自動冷却式水まくら
【課題】冷却機能を設けた装置全体がまくら本体の中に収納されており、体温を感知するセンサーの働きで、体温を瞬間に感知して自動的に作動し、解熱までの冷却作業を自動で達成することのできる自動冷却式水枕を提供すること。
【解決課題】筺体と、筺体の上面に配置され、内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくらと、筺体内に収納される、冷媒タンク、冷媒タンクに接続される第1冷媒管、第1冷媒管に冷媒を圧送する圧縮機、第1冷媒管の冷媒を冷却する冷却ファン、圧縮機及び冷却ファンを作動させる電動機、電動機に送電する主電源と、水まくら内に収納され、第1冷媒管及び前記冷媒タンクに接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と、患者の体温を検出するための温度センサーと、筺体に付属し、温度センサーの指令に基づき主電源の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源と、を有する自動冷却式水まくらとする。
【解決課題】筺体と、筺体の上面に配置され、内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくらと、筺体内に収納される、冷媒タンク、冷媒タンクに接続される第1冷媒管、第1冷媒管に冷媒を圧送する圧縮機、第1冷媒管の冷媒を冷却する冷却ファン、圧縮機及び冷却ファンを作動させる電動機、電動機に送電する主電源と、水まくら内に収納され、第1冷媒管及び前記冷媒タンクに接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と、患者の体温を検出するための温度センサーと、筺体に付属し、温度センサーの指令に基づき主電源の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源と、を有する自動冷却式水まくらとする。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は自動冷却式水まくらに関する。
【0002】
発熱した患者の熱を下げる方法として、水まくらが有用である。従来の水まくらとして、例えば、ゴム製の氷まくらに氷を砕いて水とともに塩を入れ、患者の首元に敷くものや額に載せるものが一般的である。
【0003】
これら水まくらに関する先行技術としては、下記特許文献に記載がある。例えば、下記特許文献1には、患部冷却装置において、冷却装置と、この冷却装置によって冷却された冷媒が循環する循環路の一部を構成する冷媒通路を内蔵し、この冷媒通路を通る冷媒により熱交換される患部冷却体とから構成された患部冷却装置に関する記載がある。なお、患部冷却体は可撓性を有する本体内に冷却通路を配置したものである技術に関する記載がある。
【0004】
また、下記特許文献2には、冷媒循環式水まくらにおいて、吸熱部(水まくら部)と熱源部(氷投入部)を分離して設置し、相互をホースなどで連結して冷媒を循環させることによって吸熱部を常に低温に保つことが出来るようにした水まくらの記載があり、また冷媒の温度や流量を調節することによって、吸熱部の温度を調節することができる水枕の記載も見られる。
【0005】
さらに下記特許文献3には、冷却装置においてペルチェ素子の電子熱交換素子が取り付けられた第1熱交換器と、ゴムなどの袋体内に水とともに封入された第2熱交換器と、第1及び第2熱交換器間を接続する2本の熱媒体封入パイプと該熱媒体封入パイプの一方に接続されたポンプで構成した冷加熱装置の記載がある。
【0006】
【特許文献1】特開平8−299379号公報
【特許文献2】特開平8−275966号公報
【特許文献3】特開平8−84744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のべた従来の水まくらは、氷水の入れ替えに人為的な手間と労力、時間が必要となり、万一氷がなくなった場合には、これを知らせる伝達機能や患者の発熱時の感知機能の必要があった。
【0008】
また、特許文献1に記載された冷却装置は、冷却装置そのものが枕本体の中に収納されているものではなく、他の場所に配置されており、患者の体温を感知するためのセンサー機能が全く設けられていない。
【0009】
また、特許文献2に記載された冷媒循環式水まくらは、冷却機能が枕のように頭の下に敷くものではなく、頭の近くにおいて冷風や温風が頭に当るように吹きかけて用いるもので、これにも体温を感知するセンサー機能が全く取り付けられていない。
【0010】
更に、特許文献3にも、特許文献1と同様に、冷却装置そのものがまくら本体の中に収納されているものではなく、他の場所に配置されており、患者の体温を感知するためのセンサー機能が全く設けられていない。
【0011】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するものであり、冷却機能を設けた装置全体がまくら本体の中に収納されており、体温を感知するセンサーの働きで、体温を瞬間に感知して自動的に作動し、解熱までの冷却作業を自動で達成することのできる自動冷却式水まくらを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の一観点に係る自動冷却式水まくらは、金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成される筺体と、筺体の上面に配置されゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成され、その内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくらと、筺体内に収納される、冷媒タンク、冷媒タンクに接続される第1冷媒管、第1冷媒管に冷媒を圧送する圧縮機、第1冷媒管の冷媒を冷却する冷却ファン、圧縮機及び冷却ファンを作動させる電動機、及び、電動機に送電する主電源と、水まくら内に収納され、かつ、第1冷媒管及び冷媒タンクに接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と、患者の体温を検出する温度センサーと、筺体に付属し、温度センサーの指令に基づき主電源の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源と、を有し、温度センサーの指令によって、患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合には前記リレー電源の電源スイッチがONとなり電動機を作動させて第1冷却管及び第2冷却管に冷媒を冷却ファンを用いて冷却させながら循環させる一方、患者の体温が平熱に回復した場合には、前記リレー電源の電源スイッチがOFFとなり電動機を停止させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、以下に示す効果が期待できる。
