説明

膜ろ過処理装置

【課題】 ろ過膜の破断を的確に検出することで好適な膜ろ過処理装置を実現する。
【解決手段】 膜ろ過処理装置は、原水に含まれる濁質を分離除去するろ過膜を有する膜ろ過手段1と、膜ろ過手段1のろ過水の濁度を計測する処理水質計測手段3と、処理水質計測手段3の計測値に基づきろ過膜の破断を検出する制御手段4などを備え、その制御手段4は、ろ過膜を通過する原水の流量を減少させ、通過流量の減少後に処理水質計測手段3から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に含まれる濁質や病原性原虫などの分離除去のために設置される膜ろ過処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
膜ろ過処理装置は、河川などの表流水に代表される原水を浄化する浄水施設等に設置される。膜ろ過処理装置は、原水に含まれる濁質や病原性原虫等(以下、濁質と適宜総称する)を分離除去するろ過膜を有する。
【0003】
このような膜ろ過処理装置においては、ろ過、逆洗、薬品洗浄などの処理が繰り返されるため、ろ過膜に破断が生じることがある。ろ過膜の破断が生じると、ろ過膜の破断部分から未処理の原水が漏れるため、ろ過水に濁質が混入する。
【0004】
ろ過水に濁質が混入するのを防ぐため、ろ過水の濁度を計測器で測定し、測定した濁度の大きさに基づき、ろ過膜の破断を検出することが行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−128086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、濁度が比較的小さい原水(例えば、伏流水、地下水)をろ過する場合や、ろ過膜の正常部分に対する破断部分の割合が小さい場合は、ろ過膜に破談が生じた際のろ過水の濁度も比較的小さい。しかし、濁度を計測する機器類は、検出感度に一定の制限があるのが一般的であるから、特許文献1のような方式では、ろ過水の濁度を計測器で測定できない場合がある。その結果、ろ過膜に破断が生じているときでも、その破断を検出できないおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、ろ過膜の破断を的確に検出するのにより好適な膜ろ過処理装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の膜ろ過処理装置は、原水に含まれる濁質を分離除去するろ過膜を有する膜ろ過手段と、膜ろ過手段のろ過水の濁度を計測する水質計測手段と、水質計測手段の計測値に基づきろ過膜の破断を検出する膜破断検出手段とを備え、その膜破断検出手段は、ろ過膜を通過する原水の流量を減少させ、通過流量の減少後に水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出することを特徴とする。
【0009】
すなわち、破断が生じたろ過膜に対する通過流量を減少させると、ろ過膜の正常部分を通過する水量は、ろ過膜に対する水圧の低下に起因して減るのに対し、破断部分を通過する水量は、正常部分よりも減少幅が小さい。ここで破断部分を通過する原水は、未処理であるため、濁質を比較的多く含む。したがって、通過流量の減少後のろ過水の濁度は、減少前よりも増加することになる。
【0010】
このような知見に基づき、ろ過膜の破断を検出するに際し、通過流量を減少させることにより、ろ過水の濁度を増加させることができる。その結果、例えば原水の濁度が比較的小さい場合でも、濁度計測器の検出感度にかかわらず、ろ過水の濁度を的確に検出できるため、ろ過膜の破断を検出する精度が向上する。よって、破断が生じた際の処置を施すのが的確になるから、安心かつ安全な浄水を常時供給するのが容易になる。なお、ここでの濁度とは、単位体積あたりの濁質の割合である。
【0011】
この場合において、膜破断検出手段は、通過流量を減少させる前の水質計測手段の計測値を第一の計測値として取得し、通過流量を減少させた後の水質計測手段の計測値を第二の計測値として取得し、第二の計測値が第一の計測値よりも大きいときにろ過膜に破断が生じたものと判定できる。これにより、膜破断の有無を判定するに際し、通過流量の減少前後における濁度の差分の大きさを基準とするため、原水の濁度自体には左右されず、ろ過膜の漏れを的確に検出できる。
【0012】
また、膜破断検出手段は、通過流量を減少させた後の水質計測手段の計測値を取得し、取得した計測値が設定値よりも大きいときにろ過膜に破断が生じたものと判定できる。これにより、膜破断の有無を判定するに際し、閾値である設定値を基準にするため、膜破断検出処理を簡単にすることができる。
【0013】
また、膜破断検出手段は、ろ過膜に破断がないものと判定したとき通過流量を元の量に戻す指令を出力できる。これにより、膜ろ過処理の運転を継続できるので、膜破断検出処理に伴う運転停止時間を短縮できる。
【0014】
また、膜ろ過手段の上流側の原水の濁度を計測する被処理水質計測手段を設け、膜破断検出手段は、被処理水質計測手段の計測値が設定値以下の際、通過流量を減少させることができる。これにより、膜破断検出処理を開始すべき場合を自動検出できるため、装置の使い勝手が向上する。
