自動二輪車のサドルバッグ取付構造
【課題】本発明は、フレームの設計自由度低下を伴わず、サドルバッグが取り外されている場合において、車両の外観性を高めることができる自動二輪車のサドルバッグ取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】車体の後部に配置するリヤフレーム19と、このリヤフレーム19の下方に設けられ後輪を覆うリヤフェンダ17と、このリヤフェンダ17の上方に設けられ乗員が着座する乗員シート15と、このリヤフェンダ17に取り付けられる物入れとしてのサドルバッグ111L、111Rと、を備える自動二輪車10のサドルバッグ取付構造において、リヤフェンダ17には、サドルバッグ111L、111Rを取り付けるサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rが設けられ、このサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15の下方に設けられている。
【解決手段】車体の後部に配置するリヤフレーム19と、このリヤフレーム19の下方に設けられ後輪を覆うリヤフェンダ17と、このリヤフェンダ17の上方に設けられ乗員が着座する乗員シート15と、このリヤフェンダ17に取り付けられる物入れとしてのサドルバッグ111L、111Rと、を備える自動二輪車10のサドルバッグ取付構造において、リヤフェンダ17には、サドルバッグ111L、111Rを取り付けるサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rが設けられ、このサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15の下方に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のサドルバッグ取付構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の後部にサドルバッグを着脱可能に設けた自動二輪車のサドルバッグ取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−55283公報(図2、図3)
【0003】
特許文献1の図3において、自動二輪車の後部に、リヤフレーム本体17(符号は同公報のものを流用する。)が配置され、このリヤフレーム本体17に、サイドトランク支持部としての第1の凹部31・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)が設けられている。
【0004】
特許文献1の図2において、リヤフレーム本体は、テールカバー34によって覆われており、このテールカバー34に、第1の凹部31・・・の位置に合わせて開口34a・・・が開けられている。従来例構造では、フレームの設計自由度が低下することや、フレームが一部露出するため、外観性への配慮が別途必要になることなどの課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フレームの設計自由度低下を伴わず、サドルバッグが取り外されている場合において、車両の外観性を高めることができる自動二輪車のサドルバッグ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車体の後部に配置するリヤフレームと、このリヤフレームの下方に設けられ後輪を覆うリヤフェンダと、このリヤフェンダの上方に設けられ乗員が着座する乗員シートと、このリヤフェンダに取り付けられる物入れとしてのサドルバッグと、を備える自動二輪車のサドルバッグ取付構造において、リヤフェンダには、サドルバッグを取り付けるサドルバッグ取付穴が設けられ、サドルバッグには、車体の内側に延びて下側に折れ曲がりサドルバッグ取付穴に引っ掛ける爪部と、この爪部の下側に設け車体の内側上方に延びて爪部と協動してリヤフェンダを挟持する下側係合アーム部と、が備えられ、
サドルバッグは、爪部と下側係合アーム部とでリヤフェンダを挟むことでリヤフェンダに取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、サドルバッグ取付穴は、車両を上から見たときに、前記乗員シートの下方に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、リヤフェンダには、下側係合アームによって挟持される垂下部が下方に延びていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、サドルバッグ取付穴は複数個設けられ、リヤフェンダは、少なくとも前後2箇所の締結部にて車体フレームへ締結され、少なくとも、サドルバッグ取付穴のうちの1つは、前後2箇所の締結部の間に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、サドルバッグに設けられている車体フレーム側の側面には、車体フレーム側に取り付けられ同乗者用ステップのホルダから延びている係止アームと係合する係合凹部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、サドルバッグ取付穴に引っ掛けられる爪部には、弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、リヤフェンダには、サドルバッグ取付穴が設けられ、サドルバッグは、リヤフェンダに設けたサドルバッグ取付穴に直接取り付けられる。
【0014】
従来のサドルバッグ取付構造によれば、サドルバッグは、リヤフレームの上面に開けたサドルバッグ取付穴に取り付けられていた。この場合に、サドルバッグ取付穴は、リヤフレームの上面に開けられているため、サドルバッグが取り外されているときには、サドルバッグ取付穴からリヤフレームの一部が見えることとなり、車両の外観性が損なわれる場合がある。加えて、リヤフレームの上面にサドルバッグ取付穴を開ける分だけ、フレームの設計自由度低下を伴う場合があった。
【0015】
この点、本発明では、リヤフェンダにサドルバッグを取り付けたため、リヤフェンダからリヤフレーム側のサドルバッグ取付部が見えるようなことがなく、車両の外観性が高められる。加えて、フレームの設計自由度低下を伴うことはない。
【0016】
請求項2に係る発明では、サドルバッグ取付穴は、車両を上から見たときに、乗員シートの下方に設けられているので、サドルバッグ取付穴を目立たなくすることができる。サドルバッグ取付穴が目立たなくなれば、サドルバッグを取り外した場合においても、車両の外観性に影響を与え難くすることができ、車両の外観性を一層高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されているので、リヤフェンダの剛性を高め、その耐荷重性を高めることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、リヤフェンダには、垂下部が下方に延びているので、下側係合アームが短いときでも、サドルバッグを支持することが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明では、サドルバッグ取付穴のうちの1つは、前後2箇所の締結部の間に設けられているので、サドルバッグの取付強度を高めることができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、サドルバッグには、同乗者用ステップのホルダから延びている係止アームと係合する係合凹部が設けられているので、サドルバッグ取付状態での外観性を高めることができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、爪部には、弾性部材が設けられている。この弾性部材を介して爪部をリヤフェンダに押圧させ、リヤフェンダのサドルバッグ取付部に爪部を密着させるようにすることで、爪部とサドルバッグ取付穴との取付関係が変化する場合であっても、爪部とサドルバッグ取付穴との間に隙間などが生じ難くなる。隙間などが生じ難くなれば、例えば、サドルバッグががたつくことなどを解消することができ、リヤフェンダにサドルバッグをしっかりと保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図中、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各々車両に着座した乗員から見た方向である。なお、図面は符号の向きにみるものとする。
【0023】
図1は本発明に係る車両の左側面図であり、車両としての自動二輪車10には、車体フレーム11が備えられている。
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方に延出されエンジン13を支持するメインフレーム14と、このメインフレーム14の後端上部から後方に延ばし乗員シート15を支持し、バッテリ16などの電装部品などを取り付け、且つ、リヤフェンダ17を含む車体後部18を支持するリヤフレーム19と、からなる。