(1)水まくら本体が小型軽量となる。
(2)冷却装置そのものがまくら本体の中に収納されているため、持ち運び、設置が簡便である。
(3)発熱から解熱までセンサーで自動的に制御することができるため手間がかからない。
(4)普段は一般的なまくらとして活用できるので急に発熱しても、瞬時に対応ができる。
(5)一般家庭用としての使用拡大も図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施の形態の直接的な記載にのみ限定されるものではないことは言うまでもない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る自動冷却式水まくらの上面図、図2は右側面図(図1におけるA方向から見た場合の図)、図3は左側面図(図1におけるB方向から見た場合の図)、図4及び図5は筺体2内部の配置の概略図(図4は上面から見た場合の断面図、図5は背面(C方向)から見た場合の断面図)であり、図6は自動冷却四季水まくらの水まくらの背面図であり、図7は水まくら3内の第2冷却管の配置の概略上面図である。
【0016】
これらの図で示すように、本自動冷却式水まくら1は、金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成される筺体2と、筺体2の上面に配置され、柔軟性及び弾力のある、ゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成され、その内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくら3と、筺体2内に収納される、冷媒タンク21、冷媒タンク21に接続される第1冷媒管22、第1冷媒管22に冷媒を圧送する圧縮機23、第1冷媒管22の冷媒を冷却する冷却ファン24、圧縮機23及び冷却ファン24を作動させる電動機25、及び、電動機25に送電する主電源26と、水まくら3内に収納され、かつ、第1冷媒管22及び冷媒タンク21に接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と31と、患者の体温を検出するための温度センサー32と、筺体2に付属し、温度センサー32の指令に基づき主電源26の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源27と、を有し、温度センサー32の指令によって、患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合にはリレー電源27が主電源の電源スイッチをONにして電動機25を作動させて第1冷却管22及び第2冷却管31に冷媒を冷却ファン24を用いて冷却させながら循環させる一方、患者の体温が平熱に回復した場合には、リレー電源27が主電源の電源スイッチをOFFにして電動機26を停止させる。
【0017】
本実施形態において筺体2は、自動式冷却水まくらの主要な骨格を形成するものの一つである。筺体2は、内部に冷媒タンク等の各装置を内蔵するとともに外部の衝撃から護り、持ち運びの際にも内蔵された各装置の配置関係を安定的に維持することができる程度に硬い材質で構成されてなることが好ましく、この限りにおいて限定されるわけではないが、金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成されていることが好ましい。
【0018】
また本実施形態において、筺体2の上面に水まくら3が配置されている。水まくら3は、発熱した患者の熱を冷ますため、内部に液体又はジェル上の冷却物体を含んでいる。なお、水まくら3は、柔軟性及び弾力のある、ゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成されていることが好ましい。なおここで冷却物体の例としては、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えば水に不凍液、ゲル化剤等の各種添加剤を加えたものを用いていることは好ましい一例である。
【0019】
また、本実施形態において、筺体2内には、上記の通り、冷媒タンク21、冷媒タンク21に接続される第1冷媒管22、第1冷媒管22に冷媒を圧送する圧縮機23、第1冷媒管22の冷媒を冷却する冷却ファン24、圧縮機23及び冷却ファン24を作動させる電動機25、及び、電動機25に送電する主電源26が収納されている。
【0020】
また本実施形態において、筺体2は、中央部に凹部27が設けられており、凹部27に水まくらが固定、配置されていることが好ましい。このようにすることで、筺体2の中心部以外の部分(側部)で容積を確保することができるとともに、まくらの位置を必要以上に高くしない(低く設定できる)といった利点がある。なお、凹部27を設けて水まくらを配置し、水まくらの側部から後述する第1の冷却管を挿入して第2の冷却管に接続させることで、冷却管によって固定されるため患者が頭を水まくらに乗せた場合にずれが横向きに生じにくくなり、仮に多少生じたとしても、垂直下方向から配置する場合に比べ水まくらの材質に与える負荷が小さくなりといった利点がある(図8のイメージ図参照。)。
【0021】
また本実施形態において冷媒タンク21は、第1例冷媒管22及び第2冷媒管31を循環する冷媒を貯蔵するための装置である。冷媒タンク21の配置としては、限定されるわけではないが、筺体2の中央部の内部(水まくらの下)に設けられていることが好ましい。冷媒タンク21は、流体である冷媒を貯蔵する所望の体積が達成できれば形状については特に制限が無く、凹部が設けられた比較的薄い中央部であっても配置が可能であり、更に、患者が頭部を載せた場合であっても、振動を大きく発生させる装置ではないため、患者に不快感を起こさせる虞が少ないためである。なお本実施形態において冷媒としては、直接又は水まくら中の冷却物体を介して患者の首元又は頭部を冷却することが可能である限りにおいて限定されないが、例えばHFC(ハイドロフルオロカーボン)、PFC(パーフルオロカーボン)又はSF(六フッ化硫黄)の少なくともいずれかを用いていることが好ましい。
【0022】
