自動ワインダーのボビン処理部
【課題】ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因する稼動効率の低下を防止することができる自動ワインダーのボビン処理部を提供することを目的とする。
【解決手段】ボビン180のトレー182の搬送経路に沿って配置され、トレー182を搬送する第一のコンベアベルトである丸ベルト115と、前記搬送経路の一部で前記丸ベルト115に並設され、丸ベルト115とともにトレー182を搬送する第二のコンベアベルトと、を備える自動ワインダー101のボビン処理部103において、前記第二のコンベアベルトが平ベルト121(角ベルト141)とされているものである。
【解決手段】ボビン180のトレー182の搬送経路に沿って配置され、トレー182を搬送する第一のコンベアベルトである丸ベルト115と、前記搬送経路の一部で前記丸ベルト115に並設され、丸ベルト115とともにトレー182を搬送する第二のコンベアベルトと、を備える自動ワインダー101のボビン処理部103において、前記第二のコンベアベルトが平ベルト121(角ベルト141)とされているものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ワインダーのボビン処理部の技術に関し、より詳細には、ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置され、トレーを搬送する第一のコンベアベルトと、前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設され、前記第一のコンベアベルトとともにトレーを搬送するベルト横断面形状が四角形の第二のコンベアベルトと、を備える自動ワインダーのボビン処理部の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置される第一のコンベアベルトと、前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設される第二のコンベアベルトと、前記トレーにボビンを落下させて装着させるボビン供給装置と、を備える自動ワインダーのボビン処理部の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に開示されている自動ワインダーのボビン処理部は、ボビンを搬送する手段として丸ベルトを適用した構成である。
【0003】
詳しくは、図10に示すように、ボビン処理部203は、駆動プーリー217、プーリー237、プーリー216a・216b・・・、プーリー218に巻回され、トレー282を搬送するコンベアベルト(丸ベルト)215と、この丸ベルト215により搬送されるトレー282の姿勢をある程度安定させるガイド部材220(図8参照)等と、により構成される丸ベルト搬送ライン219を備えている。丸ベルト搬送ライン219は、ボビンを載せたトレー282を搬送する手段であり、丸ベルト搬送ライン219に沿って、ボビン処理ライン205、トレー供給ライン211、循環搬送ライン212が形成され(図9参照)、ボビン処理ライン205上にボビン抜取装置207、ボビン供給装置209が配設され、トレー供給ライン211上に口出し装置210が配設されている。また、ガイド部材220は、図8に示すように、トレー282の両端を受ける部材であり、丸ベルト215に沿って溝が形成されたプレートで構成されている。
【0004】
また、前記丸ベルト215の内側には、プーリー236及びプーリー237に巻回されている丸ベルト221が並設されており(図11参照)、丸ベルト215及び丸ベルト221の2本のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置209からボビン280が落下されてトレー282(ピン282a)に装着される。これにより、トレー282が丸ベルト215及び丸ベルト221の2本のコンベアベルトにより支持されているため、トレー282の姿勢が安定し、ボビン280の装着ミスを防ぐことができる。
【特許文献1】特開2003−321162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記丸ベルト221が巻回されているプーリー236及びプーリー237には、両端部にフランジが形成されて、丸ベルト221が係合される溝が形成されているため、ボビン280からたれた糸や、糸くずが絡まり易く、糸の絡みに起因するボビン処理部203の稼動効率の低下が発生していた。
【0006】
そして、プーリー216b、駆動プーリー217、プーリー216aに丸ベルト215が巻回されて、U字状に形成される搬送ラインのカーブ内側に位置するプーリー237においては、トレー282がこの搬送ラインのカーブ上を搬送される際に、トレー282に装着されているボビン280からたれた糸は、トレー282の移動の軌跡に完全に追従せずに、カーブをショートカットしてプーリー237上を通過する。このため、ボビン280からたれた糸が特にプーリー237に絡まり易かった。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑み、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因する稼動効率の低下を防止することができる自動ワインダーのボビン処理部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、
ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置され、トレーを搬送する第一のコンベアベルトと、
前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設され、第一のコンベアベルトとともにトレーを搬送する第二のコンベアベルトと、
を備える自動ワインダーのボビン処理部において、
前記第二のコンベアベルトは、ベルト横断面形状が四角形のベルトとされているものである。
【0010】
請求項2においては、
前記四角形のベルトは、平ベルトとされているものである。
【0011】
請求項3においては、
前記四角形のベルトは、角ベルトとされているものである。
【0012】
請求項4においては、
前記第一及び第二のコンベアベルトは、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御されるものである。
【0013】
請求項5においては、
前記第一及び第二のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置からボビンが落下されてトレーに装着されるものである。
【0014】
