説明

自動二輪車駐輪装置

【課題】自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる自動二輪車駐輪装置を提供する。
【解決手段】自動二輪車駐輪装置10は、地面に載置される基部2と、該基部2の中央部に設けられた回転台3と、該回転台3の上面に設けられた一対のクランプ部材51,52と、該回転台3の下方に設けられたカム部材6と、該回転台3をロック状態または回転可能状態にするロック装置16と、該ロック装置16を制御するための各種センサ19,35,47と、料金や充電を管理する料金支払機80とを備える。自動二輪車駐輪装置10においては、回転台3が回転と連動してクランプ部材51,52が自動二輪車の前輪を狭持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートバイ、原動付自転車、電動自動二輪車などの自動二輪車を駐輪する自動二輪車駐輪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、自動車における路上駐車が厳しく取り締まられるようになっている。従って、街の所々に自動車を駐車させるための駐車場が設けられ、自動車の路上駐車を減少させるような配慮がなされている。
【0003】
また、自動二輪車の駐輪についても同様、取り締まりが厳しくなっていることより、従来から存在する自動二輪車専用の駐輪装置というものの意義が高まってきている。このような自動二輪車専用の駐輪装置が、たとえば、下記特許文献1〜4に開示されている。
【0004】
下記特許文献1〜4には、自動二輪車の前輪を前輪載置台に載置した後、レールに沿って前方に押し出すように摺動して駐輪するような自動二輪車駐輪装置が開示されている。そして、この際、自動二輪車は左にハンドルを切るとハンドルロックがかけられることから、前輪載置台において前輪を左斜めに固定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−021640号公報
【特許文献2】特開2006−021617号公報
【特許文献3】特開2005−297890号公報
【特許文献4】特開平8−060890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような構成では、少なくとも敷設するレールにより自動二輪車専用の駐輪装置自体の構成が大きくなってしまうし、また、レールを敷設するために地面を平坦に整備しなければならないという問題があった。また、自動二輪車の重量は大きいため、駐輪するための入庫および出庫の際に、自動二輪車の前輪を載置させた状態で前輪載置台を前後に摺動させることは、容易なことではないという問題があった。さらに、前輪が十分に固定されていないために、前輪を持ち上げれば容易に不正出庫を許してしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる自動二輪車駐輪装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る自動二輪車駐輪装置は、上記目的を達成するために、中央部に開口部を有する基部と、基部の開口部において平面方向に回転可能に設けられた回転台と、回転台の上面に設けられた一対のクランプ部材とを備え、回転台に前輪を載せた状態で所定方向に回転させると、該回転台の回転と連動して一対のクランプ部材が前輪の下部を挟持することを特徴とする。
【0009】
これによれば、自動二輪車の前輪を回転台に載せてハンドルを所定方向(一般には反時計回り)に回転させれば、回転台が所定方向に回転し、回転台の回転と連動して一対のクランプ部材が前輪の下部を挟持する。このため、自動二輪車が有しているハンドルロック機能と相俟って自動二輪車の前輪を固定するため、自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる。
【0010】
また、回転台の下方に、回転台と一対のクランプ部材を連動させるカム機構が設けられ、回転台に前輪を載せた状態で平面方向に回転させると、回転台の回転と連動して一対のクランプ部材がカム機構を介して前輪の下部を挟持するのが好ましい。これによれば、カム機構という機械的構成により回転台とクランプ部材とを連動させるため、電気駆動源を使用せずに自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる。
【0011】