また本実施形態において圧縮機23は、冷媒タンク21に貯蔵された冷媒を圧縮し、第1冷媒管22、第2冷媒管31に冷媒を圧送するためのものである。本実施形態において、圧縮機23の配置も、上記冷媒タンク21と同様、筺体2の中央部の内部(水まくら3の下)に設けられていることが好ましい。このようにすることで冷媒タンク21の近傍に配置して効率よく冷媒を圧縮することができるとともに、患者が頭部を載せた場合であっても、電動機に比べ振動を大きく発生させる虞が少なく、主電源のように発熱が少なく、水まくら3の熱効率の低下を抑えることができる。
【0023】
本実施形態において、電動機25は、圧縮機23を作動させるものである。電動機25の配置としては、限定されるわけではないが、筺体2内の側部に配置することが好ましい。このようにすることで、中央に凹部を形成しても比較的嵩張るものを採用することも可能となり、また、振動及び発熱が生じたとしても、患者の頭部から離し、振動を伝えにくくすることができ、更には、筺体2から熱を排出しやすくなるといった利点がある。
【0024】
また本実施形態において第1冷媒管22は、冷媒タンク21に接続され、筺体2内の側部においてジグザグ状に配置されている。そして、筺体2の側部には通気孔281が設けられており、ジグザグ状に配置された冷媒を冷却する際に除去される熱を、冷却ファン24により筺体2の外部に排出することができる。第1冷媒管22は細くジグザグ状に配置されることで表面積を増やし、放熱しやすくなっている。図9は、ジグザグ状に配置された第1冷却管の概略図である。
【0025】
また本実施形態において冷却ファン24は、上記の通り筺体2の側部においてジグザグ状に配置された第1冷媒管22を冷却するためのものである。冷却ファン24の配置は、限定されるわけではないが、筺体2内側部の第1冷却管22のジグザグ状の部分近傍に配置されていることが冷却効率の観点から好ましい。なお冷却ファン24の数は、筺体2の容積が許す限りにおいて限定は無く、複数設けることが好ましく、また後述のように、筺体2内の両側部に設けておくことはより冷却効率を上げる上で好ましい。冷却ファン24の構成は特に限定されることなく公知のものを採用することができる。
【0026】
また本実施形態において、主電源26は、電動機25や冷却ファン等の筺体2内の各装置に送電するためのものである。主電源26の配置としては、限定されるわけではないが、筺体2内の側部に配置しておくことが好ましい。このようにすることで電源が熱をもった場合であっても、水まくら2に熱を伝えにくくできるとともに筺体2外部に冷却ファン29を介して排熱しやすくすることができる。主電源26の構成としては、特に限定されるわけではないが、蓄電池、乾電池、燃料電池、リチウムイオン電池又はリチウムポリマ電池の少なくともいずれかを採用することが、まくらを小型化できるといった利点、電源から離れた場所であっても充電により長期間使用することができるといった利点があり好ましい。また特に、冷却ファン29を主電源26近傍の側部に設けるとともに筺体2の第1冷却管22が配置されている側とは反対の側にも通気孔282を設け、冷却ファン29により主電源26が発する熱を効率よく排出することが望ましい。すなわち、筺体2の両側部に冷却ファン24、29を設けることで一方では第1冷却管22を冷却し、他方では電源26等の装置の熱を排出することができるようになる。なおこの場合において、複数の冷却ファンの送風方向は略同じ方向であることは好ましい一例である。ここで「略同じ」とは、完全に同じであることが好ましいが、製作の誤差や、実質的に同一と見ることができる程度のずれを含むものである。この場合の風の流れについて図10に示しておく。このようにすることで、一方向の流れを作り、効率の良い冷却を行なうことができる。またもちろん、両側部だけでなく、背部に別途通気孔293を設けることで、冷却ファンの送風の向きをそれぞれ近い側の通機構側すなわち略反対の方向とすることも可能である。ここで「略反対」は上記「略同じ」と同様、完全に反対であることが好ましいが、製作の誤差や、実質的に反対向きと見ることができる程度のずれを含むものである。この場合の風の流れについて図11に示しておく。このようにすることで、主電源26からの熱、電動機25から発生する熱を筺体2内に送ることなく直接通気孔281、282からそれぞれ排出することができ、より冷却を効率よく行なうことができる。
【0027】
また本実施形態において、筺体2内部において、緩衝シート4を設け、その上に上記冷媒タンク、圧縮機、電動機、主電源等を配置することは熱の伝達や機械振動を低減させることができる点において好ましく、特に上記の好ましい配置と組み合わせることでこの効果がより顕著となる。緩衝シートは、振動等の力を吸収することのできる部材である限りにおいて限定されるわけではないが、例えばウレタンシート、ゴムシートを好適に用いることができる。
【0028】
また本実施形態において、水まくら3内には、第2冷媒管31が収納されている。第2冷媒管31は、第1冷媒管22及び冷媒タンク21に接続され、かつ水まくら3内においてジグザグ状に配置されている。これにより、平らでかつ表面積をかせぐことができるため水まくら3内の冷却物体を効率よく冷却することができるとともに、硬い冷却管を水まくらの冷却物体中に保持することで患者が頭部を乗せた場合であっても不快感を与えることなく好適に使用することが可能となる。また第1の冷媒管22と第2の冷媒管は一体に形成してもよいし、別々に形成しても良い。別々に成型する形態とすると、筺体2と水まくら3とをそれぞれ別個に作成し、組み立てた後冷却管を接続することで容易に作製することができるといった利点がある。また、上述のように、第1と第2の冷媒管は筺体2の下部から突き抜けるように水まくらに挿入されていてもよいし、図5、図7、図8の例で示すように、中央部に設けられた凹部の両脇にある相対的に壁となっている部分から横方向に挿入されていてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、筺体2に付属し、主電源26の電源スイッチをON又はOFFにすることのできるリレー電源27が配置されている。リレー電源27には温度センサー32が接続されており、リレー電源27は、温度センサー32の指令に基づき主電源をON又はOFFにする。なおリレー電源には、電源が入っている場合と電源が入っていない場合の違いを表示するためのランプが設けられていることが好ましく、例えば、電源が入っている場合に表示する緑色ランプと、電源が入っていない場合に表示する赤色ランプとを有していることが好ましい。
【0030】