請求項6においては、
前記四角形のベルトの近くに、風綿除去手段が備えられているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、
ベルト横断面形状が四角形のベルトが巻回されるプーリーは、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
また、プーリーの幅は、ベルトの幅と略一致する若干広い程度であり、ベルトの両端からは、プーリーが殆ど突出しないため、プーリーの端部に糸が絡まり難い。
【0017】
請求項2においては、
平ベルトが巻回されるプーリーは、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
また、平ベルトが巻回されるプーリーの幅は、平ベルトの幅と略一致する若干広い程度であり、平ベルトの両端からは、プーリーが殆ど突出しないため、プーリーの端部に糸が絡まり難い。
【0018】
請求項3においては、
角ベルトが巻回されるプーリーは、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
また、角ベルトが巻回されるプーリーの幅は、角ベルトの幅と略一致する若干広い程度であり、角ベルトの両端からは、プーリーが殆ど突出しないため、プーリーの端部に糸が絡まり難い。
さらに、角ベルトは、ベルト厚が厚いため、ベルト切れによるトラブルが少ない。
【0019】
請求項4においては、
一方のコンベアベルトと他方のコンベアベルトとに、速度差を設けることにより、ボビンの糸の巻き方向に応じて、トレーを平面視時計回り、または反時計回りに回転させることができる。また、ボビンの糸が解け難いようにボビンを回転させることができる。
【0020】
請求項5においては、
トレーが2本のコンベアベルトにより支持されているため、トレーの姿勢が安定し、ボビンの装着ミスを防ぐことができる。
【0021】
請求項6においては、
ブラシや吸引装置等の風綿除去手段により、ボビンからたれた糸や、糸くずが除去されるため、プーリーに糸が絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は自動ワインダー及びボビン処理部を示す平面図、図2はボビン処理部を示す平面図、図3は自動ワインダーの巻取ユニットを示す斜視図、図4はボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図、図5は平ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図、図6は角ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図、図7は(a)平ベルト(角ベルト)とプーリーとの関係を概略的に示した平面図(b)同じく側面図、図8は丸ベルトとガイド部材とにより支持されるトレーを示す図、図9は従来のボビン処理部を示す平面図、図10は従来のボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図、図11は図10におけるA―A’断面図、である。
【0023】
先ず、自動ワインダー101及びボビン処理部103の全体構成について説明する。図1に示すように、自動ワインダー101は、巻取ユニット102a、102b、102c・・・(図3参照)を備えて構成される。図1及び図2に示すように、自動ワインダー101の機台端部には、ボビン自動供給装置であるボビン処理部103が配設されている。
【0024】
図1に示す各巻取ユニット102a、102b、102c・・・では、ボビン180が巻取操作されて空ボビン181となって排出される。なお、各巻取ユニット102a、102b、102c・・・におけるボビン180の巻取操作については詳しくは後述する。空ボビン181は、トレー182に装着された状態で、空ボビン排出コンベア104により、ボビン処理部103に搬送される。空ボビン排出コンベア104により搬送された空ボビン181は、ボビンを載せたトレー182を搬送する丸ベルト搬送ライン119に移載される。
【0025】
そして、図2に示すように、ボビンを載せたトレー182を搬送する丸ベルト搬送ライン119は、ボビン処理ライン105、トレー供給ライン111、循環搬送ライン112から形成されている。ボビン処理ライン105及びトレー供給ライン111の所定位置には、各糸処理装置が配設されている。各糸処理装置は、ボビン処理ライン105上にボビン抜取装置107、ボビン供給装置109が配設され、トレー供給ライン111上に口出し装置110が配設され、さらに、ボビン処理ライン105上には、トレー残糸検出装置(不図示)が配設されている。
【0026】
トレー残糸検出装置は、ボビン処理ライン105に搬送されたボビンが、空ボビン181か、残糸を有する半玉ボビン183か、極少残糸付ボビン184かを検出する。この検出されたボビンが、空ボビン181または極少残糸付ボビン184である場合、これらのボビン181、183は、ボビン抜取装置107により抜き取られ、それぞれの収容箱に収容される。そして、ボビン181、184が抜き取られた空のトレー182は、ボビン供給装置109へと搬送される。一方、トレー残糸検出装置により検出されたボビンが、半玉ボビン183である場合、ボビン183は、ボビン抜取装置107により抜き取られずに、再び自動ワインダー101の各巻取ユニット102a、102b、102c・・・に供給される。
【0027】
ボビン供給装置109は、直進振動フィーダ(不図示)を備え、この直進振動フィーダにボビン180が投入されて、直進振動フィーダの出口から連続的にボビン180が送出される。この送出されたボビン180が振動式パーツフィーダーに供給されて個別化され、個々に分離されて落下されてトレー182に装着される。
【0028】
ここで、トレー182には、ピン182aが立設されており(図5参照)、このピン182aが円筒状部材であるボビン本体に挿入されることで、ボビンがトレー182に装着される構成である。即ち、ピン182aにボビン本体が嵌るように、トレー182の直上方からボビン180が落下される。なお、詳しくは後述するが、ボビン180がトレー182に適切に装着されるように、ボビン供給装置109を通過するトレー182の姿勢が安定するように構成されている。具体的には、前記丸ベルト115の内側には、平ベルト121が並設されており、丸ベルト115及び平ベルト121の2本のコンベアベルト上にトレー182が支持されて搬送されている。これにより、トレー182の姿勢が安定した状態で、ボビン供給装置109からボビン180が落下されてトレー182に装着される。
【0029】