また、カム機構は、両側の周端部が回転台の回転方向に沿って次第に径大となる形状に形成された一枚のカム部材からなり、一対のクランプ部材は、回転台に近接離間方向に回動可能に設けられ、カム部材の周端部と、一対のクランプ部材の下端部とが互いに当接する態様で配置され、回転台に前輪を載せた状態で平面方向に回転させると、一対のクランプ部材も平面方向に回転し、それと連動して一対のクランプ部材はその下端部がカム部材の周端部に沿って外側に押しやられ、その上端部が近接方向に回動して前輪の下部を挟持するのが好ましい。これによれば、一枚のカム部材によりカム機構が構成されるため、簡易な構成にして自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる。
【0012】
また、カム機構は、回転台の回転方向に沿って次第に回転台の中央から遠ざかるように形成される溝部を有するカム部材からなり、一対のクランプ部材は、回転台に近接離間方向に回動可能に設けられ、カム部材の溝部に、一対のクランプ部材の下端部が嵌合する態様で配置され、回転台に前輪を載せた状態で平面方向に回転させると、一対のクランプ部材も平面方向に回転し、それと連動して一対のクランプ部材はその下端部がカム部材の溝部に沿って外側に押しやられ、その上端部が近接方向に回動して前輪の下部を挟持するのが好ましい。これによれば、クランプ部材とカム部材とをともに容易に形成することができるとともに一枚のカム部材によりカム機構が構成されるため、簡易な構成にして自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる。
【0013】
また、回転台をロック状態または回転可能状態にするロック装置が設けられているのが好ましい。これによれば、回転台の動作に応じて適宜、ロック状態または回転可能状態にすることができる。
【0014】
また、自動二輪車の前輪を検知する入庫確認センサが設けられ、ロック装置は、該入庫確認センサの検知に基づいて、回転台を回転可能状態にするのが好ましい。これによれば、自動二輪車が駐輪されていない場合には回転台をロック状態にし、自動二輪車が駐輪される場合のみに回転台を回転可能状態にすることができる。
【0015】
また、回転台が所定角度以上回転したことを検知するハンドル回転確認センサが設けられ、ロック装置は、該ハンドル回転確認センサの検知に基づいて回転台が当該所定角度以上にのみ回転可能状態にするのが好ましい。これによれば、回転台に前輪を載せた状態で所定角度以上回転させると、反対方向には回転しなくなるため、自動二輪車の前輪を平面方向にも固定することができる。しかも、所定角度以上さえ回転させればよいので、様々なハンドル回転角の自動二輪車にも適用可能である。
【0016】
また、回転台が初期状態に戻ったことを検知する原点確認センサが設けられ、ロック装置は、該原点確認センサの検知に基づいて回転台をロック状態にするのが好ましい。これによれば、自動二輪車の出庫に際して回転台を初期状態に戻した場合、回転台がロック状態となるため、自動二輪車の前輪をスムーズに引き降ろすことができる。また、不使用時においても、回転台が不用意に回転することを防止できる。
【0017】
また、回転台の所定方向と反対方向に作用するバネ部材が設けられ、ロック装置が回転台を回転可能状態にした場合、バネ部材の作用により回転台が所定方向と反対方向に回転するのが好ましい。これによれば、たとえば、回転台から不正に前輪が出された場合、ロック装置が回転台を回転可能状態にすれば、バネ部材の作用により回転台が所定方向と反対方向に回転して、自動的に初期状態に戻ることができる。なお、この場合、入庫確認センサを利用して、回転台から不正に前輪が出されたことを検知するものとするのが好ましい。
【0018】
また、クランプ部材は、その上端部と下端部との間に弾性部材を介在させるのが好ましい。これによれば、クランプ部材に柔軟性を与えることができるため、クランプ部材が挟持する自動二輪車の前輪に余計な負担をかけることを防止できる。
【0019】
また、自動二輪車に電気を供給する充電装置が設けられているのが好ましい。これによれば、自動二輪車が電動の場合、駐輪している間に充電することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、自動二輪車の前輪を回転台に載せてハンドルを所定方向に回転させれば、回転台が所定方向に回転し、該回転台の回転と連動して一対のクランプ部材が前輪の下部を挟持する。このため、自動二輪車が有しているハンドルロック機能と相俟って自動二輪車の前輪を固定するため、自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる。
