420は、漏斗状上側部分または近位部分424と、円筒状下側部分または遠位部分426とを含む本体部材422を備える。上側部分または近位部分424には、拘束縫合糸(図示せず)を収容するために、円形縁428に沿って、実質的に平坦で上側に傾斜する柱の形式である複数の縫合糸固定部430であって、締め付けスロットまたはくぼみ部を含む固定部430が設けられ、切開部位(臍部等)においてトロカールポートアセンブリ420を患者に固定するようにする。上側部分または近位部分424には、閉塞具370(図45〜47参照)の突起部またはキー374を収容するために、円形縁428に沿って、複数の長方形陥凹部434が付加的に設けられる。円筒状部分426には、切開における円筒状部分の密封された着座を強化するために、外面に沿って、螺旋状のねじ山または1つ以上の外側に延出するリブ435が設けられる。
【0087】
ポートアセンブリ420は、円筒状部分426の底部または遠位端(別々に列挙されず)において、弾性「ズボン型」部材436をさらに含む。ズボン型部材436は、基部またはカニューレ担持部438と、弾性脚部の形式または下側に懸垂する指部440および442(2つだけ図示される)の形式の3つのカニューレ部材とを含む。2つの脚部442には、下側端または遠位端444において、内側に延出するリングシール(図示せず)および三尖弁シールが各々に設けられる。脚部440は、内視鏡(図示せず)の通路専用であり、また、脚部440には、脚部440に挿入され、脚部440の内面(指定せず)上の肩部448に対して下側端に存在する管状部材448を有する専用カニューレ446が設けられる。上側端または近位端において、カニューレ446は、三尖弁シール452、リングシール454、および注入ポート456を含む弁アセンブリ450を有する。カニューレ446は、脚部440に着脱可能に挿入され、摩擦ばめによってそこに保持され得る。
【0088】
脚部または指部442には、強度および剛性を提供し、かつ摩擦を減少させる補強管(図示せず)が内側に設けられ得る。脚部442は、少なくとも担持部438への取り付け領域において可撓性であり、それによって、脚部/指部/カニューレは、外科手術中に腹腔鏡器具シャフトを介して及ぼす力に応じて傾斜姿勢に一時的に湾曲され得る。
【0089】
上述の図面に示すように、低侵襲手術のトロカールまたは手術用ポートアセンブリのスカートは、360°の円周方向の範囲を有する。しかしながら、トロカールまたはポートアセンブリのスカートが、360°未満で周囲に延出することが可能である。これは、トロカールまたはポートアセンブリが、完全に挿入された位置から意図的にまたは偶然的に取り外される場合に特に有用であり得る。この場合、長手方向の間隙またはスロットを含む部分的スカートは、スロットを縮小および閉鎖することが可能であり、それによって、さらなる器具の動きを可能にするが、依然として腹壁組織に対して保護を提供すること可能である。
【0090】
部分的スカートは、全体的スカートよりも優れた可動域を提供し得る。器具がその極限側方位置にある場合、全体的スカートは、器具の動きを制限し得るが、一方、部分的スカートは制限しない。さらに、実際は、スカートは、ポートの剛性部分に取り付け(接着等)られなければならない。全体的スカートは、ポートアセンブリ本体部材の円筒状部分の円周全体を占有するが、部分的スカートは、円筒状部分の一部分しか占有しない。結果としてもたらされる空間的減少は、小さい中空壁切開が必要または望ましい場合に重要になり得る。最終的に、部分的スカートの製造費用は、より安くなり得る。
【0091】
本明細書において開示するように、スカートは、シールを含むカニューレまたは指部であって、手術用ポートアセンブリの本体の上または下に延出するカニューレまたは指部と組み合わせて使用され得る。下に延出する場合、1つ以上の下方に懸垂するカニューレまたは脚部部材は、全体的または部分的スカートと組み合わせて使用され得る。カニューレまたは指部は、短縮されるが、依然としてシーリング要素を担持するとともに、スカートは、組織保護機能の役割を果たす。
【0092】