なお、メインフレーム14には、このメインフレーム14の後端部に設けられスイングアーム28を支持するピボットプレート22を含む。
【0024】
ピボットプレート22には、ピボット軸27が設けられ、このピボット軸27から後方にリヤスイングアーム28(スイングアーム28)が延ばされ、このスイングアーム28とメインフレーム14の間に衝撃を吸収するリヤクッションユニット29が設けられ、スイングアーム28の先端部に、後輪31が取り付けられている。後輪31は、エンジン13と後輪31との間をつなぐ図示せぬドライブシャフトによって駆動される。
【0025】
ヘッドパイプ12には、フロントフォーク24が設けられており、このフロントフォーク24の下端部に前輪25が取り付けられ、フロントフォーク24の上端部に前輪25を操舵する操舵ハンドル26が設けられている。
【0026】
メインフレーム14には、エンジン13(V型4気筒エンジン13)が搭載されている。エンジン13は、第1〜第4支持点30a〜30dを介してメインフレーム14に支持されている。第1〜第4支持点30a〜30dは、車幅方向水平に設けられ、車両の前から後へこの順に配置されている。これらの支持点のうち、第3〜第4支持点30c〜30dは、ピボットプレート22に設けられている。つまり、エンジン13は、メインフレーム14およびピボットプレート22によって懸架されている。
【0027】
V型4気筒エンジン13は、クランクケース37と、このクランクケース37に設けたクランクシャフト34を中心に斜め前上方に延びている前シリンダ35と、クランクシャフト34を中心に斜め後上方に延びている後シリンダ36とをV字状に配置した形態をもつ。そして、このV型4気筒エンジン13は、車両を側面から見たときに、エンジン13の上部を構成する前シリンダ35および後シリンダ36にメインフレーム14が重なり、エンジン13の後部を構成するクランクケース37にピボットプレート22の一部が重なるように懸架されている。
【0028】
V型4気筒エンジン13には、排気装置33が備えられている。
排気装置33は、各シリンダ35、35、36、36から延びている排気管41a〜41dと、これらの排気管41a〜41dが集合され排気ガスの浄化を行う触媒管45と、この触媒管45から延びている全体集合管46と、この全体集合管46に連結される消音器47と、から構成されている。
【0029】
図中、51はエンジン13を冷却するラジエータユニット、52L、52R(手前側の符号52Lのみ示す。以下同じ。)はフロントフォークに設けたフロントデイスクブレーキキャリパ、53L、53R(手前側の符号53Lのみ示す。以下同じ。)は前輪25に設けフロントデイスクブレーキキャリパ52L、52Rによって挟持されるフロントデイスクプレート、54は操舵ハンドルに設けたフロントマスタシリンダ、56はメインフレーム14に取り付けた燃料タンクを覆い後述するカウル部70を兼ねる燃料タンクカバー、57L、57R(手前側の符号57Lのみ示す。以下同じ。)はメインフレーム14に取り付けた運転者用ステップ、58L、58R(手前側の符号58Lのみ示す。以下同じ。)はリヤフレーム19に取り付けた同乗者用ステップ、59はヘッドライト、60はフロントフェンダ、61L、61R(手前側の符号61Lのみ示す。以下同じ。)はミラー、62はリヤデイスクブレーキキャリパ、63は後輪31に設けリヤデイスクブレーキキャリパ62によって挟持されるリヤデイスクプレート、65はメインスタンドである。
【0030】
以下、自動二輪車10の主に外観部を構成するカウル部70について説明を行う。
カウル部70には、ヘッドパイプ12から延ばし後述するカウルステー71を介して車体フレーム11の前方を覆うフロントカウル部72と、このフロントカウル部72に連続して設け車両の側方を覆うサイドカウル部73と、エンジン13の下方に設けるアンダカウル74と、が備えられており、風よけや車両の外観性を高めることなどを目的とする。
【0031】
フロントカウル部72は、ヘッドライト59の上方を覆うアッパセンタカウル76と、このアッパセンタカウル76の上方に延びているウインドスクリーン77と、メインフレーム14の側方を覆うミドルカウル78L、78R(図手前側の符号78Lのみ示す。以下同じ。)が取り付けられウインドスクリーン77の左右を支持するフロントアッパサイドカウル79L、79R(図手前側の符号79Lのみ示す。以下同じ。)の一部とを含む。
【0032】
サイドカウル部73は、ウインドスクリーン77の左右を支持するフロントアッパサイドカウル79L、79Rと、ヘッドパイプ12およびメインフレーム14の側方を覆うミドルカウル78L、78Rと、燃料タンクカバー56の下方を覆い運転中に運転者Rの脚部Rfによって挟まれるニーカバー81L、81R(図手前側の符号81Lのみ示す。以下同じ。)と、これらのニーカバー81L、81Rの下方に設けられメインフレーム14の構成要素であるピボットプレート22L、22R(図手前側の符号22Lのみ示す。以下同じ。)の外側面を覆うピボットプレートカバー82L、82Rとを含む。
【0033】
車両の後部について補足すると、車体の後部にリヤフレーム19が配置され、このリヤフレーム19の下方に後輪31を覆うリヤフェンダ17が設けられ、このリヤフェンダ17の上方に乗員が着座する乗員シート15が設けられ、リヤフェンダ17に物入れとしてのサドルバッグ111L、111R(図手前側の符号111Lのみ示す。)が取り付けられている。
【0034】
図2は本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り外された状態)である。以下、左右に設けられたサドルバッグ111L、111R(手前側の符号111Lのみ示す。)は車両の中心線に対して左右対称に設けられ、それらの構造は大きく変わるところはないため、左側のサドルバッグ111Lをサドルバッグ111として説明を行い、右側のサドルバッグ111Rおよびその周辺に設けられている部材の説明は省略する。
【0035】
車体フレーム11の構成要素としてのリヤフレーム19には、前後の締結部112f、112rを介して後輪31の上部を覆うリヤフェンダ17が取り付けられ、このリヤフェンダ17には、サドルバッグ111を取り付けるサドルバッグ取付穴113f、113rが前後に2つ設けられ、これらのサドルバッグ取付穴113f、113rの間でリヤフェンダ17の内側に、サドルバッグ111の一部が係合される垂下部としてのリブ114・・・が延びている。これらのリブ114・・・は、サドルバッグを取り付ける取付機能および垂下部を補強する補強機能とをあわせもつ。サドルバッグ取付穴113f、113rおよびリブ114・・・の詳細については後述する。
【0036】
乗員シート15の後部には、左右外側に張り出すようにリヤウインカおよびストップランプを含むリヤランプユニット116が設けられている。117は同乗者用ステップ58から後方に延設されサドルバッグ(図1の符号111L)を係止する係止アーム、121はグラブレール、122はライセンスブラケット、123はリヤカウルである。
【0037】
なお、本実施例において、リヤフェンダ17を車体フレーム11へ締結する締結部112f、112rは、前後に2箇所設けられているが、3箇所以上設けることは差し支えない。また、サドルバッグ取付穴113f、113rは、前後2つ設けられているが、3つ以上設けることは差し支えない。
以下、車両の後部にサドルバッグを取り付ける手順につき説明する。
【0038】
図3は本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(サドルバッグ取付穴に爪部を引っ掛け、係止アームの先端に係合凹部を係合させる)である。
サドルバッグ111は、物が収容されるケース体124と、このケース体124の外方を覆うカバー部125と、ケース体の上面124tに揺動可能に設けられサドルバッグ111の着脱時および運搬時に利用されるハンドル部材126と、ケース体の側面上部124suに設けられサドルバッグ取付穴113f、113r(手前側の113fのみ示す。以下同じ。)に係合する爪部128f、128r(手前側の128fのみ示す。以下同じ。)と、同じく、側面下部124sbに設けられ係止アーム117の先端に係合する係合凹部131と、を備えている。
すなわち、サドルバッグ111には、車体の内側に延びて下側に折れ曲がりサドルバッグ取付穴113f、113rに引っ掛ける爪部128f、128rが備えられている。
【0039】
取付方法について説明すると、ハンドル部材126をつかんで、図矢印(1)のようにサドルバッグ111を車両の後部に近づけ、リヤフェンダ17に開けたサドルバッグ取付穴113f、113rに爪部128f、128rを引っ掛け、図矢印(2)のように、係止アーム117の先端に係合凹部131を係合させる。
【0040】
