説明

膜状太陽光発電装置

【課題】可撓性太陽電池を用いて膜状太陽光発電装置を形成する場合に、太陽電池の一部分に応力集中が生じることを防止して、太陽光発電装置の寿命を向上させることができるようにする。
【解決手段】膜状太陽光発電装置は、それぞれ縦方向Aに延びて、縦方向Aに対する横方向Bに並設される複数本の可撓性縦長尺材7と、それぞれ横方向Bに延びて縦方向Aに並設される複数本の可撓性横長尺材8とによる織物構造をなし、複数本の各長尺材7,8のうち、少なくとも一部本数の長尺材8aを太陽電池10で構成する。複数本の各長尺材7,8のうち、他部本数の長尺材7,8bを繊維材11で構成し、太陽電池10と繊維材11とを交互に並設する。織物構造を平織構造とし、太陽電池10の原形を帯形状にして、展開した平坦形状のままに保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺体である可撓性太陽電池が用いられて織物構造とされた膜状太陽光発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記太陽光発電装置を構成する太陽電池は、太陽光を受光してその光エネルギーを直接電気エネルギーに変換する素子であり、近時、下記特許文献1で示されるように、可撓性のものが提案されている。
【0003】
具体的には、上記特許文献1の明細書の[0018]に記載のように、第1の構成の太陽電池は、導電性繊維よりなる織物を電極とし、その上に高分子光電位誘起層と集電極とを順次形成したというものであり、この集電極は、スクリーン印刷、蒸着、メッキ、熱圧着などを用いて導電塗料や金属の薄膜により形成されている。
【0004】
また、上記特許文献1の明細書の[0019]〜[0021]に記載のように、第2、第3の構成の太陽電池は、経糸と緯糸とによる織物である導電性繊維で構成され、上記経糸と緯糸との間で確実な電気的接触を得るため、これら両糸は接着あるいは融着により互いに固着されて電気的特性の安定化が図られている。
【0005】
即ち、上記従来の技術における第1〜第3の構成の各太陽電池は、その厚さ方向には撓み易いものであるが、上記した薄膜の存在や両糸の互いの固着によって、その面方向の各部分におけるそれぞれ面方向での変形はし難い構造となっている。このため、これら各太陽電池をそれぞれ全体的に見れば、これらはフィルム状の構造であるといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−36999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記した従来の技術の太陽電池を大きい面積のものとして、この太陽電池の外縁部を固定側部材に支持させ、この太陽電池を太陽に向かうよう張設することにより膜状太陽光発電装置を形成することが考えられる。この場合、この太陽光発電装置の太陽電池には、その自重や風圧などの荷重により引張力が与えられることから、この引張力に基づき、この太陽電池の面方向の各部分には引張応力が生じることとなる。
【0008】
ここで、前記したように、従来の技術の各太陽電池はそれぞれフィルム状の構造であり、このため、上記したように太陽電池の面方向の各部分に引張応力が生じるときには、この太陽電池の面方向におけるいずれか一部分には大きい応力集中が生じがちとなる。そして、このように太陽電池の一部分に大きい応力集中が生じたとすると、前記従来の技術の第1の構成の太陽電池における一部分では、前記導電塗料や金属の薄膜に亀裂が入るなど破損するおそれがあり、また、前記従来の技術の第2、第3の構成の太陽電池における一部分では、経糸と緯糸との互いの固着が破断するおそれがある。よって、上記従来の技術のような太陽光発電装置には、寿命を向上させる上で、改善の余地が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、可撓性太陽電池を用いて膜状太陽光発電装置を形成する場合に、この太陽光発電装置の一部分に応力集中が生じることを防止して、太陽光発電装置の寿命を向上させることができるようにすることである。
【0010】
請求項1の発明は、図1に例示するように、それぞれ縦方向Aに延びて、この縦方向Aに対する横方向Bに並設される複数本の可撓性縦長尺材7と、それぞれ横方向Bに延びて縦方向Aに並設される複数本の可撓性横長尺材8とによる織物構造をなし、上記複数本の各長尺材7,8のうち、少なくとも一部本数の長尺材8aを太陽電池10で構成したことを特徴とする膜状太陽光発電装置である。
