説明

自動ねじ締め装置

【課題】ねじ締め中にねじが無いことを判断して、即座にビットの下降動作を停止させ、ワークにビットの先端を当接させずビットによるワークの損傷を防止した自動ねじ締め装置の提供を目的とする。
【解決手段】ねじ61の駆動部と係合したビット23を下降させ、ねじ61が締結物71に当接したビット23の位置である計測開始位置Aを予め設定し、この計測開始位置Aから計測設定時間Bを全て減算されるまでのビット23の移動距離を測定し、この移動距離と予め設定された判定基準距離Cとを比較してねじ締め中にねじ61が存在しているか否かを判定し、ビット23の先端がワークと当接するまでにビット23の移動を停止可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじあるいは六角ボルト等の締結部品を締結する自動ねじ締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備の異常によって稼動中にワークが損傷することがある。このような損傷ワークは、修正して再利用されるか修正不能と判断されると廃棄されるため、ワークに係るコストが増加している。このような問題を抱える生産設備の一例である従来の自動ねじ締め装置は、一般的に特許文献1に示すものが知られており以下に説明する。
【0003】
特許文献1に示す従来の自動ねじ締め装置は、円筒状で側面に長穴を形成されたケーシングパイプと、このケーシングパイプ内にスプリングを配し、このスプリングに当接し下方へ付勢される摺動ブッシュを配し、この摺動ブッシュを前記ケーシングパイプから抜けないように規制するストッパリングを有する。前記摺動ブッシュには締結部品の一例であるねじの吸着を可能な吸着パイプが固定されており、この吸着パイプにねじの駆動部と係合可能でかつ回転可能なビットが内挿される。一方、前記摺動ブッシュにはL型のホース継手が固定されており、このホース継手は前記ケーシングパイプの長穴部に突出され、このホース継手の突出部に係合レバーが固定され吸着パイプの摺動に連動する。一方、前記係合レバーの摺動方向に延びるようにチェック軸が配置され、このチェック軸は係合レバーに当接して摺動可能であるとともに、この摺動状態に応じてチェック軸の両端をそれぞれ検出可能なセンサがねじ無し検出用、他方側はねじ浮き検出用として配置されている。次にこの自動ねじ締め装置の作用について説明する。ねじを吸着した吸着パイプは、軸方向に下降するとその先端が被締結物に当接し、ビットが前記スプリングの撓みによって押し出される形でワーク側に接近することで、ビットとねじの駆動部とが嵌合する。ねじはビットによって下方へ押し出されるため、その先端と締結物とが当接し螺入される。このとき自動ねじ締め装置は、トルクアップあるいはねじ締め開始から所定の時間経過するとビットの回転を停止させるとともに、前記ねじ無し検出用および前記ねじ浮き検出用それぞれのセンサの検出信号に基づきねじの浮き状態あるいはねじ無しのチェックを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平6-37869号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の自動ねじ締め装置において、ねじの落下などによりねじの無い状態でねじ締めが行われると、ビットは前述の通りトルクアップあるいはねじ締め開始から所定時間経過するまで回転および下降を継続する。このため、ビットの先端とワークとが当接してワークおよびビットの先端とを破損する問題があった。この問題を解決するため、ビットの先端の下死点をワークに当接しない位置に規制するメカストッパを自動ねじ締め装置に搭載することが考えられるが、例えばねじ締め箇所の締付面高さが異なれば、締付面高さの低いねじ締め箇所のねじ締めが行えない問題がある。また、個々のねじ締め箇所におけるビットの先端の下死点を、ビットおよびねじの駆動部とが確実に嵌合するように正常な締付け位置よりも若干低く設定してビットの先端とワークとが当接しないように設定することも挙げられるが、この場合であってもねじおよびワークの寸法公差によっては、ビットの先端とワークとが当接する問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて創成されたものであり、作業中に締結部品が無いことを判断して、即座にビットの下降動作を停止させ、ワークにビットの先端を当接させずビットおよびワークの損傷を防止できる自動ねじ締め装置の提供を目的とする。