図4は本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(リヤフェンダのリブにサドルバッグの下側係合部を係合させる)である。
サドルバッグ111を形成するケース体の側面上部124suには、前述した爪部128f、128rとは別に、リヤフェンダ17の側部17sから下方に延びているリブ114と係合する下側係合アーム部133が設けられている。この下側係合アーム部133は、ハンドル部材126の揺動に伴い移動する部材である。
【0041】
すなわち、サドルバッグ111には、爪部128f、128rの下側に設け車体の内側上方に延びて爪部128f、128rと協動してリヤフェンダ17を挟持する下側係合アーム部133と、が備えられている。
【0042】
取付方法の続きを説明すると、ハンドル部材126を軸127を中心に、図矢印(3)のように揺動させると、ケース体の側面上部124suに格納されている下側係合アーム部133は、ケース体の側面上部124suから図矢印(4)のように突出し、リヤフェンダに設けた垂下部としてのリブ114・・・と係合する。つまり、爪部128f、128rと下側係合アーム部133との間でリヤフェンダ17を挟持してリヤフェンダ17に取り付ける。
以上で、サドルバッグ111をリヤフェンダ17に取り付ける一連の操作が完了する。
【0043】
なお、サドルバッグ111をリヤフェンダ17から取り外す操作は、上述した説明と逆の操作を行えば良く、説明を省略する。
次図以降で、上記取付方法を実現するサドルバッグの詳細な構造について説明する。
【0044】
図5は本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの斜視図(下側係合アームが縮んでいる状態)である。なお、ケース体124の内部上面124itを覆うカバーは取り外されている。
【0045】
ケース体124の内部上面124itには、第1ステー135と、この第1ステー135に揺動可能に設けられるハンドル部材126と、このハンドル部材126から延びており下側係合アーム部133側へ駆動力を伝達する駆動支点136、136と、これらの駆動支点136、136から延びている第1アーム137、137と、内部上面124itに設けられ下側係合アーム部133などを支持する第2ステー139と、この第2ステー139の上部に設けられる上支点141と、同じく、上部に設けられる下支点142と、上支点141に揺動可能に設けられ、第1アーム137の先端137aが連結されるとともに第1アーム137の揺動に伴い下側係合アーム部133を駆動する駆動リンク143と、下支点142に揺動可能に設けられる補助リンク144と、駆動リンク143から下側係合アームを揺動可能に支持する上揺動点145へ延びているアッパ駆動アーム147と、補助リンク144から下側係合アームを揺動可能に支持する下揺動点146へ延びている補助アーム148と、が備えられている。
なお、第1ステー135と第2ステー139とは、それぞれ別体でケース体124に独立して取り付けられている。
【0046】
また、ハンドル部材126がケース体124の上面124tから飛び出すことなく上面124tよりも下方に収納され、下側係合アーム部133が、ケース体の側面上部(図4の符号124su)から突設され、下側係合アーム部133がリヤフェンダと係合しているときに、ハンドル部材126を操作不能にロックするロック機構161が設けられている。
【0047】
ロック機構161には、キーシリンダ162と、このキーシリンダ162から中継部材163に延びている第1キーリンク164と、この中継部材163から延びている第2キーリンク165と、この第2キーリンク165に取り付けられ第2キーリンク165の動きに連動してハンドル部材126をロックするロック部材166と、中継部材163の支点としてのピン167と、が備えられている。
【0048】
図6は本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの説明図およびその作用図である。ケース体の内部上面(図5の符号124it)を覆うカバー171には、下側係合アーム部133が突出可能な開口部172が開けられている。
【0049】
(a)において、下側係合アーム部133が、開口部172の内側に位置する状態を説明する図である。このとき、ハンドル部材(図5の符号126)は、ケース体124の上面124tに対し直立しており、ハンドル部材126をつかむことで、サドルバッグ111を容易に運搬することができる。
【0050】
(b)において、下側係合アーム部133が、開口部172の外側に突出している状態を説明する図である。
ハンドル部材126を揺動させて、ケース体124の上面124tに略平行に収納すると、第1アーム137の先端137aが図矢印b方向に移動し、アッパ駆動アーム147を駆動し、下側係合アーム部133を突出させる。下側係合アーム部133が突出するに伴い、下側係合アーム部133を支持する補助アーム148も移動する。
【0051】
下側係合アーム部133が開口部172から突出することで、爪部128f、128rと下側係合アーム部133とでリヤフェンダ17を挟むことになり、リヤフェンダ17にサドルバッグ111が取り付けられる。
【0052】
図7は本発明に係るサドルバッグに備えられている保持部の斜視図(下側係合アームが延びている状態)であり、上述したように、ハンドル部材126は、ケース体124の上面124tから飛び出すことなく収納されている。ハンドル部材126は、下側係合アーム部133が延びている状態で、カバー(図6の符号171)が設けられているときに、このカバー171に開けた開口部(図6の符号172)から下側係合アーム部133が突設されることになる。上記ハンドル部材であれば、可搬性に優れたサドルバッグとし、上記保持部であれば、好ましい着脱性もったサドルバッグが得られる。
【0053】
図8は本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り付けられた状態)であり、リヤフレーム19には、前後の締結部112f、112rを介してリヤフェンダ17が取り付けられ、このリヤフェンダ17には、サドルバッグ111が取り付けられている。
【0054】
少なくとも、サドルバッグ取付穴113f、113rのうちの1つは、前後2箇所の締結部112f、112rの間に設けられているので、サドルバッグ111の取付強度を高めることができる。
【0055】
図9は本発明に係る車両の後部平面図である。但し、乗員シートおよびリヤランプユニットは想像線で示されている。
サドルバッグ取付穴のうちの前部取付穴113f、113fは、車両を上から見たときに、乗員シート15の下方に設けられ、この乗員シート15の後部に、リヤランプユニット116が設けられ、サドルバッグ取付穴のうちの後部取付穴113r、113rは、上方からリヤランプユニット116で覆われている。
【0056】
このように、前後に設けた4つのサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15とリヤランプユニット116によって覆われているので、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rを目立たなくすることができる。
リヤフェンダ17は、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されている。したがって、リヤフェンダ17の耐荷重性を高めることができる。
図中、174は物入れ、175はリレー・ヒューズ箱、176はリヤリザーバタンク、177は排気装置を駆動するモータである。
【0057】
図10は図9の10−10線断面図であり、リヤフェンダ17の前部取付穴113f、113fに、サドルバッグ111の前爪部128f、128fが係合されている状態を示す。
【0058】
詳細には、シートレールを兼ねるリヤフレーム19の下方に、リヤフェンダ17が配置され、このリヤフェンダ17は、後輪ホイールハウスとしてのアーチ状を呈する内リヤフェンダ17Uと、この内リヤフェンダ17Uの外方に配置されている外リヤフェンダ17Sとからなる。この外リヤフェンダ17Sに、サドルバッグ取付穴113f、113fが開けられている。
【0059】
サドルバッグ111に設けた爪部としての前爪部128f、128fには、弾性部材179、179が設けられているので、これらの弾性部材179、179がリヤフェンダ17に押圧され、リヤフェンダ17のサドルバッグ取付穴113f、113fに前爪部128f、128fを密着させるようにすることで、前爪部128f、128fとサドルバッグ取付穴113f、113fとの取付関係が変化する場合であっても、これらの間に隙間などが生じ難くなる。隙間などが生じ難くなれば、例えば、サドルバッグががたつくことなどの問題を解消することができ、リヤフェンダ17にサドルバッグ111をしっかりと保持することができる。なお、弾性部材を省くことは差し支えない。
【0060】