本実施形態に係る温度センサーは、患者の体温を測定することが可能なものである限りにおいて限定されるわけではないが、プラス側及びマイナス側の一対のセンサー及び制御回路を有してなるものであることは好ましい一例である。一対のセンサーの例としては、図1で示すように、水まくらの表面に付着配置された横方向に延びた線状の一対のセンサーであることが好ましい。このようにすることで、患者が水まくらに頭を乗せる自然状態で熱を図ることができ、しかもこの状態が熱を感知する最も効率の良い位置となる。もちろん、図12で示すようなパッド状の一対のセンサーであってもよい。
【0031】
患者の首元に配置される温度センサー32と、筺体2に付属し、温度センサー32の指令に基づき主電源26の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源27と、を有し、温度センサー32の指令によって、患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合にはリレー電源27の電源スイッチがONとなり電動機25を作動させて第1冷却管2及び第2冷却管31に冷媒を冷却ファン24を用いて冷却させながら循環させる一方、患者の体温が平熱に回復した場合には、リレー電源27の電源スイッチがOFFとなり電動機を停止させる。
【0032】
ここで、本実施形態に係る自動冷却式水まくらの動作について説明する。
【0033】
まず、平熱(36.5℃)以上に発熱した患者が頭を乗せると温度センサー32が発熱を感知し、リレー電源に指令を出す。そしてリレー電源は主電源に指令を出し、主電源の電源スイッチをONにする。
【0034】
主電源の電源スイッチがONになると電動機が作動を開始し、圧縮機の作動を開始する。なお、電動機と圧縮機の間には動力伝達器が配置され、この電力伝達器を介して圧縮機は作動することとなり、冷媒タンク内の冷媒を第1冷媒管に圧送する。
【0035】
なお第1冷媒管に圧送された冷媒は、ジグザグ状の部分において回転する冷却ファンにより熱を奪われ、第2の冷媒管に運ばれる。そして第2の冷媒管に運ばれた冷媒は水まくら内の冷却物体を冷却し、患者の頭部、首元を冷やす。これが患者の熱が平熱に戻るまで続けられる。なお第2の冷媒管は冷媒タンクに接続されているため、冷媒は結局冷媒タンクに戻り、電動機が作動している限り循環を繰り返す。なおこの場合において、冷却ファンは、冷媒管の冷媒を冷やすだけでなく、上記の通り主電源側の側部にも設けられ、主電源等の他の装置から発生する熱を筺体外に排出すると、水まくらの熱を低い状態に抑えることができる点において好ましい。
【0036】
そして、患者が平熱にまで回復すると、患者の首元の温度センサーの指令によって作動も止まるので、冷媒の循環も止められる。
【0037】
以上、本発明により、下記に示す効果が期待できる。
(1)水まくら本体が小型軽量となる。
(2)冷却装置そのものがまくら本体の中に収納されているため、持ち運び、設置が簡便である。
(3)発熱から解熱までセンサーで自動的に制御することができるため手間がかからない。
(4)普段は一般的なまくらとして活用できるので急に発熱しても、瞬時に対応ができる。
(5)一般家庭用としての使用拡大も図られる。
【0038】
なお、本実施形態では、自動冷却式水まくらが自動的に患者の熱を測定し、この熱に応じて主電源のON及びOFFを制御することとしているが、これに限られず、例えば強制的に冷却を行なわせるボタンを付し、手動作により冷却の開始、停止を制御する構成を加えることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、自動冷却式の水まくらとして産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る自動冷却式水まくらの上面図である。
【図2】実施形態に係る自動冷却式水まくらの右側面図である。
【図3】実施形態に係る自動冷却式水まくらの左側面図である。
【図4】実施形態に係る自動冷却式水まくらの筺体内部の配置の概略図である。
【図5】実施形態に係る自動冷却式水まくらの筺体内部の配置の概略図である。
【図6】実施形態に係る自動冷却式水まくらの背面図である。
【図7】水まくら内の第2冷却管の配置の概略上面図である。
【図8】水まくらに加わる負荷を説明するためのイメージ図である。
【図9】ジグザグ状に配置された第1冷却管の概略図である。
【図10】実施形態に係る自動冷却式水まくらの風の流れを示す図である。
【図11】実施形態に係る自動冷却閾図まくらの風の流れを示す図である。
【図12】他の温度センサーの例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…自動冷却式水まくら、2…筺体、3…水まくら、4…緩衝シート
【背景技術】
【0001】
本発明は自動冷却式水まくらに関する。
【0002】
発熱した患者の熱を下げる方法として、水まくらが有用である。従来の水まくらとして、例えば、ゴム製の氷まくらに氷を砕いて水とともに塩を入れ、患者の首元に敷くものや額に載せるものが一般的である。
【0003】
これら水まくらに関する先行技術としては、下記特許文献に記載がある。例えば、下記特許文献1には、患部冷却装置において、冷却装置と、この冷却装置によって冷却された冷媒が循環する循環路の一部を構成する冷媒通路を内蔵し、この冷媒通路を通る冷媒により熱交換される患部冷却体とから構成された患部冷却装置に関する記載がある。なお、患部冷却体は可撓性を有する本体内に冷却通路を配置したものである技術に関する記載がある。
【0004】
また、下記特許文献2には、冷媒循環式水まくらにおいて、吸熱部(水まくら部)と熱源部(氷投入部)を分離して設置し、相互をホースなどで連結して冷媒を循環させることによって吸熱部を常に低温に保つことが出来るようにした水まくらの記載があり、また冷媒の温度や流量を調節することによって、吸熱部の温度を調節することができる水枕の記載も見られる。
【0005】
さらに下記特許文献3には、冷却装置においてペルチェ素子の電子熱交換素子が取り付けられた第1熱交換器と、ゴムなどの袋体内に水とともに封入された第2熱交換器と、第1及び第2熱交換器間を接続する2本の熱媒体封入パイプと該熱媒体封入パイプの一方に接続されたポンプで構成した冷加熱装置の記載がある。
【0006】
【特許文献1】特開平8−299379号公報
【特許文献2】特開平8−275966号公報
【特許文献3】特開平8−84744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のべた従来の水まくらは、氷水の入れ替えに人為的な手間と労力、時間が必要となり、万一氷がなくなった場合には、これを知らせる伝達機能や患者の発熱時の感知機能の必要があった。
【0008】