【0015】
また、膜ろ過手段は、複数設けられるものとし、水質計測手段は、各膜ろ過手段から流出する処理水の合流後の濁度を計測し、膜破断検出手段は、複数の膜ろ過手段のうち、一の膜ろ過手段の通過通量を減少させることができる。これにより、複数の膜ろ過手段の個々について順番に膜破断の有無を検出できるから、膜破断が生じた膜ろ過手段を特定することができるので、膜破断に対する処置を施すのが容易になる。
【0016】
また、膜破断検出手段は、複数の膜ろ過手段のうち、一の膜ろ過手段の通過流量を減少させつつ、他の膜ろ過手段の通過流量を増加させることができる。これにより、通過流量を減らすことに起因する処理水量の減少を補填できるため、所望の処理水量を確保できる。
【0017】
また、膜破断検出手段は、膜ろ過手段の上流側の原水に濁質源を添加させ、濁質源の添加後に水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出できる。これにより、原水の濁度が比較的小さい場合でも、ろ過水の濁度を濁質源で増加させることができるため、計測機器の検出感度にかかわらず、ろ過膜の破断を的確に検出できる。
【0018】
この場合において、膜破断検出手段は、濁質源を添加させる前の水質計測手段の計測値を第一の計測値として取得し、濁質源を添加させた後の水質計測手段の計測値を第二の計測値として取得し、第二の計測値が第一の計測値よりも大きいときにろ過膜に破断が生じたものと判定できる。これによれば、膜破断の有無を判定するに際し、濁質源の添加前後における濁度の差分の大きさを基準とするため、原水の濁度自体には左右されず、ろ過膜の漏れを的確に検出できる。
【0019】
また、膜破断検出手段は、濁質源を添加させた後の水質計測手段の計測値を取得し、取得した計測値が設定値よりも大きいときにろ過膜に破断が生じたものと判定できる。これによれば、膜破断の有無を判定するに際し、設定値である閾値を基準にするため、膜破断検出処理を簡単にすることができる。
【0020】
ここでの濁質源は、水に溶解する性質を有し、所定時間で溶解により消滅する物質であるのが望ましい。例えば、膜破断検出手段は、濁質源として次亜塩素酸カルシウムを添加できる。すなわち、次亜塩素酸カルシウムは、殺菌作用やろ過膜の洗浄作用を奏する。したがって、次亜塩素酸カルシウムを濁質源として用いることにより、ろ過膜の破断を的確に検出できる効果に加えて、浄水の消毒効果や、ろ過膜の洗浄効果も発揮できる。
【0021】
また、膜ろ過手段は、複数設けられるものとし、水質計測手段は、各膜ろ過手段から流出する処理水の合流後の濁度を計測し、膜破断検出手段は、複数の膜ろ過手段のうち、一の膜ろ過手段の上流側の原水に濁質源を添加させることができる。これにより、複数の膜ろ過手段の個々について順番に膜破断の有無を検出できるから、膜破断が生じた膜ろ過手段を特定することができるので、膜破断に対する処置を施すのが容易になる。
【0022】
また、本発明の膜ろ過処理方法は、原水に含まれる濁質をろ過膜で分離除去するろ過工程と、ろ過膜を通過したろ過水の濁度を計測する水質計測工程と、水質計測工程の計測値に基づきろ過膜の破断を検出する膜破断検出工程とを備え、その膜破断検出工程は、ろ過膜を通過する原水の流量を減少させ、通過流量の減少後に水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の膜ろ過処理方法は、原水に含まれる濁質をろ過膜で分離除去するろ過工程と、ろ過膜を通過したろ過水の濁度を計測する水質計測工程と、水質計測工程の計測値に基づきろ過膜の破断を検出する膜破断検出工程とを備え、その膜破断検出工程は、膜ろ過手段の上流側の原水に濁質源を添加させ、濁質源の添加後に水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ろ過膜の破断を的確に検出するのにより好適な膜ろ過処理装置を実現できる。例えば、原水の濁度が比較的小さい場合でも、ろ過水の濁度を的確に検出できるため、ろ過膜の破断を検出する精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施形態)
本発明を適用した膜ろ過処理装置の第一の実施形態について説明する。本実施形態の膜ろ過処理装置は、ろ過膜の破断を検出するに際し、ろ過膜の通過流量を一時的に減少させると、ろ過膜に破断が生じている場合は、ろ過水の濁度が向上するという知見に基づき実現されている。より具体的には、本実施形態の膜ろ過処理装置は、ろ過膜を通過する原水の流量を減少させ、その通過流量の減少後のろ過水の濁度に基づき、ろ過膜の破断を検出する。
【0026】
以下に、第一ないし第四の実施例により本実施形態の膜ろ過処理装置を説明する。ただし、各実施例で説明した構成部や変形例等を組み合わせ、あるいは置き換えるなど、必要に応じて変更することができる。
【0027】
(実施例1−1)