以下、図11〜13において、左右のサドルバッグ111L、111Rの取付構造は、車両の中心線に対し左右対称な構造をもつため、左のサドルバッグ111Lをサドルバッグ111とし、左側の取付構造について説明を行うものとし、右側の取付構造については説明を省略する。
【0061】
図11は図9の11−11線断面図であり、サドルバッグ111に設けられている車体フレーム11側の側面124sには、車体フレーム側に取り付けられ同乗者用ステップ(図9の符号58L)から延びている係止アーム117と係合する係合凹部131が設けられている。
【0062】
サドルバッグ111には、同乗者用ステップ58から延びている係止アーム117と係合する係合凹部131が設けられているので、サドルバッグ取付状態での外観性を高めることができる。
【0063】
図12は図9の12−12線断面図であり、リヤフェンダ17の側部から下方に延設したリブ114・・・に、サドルバッグ111の下側係合アーム部133が係合されている状態を示す。
【0064】
図2を併せて参照して、リヤフェンダ17の側部17sには、垂下部としての複数のリブ114・・・が下方に延びているので、下側係合アーム部133が短いときでも、サドルバッグ111を支持することが可能となる。垂下部としてのリブ114・・・は、リヤフェンダ17の内側下方に延ばされているので、サドルバッグ111が取り外されているときにも、車両の外観性を損なう心配はない。
【0065】
図13は図9の13−13線断面図であり、リヤフェンダ17の後部取付穴113rに、サドルバッグ111の後爪部128rが係合されている。
爪部としての後爪部128rには、弾性部材179が設けられているので、この弾性部材179をリヤフェンダ17に押圧させ、リヤフェンダ17のサドルバッグ取付穴113rに爪部128rを密着させるようにすることで、爪部128rとサドルバッグ取付穴113rとの間に隙間が生じた場合であっても、がたつくことなくリヤフェンダ17にサドルバッグ111を取り付けることができる。なお、弾性部材を省くことは差し支えない。
【0066】
図14は本発明に係る自動二輪車のサドルバッグ取付構造の実施例図および比較例図である。いずれも、サドルバッグが取り外されたときに、車両を上から見た状態である。
(a)において、実施例図が示されており、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15およびリヤランプユニット116によって覆われている。
【0067】
(b)において、比較例図が示されており、4つのサドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brを上方から覆う部材はなく、いずれのサドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brも、車両の上方に露出している。サドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brは、リヤフレームの上面に開けられており、これらのサドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brは、リヤフェンダ17Bで覆われているものの、サドルバッグ111L、111Rが取り外されているときには、サドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brが露出することとなり、車両の外観性を損なう可能性があった。
【0068】
(a)に戻って、リヤフェンダ17には、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rが設けられ、サドルバッグ111は、リヤフェンダ17に設けたサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rに直接取り付けられる。加えて、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15およびリヤランプユニット116の下方に設けられているので、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rを目立たなくすることができる。サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rが目立たなくなれば、サドルバッグ111を取り外した場合においても、車両の外観性に影響を与え難くなるので、車両の外観性を高めることができる。
【0069】
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、一般の鞍乗り型車両に適用することは差し支えない。
請求項1では、リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製以外の、鋼板、アルミニウム合金、チタン、その他金属材料でも良いものとする。
請求項3では、リヤフェンダに複数設けられたサドルバッグ取付穴の位置および車体フレームへの締結位置は、各々、任意の位置に設定することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、サドルバッグが着脱可能に設けられている自動二輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る車両の左側面図である。
【図2】本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り外された状態)である。
【図3】本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(サドルバッグ取付穴に爪部を引っ掛け、係止アームの先端に係合凹部を係合させる)である。
【図4】本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(リヤフェンダのリブにサドルバッグの下側係合部を係合させる)である。
【図5】本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの斜視図(下側係合アームが縮んでいる状態)である。
【図6】本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの説明図およびその作用図である。
【図7】本発明に係るサドルバッグに備えられている保持部の斜視図(下側係合アームが延びている状態)である。
【図8】本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り付けられた状態)である。
【図9】本発明に係る車両の後部平面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】図9の12−12線断面図である。
【図13】図9の13−13線断面図である。
【図14】本発明に係る自動二輪車のサドルバッグ取付構造の実施例図および比較例図である。
【符号の説明】
【0072】
10…自動二輪車、15…乗員シート、17…リヤフェンダ、19…リヤフレーム、31…後輪、111、111L、111R…サドルバッグ、112f、112r…締結部、113f、113r…サドルバッグ取付穴、114…垂下部(リブ)、117…係止アーム、128f、128r…爪部、131…係合凹部、133…下側係合アーム部、179…弾性部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のサドルバッグ取付構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の後部にサドルバッグを着脱可能に設けた自動二輪車のサドルバッグ取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−55283公報(図2、図3)
【0003】
特許文献1の図3において、自動二輪車の後部に、リヤフレーム本体17(符号は同公報のものを流用する。)が配置され、このリヤフレーム本体17に、サイドトランク支持部としての第1の凹部31・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)が設けられている。
【0004】
特許文献1の図2において、リヤフレーム本体は、テールカバー34によって覆われており、このテールカバー34に、第1の凹部31・・・の位置に合わせて開口34a・・・が開けられている。従来例構造では、フレームの設計自由度が低下することや、フレームが一部露出するため、外観性への配慮が別途必要になることなどの課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、フレームの設計自由度低下を伴わず、サドルバッグが取り外されている場合において、車両の外観性を高めることができる自動二輪車のサドルバッグ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車体の後部に配置するリヤフレームと、このリヤフレームの下方に設けられ後輪を覆うリヤフェンダと、このリヤフェンダの上方に設けられ乗員が着座する乗員シートと、このリヤフェンダに取り付けられる物入れとしてのサドルバッグと、を備える自動二輪車のサドルバッグ取付構造において、リヤフェンダには、サドルバッグを取り付けるサドルバッグ取付穴が設けられ、サドルバッグには、車体の内側に延びて下側に折れ曲がりサドルバッグ取付穴に引っ掛ける爪部と、この爪部の下側に設け車体の内側上方に延びて爪部と協動してリヤフェンダを挟持する下側係合アーム部と、が備えられ、