【0021】
しかも、回転台とクランプ部材が互いに連動していることから、入庫時に自動二輪車のハンドルを所定方向に回転してハンドルロックをかけるときには、クランプ部材による前輪の挟持を完了させることができ、スピーディな入庫が可能となる。
【0022】
また、自動二輪車の前輪を固定するだけなので、装置を設置するための省スペース化を図ることが可能である。
【0023】
さらに、自動二輪車の前輪の下部を挟持しているため、前輪を持ち上げて装置から脱する不正出庫を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本装置の平面図である。
【図2】本装置の右側面図である。
【図3】本装置の正面図である。
【図4】図1の本装置のIV−IV線断面矢視図である。
【図5】カム部材の(a)平面図と(b)正面図である。
【図6】ロック装置と各センサとの電気的構成を示すブロック図である。
【図7】自動二輪車が本装置に駐輪されている状態を示す左側面図である。
【図8】自動二輪車が本装置に駐輪されている状態を示す平面図である。
【図9】他の実施形態に係る本装置の正面図である。
【図10】図9のX−Xにおける矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の一実施形態に係る自動二輪車駐輪装置10(以下、この実施形態においては本装置10という)について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
本装置10は、図1に示すように、地面に載置される基部2と、該基部2の中央部に設けられた回転台3と、該回転台3の上面に設けられた一対のクランプ部材51,52と、該回転台3の下方に設けられたカム部材6と、該回転台3をロック状態または回転可能状態にするロック装置16と、該ロック装置16を制御するための各種センサ19,35,47と、料金や充電を管理する料金支払機80(図7参照)とを備える。
【0027】
前記基部2は、地面に固定される円盤形状の下側基台11と、下側基台11の周縁部に立設されたリング形状の基部側面部12と、基部側面部12の内側に設けられたリング形状の上側基台13と、下側基台11および上側基台13との間に設けれた側面軸受け部14と、下側基台11上に敷設された焼入れプレート15と、下側基台11の中央部に設られたカム支持部材61とを備える。
【0028】
下側基台11は、図2に示されるように、アンカー111などの公知の手段により地面に固定され、本装置10全体が移動しないように支持するものである。
【0029】
基部側面部12は、下側基台11のの周縁部から上方に立設された断面逆L字形状に形成され、下側基台11との間に空間を形成して、本装置10の各部材を収容するようになっている。
【0030】
上側基台13は、基部側面部12の上面と略同一面を形成し、中央部には開口部131が形成されている。
【0031】
側面軸受け部14は、下側基台11と上側基台13の間の空間において、上側基台13の開口部131に沿って略等間隔で複数設けられている。この側面軸受け部14は、内部のボール部材(図示略)が回転台に当接し、回転台3の回転をスムーズにさせるとともに、回転台3の横ずれを抑制する。
【0032】
焼入れプレート15は、側面軸受け部14と同様、回転台3の回転をスムーズにさせるための部材であり、回転台3の下方に設けられた回転台軸受け部32のボール部材32aが円滑に転がるように上面は平坦である。なお、回転台3の下方に設けられたボール部材32aと焼入れプレート15とにより軸受けの動作を行う。
【0033】
なお、(17)は、基部2は、自動二輪車Bの前輪Tを本装置10上に誘導するスロープ17である。また、(18)は、本装置10に駐輪させた自動二輪車Bを持ち上げによって運び出されるなどといったような不正出庫を防止する柵である。柵18は前輪Tの奥側から手前側にかけて傾斜しており、入庫時に自動二輪車Bの下部が接触しないようになっている。
【0034】
前記回転台3は、上側基台13の開口部131に設けられた円盤形状の回転台本体31と、回転台本体31の周縁部下面に回転台軸受け部32と、中央部下面に設けられたクランプ支持部331a、332aと、回転台の両側に設けられた回転復帰用バネ7a、7bとを備え、本装置10の中心部を回転軸として回転する。