図1は、本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第一の実施例を示す図である。本実施例の膜ろ過処理装置は、膜ろ過処理装置は、河川などの表流水に代表される原水を浄化する浄化施設等に設置される。このような膜ろ過処理装置は、図1に示すように、原水に含まれる濁質を分離除去するろ過膜を有する膜ろ過手段1と、ろ過膜を通過する原水の流量を調整するろ過流量変更手段2と、膜ろ過手段1のろ過水の濁度を計測する水質計測手段(以下、処理水質計測手段3)と、処理水質計測手段3の計測値に基づきろ過膜の破断を検出する膜破断検出手段としての制御手段4などを備えている。
【0028】
そして、本実施例の膜ろ過処理装置に適用する制御手段4は、ろ過膜を通過する原水の流量(以下、通過流量と適宜称する)をろ過流量変更手段2に減少させ、通過流量の減少後に処理水質計測手段3から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出する機能を有している。
【0029】
より詳細に、本実施例の膜ろ過処理装置について説明する。膜ろ過手段1は、原水中の濁質や微粒子などを除去するろ過膜が実装されている。ろ過膜は、数千本の中空糸膜が組み込まれて構成されたモジュール単位で加工されている。このようなろ過膜は、膜の孔径よりも大きな微粒子をほぼ除去でき、しかも維持管理が容易であるから、浄水施設に導入するのに好ましい。
【0030】
ろ過流量変更手段2は、膜ろ過手段1の上流側に直列に配設されている。ただし、ろ過流量変更手段2については、膜ろ過手段1の下流側に配設してもよい。このようなろ過流量変更手段2は、膜ろ過手段1のろ過流束を変更するポンプ等を有している。また、処理水質計測手段3は、膜ろ過手段1の下流側に配設されている。なお、本実施例の処理水質計測手段3として、高感度濁度計を採用している。
【0031】
制御手段4は、処理水質計測手段3から計測信号を取り込む機能と、ろ過流量変更手段2に通過流量の変更指令を出力する機能と、膜ろ過手段1のろ過膜に破断が生じているか否かを判定する機能を有する。
【0032】
このように構成される膜ろ過処理装置の基本動作について説明する。まず、原水(例えば、表流水、伏流水、地下水)が膜ろ過手段1に供給される。供給された原水は、ろ過膜を通過するに際し、原水中の濁質等が分離除去される。膜ろ過手段1から流出するろ過水は、後段の水処理設備に供給される。
【0033】
ここで、ろ過膜の破断を検出する動作について説明する。制御手段4は、膜ろ過処理装置が基本動作をしている際、処理水質計測手段3から濁度の計測値Aを第一の計測値として取り込む。
【0034】
次に、ろ過膜の破断を検出するに際し、制御手段4は、膜ろ過手段1の通過流量を減少させる指令をろ過流量変更手段2に出力する。ろ過流量変更手段2は、制御手段4の減少指令に応じ、通過流量を減少する。その後、制御手段4は、処理水質計測手段3から濁度の計測値Bを第二の計測値として取り込む。なお、通過流量を減少させた時から計測値Bを取得するまでの時間については、通過流量の減少後の水質を計測値Bに反映できるように設定すればよい。例えば、ろ過流量変更手段2から処理水質計測手段3までの配管長や通過流量などに基づいて、計測値Bの取得時間を決めればよい。
【0035】
次に、制御手段4は、計測値Aと計測値Bを比較し、比較結果に基づきろ過膜の破断を検出する。より具体的には、制御手段4は、計測値Bが計測値Aよりも大きい場合、ろ過膜の破断部分から原水が漏れているものと解釈し、ろ過膜に破断が生じているものと判定する。その場合、制御手段4は、通過流量をゼロにする指令をろ過流量変更手段2に出力する。ろ過流量変更手段2は、制御手段4の指令に応じ、通過流量をゼロにする。なお、制御手段4は、計測値Bが計測値A以下の場合、ろ過膜に破断がないものと判定し、その通過流量を元に戻す指令をろ過流量変更手段2に出力する。
【0036】
要するに、本実施例の制御手段4は、ろ過膜の破断を検出するに際し、ろ過膜を通過する原水の流量を一時的に減少させ、減少前後のろ過水の濁度のそれぞれ(例えば、計測値Aと計測値B)を取得し、計測値Bが計測値Aよりも大きいとき、ろ過膜に破断が生じたものと判定する。
【0037】
すなわち、破断が生じたろ過膜の通過流量を減少させると、ろ過膜の正常部分を通過する水量は、ろ過膜に対する水圧の低下に起因して減るのに対し、破断部分を通過する水量は、正常部分よりも減少幅が小さい。ここで破断部分を通過する原水は、未処理であるため、濁質を比較的多く含む。したがって、通過流量の減少後のろ過水の単位体積あたりの濁度は、減少前よりも増加することになる。
【0038】
このような知見に基づいた本実施例によれば、ろ過膜の破断を検出するに際し、通過流量を減少させることにより、ろ過水の濁度を増加させることができる。その結果、例えば原水の濁度が比較的小さい場合でも、濁度計測器の検出感度にかかわらず、ろ過水の濁度を的確に検出できるため、ろ過膜の破断を検出する精度が向上する。よって、破断が生じたろ過膜に処置を施すのが的確になるから、安心かつ安全な浄水の供給が容易になる。なお、ここでの濁度とは、単位体積あたりの濁質の割合である。
【0039】
また、本実施例によれば、膜破断の有無を判定するに際し、通過流量の減少前後における濁度の差分の大きさを基準とするため、原水の濁度自体には左右されず、ろ過膜の漏れを的確に検出できる。
【0040】