サドルバッグは、爪部と下側係合アーム部とでリヤフェンダを挟むことでリヤフェンダに取り付けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、サドルバッグ取付穴は、車両を上から見たときに、前記乗員シートの下方に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、リヤフェンダには、下側係合アームによって挟持される垂下部が下方に延びていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明では、サドルバッグ取付穴は複数個設けられ、リヤフェンダは、少なくとも前後2箇所の締結部にて車体フレームへ締結され、少なくとも、サドルバッグ取付穴のうちの1つは、前後2箇所の締結部の間に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、サドルバッグに設けられている車体フレーム側の側面には、車体フレーム側に取り付けられ同乗者用ステップのホルダから延びている係止アームと係合する係合凹部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、サドルバッグ取付穴に引っ掛けられる爪部には、弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、リヤフェンダには、サドルバッグ取付穴が設けられ、サドルバッグは、リヤフェンダに設けたサドルバッグ取付穴に直接取り付けられる。
【0014】
従来のサドルバッグ取付構造によれば、サドルバッグは、リヤフレームの上面に開けたサドルバッグ取付穴に取り付けられていた。この場合に、サドルバッグ取付穴は、リヤフレームの上面に開けられているため、サドルバッグが取り外されているときには、サドルバッグ取付穴からリヤフレームの一部が見えることとなり、車両の外観性が損なわれる場合がある。加えて、リヤフレームの上面にサドルバッグ取付穴を開ける分だけ、フレームの設計自由度低下を伴う場合があった。
【0015】
この点、本発明では、リヤフェンダにサドルバッグを取り付けたため、リヤフェンダからリヤフレーム側のサドルバッグ取付部が見えるようなことがなく、車両の外観性が高められる。加えて、フレームの設計自由度低下を伴うことはない。
【0016】
請求項2に係る発明では、サドルバッグ取付穴は、車両を上から見たときに、乗員シートの下方に設けられているので、サドルバッグ取付穴を目立たなくすることができる。サドルバッグ取付穴が目立たなくなれば、サドルバッグを取り外した場合においても、車両の外観性に影響を与え難くすることができ、車両の外観性を一層高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されているので、リヤフェンダの剛性を高め、その耐荷重性を高めることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、リヤフェンダには、垂下部が下方に延びているので、下側係合アームが短いときでも、サドルバッグを支持することが可能となる。
【0019】
請求項5に係る発明では、サドルバッグ取付穴のうちの1つは、前後2箇所の締結部の間に設けられているので、サドルバッグの取付強度を高めることができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、サドルバッグには、同乗者用ステップのホルダから延びている係止アームと係合する係合凹部が設けられているので、サドルバッグ取付状態での外観性を高めることができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、爪部には、弾性部材が設けられている。この弾性部材を介して爪部をリヤフェンダに押圧させ、リヤフェンダのサドルバッグ取付部に爪部を密着させるようにすることで、爪部とサドルバッグ取付穴との取付関係が変化する場合であっても、爪部とサドルバッグ取付穴との間に隙間などが生じ難くなる。隙間などが生じ難くなれば、例えば、サドルバッグががたつくことなどを解消することができ、リヤフェンダにサドルバッグをしっかりと保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図中、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」は、各々車両に着座した乗員から見た方向である。なお、図面は符号の向きにみるものとする。
【0023】
図1は本発明に係る車両の左側面図であり、車両としての自動二輪車10には、車体フレーム11が備えられている。
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方に延出されエンジン13を支持するメインフレーム14と、このメインフレーム14の後端上部から後方に延ばし乗員シート15を支持し、バッテリ16などの電装部品などを取り付け、且つ、リヤフェンダ17を含む車体後部18を支持するリヤフレーム19と、からなる。
なお、メインフレーム14には、このメインフレーム14の後端部に設けられスイングアーム28を支持するピボットプレート22を含む。
【0024】
ピボットプレート22には、ピボット軸27が設けられ、このピボット軸27から後方にリヤスイングアーム28(スイングアーム28)が延ばされ、このスイングアーム28とメインフレーム14の間に衝撃を吸収するリヤクッションユニット29が設けられ、スイングアーム28の先端部に、後輪31が取り付けられている。後輪31は、エンジン13と後輪31との間をつなぐ図示せぬドライブシャフトによって駆動される。
【0025】
ヘッドパイプ12には、フロントフォーク24が設けられており、このフロントフォーク24の下端部に前輪25が取り付けられ、フロントフォーク24の上端部に前輪25を操舵する操舵ハンドル26が設けられている。
【0026】
メインフレーム14には、エンジン13(V型4気筒エンジン13)が搭載されている。エンジン13は、第1〜第4支持点30a〜30dを介してメインフレーム14に支持されている。第1〜第4支持点30a〜30dは、車幅方向水平に設けられ、車両の前から後へこの順に配置されている。これらの支持点のうち、第3〜第4支持点30c〜30dは、ピボットプレート22に設けられている。つまり、エンジン13は、メインフレーム14およびピボットプレート22によって懸架されている。
【0027】
V型4気筒エンジン13は、クランクケース37と、このクランクケース37に設けたクランクシャフト34を中心に斜め前上方に延びている前シリンダ35と、クランクシャフト34を中心に斜め後上方に延びている後シリンダ36とをV字状に配置した形態をもつ。そして、このV型4気筒エンジン13は、車両を側面から見たときに、エンジン13の上部を構成する前シリンダ35および後シリンダ36にメインフレーム14が重なり、エンジン13の後部を構成するクランクケース37にピボットプレート22の一部が重なるように懸架されている。
【0028】
V型4気筒エンジン13には、排気装置33が備えられている。
排気装置33は、各シリンダ35、35、36、36から延びている排気管41a〜41dと、これらの排気管41a〜41dが集合され排気ガスの浄化を行う触媒管45と、この触媒管45から延びている全体集合管46と、この全体集合管46に連結される消音器47と、から構成されている。
【0029】
図中、51はエンジン13を冷却するラジエータユニット、52L、52R(手前側の符号52Lのみ示す。以下同じ。)はフロントフォークに設けたフロントデイスクブレーキキャリパ、53L、53R(手前側の符号53Lのみ示す。以下同じ。)は前輪25に設けフロントデイスクブレーキキャリパ52L、52Rによって挟持されるフロントデイスクプレート、54は操舵ハンドルに設けたフロントマスタシリンダ、56はメインフレーム14に取り付けた燃料タンクを覆い後述するカウル部70を兼ねる燃料タンクカバー、57L、57R(手前側の符号57Lのみ示す。以下同じ。)はメインフレーム14に取り付けた運転者用ステップ、58L、58R(手前側の符号58Lのみ示す。以下同じ。)はリヤフレーム19に取り付けた同乗者用ステップ、59はヘッドライト、60はフロントフェンダ、61L、61R(手前側の符号61Lのみ示す。以下同じ。)はミラー、62はリヤデイスクブレーキキャリパ、63は後輪31に設けリヤデイスクブレーキキャリパ62によって挟持されるリヤデイスクプレート、65はメインスタンドである。