この目的を達成するために、本発明は、締結部品の駆動部に係合可能なビットを有するドライバツールと、このドライバツールを前記ビットの軸方向に往復移動操作可能に支持した往復移動手段と、ビットの位置情報を検出可能な位置検出手段とを有する自動ねじ締め装置において、任意設定されたビットの位置である計測開始位置と任意設定された時間である計測設定時間とをあらかじめ設定し、前記計測開始位置から前記計測設定時間を全て減算されるまでのビットの移動距離を計測し、この測定したビットの移動距離と予め設定された判定基準距離とを比較して作業中に締結部品が存在しているか否かの判定とを行う制御手段を備えたことを特徴とする。また、位置検出手段は、複数のセンサによってビットの位置を検出可能に構成してもよい。なお、ドライバツールはビットに相対移動可能な吸着パイプを備える一方、位置検出手段は前記吸着パイプとビットとの相対差を検出可能に構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動ねじ締め装置は、ビット先端の下死点設定をワークに当接する位置にしてねじのない状態でねじ締めを行ってもビットとワークとが当接するまでにビットの動作を停止するため、ビットの先端とワークとが当接することなくビットおよびワークの損傷を防止できる利点がある。また、所定のねじ長さよりも短いねじが誤って供給された場合であっても、螺入し始めるビットの位置を基準にして異常判定を行なっているため、ねじ長さが異なっていることが判断でき、今まで締付け後に探し出すことが困難であった異品ねじの締結を未然に防止できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係わる一実施例の自動ねじ締め装置の一部切欠断面図である。
【図2】本発明に係わる別の応用例の自動ねじ締め装置の概略説明図である。
【図3】本発明に係わる一実施例の要部一部切欠断面図である。
【図4】ねじ締め作業の動作図である。
【図5】制御部のねじ締め制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1および図4、図5に基づき本発明の一実施例を説明する。自動ねじ締め装置10は、締結部品の一例であるねじ61の駆動部と係合可能なビット23を有するドライバツール20と、このドライバツール20を前記ビット23の軸方向に往復動作操作可能な往復移動手段30と、ビット23の位置情報を検出可能な位置検出手段50と、前記ドライバツール20と前記往復移動手段30とを制御可能な制御手段40とから構成される。
【0010】
前記ドライバツール20は、その上部に回転駆動源の一例であるACサーボモータ21(以下、単にモータ21という)と、このモータ21の出力軸の回転角を検出可能なエンコーダ22とを具備しており、前記モータ21の出力軸に磁化されたビット23が接続されている。
【0011】
前記往復移動手段30は、ベース33に垂直に立設されたロッド34a、34bの上部にモータ取付板35が固定される。このモータ取付板35には回転駆動源の一例であるACサーボモータ31(以下、単にモータ31という)と、このモータ31の出力軸の回転角を検出可能なエンコーダ32とが固定されており、前記モータ31の出力軸にはボールねじ36が接続されている。このボールねじ36には、ボールねじ36のリードに沿って往復可動可能なナット部材37が配されており、このナット部材37にブラケット38が固定されている。このブラケット38は、前記ロッド34a、34bのそれぞれに挿通されており、その前方には前記ドライバツール20が固定される。
【0012】
前記位置検出手段50は、ケーブル59によって前記制御手段40と接続されており、前記エンコーダ32の出力信号を前記制御手段40に入力可能に構成される。
【0013】
前記制御手段40は、前記往復移動手段30および前記ドライバツール20の各モータ21,31を制御するモータ制御部41,42と、ねじ各部の寸法データ(ねじのリード、首下長さ等)およびワークの寸法データ(被締結物72の厚み等)等からなるねじ締めパラメータ、各モータの制御データ(ねじ締め工程における出力トルクや速度等)、前記ねじ締めパラメータおよび制御プラグラム等を記憶するとともに、ねじ締め結果データおよびねじ締め作業時に生成される一時データ等の記憶領域を有する記憶部44と、各種情報の入力画面およびねじ締め作業における各種情報を表示可能な表示部45と、前記各種データや前記ねじ締めパラメータ等を入力するための入力部46と、演算処理およびプログラム処理を可能な制御部43とを備えている。
