説明

膨張機

【課題】吸入容積の可変構造の簡易化を図る膨張機を提供することを目的とする。
【解決手段】吸入容積が可変な膨張機101は、上流側の吸入室10a1を膨張室12cに連通可能であるメイン吸入ポート11c及びサブ吸入ポート11dと、サブ吸入ポート11dを開放又は閉鎖する吸入制御弁50とを備える。吸入制御弁50は、吸入室10a1をサブ吸入ポート11dに連通する第一弁室51d1、弁孔51e1及び第二弁室51d2と、弁孔51e1を開放又は閉鎖する弁体56と、弁体56に弁孔51e1を開放させるときには少なくとも気液混合状態である冷媒がその冷媒封入室54内に封入され、弁体56に連結されて吸入室10a1内の冷媒に接触するダイヤフラムケース52及びダイヤフラム53とを有する。ダイヤフラム53は、吸入室10a1内の冷媒の温度に対応した冷媒封入室54内の冷媒の圧力により、弁体56に弁孔51e1を開放又は閉鎖させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、膨張機に係り、特に吸入容積が可変である膨張機に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内燃機関から排出される熱を発電機等の動力に変換するランキンサイクルを利用した技術が開発されている。
ランキンサイクルは、内燃機関から排出される排気ガス等の熱を含む熱媒体と作動流体とを熱交換させて作動流体を過熱蒸気化する熱交換器、過熱蒸気状態の作動流体を膨張させて動力を得る膨張機、膨張させた作動流体を冷却して液化するコンデンサ、及び液化した作動流体を熱交換器に圧送するポンプ等から構成される。そして、膨張機では、作動流体を膨張させることによって回転体を回転させ、この回転体の回転駆動力を発電機の動力として利用している。
【0003】
ランキンサイクルでは、熱交換器から膨張機にかけて高温の作動流体が流通する。作動流体の温度が過度に上昇すると、膨張機、又は熱交換器から膨張機までの配管の耐久性を低下させ、さらには損傷させることがある。このため、ランキンサイクルでは、作動流体の温度の上昇を抑制する制御が行われ、その制御の1つとして、吸入容積可変型の膨張機を用いて吸入容積を増大させることが行われる。膨張機の吸入容積が増加すると、熱交換器を経由して膨張機に流入する作動流体の圧力が低下するため、作動流体の熱交換器での温度上昇が抑えられる。
【0004】
例えば、特許文献1には、可変容量スクロール型膨張機が記載されている。この膨張機では、ハウジングの端板内つまり固定スクロールの端板内にスプール穴が穿孔され、スプール穴にバーベル型のスプール及びばねが挿入されている。スプール穴は、高圧連通路及び制御弁を介して膨張機の外部に連通すると共に、低圧連通路を介して膨張機内の低圧室(膨張後の膨張室)に連通している。また、スプール穴は、バイパス穴を介して膨張機の吸込室(膨張前の膨張室)に連通する。制御弁が開放されて高圧ガス冷媒が供給されるとき、スプールの両側には、膨張機外部からの高圧ガス冷媒の圧力と低圧室の圧力との圧力差が発生し、スプールは、ばねの付勢力に抗して移動させられてバイパス穴を塞ぐ。一方、制御弁が高圧ガス冷媒の供給を停止すると、スプールに作用する圧力差がなくなり、ばねの付勢力によってスプールが移動させられてバイパス穴を開放する。このとき、バイパス穴から吸込室に高圧ガス冷媒が流入するため、膨張機の吸入容積が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−30386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の膨張機の吸入容積の可変構造では、固定スクロールの端板内に形成したスプール穴にバイパス穴の開閉機構を設け、さらに、開閉機構を作動させるために供給する高圧ガス冷媒の制御を電気式の制御弁で行っているため、その構造が複雑になるという問題がある。
【0007】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、吸入容積の可変構造の簡易化を図る膨張機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、この発明に係る膨張機は、吸入した作動流体を膨張させるための膨張室を有し、吸入容積が可変である膨張機において、膨張室より上流側を膨張室に連通するメイン吸入ポートと、メイン吸入ポートとは別に設けられ、膨張室より上流側を膨張室に連通可能な少なくとも1つのサブ吸入ポートと、サブ吸入ポートを開放又は閉鎖する吸入制御弁とを備え、吸入制御弁は、膨張室より上流側をサブ吸入ポートに連通する流体通路と、流体通路を開放又は閉鎖する弁体と、弁体に流体通路を開放させるときには少なくとも気液混合状態である気液混合流体が封入され、弁体に連結されて膨張室より上流側の作動流体に接触する感圧部材とを備え、感圧部材は、膨張室より上流側の作動流体の温度に対応した気液混合流体の圧力により弁体に流体通路を開放又は閉鎖させる。