【0030】
以下、自動二輪車10の主に外観部を構成するカウル部70について説明を行う。
カウル部70には、ヘッドパイプ12から延ばし後述するカウルステー71を介して車体フレーム11の前方を覆うフロントカウル部72と、このフロントカウル部72に連続して設け車両の側方を覆うサイドカウル部73と、エンジン13の下方に設けるアンダカウル74と、が備えられており、風よけや車両の外観性を高めることなどを目的とする。
【0031】
フロントカウル部72は、ヘッドライト59の上方を覆うアッパセンタカウル76と、このアッパセンタカウル76の上方に延びているウインドスクリーン77と、メインフレーム14の側方を覆うミドルカウル78L、78R(図手前側の符号78Lのみ示す。以下同じ。)が取り付けられウインドスクリーン77の左右を支持するフロントアッパサイドカウル79L、79R(図手前側の符号79Lのみ示す。以下同じ。)の一部とを含む。
【0032】
サイドカウル部73は、ウインドスクリーン77の左右を支持するフロントアッパサイドカウル79L、79Rと、ヘッドパイプ12およびメインフレーム14の側方を覆うミドルカウル78L、78Rと、燃料タンクカバー56の下方を覆い運転中に運転者Rの脚部Rfによって挟まれるニーカバー81L、81R(図手前側の符号81Lのみ示す。以下同じ。)と、これらのニーカバー81L、81Rの下方に設けられメインフレーム14の構成要素であるピボットプレート22L、22R(図手前側の符号22Lのみ示す。以下同じ。)の外側面を覆うピボットプレートカバー82L、82Rとを含む。
【0033】
車両の後部について補足すると、車体の後部にリヤフレーム19が配置され、このリヤフレーム19の下方に後輪31を覆うリヤフェンダ17が設けられ、このリヤフェンダ17の上方に乗員が着座する乗員シート15が設けられ、リヤフェンダ17に物入れとしてのサドルバッグ111L、111R(図手前側の符号111Lのみ示す。)が取り付けられている。
【0034】
図2は本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り外された状態)である。以下、左右に設けられたサドルバッグ111L、111R(手前側の符号111Lのみ示す。)は車両の中心線に対して左右対称に設けられ、それらの構造は大きく変わるところはないため、左側のサドルバッグ111Lをサドルバッグ111として説明を行い、右側のサドルバッグ111Rおよびその周辺に設けられている部材の説明は省略する。
【0035】
車体フレーム11の構成要素としてのリヤフレーム19には、前後の締結部112f、112rを介して後輪31の上部を覆うリヤフェンダ17が取り付けられ、このリヤフェンダ17には、サドルバッグ111を取り付けるサドルバッグ取付穴113f、113rが前後に2つ設けられ、これらのサドルバッグ取付穴113f、113rの間でリヤフェンダ17の内側に、サドルバッグ111の一部が係合される垂下部としてのリブ114・・・が延びている。これらのリブ114・・・は、サドルバッグを取り付ける取付機能および垂下部を補強する補強機能とをあわせもつ。サドルバッグ取付穴113f、113rおよびリブ114・・・の詳細については後述する。
【0036】
乗員シート15の後部には、左右外側に張り出すようにリヤウインカおよびストップランプを含むリヤランプユニット116が設けられている。117は同乗者用ステップ58から後方に延設されサドルバッグ(図1の符号111L)を係止する係止アーム、121はグラブレール、122はライセンスブラケット、123はリヤカウルである。
【0037】
なお、本実施例において、リヤフェンダ17を車体フレーム11へ締結する締結部112f、112rは、前後に2箇所設けられているが、3箇所以上設けることは差し支えない。また、サドルバッグ取付穴113f、113rは、前後2つ設けられているが、3つ以上設けることは差し支えない。
以下、車両の後部にサドルバッグを取り付ける手順につき説明する。
【0038】
図3は本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(サドルバッグ取付穴に爪部を引っ掛け、係止アームの先端に係合凹部を係合させる)である。
サドルバッグ111は、物が収容されるケース体124と、このケース体124の外方を覆うカバー部125と、ケース体の上面124tに揺動可能に設けられサドルバッグ111の着脱時および運搬時に利用されるハンドル部材126と、ケース体の側面上部124suに設けられサドルバッグ取付穴113f、113r(手前側の113fのみ示す。以下同じ。)に係合する爪部128f、128r(手前側の128fのみ示す。以下同じ。)と、同じく、側面下部124sbに設けられ係止アーム117の先端に係合する係合凹部131と、を備えている。
すなわち、サドルバッグ111には、車体の内側に延びて下側に折れ曲がりサドルバッグ取付穴113f、113rに引っ掛ける爪部128f、128rが備えられている。
【0039】
取付方法について説明すると、ハンドル部材126をつかんで、図矢印(1)のようにサドルバッグ111を車両の後部に近づけ、リヤフェンダ17に開けたサドルバッグ取付穴113f、113rに爪部128f、128rを引っ掛け、図矢印(2)のように、係止アーム117の先端に係合凹部131を係合させる。
【0040】
図4は本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(リヤフェンダのリブにサドルバッグの下側係合部を係合させる)である。
サドルバッグ111を形成するケース体の側面上部124suには、前述した爪部128f、128rとは別に、リヤフェンダ17の側部17sから下方に延びているリブ114と係合する下側係合アーム部133が設けられている。この下側係合アーム部133は、ハンドル部材126の揺動に伴い移動する部材である。
【0041】
すなわち、サドルバッグ111には、爪部128f、128rの下側に設け車体の内側上方に延びて爪部128f、128rと協動してリヤフェンダ17を挟持する下側係合アーム部133と、が備えられている。
【0042】
取付方法の続きを説明すると、ハンドル部材126を軸127を中心に、図矢印(3)のように揺動させると、ケース体の側面上部124suに格納されている下側係合アーム部133は、ケース体の側面上部124suから図矢印(4)のように突出し、リヤフェンダに設けた垂下部としてのリブ114・・・と係合する。つまり、爪部128f、128rと下側係合アーム部133との間でリヤフェンダ17を挟持してリヤフェンダ17に取り付ける。
以上で、サドルバッグ111をリヤフェンダ17に取り付ける一連の操作が完了する。
【0043】
なお、サドルバッグ111をリヤフェンダ17から取り外す操作は、上述した説明と逆の操作を行えば良く、説明を省略する。
次図以降で、上記取付方法を実現するサドルバッグの詳細な構造について説明する。
【0044】
図5は本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの斜視図(下側係合アームが縮んでいる状態)である。なお、ケース体124の内部上面124itを覆うカバーは取り外されている。
【0045】
ケース体124の内部上面124itには、第1ステー135と、この第1ステー135に揺動可能に設けられるハンドル部材126と、このハンドル部材126から延びており下側係合アーム部133側へ駆動力を伝達する駆動支点136、136と、これらの駆動支点136、136から延びている第1アーム137、137と、内部上面124itに設けられ下側係合アーム部133などを支持する第2ステー139と、この第2ステー139の上部に設けられる上支点141と、同じく、上部に設けられる下支点142と、上支点141に揺動可能に設けられ、第1アーム137の先端137aが連結されるとともに第1アーム137の揺動に伴い下側係合アーム部133を駆動する駆動リンク143と、下支点142に揺動可能に設けられる補助リンク144と、駆動リンク143から下側係合アームを揺動可能に支持する上揺動点145へ延びているアッパ駆動アーム147と、補助リンク144から下側係合アームを揺動可能に支持する下揺動点146へ延びている補助アーム148と、が備えられている。
なお、第1ステー135と第2ステー139とは、それぞれ別体でケース体124に独立して取り付けられている。
【0046】
また、ハンドル部材126がケース体124の上面124tから飛び出すことなく上面124tよりも下方に収納され、下側係合アーム部133が、ケース体の側面上部(図4の符号124su)から突設され、下側係合アーム部133がリヤフェンダと係合しているときに、ハンドル部材126を操作不能にロックするロック機構161が設けられている。
【0047】