【0014】
また、前記ねじ締めパラメータは、少なくとも以下の項目があらかじめ設定されている。このねじ締めパラメータは、任意設定されたビット23の絶対位置である計測開始位置Aと、任意設定された時間である計測設定時間Bと、後述する計測ビット移動距離と比較する判定基準距離Cと、所謂ねじ61のリードおよび首下長さと、このねじ61の締付面となる被締結物72の厚みと、前記モータ21の設定回転数と、前記ボールねじ36のリードと、ねじ締め工程におけるビット23の移動速度(以下、設定ビット移動速度という)と、前記ビット23の回転を受けて係合したねじ61が前記締結物71にねじ込まれる過程のビット23の下降速度(以下、螺入速度という)等からなる。
【0015】
前記ねじ締めパラメータの内、あらかじめ確定している項目について、各設定数値を用いて以下に説明する。例えば、前記ねじ61のリードを0.7mm、首下長さを10mm、前記被締結物72の厚みを3mm、前記ボールねじ36のリードを12mm、前記モータ21の設定回転数すなわちビット23の出力軸回転数を300rpm、前記設定ビット移動速度を20mm/secとした設定値が手入力によって前記入力部46から前記記憶部44に保存される。
【0016】
前記螺入速度は、上述のあらかじめ確定している項目を保存した直後に前記制御部43において自動計算され、その後前記記憶部44に自動登録される。これは、ねじ61を締結物71に螺入し始めてからねじ61の頭部と前記被締結物72とが着座するまでのビット23の下降速度であるため、上述のねじ61のリード(0.7mm)と上述のビット23の出力軸回転数(300rpm)によって規制された速度となり、上述の前記モータ21の1分間当たりの設定回転数に前記ねじ61のリードを乗じさらに60秒を除して求めることができ、300rpm×0.7mm÷60秒=3.5mm/secと設定される。
【0017】
その後、前記計測開始位置Aの設定を行う。この計測開始位置Aは、図1に示すように、ねじ61の先端と前記締結物71とが当接した時点のビット23の絶対位置であり、前記入力部46を操作されて前記記憶部44に登録される。また、複数箇所のねじ締めを行う場合であれば、この計測開始位置Aは、全てのねじ締め箇所毎に登録されている。
【0018】
前記計測設定時間Bは、前記計測開始位置Aに到達してから減算される時間である。また、上述の計測ビット移動距離は、前記計測設定時間Bの減算が開始されてから全て減算されるまでのビット23の移動距離であり、前記制御部43によって演算され前記記憶部44に保存される。一方、前記判定基準距離Cは、前記計測ビット移動距離と比較する距離であり、この判定基準距離Cと前記計測設定時間Bとはあらかじめ前記入力部46から手入力され、前記記憶部44に保存されている。
【0019】
また、前記制御部43は、ねじ締め工程において前記計測ビット移動距離と前記判定基準距離Cとの比較してねじ有無判定を行う。このねじ有無判定の結果は、前記判定基準距離Cに比べて前記計測ビット移動距離が短ければねじ有りとなる一方、前記計測ビット移動距離が長ければねじ無しとなる。なお、制御部43は、ねじ有りと判定すればねじ締め作業を継続する一方、ねじ無しと判定すれば前記モータ21,31にそれぞれ回転停止を指令し、ねじ締め作業の中断あるいは完了を行う。
【0020】
しかしながら、前記計測設定時間Bが例えば0.5秒に設定され、かつ上記のねじ締めパラメータの条件下においてねじ61の脱落等によりねじ無しの状態でねじ締めが行われると、上述のねじ有無判定は、後述するようにビット23の先端とワークとが当接した後に行われる可能性があり問題となる。この問題について以下に上述の設定条件に基づき詳細に説明する。ビット23の下降速度は、ねじ61の脱落等によりねじ無しの状態のねじ締め時であればビット23の先端とワークとが当接するまで20mm/secを維持する。また、ねじ61の先端が当接してから前記着座までに必要なねじの螺入距離は、被締結物72の厚みが3mm、ねじ61の首下長さが10mmであるため、前記首下長さと前記被締結物72の厚みとの差である距離(10mm−3mm=7mm)と求められる。
つまり、ねじ無しの状態でねじ締めを行うとビット23は、20mm/secの速度で下降するため、前記計測開始点Aに到達してから0.5秒後に10mm下降する。このため、前記螺入速度の7mmを超え、ねじ有無判定が行われる前にワークと当接する可能性がある。
【0021】