【0009】
感圧部材は、ダイヤフラムであってもよい。
また、感圧部材は、ベローズであってもよい。
吸入制御弁は、感圧部材から離れて設けられ、感圧部材に内部が連通する感温部を有し、感温部は、流体の流れにおける感圧部材より上流側に配置され、熱伝導性を有していていもよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る膨張機によれば、吸入容積の可変構造の簡易化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係る膨張機を含むランキンサイクルの構成を示す模式図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る膨張機の構成を示す模式断面側面図である。
【図3】図2の吸入制御弁を拡大した模式断面側面図である。
【図4】図2の吸入制御弁における冷媒封入室内の冷媒の飽和蒸気圧よるダイヤフラムへの押圧力と、吸入制御弁を閉鎖させておくためのバルブスプリングの所要付勢力との関係を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態2に係る膨張機における吸入制御弁の構成を示す模式断面側面図である。
【図6】この発明の実施の形態3に係る膨張機における吸入制御弁の構成を示す模式断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1〜図3を用いて、この発明の実施の形態1に係る膨張機101を含む流体機器100及びその周辺の構成を説明する。なお、以下の実施形態において、膨張機101として、車両に搭載されたランキンサイクル1に設けられて、ランキンサイクル1を流通する冷媒を吸入、膨張して吐出するスクロール型の膨張機を使用した場合の例について説明する。
【0013】
図1を参照すると、流体機器100を含むランキンサイクル1が示されている。ランキンサイクル1は、ポンプ2、廃ガスボイラ3、流体機器100、コンデンサ4を順次環状に接続する循環路を形成しており、作動流体としての冷媒が流通するようになっている。
ポンプ2は、モータ2aによって駆動され、液体の冷媒を廃ガスボイラ3に圧送する。廃ガスボイラ3は、ポンプ2によって送られた冷媒と、車両のエンジン5の排気系統5aの排気ガスとを内部で互いに熱交換させ、冷媒を加熱する。
【0014】
流体機器100は、膨張機101及びオルタネータである発電機102を含んでいる。膨張機101は、その内部で、廃ガスボイラ3で加熱された後の高温高圧の冷媒を膨張させることによって発電機102を回転させ、発電機102に交流電流を発生させる。また、膨張機101による発電機102の回転駆動力は、プーリ5b,5c及びベルト5dを介してエンジン5に伝達され、エンジン5の回転駆動力を補助する。コンデンサ4は、膨張機101から吐出された冷媒を内部に流通させてコンデンサ4の周囲の空気と熱交換させ、冷媒を冷却・凝縮させる。そして、ポンプ2は、凝縮した液体の冷媒を再び圧送し、ランキンサイクル1を循環させる。
【0015】
図2を参照すると、流体機器100の構成が示されている。流体機器100は、膨張機101と、発電機102とを含んでいる。
流体機器100は、第一膨張機ハウジング10a及び第二膨張機ハウジング10bからなり膨張機101の筐体を構成する膨張機ハウジング10と、発電機102の筐体を構成する発電機ハウジング20とを有している。そして、第二膨張機ハウジング10bの両側に、第一膨張機ハウジング10a及び発電機ハウジング20が連結されている。
【0016】
膨張機101は、第一膨張機ハウジング10aの内部に固定スクロール11を有している。固定スクロール11は、第一膨張機ハウジング10aに固定されており、第一膨張機ハウジング10aから第二膨張機ハウジング10bに向かう方向に垂直な方向に延びる板状の基板11aと、基板11aから第二膨張機ハウジング10bに向かう方向に突出する渦巻壁11bとによって形成されている。そして、渦巻壁11bは、基板11a上で渦巻き状に延びている。
【0017】
また、膨張機101は、第二膨張機ハウジング10bの内部から第一膨張機ハウジング10aの内部にわたって、固定スクロール11と対向するように、可動スクロール12を有している。可動スクロール12は、固定スクロール11に対して第二膨張機ハウジング10b側に配置されており、固定スクロール11の基板11aと略平行に延在する基板12aと、基板12aから固定スクロール11の基板11aに向かって突出する渦巻壁12bとによって形成されている。渦巻壁12bは、基板12a上で渦巻き状に延びている。また、可動スクロール12では、基板12aから渦巻壁12bと反対側に、筒状のシャフト支持部12dが突出して形成されている。
【0018】
そして、可動スクロール12は、その渦巻壁12bが固定スクロール11の渦巻壁11b同士の間にはまりこむようにして、配置されている。可動スクロール12の渦巻壁12bは、固定スクロール11の渦巻壁11bと当接することによって、閉鎖された空間である三日月状の膨張室12cを形成することができる。
【0019】
また、第一膨張機ハウジング10aの内部では、固定スクロール11の基板11aと、基板11aに対向する第一膨張機ハウジング10aの端壁10aaとの間に、吸入室10a1が形成されている。吸入室10a1は、固定スクロール11を取り囲む第一膨張機ハウジング10aの周壁10abを貫通する吸入通路10a3を介して、流体機器100の外部と連通する。
また、第一膨張機ハウジング10aの周壁10abには、固定スクロール11の最も外側の渦巻壁11bと周壁10abとを貫通して延びる吐出通路10a4が形成されている。吐出通路10a4は、膨張室12cを流体機器100の外部に連通することができる。
【0020】
また、固定スクロール11の基板11aの中心を貫通して、吸入室10a1を膨張室12cに連通することができるメイン吸入ポート11cが形成されており、さらに、メイン吸入ポート11cから離れた位置で基板11aを貫通するサブ吸入ポート11dが、形成されている。
さらに、吸入室10a1において、サブ吸入ポート11dには、サブ吸入ポート11dを開放又は閉鎖することができる吸入制御弁50が設けられている。吸入制御弁50は、ダイヤフラム弁の型式を有しており、その詳細は後述する。
【0021】
また、膨張機101は、可動スクロール12のシャフト支持部12d側に、駆動シャフト13を有している。駆動シャフト13は、第二膨張機ハウジング10b内の軸受14によって回転可能に支持される拡径部13bと、拡径部13bから発電機ハウジング20の内部空間20a内に延びるメインシャフト部13aと、拡径部13bから可動スクロール12のシャフト支持部12d内に延びる偏心シャフト部13cとを一体に有している。偏心シャフト部13cは、互いの中心軸を同一とするメインシャフト部13a及び拡径部13bに対してその中心軸を偏心させており、ブッシュ15及びその外周の軸受16を介してシャフト支持部12dと回転自在に嵌合している。
【0022】
よって、偏心シャフト部13cは、メインシャフト部13a及び拡径部13bの回転中心軸の周りを旋回するように回転することができる。そして、可動スクロール12は、メインシャフト部13a及び拡径部13bの回転中心軸の周りを公転運動することによって、偏心シャフト部13cを介して、メインシャフト部13a及び拡径部13bをその回転中心軸周りに回転させることができる。また、可動スクロール12が公転運動することによって、メイン吸入ポート11cで形成された膨張室12cが、固定スクロール11の基板11aの周縁に移動しつつ、容積を増大させる。
【0023】
メインシャフト部13aの端部は、第二膨張機ハウジング10bと反対側に位置する発電機ハウジング20の端壁20aaに設けられた軸受20bによって回転可能に支持され、さらに端壁20aaから突出してプーリ5b(図1参照)に連結されている。また、内部空間20a内では、ロータ21が、一体に回転するようにメインシャフト部13aの周りに固定されている。さらに、発電機ハウジング20の周壁20abの内周面には、ロータ21を取り囲むようにして、コイル22aを有するステータ22が固定されている。そして、発電機ハウジング20、メインシャフト部13a、ロータ21及びステータ22は、発電機102を構成し、発電機102は、メインシャフト部13aが回転されてロータ21が回転することによってステータ22のコイル22aに電流を発生することができる。
【0024】
次に、図3を参照すると、吸入制御弁50の詳細な構成が示されている。
吸入制御弁50は、弁ハウジング51を有している。弁ハウジング51は、円筒状の弁周壁51bと、弁周壁51bの固定スクロール11側の端部を閉鎖する弁端壁51aとを有し、弁周壁51bの固定スクロール11と反対側の端部は開放されて開口部51b1を形成している。さらに、弁ハウジング51は、弁周壁51bの円筒軸方向に垂直な方向に延びる隔壁51eを、内部に有している。これにより、弁ハウジング51の内部は、弁端壁51a、弁周壁51b及び隔壁51eが囲む第一弁室51d1と、隔壁51e及び弁周壁51bが囲み開口部51b1で開放する第二弁室51d2とに分割される。
【0025】
また、弁ハウジング51は、その弁端壁51aが、サブ吸入ポート11dの位置で固定スクロール11に固定されている。弁ハウジング51の第一弁室51d1は、弁端壁51aに形成された弁吐出穴51a1を介して、サブ吸入ポート11dに連通する。
また、弁ハウジング51の開口部51b1には、開口部51b1を閉鎖するように略楕円体状をしたダイヤフラムケース52が取り付けられている。
【0026】
ダイヤフラムケース52は、熱伝導性が高い板状部材によって形成されて中空になっており、その内部に弾性をもつ板状のダイヤフラム53を有している。なお、ダイヤフラム53も、熱伝導性が高い部材によって形成されていてもよい。ダイヤフラム53は、弁ハウジング51の弁周壁51bの円筒軸方向に垂直な方向に延在している。これにより、ダイヤフラム53における弁ハウジング51と反対側には、ダイヤフラム53とダイヤフラムケース52とによって囲まれた密閉空間である冷媒封入室54が形成されている。さらに、冷媒封入室54の内部には、流体機器100が設けられるランキンサイクル1(図1参照)を流通する冷媒と同一の冷媒が、気液混合状態で封入されている。なお、冷媒封入室54内の冷媒は、ランキンサイクル1を流通する冷媒と異なり、ランキンサイクル1を流通する冷媒がとりうる温度範囲で気液混合状態を維持する冷媒であってもよい。
【0027】
そして、冷媒封入室54内の冷媒は、吸入室10a1内の冷媒の熱を、ダイヤフラムケース52及びダイヤフラム53を介して受け取ることができる。また、ダイヤフラムケース52は、ダイヤフラム53を挟んで冷媒封入室54と反対側の部位が、弁ハウジング51の開口部51b1内において開口している。
ここで、ダイヤフラムケース52及びダイヤフラム53は感圧部材を構成し、冷媒封入室54内の冷媒は気液混合流体を構成している。
【0028】
また、弁ハウジング51の弁周壁51bには、弁周壁51bを貫通して吸入室10a1を第二弁室51d2に連通する弁吸入穴51b2が形成されている。さらに、弁ハウジング51の隔壁51eには、隔壁51eを貫通して第二弁室51d2を第一弁室51d1に連通する弁孔51e1が形成されている。よって、吸入室10a1は、第二弁室51d2、弁孔51e1及び第一弁室51d1を介してサブ吸入ポート11dに連通可能であり、第一弁室51d1、弁孔51e1及び第二弁室51d2は、流体通路を構成している。
【0029】
また、ダイヤフラム53には、第二弁室51d2側に弁棒55が固定されており、弁棒55は、第二弁室51d2及び弁孔51e1を通って、第一弁室51d1内に延びている。さらに、第一弁室51d1内では、弁棒55の端部に球状の弁体56が固定されている。よって、ダイヤフラム53が弁棒55の延びる方向に撓むように弾性変形することによって、弁棒55及び弁体56は、弁周壁51bの円筒軸方向に移動し、弁体56が弁孔51e1を開放又は閉鎖することができる。
【0030】
また、第一弁室51d1内において、弁体56と弁端壁51aとの間には、弁周壁51bの円筒軸方向に伸縮可能なバルブスプリング57が設けられ、さらに、バルブスプリング57と弁体56との間には、弁体支持部材58が設けられている。バルブスプリング57は、一方の端部を弁端壁51aに当接させると共に他方の端部を弁体支持部材58に当接させており、その付勢力によって弁体支持部材58と共に弁体56を隔壁51eに向かって押圧し、弁体56に弁孔51e1を閉鎖させることができる。ここで、隔壁51eは、弁体56の弁座を構成している。
【0031】
次に、図1〜図4を用いて、この発明の実施の形態1に係る膨張機101を含む流体機器100及びその周辺の動作を説明する。
図1を参照すると、車両のエンジン5の稼動中、エンジン5から排気系統5aに排出された排気ガスは、廃ガスボイラ3の内部を流通した後、車両の外部に排出される。このとき、エンジン5の回転駆動力が、プーリ5c、ベルト5d及びプーリ5bを介して、流体機器100に伝達し、それによって、膨張機101及び発電機102が回転駆動される。
【0032】
また、エンジン5の稼動中、ポンプ2がモータ2aによって駆動される。これによって、ポンプ2は、液体状態の冷媒を廃ガスボイラ3に向かって圧送する。ポンプ2によって断熱加圧作用を受けた冷媒は、廃ガスボイラ3において排気ガスと熱交換を行うことによって等圧加熱されて高温高圧の過熱蒸気となり、流体機器100の回転駆動している膨張機101に吸入される。膨張機101内の冷媒は、断熱膨張して流出する。流出した冷媒は、コンデンサ4に流入し、コンデンサ4では周囲の空気すなわち外気と熱交換を行うことによって等圧冷却されて凝縮し液体状態となって流出する。さらに、コンデンサ4から流出した冷媒は、ポンプ2に吸入されて再度圧送され、ランキンサイクル1を循環する。
【0033】
図2をあわせて参照すると、廃ガスボイラ3から流出した高温高圧の冷媒は、膨張機101の吸入通路10a3を通って吸入室10a1に流入する。さらに、通常は吸入制御弁50がサブ吸入ポート11dを閉鎖しているため、冷媒は、メイン吸入ポート11cを通って、固定スクロール11及び可動スクロール12によって形成される膨張室12cに流入する。膨張室12c内の冷媒は、その膨張力によって膨張室12cの容積を増大させる方向への回転駆動力を可動スクロール12に付与し、それにより、膨張室12cは、固定スクロール11の基板11aの中央のメイン吸入ポート11c近傍で形成された後、可動スクロール12の回転に伴ってその容積を増加させつつ基板11aの周縁に向かって移動し、吐出通路10a4と連通するようになる。そして、容積を増加させた膨張室12c内で膨張した冷媒は、膨張機101の外部に排出される。
【0034】
このとき、冷媒の膨張力による可動スクロール12の回転駆動力は、駆動シャフト13を介して伝達されることで、発電機102のロータ21を回転駆動すると共にエンジン5の回転駆動力を補助する。
ロータ21が回転されることによって、ステータ22のコイル22aに交流電流が発生し、発生した交流電流は、図示しないコンバータで直流電流に変換された後、バッテリ等に充電される。
【0035】
ランキンサイクル1では、膨張機101、及び、廃ガスボイラ3を膨張機101の吸入通路10a3に連結する冷媒配管を流通する冷媒は高温であるため、膨張機101に流入する冷媒の温度が、膨張機101及び冷媒配管の耐熱温度を超えないように制御される。
そして、本実施の形態1のランキンサイクル1では、膨張機101の回転がエンジン5の回転と連動するため、膨張機101の回転数を制御せずに、膨張機101の吸入容積を変更することで、膨張機101に流入する冷媒の温度を調節する。
【0036】
例えば、膨張機101の吸入容積が増加すると、ポンプ2から廃ガスボイラ3を通過して膨張機101に至るまでの冷媒流路の圧力を低下させることができ、それによって、熱交換後の冷媒温度の上昇が抑えられ膨張機101に流入する冷媒の温度も低下する。あるいは圧力低下を防ぐように冷媒流量を調整する場合はポンプ2の圧送する流量が増加するため、熱交換後の冷媒温度の上昇が抑えられ、膨張機101に流入する冷媒の温度も低下する。
そして、膨張機101の吸入容積を増大させるには、吸入制御弁50によって閉鎖されているサブ吸入ポート11dを開放し、サブ吸入ポート11dからも膨張室12cに冷媒を流入させる。なお、メイン吸入ポート11cのみを介した冷媒の吸入が終了した時点の膨張室12cの容積と比較すると、メイン吸入ポート11c及びサブ吸入ポート11dの両方を介した冷媒の吸入が終了した時点の膨張室12cの容積は、可動スクロール12の回転角度が異なり回転が進行しているため、増大しており、膨張機101の吸入容積が増えることになる。
【0037】
図3を参照すると、弁体56が弁孔51e1を閉鎖している吸入制御弁50では、弁体56に対して、第一弁室51d1から第二弁室51d2に向かってバルブスプリング57の付勢力Faが作用している。
また、弁体56には第二弁室51d2から第一弁室51d1に向かって、冷媒封入室54内の気液混合状態の冷媒の圧力(飽和蒸気圧)が第二弁室51d2内の冷媒の圧力(過熱蒸気圧力)に抗してダイヤフラム53を押圧することで弁棒55を介して弁体56を押圧する力Fbが、作用している。なお、同一の冷媒で、同一温度での飽和蒸気圧と過熱蒸気圧力とを比較すると、飽和蒸気圧の方が高くなる。そして、飽和蒸気圧は、同一の温度では一定となり、過熱蒸気の過熱度(エンタルピ)が増加する程、飽和蒸気圧と過熱蒸気圧力の差が増大する。
【0038】
よって、吸入室10a1内の冷媒の温度が低いときは、ダイヤフラムケース52を介して吸入室10a1内の冷媒から熱を受け取る冷媒封入室54内の冷媒の温度も同様に低くなり、冷媒封入室54内の冷媒の飽和蒸気圧による押圧力Fbが、バルブスプリング57の付勢力Faより小さくなり、弁体56は隔壁(弁座)51eに押し付けられて弁孔51e1を閉鎖する。このとき、第一弁室51d1及び第二弁室51d2の連通が遮断され、サブ吸入ポート11dが閉鎖されることになる。
【0039】
一方、吸入室10a1内の冷媒の温度が上昇すると、冷媒封入室54内の冷媒の温度も同様に上昇し、それに伴い飽和蒸気圧も上昇するが、上昇する飽和蒸気圧による押圧力Fbがバルブスプリング57の付勢力Faを超えると、押圧力Fbは、ダイヤフラム53を弁体56に向かって突出するように弾性変形させ、それにより、弁体56が弁座51eから離れる方向に移動し弁孔51e1を開放する。このとき、第二弁室51d2が第一弁室51d1に連通するため、吸入室10a1内の冷媒が、第二弁室51d2、第一弁室51d1及びサブ吸入ポート11dを経由して膨張室12cに流入し、サブ吸入ポート11dが開放されることになり、膨張機101の吸入容積が増加する。
【0040】
また、バルブスプリング57の強度を設定することによって、弁体56が弁孔51e1を開放する時点の冷媒の温度を設定することができる。
ここで、図4を参照すると、吸入制御弁50(図3参照)において、冷媒封入室54(図3参照)内の冷媒の飽和蒸気圧Psによってダイヤフラム53(図3参照)が押圧される力Fpsと、第二弁室51d2(図3参照)内の冷媒の圧力Paによってダイヤフラム53が押圧される力Fpaと、冷媒温度が所定の温度以下の場合に弁体56(図3参照)を閉鎖させておくのに必要なバルブスプリング57(図3参照)の所要付勢力Frとの関係が示されている。図4では、縦軸が力(単位:N)を示し、横軸が冷媒の温度(単位:℃)を示す。そして、所要付勢力Frは、ダイヤフラム53の面積をAとすると、Fr=Fps−Fpa=(Ps−Pa)×Aで算出される力である。なお、図4では、第二弁室51d2内の冷媒の圧力Paは制御されて一定であるとしている。