口出し装置110は、ボビン180の底部に巻かれたボトムバンチの切断、ボビン180の糸層外周に巻かれたバックワインド糸の切断、及び自動ワインダー101の各巻取ユニット102a、102b、102c・・・において自動糸継ぎができるように、ボビン180の糸端をボビン180の所定の位置に位置決めする口出し処理を行う。
【0030】
前記口出し処理に失敗したボビン180は、循環搬送ライン112に搬送され、再び口出し処理が行われる。口出し処理に成功したボビン180は、トレー供給ライン111に搬送され、自動ワインダー101の各巻取ユニット102a、102b、102c・・・に搬送される。
【0031】
次に、各巻取ユニット102a、102b、102c・・・におけるボビン180の巻取操作について、巻取ユニット102aを例として詳しく説明する。
【0032】
図3に示すように、トレー供給ライン111を搬送されたボビン180は、トレー182が巻取ユニット102aのガイド板122、123、124に案内され、回転円盤125に乗り移り、ボビン取り込み口126からボビン待機路127に導入されて、巻取位置128に至る。
【0033】
巻取位置128に載置されたボビン180に向けて、ノズル129から圧空が噴射され、前記口出し装置110により引き出されている糸端をボビン上方に吹き上げる。巻取ユニット102aは、吹き上げられた糸端を中継ぎパイプ130が吸引保持し、上方へ旋回し、糸継装置(不図示)によりパッケージ側糸端と糸継ぎし、ボビン180の糸を綾振りドラム131によりトラバースしながらパッケージ132に巻き取る構成である。
【0034】
ボビン待機路127に満杯のボビンが貯留されると、余剰ボビンはボビン待機路127には取り込まれずに、送り出し口133からトレー供給ライン111上を次の巻取ユニットへ搬送される。巻取位置128にて巻き返しが終了したボビンはレバー134によりボビン排出路135へ排出され、空ボビン排出コンベア104へ送り出される。
【0035】
次に、ボビン処理部103について説明する。図4に示すように、ボビン処理部103は、ボビンを搬送する手段として周知の丸ベルトを適用した構成である。詳しくは、ボビン処理部103は、前記丸ベルト搬送ライン119を備えている。丸ベルト搬送ライン119は、トレー182を搬送する第一のコンベアベルトである丸ベルト115と、この丸ベルト115により搬送されるトレー182の姿勢を安定させるガイド部材120(図8参照)等と、により構成される。丸ベルト115は、駆動プーリー117、プーリー116a・116b・・・、プーリー118に巻回されている。
【0036】
ガイド部材120は、図8に示すように、トレー182の両端を受ける部材であり、丸ベルト115が配設される溝(凹部)が形成されたプレートで構成されている。そして、プーリー118には、溝が上下2段に形成されており、これらの溝に丸ベルト115が上下2段に巻回されている。駆動プーリー117は、モーター(不図示)の出力軸に固設されている。また、ボビン処理部103には、空ボビン排出コンベア104の駆動機構として、空ボビン排出コンベア104が巻回される駆動プーリー114が設けられており、この駆動プーリー114により、空ボビン排出コンベア104が駆動される。
【0037】
このような構成により、丸ベルト115は、前記モーターにより駆動される駆動プーリー117により、図4中の黒塗り矢印の方向に駆動されて、ボビンを載せたトレー182を搬送する。
【0038】
また、図4に示すように、前記丸ベルト搬送ライン119は、丸ベルト115とともにトレー182を搬送する第二のコンベアベルトである平ベルト121が丸ベルト115に並設された区間Lを有しており、区間Lにおいて、丸ベルト115の内側に、平ベルト121が配設されている。即ち、この区間Lにおいてトレー182は、一対のベルト115、121により支持され、搬送される(図5参照)。
【0039】
詳しくは、図7に示すように、区間Lの両端には、駆動プーリー136及び従動プーリー137が配設されている。平ベルト121は、この駆動プーリー136及び従動プーリー137に上下方向に巻回されて、丸ベルト115と平行に所定間隔隔てられて配設されている。また、第二のコンベアベルトが角ベルト141とされる場合(図6参照)、角ベルト141は、駆動プーリー136及び従動プーリー137に巻回される。
【0040】
駆動プーリー136及び従動プーリー137は、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルト115が巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていない。また、駆動プーリー136及び従動プーリー137は、それぞれ水平方向に突設されている軸に固設されている。
【0041】
駆動プーリー136は、区間Lの一端であって、前記プーリー116bに近接する側の端部に配設されており、従動プーリー137は、区間Lの他端であって、駆動プーリー117に近接する側の端部に配設されている。また、駆動プーリー136は、モーター138から水平方向に突設されている出力軸138aに固設されている。即ち、駆動プーリー136は、前記駆動プーリー117を駆動するモーターとは異なるモーター138により駆動される。
【0042】
このように、平ベルト121(角ベルト141)が巻回される駆動プーリー136及び従動プーリー137は、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビン180からたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部103の稼動効率の低下を防止することができる。そして、図7に示すように、平ベルト121(角ベルト141)が巻回される駆動プーリー136及び従動プーリー137の幅(図7中のW2)は、平ベルト121(角ベルト141)の幅(図7中のW1)と略一致する若干広い程度であり、平ベルト121(角ベルト141)の両端からは、駆動プーリー136及び従動プーリー137が殆ど突出しないため、駆動プーリー136及び従動プーリー137の端部に糸が絡まり難い。また、角ベルト141は、ベルト厚が厚いため(図6参照)、ベルト切れによるトラブルが少ない。
【0043】
特に、プーリー116b、駆動プーリー117、プーリー116aに丸ベルト115が巻回されて、U字状に形成される搬送ラインのカーブ内側に位置する従動プーリー137においては、トレー182がこの搬送ラインのカーブ上を搬送される際に、トレー182に装着されているボビン180からたれた糸が、トレー182の移動の軌跡に完全に追従せずに、カーブをショートカットして従動プーリー137上を通過するが、前述のように、従動プーリー137は、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビン180からたれた糸や、糸くずが絡まり難い。
【0044】
ここで、図4に示すように、前記ボビン供給装置109は、丸ベルト115に平ベルト121(角ベルト141)が並設された区間L内に配設されている。即ち、前記ボビン供給装置109からボビン180が落下されてトレー182に装着される位置は、前記区間L内に配設されており、丸ベルト115及び平ベルト121(角ベルト141)の2本のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置109からボビン180が落下されてトレー182に装着される。
【0045】
また、平ベルト121(角ベルト141)と丸ベルト115との配置間隔(前記所定間隔)は、図5または図6に示すように、トレー182の直径よりも丸ベルト115と平ベルト121(角ベルト141)との間隔が小さい、換言すると、丸ベルト115と平ベルト121(角ベルト141)とによりトレー182を支持できるように構成されている。
【0046】
このような構成により、トレー182が丸ベルト115及び平ベルト121(角ベルト141)の2本のコンベアベルトにより支持されているため、トレー182の姿勢が安定し、ボビン180の装着ミスを防ぐことができる。
【0047】
また、前述のように、平ベルト121(角ベルト141)の駆動プーリー136は、前記丸ベルト115の駆動プーリー117を駆動するモーターとは異なるモーター138の出力軸に固設されている。即ち、平ベルト121(角ベルト141)の駆動プーリー136及び丸ベルト115の駆動プーリー117は、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御される。換言すると、平ベルト121(角ベルト141)及び丸ベルト115は、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御される。
【0048】
このような構成により、丸ベルト115と平ベルト121(角ベルト141)とに、速度差を設けることにより、ボビン180の糸の巻き方向に応じて、トレー182を平面視時計回り、または反時計回りに回転させることができる。また、ボビン180の糸が解け難いようにボビン180を回転させることができる。さらに、ボビン供給装置109からのボビン180投下待ちの際には、モーター138の駆動を停止させることにより、平ベルト121(角ベルト141)を停止させて省エネ化を図ることができる。なお、投下待ちの際には所望により、モーター138及び駆動プーリー117を停止させることにより、省エネ化を図ることもできる。
【0049】
また、平ベルト121(角ベルト141)の近くには、風綿除去手段であるブラシ139、吸引装置140が配設されている(図4参照)。詳しくは、ブラシ139は、平ベルト121(角ベルト141)の一側であって、駆動プーリー136側に配設されている。吸引装置140は、平ベルト121(角ベルト141)の他側であって、従動プーリー137側(図7参照)に配設されており、図7(b)中の黒塗り矢印の方向に吸引される。なお、吸引装置140の吸引源は図示しない。
【0050】
このような、ブラシ139や吸引装置140等の風綿除去手段を備える構成により、ボビン180からたれた糸や、糸くずが除去されるため、駆動プーリー136及び従動プーリー137に糸が絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部103の稼動効率の低下を防止することができる。
【0051】
また、ボビン処理ライン105上に配設されるボビンストリッパにより、極少残糸付ボビン184の極少残糸を除去して空ボビン181とし、空ボビン181がボビン抜取装置107により抜き取られる構成も可能である。
【0052】
また、糸処理装置は、ボビン抜取装置107、ボビン供給装置109、口出し装置110を備えるものであるが、その他の糸処理装置を備える構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】自動ワインダー及びボビン処理部を示す平面図。
【図2】ボビン処理部を示す平面図。
【図3】自動ワインダーの巻取ユニットを示す斜視図。
【図4】ボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図。
【図5】平ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図。
【図6】角ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図。
【図7】(a)平ベルト(角ベルト)とプーリーとの関係を概略的に示した平面図(b)同じく側面図。
【図8】丸ベルトとガイド部材とにより支持されるトレーを示す図。
【図9】従来のボビン処理部を示す平面図。
【図10】従来のボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図。
【図11】図10におけるA―A’断面図。
【符号の説明】
【0054】
101 自動ワインダー
103 ボビン処理部
109 ボビン供給装置
115 丸ベルト
116a・116b・・・ プーリー
117 駆動プーリー
118 プーリー
121 平ベルト
139 ブラシ
140 吸引装置
141 角ベルト
180 ボビン
182 トレー
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ワインダーのボビン処理部の技術に関し、より詳細には、ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置され、トレーを搬送する第一のコンベアベルトと、前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設され、前記第一のコンベアベルトとともにトレーを搬送するベルト横断面形状が四角形の第二のコンベアベルトと、を備える自動ワインダーのボビン処理部の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置される第一のコンベアベルトと、前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設される第二のコンベアベルトと、前記トレーにボビンを落下させて装着させるボビン供給装置と、を備える自動ワインダーのボビン処理部の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に開示されている自動ワインダーのボビン処理部は、ボビンを搬送する手段として丸ベルトを適用した構成である。
【0003】
詳しくは、図10に示すように、ボビン処理部203は、駆動プーリー217、プーリー237、プーリー216a・216b・・・、プーリー218に巻回され、トレー282を搬送するコンベアベルト(丸ベルト)215と、この丸ベルト215により搬送されるトレー282の姿勢をある程度安定させるガイド部材220(図8参照)等と、により構成される丸ベルト搬送ライン219を備えている。丸ベルト搬送ライン219は、ボビンを載せたトレー282を搬送する手段であり、丸ベルト搬送ライン219に沿って、ボビン処理ライン205、トレー供給ライン211、循環搬送ライン212が形成され(図9参照)、ボビン処理ライン205上にボビン抜取装置207、ボビン供給装置209が配設され、トレー供給ライン211上に口出し装置210が配設されている。また、ガイド部材220は、図8に示すように、トレー282の両端を受ける部材であり、丸ベルト215に沿って溝が形成されたプレートで構成されている。
【0004】
また、前記丸ベルト215の内側には、プーリー236及びプーリー237に巻回されている丸ベルト221が並設されており(図11参照)、丸ベルト215及び丸ベルト221の2本のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置209からボビン280が落下されてトレー282(ピン282a)に装着される。これにより、トレー282が丸ベルト215及び丸ベルト221の2本のコンベアベルトにより支持されているため、トレー282の姿勢が安定し、ボビン280の装着ミスを防ぐことができる。
【特許文献1】特開2003−321162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記丸ベルト221が巻回されているプーリー236及びプーリー237には、両端部にフランジが形成されて、丸ベルト221が係合される溝が形成されているため、ボビン280からたれた糸や、糸くずが絡まり易く、糸の絡みに起因するボビン処理部203の稼動効率の低下が発生していた。
【0006】
そして、プーリー216b、駆動プーリー217、プーリー216aに丸ベルト215が巻回されて、U字状に形成される搬送ラインのカーブ内側に位置するプーリー237においては、トレー282がこの搬送ラインのカーブ上を搬送される際に、トレー282に装着されているボビン280からたれた糸は、トレー282の移動の軌跡に完全に追従せずに、カーブをショートカットしてプーリー237上を通過する。このため、ボビン280からたれた糸が特にプーリー237に絡まり易かった。
【0007】
本発明は以上の状況に鑑み、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因する稼動効率の低下を防止することができる自動ワインダーのボビン処理部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、
ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置され、トレーを搬送する第一のコンベアベルトと、
前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設され、第一のコンベアベルトとともにトレーを搬送する第二のコンベアベルトと、
を備える自動ワインダーのボビン処理部において、
前記第二のコンベアベルトは、ベルト横断面形状が四角形のベルトとされているものである。
【0010】
請求項2においては、
前記四角形のベルトは、平ベルトとされているものである。
【0011】
請求項3においては、
前記四角形のベルトは、角ベルトとされているものである。
【0012】
請求項4においては、
前記第一及び第二のコンベアベルトは、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御されるものである。
【0013】
請求項5においては、
前記第一及び第二のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置からボビンが落下されてトレーに装着されるものである。
【0014】
請求項6においては、
前記四角形のベルトの近くに、風綿除去手段が備えられているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、
ベルト横断面形状が四角形のベルトが巻回されるプーリーは、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
また、プーリーの幅は、ベルトの幅と略一致する若干広い程度であり、ベルトの両端からは、プーリーが殆ど突出しないため、プーリーの端部に糸が絡まり難い。
【0017】
請求項2においては、
平ベルトが巻回されるプーリーは、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
また、平ベルトが巻回されるプーリーの幅は、平ベルトの幅と略一致する若干広い程度であり、平ベルトの両端からは、プーリーが殆ど突出しないため、プーリーの端部に糸が絡まり難い。
【0018】
請求項3においては、
角ベルトが巻回されるプーリーは、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビンからたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
また、角ベルトが巻回されるプーリーの幅は、角ベルトの幅と略一致する若干広い程度であり、角ベルトの両端からは、プーリーが殆ど突出しないため、プーリーの端部に糸が絡まり難い。
さらに、角ベルトは、ベルト厚が厚いため、ベルト切れによるトラブルが少ない。
【0019】
請求項4においては、
一方のコンベアベルトと他方のコンベアベルトとに、速度差を設けることにより、ボビンの糸の巻き方向に応じて、トレーを平面視時計回り、または反時計回りに回転させることができる。また、ボビンの糸が解け難いようにボビンを回転させることができる。
【0020】
請求項5においては、
トレーが2本のコンベアベルトにより支持されているため、トレーの姿勢が安定し、ボビンの装着ミスを防ぐことができる。
【0021】
請求項6においては、
ブラシや吸引装置等の風綿除去手段により、ボビンからたれた糸や、糸くずが除去されるため、プーリーに糸が絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部の稼動効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。図1は自動ワインダー及びボビン処理部を示す平面図、図2はボビン処理部を示す平面図、図3は自動ワインダーの巻取ユニットを示す斜視図、図4はボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図、図5は平ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図、図6は角ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図、図7は(a)平ベルト(角ベルト)とプーリーとの関係を概略的に示した平面図(b)同じく側面図、図8は丸ベルトとガイド部材とにより支持されるトレーを示す図、図9は従来のボビン処理部を示す平面図、図10は従来のボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図、図11は図10におけるA―A’断面図、である。
【0023】
先ず、自動ワインダー101及びボビン処理部103の全体構成について説明する。図1に示すように、自動ワインダー101は、巻取ユニット102a、102b、102c・・・(図3参照)を備えて構成される。図1及び図2に示すように、自動ワインダー101の機台端部には、ボビン自動供給装置であるボビン処理部103が配設されている。
【0024】
図1に示す各巻取ユニット102a、102b、102c・・・では、ボビン180が巻取操作されて空ボビン181となって排出される。なお、各巻取ユニット102a、102b、102c・・・におけるボビン180の巻取操作については詳しくは後述する。空ボビン181は、トレー182に装着された状態で、空ボビン排出コンベア104により、ボビン処理部103に搬送される。空ボビン排出コンベア104により搬送された空ボビン181は、ボビンを載せたトレー182を搬送する丸ベルト搬送ライン119に移載される。
【0025】
そして、図2に示すように、ボビンを載せたトレー182を搬送する丸ベルト搬送ライン119は、ボビン処理ライン105、トレー供給ライン111、循環搬送ライン112から形成されている。ボビン処理ライン105及びトレー供給ライン111の所定位置には、各糸処理装置が配設されている。各糸処理装置は、ボビン処理ライン105上にボビン抜取装置107、ボビン供給装置109が配設され、トレー供給ライン111上に口出し装置110が配設され、さらに、ボビン処理ライン105上には、トレー残糸検出装置(不図示)が配設されている。
【0026】
トレー残糸検出装置は、ボビン処理ライン105に搬送されたボビンが、空ボビン181か、残糸を有する半玉ボビン183か、極少残糸付ボビン184かを検出する。この検出されたボビンが、空ボビン181または極少残糸付ボビン184である場合、これらのボビン181、183は、ボビン抜取装置107により抜き取られ、それぞれの収容箱に収容される。そして、ボビン181、184が抜き取られた空のトレー182は、ボビン供給装置109へと搬送される。一方、トレー残糸検出装置により検出されたボビンが、半玉ボビン183である場合、ボビン183は、ボビン抜取装置107により抜き取られずに、再び自動ワインダー101の各巻取ユニット102a、102b、102c・・・に供給される。
【0027】
ボビン供給装置109は、直進振動フィーダ(不図示)を備え、この直進振動フィーダにボビン180が投入されて、直進振動フィーダの出口から連続的にボビン180が送出される。この送出されたボビン180が振動式パーツフィーダーに供給されて個別化され、個々に分離されて落下されてトレー182に装着される。
【0028】
ここで、トレー182には、ピン182aが立設されており(図5参照)、このピン182aが円筒状部材であるボビン本体に挿入されることで、ボビンがトレー182に装着される構成である。即ち、ピン182aにボビン本体が嵌るように、トレー182の直上方からボビン180が落下される。なお、詳しくは後述するが、ボビン180がトレー182に適切に装着されるように、ボビン供給装置109を通過するトレー182の姿勢が安定するように構成されている。具体的には、前記丸ベルト115の内側には、平ベルト121が並設されており、丸ベルト115及び平ベルト121の2本のコンベアベルト上にトレー182が支持されて搬送されている。これにより、トレー182の姿勢が安定した状態で、ボビン供給装置109からボビン180が落下されてトレー182に装着される。
【0029】
口出し装置110は、ボビン180の底部に巻かれたボトムバンチの切断、ボビン180の糸層外周に巻かれたバックワインド糸の切断、及び自動ワインダー101の各巻取ユニット102a、102b、102c・・・において自動糸継ぎができるように、ボビン180の糸端をボビン180の所定の位置に位置決めする口出し処理を行う。
【0030】
前記口出し処理に失敗したボビン180は、循環搬送ライン112に搬送され、再び口出し処理が行われる。口出し処理に成功したボビン180は、トレー供給ライン111に搬送され、自動ワインダー101の各巻取ユニット102a、102b、102c・・・に搬送される。
【0031】
次に、各巻取ユニット102a、102b、102c・・・におけるボビン180の巻取操作について、巻取ユニット102aを例として詳しく説明する。
【0032】
図3に示すように、トレー供給ライン111を搬送されたボビン180は、トレー182が巻取ユニット102aのガイド板122、123、124に案内され、回転円盤125に乗り移り、ボビン取り込み口126からボビン待機路127に導入されて、巻取位置128に至る。
【0033】
巻取位置128に載置されたボビン180に向けて、ノズル129から圧空が噴射され、前記口出し装置110により引き出されている糸端をボビン上方に吹き上げる。巻取ユニット102aは、吹き上げられた糸端を中継ぎパイプ130が吸引保持し、上方へ旋回し、糸継装置(不図示)によりパッケージ側糸端と糸継ぎし、ボビン180の糸を綾振りドラム131によりトラバースしながらパッケージ132に巻き取る構成である。
【0034】
ボビン待機路127に満杯のボビンが貯留されると、余剰ボビンはボビン待機路127には取り込まれずに、送り出し口133からトレー供給ライン111上を次の巻取ユニットへ搬送される。巻取位置128にて巻き返しが終了したボビンはレバー134によりボビン排出路135へ排出され、空ボビン排出コンベア104へ送り出される。
【0035】
次に、ボビン処理部103について説明する。図4に示すように、ボビン処理部103は、ボビンを搬送する手段として周知の丸ベルトを適用した構成である。詳しくは、ボビン処理部103は、前記丸ベルト搬送ライン119を備えている。丸ベルト搬送ライン119は、トレー182を搬送する第一のコンベアベルトである丸ベルト115と、この丸ベルト115により搬送されるトレー182の姿勢を安定させるガイド部材120(図8参照)等と、により構成される。丸ベルト115は、駆動プーリー117、プーリー116a・116b・・・、プーリー118に巻回されている。
