自動分析装置
【課題】分析、メンテナンス等で使用する洗剤・試薬残量を管理する機能を有する自動分析装置において、分析項目依頼数に対して洗剤・試薬量が不足すると、分析されないかまたは結果不正の恐れがあり、再分析の手間や分析結果の信頼性を失うという問題があった。
【解決手段】分析開始実行入力時、分析に必要な洗剤・試薬量を算出する機能を設けることで実現できる。洗剤・試薬に不足がある場合、警告を促すことで再分析の手間を省くことができる。
【解決手段】分析開始実行入力時、分析に必要な洗剤・試薬量を算出する機能を設けることで実現できる。洗剤・試薬に不足がある場合、警告を促すことで再分析の手間を省くことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、血液、尿等の生体試料中の成分を定性・定量分析する自動分析装置に係り、特に，分析，反応に係る部品の洗浄用の洗剤残量を管理する機能を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
血液、尿等の生体サンプル中の特定成分の分析を行う自動分析装置は，該特定成分と反応し光学的特性が変化する試薬、あるいは特定成分と特異的に反応する標識を備えた試薬を用いこれ等試薬と試料の反応液の光学的特性の変化を測定あるいは標識の数をカウントすることにより、定性・定量分析を自動化したものである。
【０００３】
自動分析装置では、サンプル、試薬を夫々の容器から所定量吸引し、反応容器に移送して反応を生じさせるために液体分注プローブが用いられる。この液体分注プローブは異なる試料、試薬に共通して使用されるため、予め設定された条件により適時洗剤で洗浄して、共通に使用することで相互の影響を防止する。また、反応容器には異なる試料、試薬が分注され、測定終了後も洗浄して繰返し使用するため、その洗浄には洗剤を用いる。通常、上記の洗剤や試薬の残量は、装置で管理、表示され、これ等を消費する毎にその残量を減じ、それが一定の割合以下になると、その時点で残量“０または不足”の警告が発せられる。一方、分析は通常、検体毎の分析項目の依頼、登録が複数検体分一括して行われて、開始される。分析依頼内容に対し、洗剤・試薬量に不足が有っても、分析開始時には装置からのメッセージは無く、分析が開始される。この結果、試薬または洗剤の残量が一定の割合以下となると、それに拘る項目の分析はされないか，または分析されてもその結果は、不正結果として扱われ、再分析する手間が生じる。
【０００４】
洗剤の量を把握する手段を備えた自動分析装置が例えば特許文献１に記載されている。また試薬の量を把握する手段を備えた自動分析装置が特許文献２に記載されている。
【０００５】
【特許文献１】特開平６−２６５５５７号公報
【特許文献２】特開平９−２１１００４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
自動分析装置では、分析や装置のメンテナンスに必要な洗剤および試薬残量を管理している。洗剤・試薬の残量は、残量がある一定の割合以下になると、操作画面上の残量表示にマスキングや表示色を変えるよう設定し、オペレータに警告を促すことが可能であるが、分析項目数や分析依頼数が多い場合、さらには，分析中のサンプル追加も有る場合には、予めオペレータが必要な洗剤量・試薬量を把握して，それを分析開始前に装置に設定することは極めて困難である。洗剤・試薬不足になると分析結果に結果不正のアラームが付加されるが、アラームが付加された項目については、分析されないか、または分析結果の信頼性がそこなわれていて，再分析が必要となる等の問題があった。
【０００７】
本発明の目的は、上記した装置の洗剤、試薬管理機能に、分析開始入力時、測定依頼内容から必要な洗剤・試薬の量を計算し、若し洗剤・試薬不足がある場合には、分析開始前にメッセージを発することで信頼性の低い分析結果について再分析する手間を排除できる手段を備えた自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、かかる不都合を解決し、洗剤および試薬の管理に係るオペレータの負担を軽減して、信頼性の高い分析結果を提供する。上記の目的を達成するために、本発明のは以下のように構成される。
【０００９】
（１）分析開始入力時に、一括して依頼，登録された分析が終了するまでに必要な洗剤・試薬量を計算し、残量に併せて表示する機能を備えた。
【００１０】
（２）上記，計算結果と残量を比較し、残量に不足がある場合には警告を発する機能を備えた。警告に併せて、不足量を表示しても良く、また，警告はオペレータが認識できる手段であればどのようなものでも良い。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、分析開始前に，洗剤および試薬の過不足が明確になるので、これを原因とした分析未了や、分析結果不正を防止でき、再分析の手間を省くとともに、オペレータには洗剤や試薬残量管理から開放して、その負担を著しく軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下、本発明の実施例を図１、図２を用いて説明する。