ここで通過流量とろ過水の濁度との関係について図2を参照して補足する。図2は、通過流量に対するろ過水の濁度の変化を計測した一例である。図2の縦軸は、ろ過水の濁度(ろ液濁度)を示し、横軸は、通過流量に対応するろ過流束を示している。なお、図2の計測値を取得するに際し、ろ過膜の中空糸膜を所定量だけ切断する度に、濁度が同じ原水をろ過膜に通過させた。
【0041】
図2に示すように、ろ過流束を増大させるにつれて、ろ過水の濁度が徐々に低減している。換言すると、ろ過流束を減少させると、ろ過水の濁度が徐々に増加する。このような計測結果によって得た知見に基づき、本実施例の膜ろ過処理装置が実現されている。すなわち、本実施例の膜ろ過処理装置は、ろ過流束つまり通過流量を減少させることにより、処理水質計測手段3の濁度計測による膜破断検出感度を向上できる。
【0042】
上述のとおり、本実施例の膜ろ過処理装置を説明したが、これに限られるものではない。例えば、処理水質計測手段3の計測値にばらつきがある場合、制御手段4は、処理水質計測手段3から例えば計測値Aを複数取得し、取得した計測値Aの平均値を第一の計測値として取得できる。計測値Bについても、複数の計測値Bの平均値を第二の計測値として取得できる。また、制御手段4は、処理水質計測手段3による計測値のばらつきを考慮した設定値を保持し、計測値Bと計測値Aの偏差(計測値B−計測値A)がその設定値を超えた場合に、ろ過膜に破断が生じていると判定できる。これにより、例えば経年劣化に起因して計測値がドリフトするなど、処理水質計測手段3の計測値がばらつく場合でも、その計測値に内包する誤差を低減できる。
【0043】
また、制御手段4は、計測値Aと計測値Bを比較することに代えて、予め設定した上限値Hと計測値Bを比較する。そして、制御手段4は、計測値Bが上限値Hを超えた場合、ろ過膜の破断部分から原水が漏れていると解釈し、ろ過膜の破断を検出できる。これにより、膜破断の有無を判定するに際し、閾値である設定値を基準にするため、膜破断検出処理を簡単にすることができる。
【0044】
また、制御手段4は、ろ過膜に破断がないものと判定した際、通過流量を元に戻すことから、膜ろ過処理の運転を継続できるので、膜破断検出処理に伴う運転停止時間を短縮できる。また、制御手段4は、通過流量を元に戻すことに代えて、通過流量を元の量よりも増大させることができる。これにより、膜ろ過手段1を一時的に停止したことに起因する処理水総量の減少を補填できるため、所定の処理水量を確保できる。
【0045】
また、膜ろ過手段1の下流側に貯留槽を設け、ろ過膜の破断が検出された場合、膜ろ過手段1から流出するろ過水を貯留槽に一時的に溜めることができる。これにより、ろ過膜の破断に起因してろ過水の濁度が上昇した場合、後段の水処理設備にそのろ過水を供給することを防止できる。また、ろ過水を貯留槽に溜めることに代えて、濁度を低下させるための消毒剤の添加量を増加してもよい。
【0046】
また、制御手段4は、ろ過水の濁度についての設定値Sを保持し、計測手段3の計測値がその設定値S以上である場合に、ろ過膜の破断検出処理を開始できる。ここでの設定値Sについては、上限値Hが設定される場合、上限値Hよりも小さい値に設定される。また、制御手段4は、ろ過膜の破断検出処理を所定時刻、所定間隔で開始できる。
【0047】
なお、従前の破断検出法として、逆洗時に加圧気体を充填し、その圧力を流量の変化に基づいてろ過膜の破断を検出する方法がある(例えば、特開2000−93765号公報)。しかし、この方法では、検出処理が逆洗時ごとに実行されるため、ろ過膜に破断が生じた場合でも、その破断が次の逆洗時まで検出されないというタイムラグが生じる。この点、本実施例によれば、設定値Sに基づいた開始処理により、ろ過膜の破断をオンラインで検出できる。また、開始時刻又は開始間隔を自在に設定できるため、ろ過膜の破断を必要に応じて臨機応変に検出できる。
【0048】
また、本実施例の膜ろ過処理装置を用いた膜破断検出方法は、原水に含まれる濁質をろ過膜で分離除去するろ過工程と、ろ過膜を通過したろ過水の濁度を計測する水質計測工程と、水質計測工程の計測値に基づきろ過膜の破断を検出する膜破断検出工程とを備える。そして、その膜破断検出工程は、ろ過膜を通過する原水の流量を減少させ、通過流量の減少後に水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出することを特徴とする。
【0049】
以上、本実施例によれば、膜ろ過手段1から流出するろ過水の濁度を増加させ、処理水質計測手段3による膜破断検出の感度を向上し、より安心・安全な浄水を供給する膜ろ過処理装置の運転方法を提供できる。
【0050】
(実施例1−2)
図3は、本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第二の実施例を示す図である。本実施例の膜ろ過処理装置は、膜ろ過手段1の上流側に設置した被処理水質計測手段5の計測値に基づき、膜破断検出処理を開始する点で、実施例1−1と異なる。ここでの被処理水質計測手段5は、膜ろ過手段1に供給される原水の濁度を計測する濁度計であり、計測値を制御手段4に送信する。
【0051】