【0036】
ガイド部材120は、図8に示すように、トレー182の両端を受ける部材であり、丸ベルト115が配設される溝(凹部)が形成されたプレートで構成されている。そして、プーリー118には、溝が上下2段に形成されており、これらの溝に丸ベルト115が上下2段に巻回されている。駆動プーリー117は、モーター(不図示)の出力軸に固設されている。また、ボビン処理部103には、空ボビン排出コンベア104の駆動機構として、空ボビン排出コンベア104が巻回される駆動プーリー114が設けられており、この駆動プーリー114により、空ボビン排出コンベア104が駆動される。
【0037】
このような構成により、丸ベルト115は、前記モーターにより駆動される駆動プーリー117により、図4中の黒塗り矢印の方向に駆動されて、ボビンを載せたトレー182を搬送する。
【0038】
また、図4に示すように、前記丸ベルト搬送ライン119は、丸ベルト115とともにトレー182を搬送する第二のコンベアベルトである平ベルト121が丸ベルト115に並設された区間Lを有しており、区間Lにおいて、丸ベルト115の内側に、平ベルト121が配設されている。即ち、この区間Lにおいてトレー182は、一対のベルト115、121により支持され、搬送される(図5参照)。
【0039】
詳しくは、図7に示すように、区間Lの両端には、駆動プーリー136及び従動プーリー137が配設されている。平ベルト121は、この駆動プーリー136及び従動プーリー137に上下方向に巻回されて、丸ベルト115と平行に所定間隔隔てられて配設されている。また、第二のコンベアベルトが角ベルト141とされる場合(図6参照)、角ベルト141は、駆動プーリー136及び従動プーリー137に巻回される。
【0040】
駆動プーリー136及び従動プーリー137は、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルト115が巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていない。また、駆動プーリー136及び従動プーリー137は、それぞれ水平方向に突設されている軸に固設されている。
【0041】
駆動プーリー136は、区間Lの一端であって、前記プーリー116bに近接する側の端部に配設されており、従動プーリー137は、区間Lの他端であって、駆動プーリー117に近接する側の端部に配設されている。また、駆動プーリー136は、モーター138から水平方向に突設されている出力軸138aに固設されている。即ち、駆動プーリー136は、前記駆動プーリー117を駆動するモーターとは異なるモーター138により駆動される。
【0042】
このように、平ベルト121(角ベルト141)が巻回される駆動プーリー136及び従動プーリー137は、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビン180からたれた糸や、糸くずが絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部103の稼動効率の低下を防止することができる。そして、図7に示すように、平ベルト121(角ベルト141)が巻回される駆動プーリー136及び従動プーリー137の幅(図7中のW2)は、平ベルト121(角ベルト141)の幅(図7中のW1)と略一致する若干広い程度であり、平ベルト121(角ベルト141)の両端からは、駆動プーリー136及び従動プーリー137が殆ど突出しないため、駆動プーリー136及び従動プーリー137の端部に糸が絡まり難い。また、角ベルト141は、ベルト厚が厚いため(図6参照)、ベルト切れによるトラブルが少ない。
【0043】
特に、プーリー116b、駆動プーリー117、プーリー116aに丸ベルト115が巻回されて、U字状に形成される搬送ラインのカーブ内側に位置する従動プーリー137においては、トレー182がこの搬送ラインのカーブ上を搬送される際に、トレー182に装着されているボビン180からたれた糸が、トレー182の移動の軌跡に完全に追従せずに、カーブをショートカットして従動プーリー137上を通過するが、前述のように、従動プーリー137は、中央部が端部に対してやや膨らんだドラム型の形状であり、丸ベルトが巻回されるプーリーのように、端部にフランジが形成されたり、溝が形成されたりしていないため、ボビン180からたれた糸や、糸くずが絡まり難い。
【0044】
ここで、図4に示すように、前記ボビン供給装置109は、丸ベルト115に平ベルト121(角ベルト141)が並設された区間L内に配設されている。即ち、前記ボビン供給装置109からボビン180が落下されてトレー182に装着される位置は、前記区間L内に配設されており、丸ベルト115及び平ベルト121(角ベルト141)の2本のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置109からボビン180が落下されてトレー182に装着される。
【0045】
また、平ベルト121(角ベルト141)と丸ベルト115との配置間隔(前記所定間隔)は、図5または図6に示すように、トレー182の直径よりも丸ベルト115と平ベルト121(角ベルト141)との間隔が小さい、換言すると、丸ベルト115と平ベルト121(角ベルト141)とによりトレー182を支持できるように構成されている。
【0046】
このような構成により、トレー182が丸ベルト115及び平ベルト121(角ベルト141)の2本のコンベアベルトにより支持されているため、トレー182の姿勢が安定し、ボビン180の装着ミスを防ぐことができる。
【0047】
また、前述のように、平ベルト121(角ベルト141)の駆動プーリー136は、前記丸ベルト115の駆動プーリー117を駆動するモーターとは異なるモーター138の出力軸に固設されている。即ち、平ベルト121(角ベルト141)の駆動プーリー136及び丸ベルト115の駆動プーリー117は、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御される。換言すると、平ベルト121(角ベルト141)及び丸ベルト115は、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御される。
【0048】
このような構成により、丸ベルト115と平ベルト121(角ベルト141)とに、速度差を設けることにより、ボビン180の糸の巻き方向に応じて、トレー182を平面視時計回り、または反時計回りに回転させることができる。また、ボビン180の糸が解け難いようにボビン180を回転させることができる。さらに、ボビン供給装置109からのボビン180投下待ちの際には、モーター138の駆動を停止させることにより、平ベルト121(角ベルト141)を停止させて省エネ化を図ることができる。なお、投下待ちの際には所望により、モーター138及び駆動プーリー117を停止させることにより、省エネ化を図ることもできる。
【0049】
また、平ベルト121(角ベルト141)の近くには、風綿除去手段であるブラシ139、吸引装置140が配設されている(図4参照)。詳しくは、ブラシ139は、平ベルト121(角ベルト141)の一側であって、駆動プーリー136側に配設されている。吸引装置140は、平ベルト121(角ベルト141)の他側であって、従動プーリー137側(図7参照)に配設されており、図7(b)中の黒塗り矢印の方向に吸引される。なお、吸引装置140の吸引源は図示しない。
【0050】
このような、ブラシ139や吸引装置140等の風綿除去手段を備える構成により、ボビン180からたれた糸や、糸くずが除去されるため、駆動プーリー136及び従動プーリー137に糸が絡まり難く、糸の絡みに起因するボビン処理部103の稼動効率の低下を防止することができる。
【0051】
また、ボビン処理ライン105上に配設されるボビンストリッパにより、極少残糸付ボビン184の極少残糸を除去して空ボビン181とし、空ボビン181がボビン抜取装置107により抜き取られる構成も可能である。
【0052】
また、糸処理装置は、ボビン抜取装置107、ボビン供給装置109、口出し装置110を備えるものであるが、その他の糸処理装置を備える構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】自動ワインダー及びボビン処理部を示す平面図。
【図2】ボビン処理部を示す平面図。
【図3】自動ワインダーの巻取ユニットを示す斜視図。
【図4】ボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図。
【図5】平ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図。
【図6】角ベルトの場合の図4におけるA―A’断面図。
【図7】(a)平ベルト(角ベルト)とプーリーとの関係を概略的に示した平面図(b)同じく側面図。
【図8】丸ベルトとガイド部材とにより支持されるトレーを示す図。
【図9】従来のボビン処理部を示す平面図。
【図10】従来のボビン処理部のコンベアベルトとプーリーの配置を示す平面図。
【図11】図10におけるA―A’断面図。
【符号の説明】
【0054】
101 自動ワインダー
103 ボビン処理部
109 ボビン供給装置
115 丸ベルト
116a・116b・・・ プーリー
117 駆動プーリー
118 プーリー
121 平ベルト
139 ブラシ
140 吸引装置
141 角ベルト
180 ボビン
182 トレー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置され、トレーを搬送する第一のコンベアベルトと、
前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設され、第一のコンベアベルトとともにトレーを搬送する第二のコンベアベルトと、
を備える自動ワインダーのボビン処理部において、
前記第二のコンベアベルトは、ベルト横断面形状が四角形のベルトとされていることを特徴とする自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項2】
前記四角形のベルトは、平ベルトとされていることを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項3】
前記四角形のベルトは、角ベルトとされていることを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項4】
前記第一及び第二のコンベアベルトは、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項5】
前記第一及び第二のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置からボビンが落下されてトレーに装着されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項6】
前記四角形のベルトの近くに、風綿除去手段が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項1】
ボビンのトレーの搬送経路に沿って配置され、トレーを搬送する第一のコンベアベルトと、
前記搬送経路の一部で前記第一のコンベアベルトに並設され、第一のコンベアベルトとともにトレーを搬送する第二のコンベアベルトと、
を備える自動ワインダーのボビン処理部において、
前記第二のコンベアベルトは、ベルト横断面形状が四角形のベルトとされていることを特徴とする自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項2】
前記四角形のベルトは、平ベルトとされていることを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項3】
前記四角形のベルトは、角ベルトとされていることを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項4】
前記第一及び第二のコンベアベルトは、駆動速度を可変可能にそれぞれ独立制御されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項5】
前記第一及び第二のコンベアベルト上にて、ボビン供給装置からボビンが落下されてトレーに装着されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【請求項6】
前記四角形のベルトの近くに、風綿除去手段が備えられていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の自動ワインダーのボビン処理部。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図3】
【公開番号】特開2008−214064(P2008−214064A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56158(P2007−56158)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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