したがって、前記計測設定時間Bには上限を設ける必要がある。この計測設定時間Bの上限は、前記計測開始位置Aに到達したビット23がさらに下降してもワークと当接しない位置である前述のねじの螺入距離(7mm)を前記設定ビット移動速度(20mm/sec)で除して求められ、上述のねじ締めパラメータの登録時点において前記制御部43にて演算され、つまり7mm÷20mm/sec=0.35秒となり、この0.35秒が前述の演算直後に前記記憶部44に自動登録される。その後、実際に設定される計測設定時間Bは、前述のように設定上限を規制された状態の下で前記入力部46から手入力され、例えば0.1秒と前記記憶部44に登録される。
【0022】
また、前記判定基準距離Cの設定範囲は、上述の設定ビット移動速度(20mm/sec)および前記螺入速度(3.5mm/sec)と上述の設定された計測設定時間B(0.1秒)とから決定される。具体的に判定基準距離Cの下限設定距離は、ビット23が計測開始位置Aに到達してから計測設定時間Bを全て減算されるまでに前述の螺入速度で移動した距離であり、図4に示すDと一致し、その距離は3.5mm/sec×0.1秒=0.35mmである。一方、判定基準距離Cの上限設定距離は、ビット23が計測開始位置Aに到達してから計測設定時間Bを全て減算されるまでに前述の設定ビット移動速度で移動した距離であり、図4に示すEと一致し、その距離は20mm/sce×0.1秒=2mmである。つまり、判定基準距離Cの設定範囲は、D以上E以下であり、前述の計測設定時間Bの上限を自動登録された直後に算出されるとともに、前記記憶部44に自動登録される。その後、実際に設定される判定基準距離Cは、前述のように設定範囲を規制された状態の下で前記入力部46から手入力され、例えば1mmと前記記憶部44に登録される。なお、前述の判定基準距離Cは、ねじ有無の誤判定を防止するため、D以上E未満とすることが好ましい。
【0023】
一方、前記制御部43は、図5に示すように、
S01:モータ駆動部42からの信号に基づき、ビット23が計測開始位置Aに到達するのを待つ。
S02:計測設定時間Bが全て減算されるのを待つ。
S03:ビット23の移動距離を演算し、記憶する。
S04:S03で求めたビット23の移動距離が判定基準距離Cを超えているか確認し、超えていればS06にジャンプする。
S05:ねじ締め処理を継続する。
S06:モータ21,32を駆動停止する。
S07:ねじ浮きおよびねじ有無等の判定を行う。
S08:エンド
となるねじ締め制御を行う。
【0024】
次に、本発明に係る自動ねじ締め装置10の作用について以下に説明する。前記モータ21は、前記制御手段40の指令を受けてあらかじめ設定された回転数(300rpm)にて前記ねじ61の駆動部と係合したビット23に回転を与える。この回転により前記エンコーダ22から信号が出力され、この信号に基づき制御手段40は、ビット23の回転数を計測するとともに、前述のあらかじめ設定された回転数(300rpm)を維持するように制御する。これにより制御手段40は、前記設定ビット移動速度(20mm/sec)と前記ボールねじ36のリード(12mm)とから算出された回転数で前記モータ31を回転させ、前記ビット23を所定の速度で下降させつつ回転させる。やがて、図1のように前記ねじ61の先端が締結物71に当接するが、このとき制御手段40は、前記位置検出手段50から前記計測開始位置Aに到達した時点のビット23の絶対位置情報を取得して前記記憶部44に記憶するとともに、前記計測設定時間Bが全て減算された時点のビット23の位置情報を取得して前記記憶部44に記憶し、この間の前記計測ビット移動距離を算出および登録する。この計測ビット移動距離は図4に示すねじ有り波形であればDであり、ねじ無し波形であればEとなり、制御手段40は前述の計測ビット移動距離の登録時点において、この計測ビット移動距離と前記判定基準距離Cとを比較して計測ビット移動距離が判定基準距離Cを超えていればねじ無しと判断して即座に前記モータ21,31との回転を停止させて前記表示部45に異常警告する一方、前記計測ビット移動距離が判定移動距離Cを超えていなければ、ねじが有ると判断して引き続きねじ締め作業が継続される。
【0025】
以上説明したように、本発明の自動ねじ締め装置10は、ねじ締め中にねじの有無の判定が行えるため、ねじが無いと判断すればビット23の先端をワークに当接させるまでにビット23の動作を停止でき、ビット23およびワークの損傷を防止できる利点がある。また、所謂ねじ61の首下長さよりも短いねじを誤って供給してねじ締めを行ったとしても、前記計測ビット移動距離が正常な首下長さの締付時に比べて長くなるため、前述のねじの有無の判定によって異常の検出が行え、今まで締付け後に探し出すことが困難であった首下長さの短いねじの締結を未然に防止できる優れた効果を有する。