【0011】
請求項2の発明は、図1に例示するように、上記複数本の各長尺材7,8のうち、他部本数の長尺材7,8bを繊維材11で構成し、上記太陽電池10と繊維材11とを交互に並設したことを特徴とする請求項1に記載の膜状太陽光発電装置である。
【0012】
請求項3の発明は、図1に例示するように、上記織物構造を平織構造とし、上記太陽電池10の原形を帯形状にして、展開した平坦形状のままに保持させたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の膜状太陽光発電装置である。
【0013】
請求項4の発明は、図2,3に例示するように、上記太陽電池10を、原形が帯形状のものから螺旋形状になるよう撚ることによって紐形状にしたことを特徴とする請求項2に記載の膜状太陽光発電装置である。
【0014】
請求項5の発明は、図3に例示するように、上記紐形状にした太陽電池10内にこの太陽電池10補強用の繊維製芯材19を設けたことを特徴とする請求項4に記載の膜状太陽光発電装置である。
【0015】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0016】
本発明による効果は、次の如くである。
【0017】
請求項1の発明は、それぞれ縦方向に延びて、この縦方向に対する横方向に並設される複数本の可撓性縦長尺材と、それぞれ横方向に延びて縦方向に並設される複数本の可撓性横長尺材とによる織物構造をなし、上記複数本の各長尺材のうち、少なくとも一部本数の長尺材を太陽電池で構成した膜状太陽光発電装置であるため、次の効果が生じる。
【0018】
即ち、例えば、上記太陽光発電装置が太陽光に向かうようこの太陽光発電装置の外縁部を固定側部材に支持させて上記太陽光発電装置を張設したとする。すると、この太陽光発電装置には、その自重や風圧などの荷重により引張力が与えられることから、この引張力に基づき、この太陽光発電装置の面方向の各部分には引張応力が生じようとする。
【0019】
ここで、上記したように、太陽光発電装置は縦長尺材と横長尺材とによる織物構造とされている。このため、上記したように、太陽光発電装置の面方向の各部分に引張力が与えられるときには、この引張力によって、上記太陽光発電装置の各部分には、織物構造として次の作用が生じる。即ち、上記引張力によって、上記太陽光発電装置の各部分における上記縦長尺材と横長尺材とは、互いの干渉を避けつつ互いにわずかながらでも摺動したり交角が変化したりして上記引張力を逸らすよう、その面方向で変形する。
【0020】
よって、上記したような太陽光発電装置の各部分における面方向での変形という織物構造としての作用により、上記引張力に基づき上記各部分で縦長尺材や横長尺材に生じようとする引張応力は軽減される。このため、上記太陽光発電装置の面方向の一部分に応力集中が生じることは防止される。この結果、応力集中によって上記一部分が破損することは防止され、これにより、上記太陽光発電装置の寿命を向上させることができる。
【0021】
請求項2の発明は、上記複数本の各長尺材のうち、他部本数の長尺材を繊維材で構成し、上記太陽電池と繊維材とを交互に並設している。
【0022】
このため、上記したように、太陽光発電装置の面方向の各部分に引張力が与えられるとき、上記繊維材が上記太陽電池のための補強部材として働き、上記引張力を主に支持する。よって、上記太陽電池への上記引張力による負荷が軽減されて、太陽光発電装置の寿命を、より確実に向上させることができる。
【0023】
請求項3の発明は、上記織物構造を平織構造とし、上記太陽電池の原形を帯形状にして、展開した平坦形状のままに保持させている。
【0024】
このため、上記太陽電池の受光面積を大きくできることから、この太陽光発電装置における光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が向上する。
【0025】
請求項4の発明は、上記太陽電池を、原形が帯形状のものから螺旋形状になるよう撚ることによって紐形状にしている。
【0026】
このため、前記したように、太陽光発電装置を張設したことにより、この太陽光発電装置の面方向の各部分に引張力が与えられ、この際、上記太陽電池の長手方向に引張力が与えられたときには、この太陽電池は撚られたものであるため、その長手方向に円滑に伸長する。よって、この太陽電池に代えて上記繊維材がより確実に上記引張力を主に支持することから、上記太陽電池に引張力が与えられることが抑制され、これにより、太陽光発電装置の寿命をより確実に向上させることができる。
【0027】
請求項5の発明は、上記紐形状にした太陽電池内にこの太陽電池補強用の繊維製芯材を設けている。
【0028】
このため、前記したように、太陽光発電装置を張設したことにより、この太陽光発電装置の面方向の各部分に引張力が与えられ、この際、上記太陽電池と芯材とのそれぞれ長手方向に引張力が与えられたときには、この太陽電池は撚られたものであるため、その長手方向に円滑に伸長しようとする一方、上記芯材により上記引張力が支持される。よって、上記太陽電池に引張力が与えられることがより確実に抑制され、これにより、太陽光発電装置の寿命を、更に確実に向上させることができる。
【0029】
また、上記太陽電池内に芯材を設けた分、この太陽電池の外径を大きくできてその受光面積を大きくできる。よって、太陽光発電装置における光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施例1を示し、太陽光発電装置の部分一部破断図である。
【図2】実施例2を示し、太陽電池の形成過程を示す図である。
【図3】実施例3を示し、太陽電池の他の形成過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の膜状太陽光発電装置に関し、可撓性太陽電池を用いて太陽光発電装置を形成する場合に、この太陽光発電装置の一部分に応力集中が生じることを防止して、太陽光発電装置の寿命を向上させることができるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0032】
即ち、膜状太陽光発電装置は、それぞれ縦方向に延びて、この縦方向に対する横方向に並設される複数本の可撓性縦長尺材と、それぞれ横方向に延びて縦方向に並設される複数本の可撓性横長尺材とによる織物構造とされている。上記複数本の各長尺材のうち、少なくとも一部本数の長尺材が太陽電池で構成されている。
【実施例1】
【0033】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例1を添付の図1に従って説明する。
【0034】
図1において、符号1は、膜状太陽光発電装置である。この太陽光発電装置1は、膜状の発電装置本体2と、この発電装置本体2の面方向における各外縁部をそれぞれ把持して建造物などの固定側部材3に支持させる支持具4とを備えている。上記発電装置本体2は、これが太陽光に向かうよう、かつ、所定形状を保持するよう張設される。
【0035】
上記発電装置本体2は、それぞれ縦方向Aに延びて、この縦方向Aに対し直交する横方向Bに並設される複数本の可撓性縦長尺材7と、それぞれ横方向Bに延びて縦方向Aに並設される複数本の可撓性横長尺材8とによる平織の織物構造とされている。なお、この織物構造は綾織であってもよい。
【0036】
上記複数本の各長尺材7,8のうち、一部本数の長尺材8aが可撓性太陽電池10で構成されている。具体的には、上記複数の横長尺材8のうちの一部本数の長尺材8aが太陽電池10とされ、上記縦方向Aに並設された複数の横長尺材8のうちの三本目毎の横長尺材8が一部本数の長尺材8aであって上記太陽電池10とされている。これら各太陽電池10は原形が帯形状とされて、展開した平坦形状のままに保持されている。
【0037】
上記複数本の各長尺材7,8のうち、上記一部本数の長尺材8aを除く他部本数の長尺材7,8bは、繊維材11による紐形状(糸を含む)とされている。上記縦方向Aにおいて、上記一本の太陽電池10と二本の繊維材11とが規則的に交互に並設されている。
【0038】
上記繊維材11は、ケナフ、ジュートその他の天然繊維、ポリアミド系繊維、ポリアラミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維その他の合成繊維、または、ガラス繊維、シリカ繊維、バサルト繊維その他の無機繊維の何れかまたは組み合わせたものを使用することが出来る。
【0039】
上記太陽電池10で生じた電力を取り出す端子ボックス14と、この端子ボックス14に電線15により接続されて上記各太陽電池10からの出力電力を入力するバッテリなど電気機器16とが設けられている。
【0040】
なお、上記各縦長尺材7のうちの一部本数の長尺材を太陽電池10で構成してもよく、各長尺材7,8の全てを太陽電池10で構成してもよい。
【0041】
上記構成によれば、膜状太陽光発電装置1は、それぞれ縦方向Aに延びて、この縦方向Aに対する横方向Bに並設される複数本の可撓性縦長尺材7と、それぞれ横方向Bに延びて縦方向Aに並設される複数本の可撓性横長尺材8とによる織物構造をなし、上記複数本の各長尺材7,8のうち、少なくとも一部本数の長尺材8aを太陽電池10であるため、次の効果が生じる。
【0042】
即ち、例えば、上記太陽光発電装置1の発電装置本体2が太陽光に向かうようこの発電装置本体2の外縁部を固定側部材3に支持させて上記発電装置本体2を張設したとする。すると、この発電装置本体2には、その自重や風圧などの荷重により引張力が与えられることから、この引張力に基づき、この発電装置本体2の面方向の各部分には引張応力が生じようとする。
【0043】
ここで、上記したように、太陽光発電装置1の発電装置本体2は縦長尺材7と横長尺材8とによる織物構造とされている。このため、上記したように、太陽光発電装置1の発電装置本体2の面方向の各部分に引張力が与えられるときには、この引張力によって、上記太陽光発電装置1の発電装置本体2の各部分には、織物構造として次の作用が生じる。即ち、上記引張力によって、上記太陽光発電装置1の発電装置本体2の各部分における上記縦長尺材7と横長尺材8とは、互いの干渉を避けつつ互いにわずかながらでも摺動したり交角が変化したりして上記引張力を逸らすよう、その面方向で変形する。
【0044】
よって、上記したような太陽光発電装置1の発電装置本体2の各部分における面方向での変形という織物構造としての作用により、上記引張力に基づき上記縦長尺材7や横長尺材8に生じようとする引張応力は軽減される。このため、上記太陽光発電装置1の発電装置本体2の面方向の一部分に応力集中が生じることは防止される。この結果、応力集中によって上記一部分が破損することは防止され、これにより、上記太陽光発電装置1の寿命を向上させることができる。
【0045】
また、前記したように、複数本の各長尺材7,8のうち、他部本数の長尺材7,8bを繊維材11で構成し、上記太陽電池10と繊維材11とを交互に並設している。
【0046】
このため、上記したように、太陽光発電装置1の発電装置本体2の面方向の各部分に引張力が与えられるとき、上記繊維材11が上記太陽電池10のための補強部材として働き、上記引張力を主に支持する。よって、上記太陽電池10への上記引張力による負荷が軽減されて、太陽光発電装置1の寿命を、より確実に向上させることができる。
【0047】
また、前記したように、織物構造を平織構造とし、上記太陽電池10の原形を帯形状にして、展開した平坦形状のままに保持させている。
【0048】
このため、上記太陽電池10の受光面積を大きくできることから、この太陽光発電装置1における光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が向上する。
【0049】
なお、以上は図示の例によるが、上記太陽光発電装置1が、固定側部材3に支持されて張設される膜体と、この膜体に沿って複数設けられると共にこの膜体に取り付けられる上記膜状の発電装置本体2とを備えるようにしてもよい。
【0050】
また、上記繊維材11の外面を、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリスチレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、アクリル樹脂等により被覆してもよい。このようにすれば、上記繊維材11の耐久性を、より向上させることが可能となって、太陽光発電装置1の寿命を、より向上させることができる。
【0051】
以下の図2,3は、実施例2,3を示している。これら実施例2,3は、前記実施例1と構成、作用効果において多くの点で共通している。そこで、これら共通するものについては、図面に共通の符号を付してその重複した説明を省略し、異なる点につき主に説明する。また、これら実施例における各部分の構成を、本発明の目的、作用効果に照らして種々組み合せてもよい。
【実施例2】
【0052】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例2を添付の図2に従って説明する。
【0053】
図2において、符号(a)〜(e)は、上記太陽電池10を、原形が帯形状のものから螺旋形状となるよう撚ることによって紐形状にする場合の順序を示している。
【0054】
図2中(e)は,螺旋形状への撚りが完了した紐形状の太陽電池10を示している。そして、この太陽電池10が前記実施例1の一部本数の長尺材8aに適用される。
【0055】
上記構成によれば、前記実施例1にて説明のように、太陽光発電装置1の発電装置本体2を張設したことにより、この発電装置本体2の面方向の各部分に引張力が与えられ、この際、上記太陽電池10の長手方向に引張力が与えられたときには、この太陽電池10は撚られたものであるため、その長手方向に円滑に伸長する。よって、この太陽電池10に代えて上記繊維材11がより確実により上記引張力を主に支持することから、上記太陽電池10に引張力が与えられることが抑制され、これにより、太陽光発電装置1の寿命をより確実に向上させることができる。
【実施例3】
【0056】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例3を添付の図3に従って説明する。
【0057】
図3において、符号(a)〜(c)は、上記太陽電池10を前記実施例2のように撚ると共に、このように撚られて紐形状とされた太陽電池10内に繊維製の芯材19を設ける場合の順序を示している。
【0058】
図3中(d)は、前記実施例2のように紐形状にした太陽電池10内にこの太陽電池10の補強用の繊維製芯材19を設けたものを示している。そして、この太陽電池10が芯材19と共に前記実施例1の一部本数の長尺材8aに適用される。なお、上記芯材19は前記繊維材11と同様の素材が利用でき、前記繊維材11と同構成のものであってもよいが、この繊維材11よりも強度を、より大きくしてもよい。
【0059】
上記構成によれば、前記実施例2にて説明のように、太陽光発電装置1の発電装置本体2を張設したことにより、この発電装置本体2の面方向の各部分に引張力が与えられ、この際、上記太陽電池10と芯材19とのそれぞれ長手方向に引張力が与えられたときには、この太陽電池10は撚られたものであるため、その長手方向に円滑に伸長しようとする一方、上記芯材19により上記引張力が支持される。よって、上記太陽電池10に引張力が与えられることがより確実に抑制され、これにより、太陽光発電装置1の寿命を、更に確実に向上させることができる。
【0060】
また、上記太陽電池10内に芯材19を設けた分、この太陽電池10の外径を大きくできてその受光面積を大きくできる。よって、太陽光発電装置1における光エネルギーから電気エネルギーへの変換効率が向上する。
【符号の説明】
【0061】
1 太陽光発電装置
2 発電装置本体
3 固定側部材
4 支持具
7 縦長尺材
8 横長尺材
8a 一部本数の長尺材
7,8b 他部本数の長尺材
10 太陽電池
11 繊維材
19 芯材
A 縦方向
B 横方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ縦方向に延びて、この縦方向に対する横方向に並設される複数本の可撓性縦長尺材と、それぞれ横方向に延びて縦方向に並設される複数本の可撓性横長尺材とによる織物構造をなし、上記複数本の各長尺材のうち、少なくとも一部本数の長尺材を太陽電池で構成したことを特徴とする膜状太陽光発電装置。
【請求項2】
上記複数本の各長尺材のうち、他部本数の長尺材を繊維材で構成し、上記太陽電池と繊維材とを交互に並設したことを特徴とする請求項1に記載の膜状太陽光発電装置。
【請求項3】
上記織物構造を平織構造とし、上記太陽電池の原形を帯形状にして、展開した平坦形状のままに保持させたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の膜状太陽光発電装置。
【請求項4】
上記太陽電池を、原形が帯形状のものから螺旋形状になるよう撚ることによって紐形状にしたことを特徴とする請求項2に記載の膜状太陽光発電装置。
【請求項5】
上記紐形状にした太陽電池内にこの太陽電池補強用の繊維製芯材を設けたことを特徴とする請求項4に記載の膜状太陽光発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−253149(P2012−253149A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123624(P2011−123624)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】