【００１３】
図１は本発明を実施しようとする自動分析装置のフローチャートである。分析前にオペレータは分析項目を依頼する。分析開始入力ステップＳ１後、ステップＳ２において依頼された分析項目数から必要洗剤・試薬量を算出する。分析１テストに必要な試薬分注量、及び１回の各プローブ洗浄に必要な洗剤量は決まっているため、依頼された分析項目数から必要な試薬・洗剤量を算出する。反応容器は分析１テストあたり１つ使用されるので、分析終了までに必要な反応容器洗浄に使用する洗剤量は依頼された各分析項目数の合計、及び１つの反応容器洗浄に必要な洗剤量から算出する。反応容器を用いてサンプルの希釈を行う場合には、希釈のために必要な反応容器数も含めて算出する。算出した試薬・洗剤量は装置記憶部に記憶させる。算出後、ステップＳ３にて必要な洗剤量・試薬量を残量とを比較し、不足がある場合には不足の洗剤・試薬量を表示する。必要量が残量より少ない場合ステップＳ４に移り分析を開始する。ステップＳ３にて必要量が残量より多い場合、ステップＳ５で警告を発し、ステップＳ６で試薬・洗剤の残量が不足となっても強制的に分析を開始するか否かの入力を待つ。強制開始の場合、ステップＳ４に移り分析を開始し、強制開始させない場合にはステップＳ７にて装置を待機状態にさせる。分析中にサンプル追加があった場合には、上記と同様分析に必要な試薬・洗剤量を算出し、サンプル追加前に算出した結果から求まる残量と比較する。
【００１４】
図２は警告を発した際の画面概略図である。試薬容器１に試薬が充填されていることを示す。必要量算出後、必要量が残量３よりも多い場合、不足量を視覚的に示し、不足量を数値で表示４する。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明を実施するためのフローチャート。
【図２】本発明を実施した自動分析装置の画面概略。
【符号の説明】
【００１６】
１…試薬容器、２…洗剤・試薬残量、３…不足量、４…不足量表示。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、血液、尿等の生体試料中の成分を定性・定量分析する自動分析装置に係り、特に，分析，反応に係る部品の洗浄用の洗剤残量を管理する機能を備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
血液、尿等の生体サンプル中の特定成分の分析を行う自動分析装置は，該特定成分と反応し光学的特性が変化する試薬、あるいは特定成分と特異的に反応する標識を備えた試薬を用いこれ等試薬と試料の反応液の光学的特性の変化を測定あるいは標識の数をカウントすることにより、定性・定量分析を自動化したものである。
【０００３】
自動分析装置では、サンプル、試薬を夫々の容器から所定量吸引し、反応容器に移送して反応を生じさせるために液体分注プローブが用いられる。この液体分注プローブは異なる試料、試薬に共通して使用されるため、予め設定された条件により適時洗剤で洗浄して、共通に使用することで相互の影響を防止する。また、反応容器には異なる試料、試薬が分注され、測定終了後も洗浄して繰返し使用するため、その洗浄には洗剤を用いる。通常、上記の洗剤や試薬の残量は、装置で管理、表示され、これ等を消費する毎にその残量を減じ、それが一定の割合以下になると、その時点で残量“０または不足”の警告が発せられる。一方、分析は通常、検体毎の分析項目の依頼、登録が複数検体分一括して行われて、開始される。分析依頼内容に対し、洗剤・試薬量に不足が有っても、分析開始時には装置からのメッセージは無く、分析が開始される。この結果、試薬または洗剤の残量が一定の割合以下となると、それに拘る項目の分析はされないか，または分析されてもその結果は、不正結果として扱われ、再分析する手間が生じる。
【０００４】
洗剤の量を把握する手段を備えた自動分析装置が例えば特許文献１に記載されている。また試薬の量を把握する手段を備えた自動分析装置が特許文献２に記載されている。
【０００５】
【特許文献１】特開平６−２６５５５７号公報
【特許文献２】特開平９−２１１００４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