本実施例の膜破断検出処理について説明する。まず、制御手段4は、膜ろ過処理装置が基本動作をしている際、処理水質計測手段3から濁度の計測値Aを所定間隔で取り込む。次に、制御手段4は、予め設定した下限値Lと計測値Aを比較するそして、制御手段4は、計測値Aが下限値L以下の場合、処理対象の原水は濁度が比較的小さなものであると解釈し、膜破断検出処理を開始する。膜破断検出処理の内容については、実施例1−1と同様である。
【0052】
なお、計測値Aが下限値Lを下回ることが長時間に渡る場合は、制御手段4は、予め設定した頻度で処理を開始してもよい。換言すると、ろ過流量変更手段2は、制御手段4の指令に応じ、通過流量を間欠的に減少することもできる。
【0053】
本実施例によれば、実施例1−1で説明した効果に加えて、処理対象の原水濁度が比較的小さい場合を被処理水質計測手段5により自動検出できる。すなわち、膜破断検出処理を開始すべき場合を自動検出できる。その結果、ろ過膜の破断を的確に検出できるとともに、装置の使い勝手が向上する。
【0054】
(実施例1−3)
図4は、本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第三の実施例を示す図である。本実施例の膜ろ過処理装置は、図1の膜ろ過手段1とろ過流量変更手段2のそれぞれを複数配設した点で、実施例1−1と異なる。なお、本実施例では、膜ろ過手段1とろ過流量変更手段2を3つずつ配設した例を説明するが、数については適宜増やしてよい。
【0055】
図4に示すように、膜ろ過手段1−1〜1−3は、並列に配設されている。また、ろ過流量変更手段2−1〜2−3は、膜ろ過手段1−1〜1−3のそれぞれの上流側に設けられている。例えば、ろ過流量変更手段2−1は、膜ろ過手段1−1の上流側に直列に設けられている。なお、処理水質計測手段3は、膜ろ過手段1−1〜1−3から流出する処理水の合流後の濁度を計測する。
【0056】
本実施例の膜破断検出処理を開始すると、制御手段4は、処理水質計測手段3から濁度の計測値Aを取り込む。次に、制御手段4は、膜ろ過手段1−1の通過流量を減少させる指令をろ過流量変更手段2−1に出力する。ろ過流量変更手段2−1は、制御手段4の指令に応じ、膜ろ過手段1−1の通過流量を減少する。次に、制御手段4は、処理水質計測手段3から濁度の計測値B1を取り込む。なお、通過流量を減少させた時から計測値Bを取得するまでの時間は、通過流量の減少後の水質を計測値Bに反映できるように設定される。
【0057】
そして、制御手段4は、計測値Aと計測値B1を比較し、計測値B1が計測値Aよりも大きい場合、膜ろ過手段1−1のろ過膜に破断が生じているものと判定する。その場合、制御手段4は、膜ろ過手段1−1の通過流量をゼロにする指令をろ過流量変更手段2−1に出力する。なお、制御手段4は、計測値B1が計測値A以下の場合、膜ろ過手段1−1のろ過膜に破断がないものと判定し、その通過流量を元に戻す指令をろ過流量変更手段2−1に出力する。膜ろ過手段1−1のろ過膜の破断を検出する例を代表的に説明したが、膜ろ過手段1−2、1−3の場合も同様である。
【0058】
このような膜破断検出処理を膜ろ過手段1−1〜1−3ごとに順番に実行すると、ろ過膜に破断が生じた膜ろ過手段(例えば、膜ろ過手段1−1)を的確に特定できる。これにより、複数の膜ろ過手段1−1〜1−3が配設された場合でも、実施例1−1で説明した効果に加えて、停止すべき膜ろ過手段(例えば、膜ろ過手段1−1)を的確に特定できるため、安心かつ安全な浄水の供給が容易になる。
【0059】
また、制御手段4は、複数の膜ろ過手段1−1〜1−3のうち、ろ過膜に破断が生じた例えば膜ろ過手段1−1を特定すると、他の膜ろ過手段1−2、1−3の通過流量を増加させる指令を過流量変更手段2−2、2−3に出力する。これにより、膜ろ過手段1−1を停止することに起因するろ過水の減少を補填できるため、所定の処理水量を確保できる。また、予備の膜ろ過手段を設け、例えば膜ろ過手段1−1が停止したとき、その予備の膜ろ過手段を一時的に稼動させてもよい。
【0060】
(実施例1−4)
図5は、本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第四の実施例を示す図である。本実施例の膜ろ過処理装置は、膜ろ過手段1−1〜1−3の上流側に設置した被処理水質計測手段5の計測値に基づき膜破断検出処理を開始する点で、実施例1−3と異なる。ここでの被処理水質計測手段5は、膜ろ過手段1−1〜1−3に分岐して供給される原水の濁度を計測する濁度計であり、計測値を制御手段4に送信する。
【0061】
すなわち、図5に示すように、本実施例の膜ろ過処理装置は、実施例1−3の膜ろ過処理装置に、実施例1−2の被処理水質計測手段5を配設し、被処理水質計測手段5を制御する機能を制御手段4に実装したものである。したがって、本実施例によれば、実施例1−3で説明した効果に加えて、処理対象の原水濁度が比較的小さい場合を被処理水質計測手段5により自動検出できる。換言すると、膜破断検出処理を開始すべき場合を自動検出できる。その結果、ろ過膜の破断を的確に検出できるとともに、装置の使い勝手が向上する。
【0062】
(第2の実施形態)
本発明を適用した膜ろ過処理装置の第二の実施形態について説明する。本実施形態の膜ろ過処理装置は、ろ過膜の破断を検出するに際し、原水に濁質源を添加する点で、第一の実施形態と異なる。より具体的には、本実施形態の膜ろ過処理装置は、膜ろ過手段の上流側の原水に濁質源を添加させ、濁質源の添加後に取り込んだろ過水の濁度に基づいて、ろ過膜の破断を検出する。