【0041】
図3をあわせて参照すると、例えば、所定の温度t1以下の状態で弁体56を閉鎖させておくようにする場合、バルブスプリング57の所要付勢力はFr1となる。このとき、吸入室10a1内の冷媒の温度が温度t1を超えて温度t2となると、冷媒封入室54内の冷媒の温度も同様に温度t1を超えて温度t2となり、冷媒封入室54内の冷媒の飽和蒸気圧Ps2も温度t1の飽和蒸気圧Ps1を超えるため、そのときの力Fps2は飽和蒸気圧Ps1×Aより大きくなる。所要付勢力Fr1=(飽和蒸気圧Ps1−冷媒圧力Pa)×Aであるため、温度t2の場合における冷媒封入室54内の冷媒の飽和蒸気圧による押圧力Fb2は、所要付勢力Fr1より大きくなる。よって、弁体56は、バルブスプリング57を押し縮める方向に移動され、弁孔51e1を開放する。従って、吸入室10a1内の冷媒温度が温度t1より高い場合、吸入制御弁50では弁孔51e1が開放される。
【0042】
上述で説明するように、この発明の実施の形態1に係る膨張機101は、吸入した冷媒を膨張させるための膨張室12cを有し、吸入容積が可変である。膨張機101は、膨張室12cより上流側を膨張室12cに連通するメイン吸入ポート11cと、メイン吸入ポート11cとは別に設けられ、膨張室12cより上流側を膨張室12cに連通可能な少なくとも1つのサブ吸入ポート11dと、サブ吸入ポート11dを開放又は閉鎖する吸入制御弁50とを備える。吸入制御弁50は、膨張室12cより上流側をサブ吸入ポート11dに連通する第一弁室51d1、弁孔51e1及び第二弁室51d2と、弁孔51e1を開放又は閉鎖する弁体56と、弁体56に弁孔51e1を開放させるときには少なくとも気液混合状態である冷媒がその冷媒封入室54内に封入され、弁体56に連結されて膨張室12cより上流側の冷媒に接触するダイヤフラムケース52及びダイヤフラム53とを備える。ダイヤフラム53は、膨張室12cより上流側の冷媒の温度に対応した冷媒封入室54内の冷媒の圧力により弁体56に弁孔51e1を開放又は閉鎖させる。
【0043】
このとき、吸入制御弁50では、膨張室12cの上流側の冷媒の熱によって、冷媒封入室54内の冷媒の温度が上昇すると共に圧力が上昇し、それにより、ダイヤフラム53が弾性変形することで弁体56が移動し、弁孔51e1を開放することができる。よって、膨張機101では、膨張室12cの上流側の冷媒の温度が所定の温度を超えると、吸入制御弁50が弁孔51e1を開放するようにすることができ、このとき、サブ吸入ポート11dを介して膨張室12cがその上流側と連通し、その吸入容積を増大させる。そして、吸入制御弁50は、冷媒封入室54内の冷媒の温度変化に伴う圧力変化によって弁体56を動作させる構造であるため、弁体56を動作させる駆動力が大きく、そして、その構造を小型で簡易なものにすることができる。さらに、吸入制御弁50には、電気配線等の電気系統が必要でないため、その構造を簡易にすることができる。また、吸入制御弁50は、冷媒封入室54が膨張室12cの上流に設けられるため、膨張機101に流入する冷媒の温度に対する感度を高めた弁体56の開閉動作を行うことができる。
【0044】
また、膨張機101において、吸入制御弁50における冷媒封入室54内の冷媒は、その圧力によってダイヤフラム53を弾性変形させることで弁体56に弁孔51e1を開放させるときには少なくとも、気液混合状態である。膨張機101で膨張させる冷媒と、冷媒封入室54内の冷媒とに同一の種類の冷媒を使用する場合、同一の温度のとき、膨張機101に流入する過熱蒸気状態の冷媒の圧力より、飽和蒸気状態の冷媒の圧力が高い。このため、ダイヤフラム53に過熱蒸気状態の冷媒の圧力が作用する場合でも、冷媒封入室54内の気液混合状態つまり飽和蒸気状態の冷媒は、ダイヤフラム53を外方に向かって突出させるように変形させることができ、それにより、弁体56を動作させることができる。さらに、冷媒封入室54内の冷媒は、弁体56に弁孔51e1を開放させるときには少なくとも飽和蒸気状態であるため、弁体56を確実に動作させることができる。また、同一の温度では飽和蒸気圧は一定であるため、バルブスプリング57の付勢力に抗して開放させる弁体56の開放度を、冷媒の温度で制御することを容易にすることができる。
【0045】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る膨張機201は、実施の形態1の膨張機101における吸入制御弁50のダイヤフラムケース52及びダイヤフラム53を、ベローズ253としたものである。
なお、以下の実施の形態において、前出した図における参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