自動分析装置では、分析や装置のメンテナンスに必要な洗剤および試薬残量を管理している。洗剤・試薬の残量は、残量がある一定の割合以下になると、操作画面上の残量表示にマスキングや表示色を変えるよう設定し、オペレータに警告を促すことが可能であるが、分析項目数や分析依頼数が多い場合、さらには，分析中のサンプル追加も有る場合には、予めオペレータが必要な洗剤量・試薬量を把握して，それを分析開始前に装置に設定することは極めて困難である。洗剤・試薬不足になると分析結果に結果不正のアラームが付加されるが、アラームが付加された項目については、分析されないか、または分析結果の信頼性がそこなわれていて，再分析が必要となる等の問題があった。
【０００７】
本発明の目的は、上記した装置の洗剤、試薬管理機能に、分析開始入力時、測定依頼内容から必要な洗剤・試薬の量を計算し、若し洗剤・試薬不足がある場合には、分析開始前にメッセージを発することで信頼性の低い分析結果について再分析する手間を排除できる手段を備えた自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は、かかる不都合を解決し、洗剤および試薬の管理に係るオペレータの負担を軽減して、信頼性の高い分析結果を提供する。上記の目的を達成するために、本発明のは以下のように構成される。
【０００９】
（１）分析開始入力時に、一括して依頼，登録された分析が終了するまでに必要な洗剤・試薬量を計算し、残量に併せて表示する機能を備えた。
【００１０】
（２）上記，計算結果と残量を比較し、残量に不足がある場合には警告を発する機能を備えた。警告に併せて、不足量を表示しても良く、また，警告はオペレータが認識できる手段であればどのようなものでも良い。
【発明の効果】
【００１１】
本発明によれば、分析開始前に，洗剤および試薬の過不足が明確になるので、これを原因とした分析未了や、分析結果不正を防止でき、再分析の手間を省くとともに、オペレータには洗剤や試薬残量管理から開放して、その負担を著しく軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
以下、本発明の実施例を図１、図２を用いて説明する。
【００１３】
図１は本発明を実施しようとする自動分析装置のフローチャートである。分析前にオペレータは分析項目を依頼する。分析開始入力ステップＳ１後、ステップＳ２において依頼された分析項目数から必要洗剤・試薬量を算出する。分析１テストに必要な試薬分注量、及び１回の各プローブ洗浄に必要な洗剤量は決まっているため、依頼された分析項目数から必要な試薬・洗剤量を算出する。反応容器は分析１テストあたり１つ使用されるので、分析終了までに必要な反応容器洗浄に使用する洗剤量は依頼された各分析項目数の合計、及び１つの反応容器洗浄に必要な洗剤量から算出する。反応容器を用いてサンプルの希釈を行う場合には、希釈のために必要な反応容器数も含めて算出する。算出した試薬・洗剤量は装置記憶部に記憶させる。算出後、ステップＳ３にて必要な洗剤量・試薬量を残量とを比較し、不足がある場合には不足の洗剤・試薬量を表示する。必要量が残量より少ない場合ステップＳ４に移り分析を開始する。ステップＳ３にて必要量が残量より多い場合、ステップＳ５で警告を発し、ステップＳ６で試薬・洗剤の残量が不足となっても強制的に分析を開始するか否かの入力を待つ。強制開始の場合、ステップＳ４に移り分析を開始し、強制開始させない場合にはステップＳ７にて装置を待機状態にさせる。分析中にサンプル追加があった場合には、上記と同様分析に必要な試薬・洗剤量を算出し、サンプル追加前に算出した結果から求まる残量と比較する。
【００１４】
図２は警告を発した際の画面概略図である。試薬容器１に試薬が充填されていることを示す。必要量算出後、必要量が残量３よりも多い場合、不足量を視覚的に示し、不足量を数値で表示４する。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明を実施するためのフローチャート。
【図２】本発明を実施した自動分析装置の画面概略。
【符号の説明】
【００１６】
１…試薬容器、２…洗剤・試薬残量、３…不足量、４…不足量表示。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
分注されたサンプルと試薬を混合させる反応容器と、
サンプルを収容した試料容器から前記反応容器にサンプルを分注するサンプルプローブと、
試薬容器から試薬を反応容器に分注する試薬プローブと
を備えた自動分析装置において、
前記反応容器、試薬プローブ、サンプルプローブの洗浄に使用する洗剤の必要量を分析開始前に、分析の実行予定に基づいて計算し、
設置された洗剤量が前記計算された必要量に比べて少ない場合は警告を発する警報報知手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項２】
請求項１記載の自動分析装置において、