【0063】
以下に、第一ないし第四の実施例により本実施形態の膜ろ過処理装置を説明する。ただし、各実施例又は第一の実施形態で説明した構成部や変形例等を組み合わせ、あるいは置き換えるなど、必要に応じて変更することができる。なお、第一の実施形態と相違する点を中心に説明し、相互に対応する箇所については適宜省略する。
【0064】
(実施例2−1)
図6は、本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第一の実施例を示す図である。図6に示すように、濁質源添加手段6は、その添加口が膜ろ過手段1の上流側の配管に接続している。このような濁質源添加手段6は、制御手段4の指令に応じ、膜ろ過手段1に供給する原水に濁質源を添加する。ここでの濁質源は、次亜塩素酸カルシウム、あるいは1mm以下の気泡など、水に溶解する性質を有し、所定時間で溶解により消滅する物質を用いるのがよい。
【0065】
本実施例の膜破断検出処理について説明する。制御手段4は、膜ろ過処理装置が基本動作をしている際、処理水質計測手段3から濁度の計測値Aを取り込む。
【0066】
次に、ろ過膜の破断を検出するに際し、制御手段4は、濁質源の添加指令を濁質源添加手段6に出力する。濁質源添加手段6は、制御手段4の指令に応じ、処理対象の原水に濁質源を所定量だけ添加する。ここでの添加量は、濁質源の溶解速度や、添加位置から処理水質計測手段3の計測位置までの流下時間を考慮して決めればよい。なお、流下時間は、ろ過膜に破断が生じている際に予め計測した時間である。
【0067】
濁質源が添加された後、制御手段4は、処理水質計測手段3から濁度の計測値Bを取り込む。なお、濁質源を添加した時から計測値Bを取得するまでの時間については、濁質源による水質の濁度を計測値Bに反映できるように設定すればよい。例えば、濁質源の添加位置から処理水質計測手段3の計測位置までの配管長さや、通過流量などに基づいて、計測値Bの取得時間を決めればよい。
【0068】
次に、制御手段4は、計測値Aと計測値Bを比較し、比較結果に基づきろ過膜の破断を検出する。より具体的には、制御手段4は、計測値Bが計測値Aよりも大きい場合、ろ過膜の破断部分から濁質源が漏れているものと解釈し、ろ過膜に破断が生じているものと判定する。判定後の処理は、実施例1−1と同様である。また、ろ過水に含まれる濁質源は、処理水質計測手段3の計測位置の下流側で消滅する。なお、制御手段4は、計測値Bが計測値A以下の場合、ろ過膜に破断がないものと判定する。
【0069】
本実施例の濁質源として採用した次亜塩素酸カルシウムは、殺菌作用やろ過膜の洗浄作用を奏する。また、1mm以下の気泡は、溶解または圧力刺激で圧壊するとOHラジカルを発生するため、発生したOHラジカルにより殺菌作用やろ過膜の洗浄作用を奏する。したがって、本実施例によれば、ろ過膜の破断を的確に検出できる効果に加えて、浄水の消毒効果や、ろ過膜の洗浄効果も発揮できる。
【0070】
なお、従前の破断検出法として、ろ過水の濁度を計測するに際し、カオリンや珪素土などの濁質を原水に添加する方法がある(例えば、特開平6−320157号公報)。しかし、この方法では、衛生上無害ではあるがカオリンや珪素土が処理水に混入するため、好ましいものとは言えない。この点、本実施例によれば、次亜鉛素酸カルシウム等の濁質源は、所定時間経過後に消滅するため、後段における処理水の浄化度が向上する。
【0071】
また、本実施例の膜ろ過処理装置を用いた膜破断検出方法は、原水に含まれる濁質をろ過膜で分離除去するろ過工程と、ろ過膜を通過したろ過水の濁度を計測する水質計測工程と、水質計測工程の計測値に基づきろ過膜の破断を検出する膜破断検出工程とを備えている。そして、その膜破断検出工程は、膜ろ過手段の上流側の原水に濁質源を添加させ、濁質源の添加後に水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、ろ過膜の破断を検出する。
【0072】
(実施例2−2)
図7は、本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第二の実施例を示す図である。本実施例の膜ろ過処理装置は、膜ろ過手段1の上流側に設置した被処理水質計測手段5の計測値に基づき、膜破断検出処理を開始する点で、実施例2−1と異なる。ここでの被処理水質計測手段5は、膜ろ過手段1に供給される原水の濁度を計測する濁度計であり、計測値を制御手段4に送信する。
【0073】
すなわち、図7に示すように、本実施例の膜ろ過処理装置は、図6の膜ろ過処理装置に、図3の被処理水質計測手段5を配設し、被処理水質計測手段5を制御する機能を制御手段4に実装したものである。したがって、本実施例によれば、実施例2−1で説明した効果に加えて、処理対象の原水濁度が比較的小さい場合を被処理水質計測手段5により自動検出できる。換言すると、膜破断検出処理を開始すべき場合を自動検出できる。その結果、ろ過膜の破断を的確に検出できるとともに、装置の使い勝手が向上する。
【0074】
(実施例2−3)