【0026】
なお、本実施例においては、往復移動手段30の駆動源をACサーボモータとし、位置検出手段50をエンコーダ32の出力信号に基づき検出可能に構成したが、図2に示すように往復移動手段30の駆動源をエンコーダ等の位置取得機能を備えないモータ(図示せず)あるいは直線往復駆動源の一例であるエアシリンダ91とし、ビット23の位置検出可能な位置検出手段50をベース面に立設したセンサ取付板53と、このセンサ取付板53に固定した複数のセンサ51と、前記ブラケット38の前方側面に取付けたドグ52とから構成してもよい。さらに、図3に示すようにドライバツール20を、磁化されていないビット23の外周に配置した吸着パイプ24と、この吸着パイプ24の上端に配置したスプリング27と、このスプリング27と前記吸着パイプ24の上部とを内包するケーシング25と、前記吸着パイプ24の内部に連通する空気孔を備えたパイプ26とから構成し、位置検出手段50を前記吸着パイプ24に固定したレバー54と、前記ケーシング25に固定したセンサブラケット55と、このセンサブラケット55固定したセンサ57と、このセンサ57の内部に配置したスプリング58と、このスプリング58により下方へ付勢された検出ロッド56と、この検出ロッド56の先端に当接可能なレバー54と、前記検出ロッド56の伸縮量を前記制御手段40に伝達可能なケーブル59とから構成することが好ましい。
【0027】
上述の図3を用いた自動ねじ締め装置は、ビット23に係合したねじ61の先端が被締結物72と当接した時点の前記検出ロッド56の伸縮量すなわちビット23と吸着パイプ24との相対差の位置情報を前記計測開始位置Aとして設定できるため、個々のワークにおいて締付面高さの大幅な違いまたは多少のバラツキにも影響を受けることなく、ねじ有無の誤判定を低減できる利点がある。
【符号の説明】
【0028】
10 自動ねじ締め装置
20 ドライバツール
21 ACサーボモータ
22 エンコーダ
23 ビット
24 吸着パイプ
25 ケーシング
26 パイプ
27 スプリング
30 往復移動手段
31 ACサーボモータ
32 エンコーダ
33 ベース
34a ロッド
34b ロッド
35 モータ取付板
36 ボールねじ
37 ナット部材
38 ブラケット
40 制御手段
50 位置検出手段
51 センサ
52 ドグ
53 センサ取付板
54 レバー
55 センサーブラケット
56 検出ロッド
57 センサー
58 スプリング
59 ケーブル
61 ねじ
71 締結物
72 被締結物
91 エアシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部品の駆動部に係合可能なビットを有するドライバツールと、このドライバツールを前記ビットの軸方向に往復移動操作可能に支持した往復移動手段と、ビットの位置情報を検出可能な位置検出手段とを有する自動ねじ締め装置において、任意設定されたビットの位置である計測開始位置と任意設定された時間である計測設定時間とをあらかじめ設定し、前記計測開始位置から前記計測設定時間を全て減算されるまでのビットの移動距離を計測し、この測定したビットの移動距離と予め設定された判定基準距離とを比較して作業中に締結部品が存在しているか否かの判定とを行う制御手段を備えたことを特徴とする自動ねじ締め装置。
【請求項2】
位置検出手段は、複数のセンサによってビットの位置を検出可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動ねじ締め装置。
【請求項3】
ドライバツールはビットに相対移動可能な吸着パイプを備える一方、位置検出手段は前記吸着パイプとビットとの相対差を検出可能に構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動ねじ締め装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−223841(P2012−223841A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91482(P2011−91482)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)