また、特許文献1に記載された冷却装置は、冷却装置そのものが枕本体の中に収納されているものではなく、他の場所に配置されており、患者の体温を感知するためのセンサー機能が全く設けられていない。
【0009】
また、特許文献2に記載された冷媒循環式水まくらは、冷却機能が枕のように頭の下に敷くものではなく、頭の近くにおいて冷風や温風が頭に当るように吹きかけて用いるもので、これにも体温を感知するセンサー機能が全く取り付けられていない。
【0010】
更に、特許文献3にも、特許文献1と同様に、冷却装置そのものがまくら本体の中に収納されているものではなく、他の場所に配置されており、患者の体温を感知するためのセンサー機能が全く設けられていない。
【0011】
すなわち、本発明は、上記課題を解決するものであり、冷却機能を設けた装置全体がまくら本体の中に収納されており、体温を感知するセンサーの働きで、体温を瞬間に感知して自動的に作動し、解熱までの冷却作業を自動で達成することのできる自動冷却式水まくらを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の一観点に係る自動冷却式水まくらは、金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成される筺体と、筺体の上面に配置されゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成され、その内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくらと、筺体内に収納される、冷媒タンク、冷媒タンクに接続される第1冷媒管、第1冷媒管に冷媒を圧送する圧縮機、第1冷媒管の冷媒を冷却する冷却ファン、圧縮機及び冷却ファンを作動させる電動機、及び、電動機に送電する主電源と、水まくら内に収納され、かつ、第1冷媒管及び冷媒タンクに接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と、患者の体温を検出する温度センサーと、筺体に付属し、温度センサーの指令に基づき主電源の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源と、を有し、温度センサーの指令によって、患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合には前記リレー電源の電源スイッチがONとなり電動機を作動させて第1冷却管及び第2冷却管に冷媒を冷却ファンを用いて冷却させながら循環させる一方、患者の体温が平熱に回復した場合には、前記リレー電源の電源スイッチがOFFとなり電動機を停止させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、以下に示す効果が期待できる。
(1)水まくら本体が小型軽量となる。
(2)冷却装置そのものがまくら本体の中に収納されているため、持ち運び、設置が簡便である。
(3)発熱から解熱までセンサーで自動的に制御することができるため手間がかからない。
(4)普段は一般的なまくらとして活用できるので急に発熱しても、瞬時に対応ができる。
(5)一般家庭用としての使用拡大も図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施の形態の直接的な記載にのみ限定されるものではないことは言うまでもない。
【0015】
図1は、本実施形態に係る自動冷却式水まくらの上面図、図2は右側面図(図1におけるA方向から見た場合の図)、図3は左側面図(図1におけるB方向から見た場合の図)、図4及び図5は筺体2内部の配置の概略図(図4は上面から見た場合の断面図、図5は背面(C方向)から見た場合の断面図)であり、図6は自動冷却四季水まくらの水まくらの背面図であり、図7は水まくら3内の第2冷却管の配置の概略上面図である。
【0016】
これらの図で示すように、本自動冷却式水まくら1は、金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成される筺体2と、筺体2の上面に配置され、柔軟性及び弾力のある、ゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成され、その内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくら3と、筺体2内に収納される、冷媒タンク21、冷媒タンク21に接続される第1冷媒管22、第1冷媒管22に冷媒を圧送する圧縮機23、第1冷媒管22の冷媒を冷却する冷却ファン24、圧縮機23及び冷却ファン24を作動させる電動機25、及び、電動機25に送電する主電源26と、水まくら3内に収納され、かつ、第1冷媒管22及び冷媒タンク21に接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と31と、患者の体温を検出するための温度センサー32と、筺体2に付属し、温度センサー32の指令に基づき主電源26の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源27と、を有し、温度センサー32の指令によって、患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合にはリレー電源27が主電源の電源スイッチをONにして電動機25を作動させて第1冷却管22及び第2冷却管31に冷媒を冷却ファン24を用いて冷却させながら循環させる一方、患者の体温が平熱に回復した場合には、リレー電源27が主電源の電源スイッチをOFFにして電動機26を停止させる。
【0017】
本実施形態において筺体2は、自動式冷却水まくらの主要な骨格を形成するものの一つである。筺体2は、内部に冷媒タンク等の各装置を内蔵するとともに外部の衝撃から護り、持ち運びの際にも内蔵された各装置の配置関係を安定的に維持することができる程度に硬い材質で構成されてなることが好ましく、この限りにおいて限定されるわけではないが、金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成されていることが好ましい。
【0018】
また本実施形態において、筺体2の上面に水まくら3が配置されている。水まくら3は、発熱した患者の熱を冷ますため、内部に液体又はジェル上の冷却物体を含んでいる。なお、水まくら3は、柔軟性及び弾力のある、ゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成されていることが好ましい。なおここで冷却物体の例としては、上記機能を有する限りにおいて限定されるわけではないが、例えば水に不凍液、ゲル化剤等の各種添加剤を加えたものを用いていることは好ましい一例である。
