説明

膨満感食材

【課題】 健常者、成人病患者などダイエットが必要とされる者にとって、食事療法は対症療法として重要である。ダイエットに用いる低カロリー食の製造では栄養士がそれぞれの食材の栄養成分に基づき、極力、低カロリー食を構成するよう試みるが、供試者に取っては、満腹感を伴う満足感が得られない限り、常時空腹感を抱えることになり、短期間の実施の後にはリバウンドと呼ばれる過剰の食料摂取の事態を招き、逆効果になることがしばしばであった。
【解決手段】 精製グルコマンナン、こんにゃく製粉またはこんにゃく飛び粉をチョコレートなどの油脂分に練りこむことにより、マンナン粒子の膨潤能を100%温存し、咀嚼あるいはチョコレートの胃での消化が進むに連れて、コンニャクマンナンが周囲の水分を吸収しゲル化、膨潤することにより、食した食品の嵩以上の膨満感を感じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低カロリー食を実現するための基本となる食材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
低カロリーまたはカロリーゼロの食材としておから粉やコンニャクマンナンを添加した食品は多数見られるが、いずれも低カロリー食材を小麦粉の一部代替や、ゼリー状に加工して使用する増量材としての利用であった。
【0003】
例えば先行特許文献にコンニャクあるいはコンニャクマンナンの応用技術を見ると、コンニャクを主たる成分として麺や米の形状とし満腹感を得ようとするものとして特許文献1,2および3がある。種々の食材に添加することを前提としてコンニャクの存在を気づかせないようにする目的でコンニャク粒を微細なものにするとして特許文献4がある。肉の調理品と同様の食感を得ながら、収縮防止と調理品の肉の一部をコンニャクで置き換えることにより、総カロリーを低減しようとするものとして特許文献5および6がある。また、食材あるいは飲料にねっとり感を与えることにより、ゼリー状または濃厚シチュー状食材あるいは飲料を得るとして文献7,8および9などがある。
【特許文献1】特願平08−147934
【特許文献2】特願2003−159282
【特許文献3】特願2003−184930
【特許文献4】特願平09−074694
【特許文献5】特願平10−216093
【特許文献6】特願平11−125000
【特許文献7】特願平11−220316
【特許文献8】特願2000−347946
【特許文献9】特願2004−035046
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
健常者、成人病患者などダイエットが必要とされる者にとって、食事療法は対症療法として重要である。ダイエットに用いる低カロリー食の製造では栄養士がそれぞれの食材の栄養成分に基づき、極力、低カロリー食を構成するよう試みるが、供試者に取っては、満腹感を伴う満足感が得られない限り、常時空腹感を抱えることになり、短期間の実施の後にはリバウンドと呼ばれる過剰の食料摂取の事態を招き、逆効果になることがしばしばであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
精製グルコマンナン、こんにゃく製粉またはこんにゃく飛び粉をチョコレートなどの油脂分に練りこむことにより、マンナン粒子の膨潤能を100%温存し、咀嚼あるいはチョコレートの胃での消化が進むに連れて、コンニャクマンナンが周囲の水分を吸収しゲル化、膨潤することにより、食した食品の嵩以上の膨満感を感じさせる。
【発明の効果】
【0006】
発明者らは小麦焼き菓子の表面にこんにゃく製粉を混入したチョコレートをコーティングし、パネラーには内容を伝えずに食してもらい、その後の食事摂取量が大幅に落ちることを確認している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
家庭内での朝食は十分な栄養バランスを考慮して、摂取すべきものとされているが、一般の生活では最も忙しい出勤、通学前の時間であるため、ゼリー状バランス栄養食などに頼りがちであるが、ゼリー状バランス栄養食ではほとんどが水分のため、腹持ちが悪く、昼食時はその反動として高カロリー食を摂取しがちであった。本発明の膨満感食材を基本にした食材を適量摂取し、同時に適量の水分を補給することで次の食事時までの十分な満腹感は約束できるので、本発明になる膨満感食材を少量摂取し、不足に感ずる分は好みの食品の摂取が可能である。
【0008】
膨満感食材を基本にした食材の摂取を食事の前に行えば、栄養バランスを十分に考慮しつつ、少ないカロリーで満腹感を得る食事が可能になる。
【実施例】
【0009】
コーティング用チョコレート500gを湯煎により溶解し55度に保ちながら、コンニャク製粉30gを混合よく攪拌して均一なチョコレートとした。下表の生地として4g/1個の焼き菓子に先に作成したチョコレートを1個当たり2gコーティングしてチョコボール状の膨満感食材を作成した。チョコレート2gのカロリーは11.14kcalであり、焼き菓子部分と合わせて約27kcalとなった。
【表】

【0010】
40歳から55歳までの男女パネラー各4人に食前3個の本発明チョコレートを食してもらい、適宜水分を取らせた。多くは100mlから150mlの水を飲んでいた。1週間の膨満感食材チョコボールの施用結果は次の下表2のとおりである。表中の数字はkgである。パネラーの報告によれば、食前5分から10分前の摂取により、先に準備した食事の全てを摂取ることは満腹感により、容易ではなく、少ないときには通常食の3分の2程度を残すことになった。個人差はあるが1週間の実施で0.6kgから最大3.4kgの減量となった。パネラーの摂取する食事内容は自由であり、体重測定もパネラーによるものであるが、実験結果の報告日などは先に知らせることなく実施した。実施中の変化についてもヒアリングにより調査したが、日頃の生活と変わらない生活か、より行動的になったとの意見が多かった。
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明による膨満感食材はこんにゃく製粉、飛び粉の食感改善と臭気を押さえる目的と食する前にこんにゃく製粉や飛び粉に水分を抱えさせない目的でチョコレートなどの油脂分でこれらを覆うという特徴を持っている。このことから、食品としての旨み、味は思いのままにできる。従来のダイエット食品では低カロリーは実現しても通常の食事としての充実感、満足感を得ることはできなかった。本発明によればダイエット食としての機能は当然のことと、膨満感によって食事の充実感は通常食と変わらない食生活が可能である。本発明の膨満感食材を使ったダイエット食品を製造する菓子メーカー、食品メーカーには多大な優位性を与える食品となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョコレート60部から95部に対しこんにゃく製粉または精製グルコマンナン5部から40部を加えて混練したことを特徴とする膨満感食材。
【請求項2】
チョコレート70部から80部に対しこんにゃく飛び粉20部から30部を加えて混練したことを特徴とする膨満感食材。
【請求項3】
精製グルコマンナン、こんにゃく製粉あるいはこんにゃく飛び粉の表面にバター、マーガリン、各種食用油脂をコーティングし、吸水性を落としたことを特徴とする膨満感食材。
【請求項4】
精製グルコマンナン、こんにゃく製粉あるいはこんにゃく飛び粉の表面にバター、マーガリン、各種食用油脂をコーティングし、吸水性を落とし、さらにカスタードクリーム、生クリームなどに混合したことを特徴とする膨満感食材。
【請求項5】
請求項1から4の膨満感食材をビスケット、ウエハース、クラッカー、各種ケーキ、アイスクリームなどの表面コーティング用、内部のチョコチップ、一部トッピングあるいはサンドイッチして製造することを特徴とする膨満感食材。

【公開番号】特開2008−278875(P2008−278875A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152090(P2007−152090)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(505244084)株式会社ファーストステップ (3)
【Fターム(参考)】