図8は、本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第三の実施例を示す図である。本実施例の膜ろ過処理装置は、図6の膜ろ過手段1とろ過流量変更手段2のそれぞれを複数配設した点で、実施例2−1と異なる。なお、本実施例では、膜ろ過手段1とろ過流量変更手段2を3つずつ配設した例を説明するが、数については適宜増やしてよい。
【0075】
図8に示すように、膜ろ過手段1−1〜1−3は、並列に配設されている。また、ろ過流量変更手段2−1〜2−3は、膜ろ過手段1−1〜1−3のそれぞれの上流側に設けられている。例えば、ろ過流量変更手段2−1は、膜ろ過手段1−1の上流側に直列に設けられている。なお、処理水質計測手段3は、膜ろ過手段1−1〜1−3から流出する処理水の合流後の濁度を計測する。
【0076】
本実施例の膜ろ過処理装置に適用する制御手段4は、膜ろ過処理装置が基本動作をしている際、処理水質計測手段3から濁度の計測値Aを第一の計測値として取り込む。次に、ろ過膜の破断を検出するに際し、制御手段4は、濁質源の添加指令を濁質源添加手段6に出力する。濁質源添加手段6は、制御手段4の指令に応じ、膜ろ過手段1−1に供給する原水に濁質源を所定量だけ添加する。次に、制御手段4は、処理水質計測手段3から濁度の計測値B1を取り込む。なお、濁質源を添加した時から計測値B1を取得するまでの時間については、濁質源添加後の水質を計測値B1に反映できるように設定すればよい。
【0077】
そして、制御手段4は、計測値Aと計測値B1を比較し、計測値B1が計測値Aよりも大きい場合、膜ろ過手段1−1のろ過膜に破断が生じているものと判定する。なお、制御手段4は、計測値Bが計測値A以下の場合、膜ろ過手段1−1のろ過膜に破断がないものと判定する。判定後の処理は、第一の実施形態と同様である。膜ろ過手段1−1のろ過膜の破断を検出する例を代表的に説明したが、膜ろ過手段1−2、1−3の場合も同様である。
【0078】
このような膜破断検出処理を膜ろ過手段1−1〜1−3ごとに順番に実行すると、ろ過膜に破断が生じた膜ろ過手段(例えば、膜ろ過手段1−1)を特定できる。したがって、本実施例によれば、実施例2−1で説明した効果に加えて、複数の膜ろ過手段1−1〜1−3が配設された場合でも、停止すべき膜ろ過手段(例えば、膜ろ過手段1−1)を的確に特定できるため、安心かつ安全な浄水の供給が容易になる。
【0079】
(実施例2−4)
図9は、本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第四の実施例を示す図である。本実施例の膜ろ過処理装置は、膜ろ過手段1−1〜1−3の上流側に設置した被処理水質計測手段5の計測値に基づき膜破断検出処理を開始する点で、実施例2−3と異なる。ここでの被処理水質計測手段5は、膜ろ過手段1−1〜1−3に分岐して供給される原水の濁度を計測する濁度計であり、計測値を制御手段4に送信する。
【0080】
すなわち、図9に示すように、本実施例の膜ろ過処理装置は、図8の膜ろ過処理装置に、図5の被処理水質計測手段5を配設し、被処理水質計測手段5を制御する機能を制御手段4に実装したものである。したがって、本実施例によれば、実施例2−3で説明した効果に加えて、処理対象の原水濁度が比較的小さい場合を被処理水質計測手段5により自動検出できる。換言すると、膜破断検出処理を開始すべき場合を自動検出できる。その結果、ろ過膜の破断を的確に検出できるとともに、装置の使い勝手が向上する。
【0081】
以上、第一及び第二の実施形態によれば、ろ過膜を通過する原水の流量を減少することにより、あるいは、ろ過水を通過する原水に濁質源を添加することにより、膜ろ過手段1のろ過膜に破断が生じた際のろ過水の濁度を増加させることができる。したがって、処理水質計測手段3の濁度計測に基づいた膜破断検出感度が向上する。その結果、ろ過膜の破断を的確に検出できるため、膜破断に対する処置も的確に実施できるので、安心かつ安全な浄水の供給が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第一の実施例を示す図である。
【図2】図2は、図1の膜ろ過手段のろ過膜を通過する原水量に対するろ過水の濁度の変化を計測した一例である。
【図3】本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第二の実施例を示す図である。
【図4】本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第三の実施例を示す図である。
【図5】本発明を適用した第一の実施形態の膜ろ過処理装置の第四の実施例を示す図である。
【図6】本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第一の実施例を示す図である。
【図7】本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第二の実施例を示す図である。
【図8】本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第三の実施例を示す図である。