【0019】
また、本実施形態において、筺体2内には、上記の通り、冷媒タンク21、冷媒タンク21に接続される第1冷媒管22、第1冷媒管22に冷媒を圧送する圧縮機23、第1冷媒管22の冷媒を冷却する冷却ファン24、圧縮機23及び冷却ファン24を作動させる電動機25、及び、電動機25に送電する主電源26が収納されている。
【0020】
また本実施形態において、筺体2は、中央部に凹部27が設けられており、凹部27に水まくらが固定、配置されていることが好ましい。このようにすることで、筺体2の中心部以外の部分(側部)で容積を確保することができるとともに、まくらの位置を必要以上に高くしない(低く設定できる)といった利点がある。なお、凹部27を設けて水まくらを配置し、水まくらの側部から後述する第1の冷却管を挿入して第2の冷却管に接続させることで、冷却管によって固定されるため患者が頭を水まくらに乗せた場合にずれが横向きに生じにくくなり、仮に多少生じたとしても、垂直下方向から配置する場合に比べ水まくらの材質に与える負荷が小さくなりといった利点がある(図8のイメージ図参照。)。
【0021】
また本実施形態において冷媒タンク21は、第1例冷媒管22及び第2冷媒管31を循環する冷媒を貯蔵するための装置である。冷媒タンク21の配置としては、限定されるわけではないが、筺体2の中央部の内部(水まくらの下)に設けられていることが好ましい。冷媒タンク21は、流体である冷媒を貯蔵する所望の体積が達成できれば形状については特に制限が無く、凹部が設けられた比較的薄い中央部であっても配置が可能であり、更に、患者が頭部を載せた場合であっても、振動を大きく発生させる装置ではないため、患者に不快感を起こさせる虞が少ないためである。なお本実施形態において冷媒としては、直接又は水まくら中の冷却物体を介して患者の首元又は頭部を冷却することが可能である限りにおいて限定されないが、例えばHFC(ハイドロフルオロカーボン)、PFC(パーフルオロカーボン)又はSF(六フッ化硫黄)の少なくともいずれかを用いていることが好ましい。
【0022】
また本実施形態において圧縮機23は、冷媒タンク21に貯蔵された冷媒を圧縮し、第1冷媒管22、第2冷媒管31に冷媒を圧送するためのものである。本実施形態において、圧縮機23の配置も、上記冷媒タンク21と同様、筺体2の中央部の内部(水まくら3の下)に設けられていることが好ましい。このようにすることで冷媒タンク21の近傍に配置して効率よく冷媒を圧縮することができるとともに、患者が頭部を載せた場合であっても、電動機に比べ振動を大きく発生させる虞が少なく、主電源のように発熱が少なく、水まくら3の熱効率の低下を抑えることができる。
【0023】
本実施形態において、電動機25は、圧縮機23を作動させるものである。電動機25の配置としては、限定されるわけではないが、筺体2内の側部に配置することが好ましい。このようにすることで、中央に凹部を形成しても比較的嵩張るものを採用することも可能となり、また、振動及び発熱が生じたとしても、患者の頭部から離し、振動を伝えにくくすることができ、更には、筺体2から熱を排出しやすくなるといった利点がある。
【0024】
また本実施形態において第1冷媒管22は、冷媒タンク21に接続され、筺体2内の側部においてジグザグ状に配置されている。そして、筺体2の側部には通気孔281が設けられており、ジグザグ状に配置された冷媒を冷却する際に除去される熱を、冷却ファン24により筺体2の外部に排出することができる。第1冷媒管22は細くジグザグ状に配置されることで表面積を増やし、放熱しやすくなっている。図9は、ジグザグ状に配置された第1冷却管の概略図である。
【0025】
また本実施形態において冷却ファン24は、上記の通り筺体2の側部においてジグザグ状に配置された第1冷媒管22を冷却するためのものである。冷却ファン24の配置は、限定されるわけではないが、筺体2内側部の第1冷却管22のジグザグ状の部分近傍に配置されていることが冷却効率の観点から好ましい。なお冷却ファン24の数は、筺体2の容積が許す限りにおいて限定は無く、複数設けることが好ましく、また後述のように、筺体2内の両側部に設けておくことはより冷却効率を上げる上で好ましい。冷却ファン24の構成は特に限定されることなく公知のものを採用することができる。
【0026】
また本実施形態において、主電源26は、電動機25や冷却ファン等の筺体2内の各装置に送電するためのものである。主電源26の配置としては、限定されるわけではないが、筺体2内の側部に配置しておくことが好ましい。このようにすることで電源が熱をもった場合であっても、水まくら2に熱を伝えにくくできるとともに筺体2外部に冷却ファン29を介して排熱しやすくすることができる。主電源26の構成としては、特に限定されるわけではないが、蓄電池、乾電池、燃料電池、リチウムイオン電池又はリチウムポリマ電池の少なくともいずれかを採用することが、まくらを小型化できるといった利点、電源から離れた場所であっても充電により長期間使用することができるといった利点があり好ましい。また特に、冷却ファン29を主電源26近傍の側部に設けるとともに筺体2の第1冷却管22が配置されている側とは反対の側にも通気孔282を設け、冷却ファン29により主電源26が発する熱を効率よく排出することが望ましい。すなわち、筺体2の両側部に冷却ファン24、29を設けることで一方では第1冷却管22を冷却し、他方では電源26等の装置の熱を排出することができるようになる。なおこの場合において、複数の冷却ファンの送風方向は略同じ方向であることは好ましい一例である。ここで「略同じ」とは、完全に同じであることが好ましいが、製作の誤差や、実質的に同一と見ることができる程度のずれを含むものである。この場合の風の流れについて図10に示しておく。このようにすることで、一方向の流れを作り、効率の良い冷却を行なうことができる。またもちろん、両側部だけでなく、背部に別途通気孔293を設けることで、冷却ファンの送風の向きをそれぞれ近い側の通機構側すなわち略反対の方向とすることも可能である。ここで「略反対」は上記「略同じ」と同様、完全に反対であることが好ましいが、製作の誤差や、実質的に反対向きと見ることができる程度のずれを含むものである。この場合の風の流れについて図11に示しておく。このようにすることで、主電源26からの熱、電動機25から発生する熱を筺体2内に送ることなく直接通気孔281、282からそれぞれ排出することができ、より冷却を効率よく行なうことができる。
【0027】