ロック機構161には、キーシリンダ162と、このキーシリンダ162から中継部材163に延びている第1キーリンク164と、この中継部材163から延びている第2キーリンク165と、この第2キーリンク165に取り付けられ第2キーリンク165の動きに連動してハンドル部材126をロックするロック部材166と、中継部材163の支点としてのピン167と、が備えられている。
【0048】
図6は本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの説明図およびその作用図である。ケース体の内部上面(図5の符号124it)を覆うカバー171には、下側係合アーム部133が突出可能な開口部172が開けられている。
【0049】
(a)において、下側係合アーム部133が、開口部172の内側に位置する状態を説明する図である。このとき、ハンドル部材(図5の符号126)は、ケース体124の上面124tに対し直立しており、ハンドル部材126をつかむことで、サドルバッグ111を容易に運搬することができる。
【0050】
(b)において、下側係合アーム部133が、開口部172の外側に突出している状態を説明する図である。
ハンドル部材126を揺動させて、ケース体124の上面124tに略平行に収納すると、第1アーム137の先端137aが図矢印b方向に移動し、アッパ駆動アーム147を駆動し、下側係合アーム部133を突出させる。下側係合アーム部133が突出するに伴い、下側係合アーム部133を支持する補助アーム148も移動する。
【0051】
下側係合アーム部133が開口部172から突出することで、爪部128f、128rと下側係合アーム部133とでリヤフェンダ17を挟むことになり、リヤフェンダ17にサドルバッグ111が取り付けられる。
【0052】
図7は本発明に係るサドルバッグに備えられている保持部の斜視図(下側係合アームが延びている状態)であり、上述したように、ハンドル部材126は、ケース体124の上面124tから飛び出すことなく収納されている。ハンドル部材126は、下側係合アーム部133が延びている状態で、カバー(図6の符号171)が設けられているときに、このカバー171に開けた開口部(図6の符号172)から下側係合アーム部133が突設されることになる。上記ハンドル部材であれば、可搬性に優れたサドルバッグとし、上記保持部であれば、好ましい着脱性もったサドルバッグが得られる。
【0053】
図8は本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り付けられた状態)であり、リヤフレーム19には、前後の締結部112f、112rを介してリヤフェンダ17が取り付けられ、このリヤフェンダ17には、サドルバッグ111が取り付けられている。
【0054】
少なくとも、サドルバッグ取付穴113f、113rのうちの1つは、前後2箇所の締結部112f、112rの間に設けられているので、サドルバッグ111の取付強度を高めることができる。
【0055】
図9は本発明に係る車両の後部平面図である。但し、乗員シートおよびリヤランプユニットは想像線で示されている。
サドルバッグ取付穴のうちの前部取付穴113f、113fは、車両を上から見たときに、乗員シート15の下方に設けられ、この乗員シート15の後部に、リヤランプユニット116が設けられ、サドルバッグ取付穴のうちの後部取付穴113r、113rは、上方からリヤランプユニット116で覆われている。
【0056】
このように、前後に設けた4つのサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15とリヤランプユニット116によって覆われているので、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rを目立たなくすることができる。
リヤフェンダ17は、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されている。したがって、リヤフェンダ17の耐荷重性を高めることができる。
図中、174は物入れ、175はリレー・ヒューズ箱、176はリヤリザーバタンク、177は排気装置を駆動するモータである。
【0057】
図10は図9の10−10線断面図であり、リヤフェンダ17の前部取付穴113f、113fに、サドルバッグ111の前爪部128f、128fが係合されている状態を示す。
【0058】
詳細には、シートレールを兼ねるリヤフレーム19の下方に、リヤフェンダ17が配置され、このリヤフェンダ17は、後輪ホイールハウスとしてのアーチ状を呈する内リヤフェンダ17Uと、この内リヤフェンダ17Uの外方に配置されている外リヤフェンダ17Sとからなる。この外リヤフェンダ17Sに、サドルバッグ取付穴113f、113fが開けられている。
【0059】
サドルバッグ111に設けた爪部としての前爪部128f、128fには、弾性部材179、179が設けられているので、これらの弾性部材179、179がリヤフェンダ17に押圧され、リヤフェンダ17のサドルバッグ取付穴113f、113fに前爪部128f、128fを密着させるようにすることで、前爪部128f、128fとサドルバッグ取付穴113f、113fとの取付関係が変化する場合であっても、これらの間に隙間などが生じ難くなる。隙間などが生じ難くなれば、例えば、サドルバッグががたつくことなどの問題を解消することができ、リヤフェンダ17にサドルバッグ111をしっかりと保持することができる。なお、弾性部材を省くことは差し支えない。
【0060】
以下、図11〜13において、左右のサドルバッグ111L、111Rの取付構造は、車両の中心線に対し左右対称な構造をもつため、左のサドルバッグ111Lをサドルバッグ111とし、左側の取付構造について説明を行うものとし、右側の取付構造については説明を省略する。
【0061】
図11は図9の11−11線断面図であり、サドルバッグ111に設けられている車体フレーム11側の側面124sには、車体フレーム側に取り付けられ同乗者用ステップ(図9の符号58L)から延びている係止アーム117と係合する係合凹部131が設けられている。
【0062】
サドルバッグ111には、同乗者用ステップ58から延びている係止アーム117と係合する係合凹部131が設けられているので、サドルバッグ取付状態での外観性を高めることができる。
【0063】
図12は図9の12−12線断面図であり、リヤフェンダ17の側部から下方に延設したリブ114・・・に、サドルバッグ111の下側係合アーム部133が係合されている状態を示す。
【0064】
図2を併せて参照して、リヤフェンダ17の側部17sには、垂下部としての複数のリブ114・・・が下方に延びているので、下側係合アーム部133が短いときでも、サドルバッグ111を支持することが可能となる。垂下部としてのリブ114・・・は、リヤフェンダ17の内側下方に延ばされているので、サドルバッグ111が取り外されているときにも、車両の外観性を損なう心配はない。
【0065】
図13は図9の13−13線断面図であり、リヤフェンダ17の後部取付穴113rに、サドルバッグ111の後爪部128rが係合されている。
爪部としての後爪部128rには、弾性部材179が設けられているので、この弾性部材179をリヤフェンダ17に押圧させ、リヤフェンダ17のサドルバッグ取付穴113rに爪部128rを密着させるようにすることで、爪部128rとサドルバッグ取付穴113rとの間に隙間が生じた場合であっても、がたつくことなくリヤフェンダ17にサドルバッグ111を取り付けることができる。なお、弾性部材を省くことは差し支えない。
【0066】
図14は本発明に係る自動二輪車のサドルバッグ取付構造の実施例図および比較例図である。いずれも、サドルバッグが取り外されたときに、車両を上から見た状態である。
(a)において、実施例図が示されており、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15およびリヤランプユニット116によって覆われている。
【0067】
(b)において、比較例図が示されており、4つのサドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brを上方から覆う部材はなく、いずれのサドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brも、車両の上方に露出している。サドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brは、リヤフレームの上面に開けられており、これらのサドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brは、リヤフェンダ17Bで覆われているものの、サドルバッグ111L、111Rが取り外されているときには、サドルバッグ取付穴113Bf、113Br、113Bf、113Brが露出することとなり、車両の外観性を損なう可能性があった。
【0068】