【0035】
回転台本体31は、下方に設けられた複数の回転台軸受け部32に支持されて、上側基台13と同一平面を形成するように設けられている。そして、回転台31の中央部には、後述するクランプ部材51,52を貫通させるための矩形状の貫通孔331,332が穿設されている。この貫通孔331、332は、回転台3の中央を隔てて、自動二輪車Bの前輪Tが進入してくる方向に沿って形成されている。なお、回転台本体31の周縁部には下方に立設する側端面34が設けられている。
【0036】
回転台軸受け部32は、略中央に軸受け用のボール部材32aを有しており、ボール部材32aを介在させて焼入れプレート15上に位置し、回転台本体31を平面方向に回転可能にさせる。
【0037】
クランプ支持部331a,332aは、クランプ部材51,52の下端部を支持する。クランプ支持部331a,332aは、各々に自動二輪車Bの前輪Tの入庫する方向と平行する軸部材331b,332bを備える。軸部材331b,332bは、詳細は後述するが、クランプ部材51,52の回動の回転軸として作用する。
【0038】
回転復帰用ばね7a,7bは、回転台3が回転していない状態(初期状態)において張力を有する状態で設けられ、また、回転台3が回転している状態においては初期状態において有する張力よりも大きい張力を有する状態で設けられる。こうすることより、回転復帰用ばね7a,7bの張力が回転台3の回転する所定方向と反対方向に作用し、回転台3が回転可能状態にある場合、回転台3を初期状態に戻すことができる。
【0039】
なお、回転台3は、図1〜4に示すように、前述のスロープ17の誘導する前輪Tの走路の延長線上に平行して延在し、回転台3の上面に載った自動二輪車Bの前輪Tを略中央に誘導するガイド部材4を備えている。ガイド部材4は、回転台3の中央を隔てており、本装置10における後方側には急勾配な板状の前輪T止め41を有し、ガイド部材4に誘導された前輪Tは前輪T止め41により、所定の位置で強制的に侵入できないようにされている。
【0040】
前記クランプ部材51,52は、回転台3のクランプ支持部材331a,332aにより支持され、回転台本体31の貫通孔331,332を貫いて、上下方向に延在するように対向して一対で設けられる。
【0041】
このクランプ部材51,52は各々、上側クランプ部511,521と、中間弾性部512,522と、下側クランプ部513,523とを備え、上側クランプ部511および下側クランプ部513、また、上側クランプ部521および下側クランプ部523が略コの字形状を形成するように、回転台3の中央側に各々屈曲している。そして、クランプ部材51,52は、下側クランプ部513,523において軸部材331b,332bが回転軸となり、上側クランプ部511,521同士は近接離間方向に回動可能なものとなされている。
【0042】
また、下側クランプ部513,523は、略中央部が回転台3の中心に向かって突出する半円状の凸部513a,523aを各々有し、後述のカム部材6の周端部と当設している。
【0043】
また、クランプ部材51、52と回転台本体31の間において、前輪Tの入庫する方向と直交する方向に張力を有する状態で設けられるクランプ引きばね部材331c,332cが設けられている。このためクランプ部材51、52は、上側クランプ部511、521が外側の方向、かつ下側クランプ部513、523が内側の方向に回転する力を受け、下側クランプ部513,523の凸部513a,523aがカム部材6の周端部に常時当接した状態となっている。
【0044】
前記カム部材6は、回転台の中央部の下方に設けられた円盤状の部材であり、基部2の下側基台11に設けられたカム支持部材61に水平に支承されている。
【0045】
このカム部材6は、図5(a)に示すように、直径L1により形成される円の円周と、辺L1を短軸、辺L2を長軸とする略楕円の円周とを含む周形状を有する。このとき、辺L2は自動二輪車Bの前輪Tが進入する向きと平行になるよう配置され、カム部材6の周形状において直径L1の円周から略楕円の円周に滑らかに変位していく境界点m1と境界点m2とを結んだ直線が、自動二輪車Bの前輪Tが進入する向きに直交し、かつ、境界点m1および境界点m2から反時計方向に向かって略楕円の弧へと変位する。
【0046】