【0046】
図5を参照すると、実施の形態2に係る膨張機201は、実施の形態1の膨張機101と同様の構成を有しているが、吸入室10a1内のサブ吸入ポート11dには、吸入制御弁50の代わりに吸入制御弁250を有している。
吸入制御弁250の弁ハウジング251は、円筒状の弁周壁251bと、弁周壁251bの両端部を閉鎖する弁端壁251a及び251cとを有している。さらに、弁ハウジング251は、弁周壁251bの内側にその円筒軸方向に垂直な隔壁251eを有し、弁ハウジング251の内部は、隔壁251eによって第一弁室251d1及び第二弁室251d2に分割されている。第一弁室251d1及び第二弁室251d2は、隔壁251eに形成された弁孔251e1を介して互いに連通する。さらに、弁周壁251bには、第二弁室251d2を弁ハウジング251の外部に連通する弁吸入穴251b2が複数形成されている。
【0047】
また、固定スクロール11に固定された弁端壁251aには、サブ吸入ポート11dに連通する弁吐出穴251a1が形成されている。一方、吸入室10a1側の弁端壁251cにおける第二弁室251d2側には、感圧部材として中空の蛇腹状をしたベローズ253が設けられている。ベローズ253は、蛇腹状の周壁253bと、周壁253bの両端を閉鎖する端壁253a及び253cとによって形成され、内部に密閉された冷媒封入室254を形成している。ベローズ253は、その端壁253cが弁端壁251cに取り付けられ、端壁253aには弁棒255が取り付けられている。さらに、弁孔251e1を通って第一弁室251d1に延びる弁棒255の先端には弁体56が取り付けられている。よって、ベローズ253は、弁棒255の延びる方向つまり弁周壁251bの円筒軸方向に伸縮することができ、それにより、弁体56で弁孔251e1を開放又は閉鎖することができる。また、ベローズ253の冷媒封入室254には、流体機器100が設けられるランキンサイクル1(図1参照)を流通する冷媒と同一の冷媒が、気液混合状態で封入されている。さらに、ベローズ253は、熱伝導性が高い部材によって形成されている。
【0048】
また、第一弁室251d1内では、バルブスプリング57が設けられ、バルブスプリング57は、端部のそれぞれを弁端壁251a及び弁体支持部材58に当接させ、弁体支持部材58を介して弁体56を隔壁(弁座)251eに向かって付勢している。
【0049】
よって、吸入室10a1内の冷媒の温度が低いとき、ベローズ253の冷媒封入室254内の冷媒の温度も低く、冷媒封入室254内の冷媒の飽和蒸気圧が低いため、バルブスプリング57が弁体56を弁座251eに押し付けて弁孔251e1を閉鎖する。一方、吸入室10a1内の冷媒の温度が高くなると、ベローズ253の冷媒封入室254内の冷媒の温度も高くなって、冷媒封入室254内の冷媒の飽和蒸気圧が上昇し、吸入室10a1内の冷媒の圧力に抗した飽和蒸気圧による押圧力がバルブスプリング57の付勢力を超えると、ベローズ253が伸長して弁体56を弁座251eから離れる方向に移動させ、弁孔251e1が開放される。
また、この発明の実施の形態2に係る膨張機201のその他の構成及び動作は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0050】
このように、実施の形態2における膨張機201によれば、上記実施の形態1の膨張機101と同様な効果が得られる。
また、膨張機201の吸入制御弁250では、冷媒を封入して弁体56を動作させる構成としてベローズ253を使用しているため、実施の形態1の膨張機101の吸入制御弁50におけるダイヤフラムケース52及びダイヤフラム53を使用した構成より、構造を簡易にすることができる。
【0051】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る膨張機301は、実施の形態1における膨張機101の吸入制御弁50において、ダイヤフラムケース52及びダイヤフラム53によって形成される冷媒封入室54に連通する感温筒60を設けたものである。
図6を参照すると、実施の形態3に係る膨張機301は、実施の形態1の膨張機101と同様の構成を有しており、さらに、吸入室10a1内に感温部である感温筒60を有している。
【0052】
感温筒60は、内部の感温室60aを熱伝導性が高い感温室筐体60bで囲んだ構成を有している。そして、感温室60aは、連通管59を介して、吸入制御弁50の冷媒封入室54と連通しており、内部には冷媒封入室54と同じ冷媒が封入されている。
また、感温筒60は、冷媒封入室54から離れて設けられており、冷媒封入室54より膨張機301の吸入通路10a3に近い位置、つまり冷媒封入室54より上流側に配置されている。
【0053】
