説明

自動二輪車の盗難防止装置

【課題】加速度センサおよび警報出力手段を近接配置して設置スペースを低減しながら、警報出力手段を適切に制御できる自動二輪車の盗難防止装置を提供する。
【解決手段】非走行中の車体の振動等を検知して警報音を発する自動二輪車の盗難防止装置において、振動等を検出するGセンサ51と、警報音を出力するブザー50と、少なくともGセンサ51の出力に基づいてブザー50を作動させる警報装置駆動制御部60とを具備し、Gセンサ51とブザー50とを近接配置する。警報装置駆動制御部60は、ブザー50の吹鳴中、Gセンサ51を非動作状態としてGセンサ51の信号出力を禁止する。また、ブザー50の吹鳴中は、Gセンサ51からの信号入力の検知を禁止する。さらに、ブザー50の吹鳴中、Gセンサ51の出力が検知されてもブザー50を作動させないようにする。Gセンサ51およびブザー50を、メータユニット30の内部に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の盗難防止装置に係り、特に、非走行中の車体の振動を検知して警報音等を発するようにした自動二輪車の盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車体の振動を検知する加速度センサを備え、車両が不使用状態にあるときに加速度センサから所定値を超える信号出力があると、警報音を発するようにした盗難防止装置が知られている。このような盗難防止装置においては、警報音が必要な状況以外で警報音が発せられることを防ぐために、種々の工夫が施されている。
【0003】
特許文献1には、エンジンを始動してから発進するまでの間は振動検出センサの検出機能を低下させることで、暖機運転中のエンジンの振動で盗難防止装置が作動することを防止するようにした4輪車の盗難防止装置が開示されている。
【特許文献1】特開平8−310344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車体の余剰スペースが少ない自動二輪車においては、盗難防止装置を構成する加速度センサや警報出力手段の配置も、車体レイアウト上の課題となる。そして、外方への露出部分が多い自動二輪車において、盗難防止装置へのアクセスを防ぎやすい構成としては、加速度センサと警報出力手段とを同一のハウジング等に収納し、外装部品の内側等に配置することが考えられる。しかしながら、このような配置を適用すると、加速度センサと警報出力手段とが近接配置されることとなり、盗難防止装置が作動した場合に、警報出力手段の発する振動が加速度センサに検知されることで、警報音が鳴り続けてしまう可能性が生じる。特許文献1の盗難防止装置では、このような加速度センサおよび警報出力手段の配置構成に係る課題に関しては、検討されていなかった。
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、加速度センサおよび警報出力手段を近接配置して設置スペースを低減しながら、警報出力手段を適切に制御できる自動二輪車の盗難防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、非走行中の車体の振動等を検知して警報音を発する自動二輪車の盗難防止装置において、前記振動等を検出する加速度センサと、前記警報音を出力する警報音出力手段と、少なくとも前記加速度センサの出力に基づいて、前記警報音出力手段を作動させる制御部とを具備し、前記加速度センサと前記警報音出力手段とが近接配置されており、前記制御部が、前記警報音出力手段を作動させている間は、前記加速度センサを非動作状態としてその信号出力を禁止するように構成されている点に第1の特徴がある。
【0007】
また、非走行中の車体の振動等を検知して警報音を発する自動二輪車の盗難防止装置において、前記振動等を検出する加速度センサと、前記警報音を出力する警報音出力手段と、少なくとも前記加速度センサの出力に基づいて、前記警報音出力手段を作動させる制御部とを具備し、前記加速度センサと前記警報音出力手段とが近接配置されており、前記制御部が、前記警報音出力手段を作動させている間は、前記加速度センサからの信号入力の検知を禁止するように構成されている点に第2の特徴がある。
【0008】