(a)に戻って、リヤフェンダ17には、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rが設けられ、サドルバッグ111は、リヤフェンダ17に設けたサドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rに直接取り付けられる。加えて、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rは、乗員シート15およびリヤランプユニット116の下方に設けられているので、サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rを目立たなくすることができる。サドルバッグ取付穴113f、113r、113f、113rが目立たなくなれば、サドルバッグ111を取り外した場合においても、車両の外観性に影響を与え難くなるので、車両の外観性を高めることができる。
【0069】
尚、本発明は、実施の形態では自動二輪車に適用したが、一般の鞍乗り型車両に適用することは差し支えない。
請求項1では、リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製以外の、鋼板、アルミニウム合金、チタン、その他金属材料でも良いものとする。
請求項3では、リヤフェンダに複数設けられたサドルバッグ取付穴の位置および車体フレームへの締結位置は、各々、任意の位置に設定することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、サドルバッグが着脱可能に設けられている自動二輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明に係る車両の左側面図である。
【図2】本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り外された状態)である。
【図3】本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(サドルバッグ取付穴に爪部を引っ掛け、係止アームの先端に係合凹部を係合させる)である。
【図4】本発明に係るサドルバッグの構成および取付方法説明図(リヤフェンダのリブにサドルバッグの下側係合部を係合させる)である。
【図5】本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの斜視図(下側係合アームが縮んでいる状態)である。
【図6】本発明に係るサドルバッグに備えられている下側係合アーム部リンクアセンブリの説明図およびその作用図である。
【図7】本発明に係るサドルバッグに備えられている保持部の斜視図(下側係合アームが延びている状態)である。
【図8】本発明に係る車両の後部左側面図(サドルバッグが取り付けられた状態)である。
【図9】本発明に係る車両の後部平面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】図9の12−12線断面図である。
【図13】図9の13−13線断面図である。
【図14】本発明に係る自動二輪車のサドルバッグ取付構造の実施例図および比較例図である。
【符号の説明】
【0072】
10…自動二輪車、15…乗員シート、17…リヤフェンダ、19…リヤフレーム、31…後輪、111、111L、111R…サドルバッグ、112f、112r…締結部、113f、113r…サドルバッグ取付穴、114…垂下部(リブ)、117…係止アーム、128f、128r…爪部、131…係合凹部、133…下側係合アーム部、179…弾性部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後部に配置するリヤフレームと、このリヤフレームの下方に設けられ後輪を覆うリヤフェンダと、このリヤフェンダの上方に設けられ乗員が着座する乗員シートと、前記リヤフェンダに取り付けられる物入れとしてのサドルバッグと、を備える自動二輪車のサドルバッグ取付構造において、
前記リヤフェンダには、前記サドルバッグを取り付けるサドルバッグ取付穴が設けられ、
前記サドルバッグには、車体の内側に延びて下側に折れ曲がり前記サドルバッグ取付穴に引っ掛ける爪部と、この爪部の下側に設け車体の内側上方に延びて前記爪部と協動して前記リヤフェンダを挟持する下側係合アーム部と、が備えられ、
前記サドルバッグは、前記爪部と前記下側係合アーム部とで前記リヤフェンダを挟むことで前記リヤフェンダに取り付けられていることを特徴とする自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項2】
前記サドルバッグ取付穴は、車両を上から見たときに、前記乗員シートの下方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項3】
前記リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項4】
前記リヤフェンダには、前記下側係合アームによって挟持される垂下部が下方に延びていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項5】
前記サドルバッグ取付穴は複数個設けられ、
前記リヤフェンダは、少なくとも前後2箇所の締結部にて前記車体フレームへ締結され、
少なくとも、前記サドルバッグ取付穴のうちの1つは、前記前後2箇所の締結部の間に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項6】
前記サドルバッグに設けられている前記車体フレーム側の側面には、前記車体フレーム側に取り付けられ同乗者用ステップのホルダから延びている係止アームと係合する係合凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項7】
前記サドルバッグ取付穴に引っ掛けられる前記爪部には、弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項1】
車体の後部に配置するリヤフレームと、このリヤフレームの下方に設けられ後輪を覆うリヤフェンダと、このリヤフェンダの上方に設けられ乗員が着座する乗員シートと、前記リヤフェンダに取り付けられる物入れとしてのサドルバッグと、を備える自動二輪車のサドルバッグ取付構造において、
前記リヤフェンダには、前記サドルバッグを取り付けるサドルバッグ取付穴が設けられ、
前記サドルバッグには、車体の内側に延びて下側に折れ曲がり前記サドルバッグ取付穴に引っ掛ける爪部と、この爪部の下側に設け車体の内側上方に延びて前記爪部と協動して前記リヤフェンダを挟持する下側係合アーム部と、が備えられ、
前記サドルバッグは、前記爪部と前記下側係合アーム部とで前記リヤフェンダを挟むことで前記リヤフェンダに取り付けられていることを特徴とする自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項2】
前記サドルバッグ取付穴は、車両を上から見たときに、前記乗員シートの下方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項3】
前記リヤフェンダは、ガラス繊維または炭素繊維を含む樹脂製にて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項4】
前記リヤフェンダには、前記下側係合アームによって挟持される垂下部が下方に延びていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項5】
前記サドルバッグ取付穴は複数個設けられ、
前記リヤフェンダは、少なくとも前後2箇所の締結部にて前記車体フレームへ締結され、
少なくとも、前記サドルバッグ取付穴のうちの1つは、前記前後2箇所の締結部の間に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項6】
前記サドルバッグに設けられている前記車体フレーム側の側面には、前記車体フレーム側に取り付けられ同乗者用ステップのホルダから延びている係止アームと係合する係合凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【請求項7】
前記サドルバッグ取付穴に引っ掛けられる前記爪部には、弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の自動二輪車のサドルバッグ取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−47164(P2010−47164A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214181(P2008−214181)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
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