また本実施形態において、筺体2内部において、緩衝シート4を設け、その上に上記冷媒タンク、圧縮機、電動機、主電源等を配置することは熱の伝達や機械振動を低減させることができる点において好ましく、特に上記の好ましい配置と組み合わせることでこの効果がより顕著となる。緩衝シートは、振動等の力を吸収することのできる部材である限りにおいて限定されるわけではないが、例えばウレタンシート、ゴムシートを好適に用いることができる。
【0028】
また本実施形態において、水まくら3内には、第2冷媒管31が収納されている。第2冷媒管31は、第1冷媒管22及び冷媒タンク21に接続され、かつ水まくら3内においてジグザグ状に配置されている。これにより、平らでかつ表面積をかせぐことができるため水まくら3内の冷却物体を効率よく冷却することができるとともに、硬い冷却管を水まくらの冷却物体中に保持することで患者が頭部を乗せた場合であっても不快感を与えることなく好適に使用することが可能となる。また第1の冷媒管22と第2の冷媒管は一体に形成してもよいし、別々に形成しても良い。別々に成型する形態とすると、筺体2と水まくら3とをそれぞれ別個に作成し、組み立てた後冷却管を接続することで容易に作製することができるといった利点がある。また、上述のように、第1と第2の冷媒管は筺体2の下部から突き抜けるように水まくらに挿入されていてもよいし、図5、図7、図8の例で示すように、中央部に設けられた凹部の両脇にある相対的に壁となっている部分から横方向に挿入されていてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、筺体2に付属し、主電源26の電源スイッチをON又はOFFにすることのできるリレー電源27が配置されている。リレー電源27には温度センサー32が接続されており、リレー電源27は、温度センサー32の指令に基づき主電源をON又はOFFにする。なおリレー電源には、電源が入っている場合と電源が入っていない場合の違いを表示するためのランプが設けられていることが好ましく、例えば、電源が入っている場合に表示する緑色ランプと、電源が入っていない場合に表示する赤色ランプとを有していることが好ましい。
【0030】
本実施形態に係る温度センサーは、患者の体温を測定することが可能なものである限りにおいて限定されるわけではないが、プラス側及びマイナス側の一対のセンサー及び制御回路を有してなるものであることは好ましい一例である。一対のセンサーの例としては、図1で示すように、水まくらの表面に付着配置された横方向に延びた線状の一対のセンサーであることが好ましい。このようにすることで、患者が水まくらに頭を乗せる自然状態で熱を図ることができ、しかもこの状態が熱を感知する最も効率の良い位置となる。もちろん、図12で示すようなパッド状の一対のセンサーであってもよい。
【0031】
患者の首元に配置される温度センサー32と、筺体2に付属し、温度センサー32の指令に基づき主電源26の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源27と、を有し、温度センサー32の指令によって、患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合にはリレー電源27の電源スイッチがONとなり電動機25を作動させて第1冷却管2及び第2冷却管31に冷媒を冷却ファン24を用いて冷却させながら循環させる一方、患者の体温が平熱に回復した場合には、リレー電源27の電源スイッチがOFFとなり電動機を停止させる。
【0032】
ここで、本実施形態に係る自動冷却式水まくらの動作について説明する。
【0033】
まず、平熱(36.5℃)以上に発熱した患者が頭を乗せると温度センサー32が発熱を感知し、リレー電源に指令を出す。そしてリレー電源は主電源に指令を出し、主電源の電源スイッチをONにする。
【0034】
主電源の電源スイッチがONになると電動機が作動を開始し、圧縮機の作動を開始する。なお、電動機と圧縮機の間には動力伝達器が配置され、この電力伝達器を介して圧縮機は作動することとなり、冷媒タンク内の冷媒を第1冷媒管に圧送する。
【0035】
なお第1冷媒管に圧送された冷媒は、ジグザグ状の部分において回転する冷却ファンにより熱を奪われ、第2の冷媒管に運ばれる。そして第2の冷媒管に運ばれた冷媒は水まくら内の冷却物体を冷却し、患者の頭部、首元を冷やす。これが患者の熱が平熱に戻るまで続けられる。なお第2の冷媒管は冷媒タンクに接続されているため、冷媒は結局冷媒タンクに戻り、電動機が作動している限り循環を繰り返す。なおこの場合において、冷却ファンは、冷媒管の冷媒を冷やすだけでなく、上記の通り主電源側の側部にも設けられ、主電源等の他の装置から発生する熱を筺体外に排出すると、水まくらの熱を低い状態に抑えることができる点において好ましい。
【0036】
そして、患者が平熱にまで回復すると、患者の首元の温度センサーの指令によって作動も止まるので、冷媒の循環も止められる。
【0037】
以上、本発明により、下記に示す効果が期待できる。
(1)水まくら本体が小型軽量となる。
(2)冷却装置そのものがまくら本体の中に収納されているため、持ち運び、設置が簡便である。
(3)発熱から解熱までセンサーで自動的に制御することができるため手間がかからない。
(4)普段は一般的なまくらとして活用できるので急に発熱しても、瞬時に対応ができる。
(5)一般家庭用としての使用拡大も図られる。
【0038】
なお、本実施形態では、自動冷却式水まくらが自動的に患者の熱を測定し、この熱に応じて主電源のON及びOFFを制御することとしているが、これに限られず、例えば強制的に冷却を行なわせるボタンを付し、手動作により冷却の開始、停止を制御する構成を加えることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、自動冷却式の水まくらとして産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施形態に係る自動冷却式水まくらの上面図である。
【図2】実施形態に係る自動冷却式水まくらの右側面図である。
【図3】実施形態に係る自動冷却式水まくらの左側面図である。
【図4】実施形態に係る自動冷却式水まくらの筺体内部の配置の概略図である。
【図5】実施形態に係る自動冷却式水まくらの筺体内部の配置の概略図である。
【図6】実施形態に係る自動冷却式水まくらの背面図である。
【図7】水まくら内の第2冷却管の配置の概略上面図である。
【図8】水まくらに加わる負荷を説明するためのイメージ図である。
【図9】ジグザグ状に配置された第1冷却管の概略図である。
【図10】実施形態に係る自動冷却式水まくらの風の流れを示す図である。
【図11】実施形態に係る自動冷却閾図まくらの風の流れを示す図である。