前記洗剤の必要量の計算は、分析中にサンプルが追加された場合は、該追加されたサンプルの分析開始前に行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項３】
請求項１または２記載の自動分析装置において、
装置のメンテナンス機能実行時においても洗剤の必要量を計算する機能を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項４】
試薬容器から試薬を反応容器に分注する試薬プローブと
を備えた自動分析装置において、
分析に使用する試薬の必要量を分析開始前に、分析の実行予定に基づいて計算し、
設置された試薬量が前記計算された必要量に比べて少ない場合は警告を発する警報報知手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項５】
請求項４記載の自動分析装置において、
前記試薬の必要量の計算は、分析中にサンプルが追加された場合は、該追加されたサンプルの分析開始前に行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項６】
請求項４または５記載の自動分析装置において、
装置のメンテナンス機能実行時においても試薬の必要量を計算する機能を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項１】
分注されたサンプルと試薬を混合させる反応容器と、
サンプルを収容した試料容器から前記反応容器にサンプルを分注するサンプルプローブと、
試薬容器から試薬を反応容器に分注する試薬プローブと
を備えた自動分析装置において、
前記反応容器、試薬プローブ、サンプルプローブの洗浄に使用する洗剤の必要量を分析開始前に、分析の実行予定に基づいて計算し、
設置された洗剤量が前記計算された必要量に比べて少ない場合は警告を発する警報報知手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項２】
請求項１記載の自動分析装置において、
前記洗剤の必要量の計算は、分析中にサンプルが追加された場合は、該追加されたサンプルの分析開始前に行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項３】
請求項１または２記載の自動分析装置において、
装置のメンテナンス機能実行時においても洗剤の必要量を計算する機能を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項４】
試薬容器から試薬を反応容器に分注する試薬プローブと
を備えた自動分析装置において、
分析に使用する試薬の必要量を分析開始前に、分析の実行予定に基づいて計算し、
設置された試薬量が前記計算された必要量に比べて少ない場合は警告を発する警報報知手段を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項５】
請求項４記載の自動分析装置において、
前記試薬の必要量の計算は、分析中にサンプルが追加された場合は、該追加されたサンプルの分析開始前に行うことを特徴とする自動分析装置。
【請求項６】
請求項４または５記載の自動分析装置において、
装置のメンテナンス機能実行時においても試薬の必要量を計算する機能を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００８−５８１２６（Ｐ２００８−５８１２６Ａ）
【公開日】平成２０年３月１３日（２００８．３．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２３４８４７（Ｐ２００６−２３４８４７）
【出願日】平成１８年８月３１日（２００６．８．３１）
【出願人】（５０１３８７８３９）株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】（０００２３３５５０）株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ (112)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年３月１３日（２００８．３．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年８月３１日（２００６．８．３１）
【出願人】（５０１３８７８３９）株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】（０００２３３５５０）株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ (112)
【Ｆターム（参考）】
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