また、カム部材6は、境界点m1および境界点m2における両側方の周端部において、図5(a)および図5(b)では破線で示したクランプ部材51,52の凸部513a,523aと当接している。なお、この図も、回転台3が回転をしていない初期状態を示している。初期状態における凸部513a,523aとカム部材6の周端部との当接は、回転台本体31の貫通孔331,332における外側であって軸部材331b,332bの上方における回転台本体31に内蔵され、回転台3の径方向に張力を有する状態で設けられるクランプ引きばね部材331c,332cが作用している(図3および図4参照)。クランプ引きばね部材331c,332cは張力を有するよう設けられているため、クランプ部材51,52には、軸部材331b,332bを回転の中心とするモーメントが生じる。このモーメントにより、凸部513a,523aがカム部材6の周端部に当接するようになっている。
【0047】
また、カム部材6は、上記したような、両側の周端部が回転台3の回転方向に沿って次第に径大となる形状に形成された形状を有しているため、クランプ部材51,52は、クランプ引きばね部材331c,332cによりカム部材6の周端部(略楕円の弧)と当設したまま、図5(a)中において矢印で示すように、回転台3の回転と連動して回転すると、カム部材6の略楕円の周端部が、クランプ部材51,52の凸部513a,523aを略楕円の弧の部分に沿わせて、凸部513a,523aを回転台5の外径方向に押しやる。このことにより、クランプ部材51,52は、凸部513a,523aがカム部材6の周端部によって外側径方向に誘導されるため、軸部材331b,332bを中心にして回動して、図3中および図4中の二点鎖線の状態から実線の状態になるように、クランプ部材51,52の両上側クランプ部511,512の間隔が狭まり、自動二輪車Bの前輪Tの下部を狭持することができる。
【0048】
なお、間隔が狭まったときの上側クランプ部511,521の間隔(図3中および図4中においては実線で示す状態)は、自動二輪車Bの前輪Tが通らない程度の狭さであれよく、必ずしも前輪Tに接する必要はない。
【0049】
ロック装置16は、上側基台13上であって、スロープ17が設けられる正面側の略手前右側に設けられている。ロック装置16は、上部において、本装置10の略中央に向かって傾斜する傾斜部161を有する。
【0050】
また、このロック装置16は、後述する各種センサからの電気信号に応じて回転台3をロック状態にして回転を規制し、また、その規制を解除して回転台3が回転可能な状態にする。具体的に、図4に示すように、ロック装置16は、ロック装置16の動作を制御する制御部165を収容するロック本体部162と、ロック本体部162における本装置10の中央側に設けられ、垂直方向に延在する棒部材163aを有し、各種センサからの電気信号に応じて棒部材163aを下方に飛び出させたり、上方に引っ込ませたりさせる電磁シリンダ部163と、棒部材163aの下端部に当設され、棒部材163aの飛び出しまたは引っ込みにより上下方向に回動可能にする回転軸164aを有し、側端面34の所定の位置に係合する旋回ロックピン164とを備える。
【0051】
而して、ロック装置16は、各センサからの電気信号により制御部165が電磁シリンダ部163に所定の電気を流すことで棒部材163aを下方に飛び出させて旋回ロックピン164を下方に回動させ、回転台3の側端面34と係合する旋回ロックピン164を開放することにより、回転台3を回転可能な状態にする。一方、各センサからの電気信号により制御部が電磁シリンダ部163に所定の電気を流すことで棒部材163aを引っ込ませて旋回ロックピン164を上方に回動させ、回転台3の側端面34と旋回ロックピン164を係合させることにより、回転台3の回転を規制する。また、ロック装置16は、後述する料金支払機80からロック状態を解除する旨の電気信号を受信したら、ロック状態を解除する。
【0052】
本装置10は、図1に示すように、入庫確認センサ35、ハンドル回転確認センサ47、および、原点確認センサ19を備え、各センサ35,47,19は、図6に示すように、各々で検知した旨の電気信号をロック装置16に送信する。各種センサから送信された電気信号に応じて、ロック装置16の制御部165は、回転台3を回転可能な状態または回転不可能な状態にする。
【0053】
入庫確認センサ35は、回転台3の円盤31上における略中央部に設けられ、自動二輪車Bの前輪Tが回転台3の略中央部に載置されたことを検知する。ロック装置16は、入庫確認センサ35からの電気信号を受信すると、回転台3を回転可能状態にする。
【0054】