【図9】本発明を適用した第二の実施形態の膜ろ過処理装置の第四の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 膜ろ過手段
2 ろ過流量変更手段
3 処理水質計測手段
4 制御手段
5 被処理水質計測手段
6 濁質源添加手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水に含まれる濁質を分離除去するろ過膜を有する膜ろ過手段と、該膜ろ過手段のろ過水の濁度を計測する水質計測手段と、該水質計測手段の計測値に基づき前記ろ過膜の破断を検出する膜破断検出手段とを備え、
前記膜破断検出手段は、前記ろ過膜を通過する原水の流量を減少させ、前記通過流量の減少後に前記水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、前記ろ過膜の破断を検出することを特徴とする膜ろ過処理装置。
【請求項2】
前記膜破断検出手段は、前記通過流量を減少させる前の前記水質計測手段の計測値を第一の計測値として取得し、前記通過流量を減少させた後の前記水質計測手段の計測値を第二の計測値として取得し、前記第二の計測値が前記第一の計測値よりも大きいときに前記ろ過膜に破断が生じたものと判定する請求項1に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項3】
前記膜破断検出手段は、前記通過流量を減少させた後の前記水質計測手段の計測値を取得し、取得した計測値が設定値よりも大きいときに前記ろ過膜に破断が生じたものと判定する請求項1に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項4】
前記膜破断検出手段は、前記ろ過膜に破断がないものと判定したとき前記通過流量を元の量に戻す指令を出力する請求項1乃至3に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項5】
前記膜ろ過手段の上流側の原水の濁度を計測する被処理水質計測手段を設け、前記膜破断検出手段は、前記被処理水質計測手段の計測値が設定値以下の際、前記通過流量を減少させる請求項1乃至4に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項6】
前記膜ろ過手段は、複数設けられるものとし、前記水質計測手段は、前記各膜ろ過手段から流出する処理水の合流後の濁度を計測し、
前記膜破断検出手段は、前記複数の膜ろ過手段のうち、一の前記膜ろ過手段の通過流量を減少させる請求項1乃至5に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項7】
前記膜破断検出手段は、前記一の膜ろ過手段の通過流量を減少させつつ、他の前記膜ろ過手段の前記通過流量を増加させる請求項6に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項8】
原水に含まれる濁質を分離除去するろ過膜を有する膜ろ過手段と、該膜ろ過手段のろ過水の濁度を計測する水質計測手段と、該水質計測手段の計測値に基づき前記ろ過膜の破断を検出する膜破断検出手段とを備え、
前記膜破断検出手段は、前記膜ろ過手段の上流側の原水に濁質源を添加させ、前記濁質源の添加後に前記水質計測手段から取り込んだ計測値に基づいて、前記ろ過膜の破断を検出することを特徴とする膜ろ過処理装置。
【請求項9】
前記膜破断検出手段は、前記濁質源を添加させる前の前記水質計測手段の計測値を第一の計測値として取得し、前記濁質源を添加させた後の前記水質計測手段の計測値を第二の計測値として取得し、前記第二の計測値が前記第一の計測値よりも大きいときに前記ろ過膜に破断が生じたものと判定する請求項8に記載の膜ろ過処理装置
【請求項10】
前記膜破断検出手段は、前記濁質源を添加させた後の前記水質計測手段の計測値を取得し、取得した計測値が設定値よりも大きいときに前記ろ過膜に破断が生じたものと判定する請求項8に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項11】
前記膜ろ過手段は、複数設けられるものとし、前記水質計測手段は、前記各膜ろ過手段から流出する処理水の合流後の濁度を計測し、
前記膜破断検出手段は、前記複数の膜ろ過手段のうち、一の前記膜ろ過手段の上流側の原水に濁質源を添加させる請求項8乃至10に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項12】
前記濁質源は、水に溶解する性質を有し、所定時間で溶解により消滅する物質である請求項8乃至11に記載の膜ろ過処理装置。
【請求項13】
前記膜破断検出手段は、前記濁質源として次亜塩素酸カルシウムを添加する請求項8乃至12に記載の膜ろ過処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−7567(P2007−7567A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−192407(P2005−192407)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】