また、非走行中の車体の振動等を検知して警報音を発する自動二輪車の盗難防止装置において、前記振動等を検出する加速度センサと、前記警報音を出力する警報音出力手段と、少なくとも前記加速度センサの出力に基づいて、前記警報音出力手段を作動させる制御部とを具備し、前記加速度センサと前記警報音出力手段とが近接配置されており、前記制御部が、前記警報音出力手段を作動させている間は、前記加速度センサの出力を検知しても前記警報音出力手段の作動を禁止するように構成されている点に第3の特徴がある。
【0009】
また、前記加速度センサおよび警報音出力手段が、メータユニットの内部に配設されている点に第4の特徴がある。
【0010】
さらに、前記加速度センサおよび警報音出力手段が、前記メータユニット内の共通の基盤上に配設されている点に第5の特徴がある。
【発明の効果】
【0011】
第1の特徴によれば、盗難防止装置を構成する加速度センサと警報音出力手段とが近接配置されており、警報音出力手段の作動中は、加速度センサを非動作状態として加速度センサの信号出力を禁止するように構成されているので、加速度センサと警報音出力手段とを近接配置したことで、警報音出力手段の発する警報音等の振動が加速度センサに伝わってしまう場合でも、これにより警報音出力手段が作動し続けることを防止できる。また、警報音出力手段の作動中の消費電力を低減することができる。
【0012】
第2の特徴によれば、警報音出力手段の作動中は加速度センサからの信号入力の検知を禁止するように構成されているので、加速度センサと警報音出力手段とを近接配置したことにより、警報音出力手段の発する警報音等の振動が加速度センサに伝わってしまう場合でも、これにより警報音出力手段が作動し続けることを防止することができる。
【0013】
第3の特徴によれば、警報音出力手段の作動中は、加速度センサの出力を検知しても警報音出力手段の作動を禁止するように構成されているので、加速度センサと警報音出力手段とを近接配置したことで、警報音出力手段の発する警報音等の振動が加速度センサに伝わってしまう場合でも、これにより警報音出力手段が作動し続けることを防止できる。また、制御部の設定のみでこのような効果を実現することが可能となる。
【0014】
第4の特徴によれば、加速度センサおよび警報音出力手段がメータユニットの内部に配設されているので、盗難防止装置の構成部材がメータユニット内に収納されることで、盗難防止装置の設置スペースを低減することができる。また、スピーカ等からなる警報音出力手段の配線等がメータユニット内に収納されるので、車体外方からこれにアクセスしにくくすることができる。さらに、盗難防止装置の車体側への取付自由度を高めることができる。
【0015】
第5の特徴によれば、加速度センサおよび警報音出力手段が、メータユニット内の共通の基盤上に配設されているので、部品点数が削減されて構造が簡略化でき、メータユニットの組立作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る盗難防止装置が適用された自動二輪車1の側面図である。また、図2は、自動二輪車1の一部拡大図である。自動二輪車1は、シート8を挟んで車幅方向に左右一対の足乗せフロア4が形成されたスクータ型車両である。前輪WFを回動自在に軸支する左右一対のフロントフォーク2は、操向ハンドル3で操舵可能となるように不図示の車体フレームに軸支されている。車体前方を覆うフロントカウル5には、ヘッドライト6が取り付けられ、その上部に防風スクリーン7が配設されている。
【0017】
足乗せフロア4の後方で、不図示の車体フレームの後端部には、エンジンおよび伝動装置を一体に構成したパワーユニット10の前端部が揺動可能に軸支されている。駆動輪としての後輪WRを回転自在に軸支するパワーユニット10は、その後端部のリヤクッション11を介して車体に吊り下げられている。
【0018】
図2を併せて参照して、防風スクリーン7と操向ハンドル3との間の車幅方向略中央には、メータユニット30が配設されており、その左右には、オーディオ出力用のスピーカ12が取り付けられている。本実施形態に係る盗難防止装置は、このメータユニット30の内部に収納されている。
【0019】
図3は、メータユニット30の正面図である。また、図4は、図3のA−A線断面図である。メータユニット30は、ハウジング31aにメータ基盤54等を収納し、無色透明なレンズ31で上方から蓋をした構成とされる。ハウジング31aおよびレンズ31は、合成樹脂の薄板等で形成することができる。そして、メータ基盤54の表面側、すなわち、乗員に対向する側には、種々の計器および警告灯類の作動機構53が固定されている。なお、メータユニット30は、該メータユニット30を囲繞する外装部品等を取り外さない限り、車体から外すことができないように構成されている。
【0020】
メータユニット30の中央左右には、アナログ表示の速度計32およびエンジン回転計33が配設され、この両者の間に、時刻や走行距離等を示す液晶表示板34が配設されている。エンジン回転計33の右側には冷却水の水温計35が配設され、速度計32の左側には燃料計36が配設されている。また、液晶表示板34の上部には、左側から、燃料噴射装置や点火装置等のエンジンシステムが正常でない場合に点灯するエンジン警告灯38、パーキングブレーキの作動時に点灯するパーキングブレーキ警告灯39、後述する携帯キーとの無線通信時等に点灯または点滅する通信状態表示灯40、エンジンオイルの油圧が正常でない場合に点灯する油圧警告灯41、ヘッドライト6の光軸が上向きに設定されている際に点灯する前照灯上向き表示灯42、からなる警告灯類が一列に配設されている。さらに、水温計35および燃料計36の上部には、左右一対の方向指示器表示灯37が配設されている。
【0021】
メータ基盤54の裏面側には、警報音出力手段としてのブザー50、非走行中の車体の振動を検知する加速度センサとしてのGセンサ51、計器および警告灯類への電源供給および各種信号入力用の配線束を接続するためのコネクタ52、所定の条件が成立した際にブザー50を作動させる制御部としての警報装置駆動制御部60が配設されている。なお、ブザー50およびGセンサ51は、例えば、コイルを用いたスピーカおよび圧電素子を用いたセンサによる周知の構成とすることができる。なお、メータユニット30の表面側に配設される計器および警告灯類の種類や形態、ハウジングやレンズの形状等は、種々の変形が可能であり、例えば、レンズを計器類のみを覆う形状にすると共に、警告灯類を外方に露出させる構成としてもよい。
【0022】
本実施形態に係る盗難防止装置は、例えば、乗員が車両から離れた駐車状態において、Gセンサ51から所定値を超える加速度が検知されると、第三者によるアクセスがあったものとしてブザー50を吹鳴させるように構成されている。本実施形態では、ブザー50とGセンサ51とを同一ハウジングの内部に近接配置することで、盗難防止装置の設置スペースを低減すると共に、ブザー50やGセンサ51に接続される配線の長さを極力短くして、外部からのアクセスに対する耐性を高めている。
【0023】
しかしながら、このような近接配置を適用すると、ブザー50が吹鳴を開始した際に、この吹鳴音による振動が加速度センサ51によって検知され、ブザー50が作動し続けてしまう可能性がある。そのため、本発明に係る盗難防止装置では、警報装置駆動制御部60の設定によって、ブザー50の吹鳴中においても適切な制御が可能となるように構成されている。以下、図5ないし図10を参照して、本発明の第1ないし第3実施形態に係る盗難防止装置の構成をそれぞれ説明する。なお、本実施形態において、「ブザー50とGセンサ51とを近接配置する」とは、ブザー50の吹鳴時の振動がGセンサ51の出力信号に影響を与える範囲内に両者を配置することに相当する。
【0024】
図5は、本発明の第1実施形態に係る盗難防止装置の構成を示すブロック図である。また、図6は、同実施形態に係る盗難防止装置の制御の流れを示すフローチャート(1)である。前記と同一符号は、同一又は同等部分を示す。自動二輪車1に設けられた電波受信部62は、受信アンテナ65を介して携帯キー61からの送信電波を受信する。携帯キー61には、盗難防止装置のセットボタンおよびアンセットボタンが設けられており、車両との通信可能範囲内でいずれかのボタンを押すと、車体側との無線通信が開始され、携帯キー61が車両に固有のものであるか否かの認証が開始される。この認証が正しく実行されると、盗難防止装置を作動させるセット動作または作動を解除するアンセット動作が実行される。
【0025】
一方、エンジンを停止して車両から降車し、携帯キー61のセットボタンを押すと、駐車状態、すなわち、盗難検知が必要な状態になったと判定され、盗難検知開始設定部63によって盗難検知モードが開始される。なお、メータユニット30内の通信状態表示灯40は、セットボタンおよびアンセットボタンの押下げに伴って、車体側との無線通信が正しく実行されたことを乗員に知らせるために少なくとも1回点滅する。また、盗難検知モードの開始条件は、停車時に車両を自立させるスタンド装置が使用状態であり、かつ携帯キー61のセットボタンが押下された場合等に設定することができる。
【0026】
また、盗難判定手段64には、Gセンサ51の出力信号が入力されており、この盗難検知モード中にGセンサ51の出力信号が所定値を超えると、第三者によるアクセスが行われたと判定して、警報装置駆動制御部60に要警告状態であることを伝達する。警報装置駆動制御部60は、盗難判定手段64からの指令を受けて、ブザー50を吹鳴させると共に、通信状態表示灯40を点滅させるように構成されている。なお、ブザー50の吹鳴と共に作動させるのは通信状態表示灯40に限られず、例えば、メータ内の各種警告灯類や車両の灯火器類、オーディオ装置等としてもよい。さらに、ブザー吹鳴時にブザー50のみを作動させる構成としてもよい。
【0027】
なお、図4に示したように、本実施形態では、盗難検知開始設定部63および盗難判定手段64を不図示のECU内に設けると共に、警報装置駆動制御部60をメータユニット30の内部に設けるようにしているが、これらの配置は種々の変形が可能であり、例えば、警報装置駆動制御部60をECUの内部に設けたり、盗難検知開始設定部63および盗難判定手段64をメータユニット30の内部に設けるようにしてもよい。
【0028】
そして、本実施形態に係る盗難防止装置は、警報装置駆動制御部60の内部に、Gセンサ作動停止設定手段60aを備える点に特徴がある。Gセンサ作動停止設定手段60aは、ブザー50の吹鳴中はGセンサ51を非動作状態にすることで、Gセンサ51からの信号出力を禁止する機能を有する。
【0029】
図6は、前記第1実施形態に係る盗難防止装置の制御の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、盗難判定手段64内で実行処理される。ステップS10では、警報装置駆動制御部60によってブザー50が吹鳴中であるか否かが判定される。ステップS10で否定判定されると、ステップS20に進んでGセンサ51の電源をオンにし、ステップS30でGセンサ51の出力信号を盗難判定手段64で検知する。続くステップS40では、盗難判定手段64によって盗難検出処理が実行され、続くステップS50でGセンサ51の電源をオフにして一連の制御を終了する。
【0030】
本実施形態に係る盗難防止装置では、盗難検知モード中の消費電力を低減するため、Gセンサ51の電源を所定の周期(例えば、15秒毎)で断接するように構成されている。上記したステップS20,30,40,50は、この盗難検知モードの動作中に繰り返して行われる通常制御の流れであり、ステップS40の実行時にGセンサ51の出力信号が所定値を超えると、ブザー50が吹鳴することとなる。
【0031】
一方、ステップS10で肯定判定される、すなわち、ブザー50が吹鳴中であると、上記ステップS20〜50の流れを通らずに、一連の制御を終了する。これは、ブザー50が吹鳴中である場合は、Gセンサ作動停止設定手段60aが、Gセンサ51の電源がオンとなるステップS20〜50を回避する、すなわち、Gセンサ51を非作動状態とすることで、Gセンサ51の信号出力を禁止することによる。なお、Gセンサ51の非動作状態は、電源オフ状態のほか、センサ信号を出力しないように所定の制御が実行された状態であってもよい。このような設定によれば、ブザー50の吹鳴による振動をGセンサ51が検知し続けることによって、ブザー50の作動が継続されることを防止することが可能となる。また、このような制御を実行することにより、メータユニット30にブザー50およびGセンサ51を近接配置して、盗難防止装置の設置スペースを低減することが可能となる。また、Gセンサ51の電源をオフにして非作動状態とする場合は、ブザー50の吹鳴中の消費電力を低減することが可能となる。なお、一旦吹鳴を開始したブザー50は、携帯キー61の操作で停止することができる。また、警報装置駆動制御部60内にタイマ(不図示)を備えて、このタイマによって吹鳴と一時停止とが所定間隔で繰り返されるように設定してもよい。さらに、ステップS20,S50においては、Gセンサ51の電源をオンオフする代わりに、Gセンサ51の動作モードを、通常モードと他のモード(非動作モード、低消費電流動作モード、スタンバイモード等)との間で切り換えるようにしてもよい。
【0032】
図7は、本発明の第2実施形態に係る盗難防止装置の構成を示すブロック図である。また、図8は、同盗難防止装置の制御の流れを示すフローチャート(2)である。前記と同一符号は、同一又は同等部分を示す。本実施形態では、警報装置駆動制御部60の内部に、Gセンサ出力検知禁止設定手段60bを備える点に特徴がある。Gセンサ出力検知禁止設定手段60bは、ブザー50の吹鳴中に、警報装置駆動制御部60がGセンサ51の出力信号を受け付けないようにする機能を有する。以下、第1実施形態と同一部分は詳細な説明を省略する。
【0033】
図8のフローチャートを参照して、ステップS20ではGセンサ51の電源がオンにされ、ステップS30ではGセンサ51の出力信号を盗難判定手段64で検知する。続くステップS35では、ブザー50が吹鳴中であるか否かが判定される。ステップS35で否定判定されると、通常の流れであるステップS40に進んで盗難検出処理が実行され、ステップS50でGセンサ51の出力がオフにされて一連の制御を終了する。
【0034】
一方、ステップS35で肯定判定される、すなわち、ブザー50が吹鳴中であると、ステップS40を飛ばして、ステップS50でGセンサ51の出力をオフにし、一連の制御を終了する。このような設定によれば、ブザー50の吹鳴中であると判定されたときは、盗難検出処理を省くことで、盗難判定手段64がGセンサ51の出力信号を検知しないようにして、ブザー50が作動し続けることを防ぐことが可能となる。
【0035】
図9は、本発明の第3実施形態に係る盗難防止装置の構成を示すブロック図である。また、図10は、同盗難防止装置の制御の流れを示すフローチャート(3)である。前記と同一符号は、同一又は同等部分を示す。本実施形態では、警報装置駆動制御部60の内部に盗難判定クリア手段60cを備え、ブザー50の吹鳴中は、Gセンサ51からの出力信号が所定値を超えても、盗難判定手段64がこれを警報装置の作動条件として考慮しないように設定されている点に特徴がある。以下、第1,2実施形態と同一部分は詳細な説明を省略する。
【0036】
図10のフローチャートを参照して、ステップS20ではGセンサ51の電源がオンにされる。続くステップS30では、Gセンサ51の出力信号が盗難判定手段64によって検知され、ステップS40において盗難検出処理が実行される。そして、ステップS45では、ブザー50が吹鳴中であるか否かが判定される。ステップS45で否定判定されると、通常の流れであるステップS50に進んでGセンサ51の電源がオフにされ、一連の制御を終了する。
【0037】
一方、ステップS45で肯定判定される、すなわち、ブザー50が吹鳴中であると判定されると、ステップS46に進んで、盗難検出のフラグがクリアされる。このフラグは、前記ステップS40の盗難検出処理において、Gセンサ51の出力が所定値を超えたために成立したものである。ステップS46でフラグがクリアされると、ブザー50が吹鳴したままの状態でGセンサ51の電源がオフにされて、一連の制御を終了する。
【0038】
このような設定によれば、ブザー50が吹鳴中であると判定されたときは、Gセンサ51の出力信号が所定値を超えたときに成立するフラグをクリアするので、ブザー50の吹鳴中、この振動によってGセンサ51の出力信号が所定値を超えても、警報装置駆動制御部60からブザー50を吹鳴させる命令が出されないこととなる。これにより、ブザー50が継続して吹鳴することを防止することが可能となる。
【0039】
上記したように、本発明に係る盗難防止装置によれば、車体に印加された振動を検知するGセンサと、該Gセンサの出力信号が所定値を超えると作動するブザーとを近接配置しつつ、ブザーの吹鳴中は、Gセンサの出力信号に基づいてブザーを吹鳴させることを禁止するようにしたので、ブザーの振動がGセンサに影響を与えてブザーの吹鳴が継続されることを防ぎつつ、盗難防止装置の設置スペースを低減することができる。
【0040】
なお、Gセンサおよびブザーの構造や配置、メータユニットの配置や構成等は、上記した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、Gセンサおよびブザー等の盗難防止装置を専用ハウジングに収納し、これを車体の任意の場所に配設してもよい。本発明に係る盗難防止装置は、自動二輪車に限られず、三輪車や四輪車等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る盗難防止装置が適用された自動二輪車の一部拡大図である。
【図2】自動二輪車1の一部拡大図である。
【図3】メータユニットの正面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る盗難防止装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る盗難防止装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る盗難防止装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る盗難防止装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る盗難防止装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る盗難防止装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1…自動二輪車、3…操向ハンドル、7…防風スクリーン、30…メータユニット、40…通信状態表示灯、50…ブザー(警報音出力手段)、51…Gセンサ(加速度センサ)、60…警報装置駆動制御部(制御部)、61…携帯キー、60a…Gセンサ出力検知禁止設定手段、60b…Gセンサ作動停止設定手段、60c…盗難判定クリア手段、62…電波受信部、63…盗難検知開始設定部、64…盗難判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非走行中の車体の振動等を検知して警報音を発する自動二輪車の盗難防止装置において、
前記振動等を検出する加速度センサと、
前記警報音を出力する警報音出力手段と、
少なくとも前記加速度センサの出力に基づいて、前記警報音出力手段を作動させる制御部とを具備し、
前記加速度センサと前記警報音出力手段とが近接配置されており、
前記制御部が、前記警報音出力手段を作動させている間は、前記加速度センサを非動作状態としてその信号出力を禁止するように構成されていることを特徴とする自動二輪車の盗難防止装置。
【請求項2】
非走行中の車体の振動等を検知して警報音を発する自動二輪車の盗難防止装置において、
前記振動等を検出する加速度センサと、
前記警報音を出力する警報音出力手段と、
少なくとも前記加速度センサの出力に基づいて、前記警報音出力手段を作動させる制御部とを具備し、
前記加速度センサと前記警報音出力手段とが近接配置されており、
前記制御部が、前記警報音出力手段を作動させている間は、前記加速度センサからの信号入力の検知を禁止するように構成されていることを特徴とする自動二輪車の盗難防止装置。
【請求項3】
非走行中の車体の振動等を検知して警報音を発する自動二輪車の盗難防止装置において、
前記振動等を検出する加速度センサと、
前記警報音を出力する警報音出力手段と、
少なくとも前記加速度センサの出力に基づいて、前記警報音出力手段を作動させる制御部とを具備し、
前記加速度センサと前記警報音出力手段とが近接配置されており、
前記制御部が、前記警報音出力手段を作動させている間は、前記加速度センサの出力を検知しても前記警報音出力手段の作動を禁止するように構成されていることを特徴とする自動二輪車の盗難防止装置。
【請求項4】
前記加速度センサおよび警報音出力手段が、メータユニットの内部に配設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自動二輪車の盗難防止装置。
【請求項5】
前記加速度センサおよび警報音出力手段が、前記メータユニット内の共通の基盤上に配設されていることを特徴とする請求項4に記載の自動二輪車の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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