ハンドル回転確認センサ47は、基部2上におけるロック装置16の近傍に設けられ、回転台3に載置された前輪Tが所定角度以上回転することを検知する。ロック装置16は、ハンドル回転確認センサ47からの電気信号を受信すると、回転台3が回転可能状態である場合において、回転台3を所定角度以上にのみ回転可能な状態にする。例えば、本実施形態では、回転量が30度以上になったときに回転台3が逆回転しないように規制するように作動する。また、回転量が45°となったところでそれ以上回転台3が回転しないように回転を規制するよう作動する。こうすることにより、回転台3は逆回転しない安定した回転運動が行えるため、駐輪するに際してハンドルを不安定な状態にさせないため、安全に駐輪させることが可能となる。
【0055】
原点確認センサ19は、基部2上に設けられ、回転台3が自動二輪車Bの前輪Tが回転されていない状態(初期状態)に戻されたことを検知する。ロック装置16は、原点確認センサ19からの電気信号を受信すると、回転台3をロック状態にする。このことにより、自動二輪車Bの前輪Tをスムーズに引き降ろせ、また、不使用時においても、回転台が不用意に回転することを防止できる。
【0056】
なお、たとえば、原点確認センサ19により回転台3が初期状態に戻ったことが検知されていない状態で、入庫確認センサ35が所定の位置に前輪Tを検知しなくなった場合は、不正に出庫されたものとみなすことができる。従って、ロック装置16は、回転台3が初期状態に戻った旨の電気信号を原点確認センサ19から受信していない場合に、入庫確認センサ35から前輪Tを検知しなくなった旨の電気信号を受信した場合、ロック状態を解除する。こうすることにより、上述した回転復帰用ばね7a,7bの張力が作用して回転台3が初期状態に戻されるため、駐輪可能状態に本装置10を復帰させることができる。
【0057】
料金支払機80は、図7に示すように、自動二輪車Bを駐車したドライバに情報を表示する表示部81と、駐車した分の料金を入金させる入金部82と、ドライバに情報を入力させる入力部84と、自動二輪車Bを駐輪した時間を計測する駐輪時間計測センサ(図示なし)と、駐輪時間計測センサが計測した駐車時間に基づいて料金を算出し、入金部82に入金された金額を確認するとともに、料金支払機80内の各構成を制御する支払機制御部とを備える。すなわち、従来から自動車の駐車場などに用いられる料金支払機と略同様の構成を備える。また、料金支払機80は、駐輪のサービスに相当する金銭が入金部82より入金されると、前述したように、ロック装置16にロック状態を解除する旨の電気信号を送信する。なお、ここで説明した料金支払い機80は、一台の本装置10と一対をなして精算可能に構成されているが、一台の料金支払い機で複数の本装置10が精算可能に構成して、集中精算が可能なようにしてもよい。
【0058】
さらに、料金支払機80は、電気を原動力として走行するいわゆる電気式自動二輪車Bの電気を充電させる充電装置83を備える。充電装置80は、電気を供給する電気供給部を備え、電気式自動二輪車Bに電気の供給を行う。
【0059】
以下に本装置16の動作について説明する。なお、回転台3は初期状態であり、ロック装置16は初期状態においてロック状態にしている。
【0060】
まず、自動二輪車Bを入庫する場合について説明する。
【0061】
ドライバは、自動二輪車Bの前輪Tを本装置10の正面からスロープ17を通って進入し、ガイド部材4に案内されながら回転台3の中央部に載置する。
【0062】
すると、入庫確認センサ35が、自動二輪車Bの前輪Tが回転台3の略中央部に載置されたことを検知し、それに基づいてロック装置16が回転台3を回転可能状態にする。
【0063】
そして、ドライバは、自動二輪車Bのハンドルを左方向に回転させていく。このとき回転台3の回転と連動して両クランプ部材51、52の上側クランプ部511,521の間が徐々に狭まっていくため、回転台3上に載置された自動二輪車Bの前輪Tはクランプ部51、52に狭持されていく。
【0064】
また、回転台3の回転の過程におて、ハンドル回転確認センサ47は、回転台3に載置された前輪Tが所定角度の30度以上回転することを検知し、回転台3を所定角度の30度以上にのみ回転可能な状態にする。
【0065】
あとは、ドライバは、ハンドルロックをする位置(通常、30度〜40度の回転角)までハンドルを回転したところでハンドルロックを実行する。
【0066】
次に、自動二輪車Bを出庫する場合について説明する。
【0067】
ドライバは、料金支払機80に料金を投入する。
【0068】