本開示に関するカニューレモジュールは、カニューレ担持部材と、それに取り付けられる複数のカニューレ、指部、または脚部を備え得る。上述のように、担持部材は、手術用ポートアセンブリの本体部材の上または下においてドーム状であり得る。カニューレモジュールは、ポートアセンブリ本体部材に着脱可能に取り付けられ、発生する特定の緊急事態に応じて、外科手術中に、一方のカニューレモジュールを別のカニューレモジュールと交換することが可能になる。したがって、2つの脚部(器具と1つのより大きめの器具用)を含む「タコ足型」モジュールは、3つの脚部またはカニューレを含むモジュールと取り替えてもよい。カニューレモジュールが取り外される場合、本体部材の開口部は、組織排出または大きいアクセス開口部を必要とする他の手順に使用され得る。気腹は、新しいカニューレモジュールの連結直後に再確立される。本体部材の開口部(例えば、円筒状部分)に適合する一時的なポートプラグは、この不便性を最小限に抑えるように適用され得る。プラグによって、器具の交換中の患者の腹部からのガス漏出が最小化または排除される。
【0093】
本発明は、ポートアセンブリを横切る器具シャフトの部分の直径が、遠位部分および/または近位部分の直径よりも小さい特定の手動器具に対応することが可能である。図53に示すように、腹腔鏡器具460は、作動部または制御部464および466ならびに細長いシャフト468を有するハンドル462を含む。シャフト468は、操作構成要素(図示せず)を組み込む拡張遠位端部分470と、薄い中間区分472と、ハンドル462に連結される拡張近位部分474とを含む。このような末端拡張型の器具460は、特別な「C字形」チャネルを有する取り外し可能な「タコ足型」とともに機能することが可能である。器具シャフト468は、「C」と漏斗の内壁との間でシールされる。中間区分472の直径断面が小さいことによって、ポートの内径によって制限される可動域を最大化することが可能になる。このような器具460は、制限範囲において可能な限り多くの空間を解放する役割を果たすことが可能である。器具シャフト468の長手方向断面図は、砂時計型(薄いくびれ部)構成を有する。シールは、カニューレ内部に位置し、かつ器具を隙間無く抱き込む器具シール(1つまたは複数)によって確立される。シールは極めて可撓性であるため、これらは、直径の大きい区分(遠位および近位)の動きを制限しない(シールは変形する)が、シールと器具シャフト468の中心区分または中央区分472との間の間隙を可能にしない。
【0094】
本明細書に記載の手術用ポートアセンブリには、図54および図55に示すように、内蔵型または一体型の内視鏡476が設けられる。ポートアセンブリ本体部材482の下側から延出する内視鏡アーム480の遠位部分478は、可撓性であり、また、遠位端484において電荷結合素子(図示せず)等のデジタルチップ技術を組み込む。本設計では、患者接触面または皮膚表面において、手術用ポートアセンブリの本体部材482を通過する必要があるのは小さい電気ケーブルだけであることから、ポートの「有効」断面に対する内視鏡の影響が低減され、かつ動作の程度が改善される。内蔵カメラは、湾曲可能なシャフトまたはアーム480におけるケーブル(図示せず)を介して操作可能である。ケーブルは、ポートの本体部材482を通ってその近位端側まで貫通し得る。代替として、配向制御は、無線で達成され得る。後者の場合、無線受信機(図示せず)は、ポート本体部材482または内視鏡アームもしくはシャフト480の遠位端部分478に一体的であり得る。モータ(図示せず)は、受信無線制御信号に応答して遠位端部分478を湾曲するように、内視鏡アーム480に提供され得る。
【0095】
図54および図55に示すように、内視鏡アームまたはシャフト480は、近位端部分486を有し、この近位端部分486は、本体部材482の漏斗状部分488に沿って延出し、恒久的にまたは着脱可能にそこに連結される。具体的には、近位部分486は、漏斗状本体部分488に取り付けられるスリーブ490を通過する。代替として、近位シャフト部分486は、漏斗状本体部分488の壁に部分的または全体的に埋め込まれ得る。近位シャフト部分486は、内視鏡機能モジュール492に連結されるか、または連結可能であり、内視鏡機能モジュール492は、湾曲作動部または制御ノブ(図示せず)、光源(図示せず)、映像モニタ等に接続するための電気ケーブル(図示せず)を担持し得る。
【0096】
図54および図55に示すような一体型内視鏡は、空間制限範囲、つまり、患者接触面または皮膚表面において可能な限り少ない空間を使用して必要な画像を提供する。全ての直線状近位シャフトを有する剛性の腹腔鏡は、カニューレホルダまたはポートアセンブリ上の空間を実質的に占有し、従って、「作動する」器具の操作を干渉することに留意されたい。既存の可撓性の内視鏡は、十分な可視化を提供せず、極度に壊れ易くかつ高価である。図54および図55に関して上述の設計は、これらの欠点を克服する。
【0097】
図56〜図59に示すように、胸部手術用ポート500は、下側にテーパ状で実質的に可撓性の上側部分または近位部分502と、上側にテーパ状で実質的に可撓性の下側部分または遠位部分504とを備える。使用中、上側部分502は、皮下に配置され、一方、下側部分504は、患者の肋骨の間において胸膜腔に延出する。実質的に剛性のリング様構造506は、手術用ポート500の使用中に、患者の肋骨(図示せず)の上に配置される。リング構造506は、上側部分502と下側部分504との間の接触面または接合部分を囲む。上側部分502は、下側部分504よりも小さい。これにより、皮膚切開を小さくすることが可能になる。下側部分504は、より大きく、また、肋骨間の若干大きい筋肉分割切開(図示せず)の中に収容される。可撓性膜508は、リング構造506のレベルにおいてポートの内部に配置される。膜508は、器具の自由領域を最大化するために、肋骨(制限ゾーン)に近接して配置しなければならない。膜508は、器具(図示せず)の通路のために多種多様の開口部510を担持する。膜508および多数の開口部510は、個々の枢動点および個々の区画を器具に提供するために必要とされる(1つの大きい開口部の代わりに)。本構成によって、外科医の人間工学が改善され、器具の相互の干渉が最小化される。肋骨の上に着座する剛性リング構造506は、ポート500の安定性を提供する。リング構造506は、胸部に摺動せず、枢動点を器具に提供する。リング構造506は、患者の肋骨の真上の軟性指部切開による外科医が形成する軟性組織ポケットに着座する。また、より小さな皮膚切開と組み合わせることによって、リング構造506において、ポート500を患者の胸部に固定する必要がなくなる。ポート500は、可動であるが、配置位置において安定する。
【0098】
リング構造506は、胸部ポートユニット500全体の一部であり、ユニットが適所に挿入されると、残りのユニットから取り外されない。リング構造506は、製造上の必要性に応じて、上側部分502および/または下側部分504に取り付け可能であるか、またはこれらの部分のいずれにも取り付けられない(代わりに、平行膜508に取り付けられる)。
【0099】
上側部分502および下側部分504は、異なるデュロメータ値を有することが可能である。上側部分502および下側部分504は、操作者および手術の必要性に応じて、同一の可撓性、類似の可撓性、または実質的に異なる可撓性を有することが可能である。上側部分502および下側部分504は、製造中に恒久的に相互接着可能であるか、または単一の一体型ユニットとして製造(成形)されてもよい。上側部分502および下側部分504は、摺動可能に相互に取り付け可能である。例えば、(1)下側部分504は、剛性リング506を担持する上側部分502の中に摺動することができ、(2)上側部分502は、剛性リング506を担持する下側部分504の中に摺動することができ、(3)上側部分502および下側部分504は、器具用の開口部510を有し、かつ剛性リング506によって囲まれる水平板(剛性膜508)の中に摺動可能である。
【0100】
いかなる場合においても、剛性リング構造506は、患者の肋骨の上に着座する。縫合糸またはいくつかの他のコネクタを使用して、ポート500を周囲組織に固定する必要がない。ポートアセンブリ500は、適所にとどまる。
【0101】
図59に示すように、中空フランジ514内部に着座する剛性リング512は、リング構造506を形成し得る。フランジ514は、上側部分502および膜508と連続している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【公開番号】特開2013−78660(P2013−78660A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−18194(P2013−18194)
【出願日】平成25年2月1日(2013.2.1)
【分割の表示】特願2010−500992(P2010−500992)の分割
【原出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】