よって、感温室60a内の冷媒は、冷媒封入室54内の冷媒より、吸入室10a1内のより温度が高い冷媒から感温室筐体60bを介して熱を受け取り、その温度を迅速に上昇させる。さらに、感温室筐体60bの表面積を増大させることによって、感温室60a内の冷媒と吸入室10a1内の冷媒との間の熱交換面積を増大させ、感温室60a内の冷媒の温度の上昇速度つまり熱に対する感度を増加させることもできる。
また、この発明の実施の形態3に係る膨張機301のその他の構成及び動作は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
このように、実施の形態3における膨張機301によれば、上記実施の形態1の膨張機101と同様な効果が得られる。さらに、膨張機301では、冷媒封入室54より上流側に感温筒60を設けたため、吸入室10a1内の冷媒の温度変化に対して、感温筒60及び冷媒封入室54に封入された冷媒の感度を向上させることができる。
また、膨張機301の感温筒60は、実施の形態2の膨張機201におけるベローズ253に設けてもよい。
【0055】
また、実施の形態1の膨張機101において、吸入制御弁50の冷媒封入室54に封入された冷媒は、広い温度域で気液混合状態であったがこれに限定されるものでない。吸入制御弁50を開放しておくべき吸入室10a1内の冷媒の温度範囲が設定されている場合、冷媒封入室54に封入された冷媒は、設定された温度範囲でのみ気液混合状態であってもよい。
また、実施の形態1〜3の膨張機101〜301では、膨張機101〜301に吸入されるランキンサイクル1の冷媒と、吸入制御弁50,250の冷媒封入室54,254内の冷媒とが同一であったが、これに限定されるものでない。冷媒封入室54,254内の冷媒の方が臨界点温度の高いものを使用すれば、膨張機101〜301に吸入される冷媒の温度がその臨界点温度を超える場合でも、気液混合状態を維持することができ、吸入制御弁50,250の開放制御を安定して行うことができる。
【0056】
また、実施の形態1〜3の膨張機101〜301では、1つのサブ吸入ポート11dが設けられていたが、これに限定されるものでなく、2つ以上あってもよい。このとき、各サブ吸入ポートに対して吸入制御弁50,250を設けてもよい。
また、実施の形態1〜3の膨張機101〜301は、スクロール式膨張機であったがこれに限定されるものでなく、ベーン式膨張機等のロータリー型の膨張機など、膨張室の容積を増大させることによって内部の流体を膨張させる膨張機であればよい。
【符号の説明】
【0057】
10a1 吸入室、11c メイン吸入ポート、11d サブ吸入ポート、12c 膨張室、50,250 吸入制御弁、51d1,251d1 第一弁室(流体通路)、51e1,251e1 弁孔(流体通路)、51d2,251d2 第二弁室(流体通路)、52 ダイヤフラムケース(感圧部材)、53 ダイヤフラム(感圧部材)、54,254 冷媒封入室、56 弁体、60 感温筒(感温部)、101,201,301 膨張機、253 ベローズ(感圧部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入した作動流体を膨張させるための膨張室を有し、吸入容積が可変である膨張機において、
前記膨張室より上流側を前記膨張室に連通するメイン吸入ポートと、
前記メイン吸入ポートとは別に設けられ、前記膨張室より上流側を前記膨張室に連通可能な少なくとも1つのサブ吸入ポートと、
前記サブ吸入ポートを開放又は閉鎖する吸入制御弁とを備え、
前記吸入制御弁は、
前記膨張室より上流側を前記サブ吸入ポートに連通する流体通路と、
前記流体通路を開放又は閉鎖する弁体と、
前記弁体に前記流体通路を開放させるときには少なくとも気液混合状態である気液混合流体が封入され、前記弁体に連結されて前記膨張室より上流側の前記作動流体に接触する感圧部材とを備え、
前記感圧部材は、前記膨張室より上流側の前記作動流体の温度に対応した前記気液混合流体の圧力により前記弁体に前記流体通路を開放又は閉鎖させる膨張機。
【請求項2】
前記感圧部材は、ダイヤフラムである請求項1に記載の膨張機。
【請求項3】
前記感圧部材は、ベローズである請求項1に記載の膨張機。
【請求項4】
前記吸入制御弁は、前記感圧部材から離れて設けられ、前記感圧部材に内部が連通する感温部を有し、
前記感温部は、前記流体の流れにおける前記感圧部材より上流側に配置され、熱伝導性を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の膨張機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−79632(P2013−79632A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221085(P2011−221085)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)