すると、料金支払機80はロック装置16にロック状態を解除する旨の電気信号を送信し、ロック装置16はロック状態を解除して回転可能状態にする。
【0069】
そして、ドライバは、自動二輪車Bのハンドルを右方向に回転させていく。このとき回転台3の回転と連動して両クランプ部材51、52の上側クランプ部511,521の間が徐々に広がっていくため、回転台3上に載置された自動二輪車Bの前輪Tはクランプ部51、52から開放されていく。
【0070】
そして、回転台3が初期状態に戻されると、原点位置確認センサ19は回転台3の初期状態を検知し、それに基づいてロック装置16は回転台3をロック状態にする。
【0071】
あとは、ドライバは、自動二輪車Bの前輪Tをガイド部材4に案内されながら後退し、正面のスロープ17の通って出庫する。
【0072】
なお、上記の実施形態において、カム部材は、円形状と楕円形状からなる形状に形成したが、両側の周端部が回転台の回転方向に沿って次第に径大となる形状を有するものであれば、その他の形状であってもよい。
【0073】
また、上記の実施形態において、カム機構は1つの板形状からなるカム部材である場合について説明したが、複数の部材からなるカム機構であってもよい。
【0074】
また、クランプ部材はコ字形状としたが、自動二輪車Bの前輪Tを挟持するものであれば、その他の形状であってもよい。
【0075】
次に、本発明の他の実施形態について、図9および図10を参照しつつ説明する。以下の説明においては、上記の実施形態との差異点についてのみ説明する。同様の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0076】
この実施形態に係る自動二輪車駐輪装置110(以下、本装置110という)では、上記の実施形態の自動二輪車駐輪装置10において、カム部材60およびクランプ部材151,152において差異点を有する。
【0077】
前記カム部材60は、図9および図10に示すように、略円盤形状を有し、回転台3の下方に平行して配置される。カム部材60には、中心Oを隔てて2つの溝部61,62が形成されている。この溝部61,62は、図10に示すように、中心Oから溝部61,62までの距離において、中心Oから溝部61,62の回転方向の始点までの距離L3が最も短く、回転方向(図10中の矢印の方向)に沿って次第に遠ざかっていき、中心Oから回転方向の終点までの距離L4が最も長くなるように形成されている。
【0078】
前記クランプ部材151,152は、図9に示すように、上側クランプ部1511,1521と、中間弾性部1512,1522と、下側クランプ部材1513,1523とを備え、上記の実施形態と同様に軸部材331b,332bにより回転台3の中央側にクランプ部材151,152が近接離間方向に回動可能に設けられる。
【0079】
各下側クランプ部1513,1523の下端部には、嵌合部1531,1532が設けられている。この嵌合部1531,1532は、上記したカム部材60の各溝部61,62にそれぞれ可動な状態で嵌合している。
【0080】
而して、自動二輪車Bの前輪Tを回転台3上に載置してハンドルを左方向に回転させると、回転台3の回転とともににクランプ部材151、152も連動して回転する。このとき、クランプ部材151、152の嵌合部1531、1532が、カム部材60の溝部61,62に誘導されて外側径方向に遠ざけられる。このことにより、軸部材331b,332bを中心にクランプ部材151,152は近接方向に回動するため、図9中の実線で示す状態から2点鎖線で示す状態になり、自動二輪車Bの前輪Tにおける下部が狭持される。
【0081】
これによれば、クランプ部材151,152とカム部材60とをともに容易に形成することができるとともに、一枚のカム部材60によりカム機構が構成されるため、簡易な構成で自動二輪車を簡単かつ確実に駐輪することができる。
【0082】
なお、回転台3とクランプ部材51,52(151,152)とを機械的に連動させる場合に限ることなく、電気的に連動させてもよい。要は、回転台の回転と連動してクランプ部材が自動二輪車Bの前輪Tを挟持するものであればよい。なお、上述のように前記回転台に前輪Tを載せた状態で所定方向と反対方向に回転させると、該回転台の回転と連動して前記一対のクランプ部材が前輪Tの下部を開放するのが好ましい。
【0083】
また、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
10…自動二輪車駐輪装置(本装置)
2…基部
3…回転台
4…ガイド部材
