説明

膜部材における開口部移動構造

【課題】空間を仕切る種々の膜部材に開口部を形成することができると共に、形成した開口部を膜部材に沿って容易にスライド移動させることのできる膜部材における開口部移動構造を提供する。
【解決手段】空間を仕切る遮蔽膜11に形成した開口部14を遮蔽膜11に沿ってスライド移動させる開口部移動構造であって、噛合可能な第1噛合レール部28及び第2噛合レール部29からなる噛合レール部材30と、噛合レール部材30に間隔をおいて取り付けらて作業用開口14を形成する一対の噛合レール開閉治具33,34と、これらの間隔部分に配置される開口枠部材16とによって構成される。第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34の噛合レール部材30に沿ったスライド移動に伴って、作業用開口14及び開口枠部材16を遮蔽膜11に沿ってスライド移動させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜部材における開口部移動構造に関し、特に、空間を仕切る膜部材に開口部を形成すると共に、形成した開口部を膜部材に沿ってスライド移動させる膜部材における開口部移動構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空間を簡易に仕切る仕切り用の部材として、例えば可撓性を有する合成樹脂製のシート材料からなる膜部材(幕部材)が多用されている。例えば、アスベストやダイオキシン等の有害物質を除去したり取り扱ったりする場合、これらの有害物質の拡散を防止するための遮蔽膜として、除去作業空間を外部から仕切る膜部材が用いられる。
【0003】
また、例えば、アスベストやダイオキシン等の有害物質を除去したり取り扱ったりする場合、遮蔽膜で遮蔽された除去作業空間に作業員が立入ることなく、遮蔽膜を挟んだ除去作業空間とは反対側の立入可能な立入空間側から、遮蔽膜に形成した作業用開口及びこれに取り付けた作業用袋状膜を介して、作業員が除去作業空間での作業を行えるようにした、いわゆるグローブバッグ方式による作業方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
このような、グローブバッグ方式による作業方法によれば、除去作業空間での有害物質の除去作業のみならず、例えば膜部材によって遮蔽された無菌室等の他の作業空間に対しても、当該無菌室等に立入ることなく、無菌室等とは反対側の立入り入可能な立入空間側から、各種の作業を行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】建設業労働災害防止協会企画開発課(発行)「建築物の解体・改修工事における石綿障害の予防(特別教育用テキスト)」、発行日:平成17年5月30日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載のグローブバッグ方式による作業方法では、膜部材に対して作業用袋状膜の基端開口が固定された状態となっているので、作業用袋状膜を介して作業空間の内部で作業を行うことが可能な領域は、作業者の腕が届く範囲に限られることになる。このようなことから、作業用袋状膜を作業用開口と共に膜部材に沿ってスライド移動させるようにすることが提案されているが、その具体的な方法や構造については、充分に検討されていないのが現状である。
【0007】
また、膜部材によって遮蔽された作業空間において作業用袋状膜を介してグローブバッグ方式で作業を行う場合に限られず、空間を仕切るその他の種々の膜部材に対しても、当該膜部材の両側の空間を連通する開口部を形成すると共に、形成した開口部を、必要に応じて膜部材に沿って適宜スライド移動させるようにすることができれば便利である。
【0008】
本発明は、このような従来の技術的課題を鑑みてなされたものであり、空間を仕切る種々の膜部材に開口部を形成することができると共に、形成した開口部を必要に応じて膜部材に沿って容易にスライド移動させることのできる膜部材における開口部移動構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、空間を仕切る膜部材(幕部材)に開口部を形成すると共に、形成した開口部を前記膜部材に沿ってスライド移動させる膜部材における開口部移動構造であって、前記開口部を移動させる領域に亘って前記膜部材に取り付けられた、相互に噛合可能な第1噛合レール部及び第2噛合レール部からなる噛合レール部材と、開放側を対向配置させて前記噛合レール部材に間隔をおいて対となって取り付けられることにより、間隔部分で前記噛合レール部材を開放した状態として前記開口部を形成する第1噛合レール開閉治具及び第2噛合レール開閉治具と、前記第1噛合レール開閉治具と前記第2噛合レール開閉治具との間隔部分に配置される、前記第1噛合レール部と噛合可能な開口枠第1噛合レール部を備える第1枠部材、及び前記第2噛合レール部と噛合可能な開口枠第2噛合レール部を備える第2枠部材からなる開口枠部材とによって構成され、前記第1噛合レール開閉治具及び前記第2噛合レール開閉治具の前記噛合レール部材に沿ったスライド移動に伴って、前記第1噛合レール部や前記第2噛合レール部に噛合した前記開口枠部材の前記第1枠部材や前記第2枠部材を、前記噛合レール部材に沿って移動させることにより、前記開口部及び前記開口枠部材を前記遮蔽膜に沿ってスライド移動させる膜部材における開口部移動構造を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の膜部材における開口部移動構造は、前記第1噛合レール開閉治具及び前記第2噛合レール開閉治具と、前記開口枠部材の前記第1枠部材及び前記第2枠部材とが、一体として接合されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の膜部材における開口部移動構造は、前記噛合レール部材が、空間を仕切る前記膜部材とは別部材の帯状膜部材に取り付けられており、前記膜部材に密着可能な密着接合手段を介して、前記帯状膜部材を前記膜部材の前記開口部を移動させる領域に亘って接合することにより、前記噛合レール部材が前記膜部材に取り付けられていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の膜部材における開口部移動構造は、外側噛合レール部材が取り付けられた外側膜部材が、前記膜部材又は前記帯状膜部材の外側に配置されることにより、前記噛合レール部材の外側に前記外側噛合レール部材が配設されており、前記外側噛合レール部材には、開放側を対向配置させて間隔をおいて対となって取り付けられることにより、間隔部分で前記外側噛合レール部材を開放した状態として外側開口部を形成する外側第1噛合レール開閉治具及び外側第2噛合レール開閉治具と、前記外側第1噛合レール開閉治具と前記外側第2噛合レール開閉治具との間隔部分に配置される、前記外側噛合レール部材の外側第1噛合レール部と噛合可能な外側開口枠第1噛合レール部を備える外側第1枠部材、及び前記外側噛合レール部材の外側第2噛合レール部と噛合可能な外側開口枠第2噛合レール部を備える外側第2枠部材からなる外側開口枠部材とが、スライド移動可能に取り付けられていることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の膜部材における開口部移動構造は、前記外側膜部材が、前記膜部材又は前記帯状膜部材に密着可能な密着接合手段を介して接合されている外側帯状膜部材であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の膜部材における開口部移動構造は、前記開口枠部材と、前記外側開口枠部材とが、連結膜部材を介して気密に連結されていることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の膜部材における開口部移動構造は、前記開口枠部材及び/又は前記外側開口枠部材に作業用袋状膜の基端開口が接続されていることにより、前記開口部及び/又は前記外側開口部を覆って前記作業用袋状膜が取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の膜部材における開口部移動構造によれば、空間を仕切る種々の膜部材に開口部を形成することができると共に、形成した開口部を必要に応じて膜部材に沿って容易にスライド移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好ましい第1実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を、有害物質の除去作業空間を仕切る遮蔽膜に適用した状態を説明する一部破断透視略示斜視図である。
【図2】本発明の好ましい第1実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示部分正面図である。
【図3】噛合レール部材に沿って第1噛合レール開閉治具及び第2噛合レール開閉治具と共に開口枠部材をスライド移動させる状況を説明する略示正面図である。
【図4】(a)は噛合レール部材の第1噛合レール部と第2噛合レール部が噛合した状態を説明する断面図、(b)は噛合レール部材の第1噛合レール部と第2噛合レール部の噛合が開放された状態を説明する断面図である。
【図5】(a)は開口枠部材の略示正面図、(b)は開口枠部材に作業用袋状膜を取り付けた状態を説明する略示断面図である。
【図6】遮蔽膜噛合レール部材の第1噛合レール部及び第2噛合レール部と、開口枠部材の第1枠部材の開口枠第1噛合レール部及び第2枠部材の開口枠第2噛合レール部とを噛合させた状態を説明する、図3のA−Aに沿った略示断面図である。
【図7】(a)は噛合レール部材の他の形態を例示する略示正面図、(b)は(a)のB−Bに沿った略示断面図、(b)は(a)のC−Cに沿った略示断面図である。
【図8】噛合レール開閉治具の具体的構成を例示する断面図である。
【図9】(a)、(b)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【図10】本発明の好ましい第2実施形態に係る膜部材における開口部移動構造において、噛合レール開閉治具及び開口枠部材を膜部材に導入する状態を説明する図9(a)のD−Dに沿った略示縦断面図である。
【図11】(a)は噛合レール部材のさらに他の形態を例示する略示正面図、(b)は(a)のE−Eに沿った略示断面図、(b)は(a)のF−Fに沿った略示断面図である。
【図12】(a),(b)は、本発明の好ましい第3実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【図13】(a),(b)は、本発明の好ましい第4実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【図14】(a),(b)は、本発明の好ましい第5実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【図15】(a),(b)は、本発明の好ましい第6実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【図16】(a),(b)は、本発明の好ましい第7実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【図17】(a),(b)は、本発明の好ましい第8実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【図18】(a),(b)は、本発明の好ましい第9実施形態に係る膜部材における開口部移動構造を説明する略示断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい第1実施形態に係る膜部材における開口部移動構造10は、図1に示すように、例えば建物の屋内における壁20と天井21との接合角部分の構成材料として、これらの隅角部に付着したまま残った有害物質である吹付けアスベスト50を、膜部材(幕部材)としての遮蔽膜11によって外部から遮蔽された除去作業空間12で、作業員が当該除去作業空間12に立ち入ることなく、且つ除去作業空間12から外部の空間に飛散させることなく、効率良く除去できるようにするために用いられ、作業用袋状膜15(図2参照)が取り付けられた開口部としての作業用開口14を、遮蔽膜11に沿ってスライド移動可能とするものである。
【0019】
ここで、本第1実施形態では、除去作業空間12は、例えば気密性及び可撓性を有する好ましくは透明な合成樹脂製のシート材料からなる膜部材である遮蔽膜11を、支持材としてのロープ固定用支柱22や、同じく支持材としての遮蔽膜展張用ロープ23等を介して、屋内における壁20と天井21との接合角部分に沿って展設すると共に、遮蔽膜11の側縁部を粘着剤や接着剤等を介して接合角部分の壁20や天井21の壁面に気密な状態で密着接合することにより、例えば接合角部分に沿って連続する矩形の中空断面形状を有する作業空間として、これの外部の作業員が立ち入ることが可能な立入空間13とは気密に遮蔽された状態で設けられている。
【0020】
また、本第1実施形態では、除去作業空間12を形成する遮蔽膜11には、除去作業空間12の正面側の部分に、作業用袋状膜15(図2参照)が取り付けられる開口部としての作業用開口14が2箇所に開口形成されており、これらの作業用開口14は、各々、壁20と天井21との接合角部分に沿った長手方向をスライド方向Xとして、本第1実施形態の開口部移動構造10によって、当該スライド方向Xにスライド移動可能となっている。
【0021】
さらに、本第1実施形態では、除去作業空間12は、これの長手方向の一端部において遮蔽膜11に開口形成された排気穴24及び排気ホ−ス25を介して、高性能フィルターを備えるフイルター付吸引機26と接続しており、このフイルター付吸引機26を駆動制御することによって、有害物質である吹付けアスベスト10が外部に飛散しないように、除去作業空間12の内部を負圧状態に保持することができるようになっている。また長手方向の他端部における遮蔽膜11にはフィルター付吸気口27が設けられていて、除去作業空間12の内部が過度に負圧になることで遮蔽膜11や、ロープ固定用支柱22、遮蔽膜展張用ロープ23等が破損しないようにする工夫がなされている。
【0022】
そして、本第1実施形態の膜部材における開口部移動構造10は、空間を仕切る遮蔽膜11に作業用開口14を形成すると共に、形成した作業用開口14を遮蔽膜11に沿ってスライド移動させるための移動構造であって、図2〜図6に示すように、作業用開口14を移動させる領域に亘って遮蔽膜11に取り付けられた、相互に噛合可能な第1噛合レール部28及び第2噛合レール部29からなる噛合レール部材30と、開放側を対向配置させて噛合レール部材30に間隔をおいて対となって取り付けられることにより、間隔部分で噛合レール部材30を開放した状態として作業用開口14を形成する第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34と、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間隔部分に配置される、第1噛合レール部28と噛合可能な開口枠第1噛合レール部31を備える第1枠部材16a、及び第2噛合レール部29と噛合可能な開口枠第2噛合レール部32を備える第2枠部材16bからなる開口枠部材16とによって構成され(図2、図3参照)、第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34の噛合レール部材30に沿ったスライド移動に伴って、第1噛合レール部28や第2噛合レール部29に噛合した開口枠部材16の第1枠部材16aや第2枠部材16bを、噛合レール部材30に沿って移動させることにより、作業用開口14及び開口枠部材16を遮蔽膜11に沿ってスライド移動させるようになっている。
【0023】
また、本第1実施形態では、第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34と、開口枠部材16の第1枠部材16a及び第2枠部材16bとが、一体として接合されている。
【0024】
さらに、本第1実施形態では、開口枠部材16に作業用袋状膜15の基端開口19が接続されていることにより、作業用開口14を覆って作業用袋状膜15が取り付けられている(図2参照)。
【0025】
本第1実施形態では、開口部移動構造10を構成する噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29としては、公知の各種の噛合レールを用いることができるが、具体的には、例えば図4(a),(b)に示すような「レールファスナー」を好ましく用いることができる。「レールファスナー」を噛合レール30として用いることにより、第1噛合レール部28と第2噛合レール部29の噛合による接合部を、気密な状態で形成することが可能になる。これによって、特に除去作業空間12の内部を負圧状態に保持しておかなくても、有害物質である吹付けアスベスト10が除去作業空間12から立入空間13側に漏れ出るのを効果的に回避することが可能になる。
【0026】
また、噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29として、例えば図7(a)〜(c)に示すような務歯を有する「ファスナー」を用いることもできる。
【0027】
そして、これらの噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29には、図4(a),(b)及び図7(b),(c)に示すように、作業用開口14をスライド移動させる領域において切断された遮蔽膜11の切断縁部分が、各々気密に一体接合されるようになっている。これによって噛合レール部材30は、遮蔽膜11の作業用開口14をスライド移動させる領域に亘って、遮蔽膜11の中間部分において作業用開口14を形成可能な状態で、直線状に延設して取り付けられることになる(図1、図3参照)。
【0028】
また、本第1実施形態では、開口部移動構造10を構成する第1噛合レール開閉治具33や第2噛合レール開閉治具34としては、公知の各種の噛合レール開閉治具を用いることができる。具体的には、例えば噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29が「レールファスナー」である場合に、図8に示すように、中間クサビ部40が設けられていることにより、中間部分で合流部分から枝分れ部分に枝分れする案内通路41を、内部に備える開閉治具を使用することができる。
【0029】
図8に示す噛合レール開閉治具33,34では、例えば図8の左側に噛合レール開閉治具33,34をスライド移動させた際に、移動方向前方側で噛合していた第1噛合レール部28及び第2噛合レール部29の噛合状態を中間クサビ部40によって開放して、案内通路41の枝分れ部分に送り出すことにより、移動方向後方側に開口部を形成できるようになっている。また図8の右側に噛合レール開閉治具33,34をスライド移動させた際に、移動方向前方側で開放していた第1噛合レール部28及び第2噛合レール部29を、中間クサビ部40の後方の合流部分に送り出すことで噛合させることにより、移動方向後方側の端部の開口部を閉塞できるようになっている。
【0030】
また、例えば噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29が図7(a)〜(c)に示すような務歯を有する「ファスナー」である場合に、第1噛合レール開閉治具33や第2噛合レール開閉治具34として、ファスナーの務歯を噛み合わせたり開放したりする機能を備える、公知の各種のスライダー部材を、必要に応じて適宜改良を加えて使用することができる。
【0031】
そして、本第1実施形態では、噛合レール部材30には、図3及び図7(a)〜(c)に示すように、第1噛合レール部28と第2噛合レール部29との噛合を開閉可能な第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34が、開放側を対向配置させた状態で設けられているので、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間隔部分において、第1噛合レール部28と第2噛合レール部29との噛合が開放されることで、作業用開口14が形成されるようになっている(図4(b)、図6参照)。
【0032】
さらに、本第1実施形態では、開口部移動構造10を構成する開口枠部材16は、図3及び図5(a),(b)に示すように、第1噛合レール部28と噛合可能な開口枠第1噛合レール部31を有する第1枠部材16aと、第2噛合レール部29と噛合可能な開口枠第2噛合レール部32を有する第2枠部材16bとからなり(図6参照)、第1枠部材16aや第2枠部材16bは、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間隔部分に,これらと一体となって配置されている。
【0033】
第1枠部材16a及び第2枠部材16bは、例えば可撓性を有する合成樹脂製のシート材料からなる帯板状部材として形成されており、これらの帯板状部材の一方の面には、各々、例えば上述の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29と同様の「レールファスナー」からなる、開口枠第1噛合レール部31や開口枠第2噛合レール部32が一体として設けられている(図5(b)参照)。本第1実施形態では、第1枠部材16a及び第2枠部材16bは、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間隔部分において、図6に示すように、噛合が開放された噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29に対して、作業用開口14の内側から開口枠第1噛合レール部31や開口枠第2噛合レール部32を各々噛合させた状態で、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間に跨って取り付けられることになる。
【0034】
これによって、第1枠部材16aと第2枠部材16bとからなる開口枠部材16は、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間の部分の、噛合が開放された第1噛合レール部28や第2噛合レール部29に沿って配置されて、形成された作業用開口14の開口周縁部を効果的に補強することになると共に、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間に介在して、これらの間隔を保持する機能を発揮することになる。これによって、噛合レール開閉治具33,34の噛合レール部材30に沿ったスライド移動に伴って、作業用開口14を所定の大きさに保持したまま、当該作業用開口14を、開口枠部材16と共に噛合レール部材30に沿って安定した状態でスライド移動させることができるようになっている。
【0035】
また、本第1実施形態では、例えば噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29が務歯を有する「ファスナー」である場合には、図7(a)〜(c)に示すように、開口枠部材16の第1枠部材16aや第2枠部材16bを、作業用開口14の内側から、第1噛合レール部28や第2噛合レール部29の連設された務歯の長さ方向の全体を一体としてスライド可能に噛合する、断面略C字形状を備えると共に弧状に湾曲する側面形状を備えるカバー部材を用いて形成することができる(図7(a)では第1枠部材16aを省略して表示している。)。この場合には、第1枠部材16aや第2枠部材16bは、それ自体が開口枠第1噛合レール部31や開口枠第2噛合レール部32を兼ねる部材となっている。
【0036】
さらに、本第1実施形態では、第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34と、開口枠部材16の第1枠部材16a及び第2枠部材16bとが、一体として接合されており、これらが環状に連続することによって形成された略楕円形状の環状枠に沿って、作業用袋状膜15の基端開口19が、例えば溶着等による公知の接合手段を介して、安定した状態で開口枠部材16に気密に接続されるようになっている(図2、図6参照)。
【0037】
ここで、作業用袋状膜15は、遮蔽膜11と同様の材質の、例えば気密性及び可撓性を有する好ましくは透明な合成樹脂製のシート状部材からなり、図2では概略図として記載されているが、例えば手袋形状、人の上半身を覆う形状等、除去作業空間12での作業形態に応じた種々の形状となるように形成されている。また作業用袋状膜15は、開口枠部材16に開口周縁部が接合される基端開口19を備えており、作業用開口14の形状と合致させることが可能な当該基端開口19の部分を除いて、その内部の全体に気密な閉塞空間が形成されるようになっている。
【0038】
さらに、作業用袋状膜15は、公知の各種の接合手段を介して基端開口19の開口周縁部を開口枠部材16に気密に接合することで(図5(b)参照)、当該開口枠部材16を介して作業用開口14の開口周縁部に接続されると共に(図6参照)、例えば立入空間13側から作業用開口14を覆って取り付けられることになる。さらにまた、作業用袋状膜15は、立入空間13側から裏返しに反転させつつ作業用開口14を介して除去作業空間12側に押し出されることにより、除去作業空間12の内部に突出して、当該除去作業空間12とは気密に遮蔽された防護空間を形成することになる(図2参照)。この防護空間に手や腕や体の一部を挿入して、遮蔽膜11を挟んだ立入空間13側から、除去作業空間12における吹付けアスベスト50の除去作業を行うことができるようになっている。
【0039】
そして、上述の構成を有する本第1実施形態の膜部材における開口部移動構造10によれば、除去作業空間12と立入空間13とを仕切る遮蔽膜11に作業用開口14を形成することができると共に、形成した作業用開口14を必要に応じて遮蔽膜11に沿って容易にスライド移動させることが可能になる。
【0040】
すなわち、本第1実施形態によれば、開口部移動構造10は、遮蔽膜11に取り付けられた噛合レール部材30と、噛合レール部材30に対となって取り付けられた第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34と、第1噛合レール開閉治具33と第2噛合レール開閉治具34との間隔部分に配置された、開口枠第1噛合レール部31を備える第1枠部材16a及び開口枠第2噛合レール部32を備える第2枠部材16bからなる開口枠部材16とによって構成されているので、第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34が開放側を対向配置して取り付けられることにより、これらの間隔部分で噛合レール部材30の第1噛合レール部28及び第2噛合レール部29の噛合が開放されることで、開口枠部材16の内側に作業用開口14が容易に形成されることになる。
【0041】
また、第1噛合レール開閉治具33及び第2噛合レール開閉治具34を、開口枠部材16によってこれらの間隔を保持したまま噛合レール部材30に沿ってスライド移動させることで、スライド方向Xの前方側に配置された噛合レール開閉治具33,34の一方によって、作業用開口14のスライド方向Xの前方側に連続して延設する開口部分を形成すると共に、これに伴ってスライド方向Xの後方側に配置された噛合レール開閉治具33,34の他方によって、作業用開口14のスライド方向Xの後方側の端部の開口部分を閉塞しながら、第1噛合レール部28や第2噛合レール部29に噛合した開口枠部材16の第1枠部材16aや第2枠部材16bを、噛合レール部材30に沿って移動させてゆくことが可能になる。これによって、作業用開口14及び開口枠部材16を、遮蔽膜11に沿って容易にスライド移動させることが可能になる。
【0042】
さらに、本第1実施形態では、開口枠部材16に作業用袋状膜15の基端開口19が気密に接続されていることにより、作業用開口14を覆って作業用袋状膜15が気密に取り付けられているので、作業用開口14を介して作業用袋状膜15を除去作業空間12側に押し出すことで、有害物質である吹付けアスベスト50を、遮蔽膜11によって外部から遮蔽された除去作業空間12において、作業員が当該除去作業空間12に立ち入ることなく、且つ除去作業空間12の外部の空間に飛散させることなく、立入空間13側からの作業用袋状膜15を介した作業によって、効率良く除去してゆくことが可能になる。
【0043】
図9(a),(b)は、本発明の好ましい第2実施形態に係る膜部材における開口部移動構造10’を示すものである。本第2実施形態では、噛合レール部材30は、遮蔽膜11に気密に密着可能な密着接合手段として、例えば密着接着剤36を用いて、遮蔽膜11とは別部材である帯状膜部材35を介して遮蔽膜11に後付けされた状態で一体接合されている。すなわち、本第2実施形態では、例えば有害物質50の除去作業空間12を遮蔽するようにして予め取り付けられた遮蔽膜11に対して、任意の作業位置や作業領域を選択して、噛合レール部材30を帯状膜部材35を介して後から取り付けることができるようになっている。
【0044】
また、本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、このようにして後付けされた噛合レール部材30に沿って第1噛合レール開閉治具33や第2噛合レール開閉治具34を移動させて、作業用袋状膜15が取り付けられた開口枠部材16をスライド移動させることで、作業用開口14を遮蔽膜11に沿ってスライド移動させることができるようになっている。なお、噛合レール部材30が設けられた帯状膜部材35は、除去作業空間12を遮蔽して遮蔽膜11を取り付ける前に、当該遮蔽膜11に密着接着剤36を介して前もって取り付けておくこともできる。
【0045】
ここで、本第2実施形態では、帯状膜部材35は、遮蔽膜11や作業用袋状膜15と同様の材質の、例えば気密性及び可撓性を有する好ましくは透明な合成樹脂製のシート材料からなる、対になって形成された帯状部材である。また帯状膜部材35は、各々の一方の側縁部に沿って遮蔽膜噛合レール部材30の第1噛合レール部28や第2噛合レール部29が気密に接合されると共に、各々の他方の側縁部の裏面に沿って密着接着剤36が塗着されている。この密着接着剤36を介して、第1噛合レール部28や第2噛合レール部29が各々接合された一対の帯状膜部材35が、後述する切込み37を設けて後に形成される作業用開口14の形成予定箇所を挟んだ両側の部分の遮蔽膜11に、各々気密に密着接合されることになる。
【0046】
また、本第2実施形態では、図10に示すように、第1噛合レール部28及び第2噛合レール部29からなる噛合レール部材30は、好ましくは帯状膜部材35よりもさらに両側に延設する延設部分30aを備えるように設けられている。第1噛合レール開閉治具33や第2噛合レール開閉治具34を、作業用袋状膜15が接合された開口枠部材16と共に、これらの遮蔽膜噛合レール部材30の延設部分30aに取り付けた後に、当該延設部分30a及び遮蔽膜噛合レール部材30を介してスライド移動させることにより、任意の作業位置や作業領域に設けられた遮蔽膜噛合レール部材30まで、第1噛合レール開閉治具33や第2噛合レール開閉治具34を開口枠部材16と共に導入してゆくことができるようになっている。
【0047】
さらに、本第2実施形態では、例えば作業用開口14のスライド方向Xの前方側に配置された第1噛合レール開閉治具33や第2噛合レール開閉治具34には、遮蔽膜11を切断するためのカッター(図示せず)を設けておくことができる。第1噛合レール開閉治具33や第2噛合レール開閉治具34の遮蔽膜噛合レール部材30に沿ったスライド移動に伴って、遮蔽膜11をカッターによって切断してゆくことにより、作業用袋状膜15を立入空間12側から除去作業空間12側に押し出すための作業用開口14を開口させるための切込み37(図9(a),(b)参)を、帯状膜部材35の除去作業空間12側に設置された遮蔽膜11に容易に形成してゆくことが可能になる。
【0048】
本第2実施形態の開口部移動構造10’によっても、上述の第1実施形態の開口部移動構造10と同様の作用効果が奏されると共に、遮蔽膜11を敷設して除去作業空間12を遮蔽するのに先立って、遮蔽膜11に切断加工や接合加工等を施して当該遮蔽膜11の所定に箇所に予め遮蔽膜噛合レール部材30、噛合レール開閉治具33,34、開口枠部材16等を取り付けておく必要がないので、さらに効率良く作業を行うことが可能になる。また、先行して設置された遮蔽膜11の任意の箇所を選定して、後から遮蔽膜噛合レール部材30、噛合レール開閉治具33,34、開口枠部材16等を取り付けることができるので、作業の自由度を増すことが可能になる。
【0049】
図11(a)〜(c)は、噛合レール部材30のさらに他の形態を例示するものでる。図11(a)〜(c)に示す噛合レール部材30では、当該噛合レール部材30を構成する第1噛合レール部28や第2噛合レール部29は、「レールファスナー」を用いて形成されており、またこれらの第1噛合レール部28や第2噛合レール部29は、遮蔽膜11に沿った面上に配置されて当該遮蔽膜11に一体接合されて設けられている。このように、噛合レール部材30は、第1噛合レール部28や第2噛合レール部29を遮蔽膜11に沿った方向に配置して遮蔽膜11に取り付けることもできる。なお、図11(a)では、開口枠第1噛合レール部31を有する第1枠部材16aや、開口枠第2噛合レール部32を有する第2枠部材16bについては、省略された状態で示されている。
【0050】
そして、本発明では、図12〜図17に示すように、例えば作業用開口14及び噛合レール部材30が設けられた部分における、遮蔽膜(膜部材)11の遮蔽性を高めることを目的として、外側噛合レール部材40が取り付けられた外側膜部材41を、上述の遮蔽膜11又は帯状膜部材35の外側に配置することにより、噛合レール部材30の外側に外側噛合レール部材40が配設されるようになっている。
【0051】
ここで、外側噛合レール部材40には、上述の噛合レール部材30と同様に、開放側を対向配置させて間隔をおいて対となって取り付けられることにより、間隔部分で外側噛合レール部材40を開放した状態として外側開口部42を形成する、上述の噛合レール開閉治具33,34と同様の外側第1噛合レール開閉治具43及び外側第2噛合レール開閉治具44が取り付けられている。また、外側第1噛合レール開閉治具43と外側第2噛合レール開閉治具44との間隔部分に配置されて、上述の開口枠部材16と同様の、外側噛合レール部材40の外側第1噛合レール部45と噛合可能な外側開口枠第1噛合レール部47を備える外側第1枠部材49a、及び外側噛合レール部材40の外側第2噛合レール部46と噛合可能な外側開口枠第2噛合レール部48を備える外側第2枠部材49bからなる外側開口枠部材49が、スライド移動可能に取り付けられている。
【0052】
また、図12〜図17に示す実施形態では、外側膜部材41が、遮蔽膜11又は帯状膜部材35に密着可能な密着接合手段51を介して接合される外側帯状膜部材52となっている。
【0053】
そして、図12(a),(b)に示す第3実施形態の開口部移動構造では、遮蔽膜11の外側に密着接合手段51を介して外側帯状膜部材52が外側膜部材41として接合されていることにより、噛合レール部材30の外側に外側噛合レール部材40が二重に配設されるようになっている。また、本第3実施形態では、噛合レール部材30は、図7(a)〜(c)に示すような務歯を有する「ファスナー」によって構成されており、外側噛合レール部材40は、図11(a)〜(c)に示すような「レールファスナー」によって構成されている。さらに、内側の開口枠部材16に接合された作業用袋状膜15の外側には、当該作業用袋状膜15と二重に配置されて、外側作業用袋状膜53が外側開口枠部材49に気密に接合されて設けられている。
【0054】
本第3実施形態の開口部移動構造によっても、上述の各実施形態の開口部移動構造10,10’と同様の作用効果を奏することに加えて、除去作業空間12に対する遮蔽性をさらに効果的に高めることが可能になる。
【0055】
また、特に、内側の遮蔽膜11に取り付けられる噛合レール部材30として、務歯を有する「ファスナー」によるものを使用し、外側の外側膜部材41(外側帯状膜部材52)に取り付けられる外噛合レール部材40として、「レールファスナー」によるものを使用しているので、引張り力に強いが気密性に劣る務歯を有する「ファスナー」と、気密性に優れるが引張り力に劣る「レールファスナー」との特性を互いに補完して、強度の面及び気密性の面でさらに優れた開口部移動構造を形成することが可能になる。
【0056】
図13(a),(b)に示す第4実施形態の開口部移動構造は、上記第3実施形態の開口部移動構造と略同様の構成を備えており、内側の開口枠部材16に作業用袋状膜15が接合されていない点、及び開口枠部材16と外側開口枠部材49とが、連結膜部材54を介して気密に連結されている点で、上記第3実施形態の開口部移動構造と相違している。
【0057】
図14(a),(b)に示す第5実施形態の開口部移動構造もまた、上記第3実施形態の開口部移動構造と略同様の構成を備えており、外側の外側開口枠部材49に外側作業用袋状膜53が接合されていない点、及び開口枠部材16と外側開口枠部材49とが、連結膜部材55を介して気密に連結されている点で、上記第3実施形態の開口部移動構造と相違している。
【0058】
これらの開口部移動構造によっても、上記第3実施形態の開口部移動構造と同様の作用効果が奏されることになる。
【0059】
図15(a),(b)に示す第6実施形態の開口部移動構造は、上記第3実施形態の開口部移動構造と略同様の構成を備えており、外側噛合レール部材40等を備える外側膜部材41としての外側帯状膜部材52が、遮蔽膜11の外側に接合されているのではなく、遮蔽膜11の外側に接合された噛合レール部材30等を備える帯状膜部材35のさらに外側に接合されている点で、上記第3実施形態の開口部移動構造と相違している。
【0060】
図16(a),(b)に示す第7実施形態の開口部移動構造は、上記第4実施形態の開口部移動構造と略同様の構成を備えており、外側噛合レール部材40等を備える外側膜部材41としての外側帯状膜部材52が、遮蔽膜11の外側に接合されているのではなく、遮蔽膜11の外側に接合された噛合レール部材30等を備える帯状膜部材35のさらに外側に接合されている点で、上記第4実施形態の開口部移動構造と相違している。
【0061】
図17(a),(b)に示す第8実施形態の開口部移動構造は、上記第5実施形態の開口部移動構造と略同様の構成を備えており、外側噛合レール部材40等を備える外側膜部材41としての外側帯状膜部材52が、遮蔽膜11の外側に接合されているのではなく、遮蔽膜11の外側に接合された噛合レール部材30等を備える帯状膜部材35のさらに外側に接合されている点で、上記第3実施形態の開口部移動構造と相違している。
【0062】
これらの開口部移動構造によっても、上記第3実施形態の開口部移動構造と同様の作用効果が奏されることになる。
【0063】
図18(a),(b)は、本発明の第9実施形態に係る開口部移動構造を示すものである。本第9実施形態では、膜部材としての遮蔽膜11の外側に取り付けられる、外側噛合レール部材40を設置するための外側膜部材41が、外側帯状膜部材52ではなく、遮蔽膜11の外側にこれと二重に配置された、当該遮蔽膜11と同様の構成を備える膜部材としての外側遮蔽膜56となっている。このように、外側噛合レール部材40は、遮蔽膜11の外側に二重に配置される外側遮蔽膜56を介して、噛合レール部材30の外側に配設することもできる。本第9実施形態の開口部移動構造によっても、上記第3〜第8実施形態の開口部移動構造と同様の作用効果が奏されることになる。
【0064】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、本発明の膜部材における開口部移動構造は、アスベストやダイオキシン等の有害物質を除去等する場合の他、例えば病院や研究施設等における無菌室等の、遮蔽膜によって外部と遮蔽されたその他の種々の作業空間において作業を行う場合にも採用することが可能である。また、本発明の膜部材における開口部移動構造は、空間を気密に仕切る遮蔽膜の他、気密であるなしにかかわらず、その他の種々の空間を仕切る膜部材に対しても適用することが可能である。さらに、膜部材に形成された開口部に作業用袋状膜を取り付けて用いる必要は必ずしも無く、開口状態を保持した開口穴のままの状態で、開口部を膜部材に沿って移動させる際にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0065】
10,10’ 膜部材における開口部移動構造
11 遮蔽膜(膜部材)
12 除去作業空間(作業空間)
13 立入空間
14 作業用開口
15 作業用袋状膜
16 開口枠部材
16a 開口枠部材の第1枠部材
16b 開口枠部材の第2枠部材
19 作業用袋状膜の基端開口
28 第1噛合レール部
29 第2噛合レール部
30 噛合レール部材
30a 噛合レール部材の延設部分
31 開口枠第1噛合レール部
32 開口枠第2噛合レール部
33 第1噛合レール開閉治具
34 第2噛合レール開閉治具
35 帯状膜
36,51 密着接着剤(密着接合手段)
37 切込み
40 外側噛合レール部材
41 外側膜部材
42 外側開口部
43 外側第1噛合レール開閉治具
44 外側第2噛合レール開閉治具
45 外側第1噛合レール部
46 外側第2噛合レール部
47 外側開口枠第1噛合レール部
48 外側開口枠第2噛合レール部
49 外側開口枠部材
49a 外側開口枠部材の外側第1枠部材
49b 外側開口枠部材の外側第2枠部材
50 吹付けアスベスト(有害物質)
52 外側帯状膜部材
53 外側作業用袋状膜
54,55 連結膜部材
56 外側遮蔽膜
X スライド方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切る膜部材に開口部を形成すると共に、形成した開口部を前記膜部材に沿ってスライド移動させる膜部材における開口部移動構造であって、
前記開口部を移動させる領域に亘って前記膜部材に取り付けられた、相互に噛合可能な第1噛合レール部及び第2噛合レール部からなる噛合レール部材と、
開放側を対向配置させて前記噛合レール部材に間隔をおいて対となって取り付けられることにより、間隔部分で前記噛合レール部材を開放した状態として前記開口部を形成する第1噛合レール開閉治具及び第2噛合レール開閉治具と、
前記第1噛合レール開閉治具と前記第2噛合レール開閉治具との間隔部分に配置される、前記第1噛合レール部と噛合可能な開口枠第1噛合レール部を備える第1枠部材、及び前記第2噛合レール部と噛合可能な開口枠第2噛合レール部を備える第2枠部材からなる開口枠部材とによって構成され、
前記第1噛合レール開閉治具及び前記第2噛合レール開閉治具の前記噛合レール部材に沿ったスライド移動に伴って、前記第1噛合レール部や前記第2噛合レール部に噛合した前記開口枠部材の前記第1枠部材や前記第2枠部材を、前記噛合レール部材に沿って移動させることにより、前記開口部及び前記開口枠部材を前記膜部材に沿ってスライド移動させる膜部材における開口部移動構造。
【請求項2】
前記第1噛合レール開閉治具及び前記第2噛合レール開閉治具と、前記開口枠部材の前記第1枠部材及び前記第2枠部材とが、一体として接合されている請求項1記載の膜部材における開口部移動構造。
【請求項3】
前記噛合レール部材は、空間を仕切る前記膜部材とは別部材の帯状膜部材に取り付けられており、前記膜部材に密着可能な密着接合手段を介して、前記帯状膜部材を前記膜部材の前記開口部を移動させる領域に亘って接合することにより、前記噛合レール部材が前記膜部材に取り付けられる請求項1又は2に記載の膜部材における開口部移動構造。
【請求項4】
外側噛合レール部材が取り付けられた外側膜部材が、前記膜部材又は前記帯状膜部材の外側に配置されることにより、前記噛合レール部材の外側に前記外側噛合レール部材が配設されており、
前記外側噛合レール部材には、開放側を対向配置させて間隔をおいて対となって取り付けられることにより、間隔部分で前記外側噛合レール部材を開放した状態として外側開口部を形成する外側第1噛合レール開閉治具及び外側第2噛合レール開閉治具と、前記外側第1噛合レール開閉治具と前記外側第2噛合レール開閉治具との間隔部分に配置される、前記外側噛合レール部材の外側第1噛合レール部と噛合可能な外側開口枠第1噛合レール部を備える外側第1枠部材、及び前記外側噛合レール部材の外側第2噛合レール部と噛合可能な外側開口枠第2噛合レール部を備える外側第2枠部材からなる外側開口枠部材とが、スライド移動可能に取り付けられている請求項1〜3のいずれかに記載の膜部材における開口部移動構造。
【請求項5】
前記外側膜部材が、前記膜部材又は前記帯状膜部材に密着可能な密着接合手段を介して接合されている外側帯状膜部材である請求項4記載の膜部材における開口部移動構造。
【請求項6】
前記開口枠部材と、前記外側開口枠部材とが、連結膜部材を介して気密に連結されている請求項4又は5に記載の膜部材における開口部移動構造。
【請求項7】
前記開口枠部材及び/又は前記外側開口枠部材に作業用袋状膜の基端開口が接続されていることにより、前記開口部及び/又は前記外側開口部を覆って前記作業用袋状膜が取り付けられている請求項1〜6のいずれかに記載の膜部材における開口部移動構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−82686(P2012−82686A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16238(P2012−16238)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2009−185139(P2009−185139)の分割
【原出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(504241666)有限会社リーテック (17)
【Fターム(参考)】