【図12】他の温度センサーの例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…自動冷却式水まくら、2…筺体、3…水まくら、4…緩衝シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成される筺体と、
前記筺体の上面に配置され、ゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成され、その内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくらと、
前記筺体内に収納される、冷媒タンク、前記冷媒タンクに接続される第1冷媒管、前記第1冷媒管に冷媒を圧送する圧縮機、前記第1冷媒管の冷媒を冷却する冷却ファン、前記圧縮機及び前記冷却ファンを作動させる電動機、及び、前記電動機に送電する主電源と、
前記水まくら内に収納され、かつ、前記第1冷媒管及び前記冷媒タンクに接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と、
患者の体温を検出するための温度センサーと、
前記筺体に付属し、前記温度センサーの指令に基づき前記主電源の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源と、を有し、
前記温度センサーの指令によって、前記患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合には前記リレー電源の電源スイッチがONとなり前記電動機を作動させて前記第1冷却管及び第2冷却管に冷媒を前記冷却ファンを用いて冷却させながら循環させる一方、前記患者の体温が平熱に回復した場合には、前記リレー電源の電源スイッチがOFFとなり前記電動機を停止させる自動冷却式水まくら。
【請求項2】
前記温度センサーは、前記マット上の水まくらの表面に配置されてなる請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項3】
前記筺体は、中央部に凹部が設けられており、前記凹部に前記水まくらが配置されている請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項4】
前記筺体の前記中央部の内部に、前記冷媒タンク及び前記圧縮機が配置され、前記冷媒タンク及び前記圧縮機を挟むように前記電動機及び前記主電源が配置されてなる請求項3記載の自動冷却式水まくら。
【請求項5】
前記筺体の両側面に通気孔が設けられており、
前記それぞれの通気孔近傍において前記冷却ファンが設けられている請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項6】
前記筺体の背面に通気孔が設けられており、
前記両側面に配置された冷却ファンの送風方向が略反対方向である請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項7】
前記主電源は、蓄電池、乾電池、燃料電池、リチウムイオン電池又はリチウムポリマ電池のいずれかを備えてなる請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項1】
金属、化学樹脂又は硬質ゴムの少なくともいずれかを含んで構成される筺体と、
前記筺体の上面に配置され、ゴム、化学樹脂又は防水布の少なくともいずれかを用いて構成され、その内部に液体又はジェル状の冷却物体を含むマット状の水まくらと、
前記筺体内に収納される、冷媒タンク、前記冷媒タンクに接続される第1冷媒管、前記第1冷媒管に冷媒を圧送する圧縮機、前記第1冷媒管の冷媒を冷却する冷却ファン、前記圧縮機及び前記冷却ファンを作動させる電動機、及び、前記電動機に送電する主電源と、
前記水まくら内に収納され、かつ、前記第1冷媒管及び前記冷媒タンクに接続されジグザグ状に配置される第2冷媒管と、
患者の体温を検出するための温度センサーと、
前記筺体に付属し、前記温度センサーの指令に基づき前記主電源の電源スイッチをON又はOFFにするリレー電源と、を有し、
前記温度センサーの指令によって、前記患者の体温が平熱以上の体温であると感知した場合には前記リレー電源の電源スイッチがONとなり前記電動機を作動させて前記第1冷却管及び第2冷却管に冷媒を前記冷却ファンを用いて冷却させながら循環させる一方、前記患者の体温が平熱に回復した場合には、前記リレー電源の電源スイッチがOFFとなり前記電動機を停止させる自動冷却式水まくら。
【請求項2】
前記温度センサーは、前記マット上の水まくらの表面に配置されてなる請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項3】
前記筺体は、中央部に凹部が設けられており、前記凹部に前記水まくらが配置されている請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項4】
前記筺体の前記中央部の内部に、前記冷媒タンク及び前記圧縮機が配置され、前記冷媒タンク及び前記圧縮機を挟むように前記電動機及び前記主電源が配置されてなる請求項3記載の自動冷却式水まくら。
【請求項5】
前記筺体の両側面に通気孔が設けられており、
前記それぞれの通気孔近傍において前記冷却ファンが設けられている請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項6】
前記筺体の背面に通気孔が設けられており、
前記両側面に配置された冷却ファンの送風方向が略反対方向である請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【請求項7】
前記主電源は、蓄電池、乾電池、燃料電池、リチウムイオン電池又はリチウムポリマ電池のいずれかを備えてなる請求項1記載の自動冷却式水まくら。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−36020(P2010−36020A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33320(P2009−33320)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(508237306)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(508237306)
【Fターム(参考)】
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