51,52…クランプ部材
6…カム部材
7a,7b…回転復帰用ばね
80…料金支払機
83…充電装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に開口部を有する基部と、
前記基部の開口部において平面方向に回転可能に設けられた回転台と、
前記回転台の上面に設けられた一対のクランプ部材とを備え、
前記回転台に前輪を載せた状態で所定方向に回転させると、該回転台の回転と連動して前記一対のクランプ部材が前輪の下部を挟持することを特徴とする自動二輪車駐輪装置。
【請求項2】
前記回転台の下方に、前記回転台と前記一対のクランプ部材を連動させるカム機構が設けられ、
前記回転台に前輪を載せた状態で平面方向に回転させると、該回転台の回転と連動して前記一対のクランプ部材が前記カム機構を介して前輪の下部を挟持する請求項1に記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項3】
前記カム機構は、両側の周端部が前記回転台の回転方向に沿って次第に径大となる形状に形成された一枚のカム部材からなり、
前記一対のクランプ部材は、前記回転台に近接離間方向に回動可能に設けられ、
前記カム部材の周端部と、前記一対のクランプ部材の下端部とが互いに当接する態様で配置され、
前記回転台に前輪を載せた状態で平面方向に回転させると、前記一対のクランプ部材も平面方向に回転し、それと連動して前記一対のクランプ部材はその下端部が前記カム部材の周端部に沿って外側に押しやられ、その上端部が近接方向に回動して前輪の下部を挟持する請求項1または請求項2に記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項4】
前記カム機構は、前記回転台の回転方向に沿って次第に回転台の中央から遠ざかるように形成される溝部を有するカム部材からなり、
前記一対のクランプ部材は、前記回転台に近接離間方向に回動可能に設けられ、
前記カム部材の溝部に、前記一対のクランプ部材の下端部が嵌合する態様で配置され、 前記回転台に前輪を載せた状態で平面方向に回転させると、前記一対のクランプ部材も平面方向に回転し、それと連動して前記一対のクランプ部材はその下端部が前記カム部材の溝部に沿って外側に押しやられ、その上端部が近接方向に回動して前輪の下部を挟持する請求項1または請求項2に記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項5】
前記回転台をロック状態または回転可能状態にするロック装置が設けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項6】
前記自動二輪車の前輪を検知する入庫確認センサが設けられ、
前記ロック装置は、該入庫確認センサの検知に基づいて、前記回転台を回転可能状態にする請求項5に記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項7】
前記回転台が所定角度以上回転したことを検知するハンドル回転確認センサが設けられ、
前記ロック装置は、該ハンドル回転確認センサの検知に基づいて前記回転台が当該所定角度以上にのみ回転可能状態にする請求項5または請求項6に記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項8】
前記回転台が初期状態に戻ったことを検知する原点確認センサが設けられ、
前記ロック装置は、該原点確認センサの検知に基づいて前記回転台をロック状態にする請求項5から請求項7のいずれかに記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項9】
前記回転台の前記所定方向と反対方向に作用するバネ部材が設けられ、
前記ロック装置が回転台を回転可能状態にした場合、前記バネ部材の作用により前記回転台が前記所定方向と反対方向に回転する請求項5から請求項8のいずれかに記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項10】
前記クランプ部材は、その上端部と下端部との間に弾性部材を介在させる請求項1から請求項9のいずれかに記載の自動二輪車駐輪装置。
【請求項11】
自動二輪車に電気を供給する充電装置が設けられている請求項1から請求項10のいずれかに記載の自動二輪車駐輪装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate