説明

腹部用のマッサージ用具

【課題】使用方法および構成が簡単で、腹部に押しつける力や回転の速さを容易に調整することができる腹部用のマッサージ用具を提供する。
【解決手段】円板状の連結板11と、その連結板の下面側に突出し、環状に配列された8個の突起12からなる突起群と、連結板11の上面側から突起群の中心線Pに沿って上向きに突出し、先端に握り部材16が固定された操作棒13とからなる腹部用のマッサージ用具10。突起群を腹部に当てて操作棒13の先端の握り部材16を円を描くように回すことにより、突起12が順に腹部を押圧し、快適なマッサージ効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は腹部用のマッサージ用具に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】実開平5−7237号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118557号公報
【特許文献3】特表平9−512716号公報
【特許文献4】特開平10−151085号公報
【0003】
特許文献1には、多数の突起を備えた楕円状の振動板と、その振動板を振動させるモータおよび電池を収容したケースとを備え、そのケースの裏面側に4本の指を挿入できる把持部を設けたボディマッサージ器が開示されている。このものは、片手の4本の指を把持部に挿入し、体にローションを塗布した上で、擦るようにして使用し、筋肉痛や皮下脂肪を除去する。
【0004】
特許文献2には、略球状で、表面の正21面体に対応する個所に先端が丸みを有する円錐状の突起を配列したマッサージ具が開示されている。このものは使用者が仰向けに寝た状態でその腹部に載せて転がすことにより、重量による押圧効果で腹部のツボおよび腸などの腹部の内臓をマッサージすることができる。
【0005】
特許文献3には、台の上にモータで回転する回転板を設け、その回転板に3個のマッサージ突起を設けた腹部マッサージ・刺激装置が開示されている。このものは、患者の肋骨および上位前腸骨の骨部を台に接触させ、突起で腹部をマッサージすることにより、便秘の症状を改善したり、胆管の機能不全を改善するものである。使用方法は明確ではないが、患者は肋骨や腸骨を台に接触させることから、装置の上に俯せになって使用すると思われる。
【0006】
特許文献4には、噴出口の周囲に、噴出口より高い複数の突起を設け、左右に把手を設けた、浴槽内で使用する浴中気泡発生装置が開示されている。このものは、浴槽の底部に載置して足裏をマッサージしたり、浴槽の壁面に吸盤で固定し、腹部や胸部をマッサージするほか、本体の左右の把手を把持し、腹部ないし胸部に噴出口を対向させて使用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
腹部の調子がよくないとき、手で腹部を押さえながら円形状に撫でていくことにより、あるいは円形状に順に押さえていくことにより、症状が和ぐことがある。このような目的ですりこぎ状の押さえ棒を用いることもできる。しかし押さえ棒の先端を適切な力で押しつけながら円形状に移動させていく操作や、軽く押し込む操作と移動させていく操作を交互に繰り返すことはかなり面倒である。
【0008】
特許文献1のボディマッサージ器は、多数の突起を備えた振動板を振動させることができ、片手で操作できるので、腹部に振動板を押圧するだけで、ある程度の刺激ないしマッサージ効果が得られる。しかし円形状に移動させようとすると面倒である。特許文献2のマッサージ具は、仰向けに寝た状態で腹部上を転がすことにより、刺激を与える部位を順に移動させることができるが、円形状に移動させることはできない。
【0009】
他方、特許文献3の腹部マッサージ・刺激装置は、マッサージ突起を備えた回転板を回転させるので、その上に俯せに寝て使用すると、体重による押圧作用と相俟って、腹部に与える刺激を円形状に移動させていくことができる。また、このものを特許文献2と同様に仰向けになって使用することもできなくはない。しかし押さえつける操作が煩雑である。特許文献3の腹部マッサージ・刺激装置の台に、特許文献4の教えるところにしたがって左右の把手を設けることも考えられる。しかし押し込む力を適切にすることは難しい。さらに回転板の回転の速さを適宜調整することも難しい。
【0010】
本発明は使用方法が簡単で、使用者の好みに合わせて押しつける力や回転の速さを容易に調整することができる腹部用のマッサージ用具を提供することを課題としている。さらに本発明は、構成が簡易であるにも関わらず、効果的な腹部のマッサージを行うことができる腹部用のマッサージ用具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の腹部用のマッサージ用具(請求項1)は、略同方向に向けて突出するように環状に配列された3個以上の突起からなる突起群と、それらの突起群の略中心線上に、突起群とは間隔をあけて、かつ逆向きに配置される握り部と、その握り部と前記それぞれの突起とを連結する連結部材とからなることを特徴としている。
【0012】
このようなマッサージ用具においては、前記連結部材が連結板とその連結板の中心から突出する操作棒とからなり、前記連結板の一面の周縁近辺から前記それぞれの突起が突出しており、他面の中心から前記操作棒が突出すると共に、操作棒の先端に前記握り部が設けられているものが好ましい(請求項2)。また、前記それぞれの突起が中心線に対し、同じ方向に向けて傾斜しているものであってもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマッサージ用具(請求項1)は、突起群を腹部に当て、握り部を片手で握り、腹部側に押しつけながら傾け、握り部で円を描くように回して使用する。操作棒の先端を傾けると、その向きにある突起が腹部に押しつけられる。そして握り部を円を描くように回転させると、腹部を押している突起が順に変わっていく。それにより腹部が円状に順に押しつけられ、適切なマッサージ効果が得られる。また、傾けている側の反対側の突起が支点となり、テコの作用で傾けた側の突起を強く腹部に押しつけることができる。そのため、軽く傾けるだけで比較的強く押圧できる。
【0014】
前記連結部材が連結板とその連結板の中心から突出する操作棒とからなり、前記連結板の一面の周縁近辺から前記それぞれの突起が突出しており、他面の中心から前記操作棒が突出すると共に、操作棒の先端に前記握り部が設けられているマッサージ用具(請求項2)は、連結板、複数個の突起および操作棒という少ない部品から構成することができる。
【0015】
前記それぞれの突起が中心線に対し、同じ方向に向けて傾斜しているマッサージ用具(請求項3)は、回す方向によって異なる押圧効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
つぎに図面を参照しながら本発明のマッサージ用具の実施の形態を説明する。図1は本発明のマッサージ用具の一実施形態を示す斜視図、図2および図3はそれぞれそのマッサージ用具の側面図および底面図、図4および図5はそれぞれ本発明のマッサージ用具の他の実施形態を示す要部側面図および底面図、図6および図7はそれぞれ本発明のマッサージ用具のさらに他の実施形態を示す側面図および斜視図である。
【0017】
図1に示すマッサージ用具10は、円板状の連結板11と、その連結板の下面から突出する複数個の突起12と、連結板11の上面中央から突起群の中心線Pに沿って上向きに突出する操作棒13とを備えている。連結板11と操作棒13とは連結部材を構成している。連結板11はたとえば100〜400mm程度、とくに150〜250mm程度が好ましい。連結板11は木製が好ましいが、合成樹脂製など、他の材料を用いることもできる。木製の場合は、厚さは5〜20mm程度、とくに10mm前後が好ましい。
【0018】
突起12は環状、とくに円状に配列されており、この実施形態では等間隔で8個配列されている。ただし3〜7個、あるいは9〜20個程度でもよい。突起12の太さおよび配列する円の径を考えると、実用的には5〜12個程度が好ましい。それぞれの突起12は外径10〜30mm程度、とくに15〜25mm程度が好ましい。突起12の下端は半球状など、滑らかにしておく。突起12も木製とするのが好ましい。ただし合成樹脂など、他の材料から構成することもできる。連結板11と突起12は、接着剤で固定することができ、その場合は図2に示すように、木ねじ14などで仮止めしておく。
【0019】
操作棒13は外径20〜40mm、好ましくは25〜35mm程度であり、その長さは100〜250mm程度、とくに150〜200mm程度が好ましい。操作棒13も木製とすることができるが、合成樹脂製などとすることもできる。操作棒13と連結板11も接着剤で結合すると共に、図2に示すように、仮止め用の木ねじ15で固定しておく。図2の場合は操作棒13が連結番11に対して回転しないように、2本の木ねじ15を使用している。操作棒13は円柱状にするほか、四角柱、六角柱、あるいは八角柱状などの角柱状とすることもできる。
【0020】
操作棒13の上端には握り部材16が木ネジ17などで固定されている。握り部材16はゴム製のものが好ましく、それにより滑りにくくなり、握りの感触がよい。ただし合成樹脂製としてもよい。また、操作棒13の上端を滑らかに形成してそのまま握り部とすることもできる。この場合は別個に形成して結合する手間が省ける。
【0021】
上記のように構成されるマッサージ用具10は、突起12の下端を使用者の腹部に載せて、操作棒13の先端の握り部剤16を手のひらで軽く保持し、図1の想像線で示すように操作棒13を傾けながら円を描くように移動させる。すなわち、操作棒13が円錐面18を描くように味噌摺り運動を行わせる。その場合、反対の手で操作棒13の根元部13aを軽く保持してもよい。使用者は通常は仰向きに寝た状態で、マッサージ用具10を腹部に載せるが、椅子に座った状態でも使用できる。操作棒13を傾けると傾けた側の突起12aが腹部に押しつけられる。そのとき、反対側の突起12eを支点とするテコの作用により、軽く傾けるだけで傾けた側の突起12aである程度強く腹部を押圧することができる。
【0022】
そして操作棒13の先端を円を描くように回すと、図3に示す8個の突起12a〜hが、その順に交互に押圧していく。それにより快適なマッサージ効果が得られる。なお、操作棒13の回す方向は図1の矢印Qのように時計方向(図3では反時計方向)が好ましく、大腸内の流れの方向に順に押圧していくことができる。さらに操作棒13の先端を円を描くように何回か回していくと、突起12の押圧する位置が次第にずれてくる。したがって腹部の異なる位置を順に押圧していくことができる。それによってさらに快適なマッサージ効果が得られる。なお、一方向に回すだけでなく、数回時計方向に回した後、反時計方向に数回回すようにしてもよい。
【0023】
図1〜3のマッサージ用具10では突起12が連結板11から直角に突出しているが、図4、図5に示すマッサージ用具20のように斜めに突出するように固定してもよい。傾斜角度はたとえば30〜60度程度であり、40〜50度程度が好ましい。傾斜の向きは先端にいくにしたがって時計方向にずれる向きである。図5に示すように底面側から見ると、突起12の先端は反時計方向を向いている。
【0024】
このマッサージ用具20は、前述のように腹部に突起12を載せて操作棒13を時計方向に回すと、突起12の先端が向かっている向き(引っかかり方向)であるので、深く腹部に押圧される。そして逆方向に回すと、傾斜面が滑る方向であるので、弱く押圧される。このように突起12を傾斜させることにより、回す向きによって押圧力に強弱をつけることができる。
【0025】
図4、図5のマッサージ用具20では、突起12を円柱状としてその全体を傾斜させているが、先端を傾斜方向に曲げてもよい。その場合は突起12の基部は連結板11に直角に取り付けることができる。
【0026】
前記実施形態では連結板11、突起12および操作棒13を別個に形成して木ねじや接着剤で結合しているが、一体成形品とすることもできる。合成樹脂製の場合はむしろ一体成形品のほうが製造が容易である。金属製の場合は、通常は複数の部品を結合して構成する。金属製の場合でも、握り部や突起の先端は使用者の体に当たるので、ゴムあるいは合成樹脂にするほうが好ましい。
【0027】
前記実施形態では連結板11の下面に突起12を突出させ、上面に操作棒13を突出させているが、図6および図7に示すように、他の形態を採用することもできる。図6のマッサージ用具21では連結板を用いず、突起12と握り部材16をそれぞれ斜めに延びる複数本の連結杆22で連結した形態を有する。このマッサージ用具21では、連結杆22が連結部材である。また、図7のマッサージ用具23は、リング状の連結板24と、その連結板24と握り部材16とを連結する斜めに延びる1本の連結杆25とを備えている。この場合は連結板24と連結杆25が連結部材である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のマッサージ用具の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のマッサージ用具の側面図である。
【図3】図1のマッサージ用具の底面図である。
【図4】本発明のマッサージ用具の他の実施形態を示す要部側面図である。
【図5】図4のマッサージ用具の底面図である。
【図6】本発明のマッサージ用具のさらに他の実施形態を示す側面図である。
【図7】本発明のマッサージ用具のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
10 マッサージ用具
11 連結板
12 突起
12a〜h 突起
13 操作棒
13a 根元部
14、15 木ネジ
16 握り部材
17 木ネジ
18 円錐面
20 マッサージ用具
21 マッサージ用具
22 連結杆
23 マッサージ用具
24 連結板
25 連結杆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略同方向に向けて突出するように環状に配列された3個以上の突起からなる突起群と、
それらの突起群の略中心線上に、突起群とは間隔をあけて、かつ逆向きに配置される握り部と、
その握り部と前記それぞれの突起とを連結する連結部材とからなる、腹部用のマッサージ用具。
【請求項2】
前記連結部材が連結板とその連結板の中心から突出する操作棒とからなり、前記連結板の一面の周縁近辺から前記それぞれの突起が突出しており、他面の中心から前記操作棒が突出すると共に、操作棒の先端に前記握り部が設けられている請求項1記載のマッサージ用具。
【請求項3】
前記それぞれの突起が中心線に対し、同じ方向に向けて傾斜している請求項1記載のマッサージ用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−22520(P2009−22520A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188677(P2007−188677)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(599072530)株式会社山利製作所 (8)
【Fターム(参考)】